(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053751
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】洗濯方法
(51)【国際特許分類】
D06L 1/12 20060101AFI20230406BHJP
C11D 1/62 20060101ALI20230406BHJP
C11D 1/82 20060101ALI20230406BHJP
C11D 3/26 20060101ALI20230406BHJP
C11D 17/08 20060101ALI20230406BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20230406BHJP
C11D 1/04 20060101ALI20230406BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20230406BHJP
D06F 35/00 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
D06L1/12
C11D1/62
C11D1/82
C11D3/26
C11D17/08
C11D3/20
C11D1/04
C11D3/37
D06F35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162979
(22)【出願日】2021-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】武井 亮太
(72)【発明者】
【氏名】宇賀 道子
(72)【発明者】
【氏名】小倉 弘嗣
【テーマコード(参考)】
3B168
4H003
【Fターム(参考)】
3B168AE11
3B168BA45
3B168FA01
3B168FA12
3B168FA14
4H003AB03
4H003AB17
4H003AB19
4H003AB31
4H003AB33
4H003AB34
4H003AC07
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4H003FA16
4H003FA22
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4H003FA28
(57)【要約】
【課題】洗浄時の泡立ちが少なくてすすぎ性が良好であり、すすぎ工程を簡略化した場合にも充分な洗浄力を発揮でき、かつ、優れた柔軟性を付与できる洗濯方法。
【解決手段】洗浄液を繊維製品に接触させる洗浄工程を有し、かつ、前記洗浄工程の後にすすぎ工程を要しない、繊維製品の洗濯方法であって、前記洗浄液は、(A)成分:下記(B)成分及び下記(C)成分を除く界面活性剤と、(B)成分:炭素数12~18の脂肪酸又はその塩と、(C)成分:エステル基、エーテル基及びアミド基からなる群より選ばれる1種以上の基で分断されていてもよい炭素数10~26の炭化水素基を分子内に1~3個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物並びに変性シリコーンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含有し、前記(A)成分の濃度は、前記洗浄液の総質量に対して30~150ppmである、洗濯方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を繊維製品に接触させる洗浄工程を有し、かつ、前記洗浄工程の後にすすぎ工程を要しない、繊維製品の洗濯方法であって、
前記洗浄液は、(A)成分:下記(B)成分及び下記(C)成分を除く界面活性剤と、
(B)成分:炭素数12~18の脂肪酸又はその塩と、
(C)成分:下記(C1)成分及び下記(C2)成分から選択される少なくとも1種と、を含有し、
前記(A)成分の濃度は、前記洗浄液の総質量に対して30~150ppmである、洗濯方法。
(C1)成分:エステル基、エーテル基及びアミド基からなる群より選ばれる1種以上の基で分断されていてもよい炭素数10~26の炭化水素基を分子内に1~3個有するアミン化合物、その塩並びにその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物。
(C2)成分:変性シリコーン。
【請求項2】
前記洗浄液が、(D)成分:高分子有機分散剤をさらに含有する、請求項1に記載の洗濯方法。
【請求項3】
前記(C)成分の濃度が、前記洗浄液の総質量に対して10~100ppmである、請求項1又は2に記載の洗濯方法。
【請求項4】
前記洗浄液における前記(C)成分/前記(A)成分で表される質量比が0.06~3.3である、請求項1~3のいずれか一項に記載の洗濯方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省資源、省エネルギー、環境負荷軽減等の点から、洗浄剤組成物を水で希釈した洗浄液を用いて洗浄した後のすすぎ回数の低減や、すすぎに必要なすすぎ水量の低減等、すすぎ工程の簡略化が求められている。
【0003】
一般的な洗浄液においては、洗浄時に泡立ちが多いことが良好な使用感につながり、すすぎ時には泡がなくなることがすすぎ完了の目安となる。
例えば、特許文献1には、特定のアニオン界面活性剤と、ポリアルキレンアミンのアルキレンオキシド付加体を特定量と、特定の脂肪酸又はその塩と、特定のノニオン界面活性剤とを含む繊維製品用液体洗浄剤組成物を用いた洗濯方法が開示されている。特許文献1に記載の発明によれば、繊維製品に付着した汚れが洗浄液で落ちて他の繊維製品へ付着することを防止する機能(再汚染防止性)及び洗浄液の泡立ちを抑制し、すすぎの時間を短縮する機能(抑泡性、すすぎ性)の向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、洗濯方法には、すすぎ工程をより簡略化することが望まれる。ここでのすすぎ工程の簡略化とは、すすぎ水量及びすすぎ回数の少なくとも一方を低減できることを意味し、好ましくはすすぎ工程を不要にできることを意味する。
【0006】
本発明者等は、すすぎ工程をより簡略化する方法を検討する中で、以下の課題があることを知見した。
例えば、脱水後に泡を感知すると自動注水が始まりすすぎ工程に移るように設定された洗濯機では、すすぎ工程後でもなお泡を感知すると、すすぎの自動延長が始まる。そのため、すすぎ工程を簡略化又は不要にするためには、泡立ち量を抑えることが求められる。
また、すすぎ回数やすすぎ水量を低減すると、被洗物(繊維製品)から一度除去された汚れが、再度、被洗物に付着してしまい、その結果、充分な洗浄力が得られない場合がある。したがって、洗濯方法には、すすぎ回数の低減や、すすぎに必要なすすぎ水量を低減した場合でも、充分な洗浄力が得られることも必要である。
【0007】
また、従来の洗濯方法では、すすぎ工程で繊維製品に付着した洗浄剤組成物を洗い流し、その後に柔軟剤を繊維製品に添加して柔軟性を付与している。
【0008】
そこで、本発明は、洗浄時の泡立ちが少なくてすすぎ性が良好であり、すすぎ工程を簡略化した場合にも充分な洗浄力を発揮でき、かつ、優れた柔軟性を付与できる洗濯方法を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]洗浄液を繊維製品に接触させる洗浄工程を有し、かつ、前記洗浄工程の後にすすぎ工程を要しない、繊維製品の洗濯方法であって、
前記洗浄液は、(A)成分:下記(B)成分及び下記(C)成分を除く界面活性剤と、
(B)成分:炭素数12~18の脂肪酸又はその塩と、
(C)成分:下記(C1)成分及び下記(C2)成分から選択される少なくとも1種と、を含有し、
前記(A)成分の濃度は、前記洗浄液の総質量に対して30~150ppmである、洗濯方法。
(C1)成分:エステル基、エーテル基及びアミド基からなる群より選ばれる1種以上の基で分断されていてもよい炭素数10~26の炭化水素基を分子内に1~3個有するアミン化合物、その塩並びにその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物。
(C2)成分:変性シリコーン。
[2]前記洗浄液が、(D)成分:高分子有機分散剤をさらに含有する、[1]に記載の洗濯方法。
[3]前記(C)成分の濃度が、前記洗浄液の総質量に対して10~100ppmである、[1]又は[2]に記載の洗濯方法。
[4]前記洗浄液における前記(C)成分/前記(A)成分で表される質量比が0.06~3.3である、[1]~[3]のいずれかに記載の洗濯方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の洗濯方法によれば、洗浄時の泡立ちが少なくてすすぎ性が良好であり、すすぎ工程を簡略化した場合にも充分な洗浄力を発揮でき、かつ、優れた柔軟性を付与できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[洗浄液]
本発明の洗濯方法で用いる洗浄液は、(A)成分と(B)成分と(C)成分とを含有する水性液である。水性液は、水溶液及び水分散液の少なくとも一方を含む概念である。
【0012】
≪(A)成分≫
(A)成分は、後述する(B)成分及び(C)成分を除く界面活性剤である。(A)成分は、洗浄液に洗浄力を付与する成分である。(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分としては、ノニオン界面活性剤、非石鹸系アニオン界面活性剤、(C)成分を除くカチオン界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤等が挙げられる。
(A)成分としては、すすぎ性により優れることから、ノニオン界面活性剤を含むことが好ましい。(A)成分がノニオン界面活性剤を含む場合、ノニオン界面活性剤の含有量は、(A)成分の総質量に対して、50質量%以上が好ましい。(A)成分としては、洗浄力をより高められることから、ノニオン界面活性剤と、非石鹸系アニオン界面活性剤とを併用することがより好ましい。
【0013】
<(A1)成分>
(A1)成分は、ノニオン界面活性剤である。
(A1)成分は、従来、衣料用等の洗浄剤組成物に用いられているノニオン界面活性剤であればよい。
(A1)成分としては、例えば、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤、アルキルフェノール、高級アミン等のアルキレンオキシド付加体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、脂肪酸アルカノールアミン、脂肪酸アルカノールアミド、多価アルコール脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキシド付加体、多価アルコール脂肪酸エーテル、アルキル(又はアルケニル)アミンオキシド、硬化ヒマシ油のアルキレンオキシド付加体、糖脂肪酸エステル、N-アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルグリコシド等が挙げられる。
本明細書において、「高級」とは、炭素数8~26の有機化合物を意味する。
(A1)成分としては、洗浄力に優れることから、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤が好ましい。
(A1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0014】
ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤としては、例えば、下記式(a1)で表される化合物(以下、「化合物(a1)」ともいう。)が挙げられる。
R1-X-[(EO)m/(PO)n]-R2・・・(a1)
式(a1)中、R1は炭素数6~22の炭化水素基であり、Xは、2価の連結基であり、R2は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基であり、EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表し、mはEOの平均繰り返し数を表し、3~20の数であり、nはPOの平均繰り返し数を表し、0~6の数である。
[(EO)m/(PO)n]は、EOとPOのランダム鎖でもブロック鎖でもよいことを示す。平均繰り返し数は、ガスクロマトグラフィー等によって測定することができる。
【0015】
式(a1)において、R1の炭化水素基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。不飽和結合を有してもよい。R1の炭素数は、6~22であり、8~20が好ましく、10~18がより好ましい。R1としては、1級又は2級の高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド等の原料に由来するものが挙げられる。
式(a1)において、-X-としては、-O-、-COO-、-CONH-等が挙げられる。-X-は、洗浄力の向上効果に優れる点から、-O-又は-COO-が好ましい。
式(a1)におけるR2がアルキル基の場合、R2の炭素数は、1~6であり、1~3が好ましい。R2がアルケニル基の場合、R2の炭素数は、2~6であり、2~3が好ましい。R2としては、水素原子が好ましい。
【0016】
式(a1)において、mは、EOの平均繰り返し数(すなわち、エチレンオキシドの平均付加モル数)を表す3~20の数であり、5~18が好ましく、7~16がより好ましい。mが上記下限値以上であると、(A)成分自体の原料臭気の劣化を抑制できる。mが上記上限値以下であると、皮脂に対する洗浄力を高められる。
【0017】
式(a1)において、nは、POの平均繰り返し数(すなわち、プロピレンオキシドの平均付加モル数)を表す0~6の数であり、0~3が好ましい。nが上記上限値以下であると、高温(例えば、50℃)での液安定性をより高められる。
nが1以上の場合、すなわち、化合物(a1)がEO及びPOを有する場合、EO及びPOの付加方法は特に限定されず、例えば、ランダム付加方法でもよく、ブロック付加方法でもよい。ブロック付加方法としては、例えば、EOを付加した後、POを付加する方法、POを付加した後、EOを付加する方法、EOを付加した後、POを付加し、さらにEOを付加する方法等が挙げられる。
【0018】
EO又はPOの付加モル数分布は特に限定されない。
付加モル数分布は、ノニオン界面活性剤を製造する際の反応方法によって変動しやすい。例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ触媒を用いて、EOやPOを疎水性原料に付加させた際には、EO又はPOの付加モル数分布は、比較的広い分布となる傾向にある。
特公平6-15038号公報に記載のAl3+、Ga3+、In3+、Co3+、Sc3+、La3+、Mn2+等の金属イオンを添加した酸化マグネシウム等の特定のアルコキシル化触媒を用いて、EOやPOを疎水性原料に付加させた際には、EOやPOの付加モル数分布が比較的狭い分布となる傾向にある。
【0019】
化合物(a1)としては、-X-が-O-である化合物(アルコール型ノニオン界面活性剤)又は-X-が-COO-であり、R2が炭素数1~6のアルキル基もしくは炭素数2~6のアルケニル基である化合物(脂肪酸アルキル(アルケニル)エステル)が特に好ましい。
-X-が-O-である場合、R1の炭素数は、10~22が好ましく、10~20がより好ましく、10~18がさらに好ましい。R2は水素原子が好ましい。
-X-が-COO-である場合、R1の炭素数は、9~21が好ましく、11~21がより好ましい。R2は、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基がより好ましい。
【0020】
<(A2)成分>
(A2)成分は、非石鹸系アニオン界面活性剤である。「非石鹸系アニオン界面活性剤」とは、高級脂肪酸又はその塩(いわゆる石鹸)を除くアニオン界面活性剤である。「高級脂肪酸」とは、炭素数8~24の飽和又は不飽和脂肪酸である。すなわち、(A2)成分は、炭素数8~24の飽和又は不飽和脂肪酸及びその塩を除くアニオン界面活性剤である。
(A2)成分としては、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩(LAS)、α-オレフィンスルホン酸又はその塩(AOS)、内部オレフィンスルホン酸又はその塩(IOS)、ヒドロキシアルカンスルホン酸又はその塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル又はその塩、アルキル基を有するアルカンスルホン酸又はその塩、α-スルホ脂肪酸エステル又はその塩(MES)、アルキルエーテルカルボン酸又はその塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸又はその塩、アルキルアミドエーテルカルボン酸又はその塩、アルケニルアミドエーテルカルボン酸又はその塩、アシルアミノカルボン酸又はその塩、アルキルリン酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル又はその塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル又はその塩等が挙げられる。
(A2)成分における塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
(A2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
(A2)成分としては、すすぎ性の向上効果に優れる点で、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、α-オレフィンスルホン酸又はその塩、内部オレフィンスルホン酸又はその塩、及びポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル又はその塩からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
【0022】
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩としては、直鎖アルキル基の炭素数が8~16のものが好ましく、直鎖アルキル基の炭素数が10~14のものが特に好ましい。
α-オレフィンスルホン酸塩や内部オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数が10~20のものが好ましい。
ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル又はその塩としては、炭素数10~20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基を有し、平均1~10モルのエチレンオキシドを付加したアルケニルエーテル硫酸エステル塩(すなわち、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩)が好ましい。
(A2)成分は、常法により製造されてもよいし、市販品を用いてもよい。
【0023】
上記以外の(A)成分として、後述する(C)成分を除くカチオン界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等が挙げられる。これらの塩の対イオンとしては、ハロゲンイオン、アルキル硫酸イオン等が挙げられる。ハロゲンイオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等が挙げられる。アルキル硫酸イオンとしては、炭素数1~3のアルキル基を有するものが好ましく、例えばメチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルカルボキシベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
半極性界面活性剤としては、アミンオキシド型界面活性剤であるラウリルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド等が挙げられる。
これらは、常法により製造されてもよいし、市販品を用いてもよい。
【0024】
洗浄液における(A)成分の濃度は、質量基準で(洗浄液の総質量に対して)、30~150ppmであり、40~140ppmが好ましく、50~120ppmがより好ましい。(A)成分の濃度が上記下限値以上であると、洗浄力をより高められる。(A)成分の濃度が上記上限値以下であると、泡立ちを抑え、すすぎ性をより高められる。
【0025】
洗浄液が(A1)成分を含有する場合、洗浄液における(A1)成分の濃度は、質量基準で、15~150ppmが好ましく、20~140ppmがより好ましく、25~120ppmがさらに好ましい。(A1)成分の濃度が上記下限値以上であると、洗浄力をより高められる。(A1)成分の濃度が上記上限値以下であると、すすぎ性をより高められる。
【0026】
洗浄液が(A2)成分を含有する場合、洗浄液における(A2)成分の濃度は、質量基準で、5~75ppmが好ましく、10~70ppmがより好ましく、15~60ppmがさらに好ましい。(A2)成分の濃度が上記下限値以上であると、再汚染防止性をより高められる。(A2)成分の濃度が上記上限値以下であると、すすぎ性をより高められる。加えて、(A2)成分の濃度が上記上限値以下であると、洗浄力をより高められる。
(A1)成分及び(A2)成分は、それぞれを単独で用いてもよく、併用してもよい。
【0027】
洗浄液における(A1)成分/(A)成分で表される質量比(以下、「(A1)/(A)比」ともいう。)は、0.5~1が好ましく、0.6~1がより好ましく、0.8~1がさらに好ましい。(A1)/(A)比が上記下限値以上であると、洗浄力をより高められる。
【0028】
≪(B)成分≫
(B)成分は、炭素数12~18の脂肪酸又はその塩である。(B)成分は、いわゆる石鹸である。本実施形態の洗浄液は、(B)成分を含有することで、すすぎ性及び柔軟性をより高められる。
(B)成分としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸等の単一脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸等の混合脂肪酸等が挙げられる。
(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0029】
(B)成分の組み合わせとしては、炭化水素基の炭素数が12の脂肪酸と炭化水素基の炭素数が14~18の脂肪酸との組み合わせが好ましく、炭素数12の脂肪酸と、2種以上の炭化水素基の炭素数が14~18の脂肪酸との組み合わせがより好ましい。
炭素数12の脂肪酸の質量に対する炭素数14~18の脂肪酸の質量の比である、[炭素数14~18の脂肪酸]/[炭素数12の脂肪酸]は、0.03以上1以下が好ましく、0.05以上0.8以下がより好ましく、0.06以上0.5以下がさらに好ましい。
【0030】
炭素数12~18の脂肪酸の塩の形態としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
(B)成分の市販品としては、例えば、ヤシ脂肪酸ナトリウム(ヤシ脂肪酸(日油株式会社製)を、pH調整剤である水酸化ナトリウムにより中和したもの)、C16石鹸(パルミチン酸ナトリウム(関東化学株式会社製))等が挙げられる。
【0031】
洗浄液における(B)成分の濃度は、質量基準で(洗浄液の総質量に対して)、1~50ppmが好ましく、5~40ppmがより好ましく、10~30ppmがさらに好ましい。(B)成分の濃度が上記下限値以上であると、すすぎ性をより高められる。加えて、(B)成分の濃度が上記下限値以上であると、柔軟性をより高められる。(B)成分の濃度が上記上限値以下であると、液安定性をより高められる。
【0032】
洗浄液における(B)成分/(A)成分で表される質量比(以下、「(B)/(A)比」ともいう。)は、0.006~1.0が好ましく、0.03~0.5がより好ましく、0.06~0.3がさらに好ましい。(B)/(A)比が上記下限値以上であると、すすぎ性をより高められる。(B)/(A)比が上記上限値以下であると、液安定性をより高められる。
【0033】
≪(C)成分≫
(C)成分は、柔軟基材として機能する化合物であり、(C1)成分及び(C2)成分から選択される少なくとも1種である。本実施形態の洗浄液は、(C)成分を含有することで、洗濯後の繊維製品に柔軟性を付与できる。
【0034】
<(C1)成分>
(C1)成分は、炭素数10~26の炭化水素基を分子内に1~3個有するアミン化合物、その塩並びにその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。炭素数10~26の炭化水素基は、エステル基、エーテル基及びアミド基からなる群より選ばれる1種以上の基で分断されていてもよい。(C1)成分は、炭素数10~26の炭化水素基を分子内に1個以上有するアミン化合物、その中和物及びその4級化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である。(C1)成分は、柔軟基材であり、カチオン界面活性剤として機能する。
【0035】
炭化水素基の炭素数は、10~26であり、12~22が好ましく、14~18がより好ましい。炭素数が10以上であると、柔軟性をより高められる。炭素数が26以下であると、取扱い性をより良好にできる。
炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよい。炭化水素基が不飽和である場合、二重結合の位置はいずれの箇所にあっても構わない。二重結合が1個の場合、その二重結合の位置は、炭化水素基の中央であるか、中央周辺に存在していることが好ましい。
炭化水素基は、鎖状であってもよく、構造中に環を含む炭化水素基であってもよい。炭化水素基は、鎖状であることが好ましい。鎖状の炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状の
いずれであってもよい。鎖状の炭化水素基としては、アルキル基又はアルケニル基が好
ましく、アルキル基がより好ましい。
【0036】
炭化水素基は、エステル基(-COO-)、エーテル基及びアミド基(-NHCO-)からなる群より選ばれる1種以上の基で分断されていてもよい。すなわち、炭化水素基は、その炭素鎖中に、エステル基、エーテル基及びアミド基からなる群から選択される少なくとも1種の分断基を有し、その分断基によって炭素鎖が分断されたものであってもよい。炭化水素基が分断基を有すると、すすぎ性が向上する等の点から好ましい。
炭化水素基が分断基を有する場合、1つの炭化水素基が有する分断基の数は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。すなわち、炭化水素基は、分断基によって1ヶ所が分断されていてもよく、2ヶ所以上が分断されていてもよい。分断基を2つ以上有する場合、各分断基は同じであってもよく、異なっていてもよい。分断基としては、エステル基が特に好ましい。
なお、炭素鎖中に分断基を有する場合、分断基が有する炭素原子は、炭化水素基の炭素数にカウントするものとする。炭化水素基は、通常、工業的に使用される牛脂由来の未水添脂肪酸、不飽和部を水添もしくは部分水添して得られる脂肪酸、パーム椰子、油椰子等の植物由来の未水添脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいは不飽和部を水添もしくは部分水添して得られる脂肪酸又は脂肪酸エステル等を使用することにより導入される。
(C1)成分のアミン化合物としては、2級アミン化合物又は3級アミン化合物が好ましく、3級アミン化合物がより好ましい。
【0037】
(C1)成分のアミン化合物として、より具体的には、下記式(C1)で表される化合物が挙げられる。
【0038】
【0039】
式(C1)中、R11~R13は、それぞれ独立に、炭素数10~26の炭化水素基、-CH2CH(Y)OCOR4(Yは水素原子又はCH3であり、R4は炭素数7~21の炭化水素基である。)、-CH2CH(Y)OR5(Yは水素原子又はCH3であり、R5は炭素数7~21の炭化水素基である。)、もしくは-(CH2)nNHCOR6(nは2又は3であり、R6は炭素数7~21の炭化水素基である。)、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、-CH2CH(Y)OH、又は-(CH2)nNH2であり、R11~R13のうちの少なくとも1つは、炭素数10~26の炭化水素基、-CH2CH(Y)OCOR4、-CH2CH(Y)OR5又は-(CH2)nNHCOR6である。
【0040】
式(C1)中、R11~R13における炭素数10~26の炭化水素基の炭素数は、12~22が好ましく、14~18がより好ましい。炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよい。炭化水素基としては、アルキル基又はアルケニル基が好ましい。
-CH2CH(Y)OCOR4中、Yは水素原子又はCH3であり、水素原子が特に好ましい。R4は炭素数7~21の炭化水素基であり、R4の炭素数は、15~19が好ましい。式(C1)で表される化合物中にR4が複数存在するとき、複数のR4は、互いに同じであってもよく、それぞれ異なっていてもよい。
【0041】
R4の炭化水素基は、炭素数8~22の脂肪酸(R4COOH)からカルボキシル基を除いた残基(脂肪酸残基)である。R4のもととなる脂肪酸(R4COOH)は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、また、直鎖脂肪酸でも分岐脂肪酸でもよい。R4COOHとしては、飽和又は不飽和の直鎖脂肪酸が好ましい。柔軟処理した繊維製品に良好な吸水性を付与するために、R4COOHの飽和/不飽和比率(質量比)は、90/10~0/100が好ましく、80/20~0/100がより好ましい。
R4が不飽和脂肪酸残基である場合、シス体とトランス体が存在する。R4におけるシス体/トランス体の質量比率は、40/60~100/0が好ましく、70/30~90/10がより好ましい。
【0042】
R4COOHとしては、具体的には、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、部分水添パーム油脂肪酸(ヨウ素価10~60)、部分水添牛脂脂肪酸(ヨウ素価10~60)等が挙げられる。中でも、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、エライジン酸、及びリノール酸から選ばれる2種以上を所定量ずつ組み合わせて、以下の条件(a)~(c)を満たすように調整した脂肪酸組成物を用いることが好ましい。
(a)飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸の比率(質量比)が90/10~0/100、より好ましくは80/20~0/100である。
(b)シス体/トランス体の比率(質量比)が40/60~100/0、より好ましくは70/30~90/10である。
(c)炭素数18の脂肪酸が60質量%以上、好ましくは80質量%以上であり、炭素数20の脂肪酸が2質量%未満であり、炭素数21~22の脂肪酸が1質量%未満である。
【0043】
-CH2CH(Y)OR5中、Yは水素原子又はCH3であり、水素原子が特に好ましい。R5は炭素数7~21の炭化水素基であり、R5の炭素数は、15~19が好ましい。式(C1)で表される化合物中にR5が複数存在するとき、複数のR5は、互いに同じであってもよく、それぞれ異なっていてもよい。R5としては、R4と同様のものが挙げられる。
【0044】
-(CH2)nNHCOR6中、nは2又は3であり、3が特に好ましい。R6は、炭素数7~21の炭化水素基であり、R6の炭素数は、15~19が好ましい。式(C1)で表される化合物中にR6が複数存在するとき、複数のR6は、互いに同じであってもよく、それぞれ異なっていてもよい。R6としては、R4と同様のものが挙げられる。
【0045】
R11~R13のうち、少なくとも1つは長鎖炭化水素基(炭素数10~26の炭化水素基、-CH2CH(Y)OCOR4、-CH2CH(Y)OR5又は-(CH2)nNHCOR6)であり、2つが長鎖炭化水素基であることが好ましい。R11~R13のうち、1つ又は2つが長鎖炭化水素基である場合、残りの2つ又は1つは、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、-CH2CH(Y)OH、又は-(CH2)nNH2であり、炭素数1~4のアルキル基、-CH2CH(Y)OH、又は-(CH2)nNH2であることが好ましい。これらのうち、炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。-CH2CH(Y)OHにおけるYは、-CH2CH(Y)OCOR4中のYと同様である。-(CH2)nNH2におけるnは、-(CH2)nNHCOR6中のnと同様である。
【0046】
前記式(C1)で表される化合物の好ましい例として、下記式(c1-1)~(c1-8)で表される化合物が挙げられる。
【0047】
【0048】
式中、R7及びR8は、それぞれ独立に、炭素数10~26の炭化水素基である。R9及びR10は、それぞれ独立に、炭素数7~21の炭化水素基である。
【0049】
R7及びR8における炭化水素基としては、前記R11~R13における炭素数10~26の炭化水素基と同様のものが挙げられる。
R9、R10における炭素数7~21の炭化水素基としては、前記R4における炭素数7~21の炭化水素基と同様のものが挙げられる。式中、R9が複数存在するとき、複数のR9は、互いに同じであってもよく、それぞれ異なっていてもよい。
(C1)成分は、アミン化合物の塩であってもよい。
(C1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0050】
アミン化合物の塩は、アミン化合物を酸で中和することにより得られる。アミン化合物の中和に用いる酸としては、有機酸でも無機酸でもよく、例えば、塩酸、硫酸、メチル硫酸等が挙げられる。アミン化合物の中和は、公知の方法により実施できる。
アミン化合物の4級化物は、アミン化合物に4級化剤を反応させて得られる。アミン化合物の4級化に用いる4級化剤としては、例えば、塩化メチル等のハロゲン化アルキル、ジメチル硫酸等のジアルキル硫酸等が挙げられる。これらの4級化剤をアミン化合物と反応させると、アミン化合物の窒素原子に4級化剤のアルキル基が導入され、4級アンモニウムイオンとハロゲンイオン又はモノアルキル硫酸イオンとの塩が形成される。4級化剤により導入されるアルキル基は、炭素数1~4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。アミン化合物の4級化は、公知の方法により実施できる。
【0051】
(C1)成分としては、前記式(C1)で表される化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、前記式(c1-1)~(c1-8)、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、前記式(c1-1)~(c1-6)、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種がさらに好ましい。
式(C1)で表される化合物、その塩及びその4級化物は、市販のものを用いてもよく、公知の方法により製造したものを用いてもよい。
【0052】
例えば、式(c1-2)で表される化合物(以下、「化合物(c1-2)」ともいう。式(c1-3)~(c1-8)で表される化合物も同様に称する。)、化合物(c1-3)は、上記脂肪酸組成物、又は脂肪酸組成物における脂肪酸を脂肪酸のメチルエステルに置き換えた脂肪酸メチルエステル組成物とメチルジエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、柔軟性を良好にする観点から、「化合物(c1-2)/化合物(c1-3)」で表される存在比率が、質量比で99/1~50/50となるように合成することが好ましい。
さらに、化合物(c1-2)~(c1-3)の4級化物を用いる場合には、4級化剤としてジメチル硫酸を用いることがより好ましい。その際、柔軟性の観点から「化合物(c1-2)の4級化物/化合物(c1-3)の4級化物」で表される存在比率が、質量比で99/1~50/50となるように合成することが好ましい。
【0053】
化合物(c1-4)~(c1-6)は、上記脂肪酸組成物又は脂肪酸メチルエステル組成物とトリエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、化合物(c1-4)~(c1-6)の合計質量に対する個々の成分の含有比率は、柔軟性の観点から、化合物(c1-4)が1~60質量%、化合物(c1-5)が5~98質量%、化合物(c1-6)が0.1~40質量%であることが好ましく、化合物(c1-4)が30~60質量%、化合物(c1-5)が10~55質量%、化合物(c1-6)が5~35質量%であることがより好ましい。
また、化合物(c1-4)~(c1-6)の4級化物を用いる場合には、4級化反応を充分に進行させる点で、4級化剤としてジメチル硫酸を用いることがより好ましい。化合物(c1-4)~(c1-6)の各4級化物の存在比率は、柔軟性の観点から質量比で、化合物(c1-4)の4級化物が1~60質量%、化合物(c1-5)の4級化物が5~98質量%、化合物(c1-6)の4級化物が0.1~40質量%であることが好ましく、化合物(c1-4)の4級化物が30~60質量%、化合物(c1-5)の4級化物が10~55質量%、化合物(c1-6)の4級化物が5~35質量%であることがより好ましい。また、化合物(c1-4)~(c1-6)を4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないエステルアミンが残留する。その際、「4級化物/4級化されていないエステルアミン」の比率は70/30~99/1の質量比率の範囲内であることが好ましい。
【0054】
化合物(c1-7)~(c1-8)は、上記脂肪酸組成物とN-メチルエタノールアミンとアクリロニトリルの付加物より、J.Org.Chem.,26,3409(1960)に記載の公知の方法で合成したN-(2-ヒドロキシエチル)-N-メチル-1,3-プロピレンジアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、「化合物(c1-7)/化合物(c1-8)」で表される存在比率が質量比で99/1~50/50となるように合成することが好ましい。また、化合物(c1-7)~(c1-8)の4級化物を用いる場合には、4級化剤として塩化メチルを用いることが好ましく、「化合物(c1-7)の4級化物/化合物(c1-8)の4級化物」で表される存在比率が、質量比で99/1~50/50となるように合成することが好ましい。
【0055】
洗浄液における(C1)成分の濃度は、質量基準で(洗浄液の総質量に対して)、10~100ppmが好ましく、20~80ppmがより好ましく、30~50ppmがさらに好ましい。(C1)成分の濃度が上記下限値以上であると、柔軟性をより高められる。(C1)成分の濃度が上記上限値以下であると、液安定性をより高められる。
【0056】
<(C2)成分>
(C2)成分は、変性シリコーンである。
(C2)成分としては、例えば、アミノ変性シリコーン、アミノポリエーテル変性シリコーン、アミド変性シリコーン、アミドポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルキルポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。中でも、繊維製品の柔軟性をより高め、洗浄液の外観安定性をより高める観点から、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーンが好ましく、ポリエーテル変性シリコーンがより好ましい。
(C2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0057】
ポリエーテル変性シリコーンは、下記式(c2-1)で表される化合物(以下、「化合物(c2-1)」ともいう。)である。
【0058】
【0059】
式(c2-1)中、R24は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1~4のアルキル基又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2~4のアルケニル基、水素原子のいずれかである。R23は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1~4のアルキレン基又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2~4のアルケニレン基である。Y3は、ポリオキシアルキレン基を示す。pは10~10000の数、qは1~1000の数である。p、qが付された各構成単位の順序は異なっていてもよい。
化合物(c2-1)の比重は、25℃において、1.00~1.09が好ましく、1.04~1.09がより好ましい。なお、前記比重は、日本薬局方一般試験法の比重測定法に従い、25℃で比重瓶を用いて測定した値である。
【0060】
化合物(c2-1)の市販品としては、例えば、東レ・ダウコーニング株式会社製のCF1188N(商品名)、信越化学株式会社製のKF-6011(比重:1.06)、KF-6012(比重:1.03)、KF-6015(比重1.00)、KF-6017(比重1.01)等が挙げられる。
これらの化合物(c2-1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0061】
アミノ変性シリコーンは、ジメチルシリコーン骨格の両末端あるいは側鎖にアミノ変性基を導入してなる化合物である。
アミノ変性シリコーンは、商業的に入手できるものを使用することができる。例えば、東レ・ダウコーニング株式会社から商品名:DOWSIL SF8417 Fluid、DOWSIL BY16-849DOWSIL 、DOWSIL BY16-892、DOWSIL FZ-3785で販売されているものや、信越化学工業株式会社から商品名:KF-864、KF-860、KF-880、KF-8004、KF-8002、KF-867又はKF-869、KF-861で販売されているもの等が挙げられる。
これらのアミノ変性シリコーンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0062】
アミノポリエーテル変性シリコーンとは、少なくとも1つのアミノ変性基と、ポリエーテル変性基とを構造内に有するシリコーンである。より具体的には、アミノ基により変性された側鎖、及びアミノ基により変性された末端から選択される少なくとも1つのアミノ変性基と、ポリエーテル基により変性された側鎖又はポリエーテル基により変性された末端とを、構造内に併せ持つシリコーン化合物である。中でも、変性された側鎖を有するシリコーンが好ましい。
アミノポリエーテル変性シリコーンの市販品としては、例えば、東レ・ダウコーニング株式会社製のDOWSIL BY16-891、DOWSIL Silstyle104等、信越化学工業株式会社製のKF-877、KF-889、X-22-3939A、X-52-8369A等、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製の「WETSOFT CTA」、「WETSOFT AE200」、「WETSOFT NE810」、「WETSOFT NE820」、「WETSOFT WP201」等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0063】
上記以外の(C2)成分の市販品としては、例えば、東レ・ダウコーニング株式会社製のDOWSIL 2501 Cosmetic Wax、DOWSIL 2503 Cosmetic Wax、DOWSIL 580 Wax、DOWSIL AMS-C30 Cosmetic Wax、BY16-891、DOWSIL FZ-2203、DOWSIL FZ-3789、DOWSIL FZ-2222(いずれも商品名)等が挙げられる。
これらの市販品は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0064】
洗浄液における(C2)成分の濃度は、質量基準で(洗浄液の総質量に対して)、0.1~20ppmが好ましく、0.5~15ppmがより好ましく、1~10ppmがさらに好ましい。(C2)成分の濃度が上記下限値以上であると、柔軟性をより高められる。(C2)成分の濃度が上記上限値以下であると、液安定性をより高められる。
【0065】
洗浄液における(C)成分の濃度は、質量基準で(洗浄液の総質量に対して)、1~100ppmが好ましく、3~80ppmがより好ましく、5~50ppmがさらに好ましい。(C)成分の濃度が上記下限値以上であると、柔軟性をより高められる。(C)成分の濃度が上記上限値以下であると、液安定性をより高められる。
【0066】
洗浄液における(C)成分/(A)成分で表される質量比(以下、「(C)/(A)比」ともいう。)は、0.01~2.0が好ましく、0.03~1.0がより好ましく、0.05~0.5がさらに好ましい。(C)/(A)比が上記下限値以上であると、柔軟性をより高められる。(C)/(A)比が上記上限値以下であると、繊維製品に付着した(C)成分が汚れを引き寄せることを抑制でき、再汚染防止性をより高められる。
【0067】
≪(D)成分≫
(D)成分は、高分子有機分散剤である。本実施形態の洗浄液は、(D)成分を含有することで洗浄作用を補助する効果を発揮する。(D)成分を含有すると、本実施形態の洗浄液は、(A)成分の濃度が従来の洗浄剤よりも低い場合でも、充分な洗浄力を発揮できる。このため、本実施形態の洗浄液は、(D)成分をさらに含有することが好ましい。ここで、「高分子有機分散剤」とは、(A)成分と併用することで洗浄力を発揮する、分子量1000以上の有機化合物をいう。
(D)成分は、後述の(D1)成分、(D2)成分及び(D3)成分から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
【0068】
<(D1)成分>
(D1)成分は、アルコキシル化ポリアルキレンイミンである。すなわち、(D1)成分は、ポリアルキレンイミンのアルキレンオキシド付加体である。
ポリアルキレンイミンは、例えば、下記式(d1)で表される。
NH2-R3-[N(A1)-R3]n-NH2 ・・・(d1)
式(d1)中、R3はそれぞれ独立に炭素数2~6のアルキレン基であり、A1は、水素原子又は分岐による別のポリアミン鎖であり、nは1以上の数である。ただし、前記A1がすべて水素原子であることはない。すなわち、式(d1)で表されるポリアルキレンイミンは、構造中に分岐したポリアミン鎖を有する。
R3としては、炭素数2~6の直鎖状のアルキレン基、炭素数3~6の分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。R3としては、炭素数2~4のアルキレン基が好ましく、炭素数2のアルキレン基がより好ましい。
【0069】
ポリアルキレンイミンは、例えば、炭素数2~6のアルキレンイミンの1種以上を常法により重合して得られる。炭素数2~6のアルキレンイミンとしては、エチレンイミン、プロピレンイミン、1,2-ブチレンイミン、2,3-ブチレンイミン、1,1-ジメチルエチレンイミン等が挙げられる。
ポリアルキレンイミンとしては、ポリエチレンイミン(以下、「PEI」とも記す。)、ポリプロピレンイミンが好ましく、PEIがより好ましい。PEIは、エチレンイミンを重合することによって得られ、その構造中に、1級、2級及び3級アミン窒素原子を含む分岐鎖構造を有している。
【0070】
ポリアルキレンイミンの質量平均分子量は、200~2000が好ましく、300~1500がより好ましく、400~1000がさらに好ましく、500~800が特に好ましい。
ポリアルキレンイミンは、その1分子中に活性水素を5~30個有することが好ましく、7~25個有することがより好ましく、10~20個有することがさらに好ましい。
なお、本明細書における質量平均分子量は、ポリエチレングリコール(PEG)を標準物質とし、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めた値を意味する。
【0071】
(D1)成分は、ポリアルキレンイミンにアルキレンオキシドを付加して得られる。この方法としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート等の塩基性触媒の存在下、出発物質であるポリアルキレンイミンに対して、100~180℃でエチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加させる方法等が挙げられる。
【0072】
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等の炭素数2~4のアルキレンオキシドが挙げられ、エチレンオキシド、プロピレンオキシドが好ましく、エチレンオキシドがより好ましい。
【0073】
(D1)成分としては、ポリアルキレンイミンのエチレンオキシド付加体、ポリアルキレンイミンのプロピレンオキシド付加体、ポリアルキレンイミンのエチレンオキシド-プロピレンオキシド付加体等が挙げられる。ポリアルキレンイミンのエチレンオキシド-プロピレンオキシド付加体は、ポリアルキレンイミンにエチレンオキシド及びプロピレンオキシドを付加したものであり、ポリアルキレンイミンに対するエチレンオキシドとプロピレンオキシドの付加順序や付加形態(ブロック状、ランダム状)は任意である。
(D1)成分としては、防臭効果の点から、ポリアルキレンイミンのエチレンオキシド付加体、ポリアルキレンイミンのエチレンオキシド-プロピレンオキシド付加体が好ましく、ポリアルキレンイミンのエチレンオキシド付加体がより好ましい。
【0074】
(D1)成分としては、原料であるポリアルキレンイミンが有する活性水素1モルあたりに、平均5~40モルのアルキレンオキシドが付加されたものが好ましく、平均5~30モルのアルキレンオキシドが付加されたものがより好ましく、平均8~25モルのアルキレンオキシドが付加されたものがさらに好ましく、平均8~15モルのアルキレンオキシドが付加されたものが特に好ましい。
【0075】
(D1)成分としては、例えば、下記式(d1-1)で示される化合物が挙げられる。
【0076】
【0077】
式(d1-1)中、R22はそれぞれ独立に炭素数2~6のアルキレン基であり、mはそれぞれ独立に1以上の数である。
R22は、炭素数2又は3のアルキレン基が好ましく、炭素数2のアルキレン基がより好ましい。
mは(R22O)の平均繰り返し数を表す。mはそれぞれ独立に5~40の数が好ましく、5~30の数がより好ましく、8~25の数がさらに好ましく、8~15の数が特に好ましい。
【0078】
(D1)成分の質量平均分子量は、1000~80000が好ましく、2000~50000がより好ましく、3000~30000がさらに好ましく、5000~20000が特に好ましい。
【0079】
(D1)成分としては、合成品が用いられてもよいし、市販品が用いられてもよい。市販品としては、例えば、「Sokalan(登録商標) HP20」等が挙げられる。
(D1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0080】
<(D2)成分>
(D2)成分は、ポリアクリル酸系ポリマーである。本実施形態の洗浄液は、(D2)成分を含有することで、皮脂汚れに対する洗浄力をより高められる。
(D2)成分としては、例えば、ポリアクリル酸及びその塩、ポリマレイン酸及びその塩、アクリル酸-マレイン酸共重合体及びその塩、炭素数4~12の炭化水素とマレイン酸との共重合体及びその塩、並びにアクリル酸-メタクリル酸共重合体及びその塩等から選択される1種以上が挙げられる。(D2)成分としては、アクリル酸-マレイン酸共重合体及びその塩から選択される1種以上、又は炭素数4~12の炭化水素とマレイン酸との共重合体及びその塩から選択される1種以上が好ましい。
塩は、一部でも全部でもよく、塩としてはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩やアルカノールアミン等の有機アミン塩が好ましい。
【0081】
(D2)成分における、炭素数4~12の炭化水素としては、マレイン酸と共重合可能なものであればよく、原料のハンドリング性の観点から炭素数10以下の炭化水素が好ましく、炭素数5~9の炭化水素がより好ましい。このような炭化水素として、例えば、二重結合をもつ不飽和鎖式炭化水素が挙げられる。
【0082】
(D2)成分の共重合体は、下記式(d2-1)で表されるモノマーから誘導された繰り返し単位及び下記式(d2-2)で表されるモノマーから誘導された繰り返し単位から選択される1種以上の繰り返し単位を有するポリマーであってもよい。
【0083】
【0084】
式(d2-1)中、R15は水素原子又はメチル基であり、R16は水素原子又は炭素数1~9のアルキル基である。式(d2-2)中、R17は水素原子又はメチル基であり、R18は水素原子又は炭素数10~30のアルキル基であり、R19は水素原子又はカルボキシル基である。ただし、式(d2-2)中、R19が水素原子のとき、R18は炭素数10~30のアルキル基であり、R19がカルボキシル基のとき、R18は水素原子である。
【0085】
式(d2-1)中、R16のアルキル基は、直鎖状でもよいし分岐鎖状でもよい。また、環状構造を含んでもよい。R16のアルキル基の炭素数は、1~8が好ましく、1~4がより好ましい。
式(d2-1)で表されるモノマー(以下、モノマー(d2-1)ともいう)としては、例えば、アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸n-ブチル等のメタクリル酸エステル等が挙げられる。
モノマー(d2-1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0086】
式(d2-2)中、R18のアルキル基は、直鎖状でもよいし分岐鎖状でもよい。また、環状構造を含んでいてもよい。R18のアルキル基の炭素数は、10~25が好ましく、10~20がより好ましい。
式(d2-2)で表されるモノマー(以下、モノマー(d2-2)ともいう)のうち、式(d2-2)において、R19が水素原子、R18が炭素数10~30のアルキル基であるモノマー(d2-2)としては、例えば、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸テトラデシル、アクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸テトラデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸オクタデシル等が挙げられる。式(d2-2)において、R19がカルボキシル基、R18が水素原子であるモノマー(d2-2)としては、例えば、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。R19がカルボキシル基、R18が水素原子であるモノマー(d2-2)としては、マレイン酸が好ましい。
モノマー(d2-2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0087】
(D2)成分は、架橋されたポリマーでもよいし、架橋されていないポリマーでもよい。
前記架橋されたポリマーとしては、例えば、架橋剤により架橋された高分子架橋体が挙げられる。前記架橋剤としては、例えば、アリルエーテル化合物が挙げられる。前記アリルエーテル化合物としては、例えば、アリルエーテル、糖のアリルエーテル、糖アルコールのアリルエーテル等が挙げられる。前記糖としては、例えば、スクロース等が挙げられる。前記糖アルコールとしては、例えば、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0088】
(D2)成分は、式(d2-1)で表されるモノマーから誘導された繰り返し単位及び式(d2-2)で表されるモノマーから誘導された繰り返し単位以外の繰り返し単位(他の繰り返し単位)を有していてもよい。
他の繰り返し単位としては、他のモノマーから誘導された繰り返し単位が挙げられる。
他のモノマーとしては、モノマー(d2-1)及びモノマー(d2-2)と共重合可能であれば特に限定されず、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル等が挙げられる。
他のモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0089】
(D2)成分の質量平均分子量は、3000~100000が好ましく、5000~80000がより好ましく、5000~50000がさらに好ましい。(D2)成分の質量平均分子量が上記下限値以上であると、洗浄力をより高められる。(D2)成分の質量平均分子量が上記上限値以下であると、液安定性をより高められる。
【0090】
(D2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0091】
<(D3)成分>
(D3)成分は、カルボキシメチルセルロース系ポリマーである。本実施形態の洗浄液は、(D3)成分を含有することで、再汚染防止性をより高められる。
(D3)成分としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)又はその塩が挙げられる。CMCの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等が挙げられ、これらの塩の混合物であってもよい。CMCの塩としては、ナトリウム塩が好ましい。
【0092】
CMCとしては、例えば、パルプを原料として、これを水酸化ナトリウム水溶液で処理した後、モノクロロ酢酸を反応させて得られるアニオン性の水溶性セルロースエーテル又は水不溶性セルロースエーテルが挙げられる。
具体的には、下記式(d3-1)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が例示される。
【0093】
【0094】
式(d3-1)中、nは繰り返し単位の繰り返し数を表し、R31~R33は、それぞれ独立して水酸基又はカルボキシメチル基(-CH2COO-Z+;Z+は対イオンである)を示す。
【0095】
CMCの質量平均分子量は、10万以上が好ましく、30万以上がより好ましく、80万以上がさらに好ましい。CMCの質量平均分子量の上限値としては、120万以下が好ましく、100万以下がより好ましい。CMCの質量平均分子量が上記下限値以上であると、再汚染防止性をより高められる。CMCの質量平均分子量が上記上限値以下であると、溶解性が良好となり、液安定性をより高められる。
【0096】
CMCのエーテル化度は0.2~1.3が好ましく、0.2~1.0がより好ましく、0.2~0.7がさらに好ましい。
本明細書におけるCMCのエーテル化度とは、グルコース環単位当たり、カルボキシメチル基又はその塩で置換された水酸基の平均個数(前記グルコース環の持つ3つの水酸基のうち、いくつがカルボキシメチル基又はその塩により置換されたかを示すもので、最大3となる)を意味する。例えば、上記式(d3-1)においては、-OR31、-OR32、-OR33のうち、R31~R33がカルボキシメチル基又はその塩で置換されているものの平均個数がエーテル化度となる。
【0097】
CMCは、市販品を用いてもよい。CMCの市販品としては、例えば、ダイセルミライズ株式会社から商品名「CMCダイセル」、商品名「HEC(ヒドロキシエチルセルロース)ダイセル」で販売されている。CMCダイセルとしては、例えば、いずれも品番で、1110、1120、1130、1140、1160、1170、1180、1190、1220、1240、1260、1280、1290、1380、2200、2260、2280、2450、2340等が挙げられる。HECダイセルとしては、例えば、いずれも品番で、SP200、SP400、SP500、SP600、SP850、SP900等が挙げられる。
CMCの市販品としては、このほか、日本製紙株式会社から商品名「サンローズ(登録商標)」で販売されている。サンローズ(登録商標)としては、例えば、F10LC、F600LC、F1400LC、F10MC、F150MC、F350HC、F1400MC、F1400MG等のサンローズFシリーズ;A02SH、A20SH、A200SH等のサンローズAシリーズ;SLD-F1(以上商品名)が挙げられる。
上記の中でも、CMCの市販品としては、CMCダイセル1130、1170、1180、1190、1260、HECダイセルSP400、SP500、サンローズF1400LC、F1400MC、サンローズSLD-F1が好ましく、CMCダイセル1260、HECダイセルSP500がより好ましい。
【0098】
(D3)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0099】
(D)成分としては、このほか、カチオン化セルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0100】
洗浄液における(D)成分の濃度は、質量基準で(洗浄液の総質量に対して)、5~200ppmが好ましく、10~150ppmがより好ましく、20~100ppmがさらに好ましい。(D)成分の濃度が上記下限値以上であると、洗浄力をより高められる。加えて、(D)成分の濃度が上記下限値以上であると、再汚染防止性をより高められる。(D)成分の濃度が上記上限値以下であると、液安定性をより高められる。
【0101】
洗浄液が(D1)成分を含む場合、(D1)成分の濃度は、質量基準で、5~100ppmが好ましく、10~80ppmがより好ましく、20~50ppmがさらに好ましい。(D1)成分の濃度が上記下限値以上であると、洗浄力及び再汚染防止性をより高められる。(D1)成分の濃度が上記上限値以下であると、液安定性をより高められる。
【0102】
洗浄液が(D2)成分を含む場合、(D2)成分の濃度は、質量基準で、5~100ppmが好ましく、10~80ppmがより好ましく、20~50ppmがさらに好ましい。(D2)成分の濃度が上記下限値以上であると、洗浄力及び再汚染防止性をより高められる。(D2)成分の濃度が上記上限値以下であると、液安定性をより高められる。
【0103】
洗浄液が(D3)成分を含む場合、(D3)成分の濃度は、質量基準で、0.1~50ppmが好ましく、0.5~30ppmがより好ましく、1~10ppmがさらに好ましい。(D3)成分の濃度が上記下限値以上であると、再汚染防止性をより高められる。(D3)成分の濃度が上記上限値以下であると、液安定性をより高められる。
(D1)成分、(D2)成分及び(D3)成分は、それぞれを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0104】
洗浄液における(D)成分/(A)成分で表される質量比(以下、「(D)/(A)比」ともいう。)は、0.01~10が好ましく、0.05~5がより好ましく、0.1~1がさらに好ましい。(D)/(A)比が上記下限値以上であると、洗浄力及び再汚染防止性をより高められる。(D)/(A)比が上記上限値以下であると、液安定性をより高められる。
【0105】
本実施形態の洗浄液は、溶媒を含む。
溶媒としては、調製しやすさ、使用しやすさ、入手しやすさ等の観点から、水を用いることが好ましい。
使用する水は、洗浄液の経時安定性の点から、水中に溶解している重金属等の金属イオンを除いたイオン交換水、蒸留水又は精製水を用いることが好ましい。
洗浄液中、水の含有割合は、洗浄液の総質量に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。水の含有割合が上記下限値以上であると、経時に伴う洗浄液の液安定性がより良好となる。
【0106】
≪任意成分≫
本実施形態の洗浄液は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分以外のその他の成分(任意成分)を含有してもよい。
任意成分としては、洗浄剤組成物に通常用いられる成分が挙げられ、例えば、水混和性有機溶剤、キレート剤、酵素、ハイドロトロープ剤、消泡シリコーン、ソイルリリース剤、安定化剤、アルカリ剤、防腐剤、蛍光剤、移染防止剤、パール剤、酸化防止剤、抗菌剤、着色剤として汎用の色素又は顔料、乳濁化剤、香料、不溶粒子、pH調整剤、天然物等のエキスが挙げられる。
これらの任意成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0107】
本実施形態の洗浄液は、水混和性有機溶剤を配合することで、低温(例えば、5℃)保存時の安定性、防腐力を高めることができる。
本明細書において、水混和性有機溶剤とは、25℃のイオン交換水1Lに50g以上溶解する有機溶剤をいう。
水混和性有機溶剤としては、例えば、アルコール類、グリコール類、ポリグリコール類、アルキルエーテル類、フェノキシエタノール等が挙げられる。
アルコール類としては、例えば、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール等が挙げられる。
グリコール類としては、例えば、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等が挙げられる。
ポリグリコール類としては、例えば、ジプロピレングリコール等が挙げられる。
アルキルエーテル類としては、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール等が挙げられる。
これらの中でも、入手のしやすさ、液安定性、流動性等から、エタノール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、フェノキシエタノールが好ましい。
【0108】
金属イオン捕捉剤(キレート剤)としては、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、ジグリコール酸、酒石酸、クエン酸等が挙げられる。
ハイドロトロープ剤としては、パラトルエンスルホン酸又はその塩、クメンスルホン酸又はその塩、安息香酸塩、フェノキシエタノール、並びに尿素等が挙げられる。
ソイルリリース剤としては、例えば、国際公開第2014/109380号記載のアルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位からなる群から選択される少なくとも1つの単位と、オキシアルキレン単位及びポリオキシアルキレン単位からなる群から選択される少なくとも1つの単位とを有する水溶性ポリマーが挙げられる。具体的には、商品名:TexCare SRN-100(クラリアントジャパン社製、質量平均分子量:2000~3000)、商品名:TexCare SRN-300(クラリアントジャパン社製、質量平均分子量:7000)、商品名:Repel-O-Tex Crystal(ローディア社製)、商品名:Repel-O-Tex QCL(ローディア社製)として市販されている成分が挙げられる。
アルカリ剤としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられる。
【0109】
消泡シリコーンは、オイル型、オイルコンパウンド型、エマルション型、自己乳化型のいずれも使用できる。
オイル型の消泡シリコーンは、未変性のシリコーンオイル100%で構成され、シリカを含まない消泡剤である。市販品としては、SH200(東レ・ダウコーニング株式会社)が挙げられる。
オイルコンパウンド型の消泡シリコーンは、シリコーンオイルに、微粉末シリカ等の水不溶性粒子を配合した消泡剤である。市販品としては、8590 Additive、AF-8014 アンチフォーム、AC-8066 アンチフォーム、ACP-3073 アンチフォーム(以上、東レ・ダウコーニング株式会社)、KS-66(信越化学工業株式会社)等が挙げられる。
溶液型の消泡シリコーンは、シリコーンオイルをイソパラフィン等の溶剤に溶かした消泡剤である。市販品としては、KS-602A(信越化学工業株式会社)等が挙げられる。
エマルジョン型の消泡シリコーンは、シリコーンオイルコンパウンドをノニオン系の活性剤で乳化した消泡剤である。市販品としては、FSアンチフォーム93(東レ・ダウコーニング株式会社)、KM-90、KM-73、KM-7750、KM-7752(以上、信越化学工業株式会社)等が挙げられる。
自己乳化型の消泡シリコーンは、親水性の変性シリコーンオイルとオイルコンパウンドから構成される消泡剤である。市販品としては、KS-537(信越化学工業株式会社)等が挙げられる。
【0110】
防腐剤としては、ダウ・ケミカル社製「ケーソンCG」(商品名)、ソー・ジャパン社製「アクチサイドMBS」(商品名)、クラリアント社製「NIPACIDE BIT 20」(商品名)等が挙げられる。
酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。
香料としては、例えば、特開2002-146399号公報に記載の香料成分等が挙げられる。
pH調整剤としては、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミン等が挙げられる。
【0111】
抗菌剤としては、例えば、ジフェニル系、アルコール系、フェノール系、アルデヒド系、カルボン酸系、エステル系、エーテル系、ニトリル系、過酸化物・エポキシ系、ハロゲン系、ピリジン・キノリン系、トリアジン系、イソチアゾロン系、イミダゾール・チアゾール系、アニリド系、ビグアナイド系、ジスルフィド系、チオカーバメート系、糖質系、トロポロン系、有機金属系等の有機系抗菌剤;金属酸化物、銀系等の無機系抗菌剤が挙げられる。具体的には、ダイクロサン、トリクロサン、ビス-(2-ピリジルチオ-1-オキシド)亜鉛、ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩、8-オキシキノリン、ポリリジン等が挙げられる。
【0112】
天然物等のエキスとしては、例えば、イヌエンジュ、ウワウルシ、エキナセア、コガネバナ、キハダ、オウレン、オールスパイス、オレガノ、エンジュ、カミツレ、スイカズラ、クララ、ケイガイ、ケイ、ゲッケイジュ、ホオノキ、ゴボウ、コンフリー、ジャショウ、ワレモコウ、シャクヤク、ショウガ、セイタカアワダチソウ、セイヨウニワトコ、セージ、ヤドリギ、ホソバオケラ、タイム、ハナスゲ、チョウジ、ウンシュウミカン、ティーツリー、バーベリー、ドクダミ、ナンテン、ニュウコウ、ヨロイグサ、シロガヤ、ボウフウ、オランダヒユ、ホップ、ホンシタン、マウンテングレープ、ムラサキタガヤサン、セイヨウヤマハッカ、ヒオウギ、ヤマジソ、ユーカリ、ラベンダー、ローズ、ローズマリー、バラン、スギ、ギレアドバルサムノキ、ハクセン、ホウキギ、ミチヤナギ、ジンギョウ、フウ、ツリガネニンジン、ヤマビシ、ヤブガラシ、カンゾウ、セイヨウオトギリソウ等の植物が挙げられる。
【0113】
洗浄液の総質量に対して、任意成分の合計の含有量は、質量基準で、200ppm以下が好ましく、150ppm以下がより好ましく、100ppm以下がさらに好ましく、0ppmでもよい。
【0114】
≪pH≫
洗浄液は、25℃におけるpHが4~10であることが好ましく、5~9であることがより好ましく、6~8であることがさらに好ましい。pHが上記数値範囲内であると、液安定性を良好に維持できる。
pHは、測定対象を25℃とし、pHメーター(例えば、東亜ディーケーケー(株)社製の「HM-30G」(製品名)を使用)等により測定される。
【0115】
≪粘度≫
洗浄液の25℃における粘度は、10mPa・s以下であることが好ましい。洗浄液の粘度が上記上限値以下であると、洗浄液を繊維製品の全体に接触させやすい。
本明細書における粘度は、測定対象を25℃とし、B型(ブルックフィールド型)粘度計を用いて測定される値を意味する。
【0116】
[洗浄液の製造方法]
本実施形態の洗浄液は、(A)成分~(D)成分と、必要に応じて任意成分とを、(A)成分の濃度が所定の濃度となるように、水に分散することにより得られる。
または、(A)成分~(D)成分を含有し、(A)成分の濃度が洗浄液における濃度よりも高い洗浄剤組成物を調製し、この洗浄剤組成物を200~3000倍に希釈して、(A)成分の濃度を所定の濃度とした洗浄液を製造してもよい。
実用性の観点から、洗浄液は、上記洗浄剤組成物を水で希釈して調製することが好ましい。
なお、洗浄剤組成物は、液体洗浄剤組成物でもよいし、粉末洗浄剤組成物でもよい。
【0117】
洗浄剤組成物における(A)成分の含有量は、洗浄剤組成物の総質量に対して、3~15質量%が好ましく、5~12質量%がより好ましく、5~10質量%がさらに好ましい。(A)成分の含有量が上記下限値以上であると、洗浄力をより高められる。(A)成分の含有量が上記上限値以下であると、洗浄剤組成物を水に溶解した洗浄液の泡立ちがより低減され、すすぎ性をより高められる。
【0118】
洗浄剤組成物における(B)成分の含有量は、洗浄剤組成物の総質量に対して、0.3~5.0質量%が好ましく、0.5~4.0質量%がより好ましく、1.0~3.0質量%がさらに好ましい。(B)成分の含有量が上記下限値以上であると、すすぎ性をより高められる。加えて、(B)成分の含有量が上記下限値以上であると、柔軟性をより高められる。(B)成分の含有量が上記上限値以下であると、液安定性をより高められる。
【0119】
洗浄剤組成物における(C)成分の含有量は、洗浄剤組成物の総質量に対して、0.5~8質量%が好ましく、1~6質量%がより好ましく、2~5質量%がさらに好ましい。(C)成分の含有量が上記下限値以上であると、柔軟性をより高められる。(C)成分の含有量が上記上限値以下であると、液安定性をより高められる。
【0120】
洗浄剤組成物における(D)成分の含有量は、洗浄剤組成物の総質量に対して、1~10質量%が好ましく、2~8質量%がより好ましく、3~5質量%がさらに好ましい。(D)成分の含有量が上記下限値以上であると、再汚染防止性をより高められる。加えて、(D)成分の含有量が上記下限値以上であると、洗浄力をより高められる。(D)成分の含有量が上記上限値以下であると、液安定性をより高められる。
【0121】
洗浄剤組成物における水の含有量は、特に限定されないが、洗浄剤組成物の総質量に対して、30~95質量%が好ましく、50~90質量%がより好ましく、70~85質量%がさらに好ましい。
洗浄剤組成物における任意成分の含有量は、洗浄剤組成物の総質量に対して、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、0質量%であってもよい。
洗浄剤組成物の各成分の含有量の合計は、100質量%を超えない。
【0122】
[洗濯方法]
本発明の洗濯方法は、上述した洗浄液で繊維製品を洗浄した後に、すすぎ工程を要しない洗濯方法である。
本発明の洗濯方法は、すすぎ工程を要しないため、環境負荷を軽減し、かつ、短時間で繊維製品を洗濯できる。加えて、本発明の洗濯方法は、すすぎ工程を要しないため、繊維製品に付着した香りや抗菌効果を維持でき、繊維製品に与えるダメージを低減できる。さらに、本発明の洗濯方法は、すすぎ工程を要しないため、(A)成分~(C)成分を繊維製品に残すことができ、(A)成分~(B)成分と、(C)成分とのコンプレックス形成により、すすぎ工程で柔軟剤を用いなくても優れた柔軟性を繊維製品に付与できる。
【0123】
本実施形態の洗濯方法は、すすぎ工程を要しないこと以外は、通常の洗濯方法と同様である。例えば、本実施形態の洗濯方法は、洗浄工程と、脱水工程とを有する。本実施形態の洗濯方法は、例えば、洗濯機を用いて、繊維製品を洗濯する方法が挙げられる。このほか、本実施形態の洗濯方法には、洗面台での手洗い洗濯、屋外で袋等に繊維製品を入れて揉み洗いする洗濯も含まれる。
【0124】
洗浄工程は、本実施形態の洗浄液を繊維製品に接触させて、繊維製品を洗浄する工程である。
洗浄工程において、繊維製品に洗浄液を振りかけてもよく、繊維製品を洗浄液に浸漬してもよい。
接触効率をより高めて、洗浄効果をより高められることから、洗浄工程は、繊維製品を洗浄液に浸漬する操作(浸漬操作)を有することが好ましい。
洗浄工程は、浸漬操作のみを有してもよいし、浸漬操作以外に、滴下操作、攪拌操作を有してもよい。
滴下操作は、本実施形態の洗浄液を繊維製品に滴下する操作である。洗浄液を滴下する量は、繊維製品の種類、量に応じて適宜決定される。
【0125】
洗浄工程が浸漬操作を有する場合、浸漬操作における[洗浄液の質量]/[繊維製品の質量]で表される浴比は、5以上が好ましく、10以上がより好ましく、20以上がさらに好ましい。浴比が上記下限値以上であると、繊維製品と洗浄液との接触効率をより高められる。このため、洗浄効果をより高められる。浴比の上限値は、特に限定されないが、例えば、50とされる。
攪拌操作は、被洗物を浸漬した洗浄液を攪拌し、被洗物に剪断力を与える。攪拌操作は、例えば、洗濯機の洗濯槽を回転し、又は回動して行われる。攪拌操作における洗濯槽の回転速度、回転時間は、繊維製品の種類、量に応じて適宜決定される。
【0126】
洗浄工程において、洗浄液と繊維製品とを接触させる時間(接触時間)は、3分間以上が好ましく、5分間以上が好ましく、10分間以上がより好ましい。接触時間が上記下限値以上であると、洗浄効果をより高められる。接触時間の上限は特に限定されないが、洗濯効率の観点から、6時間以下が好ましく、2時間以下がより好ましく、30分間以下がさらに好ましく、15分間以下が特に好ましい。
本明細書において、「接触時間」とは、洗浄液を繊維製品に接触させてから、繊維製品を洗浄液から取出すまでの時間、又は、後述する脱水工程を開始するまでの時間をいう。
【0127】
洗浄工程における洗浄液の温度は、10~50℃が好ましく、20~40℃がより好ましい。洗浄工程における洗浄液の温度が上記下限値以上であると、洗浄効果をより高められる。洗浄工程における洗浄液の温度が上記上限値以下であると、繊維製品の劣化を抑制できる。
【0128】
本明細書において、「繊維製品」としては、例えば、衣料、布巾、タオル、ハンカチ、シーツ、カーテン、枕カバー、トイレマット等が挙げられる。
また、該繊維製品の素材については、特に限定されず、例えば、天然繊維、合成繊維、半合成繊維、再生繊維、又はこれらの各種繊維の混紡品、混織品もしくは混編品等が挙げられる。
天然繊維としては、例えば、綿、ウール、麻等が挙げられる。
合成繊維としては、例えば、ポリエステル、ナイロン、アクリル等が挙げられる。
半合成繊維としては、例えば、アセテート等が挙げられる。
再生繊維としては、例えば、レーヨン、テンセル、ポリノジック等が挙げられる。
【0129】
洗濯機としては、例えば、二層式洗濯機、全自動洗濯機、洗剤自動投入機能を備えた洗濯機、業務用洗濯機等が挙げられる。
全自動洗濯機としては、縦型の洗濯槽を有する洗濯機、ドラム式洗濯機、乾燥機付きドラム式洗濯機等が挙げられる。
洗濯機としては、繊維製品を洗浄液に浸漬しやすことから、二層式洗濯機、縦型の洗濯槽を有する洗濯機が好ましい。
【0130】
洗浄工程においては、繊維製品に攪拌等の機械力を加えることが好ましい。繊維製品に機械力を加えることで、洗浄効果をより高められる。
【0131】
洗浄工程においては、繊維製品に(A)成分~(B)成分を接触させた後、(C)成分を接触させてもよく、繊維製品に(C)成分を接触させた後、(A)成分~(B)成分を接触させてもよく、繊維製品に(A)成分~(C)成分を同時に接触させてもよい。
洗浄力及び柔軟性をより高められることから、洗浄工程においては、繊維製品に(A)成分~(B)成分を接触させた後、(C)成分を接触させることが好ましい。
【0132】
本明細書において、「洗浄工程」は、繊維製品に洗浄液を接触させてから、脱水工程(すなわち、繊維製品に接触する洗浄液の量が所定の量未満となる)又は後述するすすぎ工程を開始する(すなわち、洗浄液中の(A)成分の濃度が所定の濃度未満となる)までをいうものとする。
本実施形態の洗濯方法が脱水工程を有しない場合、繊維製品が浴比0.1以上で洗浄液と接触している状態までを洗浄工程というものとする。
【0133】
本実施形態の洗濯方法は、洗浄工程の後にすすぎ工程を要しない。しかし、本実施形態の洗濯方法は、すすぎ工程を有していてもよい。
すすぎ工程は、繊維製品をすすぎ液に接触させて、繊維製品に付着した(A)成分を低減する工程である。ここで、「すすぎ液」とは、(A)成分の濃度が30ppm未満の水性液をいう。すすぎ液中の(B)成分の濃度は、1ppm未満が好ましい。すすぎ液中の(C)成分の濃度は、10ppm未満が好ましい。すすぎ液中の(D)成分の濃度は、10ppm未満が好ましい。
本実施形態の洗濯方法がすすぎ工程を有する場合、すすぎ方法としては、例えば、繊維製品が浸漬されている洗浄液に水を添加してすすぎ液とし、繊維製品をすすぎ液に接触させ、繊維製品に攪拌等の機械力を加える方法が挙げられる。また、すすぎ方法としては、例えば、洗浄液と繊維製品とを分離し、分離した繊維製品を水に接触させ、繊維製品に攪拌等の機械力を加える方法が挙げられる。洗浄液と繊維製品とを分離する方法としては、例えば、洗濯槽から洗浄液を排水する方法、繊維製品を洗浄液から取り出す方法等が挙げられる。
本実施形態の洗濯方法は、すすぎ工程を有していてもよいが、省資源、省エネルギー、環境負荷軽減等の点から、すすぎ工程を有しないことが好ましい。
【0134】
脱水工程は、繊維製品に付着した水分を除去する工程である。本実施形態の洗濯方法は、脱水工程を有することで、繊維製品の乾燥効率を高められる。このため、本実施形態の洗濯方法は、脱水工程を有することが好ましい。脱水方法としては、洗浄液と接触した繊維製品に遠心力を加える方法、繊維製品を絞って洗浄液を除去する方法等が挙げられる。
【0135】
本実施形態の洗濯方法は、洗浄工程、すすぎ工程、脱水工程以外の他の工程を有していてもよい。
他の工程としては、例えば、排水工程、乾燥工程等が挙げられる。
排水工程は、繊維製品に接触させた洗浄液を、洗濯機の洗濯槽から排出する工程である。排水工程を有することで、繊維製品に付着した洗浄液を除去できる。なお、排水工程は、洗浄液の排出を開始してから、洗浄液の排出を完了するまでをいうものとする。
乾燥工程は、脱水工程後の繊維製品を加熱して乾燥する工程である。乾燥工程を有することで、繊維製品に付着した水分をより確実に除去できる。なお、乾燥工程は、洗濯機の内部で行ってもよく、洗濯機から繊維製品を取出して、乾燥機付きの浴室や屋外で行ってもよい。
【0136】
上述の通り、本発明の洗濯方法は、(A)成分と(B)成分と(C)成分とを含有し、(A)成分の濃度が30~150ppmである洗浄液で繊維製品を洗浄するため、洗浄時の泡立ちが少なくてすすぎ性が良好であり、すすぎ工程を簡略化した場合にも充分な洗浄力を発揮できる。加えて、本発明の洗濯方法は、繊維製品に優れた柔軟性を付与できる。
このため、本発明の洗濯方法は、従来の洗濯では必須であったすすぎ工程を省略できる。
【実施例0137】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
各実施例及び比較例で使用した原料、測定・評価方法は、以下の通りである。
【0138】
[使用原料]
≪(A)成分≫
<(A1)成分>
・LMAO:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ライオンケミカル株式会社製、商品名「LMAO-90」、式(a1)中、R1が炭素数12の直鎖状のアルキル基(C12)及び炭素数14の直鎖状のアルキル基(C14)であり(質量比でC12:C14=75:25)、-X-は、-O-であり、酸素原子に結合するR1の炭素原子は第一級炭素原子であり、R2が水素原子であり、mが15であり、nが0である化合物)。
・AE(6EO):ポリオキシエチレンアルキルエーテル(6EO)、天然アルコールに6モル相当のエチレンオキシドを付加したもの。前記式(a1)において、R1が炭素数12の直鎖アルキル基及び炭素数14の直鎖アルキル基、-X-が-O-、R2が水素原子、m=6、n=0である化合物。
・MEE:脂肪酸メチルエステルエトキシレート(ライオンケミカル株式会社製、商品名「CEAO-90」、脂肪酸の炭素数12~14、EOの平均付加モル数15)、前記式(a1)において、R1が炭素数11の直鎖アルキル基及び炭素数13の直鎖アルキル基、-X-が-COO-、Xが結合するR1の炭素原子が第二級炭素原子であり、R2がメチル基、m=15、n=0である化合物。
・EPノニオン:天然アルコール(質量比で炭素数12アルコール/炭素数14アルコール=7/3)に、8モルのエチレンオキシド、2モルのプロピレンオキシド、8モルのエチレンオキシドの順にブロック付加させて得られたノニオン界面活性剤。式(a1)で、R1が、炭素数12のアルキル基及び炭素数14のアルキル基、-X-が-O-、R2が水素原子、m=8、n=2、m’=8である化合物(m’は、mとは異なるEOの平均繰り返し数を表す。)。
・TAG:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(炭素数13のアルコールに7モル相当のエチレンオキシドを付加したもの。前記式(a1)中、R1が炭素数13の分岐鎖状のアルキル基であり、-X-が-O-であり、酸素原子に結合するR1の炭素原子は第一級炭素原子であり、R2が水素原子であり、m=7、n=0である化合物。下記製造例1により合成されたもの。)。
・ソフタノール:第二級アルコール1モルに、12モル相当のエチレンオキシドを付加したもの。式(a1)において、R1が炭素数12~14のアルキル基、R2が水素原子、-X-が-O-、Xが結合するR1の炭素原子が第二級炭素原子、mが12、nが0である化合物。
・POEイソトリデシルエーテル(60EO):ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル(60EO)、BASF社製の商品名ルテンゾールTO3にエチレンオキシド(EO)を付加させたもの(60EOは、エチレンオキシドの平均付加モル数が60であることを示す)。
【0139】
<(A2)成分>
・LAS:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、商品名「ライポン(登録商標)LS-250」、ライオン株式会社製。
・AES:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩。アルキル基が炭素数12及び14の直鎖状のアルキル基、EOの平均付加モル数が2、硫酸塩の塩がナトリウムイオンである化合物。PT.Kao Indonesia Chemicals社製、商品名「EMAL 270」)。
・AEPS:ポリオキシエチレンポリオキシプロパン-1,2-ジイルアルキルエーテル硫酸エステルのモノエタノールアミン塩。
・IOS:内部オレフィンスルホン酸の塩、特開2001-247534号公報の実施例7に記載された方法により合成された化合物。
【0140】
≪(B)成分≫
・ヤシ脂肪酸:日油株式会社製、商品名「椰子脂肪酸」。
【0141】
≪(C)成分≫
<(C1)成分>
・TES:N,N-ジアルカノイルオキシエチル-N-メチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェート、東南合成社製、商品名「HITEX R016E」。
【0142】
<(C2)成分>
・POE変性シリコーン:ポリエーテル変性シリコーン、東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名「CF1188N」。
・アミノ変性シリコーン:信越化学工業株式会社製、商品名「KF-864」。
【0143】
≪(D)成分≫
<(D1)成分>
・PEI(10EO):アルコキシル化ポリアルキレンイミン、下記製造例2で得られるポリエチレンイミンのエチレンオキシド付加体(ポリエチレンイミンが1分子中に有する活性水素の数:10個、活性水素1原子に対するエチレンオキシドの平均付加モル数:10)。
・PEI(20EO):アルコキシル化ポリアルキレンイミン、ポリエチレンイミンのエチレンオキシド付加体(BASF社製、商品名「Sokalan HP20」、ポリエチレンイミンが1分子中に有する活性水素の数:20個、活性水素1原子に対するエチレンオキシドの平均付加モル数:20、質量平均分子量14500)。
【0144】
<(D2)成分>
・CP7:アクリル酸とマレイン酸との共重合体ナトリウム塩(アクリル酸とマレイン酸とのモル比60:40)、BASF社製、商品名「Sokalan CP7」、質量平均分子量50000。
・CP9:炭素数4~12の炭化水素とマレイン酸との共重合体ナトリウム塩、BASF社製、商品名「Sokalan CP9」、質量平均分子量12000。
・PA30CL:ポリアクリル酸、BASF社製、商品名「Sokalan PA30CL」、質量平均分子量8000。
【0145】
<(D3)成分>
・ダイセルCMC1260:カルボキシメチルセルロース、ダイセルミライズ株式会社製、商品名「ダイセルCMC1260」。
【0146】
<任意成分>
・シリコーンエマルジョン:信越化学工業株式会社製、商品名「KM-90」。
・エタノール:日本アルコール販売株式会社製、商品名「特定95度合成アルコール」。
・ソルフィット:3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、株式会社クラレ製、商品名「ソルフィット(登録商標)」。
・安息香酸Na:安息香酸ナトリウム、東亞合成株式会社製。
・クエン酸:キレート剤、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名「液体クエン酸」。
・香料:特開2002-146399号公報の表11~18に記載の香料組成物A。
・BHT:ジブチルヒドロキシトルエン、住友化学株式会社製、商品名「SUMILZER(登録商標) BHT-R」。
・色素:アシッドレッド138、日本化薬株式会社製、商品名「カヤノール(登録商標)ミーリング」。
・NaOH:水酸化ナトリウム、東亞合成株式会社製。
・pH調整剤:硫酸、水酸化ナトリウム、いずれも東亞合成株式会社製。
<水>
・水:精製水。
【0147】
<製造例1:TAGの合成>
Sasol社製のEXXAL(登録商標)13を400gと、30質量%NaOH水溶液3.33gを耐圧型反応容器内に仕込み、その反応容器内を窒素置換した。次に、温度100℃、圧力2.0kPa以下で30分間脱水した後、温度を160℃まで昇温した。次いで、反応液を撹拌しながら、エチレンオキシド(ガス状)1145gを反応液中に徐々に加えた。この時、反応温度が180℃を超えないように添加速度を調節しながら、エチレンオキシドを吹き込み管で加えた。
エチレンオキシドの添加終了後、温度180℃、圧力0.3MPa以下で30分間熟成した後、温度180℃、圧力6.0kPa以下で10分間、未反応のエチレンオキシドを留去した。次に、温度を100℃以下まで冷却した後、反応物の1質量%水溶液のpHが約7になるように、70質量%p-トルエンスルホン酸を加えて中和し、TAGを得た。
【0148】
<製造例2:ポリエチレンイミンのエチレンオキシド付加体(10EO)の製造>
ポリエチレンイミン(BASF社製、商品名「Lupasol FG」)及び水を入れたオートクレーブを真空脱気した後に窒素置換した。オートクレーブを加熱しながら窒素原子1モル当り10モルに相当するエチレンオキシドを添加してエトキシ化させ、ポリエチレンイミンのエチレンオキシド付加体を得た。
【0149】
[測定・評価方法]
<pHの測定>
各例の洗浄剤組成物(液体洗浄剤)を100mL調製し、25℃の環境下で、pHメーター(ポータブルpH/ORP/IONメーター D-73、(株)堀場製作所製)を用いて、各例の液体洗浄剤のpHを測定した。
【0150】
<すすぎ性(泡立ち抑制性)の評価>
各例の洗浄液20mLをそれぞれエプトン管(容量100mL、胴径25mm)に入れ、エプトン管を手で1ストローク/秒で20回振とうした。
振とう終了から1分後の泡の高さ(泡と洗浄液との境界から、泡の上端面までの高さ)を読み取り、下記評価基準に従って、すすぎ性を評価した。
下記評価基準において、◎◎、◎、及び○を合格とした。
《評価基準》
◎◎:泡の高さが30mm未満。
◎:泡の高さが30mm以上70mm未満。
○:泡の高さが70mm以上120mm未満。
△:泡の高さが120mm以上150mm未満。
×:泡の高さが150mm以上。
【0151】
<洗浄力の評価>
すすぎ工程を行わない場合の洗浄力を評価した。
汚垢布として、湿式人工汚染布(財団法人洗濯科学協会製、オレイン酸28.3%、トリオレイン15.6%、コレステロールオレート12.2%、流動パラフィン2.5%、スクアレン2.5%、コレステロール1.6%、ゼラチン7.0%、泥29.8%、カーボンブラック0.5%)を5cm×5cm四方に裁断したものを用いた。
洗浄試験器として、Terg-O-tometer(UNITED STATES TESTING社製)を用いた。
前記洗浄試験器に、各例の洗浄液900mLと、前記汚垢布10枚と、洗浄メリヤス布を投入し、浴比(洗濯水/被洗布総質量)が20倍となるように調整した後、120rpm、15℃で10分間洗浄処理を施した。その後、二槽式洗濯機((株)東芝製、製品名「VH-30S」)に移し、1分間脱水処理を行った後、風乾させた。
洗浄前の汚垢布、洗浄後の汚垢布、及び未汚垢布(ここで未汚垢布とは、汚れを付けていない元の白布(原布)をいう)について、それぞれ反射率を色差計(日本電色(株)製、製品名「SE200型」)で測定し、下記式(i)により洗浄率(%)を求めた。
洗浄率(%)=(洗浄前の汚垢布のK/S-洗浄後の汚垢布のK/S)/(洗浄前の汚垢布のK/S-未汚垢布のK/S)×100 ・・・(i)
[式(i)中、K/Sは、(1-R/100)2/(2R/100)であり、Rは、洗浄前の汚垢布、洗浄後の汚垢布又は未汚垢布の反射率(%)を表す。Kは吸光係数、Sは散乱係数、Rは絶対反射率をそれぞれ表す。]
汚垢布10枚の洗浄率の平均値を求めた。得られた平均値を下記の評価基準に従って評価した。下記評価基準において、◎及び〇を合格とした。
《評価基準》
◎:洗浄率が50%以上。
〇:洗浄率が45%以上、50%未満。
△:洗浄率が40%以上、45%未満。
×:洗浄率が40%未満。
【0152】
<柔軟性の評価>
全自動電気洗濯乾燥機(東芝社製AW-8V2)に、市販の綿タオル(綿100%)3枚、及び浴比(洗濯水/被洗布総質量)を20倍に調整するために、綿肌シャツ4枚(B.V.D.社製、全被洗布質量合計約600g)を投入した。
上記洗濯機の中に、各例の濃度となるような洗浄液を用意し、標準コースで洗浄、脱水を順次行う洗浄操作を行った。洗浄(時間は10分)、脱水(時間は5分)、水量(低水位に設定、水量約12L)を調整し、洗濯を行った。洗濯終了後、取り出したタオルを25℃、湿度65%RHの恒温恒湿室に放置して、乾燥させた。これを試験布として柔軟性評価に用いた。
評価対照布として、20%非イオン性界面活性剤(P&G社製の天然アルコールCO-1270に対して15モル相当の酸化エチレンを付加したもの)10mLを用いたこと以外は試験布と同様にして処理した綿タオルを用いた。
柔軟性の評価は、官能によって、この対照布に対して下記採点基準による比較を行い、専門パネラー10人の平均値で求めた。下記評価基準に基づいて柔軟性を評価し、平均値が3点以上の場合を合格とした。
<採点基準>
5点:試験布が対照布よりも非常に柔らかい。
4点:試験布が対照布よりもかなり柔らかい。
3点:試験布が対照布よりも柔らかい。
2点:試験布が対照布よりもやや柔らかい。
1点:試験布の柔らかさが対照布と同等。
《評価基準》
◎:平均値が4点以上。
○:平均値が3点以上4点未満。
△:平均値が2点以上3点未満。
×:平均値が2点未満。
【0153】
[実施例1~27、比較例1~5]
表1~6に記載の通り各成分の濃度を調整し、次の手順により実施例1~27、比較例1~5の洗浄液を調製した。
(A)成分、(B)成分及び(C)成分と水とを均一になるまで混合し、次いで、任意成分を添加し、充分に攪拌して洗浄液を得た。
表1~6において、各成分の濃度(ppm)はすべて、洗浄液の総質量に対する割合であり、指定のある場合を除き、純分換算での値を示す。表中「-」は、その成分を含有しないことを示す。
なお、洗浄液の25℃におけるpHが表1~6に示す値となるようにpH調整剤を適量配合した。各例の洗浄液に含まれる全配合成分の合計の配合量(質量%)が100質量%となるように水を配合した。つまり、水の配合量は、洗浄液の総質量から水以外の配合成分の合計の配合量(純分換算)を除いた残部である。
各例の洗浄液について、すすぎ性、洗浄力及び柔軟性を上記の方法で評価した。結果を表中に示す。
【0154】
【0155】
【0156】
【0157】
【0158】
【0159】
【0160】
表1~6に示すように、本発明を適用した実施例1~27は、すすぎ性、洗浄力及び柔軟性に優れるものであった。
これに対して、(A)成分を含有しない比較例1は、洗浄力が劣った。洗浄液中の(A)成分の濃度が30ppm未満である比較例2は、洗浄力が劣った。洗浄液中の(A)成分の濃度が150ppm超である比較例3は、すすぎ性及び柔軟性が劣った。(B)成分を含有しない比較例4は、すすぎ性及び柔軟性が劣った。(C)成分を含有しない比較例5は、柔軟性が劣った。
【0161】
これらの結果から、本発明によれば、洗浄時の泡立ちが少なくてすすぎ性が良好であり、すすぎ工程を簡略化した場合にも充分な洗浄力を発揮でき、かつ、優れた柔軟性を付与できることが分かった。