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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053554
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】音量予測ツール及び音量予測方法
(51)【国際特許分類】
   G01H 3/00 20060101AFI20230406BHJP
【FI】
G01H3/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162655
(22)【出願日】2021-10-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】520084490
【氏名又は名称】株式会社エスパシオコンサルタント
(74)【代理人】
【識別番号】110001782
【氏名又は名称】弁理士法人ライトハウス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東恩納 暖
(72)【発明者】
【氏名】山崎 友也
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064AA05
2G064AB15
2G064BA02
2G064BA03
2G064CC29
2G064DD08
2G064DD14
(57)【要約】
【課題】
本発明は、地図の所定の位置における騒音源の音量を簡単に予測することができる音量予測ツールを提供することを目的とする。また、本発明は、地図の所定の位置における騒音源の音量を簡単に予測することができる騒音予測方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
所定の縮尺の地図と接触させて用いる音量予測ツールであって、現実世界の音源の位置に対応する基準点又は基準線と、音源から発生した音を受音する現実世界の位置に対応する予測点又は予測線を有し、基準点又は基準線の少なくとも一部、及び、予測点又は予測線の少なくとも一部を、前記地図に接触させた場合に、基準点又は基準線の少なくとも一部と接触している前記地図上の位置に対応する現実の位置における音源から発生した音が、予測点又は予測線の少なくとも一部と接触している前記地図上の位置に対応する現実の位置において、所定の音量で受音されることを示す、音量予測ツール。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の縮尺の地図と接触させて用いる音量予測ツールであって、
現実世界の音源の位置に対応する基準点又は基準線と、音源から発生した音を受音する現実世界の位置に対応する予測点又は予測線を有し、
基準点又は基準線の少なくとも一部、及び、予測点又は予測線の少なくとも一部を、前記地図に接触させた場合に、基準点又は基準線の少なくとも一部と接触している前記地図上の位置に対応する現実の位置における音源から発生した音が、予測点又は予測線の少なくとも一部と接触している前記地図上の位置に対応する現実の位置において、所定の音量で受音されることを示す、音量予測ツール。
【請求項2】
異なる縮尺の地図のそれぞれと接触させて用いる音量予測ツールであって、
2以上の予測点又は予測線をさらに有し、
予測点又は予測線のそれぞれは、異なる縮尺の地図のそれぞれに対応するものであり、
基準点又は基準線の少なくとも一部、及び、異なる縮尺の地図のうちの一の縮尺の地図に対応する予測点又は予測線の少なくとも一部を、前記一の縮尺の地図に接触させた場合に、基準点又は基準線の少なくとも一部と接触している前記一の縮尺の地図上の位置に対応する現実の位置における音源から発生した音が、前記一の縮尺の地図に対応する予測点又は予測線の少なくとも一部と接触している前記一の縮尺の地図上の位置に対応する現実の位置において、所定の音量で受音されることを示す、請求項1に記載の音量予測ツール。
【請求項3】
2以上の予測点又は予測線をさらに有し、
基準点又は基準線の少なくとも一部、及び、予測点又は予測線の少なくとも一部を、前記地図に接触させた場合に、基準点又は基準線の少なくとも一部と接触している前記地図上の位置に対応する現実の位置における音源から発生した音が、それぞれの予測点又は予測線の少なくとも一部と接触している前記地図上の位置に対応する現実の位置において、異なる音量で受音されることを示す、請求項1に記載の音量予測ツール。
【請求項4】
2以上の予測点又は予測線をさらに有し、
基準点又は基準線の少なくとも一部、及び、予測点又は予測線の少なくとも一部を、前記地図に接触させた場合に、基準点又は基準線の少なくとも一部と接触している前記地図上の位置に対応する現実の位置における音源から発生した音が、それぞれの予測点又は予測線の少なくとも一部と接触している前記地図上の位置に対応する現実の位置において、所定の音量で受音されることを示すものであり、予測点又は予測線のそれぞれは、基準点又は基準線の少なくとも一部と接触している前記地図上の位置に対応する現実の位置における音源から発生した、異なる大きさの音量に対応する、請求項1に記載の音量予測ツール。
【請求項5】
所定の縮尺の地図と接触させて用いる音量予測ツールであって、
現実世界の音源の位置に対応する基準点又は基準線と、音源から発生した音を受音する現実世界の位置に対応する2以上の予測点又は予測線を有し、
基準点又は基準線の少なくとも一部、及び、予測点又は予測線の少なくとも一部を、前記地図に接触させた場合に、基準点又は基準線の少なくとも一部と接触している前記地図上の位置に対応する現実の位置における音源から発生した音が、それぞれの予測点又は予測線の少なくとも一部と接触している前記地図上の位置に対応する現実の位置において、それぞれ所定の音量だけ減衰することを示す、音量予測ツール。
【請求項6】
複数の面を有する音量予測ツールであって、
複数の面のそれぞれに、基準点又は基準線と前記面に応じた所定の地図の縮尺に対応する複数の予測点又は予測線とが記されている、請求項1及び3~5のいずれかに記載の音量予測ツール。
【請求項7】
予測線が、基準点を中心とする円又は円弧であり、
音量予測ツールの形状が、半円状又は扇形である、
請求項1~5のいずれかに記載の音量予測ツール。
【請求項8】
現実世界の音源の位置に対応する基準点又は基準線と、音源から発生した音を受音する現実世界の位置に対応する予測点又は予測線を有する音量予測ツールを用い、
基準点又は基準線の少なくとも一部、及び、予測点又は予測線の少なくとも一部を、所定の縮尺の地図に接触させることで、基準点又は基準線の少なくとも一部と接触している前記地図上の位置に対応する現実の位置における音源から発生した音が、予測点又は予測線の少なくとも一部と接触している前記地図上の位置に対応する現実の位置において、所定の音量で受音されることを予測する音量予測方法。
【請求項9】
現実世界の音源から発生した音を受音する位置に対応する基準点又は基準線と、現実世界の音源の位置に対応する予測線を有する音量予測ツールを用い、
基準点又は基準線の少なくとも一部、及び、予測線の少なくとも一部を、所定の縮尺の地図に接触させることで、基準点又は基準線を含む予測線で囲まれた範囲の少なくとも一部と接触している前記地図上の位置に対応する現実の位置における音源から発生した音が、基準点の少なくとも一部と接触している前記地図上の位置に対応する現実の位置において、所定の音量以上で受音されることを予測する、音量予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音量予測ツール及び音量予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商業施設をはじめ、施設等の設計では、予め、騒音源毎に複数の地点において予測される騒音を考慮した施設の設計を行う。例えば、大規模小売店舗立地法指針では、騒音に係る環境基準(環境省)に基づいて、地域の類型と時間の区分に応じた、基準値が定められている。大規模小売店舗立地指針では、敷地境界線で音量の予測を行うとともに、住宅等の屋外でも予測を行うことが望ましいとされている。これらの音量の予測結果と指針で示された基準値を照らし合わせ、騒音対策(店舗計画)を検討することが必要である。
【0003】
ところで、従来から、縮尺地図の距離から実際の距離感を掴むことができる縮尺スケールが開示されている(特許文献1参照)。しかしながら、騒音の音源の音量と、基準の大きさの音量になるために必要な距離を計算し、そのうえで、地図の縮尺に対応した距離に照らし合わせて確認するのは大変煩雑で、手間を要するものであった。さらに、考慮すべき騒音源が複数存在する場合、そのひとつひとつに関して周辺の建物の地点で基準値を満たすか否かを確認する作業は膨大となり、作業者への負担が大きかった。すわなち、音量に係る基準をチェックする作業を効率化するためのツールは提案されておらず、地図上で音量の予測を簡単に行うことが可能なツールが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3149485号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、地図の所定の位置に対応する現実の位置における音源から発生した音が、地図上の位置に対応する現実の位置において、所定の音量で受音されることを簡単に予測することができる音量予測ツール及び音量予測方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題は、
[1]所定の縮尺の地図と接触させて用いる音量予測ツールであって、現実世界の音源の位置に対応する基準点又は基準線と、音源から発生した音を受音する現実世界の位置に対応する予測点又は予測線を有し、基準点又は基準線の少なくとも一部、及び、予測点又は予測線の少なくとも一部を、前記地図に接触させた場合に、基準点又は基準線の少なくとも一部と接触している前記地図上の位置に対応する現実の位置における音源から発生した音が、予測点又は予測線の少なくとも一部と接触している前記地図上の位置に対応する現実の位置において、所定の音量で受音されることを示す、音量予測ツール;
[2]異なる縮尺の地図のそれぞれと接触させて用いる音量予測ツールであって、2以上の予測点又は予測線をさらに有し、予測点又は予測線のそれぞれは、異なる縮尺の地図のそれぞれに対応するものであり、基準点又は基準線の少なくとも一部、及び、異なる縮尺の地図のうちの一の縮尺の地図に対応する予測点又は予測線の少なくとも一部を、前記一の縮尺の地図に接触させた場合に、基準点又は基準線の少なくとも一部と接触している前記一の縮尺の地図上の位置に対応する現実の位置における音源から発生した音が、前記一の縮尺の地図に対応する予測点又は予測線の少なくとも一部と接触している前記一の縮尺の地図上の位置に対応する現実の位置において、所定の音量で受音されることを示す、前記[1]に記載の音量予測ツール;
[3]2以上の予測点又は予測線をさらに有し、基準点又は基準線の少なくとも一部、及び、予測点又は予測線の少なくとも一部を、前記地図に接触させた場合に、基準点又は基準線の少なくとも一部と接触している前記地図上の位置に対応する現実の位置における音源から発生した音が、それぞれの予測点又は予測線の少なくとも一部と接触している前記地図上の位置に対応する現実の位置において、異なる音量で受音されることを示す、前記[1]に記載の音量予測ツール;
[4]2以上の予測点又は予測線をさらに有し、基準点又は基準線の少なくとも一部、及び、予測点又は予測線の少なくとも一部を、前記地図に接触させた場合に、基準点又は基準線の少なくとも一部と接触している前記地図上の位置に対応する現実の位置における音源から発生した音が、それぞれの予測点又は予測線の少なくとも一部と接触している前記地図上の位置に対応する現実の位置において、所定の音量で受音されることを示すものであり、予測点又は予測線のそれぞれは、基準点又は基準線の少なくとも一部と接触している前記地図上の位置に対応する現実の位置における音源から発生した、異なる大きさの音量に対応する、前記[1]に記載の音量予測ツール;
[5]所定の縮尺の地図と接触させて用いる音量予測ツールであって、現実世界の音源の位置に対応する基準点又は基準線と、音源から発生した音を受音する現実世界の位置に対応する2以上の予測点又は予測線を有し、基準点又は基準線の少なくとも一部、及び、予測点又は予測線の少なくとも一部を、前記地図に接触させた場合に、基準点又は基準線の少なくとも一部と接触している前記地図上の位置に対応する現実の位置における音源から発生した音が、それぞれの予測点又は予測線の少なくとも一部と接触している前記地図上の位置に対応する現実の位置において、それぞれ所定の音量だけ減衰することを示す、音量予測ツール;
[6]複数の面を有する音量予測ツールであって、複数の面のそれぞれに、基準点又は基準線と前記面に応じた所定の地図の縮尺に対応する複数の予測点又は予測線とが記されている、前記[1]及び[3]~[5]のいずれかに記載の音量予測ツール;
[7]予測線が、基準点を中心とする円又は円弧であり、音量予測ツールの形状が、半円状又は扇形である、前記[1]~[5]のいずれかに記載の音量予測ツール;
[8]現実世界の音源の位置に対応する基準点又は基準線と、音源から発生した音を受音する現実世界の位置に対応する予測点又は予測線を有する音量予測ツールを用い、基準点又は基準線の少なくとも一部、及び、予測点又は予測線の少なくとも一部を、所定の縮尺の地図に接触させることで、基準点又は基準線の少なくとも一部と接触している前記地図上の位置に対応する現実の位置における音源から発生した音が、予測点又は予測線の少なくとも一部と接触している前記地図上の位置に対応する現実の位置において、所定の音量で受音されることを予測する音量予測方法;
[9]現実世界の音源から発生した音を受音する位置に対応する基準点又は基準線と、現実世界の音源の位置に対応する予測線を有する音量予測ツールを用い、基準点又は基準線の少なくとも一部、及び、予測線の少なくとも一部を、所定の縮尺の地図に接触させることで、基準点又は基準線を含む予測線で囲まれた範囲の少なくとも一部と接触している前記地図上の位置に対応する現実の位置における音源から発生した音が、基準点の少なくとも一部と接触している前記地図上の位置に対応する現実の位置において、所定の音量以上で受音されることを予測する、音量予測方法;
により達成することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、地図の所定の位置に対応する現実の位置における音源から発生した音が、地図上の位置に対応する現実の位置において、所定の音量で受音されることを簡単に予測することができる音量予測ツール及び音量予測方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態にかかる音量予測ツールの一例を示す模式図である。
図2】本発明の実施の形態にかかる音量予測ツールの一例を示す模式図である。
図3】本発明の実施の形態にかかる音量予測ツールの一例を示す模式図である。
図4】本発明の実施の形態にかかる音量予測ツールの一例を示す模式図である。
図5】本発明の実施の形態にかかる音量予測ツールの一例を示す模式図である。
図6】本発明の実施の形態にかかる音量予測ツールの一例を示す模式図である。
図7】本発明の実施の形態にかかる音量予測ツールの一例を示す模式図である。
図8】本発明の実施の形態にかかる音量予測ツールの使用例の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明をするが、本発明の趣旨に反しない限り、本発明は以下の実施の形態に限定されない。以下、効果に関する記載は、本発明の実施の形態の効果の一側面であり、ここに記載するものに限定されない。
【0010】
本発明の実施の形態にかかる音量予測ツールは、基準点又は基準線と、予測線又は予測点とを有する。予測線又は予測点は、音量予測ツールを地図に重ね合わせた場合において、基準点又は基準線と重なる地図上の位置に対応する現実世界の位置(音源)において発生する音が、減衰した音量で受音される地図上の位置を示すものであり、点又は線により表すことができる。
【0011】
音量予測ツールは、1つの基準点又は基準線を有する。基準点又は基準線は、現実世界の音源の位置に対応する地図上の位置を示すものであり、点又は線により表すことができる。また、音量予測ツールは、少なくとも1つの予測線又は予測線を有するものであれば特に限定されないが、例えば、2以上の予測線又は予測点を有することが好ましい。これにより、1つの音量予測ツールで、複数の音量の音源に対応する複数の予測地点の音量を予測することが可能になる。また、複数の縮尺の地図で使用することが可能になる。
【0012】
例えば、2以上の予測線又は予測点のそれぞれが、それぞれの縮尺の地図に対応するため、1つの音量予測ツールで、異なる縮尺の地図に対して使用することができる。このとき、基準点又は基準線に対応する現実世界の位置において発生する音源の音量と、予測点又は予測線に対応する現実世界の位置において受音する音量とは固定される。したがって、音源の音量を変化させた音量予測ツール、及び予測点又は予測線における予測音量を変化させた音量予測ツールを複数組み合わせて、提供することが好ましい。または、2以上の予測線又は予測点のそれぞれが、それぞれの予測地点における予測音量に対応するため、1つの音量予測ツールで、複数の予測地点の音量を予測することができる。このとき、使用する地図の縮尺と、基準点又は基準線に対応する現実世界の位置において発生する音源の音量とは固定される。したがって、使用する地図の縮尺を変化させた音量予測ツール、及び音源の音量を変化させた音量予測ツールを複数組み合わせて、提供することが好ましい。または、2以上の予測線又は予測点のそれぞれが、基準点又は基準線に対応する現実世界の位置において発生する異なる音源の音量に対応するため、1つの音量予測ツールで、異なる音量の音源に対して、予測音量を予測することができる。このとき、使用する地図の縮尺と、予測点又は予測線に対応する現実世界の位置において受音する音量とは固定される。したがって、使用する地図の縮尺を変化させた音量予測ツール、及び予測点又は予測線における予測音量を変化させた音量予測ツールを複数組み合わせて、提供することが好ましい。
【0013】
また、音量予測ツールには、予測線又は予測点に重なる地図の地点において受音される音源の予測音量、基準点又は基準線に重なる地図の地点から減衰する音量、音量予測ツールを用いる地図の縮尺、基準点に重なる地図の地点に位置すると想定される音源の音量等の数値が記載されていてもよい。これらの指標は少なくとも2以上が記載されることが好ましい。これにより、使用者は、音量予測ツールを使用して、簡単に予測音量について確認することができる。
【0014】
本発明の実施の形態にかかる音量予測ツールは、半円状又は扇形の形状であることが好ましい。扇形の形状の中心角の大きさは、360°以下であれば特に限定されない。さらに、音量予測ツールは、透明又は半透明であることが好ましい。これにより、所定の縮尺の地図の上に音量予測ツールを接触させた場合、使用者は、地図と音量予測ツールに記載された内容を同時に視認することができる。また、音量予測ツールは、定規型であってもよいし、複数の面を有する三角スケールと同様の形状であってもよい。三角スケールは、一般的に6面を有し、それぞれの面に異なる縮尺の地図の距離に対応する目盛りを有する。本発明の実施の形態にかかる、三角スケールタイプの音量予測ツールも同様に、それぞれの面に異なる縮尺の地図の距離に対応する基準点又は基準線からの音量の減衰の度合いを示す予測線を有する。
【0015】
本発明の実施の形態にかかる音量予測ツールは、所定の縮尺の地図に接触させて用いる。まず、現実世界で音源が存在する位置に対応する所定の縮尺の地図の所定の位置と、音量予測ツールの基準点又は基準線の少なくとも一部とを接触させる(一致させる、重ね合わせる、合わせる、沿わせるともいう)。そして、予測線又は予測点の少なくとも一部が接触している地図の地点を確認することで、地図の地点に対応する現実の位置において、上記現実の位置における音源の音量が、所定の音量で受音されることを把握することができる。または、地図の地点に対応する現実の位置において、音源の音量が所定の音量だけ減衰することを把握することができる。
【0016】
本発明の実施の形態にかかる音量予測ツールは、所定の縮尺の地図に記載される所定の地点と基準点又は基準線の少なくとも一部とを接触させて使用することもできる。この場合、まず、基準点又は基準線の少なくとも一部を所定の地点と接触させる。次に、予測線又は予測点の少なくとも一部に接触する地図の地点を確認する。そして、基準点又は基準線で接触する地点と予測線又は予測点で接触する地点とを結ぶ線分上に、所定の音量の音源がある場合、基準点又は基準線の位置に対応する現実の位置において受音される音量は、所定の音量以上であることを把握することができる。又は、基準点又は基準線で接触する地点と予測線又は予測点で接触する地点とを結ぶ線分より外側に延びた直線上に、所定の音量の音源がある場合、基準点又は基準線の位置に対応する現実の位置において受音される音量は、所定の音量以下であることを把握することができる。
【0017】
ここで、「基準点」とは、現実世界の音源の位置に対応する。つまり、所定の縮尺の地図上の位置に対応する現実の位置において、騒音の発生源である音源が位置する地点と接触させる点である。また、所定の音量が存在する位置に対応させてもよい。また、所定の縮尺の地図上の位置に対応する現実の位置において、音量を確認したい地点(予測地点、予測位置、受音地点、受音位置ともいう)と重ね合わせる点としてもよい。つまり、基準点に重ね合わせる地点は、音の発生源と音量の予測地点とが想定される。「基準線」は、基準点を含む直線である。
【0018】
なお、以下では、所定の縮尺の地図上の位置に対応する現実の位置において音源が位置する地点を、所定の縮尺の地図における音源が位置する地点等と記載することがある。また、所定の縮尺の地図上の位置に対応する現実の位置において、音源から発生した音の受音音量を確認したい地点を、所定の縮尺の地図における音量を確認したい地点、予測地点、受音地点等と記載することがある。
【0019】
「音源が位置する地点」とは、所定の地図に対応する現実の位置において、騒音の発生源になると予測される地点である。また、地図上の位置に対応する現実の位置において、音源が存在する地点ともいえる。例えば、駐車場であれば、車が通る地点である。近隣の建物と最も接近する可能性の高い駐車場の出入り口の地点とすることもできる。また、車だけでなく、室外機やBGM、荷捌き作業を行う地点等、騒音の発生源となり得る対象物が存在する、又は行為が行われる地点が全て含まれる。「音量を確認したい地点」とは、所定の地図に対応する現実の位置において、騒音の発生源から発生した音を受音する地点である。例えば、大規模小売店舗を立地する周辺地域の建物であり、療養施設、社会福祉施設、住居等である。つまり、周辺地域の建物で騒音の影響を考慮すべきもの全てが対象となる。
【0020】
「予測線」とは、現実世界の音源から発生した音を受音する位置に対応する。予測線は、所定の縮尺の地図において、基準点又は基準線から所定の距離に対応した音量の減衰の度合いを示す線である。例えば、所定の縮尺の地図において、基準点又は基準線に位置する音源の音量が、5dB減衰して受音される地点を示す。また、予測線は、所定の縮尺の地図において、音源が位置する地点と基準点又は基準線とを重ね合わせたとき、予測線と接触する所定の縮尺の地図上の位置に対応する現実の地点において、音源の音量が所定の音量になる(受音される、減衰する、ともいう)ことを示す線である。例えば、所定の縮尺の地図において、基準点又は基準線と一致する地点に位置する80dBの音源が、45dBになる地点を示す。
【0021】
また、所定の縮尺の地図において、音量を確認したい地点と基準点又は基準線とを接触させたとき、基準点若しくは基準線と予測線までの線分、又は予測線を境界とした基準点若しくは基準線を含む範囲と、重なる所定の縮尺の地図の地点に対応する現実の位置において、所定の音量の音源が一定の音量以上に受音されることを示す線である。また、音量を確認したい地点と基準点又は基準線とを接触させたとき、基準点若しくは基準線と予測線を含む直線のうち、予測線から音量予測ツールの外側に延びる部分、又は予測線を境界とした基準点若しくは基準線を含まない範囲に重なる所定の縮尺の地図の地点に対応する現実の位置において、所定の音量の音源が一定の音量以下に受音されることを示す線である。なお、音量を確認したい地点としては、上述のとおり、周辺地域の建物で騒音の影響を考慮すべきもの全てが対象となる。なお、予測線は、予測点が複数含まれるものとも解釈できる。
【0022】
以下では、より具体的な構成例について、図面を参照して説明する。なお、説明が重複するときは、説明を省略する場合がある。
【0023】
[音量予測ツールの構成例1]
図1~5は、本発明の実施の形態にかかる音量予測ツール10の一例を示す模式図である。図1に図示される音量予測ツール10Aは、複数の縮尺の地図のそれぞれに対して用いることができる。音量予測ツール10Aを利用することで、所定の音量の音源について、所定の音量(予測音量3)で受音される地点を把握することができる。音量予測ツール10Aは、例えば、音源の音量が70dBのとき、1/300、1/600、1/1000の縮尺の地図で、45dBで受音される地点を把握するために用いられる。
【0024】
図示するように、音量予測ツール10Aは、基準点1と、予測線2とを有する。なお、ここでは、所定の音量で受音される位置を把握するために予測線2を有する構成としたが、所定の音量で受音される位置を把握するために、予測線ではなく予測点を用いることもできる。音量予測ツール10Aは、2以上の予測線2(予測線2a、予測線2b、予測線2c)を有する。また、音量予測ツール10Aは、予測線上における音源の予測音量3、地図の縮尺4a~4c、補助線5、基準点における音源の音量6等が記載されていることが好ましい。
【0025】
基準点1は、予測線2a~2cを円弧とする円の中心である。基準点1の形状は、図1のような、V字だけでなく、丸や逆三角形、矢印等といった、基準点1と重ね合わせる地点をわかりやすく把握できる形状が好ましい。補助線5は、基準点1と交わる直線である。補助線5により、基準点1の位置をよりわかりやすく把握できる。予測音量3は、所定の縮尺の地図で基準点1の位置に対応する現実の位置における音源の音量6が、予測線2a~2c上の位置に対応する現実の位置で予測される音量である。予測線2a~2cの付近には、対応する地図の縮尺4a~4cが記載されている。地図の縮尺4a~4cは、予測線2a~2cの線上に記載されていてもよい。
【0026】
音量予測ツール10Aの場合、予測線2aは、地図の縮尺4aに記載されている1/300の縮尺の地図に対応する。つまり、1/300の縮尺の地図にて、70dBの音源が位置すると想定される地点に基準点1を重ね合わせたとき、予測線2aと重なる地図の地点において、45dBの音量で受音されることを予測できる。また、同様に、予測線2bは、地図の縮尺4bに記載されている1/600の縮尺の地図に、予測線2cは、地図の縮尺4cに記載されている1/1000の縮尺の地図にそれぞれ対応する。つまり、70dBの音源が位置すると想定される地点に基準点1を重ね合わせたとき、1/600の縮尺の地図にて、予測線2bと重なる地図の地点において、1/1000の縮尺の地図にて、予測線2cと重なる地図の地点において、それぞれ45dBの音量で受音されることを予測できる。
【0027】
また、音量予測ツール10は、透明又は半透明の素材で形成されることが好ましい。これにより、地図の所定の地点に位置する音源に基準点1を重ね合わせたとき、予測線2が重なる地図の地点が容易に確認できる。さらに、予測線2を境界として、所定の音源の音量が、所定の音量以上で受音される範囲、又は所定の音量以下で受音される範囲を容易に確認できる。例えば、予測線2aを境界として、基準点1を含む領域を領域11、外側の部分を領域12とする。なお、図1において、斜線部が領域12である。音量予測ツール10Aの場合、1/300の縮尺の地図にて、70dBの音源が位置すると想定される地点に基準点1を重ね合わせたとき、領域11と重なる地点において、45dB以上の音量で受音されること、また、領域12と重なる地点において、45dB以下の音量で受音されることが簡単に確認できる。また、1/300の縮尺の地図にて、音量を確認したい地点に基準点1を重ね合わせたとき、領域11に70dBの音源が位置すると、基準点1では45dB以上の音量で受音されること、また、領域12に70dBの音源が位置すると、基準点1では45dB以下の音量で受音されることが簡単に確認できる。
【0028】
また、音量予測ツール10は、半円状又は扇形の形状であることが好ましい。これにより、複数の音量予測ツールを持ち運ぶ必要がある場合も、音量予測ツールがコンパクトにまとまり、持ち運びが容易になる。また、音量予測ツール10は、円状や四角形状でもよいし、1つの音量予測ツールに複数の基準点1とそれに対応する複数の予測線2を有するものであってもよい。
【0029】
音量予測ツール10Aは、予測音量3及び音源の音量6が固定されているため、異なる予測音量及び異なる音源の音量で用いられる、音量予測ツール10Aと同様の構成を有する音量予測ツールと複数組み合わせて提供されることが好ましい。
【0030】
音量予測ツール10の基準点1と予測線2の間隔の算出方法を説明する。一般に、音の大きさは、距離が遠くなるほど減衰する。音源が点である場合及び音源からある程度離れている場合は、音源からの距離r0での音量と距離r1での音量との音量の減衰量Aの関係は以下の式より求められる。これに基づいて、音量予測ツール10の基準点1と予測線2の間隔が求められ、所定の縮尺の地図の距離に対応した位置関係を決定する。
減衰量A(dB)=20×Log10(r1/r0)
【0031】
[音量予測ツールの構成例2]
次に、音量予測ツール10Bについて、説明をする。図2に図示される音量予測ツール10Bは、所定の縮尺の地図(地図の縮尺4)にて用いられる。音量予測ツール10Bを利用することで、音源で発生した所定の音量の音(音源の音量6)が、減衰した所定の音量(予測音量3)の音になる地点を把握することができる。また、音量予測ツール10Bにおいて複数の予測線2を設けることで、異なる所定の音量(予測音量3a~3c)の音になる地点を把握することができる。音量予測ツール10Bは、例えば、音源の音量が70dBのとき、1/300の縮尺の地図で、40dB、45dB、50dBで受音される地点を把握するために用いられる。
【0032】
図示するように、音量予測ツール10Bは、基準点1と、予測線2a~2cとを有する。また、音量予測ツール10Bは、予測線上における音源の予測音量3a~3c、地図の縮尺4、基準点における音源の音量6等が記載されていることが好ましい。これにより、使用者は、異なる地図の縮尺や異なる所定の音量の音源で用いられる音量予測ツール10Bと同様の構成の音量予測ツールと間違えることなく使用することができる。
【0033】
上述のとおり、基準点1は、予測線2a~2cを円弧とする円の中心である。予測音量3a~3cは、所定の縮尺の地図で基準点1の位置に対応する現実の位置における音源の音量6が、予測線2a~2c上の位置に対応する現実の位置でそれぞれ予測される音量である。予測音量3a~3cは、予測線2a~2cの線上に記載されているが、予測線2a~2cの付近に記載されていてもよい。
【0034】
音量予測ツール10Bの場合、予測線2a~2cは、地図の縮尺4に記載されている1/300の縮尺の地図に対応する。つまり、1/300の縮尺の地図にて、70dBの音源が位置すると想定される地点に基準点1を重ね合わせたとき、予測線2aと重なる地図の地点において、40dBの音量で受音されることを予測できる。また、1/300の縮尺の地図にて、70dBの音源が位置すると想定される地点に基準点1を重ね合わせたとき、予測線2bと重なる地図の地点において45dBに、予測線2cと重なる地図の地点において50dBの音量で受音されることを予測できる。
【0035】
また、予測線2を境界として、所定の音源の音量が、所定の音量以上で受音される範囲、又は所定の音量以下で受音される範囲を容易に確認できる。例えば、予測線2aを境界として、基準点1を含む領域を領域11、外側の部分を領域12(斜線部)とする。音量予測ツール10Bの場合、1/300の縮尺の地図にて、70dBの音源が位置すると想定される地点に基準点1を重ね合わせたとき、領域11と重なる地点において、40dB以上の音量で受音されること、また、領域12と重なる地点において、40dB以下の音量で受音されることが簡単に確認できる。また、1/300の縮尺の地図にて、音量を確認したい地点に基準点1を重ね合わせたとき、領域11に70dBの音源が位置すると、基準点1では40dB以上の音量で受音されること、また、領域12に70dBの音源が位置すると、基準点1では40dB以下の音量で受音されることが簡単に確認できる。
【0036】
音量予測ツール10Bは、地図の縮尺4及び音源の音量が固定されているため、異なる地図の縮尺及び異なる音源の音量で用いられる、音量予測ツール10Bと同様の構成を有する音量予測ツールと複数組み合わせて提供されることが好ましい。
【0037】
[音量予測ツールの構成例3]
次に、音量予測ツール10Cについて、説明をする。図3に図示される音量予測ツール10Cは、所定の縮尺の地図(地図の縮尺4)で用いられる。音量予測ツール10Cを用いることで、複数の所定の音量の音源(音源の音量6a~6c)について、所定の音量(予測音量3)で受音される地点を把握することができる。音量予測ツール10Cは、例えば、音源の音量が60dB、70dB、80dBのとき、1/300の縮尺の地図で、45dBで受音される地点を把握するために用いられる。
【0038】
図示するように、音量予測ツール10Cは、基準点1と、予測線2a~2cとを有する。また、音量予測ツール10Cは、予測線上における予測音量3、地図の縮尺4、音源の音量6a~6c等が記載されていることが好ましい。
【0039】
上述のとおり、基準点1は、予測線2a~2cを円弧とする円の中心である。予測音量3は、所定の縮尺の地図で基準点1の位置に対応する現実の位置における音源の音量6a~6cが、対応する予測線2a~2c上の位置に対応する現実の位置で予測される音量である。音源の音量6a~6cは、予測線2a~2cの線上に記載されているが、予測線2a~2cの付近に記載されていてもよい。
【0040】
音量予測ツール10Cの場合、予測線2a~2cは、地図の縮尺4に記載されている1/300の縮尺の地図に対応する。つまり、1/300の縮尺の地図にて、80dBの音源が位置すると想定される地点に基準点1を重ね合わせたとき、予測線2aと重なる地図の地点において、45dBの音量で受音されることを予測できる。また、1/300の縮尺の地図にて、70dBの音源が位置すると想定される地点に基準点1を重ね合わせたとき、予測線2bと重なる地図の地点において45dBで受音されること、また、60dBの音源が位置すると想定される地点に基準点1を重ね合わせたとき、予測線2cと重なる地図の地点において45dBの音量で受音されることを予測できる。
【0041】
また、予測線2を境界として、所定の音源の音量が、所定の音量以上で受音される範囲、又は所定の音量以下で受音される範囲を容易に確認できる。例えば、予測線2aを境界として、基準点1を含む領域を領域11、外側の部分を領域12(斜線部)とする。音量予測ツール10Cの場合、1/300の縮尺の地図にて、80dBの音源が位置すると想定される地点に基準点1を重ね合わせたとき、領域11と重なる地点において、45dB以上の音量で受音されること、また、領域12と重なる地点において、45dB以下の音量で受音されることが簡単に確認できる。また、1/300の縮尺の地図にて、音量を確認したい地点に基準点1を重ね合わせたとき、領域11に80dBの音源が位置すると、基準点1では45dB以上の音量で受音されること、また、領域12に80dBの音源が位置すると、基準点1では45dB以下の音量で受音されることが簡単に確認できる。
【0042】
音量予測ツール10Cは、予測音量3及び地図の縮尺4が固定されているため、異なる予測音量及び異なる地図の縮尺で用いられる、音量予測ツール10Cと同様の構成を有する音量予測ツールと複数組み合わせて提供されることが好ましい。
【0043】
[音量予測ツールの構成例4]
次に、音量予測ツール10Dについて、説明をする。図4に図示される音量予測ツール10Dは、所定の縮尺の地図(地図の縮尺4)で用いられる。音量予測ツール10Dにより、複数の所定の音量の音源(音源の音量6a~6i)について、所定の音量(予測音量3a~3c)で受音される地点を把握することができる。音量予測ツール10Dは、例えば、音源の音量が60dB、65dB、70dBのとき、1/300の縮尺の地図で、50dBで受音される地点を把握するために用いられる。また、1/300の縮尺の地図で、音源の音量が55dB、60dB、65dBのとき、45dBで受音される地点、音源の音量が50dB、55dB、60dBのとき、40dBで受音される地点を把握するために用いられる。
【0044】
図示するように、音量予測ツール10Dは、基準点1と、予測線2a~2cとを有する。また、音量予測ツール10Dは、予測線上における予測音量3a~3c、地図の縮尺4、音源の音量6a~6i等が記載されていることが好ましい。
【0045】
上述のとおり、基準点1は、予測線2a~2cを円弧とする円の中心である。予測音量3aは、所定の縮尺の地図で基準点1の位置に対応する現実の位置における音源の音量6a~6cが、対応する予測線2a~2c上の位置に対応する現実の位置で予測される音量である。予測音量3bは、所定の縮尺の地図で基準点1の位置に対応する現実の位置における音源の音量6d~6fが、対応する予測線2a~2c上の位置に対応する現実の位置で予測される音量である。予測音量3cは、所定の縮尺の地図で基準点1の位置に対応する現実の位置における音源の音量6g~6iが、対応する予測線2a~2c上の位置に対応する現実の位置で予測される音量である。音源の音量6a~6iは、予測線2a~2cの線上に記載されているが、予測線2a~2cの付近に記載されていてもよい。また、音源の音量6a~6iは、それぞれ対応する予測音量3a~3cがわかるように記されるのが好ましい。例えば、対応する予測音量3が同じ場合、音量予測ツール10Dにおいて、音源の音量6と、予測音量3とが同一半径上に示されてもよい。
【0046】
音量予測ツール10Dの場合、予測線2a~2cは、地図の縮尺4に記載されている1/300の縮尺の地図に対応する。つまり、1/300の縮尺の地図にて、70dBの音源が位置すると想定される地点に基準点1を重ね合わせたとき、予測線2aと重なる地図の地点において、50dBの音量で受音されることを予測できる。また、1/300の縮尺の地図にて、60dBの音源が位置すると想定される地点に基準点1を重ね合わせたとき、予測線2aと重なる地図の地点において40dBで受音されることを予測でき、予測線2bと重なる地図の地点において45dBで受音されることを予測でき、予測線2cと重なる地図の地点において50dBの音量で受音されることを予測できる。
【0047】
また、予測線2を境界として、所定の音源の音量が、所定の音量以上で受音される範囲、又は所定の音量以下で受音される範囲を容易に確認できる。例えば、予測線2aを境界として、基準点1を含む領域を領域11、外側の部分を領域12(斜線部)とする。音量予測ツール10Dの場合、1/300の縮尺の地図にて、60dBの音源が位置すると想定される地点に基準点1を重ね合わせたとき、領域11と重なる地点において、40dB以上の音量で受音されること、また、領域12に重なる地点において、40dB以下の音量で受音されることが簡単に確認できる。また、1/300の縮尺の地図にて、音量を確認したい地点に基準点1を重ね合わせたとき、領域11に60dBの音源が位置すると、基準点1では40dB以上の音量で受音されること、また、領域12に60dBの音源が位置すると、基準点1では40dB以下の音量で受音されることが簡単に確認できる。
【0048】
次に、音量予測ツール10Eについて、説明をする。図5に図示される音量予測ツール10Eは、音量予測ツール10Dの応用例である。音量予測ツール10Eは、所定の縮尺の地図(地図の縮尺4)に対して用いられる。音量予測ツール10Eにより、複数の所定の音量の音源(音源の音量6a~6d)について、所定の音量(予測音量3a~3c)で受音される地点を把握することができる。
【0049】
図示するように、音量予測ツール10Eは、基準点1と、複数の予測線2とを有する。また、音量予測ツール10Eは、予測線上における予測音量3a~3c、地図の縮尺4、音源の音量6a~6d等が記載されていることが好ましい。
【0050】
予測線2は、所定の縮尺の地図で基準点1の位置に対応する現実の位置における音源について、所定の音量ずつ減衰する地点を示す。例えば、予測線2a~2fは、基準点1に位置すると想定される音源の音量が、1dBずつ減衰する地点を示す。予測線2の線上又は周辺には、音源の音量6が記載されていることが好ましい。具体的には、予測線2aや予測線2fといった、5dB減衰する予測線2の線上又は周辺には、音源の音量6cや6dが記載されていることが好ましい。
【0051】
音量予測ツール10Eの場合、1/300の縮尺の地図にて、基準点1に位置すると想定される所定の音量の音源の受音される位置と、受音音量とを細かく把握することができる。例えば、1/300の縮尺の地図にて、基準点1に65dBの音源が位置する場合、予測線2a上では45dB、予測線2b上では44dB、予測線2c上では43dB、予測線2d上では42dB、予測線2e上では41dB、予測線2f上では40dBにそれぞれ受音されることが予測できる。これにより、音量予測ツール10Eに記載していない予測音量3についても、予測音量を把握することができる。また、1/300の縮尺の地図にて、基準点1に位置すると想定される音量の音源が所定の音量で受音される位置と、音源の音量とを細かく把握することができる。例えば、音源の音量が40dBで受音される地点は、基準点1の音源が60dBのとき予測線2a、61dBのとき予測線2b、62dBのとき予測線2c、63dBのとき予測線2d、64dBのとき予測線2e、65dBのとき予測線2fのそれぞれに対応する地点であることが予測できる。これにより、音量予測ツール10Eに記載していない音源の音量6についても、予測音量を把握することができる。また、予測線2の数が多くなる場合は、所定の減衰する音量ごとに、それぞれの予測線の色を変更してもよいし、予測線の太さを変更してもよい。例えば、予測線2a、2fは赤色、予測線2b~2eは黒色とすることができる。これにより、音量予測ツールの視認性が向上し、容易に数値を把握することができる。
【0052】
音量予測ツール10D及び10Eは、地図の縮尺4が固定されているため、異なる地図の縮尺で用いられる、音量予測ツール10D又は10Eと同様の構成を有する音量予測ツールと複数組み合わせて提供されることが好ましい。
【0053】
[音量予測ツールの構成例5]
次に、音量予測ツール10Fについて、説明をする。図6に図示される音量予測ツール10Fは、複数の所定の縮尺の地図(地図の縮尺4a、4b)にて、用いられる。音量予測ツール10Fを利用することで、基準点1の位置に対応する現実の位置における音源の音量が、所定の音量だけ減衰する地点(予測線2a、2b)を把握することができる。音量予測ツール10Fは、定規型の音量予測ツールである。また、1以上の長方形の面を有する。
【0054】
図示するように、音量予測ツール10Fは、基準線1(基準線1a、1b)と、予測線2(予測線2a、2b)とを有する。予測線2は目盛りとして、複数記載されるのが好ましく、基準点1に位置すると想定される所定の音量が、所定の音量ずつ減衰する所定の地図の地点を示す。例えば、予測線2は、基準点1に位置すると想定される所定の音量が、1dBずつ減衰する所定の地図の地点を示すことができる。また、音量予測ツール10Fは、地図の縮尺4、減衰する音量7等が記載されていることが好ましい。また、音量予測ツール10Fは、複数の面を有する。また、複数の面の形状は長方形である。それぞれの面には、基準点1(基準点1a、1b等)及び地図の異なる縮尺4(地図の縮尺4a、4b等)に対応した予測線2(予測線2a、2b等)が記載される。音量予測ツール10Fの形状は、各種の用途に応じて、各種の縮尺目盛りを備える、いわゆる三角スケールと同様の形状である。
【0055】
音量予測ツール10Fの1面には、基準線1aと、地図の縮尺4aに対応する予測線2aとが記載されている。予測線2aにおいて、所定の音量が減衰することを使用者に分かりやすく示すため、所定の予測線2ごとに、減衰する音量7が記載されるのが好ましい。減衰する音量7は、所定の縮尺の地図で基準点1の位置に対応する現実の位置における音源の音量が、予測線2上の位置に対応する現実の位置で減衰する音量である。例えば、1/300の縮尺の地図にて、所定の音量の音源が位置すると想定される地点に基準線1aを沿えたとき、予測線2aと一致する地図の地点において、10dBだけ、所定の音量から減衰することを予測できる。これにより、あらゆる音源の音量について、所定の地点での予測音量を確認することができる。
【0056】
また、音量予測ツール10Fの形状は、四角柱状でもよい。この場合、各側面である長方形の面における長手方向の縁部のそれぞれに、基準点及び所定の地図の縮尺に対応した予測線が記載されることが好ましい。つまり、8種類の異なる地図の縮尺に対応して、基準点の位置に対応する現実の位置における音源の音量が所定の音量だけ減衰する地点を把握することができる。さらに、音量予測ツール10Fの形状を筒状の四角柱状として、音量予測ツールを折りたたんで持ち運び可能としてもよい。また、音量予測ツール10Fは、長方形の定規型の音量予測ツールであり、1つの面に、複数の基準点及び異なる地図の縮尺に対応した複数の予測線を有するものでもよい。この場合、長方形の面における長手方向の縁部のそれぞれに、基準点及び所定の地図の縮尺に対応する予測線を有する。さらに、長方形の面の内部に長方形の空間を設け、長方形の空間の長手方向の縁部のそれぞれに、基準点及び所定の地図の縮尺に対応する予測線を有するという構成にしてもよい。このとき、長方形の表面と裏面のそれぞれに基準点及び所定の地図の縮尺に対応する予測線を有するという構成にすると、8種類の異なる地図の縮尺に対応して、基準点の位置に対応する現実の位置における音源の音量が、所定の音量だけ減衰する地点を把握することができる。
【0057】
なお、音量予測ツール10A乃至10Eは、扇形の形状であるが、基準点と予測線の役割はそのままに、音量予測ツール10Fと同様に、定規型の形状にしてもよいし、複数の面を有する三角スケールのような形状としてもよい。複数の面は、それぞれ異なる、所定の予測音量、所定の地図の縮尺、又は、所定の音源の音量のいずれかに対応することが好ましい。
【0058】
[音量予測ツールの構成例6]
次に、音量予測ツール10Gについて、説明をする。図7に図示される音量予測ツール10Gは、所定の縮尺の地図(地図の縮尺4)にて、用いられる。音量予測ツール10Gを利用することで、基準点1の位置に対応する現実の位置における音源の音量が、所定の音量(減衰する音量7a、7b)だけ減衰する地点(予測線2a~2f)を把握することができる。つまり、音量予測ツール10Gは、定規型の形状である音量予測ツール10Fの所定の地図の縮尺に対応する1面を、基準線と予測線の役割はそのままに、扇形の形状にしたものである。音量予測ツール10Gの形状は、音量予測ツール10A乃至10Eと同様に、半円状の形状でもよいし、中心角の大きさが360°以下の扇型の形状であれば特に限定されないが、中心角の大きさが90°の扇形の形状であることが好ましい。
【0059】
図示するように、音量予測ツール10Gは、基準点1と、予測線2a~2fとを有する。また、音量予測ツール10Gは、地図の縮尺4、減衰する音量7a~7b等が記載されていることが好ましい。基準点1は、予測線2a~2fを円弧とする円の中心である。予測線2は、所定の縮尺の地図で基準点1の位置に対応する現実の位置における音源の音量について、所定の音量ずつ減衰する地点を示す。例えば、予測線2a~2fは、基準点1に位置すると想定される音源の音量が、1dBずつ減衰する地点を示す。
【0060】
減衰する音量7は、所定の縮尺の地図で基準点1の位置に対応する現実の位置における所定の音量が、予測線2上の位置に対応する現実の位置で減衰する音量である。また、減衰する音量7は、所定の音量が減衰する地点に対応する予測線2の線上又は周辺に記載されていることが好ましい。具体的には、予測線2aや予測線2fといった、5dB減衰する予測線2の線上又は周辺に、減衰する音量7aや7bを記載することができる。また、予測線2の数が多くなる場合は、所定の減衰する音量ごとに、それぞれの予測線の色を変更してもよいし、予測線の太さを変更してもよい。例えば、予測線2a、2fは赤色、予測線2b~2eは黒色とすることができる。これにより、音量予測ツールの視認性が向上し、容易に数値を把握することができる。
【0061】
音量予測ツール10Gの場合、地図の縮尺4に記載されている1/300の縮尺の地図に対応する。つまり、1/300の縮尺の地図にて、所定の音量の音源が位置すると想定される地点に基準線1を重ね合わせたとき、予測線2aと一致する地図の地点において、当該所定の音量から25dB減衰することを予測できる。また、予測線2b上では26dB、予測線2c上では27dB、予測線2d上では28dB、予測線2e上では29dB、予測線2f上では30dB、当該所定の音量からそれぞれ減衰することを予測できる。これにより、あらゆる音源の音量について、所定の縮尺の地図における所定の地点での予測音量を確認することができる。例えば、70dBの音源が位置すると想定される地点に基準点1を重ね合わせたとき、予測線2aと重なる地図の地点において、45dBの音量で受音されることを予測でき、予測線2b~2fも同様にそれぞれの地点で受音される音量を予測できる。
【0062】
音量予測ツール10Gは、地図の縮尺4が固定されているため、異なる地図の縮尺で用いられる、音量予測ツール10Gと同様の構成を有する音量予測ツールと複数組み合わせて提供されることが好ましい。
【0063】
(使用例)
次に、本発明の実施の形態における、音量予測ツール10の使用例を説明する。以下に説明する使用方法は一例である。図8は、本発明の実施の形態にかかる音量予測ツールの使用例の一例を示す図である。ここでは、音量予測ツール10Aを用いた例について説明する。
【0064】
まず、使用者は、施設の設計を行い、周辺を含めた地図を準備する。地図100には、地図の縮尺101が記載され、また、騒音の発信源となる地点102、建物103等が記載されることが好ましい。図8では、例えば、駐車場に係る設計について確認する場合を想定する。地点102において来客用車両が出入りするため、地点102付近に位置する建物103等で受音される音量が所定の基準を満たすか否かを確認する必要がある。駐車場に出入りする来客用車両は、一般的に74dBであるので、地点102にて発生する騒音の音量は74dBと設定できる。また、建物103は、一般住宅であるので、基準に基づいて建物103の地点において45dB以下で受音されることを確認する必要がある。
【0065】
次に、使用する音量予測ツール10を選択する。音量予測ツール10の選択には、用いる地図の縮尺、施設を設計するうえで確認すべき音源の音量、及び確認すべき建物の地点における予測音量に関する情報を考慮に入れて、音量予測ツール10を選択する必要がある。図8の場合、地図の縮尺101が1/300である。また、地点102において考慮すべき音源の音量は74dBである。また、建物103の地点において45dB以下で受音されることを確認する必要がある。これらから、1/300の縮尺の地図に対応し、音源の音量が74dBに対応し、予測音量が45dBに対応した音量予測ツール10を選択する。
【0066】
上記条件に合う音量予測ツール10を選択したら、地図100の地点102に、基準点1を重ね合わせる。そして、1/300に対応する予測線2を確認する。その結果、予測線2の基準点1を含む領域に、建物103が重なっていないことがわかる。つまり、地点102において発生する音源の音量は、建物103の地点において、45dB以下で受音されることが容易に確認することができる。仮に、基準点1を含む予測線2で囲まれた範囲に、建物103が重なっていた場合、建物103において、45dB以上の音量であるので、設置場所の変更や防音対策を検討する必要があることが理解できる。音量予測ツール10を用いることで、使用者は、繁雑な計算をすることなく、所定の地点において、目的の予測音量より大きいか小さいかを容易に確認することができる。
【0067】
上記では、地点102に基準点1を重ね合わせて予測音量を確認したが、地図100に存在する他の地点についても同様に確認することができる。また、建物103の地点を基準として、所定の音源の音量が所定の基準を超える範囲、すなわち、音源を設置することができない範囲を特定することもできる。例えば、建物103の地点に音量予測ツール10の基準点1を重ね合わせると、基準点1を含む予測線2で囲まれた範囲に重なる地図100の領域は、74dBの音源の音量が45dB以上で受音されることが簡単に予測できる。したがって、その範囲に音源が位置する場合は、設置場所の変更や防音対策を検討する必要があることが、一目で確認することができる。
【0068】
本発明によれば、所定の縮尺の地図上に音量予測ツールを重ね合わせることで、現実世界の音源から発生した音を受音する地点での音量を一目で確認でき、騒音の予測音量を確認する作業者の手間を減らすことができる。また、本発明によれば、1つの音量予測ツールを用いて、縮尺の異なる複数の地図で、地図中に位置する音源の受音地点での音量を確認でき、1つの音量予測ツールを複数の縮尺の地図で使用することができる。また、本発明によれば、所定の縮尺の地図中の位置に対応する音源について、複数の受音位置での音源の音量を簡単に予測でき、1つの音量予測ツールで音源の予測音量を複数把握することができる。また、本発明によれば、所定の縮尺の地図中の位置に対応する複数の音源の音量について、所定の音量で受音される位置を容易に予測でき、1つの音量予測ツールで複数の音源の音量について、予測音量を確認することができる。
【0069】
また、本発明によれば、所定の縮尺の地図において、基準点又は基準線の少なくとも一部と接触している地図上の位置に対応する現実の位置における音源から発生した音が、予測点又は予測線の少なくとも一部と接触している地図上の位置に対応する現実の位置において、所定の音量だけ減衰することを簡単に確認することができる。そのため、音量予測ツールに記載されていない音源の音量について、受音地点における予測音量を確認することができる。また、本発明によれば、複数の縮尺の地図において、予測点又は予測線の少なくとも一部と接触している地図上の位置に対応する現実の位置において、所定の音量だけ減衰することを予測することができ、複数のツールを持ち歩く必要がなくなる。また、本発明によれば、所定の縮尺の地図において、音源の音量が所定の音量で受音される範囲を視覚的に理解することができる。
【符号の説明】
【0070】
1:基準点又は基準線 2、2a~2f:予測線 3、3a~3c:予測音量
4、4a~4c:地図の縮尺 5:補助線 6、6a~6i:音源の音量
7、7a、7b:減衰する音量 10、10A~10F:音量予測ツール
11、12:領域 100:地図 101:地図の縮尺
102:地点 103:建物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8