IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ チタン工業株式会社の特許一覧

特開2023-53666カルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体及びその製造方法
<>
  • 特開-カルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体及びその製造方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053666
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】カルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01G 23/00 20060101AFI20230406BHJP
   G03G 9/097 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
C01G23/00 C
G03G9/097 374
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162846
(22)【出願日】2021-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】000109255
【氏名又は名称】チタン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100112634
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 美奈子
(74)【代理人】
【識別番号】100141265
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 有紀
(72)【発明者】
【氏名】古賀 俊之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 勇二
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 徹
【テーマコード(参考)】
2H500
4G047
【Fターム(参考)】
2H500AA09
2H500BA27
2H500CB04
2H500EA52D
2H500EA55D
4G047CA07
4G047CB01
4G047CB05
4G047CB08
4G047CC03
4G047CD04
4G047CD08
(57)【要約】
【課題】粒子径が小さく、かつ、比表面積も小さいカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体を提供する。
【解決手段】
カルシウムの物質量がチタンの物質量よりも大きい状態で混合し、更に高温で焼成することにより、平均一次粒子径が100nm以下で、BET比表面積Y(m/g)が平均一次粒子径X(nm)に対して1650/X以下であるカルシウムチタン複合酸化物が得られる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均一次粒子径をX(nm)、BET比表面積をY(m/g)とした際に、以下の式(1)及び(2)を満たす、カルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体。
(1)X≦100
(2)Y≦1650/X
【請求項2】
カルシウムチタン複合酸化物粒子の一次粒子の形状が粒状である、請求項1に記載の粉体。
【請求項3】
X線回折測定において、2θが32.50°以上33.50°以下の範囲に出現する(1 2 1)面ピークの積分強度を100.00としたとき、2θが24.75°以上28.00°以下の範囲における最大の回折線の積分強度が5.00以下である、請求項1または2に記載の粉体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の粉体の製造方法であって、
チタン源とカルシウム源とを混合し、焼成し、酸で処理することを含み、この際、混合するカルシウムの物質量をチタンの物質量で除した値が1.0より大きく、かつ焼成温度が650℃以上である、上記製造方法。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載の粉体を含むトナー外添剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体及びその製造方法に関する。より詳細には、小さい平均一次粒子径を有しながら、BET比表面積も小さいカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カルシウムチタン複合酸化物は、白色顔料、半導体封止剤、セラミックコンデンサ、紫外線防御剤など様々な用途で使用されている。
また、特に近年では、カルシウムチタン複合酸化物を二酸化チタンの代替材料として使用することについての検討が進んでいる。二酸化チタンは紫外線防御剤、トナー外添剤、白色顔料などカルシウムチタン複合酸化物以上に幅広い用途で使用されているが、IARC(国際がん研究機関)による「発がん性のリスク情報のリスト」において、グループ3(人に対する発がん性については分類できない)から、グループ2(人に対して発がん性があるかもしれない)にランクが変更された。このため健康被害の懸念から、二酸化チタンを代替する材料の検討が進んでいる。カルシウムチタン複合酸化物は密度や硬度など多くの特性が二酸化チタンと近く、かつ健康被害も報告されていないことから、二酸化チタンの有力な代替材料候補であるといえる。
【0003】
二酸化チタンを使用する分野、用途は非常に幅広いことから、様々な粒子径の二酸化チタン粒子が用いられていた。代替材料としてのカルシウムチタン複合酸化物も、様々な粒子径の粒子を準備できることが好ましい。
【0004】
まず、粒子径が1μmを超えるカルシウムチタン複合酸化物粒子としては、特開昭59-045927号公報(特許文献1)で、Ti化合物の加水分解生成物と水溶性Ca塩とを強アルカリ水溶液中で反応させる湿式合成法で得られた粒子サイズが1μm~3μmのチタン酸カルシウムが報告されている。次に、粒子径が数百nmの粒子としては、特開2004-323344号(特許文献2)で、短辺の長さが0.2μm~0.6μm、長辺の長さが0.2μm~1.2μm程度の正方柱または正方柱類似の形状を有するチタン酸カルシウム粉末が報告されている。また、本出願人は、特開2008-297142号公報(特許文献3)において、長辺長が0.05μm~0.35μm、短辺長が0.04μm~0.20μmである直方体状のチタン酸カルシウム微粒子を開示した。
【0005】
粒子径が100nm以下の粒子として、本出願人は、特開2020-011857号公報(特許文献4)において、平均粒子径が20nm以上100nm以下で一次粒子の形状が粒状であるチタン酸カルシウムを主成分とする粉体を開示した。この粉体は、トナー母体粒子同士の接触及び凝結を防止し、更に流動性を付与する効果がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭59-045927号公報
【特許文献2】特開2004-323344号公報
【特許文献3】特開2008-297142号公報
【特許文献4】特開2020-011857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献4では、粒子径が100nm以下のチタン酸カルシウムの粒子を開示したが、粒子径が100nm以下と非常に小さい場合において、粒子径に対して比表面積が小さい粒子は、いまだ報告されていない。粒子径が100nm以下で、かつ比表面積が小さいカルシウムチタン複合酸化物粒子を得ることができれば、様々な産業分野で有用である。例えば、カルシウムチタン複合酸化物粒子が使用され得る分野の一例として、トナー外添剤の分野が挙げられる。トナーは、顔料、バインダー、研磨剤、外添剤など多くの構成要素の組合せからなっているので、ある一つの要素に着目して改良を行っても、他の要素との相性が悪い場合には十分な性能が発揮できないことがある。したがって、各々の要素において、特性が少しずつ異なる材料を揃えておくことが望ましい。これまでにない、粒子径が100nm以下で、かつ比表面積が小さいカルシウムチタン複合酸化物粒子は、新たな特性を備えた粒子として有用であり得る。
【0008】
粒子の粒子径と比表面積の関係は、一般的には粒子径をX、比表面積をYとしたとき、Y=a/X(aは定数)となる。現時点では、粒子径(平均一次粒子径)をX(nm)とした際に1650/XよりもBET比表面積(m/g)が小さいカルシウムチタン複合酸化物粒子は報告されていない。
【0009】
本発明では、粒子径が100nm以下で、BET比表面積Yが粒子径Xに対し、1650/X以下であるカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者らが鋭意検討した結果、カルシウム源とチタン源とを、カルシウムの物質量がチタンの物質量よりも大きい状態で混合し、更に高温で焼成することにより、平均一次粒子径Xが100nm以下であり、BET比表面積Y(m/g)が平均一次粒子径X(nm)に対して1650/X以下であるカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体を得られることを見出した。
【0011】
本発明は、限定されないが以下を含む。
[1]平均一次粒子径をX(nm)、BET比表面積をY(m/g)とした際に、以下の式(1)及び(2)を満たす、カルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体。
(1)X≦100
(2)Y≦1650/X
[2]カルシウムチタン複合酸化物粒子の一次粒子の形状が粒状である、[1]に記載の粉体。
[3]X線回折測定において、2θが32.50°以上33.50°以下の範囲に出現する(1 2 1)面ピークの積分強度を100.00としたとき、2θが24.75°以上28.00°以下の範囲における最大の回折線の積分強度が5.00以下である、[1]または[2]に記載の粉体。
[4][1]から[3]のいずれか一項に記載の粉体の製造方法であって、
チタン源とカルシウム源とを混合し、焼成し、酸で処理することを含み、この際、混合するカルシウムの物質量をチタンの物質量で除した値が1.0より大きく、かつ焼成温度が650℃以上である、上記製造方法。
[5][1]から[3]のいずれか一項に記載の粉体を含むトナー外添剤。
【発明の効果】
【0012】
本発明で得られるカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体は、小さい粒子径と小さい比表面積の両方を有するこれまでにない新たな特性を備えた粒子であり、様々な産業分野において有用であると考えられる。例えば、平均一次粒子径が100nm以下にもかかわらずBET比表面積が小さい、という特徴を活かして様々な産業分野で分散性の改善、過剰な吸着の防止、強すぎる活性の緩和、などの利点が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例5で得られたカルシウムチタン複合酸化物粒子のTEM撮影写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明において「粉体」とは、粒子が集合したものである。「カルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体」とは、粉体を構成する粒子の多くがカルシウムチタン複合酸化物粒子である粉体であること、あるいは個々の粒子の組成に占めるカルシウムチタン複合酸化物の割合が大きいことを意味する。本発明の粉体は、全ての粒子が不純物を全く含有しない純粋なカルシウムチタン複合酸化物からなることが最も好ましいが、カルシウムチタン複合酸化物以外にも、カルシウムチタン複合酸化物の合成反応時の未反応物や、原料由来の不可避的不純物、被覆層由来の無機物及び/又は有機物を含んでいてもよい。具体的には、粉体全体の中で600g/kg以上、好ましくは650g/kg以上、一層好ましくは700g/kg以上がカルシウムチタン複合酸化物で構成されていれば、本発明の効果を実現するカルシウムチタン複合酸化物からなる粉体と見なすことができる。
【0015】
本発明で得られるカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体は、粉体を構成する粒子の平均一次粒子径をX(nm)、BET比表面積をY(m/g)とすると、以下の式(1)及び(2)を満たす。
(1)X≦100
(2)Y≦1650/X
上記の(1)及び(2)を満たす平均一次粒子径が小さく、かつ、BET比表面積も小さいカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体は、「発明が解決しようとする課題」及び「発明の効果」の欄にも記載した通り、様々な産業分野において、分散性の改善、過剰な吸着の防止、などの多様な効果を得ることができる。
【0016】
(1)の範囲はより好ましくはX≦70であり、(2)の範囲はより好ましくはY≦1575/Xである。
本発明の粉体を構成するカルシウムチタン複合酸化物粒子のBET比表面積の上限値は特に制限されない。しかし、比表面積が小さいカルシウムチタン複合酸化物粒子を得る、という目的を鑑みると、比表面積がある程度小さい粒子が好ましい。BET比表面積は、60m/g以下程度が好ましい。
【0017】
本発明の粉体を構成するカルシウムチタン複合酸化物粒子のBET比表面積の下限値は特に制限されない。あえて設定するなら、平均一次粒子径をX(nm)、BET比表面積をY(m/g)としたときに、Y≧500/X程度となるような比表面積である。また、平均一次粒子径X(nm)の下限も特に制限されないが、あえて設定するなら、25nm以上程度である。
【0018】
本発明のカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体は、構成する一次粒子の形状が粒状であることが好ましい。「一次粒子の形状が粒状」とは、図1にみられるような、一次粒子が不定形や略球状の外形を持つものをいう。例えば特許文献2に記載の正方柱や特許文献3に記載の直方体状の粒子、また、突起部や角を有する形状、針状あるいは板状といった特定方向に細長い形状の粒子は、「粒状」に含まないものとする。一次粒子の形状が粒状であると、比表面積が小さくなりやすい。また、「発明の効果」の欄にも記載した通り、例えば化粧料分野では、触感が良好となるという利点が得られ、また、トナー添加剤分野では、感光体等に傷を付けないという利点が得られる。
【0019】
本発明のカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体は、二酸化チタンの含有量が小さいことが好ましい。粉体中の二酸化チタンの存在は、X線回折測定において確認することが可能である。具体的には、X線回折測定において2θが32.50°以上33.50°以下の範囲に出現する(1 2 1)面ピークの積分強度を100.00としたとき、2θが24.75°以上28.00°以下の範囲に出現する最大の回折線の積分強度(以下「二酸化チタン積分強度比」と記す)が5.00以下であれば、粉体が二酸化チタンを含まない、若しくは二酸化チタンの含有量が十分に小さいということができる。なお、24.75°以上28.00°以下には、カルシウムチタン複合酸化物の(1 1 1)面の回折線も存在するため、二酸化チタンを全く含有しない場合でも、本発明における二酸化チタン積分強度比はゼロとはならない。
【0020】
(用途)
本発明で得られるカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体の用途は、特に限定されない。小さい粒子径と小さい比表面積の両方を有するこれまでにない新たな特性を備えた粉体として、半導体封止剤、セラミックコンデンサ、化粧料原料、トナー外添剤、研磨剤、塗料、樹脂添加剤、生体適合材料、など、幅広い分野で使用することができると考えられる。粒子径が100nm以下の粒子は通常は大きい比表面積を有するため、そのような粒子を使用する際、多くの分野においてその大きな比表面積による過剰な凝集、吸着、強すぎる活性などの課題が発生すると考えられる。これに対し、粒子径が小さく、かつ比表面積も小さい本発明の粉体は、従来の比表面積の大きな粒子を扱う際に発生する課題の解決に貢献することができると考えられる。
【0021】
例えば、トナー外添剤の分野では、トナー母体粒子のような強度が小さい材料と無機微粒子とを混合して使用するが、無機微粒子の比表面積が小さく凝集力が小さい場合には、混合・分散時に必要とされるせん断力を小さくすることができ(すなわち、容易に分散させることができ)、工程の一部を簡略化できる可能性がある。また、カルシウムチタン複合酸化物は光活性が存在するため、比表面積が大きいカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体を用いると、印刷物の耐候性が低下する可能性がある。これに対し、本発明の比表面積が小さい粉体を使用することにより、耐候性の向上が期待できる。従来は、工程の簡略化や耐候性の向上のために、比表面積が小さい粒子を選択しようとすると、粒子径の大きい粒子を使用せざるを得なかった。粒子径の大きい粒子は、トナー間の流動性を低下させる一因となり得る。本発明の粒子径が小さくかつ比表面積が小さいカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体は、トナーに十分な流動性を付与しながら、工程の簡略化や耐候性の向上が期待できる。
【0022】
また、本発明のカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体は、例えば、半導体封止剤に使用することができる。半導体封止剤の開発では、無機粉体の添加量と粘度のバランスを取ることが重要な課題となっている。本発明のカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体は、比表面積が小さく、過度な凝集が抑えられていると考えられるため、添加量を増やした際に生じる粘度の増加を、ある程度抑えることができると考えられる。
【0023】
また、化粧料分野であれば、比表面積が小さいことで、光活性が従来品よりも抑えられ、今まで光安定化剤を用いて光活性を人体に影響のないレベルまで落としていた場合でも、光安定化剤の添加量を減らすことが可能となると考えられる。これにより他の成分を添加する余裕が生まれ、組成の自由度が増すと考えられる。
【0024】
また、本発明で得られるカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体において、一次粒子の形状が粒状であると、例えば化粧料分野では、触感が良好となり、トナー添加剤分野では、感光体等に傷を付けないという利点がさらに得られる。
【0025】
更に、本発明の粉体において、二酸化チタンを含有しない、あるいは二酸化チタンの含有量が非常に小さいと、様々な分野において、二酸化チタンを代替する材料として好適に使用することができるという利点が得られる。
【0026】
(製造方法)
以下、本発明のカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体の製造方法について述べる。
【0027】
本発明のカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体は、主にチタン源とカルシウム源とを混合し、焼成した後に酸で処理することで得ることができる。
本発明の粉体の製造方法の特徴として、カルシウムの物質量がチタンの物質量よりも大きい状態で、高温で焼成することが挙げられる。
【0028】
完全には解明されていないが、カルシウムの物質量を増やし、また高温で焼成することにより、特にカルシウムの拡散速度が大きくなり、カルシウムがチタン源の粒子中に均一に分布するようになると考えられる。この結果、凹凸や欠陥が生じにくくなり、比表面積の小さいカルシウムチタン複合酸化物粒子を得ることが可能となると考えられる。
【0029】
チタン源とカルシウム源とを混合した際のカルシウムの物質量は、チタンの物質量を1.0としたとき、1.0より大きいことが好ましい。1.1以上がより好ましく、1.5以上が一層好ましい。チタンに対するカルシウムの物質量の上限は特に制限されないが、カルシウムの物質量が大きい場合、カルシウムチタン複合酸化物粒子を得るためのコストが大きくなる。一概には言えないものの、カルシウムの物質量が、チタンの物質量を1.0としたときに5.0以下であれば、低コストで製造することができるので好ましい。より好ましくは4.5以下である。
【0030】
焼成温度は、650℃以上であることが好ましく、700℃以上が更に好ましく、800℃以上が一層好ましい。上限は特に制限されないが、高温にするとカルシウムチタン複合酸化物粒子を得るためのコストが大きくなる。また、高温であれば使用できる設備や安全面での制約も増す。一般的に、焼成温度が1100℃を超えなければ、工業的に容易に生産することができると言えるため、1100℃以下程度が好ましい。なお、焼成は、あくまで一般的には、所望の品質を工業的に得ることが可能な最低温度で実施することが望ましい。上記の温度の範囲内であれば所望の品質を得ることができる。
チタン源は特に限定されないが、代表的にはメタチタン酸が挙げられる。チタン源は一般的に、チタンを多く含有し、製品中に不純物として残存する物質の含有量が小さく、また分解温度が低い物質が望ましい。混合前にチタン源を焼成しても良い。また、チタン源は粒状の粒子であることが望ましい。
【0031】
カルシウム源は特に限定されないが、代表的には、水酸化カルシウムや炭酸カルシウムなどのカルシウム塩を挙げることができる。特に、粉砕混合が容易である水酸化カルシウムが好ましい。カルシウム源は一般的に、カルシウムを多く含有し、製品中に不純物として残存する物質の含有量が小さく、また分解温度が低い物質が望ましい。カルシウム源は、混合前に予め粉砕しても良い。
【0032】
カルシウム源とチタン源は任意の方法で混合することができる。混合の際には、擂潰機、ミキサー、ミルなどの装置を必要に応じて使用することができる。ボールミルなどを用いて湿式混合を実施した場合、混合後に必要に応じてろ過、洗浄、及び乾燥を実施することが好ましい。一般的には、チタン源やカルシウム源を粉砕する必要がある場合、粉砕と混合を同一プロセスで実施できれば効率が良い。最終的に粉砕されたチタン源とカルシウム源が混合されていれば、手順に特に制限はない。その際、カルシウム源とチタン源の粒子径は、なるべく小さいことが好ましい。チタンとカルシウムの物質量比が適切であっても、チタン源とカルシウム源とが均一に混合されていなければ、目的のカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体が得られないことがあるので、均一に混合することが望ましい。
【0033】
本発明のカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体を製造する際は、チタン源、カルシウム源の他には、pH調整や混合のために添加する物質を除いて、焼成前に何も添加する必要はない。特許文献4では糖に代表される有機物を添加していたが、本発明においてはその必要がない。本発明のカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体は、炭素を含有しないことが望ましい用途にも好適に使用することが可能であり、また工場の設備上、有機物を保管、あるいは使用することが難しい場合にも、好適に製造することが可能である。
【0034】
本発明のカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体の製造において、焼成条件は特に制限されないが、大気中で行うことが望ましい。焼成温度は前述のように650℃以上が好ましく、700℃以上が更に好ましく、800℃以上が一層好ましい。焼成時間は特に制限されないが、30分以上が好ましく、40分以上が更に好ましい。
【0035】
焼成によって得られた粉体を構成する粒子は、焼成直後はその粒子表面にカルシウム化合物に代表される不純物が存在するため、酸で洗浄する必要がある。酸の種類やpHは特に制限されないが、安価で、またカルシウムチタン複合酸化物粒子表面に残存しにくい、塩酸などが好ましい。酸による洗浄は複数回実施しても良い。また、酸で洗浄する前に水洗しても良い。さらに、例えば、酸による洗浄、水洗、さらに酸による洗浄、のように、酸による洗浄と水洗とを交互に繰り返して実施しても良い。
【0036】
上記の酸による洗浄を終えた後、不純物や水分を除去するために、水洗と乾燥を実施しても良い。また、工業的に利用するために粉砕や分級を実施しても良い。これらの操作は、何ら制限されない。
【0037】
得られたカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体は、例えば分散媒体中での分散安定性や光学特性の付与のため、粉体を構成する粒子の表面の少なくとも一部に、アルミニウム、珪素、亜鉛、チタニウム、ジルコニウム、鉄、セリウム及びスズ等の金属の含水酸化物又は酸化物のような無機物の被覆層を付してもよい。上記以外の金属塩を無機物の被覆として用いてもよい。また、粒子の表面の少なくとも一部に、疎水処理に代表される表面改質を施すために、有機物の被覆層を付してもよい。有機物の被覆としては、ジメチルポリシロキサン、ハイドロゲンジメチコン、ポリシロキサン等のシリコーン化合物、シラン系、アルミニウム系、チタニウム系およびジルコニウム系等のカップリング剤、パーフルオロアルキルリン酸化合物等のフッ素化合物、炭化水素、レシチン、アミノ酸、ポリエチレン、ロウ、金属石けん等を処理することを挙げることができる。これらの処理を複数組み合わせて実施してもよく、その際処理の順番に特に制限はない。表面処理の方法は特に限定されず、慣用される方法を用いればよい。例えば、被覆層の材料と粉体とを混合した後、加熱処理するなどの方法を用いて被覆層を形成させることができる。表面処理をどの工程で実施するかは何ら制限されないが、一般的には酸による洗浄を含め、ある程度洗浄や乾燥を実施して純度を高めた後に実施する方が、被覆率が高く、また被覆層が剥離しにくいため、好ましい。
【0038】
実施例の説明に先立ち、本発明で用いた試験方法について説明する。
[平均一次粒子径]
日本電子株式会社製透過型電子顕微鏡JEM-1400plusを用いて測定した。観察倍率は、100,000倍(透過型電子顕微鏡の観察倍率50,000倍×印画2倍)とした。観察視野内の約300個の粒子の一次粒子径を、画像解析ソフトImageJを用いて評価した。300個の粒子の一次粒子径の平均値を、本発明における平均一次粒子径とした。
【0039】
[BET比表面積]
BET比表面積は、MICROMERITICS INSTRUMENT CO.製ジェミニVII2390を用いて、BET一点法にて測定した。
【0040】
[二酸化チタン積分強度比]
株式会社リガク製X線回折装置RINT-TTR IIIを用い、粉末法によるX線回折測定を実施した。試料は乳鉢ですり潰した上でセルに約1.5g±0.2gでパッキングし、開始角度は5.0000°、終了角度は90.0000°、サンプリング幅は0.0100°、スキャンスピードは10.0000°/min、発散スリットは0.5°、散乱スリットは0.5°、受光スリットの幅は0.15mm、特性X線は陰極に銅を用い、波長は0.15418nmとした。得られたX線回折パターンを、株式会社リガク製粉末X線解析ソフトウェアPDXL2を用いてバックグラウンド処理し、平滑化及びピーク検出を実施し、回折角度2θが32.50°以上33.50°以下の範囲における最大の回折線の積分強度を100.00とした際の、回折角度2θが24.75°以上28.00°以下の範囲における最大の回折線の積分強度を算出し、これを二酸化チタン積分強度比とした。
【実施例0041】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、以下の実施例は単に例示のために示すものであり、発明の範囲がこれらによって何ら制限されるものではない。
なお、実施例及び比較例中に記載の撹拌操作では、液量や液の粘度、容器の形状といった、撹拌時の液の挙動に関係する性状を考慮し、液全体が均一に混合され、かつ飛沫が周囲に飛び散らないように回転数を適切に調整している。また、水酸化ナトリウムなど、一般的な市販品であればどの企業の製品を使用しても同じ効果が得られる場合、製造元及び販売元の企業名を省略している。
【0042】
[実施例1]
硫酸法で得られたメタチタン酸を脱鉄漂白処理した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9.0とし、脱硫処理を行い、その後、塩酸によりpH5.8まで中和し、ろ過水洗を行って、硫黄含有量がSO換算で9.3g/kgのメタチタン酸ケーキを得た。洗浄済みケーキに水を加えて、Tiとして2.13mol/Lのスラリーとした後、塩酸を加えてpH1.4とし、解こう処理を行った。得られたメタチタン酸スラリーを大気中、500℃で40分間焼成し、得られたメタチタン酸焼成品をTiOとして42.1mmol採取し、炭酸カルシウム4.64gと共に株式会社石川工場製石川式撹拌擂潰機AGA型(以下「自動乳鉢」と記す)で4時間粉砕混合した。なお、このときカルシウムの物質量は、チタンの物質量の1.10倍である。粉砕混合品を大気中、900℃で40分間焼成した。
【0043】
得られた焼成品を粉砕し、次に純水に塩酸を添加した液中で洗浄し、更に純水で洗浄した後、大気中、120℃で乾燥して、カルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体を得た。得られた粉体中の粒子の平均一次粒子径は60.7nm、BET比表面積は12.9m/g、一次粒子の形状は粒状であり、二酸化チタン積分強度比は1.97であった。
【0044】
[実施例2]
メタチタン酸焼成品の採取量を34.8mmol、自動乳鉢に入れる炭酸カルシウム量を5.22gとし、粉砕混合品の焼成温度を800℃に変更したことを除き、実施例1と同様の手順でカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体を得た。得られた粉体中の粒子の平均一次粒子径は56.5nm、BET比表面積は26.9m/g、一次粒子の形状は粒状であり、二酸化チタン積分強度比は2.71であった。
【0045】
[実施例3]
メタチタン酸焼成品の採取量を34.8mmol、自動乳鉢に入れる炭酸カルシウム量を5.22gとし、粉砕混合品の焼成温度を850℃に変更したことを除き、実施例1と同様の手順でカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体を得た。得られた粉体中の粒子の平均一次粒子径は58.6nm、BET比表面積は23.5m/g、一次粒子の形状は粒状であり、二酸化チタン積分強度比は1.45であった。
【0046】
[実施例4]
メタチタン酸焼成品の採取量を34.8mmol、自動乳鉢に入れる炭酸カルシウム量を5.22gとしたことを除き、実施例1と同様の手順でカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体を得た。得られた粉体中の粒子の平均一次粒子径は56.0nm、BET比表面積は18.3m/g、一次粒子の形状は粒状であり、二酸化チタン積分強度比は0.68であった。
【0047】
[実施例5]
メタチタン酸焼成品の採取量を28.6mmol、自動乳鉢に入れる炭酸カルシウム量を5.72gとし、粉砕混合品の焼成温度を800℃としたことを除き、実施例1と同様の手順でカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体を得た。得られた粉体中の粒子の平均一次粒子径は36.6nm、BET比表面積は33.4m/g、一次粒子の形状は粒状であり、二酸化チタン積分強度比は1.52であった。
【0048】
実施例5で得られたカルシウムチタン複合酸化物粒子のTEM撮影写真を図1に示す。
[実施例6]
メタチタン酸焼成品の採取量を21.0mmol、自動乳鉢に入れる炭酸カルシウム量を6.32gとし、粉砕混合品の焼成温度を700℃としたことを除き、実施例1と同様の手順でカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体を得た。得られた粉体中の粒子の平均一次粒子径は33.5nm、BET比表面積は48.1m/g、一次粒子の形状は粒状であり、二酸化チタン積分強度比は4.41であった。
【0049】
[実施例7]
メタチタン酸焼成品の採取量を21.0mmol、自動乳鉢に入れる炭酸カルシウム量を6.32gとし、粉砕混合品の焼成温度を800℃としたことを除き、実施例1と同様の手順でカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体を得た。得られた粉体中の粒子の平均一次粒子径は30.6nm、BET比表面積は45.0m/g、一次粒子の形状は粒状であり、二酸化チタン積分強度比は1.63であった。
【0050】
[実施例8]
メタチタン酸焼成品の採取量を21.0mmol、自動乳鉢に入れる炭酸カルシウム量を6.32gとし、粉砕混合品の焼成温度を850℃としたことを除き、実施例1と同様の手順でカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体を得た。得られた粉体中の粒子の平均一次粒子径は36.6nm、BET比表面積は42.9m/g、一次粒子の形状は粒状であり、二酸化チタン積分強度比は1.73であった。
【0051】
[実施例9]
メタチタン酸焼成品の採取量を21.0mmol、自動乳鉢に入れる炭酸カルシウム量を6.32gとしたことを除き、実施例1と同様の手順でカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体を得た。得られた粉体中の粒子の平均一次粒子径は43.7nm、BET比表面積は28.8m/g、一次粒子の形状は粒状であり、二酸化チタン積分強度比は0.59であった。
【0052】
[実施例10]
メタチタン酸焼成品の採取量を26.5mmolとし、自動乳鉢に炭酸カルシウムの替わりに水酸化カルシウムを、5.88g添加し、粉砕混合時間を1時間としたことを除き、実施例1と同様の手順でカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体を得た。得られた粉体中の粒子の平均一次粒子径は44.0nm、BET比表面積は23.0m/g、一次粒子の形状は粒状であり、二酸化チタン積分強度比は1.40であった。
【0053】
[比較例1]
実施例1と同様の手順で得たメタチタン酸スラリーをTiOとして764mmol採取して反応容器に投入した。これに水酸化カルシウムを65.09g添加し、更にグルコースを44mmol添加した後、水酸化ナトリウムを0.9mol添加し、純水を加えて総容量を0.6Lとして、当該混合溶液を30分間撹拌した。
【0054】
前記混合溶液を更に撹拌混合しつつ150℃に加温し、10時間撹拌を続けて反応を終了した。当該反応終了スラリーを50℃まで冷却し、pH5.0となるまで塩酸を加えて、さらに1時間撹拌を続けた。得られた沈殿をデカンテーション洗浄し、ろ過による分離後、大気中、120℃で10時間乾燥して、カルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体を得た。得られた粉体中の粒子の平均一次粒子径は61.4nm、BET比表面積は60.9m/g、一次粒子の形状は粒状、二酸化チタン積分強度比は2.20であった。
【0055】
[比較例2]
グルコース添加量を89mmol、混合溶液を撹拌混合しつつ焼成する加温する温度を180℃、時間を3時間に変更したことを除いては、比較例1と同様の手順でカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体を得た。得られた粉体中の粒子の平均一次粒子径は34.0nm、BET比表面積は55.0m/g、一次粒子の形状は粒状であり、二酸化チタン積分強度比は1.27であった。
【0056】
[比較例3]
グルコース添加量を17mmolに変更したことを除いては、比較例1と同様の手順でカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体を得た。得られた粉体中の粒子の平均一次粒子径は150.0nm、BET比表面積は30.9m/g、一次粒子の形状は直方体状であり、二酸化チタン積分強度比は4.17であった。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
表1は実施例で得られたカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体の製造条件を示す。
表2は実施例及び比較例で得られたカルシウムチタン複合酸化物粒子の特性を示す。
【0060】
以上の評価結果より、本発明で得られたカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体は、平均一次粒子径をX(nm)、BET比表面積をY(m/g)とした際に、以下の式(1)及び(2)を満たす。また、図1に示されるように、一次粒子の形状は粒状である。
(1)X≦100
(2)Y≦1650/X
本発明のカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体をトナーに外添した際の特性について、試験を実施した。なお、標準試料は、比較例1の粉体を用いて作製した。
【0061】
[流動性]
ポリアクリルスチレンを樹脂成分とする、粉砕法による体積基準メディアン径が7.5μmであるブランク黒色トナーに、トナー外添剤として実施例及び比較例で得られた粉体を5g/kg添加し、協立理工株式会社製サンプルミルSK-M10S型を用いて回転数4500rpmで5分間混合し、外添剤添加トナーとした。外添剤添加トナーを、目開き1.0mmのふるいの上にのせ、はけを用いてふるいの全面に広げ、通過した粒子を漏斗で容積30mLの容器に捕集し、山盛りにした。垂直に立てたヘラを容器の上縁に沿ってスライドさせ、容器上縁よりも高い位置の粒子を除き、容器内に粒子が均一に充填された状態にして充填物の質量を計量した。なお、上記の操作を行う際は、撹拌、振盪及び圧縮は行わなかった。測定試料の充填物の質量をX、同様の手順で評価した標準試料の充填物の質量をXとし、以下の基準で採点した。なお、充填物の質量が大きい方が、流動性は良好である。
5点:1.25<X/X
4点:1.05<X/X≦1.25
3点:0.95<X/X≦1.05
2点:0.75<X/X≦0.95
1点: X/X≦0.75
【0062】
[分散性]
上述の流動性試験で作製した外添剤添加トナーを、ホソカワミクロン株式会社製POWDERTESTER TYPE PE-Tを用いて100回タップした。振とう後、試料の表面にある粉体が動かないようにそっと試料を装置から取り外し、表面の白い粉体の数を計測した。測定試料の白い粉体の数をN、同様の手順で評価した標準試料の白い粉体の数をNとし、以下の基準で採点した。なお、観察される白い粒子の数が小さい方が、分散性は良好である。
5点: N/N<0.70
4点:0.70≦N/N<0.94
3点:0.94≦N/N<1.06
2点:1.06≦X/X<1.30
1点:1.30≦X/X
【0063】
【表3】
【0064】
以上より、本発明で得られるカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体は、良好な流動性及び分散性を付与することができ、トナーの外添剤として有用である。
本発明のカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体が解決する課題はこれに限定されず、様々な分野において有用であると考えられる。
【0065】
以下に、本発明で得られたカルシウムチタン複合酸化物粒子からなる粉体について、粒子表面に被覆層を形成する方法を示す。
【0066】
[処理例1]
パナソニック株式会社製ファイバーミキサーMX-X701-Tに、実施例8で得られた粉体を投入し、純水を徐々に加えながら混練し、150g/Lのスラリー状にした。スラリーをビーカーに移してから塩酸を添加してpHを5.0に調整し、2時間撹拌しながら徐々にpHを5.5以上6.0以下に調整した。スラリーを50℃に昇温し、塩酸を添加してpHを2.5に調整して30分間撹拌した。ダウ・東レ株式会社製イソブチルトリメトキシシランを粉体重量に対して100g/kg添加し、50℃に保って20時間撹拌した。水酸化ナトリウムを添加してpHを6.0に調整し、1時間撹拌し、ろ過した。これを大気中、120℃で10時間加熱した後、空気中、150℃で1時間保持し、株式会社セイシン企業製SKジェット・オー・ミルJOM-0101を用い、供給速度1kg/h、挿入圧0.7Mpa、粉砕圧0.6Mpaで粉砕し、処理品1を得た。こうして得た処理品1は、例えば、これに限定されないが、トナー分野の外添剤として、又は化粧料分野の紫外線防御剤として、好適に使用することができる。
図1