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特開2023-53644ステータ、それを備えるモータ及びステータの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053644
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】ステータ、それを備えるモータ及びステータの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/38 20060101AFI20230406BHJP
   H02K 3/04 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
H02K3/38 A
H02K3/04 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162809
(22)【出願日】2021-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩下 絵里
(72)【発明者】
【氏名】山根 拓也
(72)【発明者】
【氏名】清水 保章
(72)【発明者】
【氏名】後藤 雅信
(72)【発明者】
【氏名】井上 大志
(72)【発明者】
【氏名】森口 敏博
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 智彦
(72)【発明者】
【氏名】酒井 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】山岡 良暢
(72)【発明者】
【氏名】谷口 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅人
【テーマコード(参考)】
5H603
5H604
【Fターム(参考)】
5H603AA09
5H603CA01
5H603CA06
5H603CA10
5H603CB03
5H603CB04
5H603CB11
5H603CB18
5H604AA08
5H604CC01
5H604QB01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ステータ製造時の導線の破損を防止する。
【解決手段】ステータは、ステータコアと、インシュレータ40と、導線50と、を備える。インシュレータ40は、コアバックカバー部411と、ティースカバー部と、突出部413と、を有する。コアバックカバー部411は、分割コアバックの軸方向一端面を覆う。ティースカバー部は、ティースの軸方向一端面を覆う。突出部413は、コアバックカバー部の軸方向一端面から軸方向外側に突出する。導線40は、渡り線51を有する。渡り線51は、突出部413の径方向外側を通って複数のコイルCを接続する。渡り線51は、湾曲部51aを有する。湾曲部51aは、周方向に隣り合う突出部413の間において、径方向内側に凸に湾曲する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円弧状の分割コアバックを周方向に複数連結して形成されるとともに中心軸を囲む環状のコアバックと、各前記分割コアバックから径方向内側に延びて周方向に複数配置されるティースと、を有するステータコアと、
前記コアバックと前記ティースとを覆うインシュレータと、
前記ティースの周囲に前記インシュレータを介して巻かれてコイルを形成する導線と、を備えるステータであって、
前記インシュレータは、
前記分割コアバックの軸方向一端面を覆うコアバックカバー部と、
前記ティースの軸方向一端面を覆うティースカバー部と、
前記コアバックカバー部の軸方向一端面から軸方向外側に突出する突出部と、を有し、
前記導線は、前記突出部の径方向外側を通って複数の前記コイルを接続する渡り線を有し、
前記渡り線は、周方向に隣り合う前記突出部の間において、径方向内側に凸に湾曲する湾曲部を有する、ステータ。
【請求項2】
前記湾曲部の径方向内端は、前記突出部の径方向内面よりも径方向内側に位置する、請求項1に記載のステータ。
【請求項3】
前記突出部は、軸方向から見て、径方向外側における周方向両端の角部の内角が、90°よりも大きい、請求項1又は請求項2に記載のステータ。
【請求項4】
前記インシュレータは、
前記コアバックカバー部の軸方向一端面から軸方向外側に突出して前記突出部よりも周方向外側に配置される第1ガイド部をさらに有し、
前記第1ガイド部の径方向内面は、前記突出部の径方向外面よりも径方向内側に位置し、
前記湾曲部の径方向内端は、前記第1ガイド部よりも径方向内側に位置する、請求項1~請求項3のいずれかに記載のステータ。
【請求項5】
前記第1ガイド部は、前記突出部と周方向に対向する傾斜面を有し、
軸方向から見て、前記傾斜面は、径方向内側に向かうに従って前記突出部から周方向に離れる方向に傾斜する、請求項4に記載のステータ。
【請求項6】
前記インシュレータは、
前記コアバックカバー部の軸方向一端面から軸方向外側に突出して前記突出部よりも径方向外側に配置される第2ガイド部をさらに有し、
前記渡り線は、前記突出部と前記第2ガイド部との間を通り、
前記突出部の軸方向外端は、前記第1ガイド部及び前記第2ガイド部の軸方向外端よりも軸方向外側に位置する、請求項4又は請求項5に記載のステータ。
【請求項7】
前記インシュレータは、
前記コアバックカバー部の軸方向一端面から軸方向外側に突出して前記突出部よりも径方向外側に配置される第2ガイド部をさらに有し、
前記渡り線は、前記突出部と前記第2ガイド部との間を通る、請求項1~請求項3に記載のステータ。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれかに記載のステータと、
前記ステータと径方向に対向して前記中心軸を中心に回転するロータと、を備える、モータ。
【請求項9】
円弧状の分割コアバックと、前記分割コアバックから径方向内側に延びるティースと、を有する分割コアをインシュレータで覆うインシュレータ装着工程と、
前記ティースの周囲に前記インシュレータを介して導線を巻いてコイルを形成するコイル形成工程と、
前記分割コアを周方向に複数連結する連結工程と、を順に有し、
前記インシュレータは、
前記分割コアバックの軸方向一端面を覆うコアバックカバー部と、
前記ティース部の軸方向一端面を覆うティースカバー部と、
前記コアバックカバー部の軸方向一端面から軸方向外側に突出する突出部と、を有し、
前記導線は、前記突出部の径方向外側を通って周方向に延び、複数の前記コイルを接続する渡り線を有し、
前記渡り線を、周方向に隣り合う前記突出部の間において、径方向内側に凸に湾曲させるフォーミング工程をさらに有する、ステータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータ、それを備えるモータ及びステータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のステータは、例えば、ステータコアと、インシュレータと、導線と、を備える。ステータコアは、ヨーク(コアバック)と、巻線巻装部(ティース)と、を備える。ヨークは、円弧状のヨーク構成部(分割コアバック)を周方向に複数連結して中心軸を囲み、環状に形成される。
【0003】
巻線巻装部は、各ヨーク構成部から径方向内側に延びて周方向に複数配置される。導線は、巻線巻装部にインシュレータを介して巻かれ、コイルを形成する。ヨークは、巻線巻装部にコイルが形成された状態でヨーク構成部同士を連結して形成される。このとき、導線は、周方向に延びて複数のコイル同士を接続する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-161048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のステータでは、ヨーク構成部同士を連結する際に周方向に延びる導線の一部が余り、径方向外側に膨らむ可能性があった。これにより、ステータの製造、組み付け時に、導線が、他部材等と接触する可能性があった。このため、導線が、破損して短絡が発生する可能性があった。
【0006】
本発明は、導線の破損を防止できるステータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的なステータは、ステータコアと、インシュレータと、導線と、を備える。ステータコアは、コアバックと、ティースと、を有する。コアバックは、円弧状の分割コアバックを周方向に複数連結して形成されるとともに中心軸を囲んで環状に形成される。ティースは、各分割コアバックから径方向内側に延びて周方向に複数配置される。インシュレータは、コアバックとティースとを覆う。導線は、ティースに巻かれてコイルを形成する。インシュレータは、コアバックカバー部と、ティースカバー部と、突出部と、を有する。コアバックカバー部は、分割コアバックの軸方向一端面を覆う。ティースカバー部は、ティースの軸方向一端面を覆う。突出部は、コアバックカバー部の軸方向一端面から軸方向外側に突出する。導線は、渡り線を有する。渡り線は、突出部の径方向外側を通って複数のコイルを接続する。渡り線は、湾曲部を有する。湾曲部は、周方向に隣り合う突出部の間において、径方向内側に凸に湾曲する。
【0008】
本発明の例示的なステータの製造方法は、インシュレータ装着工程と、コイル形成工程と、連結工程と、を順に有する。インシュレータ装着工程は、円弧状の分割コアバックと、前記分割コアバックから径方向内側に延びるティースと、を有する分割コアをインシュレータで覆う。コイル形成工程は、ティースの周囲にインシュレータを介して導線を巻いてコイルを形成する。連結工程は、分割コアを周方向に複数連結する。インシュレータは、コアバックカバー部と、ティースカバー部と、突出部と、を有する。コアバックカバー部は、分割コアバックの軸方向一端面を覆う。ティースカバー部は、ティース部の軸方向一端面を覆う。突出部は、コアバックカバー部の軸方向一端面から軸方向外側に突出する。導線は、渡り線を有する。渡り線は、突出部の径方向外側を通って周方向に延び、複数のコイルを接続する。渡り線を、周方向に隣り合う突出部の間において、径方向内側に凸に湾曲させるフォーミング工程をさらに有する。
【発明の効果】
【0009】
例示的な本発明によれば、導線の破損を防止できるステータ、それを備えたモータ及びステータの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の例示的な第1実施形態に係るモータの縦断面図である。
図2図2は、本発明の例示的な第1実施形態に係るステータの斜視図である。
図3図3は、本発明の例示的な第1実施形態に係るステータの分解斜視図である。
図4図4は、本発明の例示的な第1実施形態に係るステータの分割コアとインシュレータの斜視図である。
図5図5は、本発明の例示的な第1実施形態に係るステータの分割コアとインシュレータの分解斜視図である。
図6図6は、本発明の例示的な第1実施形態に係るステータの一部を拡大して示す上面図である。
図7図7は、本発明の例示的な第1実施形態に係るステータの製造工程を示すフローチャートである。
図8図8は、本発明の例示的な第1実施形態に係るステータの製造工程を説明する説明図である。
図9図9は、本発明の例示的な第2実施形態に係るステータの一部を拡大して示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書では、モータの中心軸と平行な方向を「軸方向」、モータの中心軸に直交する方向を「径方向」、モータの中心軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。また、本願では、軸方向を上下方向とし、上インシュレータ41に対して下インシュレータ42を下として、各部の形状や位置関係を説明する。なお、上下方向は単に説明のための用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定しない。
【0012】
また、本願において「平行な方向」とは、略平行な方向も含む。また、本願において「直交する方向」とは、略直交する方向も含む。
【0013】
(1.モータの構成)
本発明の例示的な一実施形態のステータについて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るモータ1の縦断面図である。モータ1は、ロータ10と、ステータ20と、ハウジング100と、備える。
【0014】
ロータ10は、中心軸Jに沿って延びた回転軸を形成する柱状のシャフト11、ロータコア12及び複数のマグネット13を有する。ロータコア12は、環状の電磁鋼板が軸方向に積層された積層鋼板からなる。ロータコア12は、軸方向に延びる挿入孔12aを有する。シャフト11は、挿入孔12aに圧入されて、ロータコア12に固定される。
【0015】
複数のマグネット13は、ロータコア12の外周面に、例えば接着剤で固定される。複数のマグネット13は、N極とS極とが交互に並ぶように、周方向に配列される。
【0016】
ハウジング100は、筒状に形成され、ステータ20を収容する。ハウジング100は、底板部101及び天板部102を有する。底板部101は、ステータ20の軸方向下側に配置され、ベアリング81を保持する。天板部102は、ステータ20の軸方向上側に配置され、ベアリング82を保持する。
【0017】
ベアリング81、82は、シャフト11をハウジング100に対して回転可能に支持する。ベアリング81、82には、例えば、ボールベアリングが使用される。
【0018】
ステータ20は、ロータ10の径方向外側に配置され、ハウジング100に固定されている。モータ1の駆動時には、ステータ20とマグネット13との間にてトルクが発生する。
【0019】
(2.ステータの構成)
本発明の例示的な一実施形態のステータについて説明する。図2は、ステータ20の斜視図であり、図3は、ステータ20の分解斜視図である。なお、図3ではコイルCを図示しない。ステータ20は、ステータコア30と、インシュレータ40と、導線50と、を備える。
【0020】
(2―1.ステータコアの構成)
ステータコア30は、電磁鋼板等の磁性体を軸方向に複数積層して形成される。ステータコア30は、分割コア31を周方向に複数連結して形成される。例えば、本実施形態の分割コア31の数は、12個である。分割コア31は、一体に形成された分割コアバック32及びティース33を有する。
【0021】
分割コアバック32は、円弧状に形成され、周方向に複数連結して中心軸Jを囲む環状のコアバック34を形成する。周方向に隣り合う分割コアバック32は、周方向外端同士が接触している。なお、コアバック34は、筒状体(不図示)の内部に圧入され、分割コアバック32が周方向に複数連結した状態で保持される。
【0022】
ティース33は、各分割コアバック32から径方向内側に延びる。ティース33は、複数の分割コアバック32を周方向に連結した状態において、周方向に複数等間隔に配置される。
【0023】
(2-2.インシュレータの構造)
図4は、分割コア31とインシュレータ40の斜視図であり、図5は、分割コア31とインシュレータ40の分解斜視図である。インシュレータ40は、コアバック34とティース33とを覆う絶縁性の樹脂成形品から成る(図2図3参照)。
【0024】
インシュレータ40は、各分割コア31を上下に挟む上インシュレータ41と、下インシュレータ42とに分割される。上インシュレータ41は、上コアバックカバー部(コアバックカバー部)411と、上ティースカバー部(ティースカバー部)412と、突出部413と、第1ガイド部414と、第2ガイド部415と、を有する。
【0025】
下インシュレータ42は、下コアバックカバー部421と、下ティースカバー部422と、を有する。また、軸方向に分割される側面カバー部43が、上インシュレータ41及び下インシュレータ42にそれぞれ設けられる。
【0026】
上コアバックカバー部411は、分割コアバック32の上面(軸方向一端面)を覆う。上ティースカバー部412は、ティース33の上面(軸方向一端面)を覆う。
【0027】
突出部413は、上コアバックカバー部411の上面(軸方向一端面)から軸方向外側に突出し、上コアバックカバー部411と上ティースカバー部412との境界上に配置される。
【0028】
突出部413は、軸方向から見て略台形状に形成され、径方向外側における周方向両端の角部413aの内角が、90°よりも大きい(図6参照)。
【0029】
第1ガイド部414及び第2ガイド部415は、一体に形成され、上コアバックカバー部411の上面(軸方向一端面)から軸方向外側に突出する。第1ガイド部414は、第2ガイド部415を挟んで周方向両側に一対配置される。なお、本実施形態では、第1ガイド部414と第2ガイド部415は一体に形成されているが、第1ガイド部414と第2ガイド部415とが、分離して形成されてもよい。
【0030】
第2ガイド部415は、上コアバックカバー部411の径方向外縁に配置され、突出部413と径方向に対向する。すなわち、第2ガイド部415は、上コアバックカバー部411の上面(軸方向一端面)から軸方向外側に突出し、突出部413よりも径方向外側に配置される。
【0031】
第1ガイド部414は、突出部413よりも周方向外側に配置される。第1ガイド部414の径方向内面414bは、突出部413の径方向外面413bよりも径方向内側に位置する(図6参照)。また、本実施形態では、周方向に隣り合う上インシュレータ41の第1ガイド部414同士が、接触し、隣り合う径方向内面414b同士が面一に形成される(図6参照)。このとき、第1ガイド部414は、周方向に隣り合う突出部413の間に配置される。
【0032】
また、第1ガイド部414は、傾斜面414aを有する。傾斜面414aは、突出部413と周方向に対向し、軸方向から見て、径方向内側に向かうに従って突出部413から周方向に離れる方向に傾く。また、軸方向から見て、傾斜面414aは、第1ガイド部414の径方向内面414bに対して90°より大きい角度で傾斜する。
【0033】
突出部413の上端(軸方向外端)は、第1ガイド部414及び第2ガイド部415の上端(軸方向外端)よりも軸方向上側(軸方向外側)に位置する。
【0034】
(2―3.導線の構造)
図6は、ステータ20の一部を拡大して示す上面図である。導線50は、絶縁被膜で覆われ、ティース33の周囲にインシュレータ40を介して巻かれてコイルCを形成する。コイルCは、中心軸Jから径方向外側の方向を見た場合に、導線50がティース33に、例えば、時計回りに複数回巻回されて形成される。ステータコア30と導線50とは、インシュレータ40を介して絶縁される。コイルCは、例えば、U相、V相、W相の順で周方向に配置されており、同一相のコイルは周方向に隣接しない。周方向に隣接するコイルCの相が異なることにより、ロータ10の回転ムラを抑制し、ロータ10の振動を低減することができる。
【0035】
導線50は、渡り線51を有する。渡り線51は、突出部413と第2ガイド部415との間及び突出部413と第1ガイド部414との間を通って周方向に延びる。すなわち、渡り線51は、突出部413の径方向外側を通って周方向に延び、同一相の複数のコイルCを接続する。
【0036】
渡り線51は、湾曲部51aを有する。湾曲部51aは、周方向に隣り合う突出部413の間において、径方向内側に凸に湾曲する。湾曲部51aの径方向内端は、突出部413の径方向内面413cよりも径方向内側に位置する。
【0037】
また、第1ガイド部414の径方向内面414bは、突出部413の径方向外面413bよりも径方向内側に位置する。また、湾曲部51aの径方向内端は、第1ガイド部414よりも径方向内側に位置する。このため、周方向に隣り合う突出部413の間において、渡り線51は、第1ガイド部414の内面側に沿って、湾曲部51aが形成される。
【0038】
本実施形態では、周方向に隣り合う突出部413の間において、第1ガイド部414が配置されており、渡り線51が第1ガイド部414の径方向内側に配置される。これにより、渡り線51が、ステータコア30の径方向外縁よりも径方向外側に膨らんで他部材等に接触することを防止できる。従って、ステータ20の製造、組み付け時に、渡り線51が破損して短絡が発生することを防止できる。また、ステータ20が径方向に大型化することを抑制できる。
【0039】
(2.ステータの製造方法)
図7は、ステータ20の製造工程を示すフローチャートであり、図8はステータ20の製造工程を説明する説明図である。ステータ20の製造方法は、インシュレータ装着工程と、コイル形成工程と、連結工程と、を順に有し、連結工程とフォーミング工程とが、同時に行われる。
【0040】
インシュレータ装着工程は、分割コア31を上インシュレータ41と下インシュレータ42とで上下に挟み(図5参照)、分割コア31をインシュレータ40で覆う(ステップS1)。
【0041】
コイル形成工程は、ティース33の周囲にインシュレータ40を介して導線50を巻いてコイルCを形成する(ステップS2)。また、コイル形成工程では、突出部413の上端部に径方向外側から渡り線51を引っ掛けた後、渡り線51を軸方向下側(矢印X)に移動させる(図8参照)。これにより、渡り線51を突出部413と第2ガイド部415との間及び突出部413と第1ガイド部414との間に容易にガイドできる。
【0042】
このとき、突出部413の上端(軸方向外端)は、第1ガイド部414及び第2ガイド部415の上端(軸方向外端)よりも軸方向上側(軸方向外側)に位置する。これにより、渡り線51を、第1ガイド部414及び第2ガイド部415に引っ掛かることなく、突出部413に容易に引っ掛けることができる。従って、コイル形成工程における作業性を向上できる。
【0043】
また、突出部413は、軸方向から見て、径方向外側における周方向角部413aの内角が、90°よりも大きいため、渡り線51を、突出部413の周方向角部413aに沿って緩やかに径方向内側に屈曲させることができる。これにより、渡り線51に掛かる負荷を低減できる。
【0044】
また、傾斜面414aは、軸方向から見て、第1ガイド部414の径方向内面414bに対して90°より大きい角度で傾斜する。このため、渡り線51を第1ガイド部414の傾斜面414aに沿って緩やかに径方向内側に屈曲させることができる。
【0045】
また、渡り線51が、突出部413と第2ガイド部415との間で撓んで径方向外側に凸に湾曲した場合でも、第2ガイド部415に接触する。このため、渡り線51が、ステータコア30の径方向外縁よりも径方向外側に膨らんで湾曲することを防止できる。
【0046】
連結工程は、コイルCが形成された分割コア31を周方向に複数連結して環状のステータコア30を形成する(ステップ3)。このとき、隣り合う第1ガイド部414同士が接触し、渡り線51は、第1ガイド部414の径方向内面側に沿って配される。これにより、渡り線51に湾曲部51aが、形成される(ステップ4)。すなわち、フォーミング工程は、連結工程と同時に行われ、周方向に隣り合う突出部413の間において、渡り線51を、第1ガイド部414の内面側に沿わせて径方向内側に凸に湾曲させる。これにより、連結工程とフォーミング工程とが、同時に行われ、ステータ20の製造効率が向上する。
【0047】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図9はステータ20の一部を拡大して示す上面図である。説明の便宜上、前述の図1図8に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付す。第2実施形態では第1ガイド部414が省かれている点が第1実施形態とは異なる。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0048】
本実施形態では、連結工程の後にフォーミング工程を行う。フォーミング工程では、治具等を用いて渡り線51を径方向内側に屈曲させて湾曲部51aを形成する。これにより、渡り線51が、ステータコア30の径方向外縁よりも径方向外側に膨らんで他部材等に接触することを抑制できる。従って、ステータ20の製造、組み付け時に、渡り線51が破損して短絡が発生することを防止できる。また、ステータ20が径方向に大型化することを抑制できる。
【0049】
また、湾曲部51aの径方向内端は、突出部413の径方向内面413cよりも軸方向内側に位置するため、渡り線51が、ステータコア30の径方向外縁よりも径方向外側に膨らむことをより抑制できる。
【0050】
なお、フォーミング工程は、連結工程の前に行ってもよい。例えば、コイル形成工程において、予め湾曲部51aを形成し、連結工程において分割コア31を周方向に複数連結して環状のステータコア30を形成してもよい。
【0051】
(3.その他)
上記実施形態は、本発明の例示にすぎない。実施形態の構成は、本発明の技術的思想を超えない範囲で適宜変更されてもよい。また、実施形態は、可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。例えば、第2ガイド部415を省いてもよいし、第1ガイド部414及び第2ガイド部415の両方を省いてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、突出部413、第1ガイド部414及び第2ガイド部415は、上コアバックカバー部411の上面から軸方向上側に突出したが、突出部413、第1ガイド部414及び第2ガイド部415を、下コアバックカバー部421の下面から軸方向下側に突出させてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、1本の渡り線51が突出部413と第1ガイド部414との間を通っているが、複数の渡り線51が通っていてもよい。その際は、複数の渡り線51が、束ねられて略同じ形状の湾曲部51aを有していてもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、U相、V相、W相の順で周方向に配置されており、同一相のコイルCは、周方向に隣接しない。このため、渡り線51は、同一相のコイルCを接続するために、複数の突出部413を周方向に通過して延びる。このとき、複数の湾曲部51aが形成されている。しかし、同一相のコイルCを周方向に隣接させてもよい。この場合、渡り線51は、2つの突出部413を周方向に通過し、1つの湾曲部51aが形成される。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明のモータは、例えば、送風機等に利用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 モータ
10 ロータ
11 シャフト
12 ロータコア
12a 挿入孔
13 マグネット
20 ステータ
30 ステータコア
31 分割コア
32 分割コアバック
33 ティース
34 コアバック
40 インシュレータ
41 上インシュレータ
42 下インシュレータ
43 側面カバー部
50 導線
51 渡り線
51a 湾曲部
70 インシュレータ
81 ベアリング
81、82 ベアリング
82 ベアリング
100 ハウジング
101 底板部
102 天板部
411 上コアバックカバー部(コアバックカバー部)
412 上ティースカバー部(ティースカバー部)
413 突出部
413a 角部
413b 径方向外面
413c 径方向内面
414 第1ガイド部
414a 傾斜面
414b 径方向内面
415 第2ガイド部
421 下コアバックカバー部
422 下ティースカバー部
C コイル
J 中心軸
X 矢印
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9