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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053564
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】建屋式精米設備
(51)【国際特許分類】
   B02B 7/00 20060101AFI20230406BHJP
【FI】
B02B7/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162674
(22)【出願日】2021-10-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 富山県富山市関186番地、令和3年8月2日 https://webun.jp/、https://webun.jp/item/7784511、令和3年8月24日 https://vimeo.com、https://vimeo.com/590780064/2c9f255962、令和3年8月24日 https://www.facebook.com/seimai.taiwa、https://www.facebook.com/seimai.taiwa/photos/pcb.555454569213748/555445165881355/?type=3&theater、令和3年8月26日 北日本放送 いっちゃんKNB、令和3年9月8日
(71)【出願人】
【識別番号】391055025
【氏名又は名称】株式会社タイワ精機
(74)【代理人】
【識別番号】110002712
【氏名又は名称】弁理士法人みなみ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】成川 栄一
(72)【発明者】
【氏名】田中 敏晴
(72)【発明者】
【氏名】藤原 健二
(72)【発明者】
【氏名】堀 武雄
【テーマコード(参考)】
4D043
【Fターム(参考)】
4D043JF05
4D043JF07
(57)【要約】
【課題】客室側から投入した米を視認できるものであって、視認性が高く、かつ仕切壁が十分な強度を備える建屋式精米設備を提供する。
【解決手段】建屋が、内部を客室と機械室とに仕切る仕切壁を有しており、精米装置が、操作盤と、玄米の投入口と、精米機と、玄米を空気流により搬送する搬送管路と、米の排出口を備える建屋式精米設備であって、搬送される玄米を視認するための検視部を有しており、検視部が、搬送管路の一部を構成する透明管と、中空構造を有する収容体を備え、収容体が、仕切壁に形成された取付孔に嵌合し仕切壁に固定されており、取付孔を通して客室側に露出する収容体の露出面部に窓部が形成されており、搬送管路が収容体を貫通しており、透明管の少なくとも一部が収容体内に位置していて、客室側から窓部を通して透明管を視認できるものである。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建屋と、前記建屋の内部に設置される精米装置を備え、
前記建屋が、内部を客室と機械室とに仕切る仕切壁を有しており、
前記精米装置が、操作盤と、玄米が投入される投入口と、玄米を精米する精米機と、投入された玄米を空気流により前記精米機へと搬送する搬送管路と、精米された米を排出する排出口を備えるものであって、前記操作盤、前記投入口および前記排出口が前記客室に面するように設けられており、前記精米機および前記搬送管路が前記機械室内に設けられている建屋式精米設備であって、
搬送される玄米を視認するための検視部を有しており、
前記検視部が、前記搬送管路の一部を構成する透明管と、中空構造を有する収容体を備え、
前記収容体が、前記仕切壁に形成された取付孔に嵌合し前記仕切壁に固定されており、前記取付孔を通して前記客室側に露出する前記収容体の露出面部に窓部が形成されており、
前記搬送管路が前記収容体を貫通しており、前記透明管の少なくとも一部が前記収容体内に位置していて、前記客室側から前記窓部を通して前記透明管を視認できるものであることを特徴とする建屋式精米設備。
【請求項2】
前記露出面部が平板状であり、前記窓部に透明板が取り付けられており、前記客室側において、前記露出面部、前記透明板および前記仕切壁が略面一になっていることを特徴とする請求項1記載の建屋式精米設備。
【請求項3】
前記透明管が上下に延びるものであり、前記操作盤、前記検視部および前記投入口が、この順序で水平方向に隣接して並んでおり、前記投入口に投入された玄米が前記透明管を通って上向きに搬送されるものであることを特徴とする請求項1または2記載の建屋式精米設備。
【請求項4】
前記収容体が、前記精米装置を構成する部材と隣接して配置されており、前記収容体の側面の少なくとも一部が、隣接する前記部材に固定されていることを特徴とする請求項1、2または3記載の建屋式精米設備。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建屋およびその内部に設置される精米装置からなる建屋式精米設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建屋およびその内部に設置される精米装置からなる建屋式精米設備がある。その一般的な構造についてより詳しくは、建屋はその内部が仕切壁によって客室と機械室とに仕切られている。客室には米の投入口および排出口や操作盤が設けられており、機械室には精米機などの米を処理するための機械が設けられている。そして、利用客は客室に入り、持ち込んだ玄米の投入や操作盤の操作を行う。投入された玄米は、精米機によって精米されて排出され、利用客はそれを持ち帰る。なお、機械室は種々の機械が設置されていて不用意に触れると危険であるから、利用客は入ることができない。
【0003】
このような従来の建屋式精米設備においては、玄米を投入してから精米されて排出されるまでの間、利用客は米の状態を視認することができず、自分が投入した玄米が間違いなく処理されているのか、不安に感じる場合があった。これに対し、特許文献1に示すように、精米機の上部に位置するタンク内の玄米の残量を客室から視認できるようにしたものがある。これは、タンクと仕切壁とに設けた窓と、両方の窓の間に設けられた視認用通路を備えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-198477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、客室側から機械室内の米の状態を視認できるようにするには、何らかの形で仕切壁に孔を開ける必要があり、仕切壁の強度が低下するおそれがある。より視認性を高めるために視認できる範囲を広げれば、その分だけ仕切壁の孔も大きくなるため、より問題となる。
【0006】
本発明は、このような事情を鑑みたものであり、客室側から投入した米を視認できるものであって、視認性が高く、かつ仕切壁が十分な強度を備える建屋式精米設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、建屋と、前記建屋の内部に設置される精米装置を備え、前記建屋が、内部を客室と機械室とに仕切る仕切壁を有しており、前記精米装置が、操作盤と、玄米が投入される投入口と、玄米を精米する精米機と、投入された玄米を空気流により前記精米機へと搬送する搬送管路と、精米された米を排出する排出口を備えるものであって、前記操作盤、前記投入口および前記排出口が前記客室に面するように設けられており、前記精米機および前記搬送管路が前記機械室内に設けられている建屋式精米設備であって、搬送される玄米を視認するための検視部を有しており、前記検視部が、前記搬送管路の一部を構成する透明管と、中空構造を有する収容体を備え、前記収容体が、前記仕切壁に形成された取付孔に嵌合し前記仕切壁に固定されており、前記取付孔を通して前記客室側に露出する前記収容体の露出面部に窓部が形成されており、前記搬送管路が前記収容体を貫通しており、前記透明管の少なくとも一部が前記収容体内に位置していて、前記客室側から前記窓部を通して前記透明管を視認できるものであることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記露出面部が平板状であり、前記窓部に透明板が取り付けられており、前記客室側において、前記露出面部、前記透明板および前記仕切壁が略面一になっているものであってもよい。
【0009】
また、本発明は、前記透明管が上下に延びるものであり、前記操作盤、前記検視部および前記投入口が、この順序で水平方向に隣接して並んでおり、前記投入口に投入された玄米が前記透明管を通って上向きに搬送されるものであってもよい。
【0010】
また、本発明は、前記収容体が、前記精米装置を構成する部材と隣接して配置されており、前記収容体の側面の少なくとも一部が、隣接する前記部材に固定されているものであってもよい。なお、精米装置を構成する部材が客室と機械室に跨るように設けられていれば、その部材が仕切壁を構成しているといえるので、収容体の側面が仕切壁に固定されているともいえる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、客室側から検視部の窓部を通して、透明管の内部を搬送される米を視認できる。そのために仕切壁に取付孔が形成されているが、中空構造の収容体を取付孔に嵌合させたうえで仕切壁に固定してあるので、仕切壁は十分な強度を備える。そして、このような構造であることによって、取付孔や窓部を大きくしても十分な強度が維持されるので、より視認性が高いものとすることができる。また、通常客室は照明や外部の自然光により明るく、機械室は暗いが、仕切壁の取付孔が収容体によって塞がれており、収容体内の透明管が明るい客室側の光に照らされて、より視認性が高い。
【0012】
また、露出面部が平板状であり窓部に透明板が取り付けられているものであれば、窓部が塞がれることでより強度が高いものとなる。さらに、客室側において露出面部、透明板および仕切壁が略面一になっているものであれば、利用客が手指を引っ掛けるなどするおそれがなく安全性が高いとともに、意匠性も良好である。
【0013】
また、透明管が上下に延びるものであり、操作盤、検視部および投入口がこの順序で水平方向に隣接して並んでいるものであれば、利用客は投入口に玄米を投入して操作盤を操作するので、それらの間に検視部が位置していることで視認しやすいものとなる。そして、投入口に投入された玄米が透明管を通って上向きに搬送されるものであれば、透明管の入口が下側になり、隣接する投入口に投入された玄米をすぐに透明管で搬送できるので、利用客は、玄米を投入した直後にその玄米が透明管の内部を搬送される様子を視認できることになり、自分が投入した玄米が間違いなく処理されているという安心感が得られる。
【0014】
また、収容体が精米装置を構成する部材と隣接して配置されており、収容体の側面の少なくとも一部が隣接する部材に固定されているものであれば、収容体がより確実に固定され、より強度が高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】建屋式精米設備の客室内における正面図である。
図2】建屋式精米設備の全体構成の説明図である。
図3】建屋式精米設備の建屋内配置図である。
図4】検視部の説明図であり、(a)はA-A線断面図、(b)は正面図、(c)はB-B線断面図である。
図5】本発明の比較対象となる第1参考形態の説明図であり、(a)はC-C線断面図、(b)は正面図、(c)はD-D線断面図である。
図6】本発明の比較対象となる第2参考形態の説明図であり、(a)はE-E線断面図、(b)は正面図、(c)はF-F線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の建屋式精米設備の具体的な内容について説明する。この建屋式精米設備は、利用者が玄米を持ち込み、その玄米の量に応じたコインを投入することで、精米装置が動作して精米が行われる、いわゆるコイン精米機として用いられるものであり、図1図3に示すように、建屋2と、建屋2の内部に設置される精米装置1を備えるものである。なお、以下において、左右は図3における左右を示し、前側は図3の下側、後側は図3の上側を示す。
【0017】
建屋2は、前後に長い略直方体形のものであって、矩形の床26と、床26の四辺から立設する外壁27と、外壁27の上側を覆う天井(図示省略)を備える。そして、床26と外壁27と天井に囲まれた内部の空間に、2枚の仕切壁21,24が設けられている。2枚の仕切壁21,24は、建屋2の内部の前後方向中央より前寄りの位置と後寄りの位置に設けられていて、何れも前後の外壁27と平行であり、左右には左側の外壁27から右側の外壁27まで延び、上下には天井から床26まで延びていて、建屋2の内部の空間を完全に仕切っている。建屋2の内部の空間のうち、前側の仕切壁21より前側の空間を客室22、前側の仕切壁21と後側の仕切壁24の間の空間を機械室23、後側の仕切壁24より後側の空間を糠室25とする。すなわち、前側の仕切壁21は、建屋2の内部を客室22と機械室23とに仕切っており、後側の仕切壁24は、建屋2の内部を機械室23と糠室25とに仕切っている。
【0018】
前側の外壁27には、客室22の出入口が形成されていて、客室引戸221が開閉自在に設けられている。また、右側の外壁27の機械室23に面する位置には、機械室23の出入口が設けられていて、機械室扉231が開閉自在に設けられている。さらに、左側の外壁27の糠室25に面する位置には、糠室25の出入口が設けられていて、糠室扉251が開閉自在に設けられている。
【0019】
精米装置1は、操作盤11と、玄米が投入される投入口12と、投入された玄米をためるホッパー123と、玄米に含まれる石を抜く石抜機16と、玄米を精米する精米機13と、投入された玄米を空気流によりホッパー123から精米機13へと搬送する搬送管路14と、精米された米をためる白米タンク151と、精米された米を排出する排出口15と、搬送管路14内に空気流を発生させる吸引機構7と、精米機13から排出される糠と空気を分離するサイクロン17を備える。なお、搬送管路14は、投入口12から石抜機16まで玄米を搬送する第1搬送管路141と、石抜機16から精米機13まで玄米を搬送する第2搬送管路142からなる。
【0020】
これらの精米装置1の各構成要素のうち、操作盤11、投入口12および排出口15は、客室22に面するように設けられている。また、石抜機16、精米機13、搬送管路14および吸引機構7は、機械室23内に設けられている。さらに、サイクロン17は、糠室25内に設けられている。
【0021】
操作盤11は、箱形のものであって、内部にこの精米装置1を制御するための制御装置(図示省略)が納められており、外側の1つの面に、制御装置と接続された操作パネル111が設けられている。操作パネル111には、コインの投入口や、玄米の精白度を選択するためのボタンが設けられている。この操作盤11は、客室22と機械室23に跨るように設けられており、操作パネル111を設けた面が客室22に面している。よって、操作盤11が前側の仕切壁21(以下、特に言及しない限り、「仕切壁」は前側のものを示す)の一部を構成しているといえる。
【0022】
投入口12は、客室22側に向けて開口するように設けられており、自動で開閉する投入口扉121が取り付けられている。投入口12の客室22側の下方には、仕切壁21から客室22側に向けて突出する玄米載せ台122が設けられている。また、投入口12の機械室23側の下方には、投入口12と連通する漏斗状のホッパー123が設けられている。ホッパー123の下部には玄米を検知するための玄米センサ124が設けられており、ホッパー123の出口部分にはロータリーバルブ(ケーシングに納められた羽根車が回転することで米を定量ずつ送り出すもの)からなる繰出しバルブ125が設けられている。なお、投入口12は利用客が玄米を投入しやすい、人の腰の高さ程度の位置に設けられており、その下方にホッパー123が設けられているので、ホッパー123の出口は床26に近い高さとなっている。
【0023】
繰出しバルブ125の出口に、搬送管路14を構成する第1供給口143が接続されており、さらに第1供給口143の出口に、搬送管路14を構成する第1搬送管路141が接続されている。第1搬送管路141は、床26に近い高さから垂直上向きに延びていて、後述の石抜機16の上側に設置されたロータリーバルブからなる石抜機前バルブ161の入口に接続されている。ただし、第1搬送管路141の垂直に延びる部分の一部は、後述の検視部3の透明管4により構成されている。また、第1供給口143の出口部分の第1搬送管路141が延びる方向の反対側には、第1搬送管路内に取り込まれる空気の量を調整するための調整弁144が取り付けられている。
【0024】
石抜機16は、石抜機前バルブ161の出口に接続されており、玄米と石を選別するためのものである。この石抜機16は、傾斜する状態で揺動可能に支持された選別板162と、選別板162の下方に配置されたファン163を備える。選別板162には多数の小孔が形成されており、選別板162の揺動とファン163から小孔を通過する風による比重選別によって、選別板162上の玄米の中から石を選別して廃棄し、玄米のみを搬送管路14を構成する第2供給口145に投入する。
【0025】
第2供給口145の出口に、搬送管路14を構成する第2搬送管路142が接続されている。第2搬送管路142は、後述の精米機タンク132の上側に設置されたロータリーバルブからなる精米機前バルブ131の入口に接続されている。また、第2供給口145の出口部分の第2搬送管路142が延びる方向の反対側には、第2搬送管路内に取り込まれる空気の量を調整するための調整弁146が取り付けられている。
【0026】
精米機13の上側には、漏斗状の精米機タンク132が設けられており、精米機前バルブ131の出口に精米機タンク132の入口が接続されており、精米機タンク132の出口に精米機13の入口が接続されている。精米機タンク132には、下部の出口近傍と上部の入口近傍のそれぞれに、玄米を検知するための下部センサ133および上部センサ134が設けられている。精米機13は、筒状の搗精室135と、搗精室135の内部に設けられた搗精ロール(図示省略)を備え、搗精ロールが回転することで、摩擦抵抗により玄米の表面が擦られて精白米となるものである。搗精室135から排出された精白米は、白米タンク151に投入される。また、搗精室135の下部にはダクト136が接続されており、ダクト136は除糠ファン137に接続されている。さらに、除糠ファン137には糠搬送管路138が接続されており、糠搬送管路138は、後側の仕切壁24を貫通して、糠室25に設置されたサイクロン17に接続されている。除糠ファン137が回転することにより、玄米から摺り取られた糠が搗精室135から吸引され、糠室25のサイクロン17へと搬送される。糠はサイクロン17により空気と分離され、糠室25内に貯留される。
【0027】
なお、精米機タンク132には、客室22からその内部を視認するための確認部8が設けられている。確認部8は、精米機タンク132の客室22側の面に孔を開け透明な窓板を取り付けて形成したタンク窓82と、仕切壁21のタンク窓82と対向する位置に孔を開け透明な窓板を取り付けて形成した確認窓81と、タンク窓82と確認窓81の間に設けられた筒状のガイド部83からなる。利用客は、客室22から確認窓81を覗くことで、タンク窓82を通して精米機タンク132の内部の玄米の状態(量)を確認できる。
【0028】
白米タンク151は、漏斗状のものであり、その上部の入口が機械室23に面していて精米機13の搗精室135から排出される米が投入されるものであり、下部の出口が客室22に面している。白米タンク151の下部には、排出口15が設けられている。排出口15は、客室22の排出口15の下方に設けられたペダル152を踏むことで開放されるようになっており、排出口15を開放することで、白米タンク151内の米が排出される。
【0029】
吸引機構7は、空気を吸引する吸引ファン71と、吸引ファン71の上流側に接続されたサイクロン72およびサイクロン72の下部に設けられたダストボックス73と、サイクロン72の上流側に接続された吸引管路74を備える。吸引管路74は上流側に向けて二股に分岐しており、それぞれ第1搬送管路141と第2搬送管路142に接続されている。より詳しくは、第1搬送管路141に対しては、石抜機前バルブ161の直前の位置に、第1分離減速器75を介して分岐した一方の吸引管路74が接続されており、第2搬送管路142に対しては、精米機前バルブ131の直前の位置に、第2分離減速器76を介して分岐した他方の吸引管路74が接続されている。第1分離減速器75は、網状の内筒と、内筒の外周を囲む外筒を備えるものであり、第1搬送管路141が内筒に連通しており、吸引管路74が外筒に連通している。これにより、吸引ファン71が駆動すると、内筒を通して第1搬送管路141内の空気が吸引されて空気流が発生するとともに、ダストが内筒を通して吸引機構7側へ吸引され、第1分離減速器75を通過する玄米は減速される。第2分離減速器76も、第1分離減速器75と同じものである。第1分離減速器75および第2分離減速器76から吸引されたダストは、サイクロン72により空気と分離され、下部のダストボックス73にたまる。
【0030】
次に、このように構成した精米装置1の動作について説明する。利用客が操作パネル111にコインを投入すると、投入口12の投入口扉121が開き、玄米を投入可能となる。玄米が投入されるとホッパー123にたまり、玄米センサ124が玄米を検知する。そして、玄米センサ124が玄米を検知し、かつ操作パネル111の精白度を選択するボタンが押されると、操作盤11の制御装置が吸引ファン71を駆動して、搬送管路14内に空気流が発生する。また、制御装置が繰出しバルブ125、石抜機前バルブ161、石抜機16および精米機前バルブ131を駆動する。ホッパー123内の玄米は、繰出しバルブ125により繰り出され、第1搬送管路141を通り、石抜機前バルブ161により繰り出されて石抜機16により石が除かれる。さらに玄米は第2搬送管路142を通り、精米機前バルブ131に繰り出されて精米機タンク132にたまる。精米機タンク132の下部センサ133が玄米を検知すると、制御装置が精米機13および除糠ファン137を駆動する。また、精米機タンク132が玄米で満たされて上部センサ134が玄米を検知すると、制御装置が繰出しバルブ125を停止して玄米の供給を止め、その後、上部センサ134が玄米を検知しなくなると、制御装置が再び繰出しバルブ125を駆動して玄米の供給を再開する。精米機で精米された米は、白米タンク151に投入され、糠は、除糠ファン137により糠室25のサイクロン17へ送られて、糠室25にたまる。精米機タンク132の下部センサ133が玄米を検知しなくなると、所定時間経過後に、制御装置が全ての機構を停止して、精米が終了する。そして、利用者は排出口15の下側に米袋を設置してペダル152を踏む。すると、排出口15が開放されて白米タンク151内の米が排出され、米袋に投入される。
【0031】
なお、客室22に面する各機構の配置は、以下のとおりである。図1に示すように、客室22の仕切壁21を前側から見て、投入口12は左右方向中央よりやや右よりの下部に設けられている。操作盤11は投入口12の右側に設けられていて、操作パネル111は投入口12よりも上側に位置している。白米タンク151は、投入口12の左側に設けられていて、投入口12と略同じ高さに位置しており、その下部に排出口15が設けられている。
【0032】
また、機械室23内の各機構の配置は、以下のとおりである。図3に示すように、投入口12の後側にホッパー123が設けられており、ホッパー123の後側に石抜機16が設けられている。また、石抜機16の左側かつ白米タンク151の後側に精米機13が設けられており、精米機13の後側に、後側の仕切壁24を隔ててサイクロン17が設けられている。吸引機構7の吸引ファン71およびサイクロン72は、機械室の右後ろに設けられている。
【0033】
そして、この建屋式精米設備は、搬送される玄米を視認するための検視部3を有している。図1図4に示すように、検視部3は、搬送管路14(第1搬送管路141)の一部を構成する透明管4と、中空構造を有する収容体5を備える。透明管4は、透明なガラス製または樹脂製の管であって、第1搬送管路141の、第1供給口143と第1分離減速器75の間の垂直向きに延びる部分の一部を構成しており、上流側および下流側の第1搬送管路141と管径は同じである。また、収容体5は、上下に長い直方体形の箱状のものであって、その上下長さは、透明管4の長さよりもやや短く、操作盤11の高さと略同じであり、建屋2の床26から天井までの高さの略半分である。また、前後幅と左右幅は略同じで、内部に透明管4が納まるのに十分な幅である。すなわち、収容体5は、その側面をなす上下に長い4つの平板状の側面部54と、略正方形の平板状の天面部55および底面部56からなる。
【0034】
この収容体5は、仕切壁21に取り付けられている。より詳しくは、仕切壁21の投入口12と操作盤11の間の部分には、仕切壁21を前後方向に貫通する取付孔6が形成されており、この取付孔6は、上下に長い矩形で収容体5が丁度嵌まる大きさのものであって、収容体5が取付孔6に嵌合し仕切壁21に固定されている。なお、収容体5は、精米装置1を構成する部材でありかつ仕切壁21の一部を構成する操作盤11と隣接して配置されており、収容体5の側面の一部である右側の側面部54が、操作盤11の左側の側面に固定されている。固定方法は、ネジ止めや溶接など、種々の方法が用いられる。また、収容体5のその他の側面部54や天面部55および底面部56についても、周囲の仕切壁21(精米装置1を構成しかつ仕切壁21の一部を構成する部材)に固定されていてもよい。そしてこの際、収容体5の1つの側面部54の表面が、仕切壁21の客室22側の面と略面一になっている。この収容体5の客室22側の側面部54は、取付孔6を通して客室22側に露出しているので、特に露出面部51とよぶ。露出面部51には、露出面部51を前後方向に貫通する窓部52が形成されている。窓部52は、露出面部51の左右方向中央に位置し、露出面部51の上下の略全長にわたって延びており、幅は透明管4の外径よりもやや狭いものである。窓部52には透明板53が取り付けられて塞がれており、客室22側において、露出面部51、透明板53および仕切壁21が略面一になっている。また、収容体5の内側面は、白色となっている(着色やフィルムコーティングなど、どのような手段によるものでもよい)。
【0035】
そして、第1搬送管路141の一部を構成する透明管4が、収容体5を貫通している。第1搬送管路141(透明管4)は、機械室23内の仕切壁21の近傍において上下に延びており、透明管4が、収容体5の底面部56および天面部55を貫通している。よって、上下に延びる透明管4の一部が収容体5内に位置しており、残りの部分が収容体5の上下から突出する状態となっている。透明管4は、平面視して収容体5の内部の略中心部に位置している。
【0036】
このようにして、客室22において、右側から操作盤11、検視部3および投入口12が、この順序で水平方向に隣接して並ぶ。そして、投入口12に投入された玄米が、透明管4を通って上向きに搬送される。この際、利用客は、客室22側から、収容体5の窓部52を通して、透明管4の内部を搬送される米を視認できる。
【0037】
このように構成された本発明の建屋式精米設備によれば、上記のとおり、客室22側から検視部3の収容体5の窓部52を通して、透明管4の内部を搬送される米を視認できる。そのために仕切壁21に取付孔6が形成されているが、中空構造の収容体5を取付孔6に嵌合させたうえで仕切壁21に固定してあるので、仕切壁21は十分な強度を備える。収容体5および取付孔6は、建屋2の床26から天井までの高さの略半分の長さがあり、窓部52もそれに応じた長さであるが、上記の構造であることによって、より視認性を高めるために収容体5および取付孔6や窓部52を大きくしても十分な強度が維持される。また、客室22は照明や外部の自然光により明るく、機械室23は暗いが、仕切壁21の取付孔6が収容体5によって塞がれており、収容体5内の透明管4が明るい客室22側の光に照らされるので、より視認性が高い。そして特に、収容体5の内側面が白色であるので、光の反射率が高く、透明管4内の米がより見やすい。また、取付孔6が収容体5により塞がれているので、精米装置の運転によって生じる糠埃が機械室23から客室22に入り込むこともない。
【0038】
また、収容体5の露出面部51が平板状であって窓部52に透明板53が取り付けられており、窓部52が塞がれることでより強度が高いものとなっている。さらに、客室22側において露出面部51、透明板53および仕切壁21が略面一になっているので、利用客が手指を引っ掛けるなどするおそれがなく安全性が高いとともに、意匠性も良好である。
【0039】
さらに、透明管4が上下に延びるものであり、操作盤11、検視部3および投入口12がこの順序で水平方向に隣接して並んでいるので、利用客は投入口12に玄米を投入して操作盤11を操作した際に、それらの間に位置する検視部3を視認しやすい。さらに、精米装置1の内部の米を視認するためのものとして、精米機タンク132に設けられた確認部8は従来存在していたが、投入された玄米が石抜機16を経て精米機タンク132に到達するまでにはある程度の時間がかかる。よって、確認部8のみでは、利用客が玄米を投入してからその玄米を視認できるようになるまでに時間がかかってしまうため、利用客の不安感を十分に解消できるものではなかった。これに対し、本発明においては、投入口12に投入された玄米が透明管4を通って上向きに搬送されるものであって、透明管4の入口が下側になり、隣接する投入口12に投入された玄米をすぐに透明管4で搬送できるので、利用客は、玄米を投入した直後にその玄米が透明管4の内部を搬送される様子を視認できることになり、自分が投入した玄米が間違いなく処理されているという安心感が得られる。
【0040】
また、収容体5が精米装置1を構成する部材でありかつ仕切壁21の一部を構成する操作盤11と隣接して配置されており、収容体5の側面の一部である右側の側面部54が操作盤11の左側の側面に固定されているので、収容体5がより確実に固定され、より強度が高いものとなっている。
【0041】
なお、本発明の検視部3の構造に対して、管路内を搬送される米を視認できるようにするための構造として、以下に挙げるようなものも考えられる。なお、何れの場合においても、搬送管路14(第1搬送管路141および透明管4)の構成は、本発明と同じである。図5に示す第1参考形態は、仕切壁21に透明管4の外径よりわずかに広い幅の上下に延びる溝部6aを形成し、透明管4を溝部6a内に納めて、透明管4が仕切壁21に埋め込まれた状態にしたものである。しかしながら、この構造では、溝部6aが補強されないので仕切壁21の強度が低下してしまう。また、客室22側から見て透明管4の後側が機械室23であり暗いので、透明管4の中を搬送される米の視認性がよくない。さらに、精米装置の運転によって生じる糠埃が、機械室23から溝部6aと透明管4の間の隙間を通って客室22に入り込むおそれがある。また、図6に示す第2参考形態は、仕切壁21の上部と下部に第1搬送管路141が貫通する貫通孔6bを形成し、第1搬送管路141が客室22を経由するようにして、透明管4を客室22内に配置したものである。しかしながら、この構造では、透明管4が客室22に飛び出しているので、客室22が狭くなってしまい、利用客が透明管4にぶつかるなどして利用客がけがをしたり透明管4が損傷したりするおそれがある。よって、これらの構造のものと比較して、本発明の検視部3が優れた構造のものであることがわかる。
【0042】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。たとえば、透明管は、上下に延びる直線状のものに限られず、上下以外の方向に延びるものや、湾曲・屈曲しているものであってもよい。その場合、収容体の形状も、透明管の形状に応じたものとなる。また、収容体は断面が矩形のものに限られず、断面が円形や矩形以外多角形のものであってもよい。さらに、検視部が第2搬送管路に設けられていてもよい。また、検視部以外の精米装置の構成については、一例を示したものであり、上記のものに対して、一部の構成要素が除かれたもの、一部の構成要素が他の構成要素と入れ替えられたもの、他の構成要素が付け加えられたものなど、どのようなものであってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 精米装置
2 建屋
3 検視部
4 透明管
5 収容体
6 取付孔
11 操作盤
12 投入口
13 精米機
14 搬送管路
15 排出口
21 仕切壁
22 客室
23 機械室
51 露出面部
52 窓部
53 透明板

図1
図2
図3
図4
図5
図6