IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝産業機器システム株式会社の特許一覧

特開2023-53645SPM形回転電機の回転子の製造方法及びSPM形回転電機の回転子
<>
  • 特開-SPM形回転電機の回転子の製造方法及びSPM形回転電機の回転子 図1
  • 特開-SPM形回転電機の回転子の製造方法及びSPM形回転電機の回転子 図2
  • 特開-SPM形回転電機の回転子の製造方法及びSPM形回転電機の回転子 図3
  • 特開-SPM形回転電機の回転子の製造方法及びSPM形回転電機の回転子 図4
  • 特開-SPM形回転電機の回転子の製造方法及びSPM形回転電機の回転子 図5
  • 特開-SPM形回転電機の回転子の製造方法及びSPM形回転電機の回転子 図6
  • 特開-SPM形回転電機の回転子の製造方法及びSPM形回転電機の回転子 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053645
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】SPM形回転電機の回転子の製造方法及びSPM形回転電機の回転子
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/03 20060101AFI20230406BHJP
   H02K 1/278 20220101ALI20230406BHJP
【FI】
H02K15/03 Z
H02K1/278
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162810
(22)【出願日】2021-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】新居 健太郎
【テーマコード(参考)】
5H622
【Fターム(参考)】
5H622CA02
5H622CA07
5H622CA10
5H622PP12
(57)【要約】
【課題】回転子鉄心の外周のスロットに永久磁石を設けるものにあって、永久磁石の組付け作業の簡単化を図ることができ、永久磁石の固定の信頼性を高める。
【解決手段】実施形態に係るSPM形回転電機の回転子の製造方法は、回転子鉄心の外周部には、円周方向に隣り合うスロット間に位置して、外周で開口する切込み及びその切込みの底部に位置する収容凹部が設けられていることにより、各切込みの両側に、各スロットの円周方向両側に永久磁石の側面に係合する係合部が設けられており、回転子鉄心のスロットに、永久磁石を挿入する磁石挿入工程と、切込みの最小幅寸法よりも径大な丸棒状をなす固定用棒状部材を外周側から切込みに対し圧入し、収容凹部内に嵌合させる嵌合工程とを含み、嵌合工程においては、固定用棒状部材が、切込みを円周方向外側に押し拡げるようにして両側の係合部を塑性変形させ、該係合部が永久磁石の側面に圧接して固定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子鉄心の外周部に、外周側に開口する複数のスロットを有し、それら各スロット内に、永久磁石を該回転子鉄心の外周面から突出した形態に配置して構成されるSPM形回転電機の回転子の製造方法であって、
前記回転子鉄心の外周部には、円周方向に隣り合う前記スロット間に位置して、外周で開口する切込み及びその切込みの底部に位置する収容凹部が設けられていることにより、前記各切込みの両側に、前記各スロットの円周方向両側に前記永久磁石の側面に係合する係合部が設けられており、
前記回転子鉄心のスロットに、前記永久磁石を挿入する磁石挿入工程と、
前記切込みの最小幅寸法よりも径大な丸棒状をなす固定用棒状部材を外周側から前記切込みに対し圧入し、前記収容凹部内に嵌合させる嵌合工程とを含み、
前記嵌合工程においては、前記固定用棒状部材が、前記切込みを円周方向外側に押し拡げるようにして両側の前記係合部を塑性変形させ、該係合部が前記永久磁石の側面に圧接して固定するように構成されているSPM形回転電機の回転子の製造方法。
【請求項2】
前記係合部の外周側の端部は、前記永久磁石の外周端部よりも内側に位置している請求項1記載のSPM形回転電機の回転子の製造方法。
【請求項3】
前記固定用棒状部材は、非磁性材料からなる請求項1又は2記載のSPM形回転電機の回転子の製造方法。
【請求項4】
前記固定用棒状部材は、円筒パイプ状に構成されている請求項1から3のいずれか一項に記載のSPM形回転電機の回転子の製造方法。
【請求項5】
回転子鉄心の外周部に、外周側に開口する複数のスロットを有し、それら各スロット内に、永久磁石を該回転子鉄心の外周面から突出した形態に配置して構成されるSPM形回転電機の回転子であって、
前記回転子鉄心の外周部には、円周方向に隣り合う前記スロット間に位置して、外周で開口する切込み及びその切込みの底部に位置する収容凹部が設けられていることにより、前記各切込みの両側に、前記各スロットの円周方向両側に前記永久磁石の側面に係合する係合部が設けられていると共に、
前記切込みの最小幅寸法よりも径大な丸棒状をなす固定用棒状部材が、前記切込みを通して前記収容凹部内に嵌合されており、
前記固定用棒状部材の前記収容凹部への嵌合によって、前記係合部が円周方向外側に押し拡げられるよう塑性変形されて前記スロット内の永久磁石の側面に圧接して該永久磁石を固定するように構成されているSPM形回転電機の回転子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、SPM形回転電機の回転子の製造方法及びSPM形回転電機の回転子に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばエレベータの巻上機の駆動源に使用されるモータとして、SPM(Surface Permanent Magnet)形のモータが知られている(例えば特許文献1参照)。この種のSPM形のモータの回転子は、回転子鉄心の外周部に、円周方向に並んで、複数個のスロットを外周面で開口するように設け、それら各スロット内に夫々永久磁石を収容し、接着剤により接着固定して構成される。この場合、永久磁石の表面即ち外周面が露出して、固定子に近接配置されることにより、駆動トルク、或いはダイナミックブレーキ時のブレーキトルクを大きく発生させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-136514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなSPM形モータの回転子にあっては、永久磁石を接着剤により固定する構成のため、永久磁石の取付けに、スロット内に接着剤を塗布したのち、永久磁石を挿入し、その後余分な接着剤を拭き取るといった面倒な工程が必要となっていた。また、長期間の使用に伴って接着剤が劣化するため、振動吸収性が低下し、ひいては永久磁石の割れや外れが発生したりする虞があった。
【0005】
上記特許文献1では、永久磁石の剥離防止のために、回転子鉄心のスロットの両側に位置する凸部を、永久磁石の外周縁部に引っ掛かるように曲げ変形させ、抜止めを図ることが行われている。ところが、この構成では、永久磁石の組付け工程の一層の増加を招いてしまう。さらに、鉄心の凸部が永久磁石の側面全体を覆うことにより隣り合う永久磁石間での磁束漏れが大きくなったり、また、いわゆるスプリングバックによる固定強度の低下を招いたりする不具合がある。
【0006】
そこで、回転子鉄心の外周のスロットに永久磁石を設けるものにあって、永久磁石の組付け作業の簡単化を図ることができ、永久磁石の固定の信頼性を高めることができるSPM形回転電機の回転子の製造方法及びSPM形回転電機の回転子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係るSPM形回転電機の回転子の製造方法は、回転子鉄心の外周部に、外周側に開口する複数のスロットを有し、それら各スロット内に、永久磁石を該回転子鉄心の外周面から突出した形態に配置して構成されるSPM形回転電機の回転子の製造方法であって、前記回転子鉄心の外周部には、円周方向に隣り合う前記スロット間に位置して、外周で開口する切込み及びその切込みの底部に位置する収容凹部が設けられていることにより、前記各切込みの両側に、前記各スロットの円周方向両側に前記永久磁石の側面に係合する係合部が設けられており、前記回転子鉄心のスロットに、前記永久磁石を挿入する磁石挿入工程と、前記切込みの最小幅寸法よりも径大な丸棒状をなす固定用棒状部材を外周側から前記切込みに対し圧入し、前記収容凹部内に嵌合させる嵌合工程とを含み、前記嵌合工程においては、前記固定用棒状部材が、前記切込みを円周方向外側に押し拡げるようにして両側の前記係合部を塑性変形させ、該係合部が前記永久磁石の側面に圧接して固定するように構成されている。
【0008】
実施形態に係るSPM形回転電機の回転子は、回転子鉄心の外周部に、外周側に開口する複数のスロットを有し、それら各スロット内に、永久磁石を該回転子鉄心の外周面から突出した形態に配置して構成されるものであって、前記回転子鉄心の外周部には、円周方向に隣り合う前記スロット間に位置して、外周で開口する切込み及びその切込みの底部に位置する収容凹部が設けられていることにより、前記各切込みの両側に、前記各スロットの円周方向両側に前記永久磁石の側面に係合する係合部が設けられていると共に、前記切込みの最小幅寸法よりも径大な丸棒状をなす固定用棒状部材が、前記切込みを通して前記収容凹部内に嵌合されており、前記固定用棒状部材の前記収容凹部への嵌合によって、前記係合部が円周方向外側に押し拡げられるよう塑性変形されて前記スロット内の永久磁石の側面に圧接して該永久磁石を固定するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態を示すもので、回転子の縦断面図
図2】SPM形モータの全体構成を概略的に示す断面図
図3】1個のスロット部分の拡大断面図
図4】回転子鉄心の1個のスロット部分の拡大断面図
図5】1個のスロット部分の分解斜視図
図6】固定用棒状部材の嵌合前の様子を示す要部の拡大断面図
図7】固定用棒状部材の嵌合後の様子を示す要部の拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、例えばエレベータの巻上機の駆動源として用いられるSPM形モータに適用した一実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、便宜上、図1図3図7におけるハッチングを省略している。図2は、SPM形回転電機としてのSPM形モータ1の全体構成を概略的に示している。このSPM形モータ1は、全体として円筒状をなすフレーム2内に、固定子3及び回転子4を備えて構成される。前記回転子4には、回転軸5が固定されている。回転子4の詳細については後述する。
【0011】
前記フレーム2は、円筒状の胴部2aの両端にモータブラケット6、7を備えて構成されている。前記固定子3は、固定子鉄心8に巻線9を巻装して構成され、前記胴部2aの内周面に取付けられている。また、前記モータブラケット6、7には、夫々軸受10、11が取付けられている。これら軸受10、11により、前記回転軸5が回転自在に支持されている。図示はしないが、回転軸5の先端部(図で左側)には、シーブと称される滑車が取付けられる。また、フレーム2の後端側には、前記回転軸5にブレーキ力を付与する周知のディスクブレーキ装置12が設けられている。
【0012】
ここで、図1図3から図7も参照して、本実施形態に係る回転子4について説明する。本実施形態では、図2に示すように、回転子4は、回転子鉄心13の外周部に複数個例えば20個の永久磁石14を露出状態に備えて構成される回転子ブロック15を、軸方向に4段に重ねた状態で結合して構成される。4つの回転子ブロック15は、同等の構成を備えており、以下、1個の回転子ブロック15について述べる。
【0013】
図1に示すように、回転子鉄心13は、例えば電磁鋼板を所定の形状即ちほぼ円板状に打抜いて単位鉄心板を得、その打抜いた単位鉄心板を複数枚積層して構成されている。回転子鉄心13の中心部には、前記回転軸5が挿入される中心孔13aが形成されている。そして、回転子鉄心13の外周部には、各永久磁石14が夫々取付けられるスロット16が、隣同士で僅かな間隔を置きながら円周方向に並んで複数個この場合20個が設けられている。
【0014】
図3図7にも示すように、このスロット16は、外周側に開口し、比較的浅い深さで、底面ほどやや拡がるようなほぼ台形の凹状をなし、回転子鉄心13の軸方向全体に延びて設けられている。この場合、各スロット16は、永久磁石14が軸方向に挿入可能な大きさ、つまり、永久磁石14の外形よりもわずかに大きく形成されている。そして、図4図6に示すように、回転子鉄心13の外周部のうち、円周方向に隣り合うスロット16同士間の部分には、外周で開口する切込み17及びその切込み17の底部に連続する収容凹部18が設けられている。
【0015】
このとき、前記切込み17は、V字状の溝からなり、前記収容凹部18は、V字状の切込み17の底部に位置する隙間の狭い幅狭部17aを介してつながるほぼ円形に形成されている。これにより、各切込み17の両側には、前記各スロット16の円周方向両側に位置して、前記永久磁石14の側面に係合する係合部19、19が設けられている。尚、前記切込み17は、上記した単位鉄心板の打抜き時に形成される。
【0016】
そして、図3図7に示すように、回転子鉄心13には、前記各切込み17の収容凹部18内に、永久磁石14を固定するための固定用棒状部材20が嵌合固定されるようになっている。前記固定用棒状部材20は、非磁性材料例えば銅からなり、前記切込み17の最小幅寸法つまり幅狭部17aの幅寸法よりもやや径大な丸棒状、この場合円筒パイプ状に構成されている。また、固定用棒状部材20の長さ寸法は、回転子ブロック15の軸方向全体の長さ寸法に対応している。詳しくは後述するように、前記スロット16内に永久磁石14を挿入した状態で、切込み17に対し固定用棒状部材20を外周側から圧入し、収容凹部18内に嵌合させることにより、前記永久磁石14の組付けが行われる。
【0017】
前記永久磁石14は、例えばネオジム磁石からなり、図1図3図5図7に示すように、矩形の薄板状をなすと共に、両側面が90度よりやや小さい角度で立ち上がって傾斜する台形状をなし、さらに上面即ち外周側を向く面が、外周側に凸となる緩やかな曲面状とされている。永久磁石14は、例えば矩形ブロック状のものを切削して製作される。図1に示すように、この永久磁石14は、外周面側をS極に磁化したものと、N極に磁化したものとの2種類が、前記各スロット16内に円周方向に沿って交互に配置される。各永久磁石14は、回転子鉄心13の外周面よりも外周側に突出している。つまり、係合部19の先端部は、永久磁石14の外径よりも内側に位置している。
【0018】
さて、本実施形態においては、次の作用説明でも述べるように、回転子4の製造において、回転子鉄心13に永久磁石14を組付けるにあたっては、スロット16内に永久磁石14を軸方向、図5で矢印A方向に挿入する磁石挿入工程と、固定用棒状部材20を外周側から図6で矢印B方向切込み17に対し圧入し、幅狭部17aを通して収容凹部18内に嵌合させる嵌合工程とが順に実行される。固定用棒状部材20の収容凹部18への嵌合によって、切込み17の両側の係合部19、19が円周方向外側つまり図6で矢印C方向に押し拡げられるよう塑性変形され、スロット16内の永久磁石14の側面に圧接して該永久磁石14が固定されるように構成されている。この場合、接着剤を用いることなく、永久磁石14が組付けられる。
【0019】
次に、本実施形態における、回転子4の製造方法、つまり回転子ブロック15の製造方法について述べる。上記のように、回転子ブロック15を製造するにあたっては、図4図5に示すように、複数枚の単位鉄心板を積層して回転子鉄心13を構成した後、永久磁石14を組付けることが行われる。回転子鉄心13に対し永久磁石14を組付けるにあたっては、永久磁石14を、回転子鉄心13の端面側から各スロット16に軸方向、例えば図5で矢印A方向に挿入する磁石挿入工程が実行される。
【0020】
この磁石挿入工程は、スロット16の形状が、永久磁石14の外形形状よりもやや大きいことにより、スムーズに行われる。これにて、図6に示すように、永久磁石14がスロット16内に挿入されているものの、未だ固定されていない状態となる。次いで、固定用棒状部材20を、切込み17に対し固定子鉄心13の外周側から、図6で矢印B方向に圧入して幅狭部17aを通し、図7に示すように、固定用棒状部材20を収容凹部18内に嵌合させる嵌合工程が実行される。
【0021】
この嵌合工程においては、固定用棒状部材20が、切込み17を両側に押し拡げるようにしながら幅狭部17aを通過し、収容凹部18に収容されて嵌合固定される。その際に切込み17を押し拡げることに伴い、図7に示すように、係合部19、19が円周方向外側に塑性変形して、永久磁石14の側面に圧接するように係合する。これにより、接着剤を使用せずに、回転子鉄心13に永久磁石14が固定され、回転子ブロック15が得られるようになる。尚、この後、図2に示すように、例えば4個の回転子ブロック15を連結して回転子4が構成される。
【0022】
このような本実施形態の回転子4の製造方法及び回転子4によれば、次のような作用、効果を得ることができる。即ち、本実施形態の回転子4の製造方法においては、磁石挿入工程の後に、固定用棒状部材20を、回転子鉄心13の外周側から切込み17に対し圧入して収容凹部18内に嵌合させる嵌合工程の実行により、切込み17の両側の係合部19を、円周方向外側に塑性変形させて永久磁石14の側面に係合させ、もって、永久磁石14が固定される構成とした。
【0023】
これにより、永久磁石14の固定に接着剤を用いる場合と異なり、接着剤の塗布の工程や、余分な接着剤の拭き取りの工程が不要となり、固定用棒状部材20を嵌合させる工程だけで済むので、その分、工程の簡単化を図ることができる。そして、接着剤を用いずに永久磁石14を固定したことにより、接着剤を使用していた場合の不具合、つまり、経年劣化に伴う振動吸収性の低下、固着強度の低下に伴う永久磁石14の割れや外れの発生を防止することができる。
【0024】
しかも、固定用棒状部材20が、収容凹部18内に嵌合固定された状態となることにより、係合部19のスプリングバックの防止効果を得ることができる。従って、本実施形態によれば、回転子鉄心13の外周のスロット16に永久磁石14を設けるものにあって、永久磁石14の組付け作業の簡単化を図ることができ、永久磁石14の固定の信頼性を高めることができるという優れた効果を得ることができる。
【0025】
特に本実施形態では、係合部19の外周側の端部が、永久磁石14の側面の外周端部よりも内側に位置している構成としたので、係合部19が永久磁石14よりも外周方向に突出している場合と比べて、隣り合う永久磁石14同士の横方向つまり円周方向への磁束漏れを抑制することができる。また、固定用棒状部材20を非磁性材料から構成したことにより、固定用棒状部材20部分がフラックスバリアとなり、永久磁石14の磁束漏れの抑制効果をより高めることができる。更に、固定用棒状部材20を円筒パイプ状に構成したことにより、中実な棒状のものと比べてより軽量になると共に、円筒パイプ内を空気が流通することによる、回転子13の冷却効果も期待できる。
【0026】
尚、上記実施形態では、固定用棒状部材20を銅パイプから構成したが、アルミ等の他の非磁性材料から構成しても良いし、また、中実な棒状に構成しても良い。上記実施形態においては、永久磁石を、回転子鉄心の軸方向に平行に延びるように配置したが、永久磁石を、回転子鉄心の軸方向に対して傾けて配置するいわゆるスキュー配置を行う構成としても良い。この場合、固定用棒状部材も斜め方向に配置されることになる。また、回転子鉄心としては、回転子ブロックを複数組合せた形態に限られず、一つの鉄心で構成するものでも良い。スロットや永久磁石の個数等についても、様々な変更が可能である。
【0027】
その他、SPM形回転電機の用途としても、エレベータ用に限らず、発電機を含んで様々な用途に適用することができる。以上説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0028】
図面中、1はSPM形モータ(SPM形回転電機)、3は固定子、4は回転子、5は回転軸、13は回転子鉄心、14は永久磁石、15は回転子ブロック、16はスロット、17は切込み、17aは幅狭部、18は収容凹部、19は係合部、20は固定用棒状部材を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7