(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053774
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】フェイスマスク
(51)【国際特許分類】
A45D 44/22 20060101AFI20230406BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20230406BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
A45D44/22 C
A61K8/02
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163011
(22)【出願日】2021-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】前川 瑛美
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AC092
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC262
4C083AC302
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC532
4C083AD042
4C083AD052
4C083AD112
4C083AD162
4C083AD222
4C083AD332
4C083AD352
4C083CC02
4C083DD12
4C083EE12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】頬から顎までと、目尻とを同時に覆い保湿することができるフェイスマスクを提供する。
【解決手段】本発明の一態様は、シート片10に化粧料組成物を含浸させたフェイスマスク100であって、鼻を露出させる凹部11と、口を露出させる孔部12と、少なくとも目尻を覆う、短手方向に突出して形成された目尻突出部13とを有し、目尻及び下瞼から顎までの顔面を覆うU字形状マスク1を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート片に化粧料組成物を含浸させたフェイスマスクであって、
鼻を露出させる凹部と、口を露出させる孔部と、少なくとも目尻を覆う、短手方向に突出して形成された目尻突出部とを有し、目尻及び下瞼から顎までの顔面を覆うU字形状マスクを含む、フェイスマスク。
【請求項2】
前記U字形状マスクの頬から顎に対応する領域の下端部に、一対の第1切り込みが形成されている、請求項1に記載のフェイスマスク。
【請求項3】
前記U字形状マスクには、20質量%以上の保湿成分を含む前記化粧料組成物が含浸されている、請求項1又は2のいずれか一項に記載のフェイスマスク。
【請求項4】
額を覆う長細形状を有する額被覆部と、前記額被覆部の長手方向中央部に連結された鼻を覆う鼻被覆部とを有するT字形状マスクを含む、請求項1から3のずれか一項に記載のフェイスマスク。
【請求項5】
前記鼻被覆部は、前記鼻の鼻翼を覆う、幅方向に突出して形成された鼻翼突出部を有し、
前記鼻翼突出部と前記額被覆部との間の前記鼻被覆部に、一対の第2切り込みが形成されている、請求項4に記載のフェイスマスク。
【請求項6】
前記T字形状マスクには、皮脂吸着成分を含む前記化粧料組成物が含浸されている、請求項4又は5に記載のフェイスマスク。
【請求項7】
前記T字形状マスクには、20質量%以下の保湿成分を含む前記化粧料組成物が含浸されている、請求項4から6のいずれか一項に記載のフェイスマスク。
【請求項8】
前記シート片は、繊度1.0dtex以下の繊維で構成された不織布を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のフェイスマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェイスマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不織布等からなる顔に沿った形状のシートに化粧水、乳液、美容液等の化粧料を含浸させたフェイスマスクが広く一般的に用いられている。このフェイスマスクは、化粧料を含浸させたシートで顔を一定時間被覆することにより、化粧料を確実に使用者の顔に接触させて、より高い美容効果を得ようとするものである。
【0003】
例えば、特許文献1には、両目のための孔を有し、額と、鼻背及び/又は鼻側と、頬の一部とを覆うことができる第1のシートと、口のための孔を有し、口の周りと鼻翼の周り及びの頬一部も覆うことができる第2のシートとを含む、顔用の美容マスクが開示されている。第2のシートは、目頭近くや下瞼の下も覆い、鼻周り及び頬の美容トリートメントを均一に行うことができるものである。
【0004】
また、非特許文献1には、額及び鼻と、頬の一部を覆う上用のマスクと、頬から顎までを覆う下用のマスクとを含む美容マスクが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】花王MKニュース,[online],2018年11月28日,インターネット<URL:https://prtimes.jp/a/?c=20186&r=90&f=d20186-90-pdf-0.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び非特許文献1の美容マスクでは、顔の上半分に適用する第1のシート及び上用のマスクは、額及び鼻と、頬の一部を同時に覆うものであり、顔の下半分に適用する第2のシート及び下用のマスクは、頬から顎まで覆うものであるため、額及び鼻に皮脂分泌過多の悩みを持ち、頬から顎に乾燥の悩みを持つ使用者の肌には十分な美容効果が得られない。
【0008】
これに対し、額及び鼻を覆うT字の形状を有し、額及び鼻に皮脂分泌過多の悩みを持つ使用者に応じたケアが可能な上部マスク体が販売されている。しかしながら、下部マスク体については、頬から顎に加えて、目尻についても乾燥の悩みを持つ使用者のニーズに対応するものはなかった。
【0009】
上記の点に鑑みて、本発明の一態様は、頬から顎までと、目尻とを同時に覆い保湿することができるフェイスマスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、シート片に化粧料組成物を含浸させたフェイスマスクであって、鼻を露出させる凹部と、口を露出させる孔部と、少なくとも目尻を覆う、短手方向に突出して形成された目尻突出部とを有し、目尻及び下瞼から顎までの顔面を覆うU字形状マスクを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様に係るフェイスマスクによれば、頬から顎までと、目尻とを同時に覆い保湿することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態によるフェイスマスクの平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるU字形状マスクと組み合わせて用いることができるT字形状マスクの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳説する。なお、図面は、発明の理解を助けるための模式的なものである。本明細書では、フェイスマスクを展開した状態で、顔の上下方向に対応するフェイスマスクの方向を第1方向(短手方向)D1、顔の左右方向(幅方向)に対応するフェイスマスクの方向を第2方向(長手方向)D2とする。
【0014】
一実施形態によるフェイスマスクについて説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるフェイスマスクの平面図である。
【0015】
図1に示すように、フェイスマスク100の形状は、使用者の目尻及び下瞼から、顎までの顔面を覆う形状を有している。当該形状は、全体的にはU字状と見られるので、以下、当該形状を「U字形状」といい、当該フェイスマスクを「U字形状マスク」という。本実形態では、フェイスマスク100が、U字形状マスク1である例について説明する。U字形状マスク1は、具体的には、凹部11の両側に、下瞼に沿った形状の直線状の直線部15と、下瞼の両端から目尻に沿った形状の傾斜部16を有していてよい。U字形状マスク1は、直線部15及び傾斜部16を有していることにより、下瞼、目尻及び目尻付近まで覆うことができる。なお、直線部15は、長手方向(第2方向D2)に平行な直線であってもよく、湾曲していてもよい。傾斜部16は、直線部15に対して傾斜していてよく、傾斜の角度は任意の角度とすることができる。また、頬から顎までのフェイスラインに沿った円弧状の湾曲部を有している。
【0016】
図1に示すように、U字形状マスク1は、顔の形状に沿った形状のシート片10に化粧料組成物が含浸されて形成されている。U字形状マスク1は、鼻を露出させる凹部11と、口を露出させる孔部12と、両端に、少なくとも目尻を覆う、短手方向(第1方向D1)に突出して形成された目尻突出部13を有している。
【0017】
凹部11及び孔部12の形状は、鼻及び口を露出させることができれば特に限定されない。凹部11及び孔部12により、使用者は、U字形状マスク1の使用時においても快適に過ごすことができる。
【0018】
目尻突出部13は、シワが発生し易い目尻付近を覆っている。目尻突出部13は、目尻の方向、つまり、U字形状マスク1の長手方向(第2方向D2)に直交する方向(第1方向D1)、又は長手方向の両端縁より内側に、延出している。本実施形態では、目尻突出部13の形状は、短手方向に向かって、先端側が長手方向の両端部側に大きく傾斜して細くなった略三角形を有しているが、これに限らず、例えば目尻から上瞼側に向かって、長手方向の中心側に湾曲する形状(目尻周囲を取り囲む形状)、目尻から短手方向に真直ぐ延出する形状(略長方形)等、任意の形状とすることができる。なお、傾斜部16は、目尻突出部13の一部を構成していてもよい。
【0019】
以上の構成により、U字形状マスク1は、下瞼から頬、頬から顎までと、目尻とを同時に覆い保湿することができる。また、U字形状マスク1は、額及び鼻を覆わないので、シート片10に含浸させる化粧料組成物を、頬から顎、及び目尻の保湿に特化した処方とすることができ、頬から顎、及び目尻への保湿効果を高めることができる。
【0020】
更に、U字形状マスク1を顔に装着する際、使用者は、目尻突出部13を指で摘まんで、目尻突出部13を目尻の位置に貼り付けることで容易に位置合せすることができる。目尻への位置合せをより容易にするために、目尻突出部13の周縁部に切り込みを形成してもよい。また、目尻突出部13を目の形状に合わせて微調整可能とするために、目尻突出部13の一部を切り取るためのミシン目を形成してもよい。
【0021】
U字形状マスク1の頬から顎を覆う領域の下端部には、周縁部から内側に延びる一対の第1切り込み14(以下、「カット」という場合がある)が形成されていることが好ましい。これにより、U字形状マスク1を顔に装着する際、顔の凹凸に沿って密着させることができる。第1切り込み14は周端縁には達しておらず、U字形状マスク1の周端縁と第1切り込み14との間は繋がっている(以下、「タイ」という場合がある)ことが好ましい。カットの長さは、10mm~40mmが好ましく、20mm~30mmがより好ましい。タイの長さは、0.3mm~1.5mmが好ましく、0.5mm~1.0mmがより好ましい。U字形状マスク1の周端縁と第1切り込み14との間が繋がっていることにより、U字形状マスク1を顔に装着する際、U字形状マスク1を取り扱い易くなる。本実施形態では、U字形状マスク1の周端縁と第1切り込み14との間が繋がっている例を示したが、第1切り込み14が周端縁に達していてもよい。本実施形態では、第1切り込みは、直線状であるが、円弧状であってもよく、本数も任意の本数とすることができる。また、第1切り込みを形成する位置は、本実施形態で示した位置に限らず、頬から顎を覆う領域の下端部の任意の位置とすることができる。
【0022】
U字形状マスク1における短手方向(第1方向D1)の長さは、特に限定されないが、100mm~200mmとすることができ、好ましくは、130mm~170mmである。また、U字形状マスク1における長手方向(第2方向D2)の長さは、特に限定されないが、170mm~270mmとすることができ、好ましくは、190mm~250mmである。なお、短手方向、長手方向それぞれの長さは、短手方向、長手方向の長さの最大値とする。
【0023】
U字形状マスク1(シート片10)に含浸される化粧料組成物としては、例えば、保湿成分、皮脂吸着成分、薬剤等のフェイスマスクとしての有効成分、精製水、油分、防腐剤、アルコール、界面活性剤、増粘剤、緩衝剤、キレート剤、防腐剤、高分子、粉末、中和剤、安定化剤、香料等を用いることができる。有効成分としては、保湿成分が含まれていることが好ましい。保湿成分が含まれていると、U字形状マスク1を顔に密着させたとき、保湿成分が肌に浸透し、下瞼から頬、頬から顎までと、目尻の保湿効果を高めることができる。
【0024】
U字形状マスク1に含浸される化粧料組成物の例を表1に示す。
【0025】
【0026】
U字形状マスク1に含浸される化粧料組成物は、表1に示すものに限られず、化粧料に配合可能な肌への効果を期待できる任意の成分を使用することができる。
【0027】
保湿成分としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、プロパンジオール、1,3-ブチレングリコール(BG)、ジプロピレングリコール(DPG)等の多価アルコール、PEG-8等のポリエチレングリコール、プロパンジオールPEG/PPG-14/7ジメチルエーテル、トレハロース、ソルビトール等が挙げられる。
【0028】
薬剤としては、例えば、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸dl-α-トコフェロール、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、ビタミンD2、dl-α-トコフェロール、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類;アズレン、グリチルリチン等の抗炎症剤;アルブチン、4-メトキシサリチル酸、トラネキサム酸、エチルビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム等の美白剤、エストラジオール等のホルモン類;酸化亜鉛、タンニン酸等の収斂剤;L-メントール、カンフル等の清涼剤;その他塩化リゾチーム、塩酸ピリドキシン、L-セリン、グリシン、パントテニールエチルエーテル、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、アセチルヒアルロン酸ナトリウム、イオウ、等を配合することができる。さらに多様な薬効を示す各種抽出物を配合することができる。すなわちイザヨイバラ果実エキス、オウゴンエキス、テンチャエキス、シリバチカエキス、阿仙薬エキス、メリロートエキス、ドクダミエキス、オウバクエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ヘチマエキス、ユキノシタエキス、ユーカリエキス、チョウジエキス、マロニエエキス、ヤグルマギクエキス、海藻エキス、タイムエキス、アロエ等を挙げることができる。
【0029】
保湿成分の含有量としては、化粧料組成物全量に対して、20質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましい。保湿成分の含有量が20質量%以上であると、下瞼から頬、頬から顎までと、目尻の保湿効果をより高めることができる。なお、保湿成分の含有量は、化粧料組成物全量に対して、99質量%以下であればよい。
【0030】
シート片10の材質は、化粧料組成物を含浸でき、適度な強度を有するものであれば広く用いることができ、例えば、不織布、織布、紙、含水性ゲルシート等を用いることができるが、顔への十分な密着性を得るためには繊維径がより小さい繊維から構成される不織布であることが好ましい。不織布を構成する繊維は、繊度が1.0dtex以下であると好ましい。シート片10が、繊度1.0dtex以下の繊維で構成された不織布を含むことにより、U字形状マスク1は、化粧料組成物を含浸させると、よりしなやかになり、顔への高い密着性を得ることができる。つまり、U字形状マスク1を顔の凹凸に沿って密着させることができる。また、シート片10が、繊度1.0dtex以下の繊維で構成された不織布を含むことにより、U字形状マスク1は、表面の凹凸が少なくシルキータッチな滑らかな肌触りを有することができ、肌への刺激が少なく、使用者に心地よい着用感を与えることができる。
【0031】
不織布を構成する繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成繊維、コットン、パルプ、レーヨン、キュプラ等のセルロース系繊維を単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。不織布を構成する繊維は、前述した繊維のうち、セルロース系繊維であることが好ましい。これにより、シート片10の保液性を高めることができ、シート片10に含浸させた化粧料組成物を使用者の顔に一定時間確実に接触させることができる。
【0032】
また、シート片10は、同じ材質からなるシート片、又は異なる材質からなるシート片を複数枚重ね合わせた積層構造を有していてもよい。
【0033】
シート片10の目付は、特に限定されないが、30g/m2~100g/m2とすることができ、40g/m2~70g/m2であることが好ましい。これにより、U字形状マスク1の顔への密着性をより向上させることができる。
【0034】
本実施形態では、フェイスマスク100が、顔の下部(目尻及び下瞼から、顎までの顔面)を覆うU字形状マスク1である例を示したが、U字形状マスク1に加えて、U字形状マスク1で覆わない顔の部位を覆う他のマスク又はシートを有していてもよい。他のマスクは、特に限定されないが、例えば、額及び鼻を覆うT字形状のマスクであってもよい。
【0035】
次にフェイスマスク100が、額及び鼻を覆うT字形状のマスクを含む場合について説明する。
【0036】
図2は、本発明の一実施形態によるU字形状マスクと組み合わせて用いることができるT字形状マスクの平面図である。フェイスマスク100は、上述のU字形状マスク1と、
図2に示す、額及び鼻を覆うマスクの両方を有していてもよい。
図2示すマスクの形状は、全体的にはT字状と見られるので、以下、当該形状を「T字形状」といい、当該マスクを「T字形状マスク」という。なお、T字形状マスク2は、目尻及び下瞼から、顎までの顔面を覆わない。
【0037】
T字形状マスク2は、
図2に示すように、顔の形状に沿った形状のシート片20に化粧料組成物が含浸されて形成されている。T字形状マスク2は、額を覆う長細形状を有する額被覆部21と、額被覆部21の長手方向(第2方向D2)の中央部に連結された鼻を覆う鼻被覆部22とを有する。T字形状マスク2は、目の窪みに沿って、長手方向中央側に湾曲した形状を有しており、目を覆わないので、T字形状マスク2の使用時においても、視界を確保することができる。
【0038】
額被覆部21の形状は、特に限定されないが、額の形状に沿って長手方向に長細い形状とすることができる。鼻被覆部22の形状は、特に限定されないが、鼻被覆部22の端部側に向かって徐々に幅が広くなっていることが好ましい。
【0039】
鼻被覆部22は両端に、鼻の鼻翼を覆う、長手方向に突出して形成された鼻翼突出部23を有する。鼻翼突出部23は、鼻翼の凹凸に沿った形状を有しているので、特に皮脂分泌過多の悩みが多い鼻翼も確実に覆うことができ、T字形状マスク2に含浸される化粧料組成物を確実に塗布することができる。
【0040】
以上の構成により、T字形状マスク2は、額及び鼻を同時に覆うことができる。また、T字形状マスク2は、目尻及び下瞼から、顎までの顔面を覆わないので、シート片20に含浸させる化粧料組成物を、額及び鼻の皮脂吸着に特化した処方とすることができる。
【0041】
鼻翼突出部23と額被覆部21の間の、鼻被覆部22には、周縁部から内側に延びる一対の第2切り込み24(以下、「カット」という場合がある)が形成されていることが好ましい。これにより、T字形状マスク2を顔に装着する際、顔の凹凸に沿って密着させることができる。第2切り込み24は周端縁には達してなく、T字形状マスク2の周端縁と第2切り込み24との間は繋がっている(以下、「タイ」という場合がある)ことが好ましい。カットの長さは、0.3mm~2.0mmが好ましく、0.3mm~1.0mmがより好ましい。タイの長さは、0.3mm~1.5mmが好ましく、0.5mm~1.0mmがより好ましい。T字形状マスク2の周端縁と第2切り込み24との間が繋がっていることにより、T字形状マスク2を顔に装着する際、T字形状マスク2を取り扱い易くなる。本形態では、T字形状マスク2の周端縁と第2切り込み24との間が繋がっている例を示したが、第2切り込み24が周端縁に達していてもよい。本実施形態では、第2切り込み24は、直線状であるが、円弧状であってもよく、本数も任意の本数とすることができる。また、第2切り込み24を形成する位置は、本実施形態で示した位置に限らず、鼻翼突出部23と額被覆部21の間の、鼻被覆部22の、任意の位置とすることができる。
【0042】
T字形状マスク2における短手方向(第1方向D1)の長さは、特に限定されないが、80mm~180mmとすることができ、好ましくは、100mm~140mmである。また、T字形状マスク2における長手方向(第2方向D2)の長さは、特に限定されないが、額を被覆可能な幅であることが好ましく、例えば、120mm~220mmとすることができ、好ましくは、140mm~180mmである。なお、短手方向、長手方向それぞれの長さは、短手方向、長手方向の長さの最大値とする。
【0043】
T字形状マスク2(シート片20)に含浸される化粧料組成物としては、例えば、保湿成分、皮脂吸着成分、薬剤等のフェイスマスクとしての有効成分、精製水、油分、防腐剤、アルコール、界面活性剤、増粘剤、緩衝剤、キレート剤、防腐剤、高分子、粉末、中和剤、安定化剤、香料等を用いることができる。有効成分としては、皮脂吸着成分が含まれていることが好ましい。皮脂吸着成分が含まれていると、T字形状マスク2を顔に密着させたとき、皮脂吸着成分が肌に浸透し、額及び鼻の皮脂を吸着することができると共に、皮脂によるテカリを抑制することができる。
【0044】
T字形状マスク2に含浸される化粧料組成物の例を表2に示す。
【0045】
【0046】
T字形状マスク2に含浸される化粧料組成物は、表2に示すものに限られず、化粧料に配合可能な肌への効果を期待できる任意の成分を使用することができる。
【0047】
保湿成分、薬剤としては、例えば、上述のU字形状マスク1と同様の例が挙げられる。
【0048】
皮脂吸着成分としては、例えば、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、シリカ等が挙げられる。
【0049】
保湿成分の含有量としては、化粧料組成物全量に対して、20質量%以下であることが好ましい。保湿成分の含有量が20質量%以下であると、額及び鼻を適度に保湿することができる。保湿成分の含有量が20質量%を超えると、額及び鼻にテカリやべたつきが生じやすくなる。なお、保湿成分の含有量は、化粧料組成物全量に対して、1質量%以上であればよい。
【0050】
シート片20の材質及び目付は、上述のU字形状マスク1と同様である。
【0051】
本形態のフェイスマスク100では、U字形状マスク1とT字形状マスク2を組み合わせて、顔に装着することができる。よって、U字形状マスク1が、頬から顎までと、目尻とを保湿し、T字形状マスク2が、額及び鼻の皮脂を吸着することができる。つまり、本形態のフェイスマスク100は、頬から顎、及び目尻に乾燥の悩みを持つ一方で、額及び鼻に皮脂分泌過多の悩みを持つ使用者の肌に対応することができる。
【0052】
また、U字形状マスク1とT字形状マスク2は、組み合わせて使用できるだけでなく、それぞれ、U字形状マスク1単独で、また、T字形状マスク2単独で使用可能である。
【0053】
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更などを行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1 U字形状マスク
10 シート片
11 凹部
12 孔部
13 目尻突出部
14 第1切り込み
15 直線部
16 傾斜部
2 T字形状マスク
20 シート片
21 額被覆部
22 鼻被覆部
23 鼻翼突出部
24 第2切り込み
100 フェイスマスク
D1 第1方向(短手方向)
D2 第2方向(長手方向)