(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053654
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】内視鏡装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/005 20060101AFI20230406BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
A61B1/005 524
G02B23/24 B
G02B23/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162825
(22)【出願日】2021-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】305021650
【氏名又は名称】株式会社近藤研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】近藤 健人
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040AA00
2H040AA02
2H040AA03
2H040BA21
2H040BA24
2H040CA03
2H040DA03
2H040DA12
2H040DA13
2H040DA15
2H040DA16
2H040DA19
2H040FA01
2H040GA02
2H040GA11
4C161FF32
4C161FF34
4C161HH32
4C161JJ06
(57)【要約】
【課題】比較的狭い空域に侵入でき、該空域内で容易かつ正確に撮像可能な内視鏡装置を提供する。
【解決手段】先端にカメラ21とLED23とが設けられる長尺状の内視鏡本体2は、該内視鏡本体2の全長に亘って設けられたフレキシブルな外装コイル11と、先端部19を除く全長に亘って該外装コイル11に内嵌された細筒部13および該細筒部13の先端から延出されて外装コイル11の先端部に内嵌された支持突部14を有する細管12とを備え、基端を首振操作部材に牽引可能に連結した線条15の先端が、支持突部14と対向するように外装コイル11の先端に固結されたものである。本構成は、首振操作部材の操作により線条15を牽引することで、内視鏡本体2の先端部19を支持突部14と対向する方向へ屈曲できる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に撮像手段と発光手段とが配設され、撮像対象の孔に挿入される長尺状の内視鏡本体と、
先端が前記内視鏡本体の先端部に固結され、該内視鏡本体の内部に長手方向に挿通された線条と、
前記内視鏡本体の基端部に取り付けられると共に前記線条の基端が牽引可能に連結され、該線条を牽引して前記内視鏡本体の先端部を屈曲させる首振作動と該首振作動の解除とを操作可能な首振操作手段と
を備えたものであって、
前記内視鏡本体は、
該内視鏡本体の全長に亘って設けられ、先端部に前記線条の先端が固結されたフレキシブルな外装コイルと、
前記外装コイルの先端部を除いた範囲の全長に亘って内嵌されるフレキシブルなチューブと、
前記チューブの先端から突設されて前記外装コイルの先端部に内嵌され、前記線条の先端と該外装コイルとの固結部位に対向配置されたフレキシブルな支持突片と
を備えてなり、
前記首振操作手段により前記線条を牽引する操作が行われることによって、前記内視鏡本体の先端部を前記固結部位側へ前記首振作動させるものであることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
線条には、フレキシブル且つ外装コイルに比して長手方向に伸縮し難い内装筒体が、内視鏡本体の少なくとも先端部を除いた範囲に外嵌されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像対象の内部を撮像するために用いられる内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、一般的に、撮像対象の内部検査や修理に利用されている。こうした内視鏡の具体的な構成としては、被検体(撮像対象)の孔に挿入する長尺な挿入杆と、該挿入杆の先端に配設された撮像部とを備え、該撮像部に撮像用のカメラと光源(LED等)とが配設されると共に、当該内視鏡の使用者により支持される操作部が前記挿入杆の基端に接続されている。そして、挿入杆は、少なくとも先端近傍に湾曲可能な湾曲部が設けられており、前記操作部における所定操作に従って該湾曲部を湾曲できるようになっている。こうした構成の内視鏡として、例えば特許文献1が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した内視鏡は、挿入部の外径が細い構成とすることで様々な被検体に対応することができるという利点がある。さらに、挿入部の湾曲部を比較的小さく湾曲できる構成とすることで、被検体の検査対象部位が比較的狭い空域である場合にも対応できるという利点がある。しかし、前述した特許文献1の構成は、挿入部の先端に設けられた撮像部が、湾曲不能なカバーの内部に前記カメラと光源とを配設したものであって、該撮像部の向きを変化させるために該挿入部の湾曲部を湾曲させる構成であることから、該湾曲の中央部位から該撮像部の先端までの長さが比較的長く、比較的狭い空域では該撮像部を湾曲させ難くなっていた。このような狭い空域(被検体の孔内)を検査する場合には、所望部位を適切に撮像できなかったり、該撮像に高度な技術を必要であったりする等の問題があった。
【0005】
本発明は、比較的狭い空域で撮像する場合であっても、容易かつ正確に撮像することが可能な内視鏡装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、先端部に撮像手段と発光手段とが配設され、撮像対象の孔に挿入される長尺状の内視鏡本体と、先端が前記内視鏡本体の先端部に固結され、該内視鏡本体の内部に長手方向に挿通された線条と、前記内視鏡本体の基端部に取り付けられると共に前記線条の基端が牽引可能に連結され、該線条を牽引して前記内視鏡本体の先端部を屈曲させる首振作動と該首振作動の解除とを操作可能な首振操作手段とを備えたものであって、前記内視鏡本体は、該内視鏡本体の全長に亘って設けられ、先端部に前記線条の先端が固結されたフレキシブルな外装コイルと、前記外装コイルの先端部を除いた範囲の全長に亘って内嵌されるフレキシブルなチューブと、前記チューブの先端から突設されて前記外装コイルの先端部に内嵌され、前記線条の先端と該外装コイルとの固結部位に対向配置されたフレキシブルな支持突片とを備えてなり、前記首振操作手段により前記線条を牽引する操作が行われることによって、前記内視鏡本体の先端部を前記固結部位側へ前記首振作動させるものであることを特徴とする内視鏡装置である。
【0007】
かかる構成にあっては、外装コイルの先端部で線条の先端(固結部位)と支持突片とが対向配置されていることから、首振操作手段の操作により線条が牽引されると、該固結部位を基端側へ引き寄せる作用と支持突片により引き寄せ難くする作用との相対的な差によって、内視鏡本体の先端部が該固結部位側(支持突部と対向する方向)へ屈曲されるものである。さらに、本構成は、撮像手段と発光手段とを配設する外装コイルの先端部を屈曲させるものであり、前述した従来構成のようにカバーを有しないことから、屈曲の中央部位(屈曲した円弧の中央部位)から外装コイル(内視鏡本体)の先端までの長さが、前述した従来構成に比して短くなる。このように内視鏡本体の先端部をコンパクトに屈曲可能であることから、比較的狭い空域(撮像対象の孔内)に挿入された場合にも、内視鏡本体の先端部を屈曲させることができ、撮像対象の所望部位を容易かつ正確に撮像することができる。
【0008】
前述した本発明の内視鏡装置にあって、線条には、フレキシブル且つ外装コイルに比して長手方向に伸縮し難い内装筒体が、内視鏡本体の少なくとも先端部を除いた範囲に外嵌されている構成が提案される。
【0009】
かかる構成にあっては、フレキシブル且つ長手方向に伸縮し難い内装筒体によって線条が外嵌されていることから、外装コイルの内部で揺れ動き難くできる。これにより、線条を安定して牽引することができるため、内視鏡本体の先端部を屈曲させる首振作動と該首振作動の解除とを確実かつ安定して行うことができると共に、首振操作手段の操作による線条牽引のレスポンスが向上する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の内視鏡装置によれば、内視鏡本体の先端部をコンパクトに屈曲できることから、撮像対象の比較的狭い空域を撮像する場合にあっても、該内視鏡本体の先端部を容易に屈曲させることができ、所望部位を正確に撮像できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】内視鏡装置1の内視鏡本体2を示す部分断面図である。
【
図3】(A)内視鏡本体2の先端部19を拡大して示す正面図と、(B)部分断面図である。
【
図5】内視鏡本体2の首振作動を示す説明図である。
【
図7】(A)別例の内視鏡本体52の一部を示す外観図と、(B)部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を具体化した実施例を、添付図面を用いて説明する。
実施例の内視鏡装置1は、
図1に示すように、長尺の内視鏡本体2と、該内視鏡本体2の基端に取り付けられた首振操作部材3と、該首振操作部材3に通信ケーブル6を介して接続されたデータ制御装置4と、該データ制御装置4により表示制御されるモニタ5とを備える。
【0013】
内視鏡本体2は、
図4に示すように、長尺の外装コイル11と、該外装コイル11に内嵌される長尺の細管12とを備え、さらに、細管12に、後述する線条15を挿通した内装コイル16が内嵌される。外装コイル11は、ステンレス鋼製の線条を巻回したスプリングにより構成されており、フレキシブル性を有する。細管12は、フレキシブルなシリコン製であり、長尺円筒状の細筒部13と、該細筒部13の先端から延出された断面円弧状の支持突部14とが一体成形されたものである。この支持突部14は、
図3(A)に示すように、断面の円弧形が180度よりも小さい中心角により形成されたものとなっている。内装コイル16は、ステンレス鋼製のスプリングにより構成されており、フレキシブル性を有する。そして、内装コイル16は、外装コイル11に比して、小径(曲率が大きい)かつ密巻き(ピッチが小さい)に形成されたものであり、該外装コイル11に比して長手方向に伸縮し難いことから、座屈し難くなっている。
【0014】
ここで、本実施例にあって、外装コイル11は、外径が3mm、線径が0.3mmのものであり、全長が約300mmである。細管12は、細筒部13の外径が約2.4mm、該細筒部13の全長が約285mm、支持突部14の長さが約15mmである。内装コイル16は、外径が1mm、線径が0.2mmのであり、全長が約285mmである。そして、内視鏡本体2の前記先端部19は、その長さが約18mmである。
【0015】
内視鏡本体2は、
図2に示すように、外装コイル11に、細管12の細筒部13が該外装コイル11の先端部を除いて内嵌され且つ該細管12の支持突部14が該外装コイル11の先端部に内嵌されるようにして、該細管12が長手方向に摺動可能に内嵌されてなる。こうした内視鏡本体2には、外装コイル11の先端内側に、カメラ21とLED23とが配設されている。カメラ21は、内視鏡本体2の先端から前方を撮像するように配設され、LED23は、該カメラ21の撮像方向(前項)を照射するように配設されている。これらカメラ21とLED23とは、紫外線硬化型の樹脂によって外装コイル11の先端内側に固結される。カメラ21は、外装コイル11の内部に取り付け可能な超小型のものであり、例えばCCDカメラが好適に用いられる。
【0016】
カメラ21には、
図2,3に示すように、電力と信号とを通信可能な通信線22が接続されており、該通信線22は、細管12の内部を長手方向に亘って挿通されて首振操作部材3に至るように配設されている。同様に、LED23には、電力を供給する通信線24が接続されており、該通信線24は、細管12の内部を長手方向に亘って挿通されて首振操作部材3に至るように配設されている。これら通信線22,24は、首振操作部材3に設けられたコネクタ(図示せず)を介して前記通信ケーブル6と接続される。このようにカメラ21は、通信線22と通信ケーブル6とにより前記前記データ制御装置4と接続されており、該データ制御装置4から電力と撮像を指示する信号とを受けると共に、撮像したデータを該データ制御装置4へ送信する。また、LED23は、通信線24と通信ケーブル6とにより前記前記データ制御装置4と接続されており、該通信線24を介して該データ制御装置4から電力が供給される。尚、通信線22,24は、フレキシブル性を有する一般的な構成のものが適用できる。
【0017】
さらに、内視鏡本体2には、線条15が細管12の細筒部13内を長手方向に亘って挿通されている。この線条15の先端が外装コイル11の先端に固結され、かつ該線条15の末端が前記首振操作部材3の操作部31に連結されている。ここで、線条15の先端と外装コイル11の先端との固結部位が、
図3に示すように、該外装コイル11に内嵌された細管12の支持突部14と、該該外装コイルの径方向で互いに対向するように配置されている。また、線条15は、少なくとも細筒部13の内部で前記内装コイル16に内嵌されて配設されており、内視鏡本体2の先端部19で外装コイル11にのみ内嵌されている。尚、本実施例にあって、線条15は、フレキシブル性を有するワイヤーにより構成されている。
【0018】
また、首振操作部材3は、直方体状の筐体を備え、該筐体の前面部に開口形成された孔(図示せず)に、内視鏡本体2の末端が挿入されて取り付けられている。そして、内視鏡本体2の内部に挿通された前記通信線22,24が首振操作部材3の内部で前記コネクタ(図示せず)に接続される。さらに、首振操作部材3は、その筐体の一側面部に、前後方向に沿う長孔32が開口形成されており、該長孔32に、操作部31が前後方向へ移動可能に設けられている。この操作部31に、前記内視鏡本体2の内部に挿通された線条15の末端が連結されており、該操作部31が後方へ移動操作されることによって該線条15が後方へ牽引され、該後方への移動操作が解除されることによって該線条15の後方への牽引が解除される。ここで、操作部31は、長孔32の前端に係止する前方位置(
図2参照)で、線条15を後方へ牽引しない状態とする一方、該長孔32の後端に係止する後方位置(
図6参照)で、線条15を最も後方へ牽引した状態とするように設けられている。これにより、操作部31は、常態で前方位置に保たれ易く、該前方位置から後方へ移動された後に該移動が解除されると、線条15の先端と固結された外装コイル11の付勢力に従って前方位置へ復帰される。
【0019】
また、データ制御装置4は、電力を前記通信ケーブル6を介してカメラ21とLED23とに供給する電力供給手段、カメラ21による撮像を指示する撮像指示手段、カメラ21から受信したデータを処理するデータ処理手段、およびモニタ5に画像表示させる画像表示手段を備える。さらには、電源スイッチや撮像スイッチなどの各種スイッチが配設されている。こうしたデータ制御装置4は、前記スイッチが操作されることにより、カメラ21とLED23とへ電力供給したり、カメラ21により撮像したり、該カメラ21で撮像された画像をモニタ5で表示したりする制御を行う。
【0020】
こうした本実施例の内視鏡装置1にあっては、内視鏡本体2の先端部19にカメラ21とLED23とが配設されるのみであり、カメラ21やLED23と通信する信号(電力)を増幅する基板などが内視鏡本体2に設けられておらず、信号の通信処理を行う基板はデータ制御装置4に配設されている。そのため、内視鏡本体2の先端部19には、前記基板を配設するためのカバー等を要せず、外装コイル11の先端内部にカメラ21とLED23とが紫外線硬化型樹脂により固定された構成となっている。これにより、本実施例の内視鏡本体2は、その先端における約3mm長の部分のみが、前記カメラ21とLED23と紫外線硬化型樹脂とにより曲げることができない非フレキシブルである。
【0021】
本実施例の内視鏡装置1は、首振操作部材3の操作部31が操作されることによって、内視鏡本体2の先端部19を屈曲させることができ、カメラ21による撮像方向とLED23による光の照射方向とを変えることができる。
図5に示すように、首振操作部材3の操作部31が前方位置(
図2参照)から後方へ移動操作されると、該操作部31の後方移動に伴って線条15が後方へ牽引される。これにより、内視鏡本体2の先端部19が、線条15の先端と外装コイル11の先端との固結部位側へ曲がる。詳述すると、内視鏡本体2の先端部19では、線条15の先端と外装コイル11の先端との固結部位が、前記細管12の支持突部14と該外装コイル11の径方向で対向する位置に設けられていることから(
図3参照)、該線条15が後方へ牽引されると、該外装コイル11の固結部位側に後方へ引張る力が作用する一方で、固結部位の対向側では後方へ引張る力が支持突部14によって妨げられる。こうした外装コイル11の前記固結部位側と前記対向側とに作用する力の差により、該固結部位側が収縮し且つ該対向側が伸長して、内視鏡本体2の先端部19が前記固結部位側へ曲げられる。
【0022】
さらに、首振操作部材3の操作部31が後方位置まで移動操作されると、
図6に示すように、内視鏡本体2の先端部19が前記固結部位側に屈曲する。ここで、操作部31が後方位置まで移動操作されると、線条15が後方へ比較的大きく牽引されて、外装コイル11が前記固結部位側へ比較的大きな曲率で曲がる。そして、この屈曲の中央部位(円弧の中央部位)から内視鏡本体2の先端までの長さを短くでき、該内視鏡本体2の先端部19が比較的コンパクトに屈曲する。そのため、本実施例の内視鏡装置1は、内視鏡本体2を比較的狭い空域内に侵入させた場合に、該内視鏡本体2の先端部19を容易に屈曲させることが可能である。このように内視鏡本体2の先端部19を曲げる作動(
図5,6)が、該先端部19の首振作動である。尚、こうした屈曲された状態であっても、カメラ21とLED23とが配設された内視鏡本体2の先端部分(先端から約3mmの部分)は屈曲できないものの、当該先端部分が極めて短い部分であることから、前記した曲率による屈曲にほとんど影響しない。
【0023】
首振操作部材3の操作部31を後方へ移動操作させた後に、該操作部31の操作を解除すると、線条15を後方へ牽引する力が消失する。これにより、外装コイル11の先端を後方へ引張る力が失われて、該外装コイル11の先端部では、該外装コイル11の付勢力によって前記固結部位側の収縮と前記対向側の伸長とが解除され、内視鏡本体2の先端部19に生じた屈曲が解除される。これに伴って線条15が前方へ引張られて、操作部31が前方位置に復帰する。このように内視鏡本体2の先端部19の屈曲が解除する作動が、前記首振作動を解除する作動である。
【0024】
本実施例の内視鏡装置1は、工業用製品の品質検査やメンテナンスなどに好適に用いることができる。例えば、エンジンのシリンダブロックやエアコンの銅管継ぎ手などのように比較的小径の孔の内部検査に利用できる。こうした工業用製品の検査では、内視鏡本体2を前記小径の孔に侵入させて、カメラ21による撮像をモニタ5に表示させる。そして、内視鏡本体2を前記孔の内部に侵入させた状態で、該内視鏡本体2の先端部19を適宜屈曲させることによって、当該孔の所望部位を撮像できる。ここで、内視鏡本体2の先端部19は、前述したように屈曲の中央部位から該内視鏡本体2の先端までの長さが短いことから、小径の孔内部の狭い空隙であっても容易に屈曲させることができ、前記所望部位を正確に撮像することができる。
【0025】
さらに、本実施例の内視鏡本体2は、線条15が、外装コイル11よりも密巻きの内装コイル16により外嵌された構成を有するものであるから、外装コイル11の内部で線条15が揺れ動き難くできる。これにより、首振操作部材3の操作部31の操作に従って線条15を安定して牽引でき、内視鏡本体2の先端部19を曲げる動作(首振作動)と解除動作(首振作動の解除)とを安定して行うことができる。
【0026】
尚、本実施例にあって、カメラ21が、本発明にかかる撮像手段に相当し、LED23が、本発明にかかる発行手段に相当する。首振操作部材3が、本発明にかかる首振操作手段に相当する。細管12の細筒部13が、本発明にかかるチューブに相当し、支持突部14が、本発明にかかる支持突片に相当する。内装コイル16が、本発明にかかる内装筒体に相当する。
【0027】
本発明は、前述した実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更することが可能である。
例えば、前述の実施例における各部の寸法形状は、適宜変更することができる。具体的には、外装コイル11や内装コイル16の各外径やピッチ等を適宜変更可能である。
【0028】
実施例では、外装コイル11がステンレス鋼からなるスプリングであるが、これに限らず、例えばピアノ線やSK材などの金属線からなるスプリングとすることができる。内装コイル16も同様のスプリングとすることができる。また、内装コイル16に換えて、フレキシブル且つ外装コイル11より長手方向に伸縮し難い円筒体を用いることも可能である。さらに、実施例では、線条15が内装コイル16により外嵌された構成であるが、該内装コイル16を有しない構成とすることも可能である。
【0029】
実施例では、細筒部13と支持突部14とを一体成形された細管12を備えた構成であるが、これに限らず、長尺円筒状のチューブと該チューブの先端に接合された支持突片とを備えた構成としても良い。すなわち、互いに別体のチューブと支持突片とが接合された構成を、実施例の細管12に代えて配設した構成としても良い。
【0030】
実施例では、カメラ21とLED23とに夫々接続された通信線22,24が、細管12の細筒部13を挿通させた構成としたが、これに限らず、該通信線22,24が外装コイル11と細筒部13との間を長手方向に挿通させる構成とすることもできる。尚、この構成では、外装コイル11と細筒部13との間に通信線22,24が挿通可能な間隙を有するように、該外装コイル11の内径と細筒部13の外径とを適宜設定することを要する。
【0031】
実施例では、外装コイル11が、長手方向で一様なピッチにより形成されたスプリングからなるものとしたが、これに限らず、相互にピッチの異なる複数の部位が長手方向で連成されたスプリングにより構成されたものとすることもできる。例えば、
図7に示すように、内視鏡本体52を構成する外装コイル53が、先端巻き部54(内視鏡本体の先端部を構成する部分)と該先端巻き部54以外の主コイル部55とでピッチの異なるスプリングからなるものとする。この外装コイル53は、主コイル部55のピッチが先端巻き部54のピッチに比して小さいもの(密巻き)である。この別例の内視鏡本体52によれば、その先端部19が前述の実施例と同様に屈曲できると共に、前記主コイル部55がフレキシブル性を有していることから、実施例と同様の作用効果を奏し得る。加えて、主コイル部55のピッチが短いことから、撮像対象の孔内に侵入した際に、該孔内にある突起や曲がり角などが該主コイル部55に挟まってしまうことを抑制できるという利点を有する。ここで、別例の構成は、外装コイル53が異なる以外は前述の実施例と同じであることから、同じ構成要素には同じ符号を記して説明を省略した。尚、こうした別例の外装コイル53にあっては、主コイル部55が前記ピッチ=0である構成を適用することもできる。
【0032】
前述した実施例にあって、外装コイル11の先端に、カメラ21とLED23とを保護する透明な保護板を配設した構成とすることも可能である。この構成にあって、前記保護板は、カメラ21のゆらぎを抑制し得るものが好適である。さらに、前述の実施例にあって、フレキシブルな筒状の保護部材により内視鏡本体2が外嵌された構成とすることもできる。ここで、この保護部材が防水性を有し、かつ当該保護部材と前記保護板とにより内視鏡本体2を覆う構成とすれば、液体中における検査にも適用することができる。そして、このように防水性を備えた構成では、工業用製品に限らず、医療用(例えば、人体の検査)にも適用することが可能である。
【0033】
前述した実施例にあっては、内視鏡本体2の先端にカメラ21とLED23とを並べて配設した構成であるが、これに限らず、カメラ21を中央に配設し、該カメラ21を囲むように複数のLEDを配設した構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 内視鏡装置
2,52 内視鏡本体
3 首振操作部材(首振操作手段)
4 データ制御装置
5 モニタ
6 通信ケーブル
11,53 外装コイル
12 細管
13 細筒部(チューブ)
14 支持突部(支持突片)
15 線条
16 内装コイル
19 先端部(内視鏡本体の先端部)
21 カメラ(撮像手段)
22,24 通信線
23 LED(発光手段)
31 操作部
32 長孔
54 先端巻き部
55 主コイル部