(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053662
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】カルシウムチタン複合酸化物からなる化粧料組成物配合用粉体
(51)【国際特許分類】
A61K 8/29 20060101AFI20230406BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20230406BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20230406BHJP
A61Q 1/12 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
A61K8/29
A61Q17/04
A61Q19/10
A61Q1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162842
(22)【出願日】2021-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】000109255
【氏名又は名称】チタン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100112634
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 美奈子
(74)【代理人】
【識別番号】100141265
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 有紀
(72)【発明者】
【氏名】三野 航
(72)【発明者】
【氏名】下村 直敬
(72)【発明者】
【氏名】灘 ちひろ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB032
4C083AB172
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB232
4C083AB241
4C083AB242
4C083AB332
4C083AB362
4C083AB432
4C083AB442
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC212
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC372
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC472
4C083AC482
4C083AC532
4C083AC542
4C083AC582
4C083AC642
4C083AC662
4C083AC692
4C083AC712
4C083AC792
4C083AD042
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD202
4C083AD212
4C083AD242
4C083AD352
4C083AD492
4C083AD512
4C083AD662
4C083BB23
4C083BB25
4C083BB26
4C083CC12
4C083CC19
4C083CC23
4C083DD08
4C083DD11
4C083DD17
4C083DD21
4C083DD30
4C083DD32
4C083DD33
4C083DD35
4C083EE07
4C083EE17
4C083KK01
(57)【要約】
【課題】UV-Bを遮断する能力を有し、透明性が高く、更に青い色味を呈さない化粧料組成物に配合する用途の材料を提供する。
【解決手段】化粧料組成物に配合する用途に用いる、平均粒子径が25nm以上110nm以下であるカルシウムチタン複合酸化物からなる粉体。この粉体を、化粧料組成物中のカルシウムチタン複合酸化物の量が300g/kg以下となる量で、化粧料組成物に配合することが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が25nm以上110nm以下であるカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる、化粧料組成物配合用粉体。
【請求項2】
前記粒子の円形度が0.80以上である、請求項1に記載の粉体。
【請求項3】
前記粒子の表面の少なくとも一部に無機物及び/又は有機物の被覆層を有する請求項1又は2に記載の粉体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の粉体と、分散媒とを含有する分散体。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載の粉体または請求項4に記載の分散体を含有する、化粧料組成物。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか一項に記載の粉体または請求項4に記載の分散体を、カルシウムチタン複合酸化物の量が300g/kg以下となる量で含有する、化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料組成物に配合する用途に用いるカルシウムチタン複合酸化物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧をする上で、日焼けは重大な問題である。日焼けとは、紫外線を浴びた人間の皮膚が起こす色素沈着や炎症といった症状を指しており、これは外観を著しく損なう。特に紫外線量の多い夏場などは、日焼け対策の有効性が、印象の鍵を握ると言って過言ではない。日本化粧品工業連合会によれば、一般的に紫外線と呼ばれる光の中でも肌に赤い炎症を起こし、シミ、ソバカスの原因となって外観を著しく損なうのが、波長が280nmから320nmの光であり、UV-Bと呼ばれている。
【0003】
UV-Bから皮膚を防御するために、従来は酸化チタンや酸化亜鉛からなる紫外線防御剤が使用されてきた。特開昭62-228006号公報(特許文献1)では、平均粒径70~300μmの酸化亜鉛に、平均粒径30~70μmの微粒子状酸化チタンを併用することで、紫外線防御効果のある化粧料を得ている。しかし、酸化亜鉛や酸化チタンは白色で隠ぺい力が大きく、塗布した部分、特に顔面が白く浮かんでいるような不自然な印象を与えることがある。この現象は「白浮き現象」と呼ばれ、使用者にとって大きな問題となっている。特許文献1でも隠ぺい力が増大することの弊害に触れてはいるものの、この問題について十分な考察がされているとは言えない。白浮き現象を防止する上で有効な手段としては、紫外線防御剤の粒子径を小さくして透明性を向上させることが挙げられる。特開2001-262119号公報(特許文献2)の実施例2では、平均二次粒子径が0.66μmのZnOにAlが固溶した化合物を得ており、この化合物が透明性と紫外線吸収性の両方に優れていることが記載されている。
【0004】
一方、粒子径の小さい紫外線防御剤を配合した化粧料を使用すると、青系の色材が配合されていないにも関わらず、化粧料組成物がうっすらと青い色味を呈することがある。この現象については議論がなされているが、いわゆるレイリー散乱と呼ばれる現象によって、粉体が自然光の中で波長の短い光を優先的に散乱するために生じていると推測される。レイリー散乱については例えば、非特許文献1に説明がある。化粧料組成物を塗布した箇所がうっすらと青い色味を呈した場合、周囲に対して使用者の健康状態が優れないかのような印象を与えてしまうため、化粧料本来の使用目的を著しく損なう。特開平8-48614号公報(特許文献3)では、棒状粉体を0.5~20重量部含むメイクアップ化粧料に黄色酸化チタンを0.1~20重量部配合することで、棒状粉体による青い色味を打ち消している。しかし、この方法では棒状粉体と黄色酸化チタンの配合が必要となり、添加する粉体の種類が増えることで、粉体の分散不良により化粧料組成物の色が不均一になる現象が発生しやすくなる。
【0005】
加えて、ルチル型酸化チタンを含む酸化チタン(IV)については、健康被害の可能性が否定できない、として、また酸化亜鉛については水生生物に対する影響が大きい、として、欧州を中心に、使用量を低減したり、代替材料を使用する動きが広がっている。特表2018-514509号公報(特許文献4)ではチタン酸バリウムを含有するUV防御組成物が記載されており、
図1Aからはチタン酸バリウムが紫外線吸収剤として酸化チタンTiO
2の代替となり得る旨が示唆される。
【0006】
特許文献4では、日焼け止め組成物が一般的に透明であることが好ましい旨と、いくつかの実施形態で得られる着色組成物は実質的に透明である旨が記載されているものの、かすかに色づくことがある、とも記載されている。組成物の具体的な色については言及されておらず、青い色味を解消する方法については、全く触れられていない。また、チタン酸バリウムは日本国内では劇物に指定されているため、化粧料組成物に配合するには適当ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭62-228006号公報
【特許文献2】特開2001-262119号公報
【特許文献3】特開平8-48614号公報
【特許文献4】特表2018-514509号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】中原勝儼、色の科学、培風館、1989年第7版 P14-P16
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
チタン酸バリウム以外の物質で、酸化チタンや酸化亜鉛の代替となり、かつ青い色味を呈さない材料が必要とされている。
【0010】
本発明は、UV-Bを遮断する能力を有し、化粧料組成物に配合した際に透明性が高くて白浮き現象が生じにくく、更に青い色味を呈さない材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者らは、上記のような材料について鋭意検討した結果、平均粒子径が25nm以上110nm以下であるカルシウムチタン複合酸化物からなる粉体はUV-Bを遮断する能力を有しており、これを化粧料組成物に配合すると白浮き現象が発生せず、かつ青い色味を呈さないことを見出した。
【0012】
本発明は、限定されないが以下を含む。
[1]平均粒子径が25nm以上110nm以下であるカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる、化粧料組成物配合用粉体。
[2]前記粒子の円形度が0.80以上である、[1]に記載の粉体。
[3]前記粒子の表面の少なくとも一部に無機物及び/又は有機物の被覆層を有する[1]又は[2]に記載の粉体。
[4][1]から[3]のいずれか一項に記載の粉体と、分散媒とを含有する分散体。
[5][1]から[3]のいずれか一項に記載の粉体または[4]に記載の分散体を含有する、化粧料組成物。
[6][1]から[3]のいずれか一項に記載の粉体または[4]に記載の分散体を、カルシウムチタン複合酸化物の量が300g/kg以下となる量で含有する、化粧料組成物。
【発明の効果】
【0013】
本発明で得られる粉体を配合した化粧料組成物は、UV-Bを遮断する能力に優れるため、UV-Bを遮断する化粧料組成物として好適に使用することができる。
【0014】
また、本発明で得られる粉体を配合した化粧料組成物は、透明性が高いため、肌に塗布した際に白浮き現象が発生せず、使用者に自然な印象を与えることができる。
【0015】
更に、本発明で得られる粉体を配合した化粧料組成物は、青い色味を呈さない。青い色味とは、一般的にJIS慣用名でいう青色、若しくはそれに近い色味を指す。使用者の身体的特徴や観察者の感覚による個人差は大きいものの、一般的には、使用者の顔面上にこれらの色味を呈する部分が存在すると、健康状態が優れないかのような印象を与えてしまい、化粧料としての使用目的を著しく損なう。本発明の化粧料組成物は、青い色味を呈さないため、使用者に健康的な印象を与えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明で得られる「カルシウムチタン複合酸化物からなる粉体」とは、粉体を構成する粒子の多くがカルシウムチタン複合酸化物粒子である粉体であること、あるいは個々の粒子の組成に占めるカルシウムチタン複合酸化物の割合が大きいことを意味する。本発明の粉体は、全ての粒子が不純物を全く含有しない純粋なカルシウムチタン複合酸化物からなることが最も好ましいが、カルシウムチタン複合酸化物以外にも、カルシウムチタン複合酸化物の合成反応時の未反応物や、原料由来の不可避的不純物、被覆層由来の無機物及び/又は有機物を含んでいてもよい。具体的には、粉体全体の中で600g/kg以上、好ましくは650g/kg以上、一層好ましくは700g/kg以上がカルシウムチタン複合酸化物で構成されていれば、本発明の効果を実現するカルシウムチタン複合酸化物からなる粉体と見なすことができる。
【0017】
本発明の化粧料組成物に配合する粉体は、粉体を構成する粒子の平均粒子径が110nm以下であり、より好ましくは100nm以下、更に好ましくは95nm以下、一層好ましくは93nm以下である。平均粒子径が110nm以下であれば、白浮き現象が発生せず、また青い色味を呈さない。また、平均粒子径は25nm以上であり、より好ましくは、30nm以上、一層好ましくは35nm以上である。平均粒子径が25nm以上であれば、化粧料組成物に配合して使用する場合に問題となるような凝集が発生する確率は十分小さくなる。平均粒子径は、後述する方法で評価する。なお、本発明で平均粒子径をいうときは、少数点第一位を四捨五入した値をいう。
【0018】
本発明の粉体は、化粧料組成物に配合した際に、白浮き現象が発生せず、かつ青い色味を呈さないという効果を奏する。そのような効果が得られるメカニズムは明らかにはなっていないが、本発明の粉体を構成する粒子の平均粒子径が小さいことと、カルシウムチタン複合酸化物が適度な屈折率を有することとが光学的な相乗効果を生み、化粧料とした際の白浮き現象と青い色味の両方が抑制されるものと本発明者らは推測している。
【0019】
本発明の化粧料組成物に配合する粉体は、構成する粒子の粒子径の分布について、特に制限されない。但し、本発明においては、粉体を構成する個々の粒子の粒子径の分布は狭い方が好ましく、粒子径に対して粒子の個数をプロットしたヒストグラムは、ピークが単一になることが最も好ましい。あくまで目安としては、後述する方法で測定した約300個の粒子の粒子径の標準偏差が、15.0nmより小さいことが好ましい。
【0020】
本発明の化粧料組成物に配合する粉体は、粉体を構成する粒子の円形度が0.80以上であることが好ましい。より好ましくは、0.81以上である。円形度が0.80以上であれば、滑らかな感触を実現することができる。粒子の円形度には、特に上限はない。理論上、最大で1.00である。円形度は、後述する方法で評価する。
【0021】
本発明の化粧料組成物に配合する粉体は、円形度や形状のバラツキについては特に制限されない。但し、同じ円形度及び/または同じ形状の粒子の割合が大きいことが望ましい。具体的には、後述する方法で測定した約200個の粒子の円形度の標準偏差が、0.07より小さいことが好ましい。
【0022】
本発明の化粧料組成物に配合する粉体は、疎水性、光学特性などを付与するために、粉体を構成する粒子の表面の少なくとも一部に被覆層が存在していることが望ましい。被覆層は、有機物からなる被覆層が存在していても良いし、無機物からなる被覆層が存在していても良い。二層以上の被覆層が存在していても、あるいは有機層と無機層が両方存在していても良い。被覆層の詳細については後述する。
【0023】
本発明で得られる粉体は、通常、酸化チタンを含有しないか、若しくは含有量が小さい。本発明で得られる粉体を用いた化粧料組成物は、酸化チタンを含まない、若しくは酸化チタンの含有量が小さい化粧料として使用することができる。具体的には、粉体の酸化チタン含有量は200g/kg以下が好ましく、より好ましくは100g/kg以下である。含有量を評価する方法としては、X線回折測定で得られた酸化チタン由来のピーク強度とカルシウムチタン複合酸化物由来のピーク強度の比を、検量線に照らし合わせることで、得ることができる。なお、検量線は、混合割合が既知である、カルシウムチタン複合酸化物と酸化チタンの混合物を、最低でも3点以上測定してプロットすることで、作成する。
【0024】
本発明の化粧料組成物に配合する粉体は、分散媒中に分散させて分散体として使用することが望ましい。分散体はサンスクリーン剤、日焼け止め等の化粧料組成物に使用することができる。
【0025】
本発明で得られる粉体は、化粧料組成物に配合することが望ましい。化粧料組成物の剤型は特に制限されないが、代表的には、サンスクリーン剤をはじめとする肌用化粧料に配合することが望ましい。
【0026】
本発明で得られる粉体又は分散体を化粧料組成物に配合する際は、これらの配合量は、化粧料組成物中にカルシウムチタン複合酸化物の量が300g/kg以下、好ましくは270g/kg以下となるような量で配合することが望ましい。上記配合量が300g/kg以下であれば、化粧料組成物はなめらかな感触となり、更に透明性を高く保つことができる。配合量の下限は特に制限されない。一般的には、上記配合量が45g/kg以上であれば、紫外線防御剤を別途添加しなくても、化粧料に十分な紫外線防御効果を付与できる。より好ましくは50g/kg以上である。他の紫外線防御剤と併用する場合、又は紫外線防御効果を求められない化粧料組成物に配合する場合などには配合量がより小さくても構わない。配合量の下限は、あくまで目安としては10g/kgであり、より好ましくは20g/kgである。
【0027】
(製造方法)
本発明の化粧料組成物に配合する粉体の製造方法は特に制限されないが、代表的には、メタチタン酸に代表されるチタン源と、水酸化カルシウムに代表されるカルシウム源とを混合して加熱し、過剰なカルシウムを取り除くことで、得ることができる。
【0028】
本発明の化粧料組成物に配合するカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体を製造する際は、原料にグルコース、フルクトース等の単糖類及び、マルトース等の二糖類から選択される1種又は2種以上の糖を添加しても良い。上記のような糖を添加する場合、これらの添加量は、チタンに対して合計で0.500mol以下であることが好ましい。糖の添加量が0.500molm以下であれば、糖及び酸化チタンが残存しにくい。また、一般に糖の添加量が大きいと粒子が小さくなる傾向があるが、化粧料組成物に配合する際には粒子が小さすぎないことが好ましく、その点からも添加する糖の濃度はチタンに対して合計で0.500mol以下であることが好ましい。下限値は特に限定されないが、チタンに対して0.030mol以上であることが好ましく、0.031mol以上であればより好ましい。なお、カルシウムを水に溶解しない場合は、糖の添加は不要である。
【0029】
本発明の化粧料組成物に配合する粉体は、オートクレーブを用いて高温及び高圧下で反応させることにより製造することができる。
【0030】
また、本発明の化粧料組成物に配合する粉体は、チタン源とカルシウム源を混合し、高温で焼成することにより製造することもできる。
【0031】
本発明の化粧料組成物に配合する粉体は、上記の方法以外を用いて合成しても良い。例えば、特開2020-075846号公報に記載の、チタンペルオキソ錯体分散液に金属化合物とアルコールを添加し、熱処理する方法を参考にして本発明の化粧料組成物に配合する粉体を製造しても良い。また、特開2008-303131号公報に記載の、カルシウムイオンとチタンイオン、及びその他のイオンを超臨界若しくは亜臨界状態の水中にて水熱反応させる方法を参考にして本発明の化粧料組成物に配合する粉体を製造しても良い。
【0032】
(表面被覆処理)
本発明の、化粧料組成物に配合する粉体は、例えば分散媒体中での分散安定性や光学特性の付与のため、粉体を構成する粒子の表面の少なくとも一部に、アルミニウム、珪素、亜鉛、チタニウム、ジルコニウム、鉄、セリウム及びスズ等の金属の含水酸化物又は酸化物のような無機物の被覆層を付してもよい。上記以外の金属塩を無機物の被覆として用いてもよい。また、粒子の表面の少なくとも一部に、疎水処理に代表される表面改質を施すために、有機物の被覆層を付してもよい。有機物の被覆としては、ジメチルポリシロキサン、ハイドロゲンジメチコン、ポリシロキサン等のシリコーン化合物、シラン系、アルミニウム系、チタニウム系およびジルコニウム系等のカップリング剤、パーフルオロアルキルリン酸化合物等のフッ素化合物、炭化水素、レシチン、アミノ酸、ポリエチレン、ロウ、金属石けん等を処理することを挙げることができる。これらの処理を複数組み合わせて実施してもよく、その際処理の順番に特に制限はない。表面処理の方法は特に限定されず、慣用される方法を用いればよい。例えば、被覆層の材料と粉体とを混合した後、加熱処理するなどの方法を用いて被覆層を形成させることができる。
【0033】
(分散)
本発明の化粧料組成物に配合する粉体は、分散媒中に分散させた分散体の形態で使用することが望ましい。分散媒の種類は特に限定されず、水系の分散媒でも油系の分散媒でも構わない。具体例としては、水系の分散媒としては水、エタノール、イソブチルアルコール、プロパンジオール、フェノキシエタノール、ポリビニルアルコールなど、油系の分散媒としてはアロマオイル、オリーブオイル、グリセリン、スクワラン、キャンデリラロウ、1,3-ブチレングリコール、ペンチレングリコール、トルエン、ワセリン、ひまし油、ラノリン、ミツロウ、イソドデカン、パラフィン、シリコーンなどが挙げられる。分散の方法は特に限定されない。具体的には、分散媒の量や粘度に応じてホモジナイザー、ホモミクサー、ビーズミルなどの装置を使用することができる。分散媒の種類や量によっては、分散前に表面被覆処理を行うことが望ましい。
【0034】
(化粧料組成物)
本発明で得られる粉体は、化粧料組成物に配合して使用することができる。特に肌用化粧料に配合し、UV-Bを遮断する能力を活かしてサンスクリーン剤として使用することが好ましい。その他にも、ファンデーション、スキンケア用品、化粧下地、サンオイル等の幅広い用途で使用することができる。
【0035】
本発明で得られる粉体を配合した化粧料組成物は、UV-Bを遮断する能力に優れるため、UV-Bを遮断する化粧料組成物として好適に使用することができる。UV-B領域の透過率積分値が小さいほどUV-Bを遮断する能力が大きく、特にUV-B領域の透過率積分値が800%・nmより小さければ、UV-Bを遮断する能力が十分大きいと判断できる。なお、本発明においては280nm以上320nm以下をUV-B領域とする。
【0036】
また、本発明で得られる粉体を配合した化粧料組成物は、透明性が高いため、肌に塗布した際に白浮き現象が発生せず、使用者に自然な印象を与えることができる。人間が認識可能な領域(以下「視認可能領域」とする)の光の透過率積分値が大きいほど透明性が高く、特に視認可能領域の透過率積分値が35000%・nmより大きければ、透明性が十分高いと判断できる。なお、本発明においては380nm以上800nm以下を視認可能領域とする。
【0037】
更に、本発明で得られる粉体を配合した化粧料組成物は、青い色味を呈さない。紫色及び青色を示す領域(以下「青色領域」とする)の光の透過率積分値が大きいほど青みのある散乱光強度が小さくなり、結果として青い色味を呈しにくくなる。特に青色領域の透過率積分値が9000%・nmより大きければ、青い色味を呈さないと判断できる。更に、青色領域の透過率積分値を視認可能領域の透過率積分値で除した値が0.250より大きければ、より好ましい。なお、本発明においては380nm以上500nm以下を青色領域とする。
【0038】
青い色味とは、一般的にJIS慣用名でいう青色、若しくはそれに近い色味を指す。使用者の身体的特徴や観察者の感覚による差は大きいものの、一般的には、使用者の顔面上にこれらの色味を呈する部分が存在すると、健康状態が優れないかのような印象を与えてしまい、化粧料としての使用目的を著しく損なう。本発明の化粧料組成物は、青い色味を呈さないため、使用者に健康的な印象を与えることができる。
【0039】
本発明で得られる粉体を用いた化粧料組成物は、本発明の効果を損なわない量的、質的範囲内で他の粉体(顔料)を加えて色味を調整することができる。通常併用できる無機顔料には、酸化チタン、酸化亜鉛、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、紺青、酸化セリウム、タルク、白雲母、合成雲母、金雲母、黒雲母、合成フッ素金雲母、雲母チタン、雲母状酸化鉄、セリサイト、ゼオライト、カオリン、ベントナイト、クレー、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、チッ化ホウ素、オキシ塩化ビスマス、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、カラミン、ヒドロキシアパタイトおよびこれらの複合体等を用いることができる。同じく併用できる有機顔料には、シリコーン粉末、シリコーン弾性粉末、ポリウレタン粉末、セルロース粉末、ナイロン粉末、ウレタン粉末、シルク粉末、PMMA粉末、スターチ、ポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、カーボンブラック、タール色素、天然色素、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸およびこれらの複合体等を用いることができる。
【0040】
本発明で得られる粉体を用いた化粧料組成物には、UV-AやUV-Cを遮断する能力を付与するために、若しくはUV-Bを遮断する能力を更に高めるために、本発明の効果を損なわない量的、質的範囲内で紫外線防御剤を別途添加しても良い。添加する紫外線防御剤は有機紫外線防御剤でも、無機紫外線防御剤でも構わない。なお本発明で得られる粉体を用いた化粧料組成物は、紫外線防御剤を別途添加しなくても、一般的なサンスクリーン剤や日焼け止めに求められるUV-B遮断能力を備えている。したがって、本発明の化粧料組成物は、本発明の粉体以外の紫外線防御剤を含んでいなくてもよい。
【0041】
本発明で得られる粉体を用いた化粧料組成物は、目的に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲内で上記の成分以外の他の成分も配合することができる。例えば、油性成分、色素、pH調整剤、保湿剤、増粘剤、界面活性剤、分散剤、安定化剤、着色剤、防腐剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、収斂剤、消炎剤、香料等も、本発明の目的を達する範囲内で適宜配合することができる。特に、マイカに代表される板状化合物を配合するとすべり性が良好となるので、望ましい。
【0042】
以下に、本発明で得られる粉体を配合した化粧料の剤型の例を挙げる。
【0043】
本発明で得られる粉体を用いた化粧料組成物は、液状化粧料として使用することができる。剤型としては水性分散液、油性分散液、ローション状等のいずれの状態であってもよく、例えばサンスクリーン剤、サンオイル、メークアップベース、スキンケア化粧料、ヘアケア化粧料等とすることができる。
【0044】
本発明で得られる粉体を用いた化粧料組成物は、液状化粧料とした後、噴霧して使用することもできる。噴霧した際の化粧料の形状は泡状、霧状等のいずれの状態でもよい。例えば噴霧(スプレー)型のサンスクリーン剤、メークアップベース、スキンケア化粧料、ヘアケア化粧料等とすることができる。
【0045】
本発明で得られる粉体を用いた化粧料組成物は、ゲル状化粧料としても使用することができる。剤型としてはクリーム状、乳液状、油性液状、ペースト状等のいずれの状態であってもよく、例えばサンスクリーン剤、メークアップベース、リップクリーム等のメークアップ化粧料、ヘアケア化粧料等とすることができる。また、身体を洗う化粧料組成物、例えばシャンプー、リンス、ボディーシャンプー、洗顔フォーム、ピールオフパック、練り歯磨き等にも使用することができる。
【0046】
本発明で得られる粉体を用いた化粧料組成物は、固体状化粧料としても使用することができる。剤型としては粉末状、粉末固形状、ペースト状、油性固形状等のいずれの状態であってもよく、例えばサンスクリーン剤、メークアップベース、ファンデーション、ルースパウダー、コンシーラー、フェースパウダー、ボディーパウダー、パヒュームパウダー、ベビーパウダー等のメークアップ化粧料、スキンケア化粧料、ヘアケア化粧料等とすることができる。
【0047】
いずれの剤型で用いた場合であっても、本発明で得られる粉体の、UV-Bを遮断し、透明性が高く、更に青い色味を呈さない、という一連の特徴は、多くの化粧料の剤型において有用である。
【0048】
本発明で得られる粉体を配合した化粧料組成物は、使用者の性別に関わらず好適に使用することができる。また本発明で得られる粉体の主成分であるカルシウムチタン複合酸化物は健康被害が報告されていないことから、使用者の年齢に関わらず好適に使用することができる。
【0049】
本発明で得られる粉体を用いた化粧料組成物は、人間を除く動物に対しても好適に使用することができる。代表的な用途としては、飼い犬用の日焼け止めが挙げられる。こうした用途では、動物が舐めて摂取してしまう事例があるため、健康被害が報告されていないカルシウムチタン複合酸化物からなる粉体である点は、人間を除く動物に対して処方する際にも有用である。
【0050】
本発明で得られる粉体は、そのUV-Bを遮断する能力と高い透明性を活かし、化粧料以外の用途にも使用することができる。代表的な用途としては、近年流行しているプラスチック製のサンバイザーに添加し、紫外線防御の一助とする例や、家屋用の塗料に使用することで、紫外線による外壁の劣化を緩和することが挙げられる。近年、健康意識の高まりから、様々な分野で酸化チタンを含む製品を避けるユーザーが増えているが、本発明で得られる粉体を使用した製品であれば、そうしたユーザーの需要を満たすことができる。
【0051】
実施例の説明に先立ち、本発明で用いた試験方法について説明する。
【0052】
[粒子径、平均粒子径]
日本電子製透過型電子顕微鏡JEM-1400plusを用いて測定した。観察倍率は、50,000倍(透過型電子顕微鏡の観察倍率10,000倍×印画5倍)とした。観察視野内の約300個の粒子の直径を、画像解析ソフトImageJを用いて評価し、粒子径とした。約300個の粒子の粒子径の平均値を、本発明における平均粒子径とした。
【0053】
[円形度]
円形度は、粒子を二次元に投影した時の円形度で評価し、(粒子面積と等しい円の周囲長)/(粒子周囲長)で求めた。粉体を構成する粒子約200個の円形度の平均値を、本発明における円形度とした。
【0054】
[比表面積]
比表面積は、MICROMERITICS INSTRUMENT CO.製ジェミニVII2390を用いて、BET一点法にて測定した。
【0055】
[透過率積分値]
まず、以下の手順で本発明の粉体を含む分散体を作製した。
日陶科学株式会社製自動乳鉢ALG-200WDに粉体(表面被覆処理をしていないもの)40.0gと、信越化学工業株式会社製メチルハイドロジェンポリシロキサンKF-9901を4.8g添加し、乳棒回転速度100rpmにて60分間混合し、110℃で3時間熱処理し、表面処理粉体を得た。
【0056】
アイメックス株式会社製イージーナノRMB型に、表面処理粉体20.0g、ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(信越化学工業株式会社製KF-6106)5.0g、デカメチルシクロペンタシロキサン(信越化学工業株式会社製KF-995)25.0g、φ0.5mmビーズ(株式会社ニッカトー製ジルコニアボールYTZ(登録商標)-0.5)200.0gを投入し、ディスク周速12m/sで120分間分散し、ビーズをろ別し、分散体を得た。
【0057】
得られた分散体を元に分光評価用試料を作製した。分散体3.75gとデカメチルシクロペンタシロキサン(信越化学工業株式会社製KF-995)5.25gを、25mmディスパー鋸歯型タービンを取り付けたプライミクス株式会社製ラボ・リューション(登録商標)で5000rpm、2分間撹拌した。その後、純水6.00gをゆっくり添加しながら5000rpmで5分間撹拌し、簡易的な化粧料としてW/O乳化型サンスクリーン剤を作製した。得られたサンスクリーン剤をNo.3バーコーターを使用して60mm×60mm×3mmの石英板に塗布し、家庭用ヘアドライヤーを用いて1200Wの温風にかざして乾燥させ、これを分光評価用試料とした。
【0058】
得られた分光評価用試料を、日本分光株式会社製分光光度計V-670を用いて、データ取込間隔2nm、UV/Visバンド幅2.0nm、走査速度1000nm/min、光源D2/WI、ダブルビーム方式で、波長250nmから800nmまでの透過率を測定した。測定結果から、波長380nm以上800nm以下の領域の透過率を積分し、得られた積分値を視認可能領域の透過率積分値とした。視認可能領域の透過率積分値が大きいほど、透明性が高い、と判断することができる。380nm以上500nm以下の領域及び280nm以上320nm以下の領域についても同様に透過率積分値を求め、それぞれ青色領域の透過率積分値、UV-B領域の透過率積分値、とした。
なお、化粧品組成物を上記のサンスクリーン剤として用いることにより、化粧品組成物自体の各種透過率積分値を求めることもできる。
【実施例0059】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、以下の実施例は単に例示のために示すものであり、発明の範囲がこれらによって何ら制限されるものではない。
【0060】
なお、実施例及び比較例中に記載の撹拌操作では、液量や液の粘度、容器の形状といった、撹拌時の液の挙動に関係する性状を考慮し、液全体が均一に混合され、かつ飛沫が周囲に飛び散らないように回転数を適切に調整している。また、水酸化ナトリウムなど、一般的な市販品であればどの企業の製品を使用しても同じ効果が得られる場合、製造元及び販売元の企業名を省略している。
【0061】
[実施例1]
硫酸法で得られたメタチタン酸を脱鉄漂白処理した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9.0とし、脱硫処理を行い、その後、塩酸によりpH5.8まで中和し、ろ過水洗を行って、SO3含有量が9.3g/kgのメタチタン酸の洗浄済みケーキを得た。洗浄済みケーキに水を加えて、Tiとして2.13mol/Lのスラリーとした後、塩酸を加えてpH1.4とし、解膠処理を行った。解膠処理品であるメタチタン酸をTiO2として0.764mol採取して反応容器に投入した。これにCa/Tiモル比で1.15となるように水酸化カルシウムを添加し、さらにグルコースを30.05g添加した後、水酸化ナトリウムを0.90mol添加し、水を加えて総容量を0.6Lとして、当該混合溶液を30分間撹拌した。
【0062】
前記混合溶液をさらに撹拌混合しつつオートクレーブを用いて150℃に加温し、10.0時間撹拌しながら保持した後、50℃まで冷却し、pH5.5となるまで塩酸を加え、さらに1時間撹拌を続けた。得られた沈殿をデカンテーション洗浄し、ろ過による分離後、大気中、120℃で10時間乾燥して、カルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体を得た。得られた粉体を構成する粒子の平均粒子径は31nm、円形度は0.820、比表面積は116.4m2/gであり、これを用いて分光評価用試料を作製し、透過率積分値を評価したところ、視認可能領域の透過率積分値は35913%・nm、青色領域の透過率積分値は9448%・nm、UV-B領域の透過率積分値は622%・nmであった。
【0063】
[実施例2]
メタチタン酸の採取量をTiO2として0.675molに、グルコース添加量を8.02gに、グルコース添加後に加える水酸化ナトリウムを1.08molに変更し、150℃で保持する時間を6.0時間に変更したことを除いては、実施例1と同様の方法でカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体を得た。得られた粉体を構成する粒子の平均粒子径は62nm、円形度は0.824、比表面積は74.2m2/gであり、これを用いて分光評価用試料を作製し、透過率積分値を評価したところ、視認可能領域の透過率積分値は35682%・nm、青色領域の透過率積分値は9422%・nm、UV-B領域の透過率積分値は601%・nmであった。
【0064】
[実施例3]
メタチタン酸の採取量をTiO2として0.675molに、グルコース添加量を4.01gに、グルコース添加後に加える水酸化ナトリウムを1.08molに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法でカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体を得た。得られた粉体を構成する粒子の平均粒子径は93nm、円形度は0.814、比表面積は60.3m2/gであり、これを用いて分光評価用試料を作製し、透過率積分値を評価したところ、視認可能領域の透過率積分値は35340%・nm、青色領域の透過率積分値は9113%・nm、UV-B領域の透過率積分値は251%・nmであった。
【0065】
[実施例4]
メタチタン酸を空気中、500℃で40分間焼成した。得られたメタチタン酸焼成品をTiO2として0.021mol採取し、メタチタン酸の焼成品と炭酸カルシウム6.32gを株式会社石川工場製石川式撹拌擂潰機AGA型で4時間粉砕混合した。粉砕混合した原料を850℃で40分間焼成した。
【0066】
純水に塩酸を添加した液中で焼成品を洗浄し、更に純水で洗浄した後、大気中、120℃で乾燥して、カルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体を得た。得られた粉体を構成する粒子の平均粒子径は37nm、円形度は0.870、比表面積は42.9m2/gであり、これを用いて分光評価用試料を作製し、透過率積分値を評価したところ、視認可能領域の透過率積分値は36220%・nm、青色領域の透過率積分値は9579%・nm、UV-B領域の透過率積分値は374%・nmであった。
【0067】
[比較例1]
メタチタン酸の採取量をTiO2として0.675molに、グルコース添加量を3.51gに、グルコース添加後に加える水酸化ナトリウムを1.08molに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法でカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体を得た。得られた粉体を構成する粒子の平均粒子径は131nm、円形度は0.837、比表面積は44.0m2/gであり、これを用いて分光評価用試料を作製し、透過率積分値を評価したところ、視認可能領域の透過率積分値は33006%・nm、青色領域の透過率積分値は7942%・nm、UV-B領域の透過率積分値は217%・nmであった。
【0068】
[比較例2]
メタチタン酸の採取量をTiO2として0.675molに、グルコース添加量を2.76gに、グルコース添加後に加える水酸化ナトリウムを1.08molに変更し、加温する操作を大気中、95℃、保持時間18.0時間で行ったことを除いては、実施例1と同様の方法でカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体を得た。得られた粉体を構成する粒子の平均粒子径は212nm、円形度は0.826、比表面積は34.9m2/gであり、これを用いて分光評価用試料を作製し、透過率積分値を評価したところ、視認可能領域の透過率積分値は32618%・nm、青色領域の透過率積分値は7671%・nm、UV-B領域の透過率積分値は293%・nmであった。
【0069】
[比較例3]
メタチタン酸の採取量をTiO2として0.675molに、グルコースを添加せず、その後の段階で加える水酸化ナトリウムを1.08molに変更し、加温する操作を大気中、95℃、保持時間18.0時間で行ったことを除いては、実施例1と同様の方法でカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体を得た。得られた粉体を構成する粒子の平均粒子径は311nm、円形度は0.697、比表面積は16.8m2/gであり、これを用いて分光評価用試料を作製し、透過率積分値を評価したところ、視認可能領域の透過率積分値は24013%・nm、青色領域の透過率積分値は4205%・nm、UV-B領域の透過率積分値は493%・nmであった。
【0070】
[比較例4]
チタン工業株式会社製化粧品用超微粒子酸化チタンST-450ECの粉体を使用した。この粉体の粒子径は38nm、円形度は0.470、比表面積51.3m2/gであり、これを用いて分光評価用試料を作製し、透過率積分値を評価したところ、視認可能領域の透過率積分値は35191%・nm、青色領域の透過率積分値は8723%・nm、UV-B領域の透過率積分値は3%・nmであった。
【0071】
[参考例1]
市販のW/O乳化型サンスクリーン剤を石英板に塗布・乾燥し、分光評価用試料とし、透過率積分値を評価したところ、視認可能領域の透過率積分値は32396%・nm、青色領域の透過率積分値は8243%・nm、UV-B領域の透過率積分値は953%・nmであった。
【0072】
【0073】
【0074】
表1は、実施例及び比較例の製造条件を示す。
【0075】
表2は、実施例、比較例並びに参考例の粉体特性及び透過率積分値を示す。
【0076】
表2より、平均粒子径が25nm以上110nm以下であるカルシウムチタン複合酸化物粒子を配合した化粧料組成物は、UV-B領域の透過率積分値が800%・nmより小さく、かつ視認可能領域の透過率積分値が35000%・nmより大きく、青色領域の透過率積分値が9000%・nmより大きく、更に青色領域の透過率積分値を視認可能領域の透過率積分値で除した値が0.250より大きい。粒子径が110nmより大きい比較例1から3、及びカルシウムチタン複合酸化物ではなく酸化チタンを用いた比較例4については、上記の条件を満たさない。
【0077】
以上の評価結果より、本発明の粉体はUV-Bを遮断する能力を有し、また化粧料組成物に配合すると、透明性が高く、かつ青い色味を呈さないと考えられる。
【0078】
本発明の粉体を化粧料組成物に配合した際の透明性及び青い色味について、官能試験を実施した。
【0079】
(化粧料組成物の官能評価)
実施例及び比較例の粉体を用い、上記の[透過率積分値]の欄に記載した方法でW/O型サンスクリーン剤を作製した。
【0080】
(白浮き現象)
得られたサンスクリーン剤と参考例1のサンスクリーン剤をパネラー10名の顔面に塗布し、白浮き現象について、下記の基準に従って採点した。点数が高いほど、白浮き現象の発生が少ないことを示す。
(評価基準)
3点:30cmの距離から見ても、塗っていない箇所と比較して違和感がない。
2点:30cmの距離から見ると違和感があるが、1m離れた位置からであれば、違和感がない。
1点:1m以上離れた位置からでも違和感がある。
【0081】
(青い色味)
得られたサンスクリーン剤と参考例1のサンスクリーン剤をパネラー10名の顔面に塗布し、青い色味について、下記の基準に従って採点した。点数が高いほど、青い色味が少ないことを示す。
(評価基準)
3点:30cmの距離から見ても、青い色味はない。
2点:30cmの距離から見ると青白い印象を受けるが、1m離れた位置からであれば、特に気にならない。
1点:1m以上離れた位置から見ても、青白い印象がある。
(総合評価の判定基準)
A:白浮き現象の点数と、青い色味の点数の合計が6点
B:白浮き現象の点数と、青い色味の点数の合計が4点以上6点未満
C:白浮き現象の点数と、青い色味の点数の合計が4点未満
【0082】
【0083】
官能評価の結果から、平均粒子径が25nm以上110nm以下であるカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体を用いたサンスクリーン剤は、白浮き現象が起こりにくく、また青い色味も呈さないことがわかる。また比較例4の既存の二酸化チタンを用いたサンスクリーン剤と比較すると、白浮き現象の起こりにくさには遜色がなく、更に、青い色味を呈しにくかった。更に市販品である参考例1と比較すると、白浮き現象の起こりにくさ、青い色味の呈しにくさ、ともに改善されていた。
【0084】
以上の評価結果より、本発明の化粧料組成物に配合するカルシウムチタン複合酸化物からなる粉体は、透過率積分値の評価結果の通り、化粧料組成物に配合した場合、白浮き現象が生じにくく、かつ青い色味を呈さないといえる。
【0085】
肌用化粧料は、本発明の主な態様である。以下に、処方例を示す。
【0086】
[処方例1]
(パウダーファンデーションの製造)
下記成分1から成分13を混合して均一に粉砕した後(工程A)、成分15から成分17を均一に混合し、工程Aで得られた混合粉砕物に加えて均一にした(工程B)。更に、成分14を添加し、金型にプレス成型してパウダーファンデーションを得た(工程C)。
【0087】
得られたパウダーファンデーションは、肌に塗布した際に白浮き現象が発生せず、青い色味も呈さなかった。また、塗布した箇所を後日確認したところ、日焼けがごく軽微であった。
(成分) 配合比(g/kg)
1 .カプリリルシラン処理マイカ(注1) 400
2 .カプリリルシラン処理赤酸化鉄(注1) 50
3 .シリコーン処理タルク(注2) 残余
4 .シリコーン処理実施例2記載粉体(注2) 50
5 .シリコーン処理微粒子酸化チタン(注2) 50
6 .シリコーン処理硫酸バリウム(注2) 100
7 .シリコーン処理ベンガラ(注2) 4
8 .シリコーン処理黄酸化鉄(注2) 20
9 .シリコーン処理アンバー(注2) 4
10.シリコーン処理黒酸化鉄(注2) 1
11.フェニル変性ハイブリッドシリコーン複合粉体(注3) 20
12.球状ポリメチルシルセスキオキサン粉体(注4) 5
13.防腐剤 適量
14.香料 適量
15.架橋型ジメチルポリシロキサン(注5) 40
16.トリオクタン酸グリセリル 20
17.スクワラン 10
(注1)信越化学工業株式会社製AES-3083で表面を処理済み
(注2)信越化学工業株式会社製KF-9909で表面を処理済み
(注3)信越化学工業株式会社製KSP-300
(注4)信越化学工業株式会社製KMP-590
(注5)信越化学工業株式会社製KSG-16
【0088】
[処方例2]
(プレストパウダーの製造)
下記成分1から成分7を混合粉砕した後(工程A)、この混合粉砕物をミキサーに移し、成分8から成分12を加えて均一になるよう撹拌混合し(工程B)、サンプルミルにて粉砕し、これをアルミ皿にプレス成型してプレストパウダーを得た(工程C)。
【0089】
得られたプレストパウダーは、肌に塗布した際に白浮き現象が発生せず、青い色味も呈さなかった。また、塗布した箇所を後日確認したところ、日焼けがごく軽微であった。
(成分) 配合比(g/kg)
1 .タルク 残余
2 .PMMA(注1) 100
3 .セリサイト 300
4 .鱗片状シリカ(注2) 30
5 .実施例1記載粉体 60
6 .防腐剤 適量
7 .色材 適量
8 .メトキシケイヒ酸オクチル 30
9 .スクワラン 20
10.防腐剤 適量
11.抗酸化剤 適量
12.香料 適量
(注1)松本油脂製薬株式会社製マツモトマイクロスフェアM-100、7μm品
(注2)AGCエスアイテック株式会社製サンラブリー(登録商標)C
【0090】
[処方例3]
(ルースパウダーの製造)
下記成分1から成分7を混合粉砕した後(工程A)、この混合粉砕物をミキサーに移し、成分8から成分10を加えて均一になるよう撹拌混合した(工程B)。更に、工程Bで得られた混合物をサンプルミルにて粉砕し、これを充填しルースパウダーを得た(工程C)。
【0091】
得られたルースパウダーは、肌に塗布した際に白浮き現象が発生せず、青い色味も呈さなかった。また、塗布した箇所を後日確認したところ、日焼けがごく軽微であった。
(成分) 配合比(g/kg)
1 .タルク 残余
2 .実施例4記載粉体 50
3 .アミホープLL 30
4 .PMMA(注1) 80
5 .防腐剤 適量
6 .色材 適量
7 .スクワラン 10
8 .防腐剤 適量
9 .抗酸化剤 適量
10.香料 適量
(注1)松本油脂製薬株式会社製マツモトマイクロスフェアS-100、10μm品
【0092】
[処方例4]
(油性ファンデーションの製造)
下記成分1から成分6をミキサーにて混合し、均一に粉砕した後(工程A)、成分7から成分16を85℃に加熱して溶解し、工程Aで得られた混合粉砕物を加え均一に撹拌し(工程B)、脱泡後、トレイに固形分を流し込み、室温まで徐冷し、油性ファンデーションを得た(工程C)。
【0093】
得られた油性ファンデーションは、肌に塗布した際に白浮き現象が発生せず、青い色味も呈さなかった。また、塗布した箇所を後日確認したところ、日焼けがごく軽微であった。
(成分) 配合比(g/kg)
1 .シリコーン処理タルク(注1) 53
2 .シリコーン処理実施例3記載粉体(注1) 150
3 .シリコーン処理セリサイト(注1) 282
4 .シリコーン処理ベンガラ(注1) 5
5 .シリコーン処理黄酸化鉄(注1) 18
6 .シリコーン処理黒酸化鉄(注1) 2
7 .キャンデリラロウ 10
8 .カルナウバロウ 10
9 .セレシン 15
10.デカメチルシクロペンタシロキサン 140
11.イソノナン酸イソノニル 残余
12.ジイソステアリン酸ポリグリセリル 20
13.パルミチン酸デキストリン 10
14.メトキシケイヒ酸オクチル 30
15.防腐剤 適量
16.抗酸化剤 適量
(注1)信越化学工業株式会社製KF-96A-50csで表面を処理済み
【0094】
[処方例5]
(スティックファンデーションの製造)
下記成分12から成分16をミキサーにて混合した(工程A)。また、全量が仕込める容器に成分1から成分11を秤量し、85℃に加熱し、溶解した(工程B)。更に、別の容器に成分17から成分21を秤量し、溶解した(工程C)。その後、工程Bで得られた加熱溶解物に、工程Aで得られた混合物を加え、撹拌機にて目視で均一になるまで分散し、更に工程Cで得られた加熱溶解物を加えて乳化した(工程D)。脱泡後、型に固形分を流し込み、室温まで徐冷し、スティックファンデーションを得た(工程E)。
【0095】
得られたスティックファンデーションは、肌に塗布した際に白浮き現象が発生せず、青い色味も呈さなかった。また、塗布した箇所を後日確認したところ、日焼けがごく軽微であった。
(成分) 配合比(g/kg)
1 .ジメチルポリシロキサン 180
2 .デカメチルシクロペンタシロキサン 300
3 .メトキシケイヒ酸オクチル 50
4 .リンゴ酸ジイソステアリル 40
5 .キャンデリラワックス 60
6 .水素添加ホホバエステル 40
7 .セチルジメチコンコポリオール 20
8 .セスキイソステアリン酸ソルビタン 5
9 .酸化防止剤 適量
10.防腐剤 適量
11.香料 適量
12.シリコーン処理色剤(注1) 5
13.シリコーン処理実施例1記載粉体(注1) 85
14.シリコーン処理タルク(注1) 60
15.シリコーン処理マイカ(注1) 20
16.ポリメタクリル酸メチル 20
17.精製水 残余
18.クエン酸ナトリウム 3
19.1,3-ブチレングリコール 30
20.グリセリン 20
21.防腐剤 適量
(注1)信越化学工業株式会社製KF-99Pで表面を処理済み
【0096】
[処方例6]
(W/O乳化型ファンデーションの製造)
下記成分12から成分14をミキサーにて撹拌混合した後(工程A)、成分1から成分11を加え、撹拌機を用いて目視で均一になるまで分散した(工程B)。一方、別の容器に成分15から成分19を加熱溶解した(工程C)。その後、工程Bで得られた分散物に工程Cで得られた加熱溶解物を加え乳化した後、室温まで冷却し、W/O乳化型ファンデーションを得た(工程D)。
【0097】
得られたW/O乳化型ファンデーションは、肌に塗布した際に白浮き現象が発生せず、青い色味も呈さなかった。また、塗布した箇所を後日確認したところ、日焼けがごく軽微であった。
(成分) 配合比(g/kg)
1 .POE変性シリコーン(注1) 8
2 .ポリリシノレイン酸ポリグリセリル 5
3 .ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 30
4 .スクワラン 10
5 .テトラオクタン酸ペンタエリスリチル 20
6 .ステアリン酸イヌリン(注2) 10
7 .メトキシケイヒ酸オクチル 40
8 .デカメチルシクロペンタシロキサン 154
9 .防腐剤 適量
10.抗酸化剤 適量
11.香料 適量
12.シリコーン処理実施例4記載粉体(注3) 80
13.シリコーン処理タルク(注3) 57
14.シリコーン処理色剤(注3) 10
15.精製水 残余
16.1,3-ブチレングリコール 60
17.グリセリン 10
18.塩化ナトリウム 10
19.防腐剤 適量
(注1)HLB値4.5品
(注2)千葉製粉株式会社製レオパール(登録商標)ISK
(注3)信越化学工業株式会社製KF-9901で表面を処理済み
【0098】
[処方例7]
(O/W乳化型ファンデーションの製造)
下記成分1から成分7を85℃にて加熱溶解した(工程A)。また、成分8から成分10を混合粉砕した(工程B)。更に、成分11から成分15を85℃に加熱し、溶解混合した(工程C)。その後、工程Aで得られた加熱溶解物に工程Bで得られた混合粉砕物を加え、撹拌機を用いて目視で均一になるまで分散し、これに工程Cで得られた溶解混合物を徐々に添加し乳化を行い、室温まで撹拌冷却した。次いで、適当な容器に充填しO/W乳化型ファンデーションを得た(工程D)。
【0099】
得られたO/W乳化型ファンデーションは、肌に塗布した際に白浮き現象が発生せず、青い色味も呈さなかった。また、塗布した箇所を後日確認したところ、日焼けがごく軽微であった。
(成分) 配合比(g/kg)
1 .ステアリン酸 4
2 .イソステアリン酸 3
3 .2-エチルヘキサン酸セチル 40
4 .流動パラフィン 110
5 .ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル 20
6 .セチルアルコール 3
7 .防腐剤 2
8 .タルク 150
9 .色剤 40
10.実施例2記載粉体 50
11.トリエタノールアミン 4
12.プロピレングリコール 50
13.精製水 521
14.防腐剤 2
15.抗酸化剤 1
【0100】
[処方例8]
(W/Oリキッドファンデーションの製造)
下記成分8から成分12を均一に混合後(工程A)、成分4の一部と成分13を混合し、工程Aで得られた混合物に加え、撹拌機を用いて目視で均一になるまで分散した。(工程B)。また、成分1から成分3、成分4の残部、及び成分5から成分7を混合し、撹拌機にて目視で均一になるまで分散した(工程C)。更に、成分14から成分18、及び成分20を混合し、撹拌機にて目視で均一になるまで分散した(工程D)。工程Cで得られた分散物を撹拌しながら工程Dで得られた混合物を徐添して乳化し、更に工程Bで得られた分散物及び成分19を添加してW/Oリキッドファンデーションを得た(工程E)。
【0101】
得られたW/Oリキッドファンデーションは、肌に塗布した際に白浮き現象が発生せず、青い色味も呈さなかった。また、塗布した箇所を後日確認したところ、日焼けがごく軽微であった。
(成分) 配合比(g/kg)
1 .架橋型ポリエーテル変性シリコーン(注1) 30
2 .架橋型ジメチルポリシロキサン(注2) 50
3 .分岐型ポリエーテル変性シリコーン(注3) 20
4 .デカメチルシクロペンタシロキサン 211
5 .イソオクタン酸セチル 50
6 .ジメチルポリシロキサン(注4) 65
7 .ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 12
8 .シリコーン処理実施例3記載粉体(注5) 50
9 .シリコーン処理顔料級酸化チタン(注5) 50
10.シリコーン処理赤酸化鉄(注5) 4
11.シリコーン処理黄酸化鉄(注5) 10
12.シリコーン処理黒酸化鉄(注5) 1
13.アクリルシリコーン樹脂溶解品(注6) 20
14.1,3-ブチレングリコ-ル 50
15.キサンタンガム(注7) 50
16.クエン酸ナトリウム 2
17.塩化ナトリウム 5
18.防腐剤 適量
19.香料 適量
20.精製水 残余
(注1)信越化学工業株式会社製KSG-210
(注2)信越化学工業株式会社製KSG-15
(注3)信越化学工業社株式会製KF-6028P
(注4)6mm2/秒(25℃)品
(注5)信越化学工業株式会社製KF-9909で表面を処理済み
(注6)信越化学工業株式会社製KP-575
(注7)20g/kg水溶液
【0102】
[処方例9]
(2WAYケーキファンデーションの製造)
成分1から成分7をヘンシェルミキサーで混合し(工程A)、これに加熱溶解した成分8から成分11を混合した後(工程B)、アトマイザーにて粉砕し、アルミ皿にプレス成型し、目的の2WAYファンデーションを得た(工程C)。
【0103】
得られた2WAYファンデーションは肌に塗布した際に白浮き現象が発生せず、青い色味も呈さなかった。また、塗布した箇所を後日確認したところ、日焼けがごく軽微であった。
(成分) 配合比(g/kg)
1 .ジメチコン処理タルク 残余
2 .ジメチコン処理実施例1記載粉体 100
3 .ジメチコン処理マイカ 200
4 .ジメチコン処理セリサイト 360
5 .ナイロンパウダー 100
6 .ジメチコン処理赤色酸化鉄 29
7 .ジメチコン1000cs 60
8 .イソノナン酸イソトリデシル 30
9 .スクワラン 30
10.トコフェロール 1
11.1,3-ブチレングリコール 10
【0104】
[処方例10]
(油性ケーキファンデーションの製造)
成分1から成分5をヘンシェルミキサーにて混合し、均一に粉砕した(工程A)。成分6から成分12を加熱溶解し、粉体部を加え、均一に撹拌した(工程B)。脱泡した後、トレイにバルクを流し込み、室温まで徐冷し、目的の油性ケーキファンデーションを得た(工程C)。
【0105】
得られた油性ケーキファンデーションは肌に塗布した際に白浮き現象が発生せず、青い色味も呈さなかった。また、塗布した箇所を後日確認したところ、日焼けがごく軽微であった。
(成分) 配合比(g/kg)
1 .ジメチコン処理タルク 残余
2 .ジメチコン処理実施例4記載顔料 130
3 .ジメチコン処理セリサイト 280
4 .ジメチコン処理赤酸化鉄 27
5 .ジメチコン処理黒色酸化鉄 1
6 .キャンデリラロウ 10
7 .カルナウバロウ 10
8 .セレシン 15
9 .シクロペンタシロキサン 140
10.イソノナン酸イソノニル 250
11.ジイソステアリン酸ポリグリセリル 20
12.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 30
[処方例11]
(サンカットクリームの製造)
下記成分5の一部に成分7を加えて均一にし、成分8、成分9を添加してビーズミルにて分散した(工程A)。また、成分1から成分4、成分5の残部、及び成分6を均一に混合した(工程B)。更に、成分10から成分12、及び成分14を撹拌機にて目視で均一になるまで分散した(工程C)。ついで、工程Cで得られた分散物を工程Bで得られた混合物に添加して乳化し、工程Aで得られた分散物及び成分13を加えてサンカットクリームを得た(工程D)。
【0106】
得られたサンカットクリームは、肌に塗布した際に白浮き現象が発生せず、青い色味も呈さなかった。そして、塗布した箇所を後日確認したところ、日焼けがごく軽微であった。
(成分) 配合比(g/kg)
1 .架橋型ポリエーテル変性シリコーン(注1) 30
2 .架橋型ジメチルポリシロキサン(注2) 20
3 .アルキル変性分岐型ポリエーテル変性シリコーン(注3) 10
4 .ジオクタン酸ネオペンチルグリコール 50
5 .デカメチルシクロペンタシロキサン 175
6 .メトキシケイヒ酸オクチル 60
7 .アクリルシリコーン樹脂溶解品(注4) 100
8 .カプリリルシラン処理微粒子酸化亜鉛(注5) 200
9 .カプリリルシラン処理実施例1記載粉体(注5) 30
10.1,3-ブチレングリコール 20
11.クエン酸ナトリウム 2
12.塩化ナトリウム 5
13.香料 適量
14.精製水 残余
(注1)信越化学工業株式会社製KSG-240
(注2)信越化学工業株式会社製KSG-15
(注3)信越化学工業株式会社製KF-6038
(注4)信越化学工業株式会社製KP-575
(注5)信越化学工業株式会社製AES-3083で表面を処理済み
【0107】
[処方例12]
(W/O乳液状サンスクリーン剤の製造)
成分1から成分5を均一に混合した後、成分6を均一に分散した(工程A)。次いで、成分7から成分11を均一に混合した(工程B)。撹拌しながら、工程Aで得られた分散物に工程Bで得られた混合物を加えて乳化し、W/O乳液状サンスクリーン剤を得た(工程C)。
【0108】
得られたW/O乳液状サンスクリーン剤は、肌に塗布した際に白浮き現象が発生せず、青い色味も呈さなかった。そして、塗布した箇所を後日確認したところ、日焼けがごく軽微であった。
(成分) 配合比(g/kg)
1 .架橋型ポリエーテル変性シリコーン(注1) 20
2 .架橋型ジメチルポリシロキサン(注2) 30
3 .デカメチルシクロペンタシロキサン 135
4 .ジメチルポリシロキサン(6mm2/秒(25℃)) 70
5 .シリコーン処理実施例3記載粉体(注3) 250
6 .シリコーン処理タルク 40
7 .1,3-ブチレングリコ-ル 50
8 .クエン酸ナトリウム 4
9 .塩化ナトリウム 5
10.防腐剤 適量
11.精製水 残余
(注1)信越化学工業株式会社製KSG-210
(注2)信越化学工業株式会社製KSG-15
(注3)信越化学工業株式会社製KF-9909で表面を処理済み
【0109】
[処方例13]
(O/W乳液状サンスクリーン剤の製造)
成分1から成分9を均一に混合した(工程A)。次いで、成分10から成分15を均一に混合した(工程B)。撹拌しながら、工程Bで得られた混合物に、工程Aで得られた混合物を加えて乳化し、O/W乳液状サンスクリーン剤を得た(工程C)。
【0110】
得られたO/W乳液状サンスクリーン剤は、肌に塗布した際に白浮き現象が発生せず、青い色味も呈さなかった。そして、塗布した箇所を後日確認したところ、日焼けがごく軽微であった。
(成分) 配合比(g/kg)
1 .ラウリルベタイン 1
2 .イソステアリン酸 2
3 .コハク酸ジエチルヘキシル 145
4 .シクロメチコン 20
5 .ジメチコン 20
6 .2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル 20
7 .ベヘニルアルコール 1
8 .バチルアルコール 1
9 .ポリオキシブチレンポリオキシプロピレングリコール 20
10.エタノール 80
11.トリエタノールアミン 3
12.EDTA-3Na 1
13.フェノキシエタノール 3
14.実施例1記載粉体 80
15.精製水 残余
【0111】
[処方例14]
(W/Oクリーム状サンスクリーン剤の製造)
成分1から成分7を均一に混合した(工程A)。次いで、成分8から成分13及び成分15を均一に混合した(工程B)。撹拌しながら、工程Aで得られた混合物へ工程Bで得られた混合物を加えて乳化し、成分14を添加してW/Oクリーム状サンスクリーン剤を得た(工程C)。
【0112】
得られたW/Oクリーム状サンスクリーン剤は、肌に塗布した際に白浮き現象が発生せず、青い色味も呈さなかった。そして、きしみ感もなくのび広がりが軽く、密着性に優れおさまりも良く、使用性、安定性にも非常に優れていることが確認された。加えて、塗布した箇所を後日確認したところ、日焼けがごく軽微であった。
(成分) 配合比(g/kg)
1 .架橋型アルキル・ポリエーテル変性シリコーン(注1) 30
2 .架橋型アルキル変性ジメチルポリシロキサン(注2) 40
3 .アルキル変性分岐型ポリエーテル変性シリコーン(注3) 10
4 .メドウフォーム油 35
5 .マカデミアンナッツ油 50
6 .ホホバ油 100
7 .ハイブリッドシリコーン複合粉体(注4) 30
8 .実施例4記載粉体 50
9 .1,3-ブチレングリコ-ル 80
10.グリシン 30
11.クエン酸ナトリウム 2
12.塩化ナトリウム 5
13.防腐剤 適量
14.香料 適量
15.精製水 残余
(注1)信越化学工業株式会社製KSG-340
(注2)信越化学工業株式会社製KSG-44
(注3)信越化学工業株式会社製KF-6038
(注4)信越化学工業株式会社製KSP-100
【0113】
[処方例15]
(O/Wクリーム状サンスクリーン剤の製造)
成分1から成分7を加熱混合し、均一にした(工程A)。次いで、成分8から成分13及び成分15を均一に混合した(工程B)。撹拌しながら、工程Bで得られた混合物に、工程Aで得られた混合物を加えて乳化し、成分14を添加してO/Wクリーム状サンスクリーン剤を得た(工程C)。
【0114】
得られたO/Wクリーム状サンスクリーン剤は、肌に塗布した際に白浮き現象が発生せず、青い色味も呈さなかった。そして、ベタツキや油っぽさがなくサラッとしており、のび広がりが軽く密着性に優れ、おさまりも良く、化粧持ちもよく、温度や経時による変化が小さく、使用性、安定性にも非常に優れていることが確認された。加えて、塗布した箇所を後日確認したところ、日焼けがごく軽微であった。
(成分) 配合比(g/kg)
1 .架橋型ジメチルポリシロキサン(注1) 50
2 .トリイソステアリン酸グリセリル 80
3 .セタノール 5
4 .ステアリン酸 10
5 .モノステアリン酸グリセリル 5
6 .セスキオレイン酸ソルビタン 5
7 .カップリング剤処理実施例4記載粉体(注2) 50
8 .モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン 10
9 .トリエタノールアミン 5
10.カルボマー(10g/kg水溶液) 200
11.ローカストビーンガム(20g/kg水溶液) 50
12.1,3-ブチレングリコール 70
13.防腐剤 適量
14.香料 適量
15.精製水 残余
(注1)信越化学工業株式会社製KSG-15
(注2)ダウ・ケミカル日本株式会社製OFS-6341で表面を処理済み
【0115】
[処方例16]
(O/Wゲル状サンスクリーン剤の製造)
成分1から成分4を均一に混合した(工程A)。次いで、成分6及び成分7を均一に混合した後、成分5を加えて均一に混合した(工程B)。撹拌しながら工程Bで得られた混合物へ工程Aで得られた混合物を加えて乳化し、O/Wゲル状サンスクリーン剤を得た(工程C)。
【0116】
得られたO/Wゲル状サンスクリーン剤は、肌に塗布した際に白浮き現象が発生せず、青い色味も呈さなかった。そして、ベタツキや油っぽさがなくサラッとしており、のび広がりが軽く、しかも密着感に優れ、収まりも良く、使用性、安定性にも非常に優れていることが確認された。加えて、塗布した箇所を後日確認したところ、日焼けがごく軽微であった。
(成分) 配合比(g/kg)
1 .ポリヒドロキシステアリン酸 3
2 .メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 47
3 .流動パラフィン 295
4 .実施例1記載粉体 50
5 .アクリル酸ナトリウム・アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム共重合体/イソヘキサデカン/ポリソルベート80(注1) 5
6 .1,3-ブチレングリコール 60
7 .精製水 残余
(注1)Seppic S.A.製SIMULGEL EG QD
【0117】
[処方例17]
(スティック型サンスクリーン剤の製造)
成分1から成分4を85℃から90℃に加熱し均一に混合した(工程A)。成分5と成分6を成分7へ溶解し均一にした(工程B)。成分8から成分10を均一に混合した(工程C)。撹拌しながら、工程Aで得られた混合物へ工程Bで得られた混合物を添加して均一に混合した後、70℃から80℃へ冷却し、さらに工程Cで得られた混合物を添加して均一に混合した上で、成分11から成分15を添加し、これを適当な容器へ充填し冷却することで、スティック型サンスクリーン剤を得た(工程C)。
【0118】
得られたスティック型サンスクリーン剤は、肌に塗布した際に白浮き現象が発生せず、青い色味も呈さなかった。そして、きしみ感もなく、密着性に優れ、おさまりも良いことが確認された。加えて、塗布した箇所を後日確認したところ、日焼けがごく軽微であった。
(成分) 配合比(g/kg)
1 .パラフィンろう 280
2 .セチルアルコール 5
3 .白ろう 30
4 .カルバウバろう 10
5 .メチルパラベン 1
6 .プロピルパラベン 1
7 .イソプロピルミリステート 10
8 .オキシベンゾン 35
9 .オクチノキセート 75
10.アボベンゾン 30
11.香料 10
12.白色ワセリン 433
13.ラノリン 10
14.イソピルラノレート 20
15.実施例2記載粉体 50
【0119】
[処方例18]
(スプレー型サンスクリーン剤の製造)
成分1から成分7を80℃で混合溶解し均一にした(工程A)。成分8から成分10と成分13を80℃で混合溶解し均一にした(工程B)。工程Aで得られた混合物に工程Bで得られた混合物を加えて乳化した。30℃に冷却後、成分11と成分12を撹拌混合した。得られたスプレー噴霧用乳液をポンプ式スプレー容器に充填することで、スプレー型サンスクリーン剤を得た(工程C)。
【0120】
得られたスプレー型サンスクリーン剤は、肌に塗布した際に白浮き現象が発生せず、青い色味も呈さなかった。そして、きれいなスプレー噴霧が可能で、油性感が少なくさっぱりしていた。加えて、塗布した箇所を後日確認したところ、日焼けがごく軽微であった。
(成分) 配合比(g/kg)
1 .メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(注1) 65
2 .t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン(注2) 6
3 .デカメチルシクロペンタシロキサン(注3) 50
4 .シリコーン処理実施例1記載粉体(注4) 70
5 .カプリリルメチコン(注5) 10
6 .ステアリン酸ソルビタン(注6) 10
7 .ポリソルベート60 2
8 .PEG-11メチルエーテルジメチコン 7
9 .アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体(注7) 1
10.1,3-ブチレングリコール 30
11.エタノール 100
12.水酸化カリウム 適量
13.精製水 残余
(注1)日清オイリオグループ株式会社製ノムコート(登録商標)TAB
(注2)DSMニュートリションジャパン株式会社製パルソール(登録商標)1789
(注3)信越化学工業株式会社製KF-995
(注4)信越化学工業株式会社製KF-9909で表面を処理済み
(注5)ダウ・東レ株式会社製SS-3408
(注6)日本エマルジョン株式会社製EMALEX(登録商標)SPE-100S
(注7)日本ルーブリゾール株式会社製PEMULEN(登録商標)TR-1
【0121】
[処方例19]
(サンオイルの製造)
成分1に、成分2から成分7を室温で撹拌しながら順次加え、均一になるまで撹拌することで、サンオイルを得た。
【0122】
得られたサンオイルは、肌に塗布した際に白浮き現象が発生せず、青い色味も呈さなかった。そして、きしみ感も無かった。塗布した箇所に意図的に日光を当て、後日確認したところ、均一な小麦色の肌となっていた。
(成分) 配合比(g/kg)
1 .メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 100
2 .ミリスチン酸イソプロピル 100
3 .ヤシ油 50
4 .天然ビタミンE 1
5 .シリコーン処理実施例1記載粉体(注1) 70
6 .香料 適量
7 .流動パラフィン 残余
(注1)信越化学工業株式会社製KF-9909で表面を処理済み
【0123】
本発明の粉体は、肌用化粧料組成物以外にも使用することができる。
【0124】
[処方例20]
(ボディーシャンプーの製造)
成分1から成分3を70℃から80℃に加熱し、溶解させた(工程A)。次いで、徐々に成分4を加え、けん化を行った(工程B)。けん化が終了した時点で、残りの成分5から成分9を加え、均一になるまで撹拌した(工程C)。40℃まで冷却し、これに混合粉砕した成分10から成分12を加え、撹拌混合しながら室温まで冷却し、目的のボディーシャンプーを得た(工程D)。
【0125】
得られたボディーシャンプーはよく泡立ち、なめらかな触感であった。
(成分) 配合比(g/kg)
1 .ラウリン酸 115
2 .ミリスチン酸 77
3 .パルミチン酸 48
4 .水酸化カリウム(純度480g/kg) 122
5 .ラウリルヒドロキシスルホベタイン 100
6 .コカミドモノエタノールアマイド 10
7 .ジステアリン酸エチレングリコール 20
8 .精製水 残余
9 .EDTA-4Na 1
10.実施例4記載粉体 20
11.色材 6
12.タルク 10
【0126】
[処方例21]
(洗顔フォームの製造)
成分1から成分3を70℃から80℃に加熱し、溶解させた(工程A)。次いで、徐々に成分4を加え、けん化を行った(工程B)。けん化が終了した時点で、残りの成分5から成分13を加え、均一になるまで撹拌した(工程C)。40℃まで冷却し、これに混合粉砕した成分14から成分16を加え、撹拌混合しながら室温まで冷却し、目的の洗顔フォームを得た(工程D)。
【0127】
得られた洗顔フォームは、よく泡立ち、滑らかな感触であった。
(成分) 配合比(g/kg)
1 .ステアリン酸 170
2 .ミリスチン酸 70
3 .ラウリン酸 30
4 .水酸化カリウム(純度480g/kg) 120
5 .ジイソステアリン酸PEG-60グリセリル 30
6 .ステアリン酸グリセリル 20
7 .ソルビトール 80
8 .PEG1500 100
9 .コカミドプロピルベタイン 50
10.グリセリン 180
11.EDTA-4Na 1
12.精製水 残余
13.ペンチレングリコール 15
14.実施例1記載粉体 20
15.色材 3
16.タルク 10
【0128】
[処方例22]
[洗顔パウダーの製造]
成分1から成分13をヘンシェルミキサーにて均一に混合し、目的の洗顔パウダーを得た。
【0129】
得られた洗顔パウダーは、よく泡立ち、滑らかな感触であった。
(成分) 配合比(g/kg)
1 .赤酸化鉄 3
2 .実施例4記載粉体 20
3 .タルク 200
4 .ラウリン酸 50
5 .マンニトール 残余
6 .ミリスチン酸カリウム 300
7 .グルコース 100
8 .ミリストイルグルタミン酸カリウム 20
9 .ココイルメチルタウリンナトリウム 30
10.ベタイン 10
11.タナクラクレイ(登録商標) 50
12.グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド 5
13.ペンチレングリコール 10
【0130】
[処方例23]
(膜組成物の製造)
本発明のカルシウムチタン複合酸化物を含む膜組成物を作製した。成分1に成分3の一部を加えて、ビーズミルにて分散した(工程A)。成分2と、成分3の残部を混合して加熱し、10分間95℃で撹拌した(工程B)。工程Aで得られた分散液を追加し、5分間撹拌した後に加熱を終了し、型に流し込み(工程C)、乾燥して膜組成物を得た(工程D)。
【0131】
得られた膜組成物は、白さや青い色味はなく、透明であった。本処方例を工業的に応用することで、UV-Bを遮断する能力を有する、透明な膜状構造物を得ることができると考えられる。
(成分) 配合比(g/kg)
1 .実施例1記載粉体 100
2 .ポリビニルアルコール(注1) 100
3 .精製水 800
(注1)キシダ化学株式会社製ポリビニルアルコール500
【0132】
[処方例24]
(塗料の製造)
本発明の粉体を含む塗料を作製した。成分1から成分4を30分間から120分間ミキサーで混合した(工程A)後、ビーズミルにて分散し、塗料を得た(工程B)。
【0133】
得られた塗料は、透明なガラス基板の上に塗布して光にかざすと、白さや青い色味はなく、透明であった。本処方例を工業的に応用することで、UV-Bを遮断する能力を有する塗料を得ることができると考えられる。
(成分) 配合比(g/kg)
1 .アクリル樹脂 300
2 .メチルハイドロジェンポリシロキサン表面処理実施例4記載粉体 300
3 .トルエン 200
4 .イソホロン 200