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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053791
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】圧力調整式空圧ユニット
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/00 20060101AFI20230406BHJP
   B25J 15/06 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
G01L19/00 Z
B25J15/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163044
(22)【出願日】2021-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】305052584
【氏名又は名称】ファインテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】喜多見 義一
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 恵一
(72)【発明者】
【氏名】中川 考一
【テーマコード(参考)】
2F055
3C707
【Fターム(参考)】
2F055AA39
2F055BB08
2F055CC60
2F055DD20
2F055EE40
2F055FF49
2F055GG11
3C707LV22
(57)【要約】
【課題】従来の圧力センサ及び圧力調整ユニットそれぞれの機能を統合、一体化した圧力調整式空圧ユニットを提供する。
【解決手段】本発明は、吸着搬送装置100の真空路112aに対して取り付ける圧力調整式空圧ユニット10に係る。圧力調整式空圧ユニット10は、一端側が真空路112aに接続可能な真空導入路12と、真空導入路12の真空度を検出するための圧力センサ20と、真空導入路12の他端側に連通すると共に、圧力調整式空圧ユニット10の外気と連通する外気ポート31と、外気ポート31の外気に対する開度を調整可能な調整部材40とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着搬送装置の真空路に対して取り付ける圧力調整式空圧ユニットであって、
一端側が前記真空路に接続可能な真空導入路と、
前記真空導入路の真空度を検出するための圧力センサと、
前記真空導入路の他端側に連通すると共に、前記圧力調整式空圧ユニットの外気と連通する外気ポートと、
前記外気ポートの外気に対する開度を調整可能な調整部材とを備えることを特徴とする圧力調整式空圧ユニット。
【請求項2】
センサホルダを更に備え、
前記真空導入路及び前記外気ポートは前記センサホルダに設けられ、
前記センサホルダは前記圧力センサを配置するためのセンサ配置部を含む請求項1に記載の圧力調整式空圧ユニット。
【請求項3】
前記調整部材はニードルねじである請求項1又は2に記載の圧力調整式空圧ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧力調整式空圧ユニットに関し、更に詳しくは、ワークの吸着搬送装置に連結して真空度の検出と調整を行うためのユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを吸着して搬送するための吸着搬送装置が一般的に知られている。吸着搬送装置は、真空源により発生させた真空を真空路を通じて吸着パッドに伝達し、吸着パッドにワークを吸着させ、このワークを所定の搬送先に搬送するものである。吸着搬送装置には真空路の真空度(真空圧)を検出するための圧力センサが取り付けられる。圧力センサは吸着パッドのワーク吸着時における真空路の真空度を検出し、真空度が所定の閾値内にあるか否かに基づき、ワークが吸着パッドに適正に吸着されているか否かを判定することができる。
【0003】
従来の吸着搬送装置には、真空路の真空度を調整するための圧力調整ユニットが取り付けられたものも知られている。例えばワークが紙やフィルムの場合、吸着パッドの吸引力が強すぎると、ワークに皺が生じるなどしてワークを損傷するおそれがある。このような場合に圧力調整ユニットにより真空路の真空度を微調整することにより、真空源の出力等を変えることなく、吸着パッドの吸引力を変更することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、圧力センサと圧力調整ユニットとが吸着搬送装置に対して別個独立に取り付けられていることに着目し、本発明に至った。本発明は、従来の圧力センサ及び圧力調整ユニットそれぞれの機能を統合、一体化した圧力調整式空圧ユニットを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明によれば、吸着搬送装置の真空路に対して取り付ける圧力調整式空圧ユニットであって、一端側が前記真空路に接続可能な真空導入路と、前記真空導入路の真空度を検出するための圧力センサと、前記真空導入路の他端側に連通すると共に、前記圧力調整式空圧ユニットの外気と連通する外気ポートと、前記外気ポートの外気に対する開度を調整可能な調整部材とを備えることを特徴とする圧力調整式空圧ユニットが提供される。
【0006】
本発明において、圧力調整式空圧ユニットは吸着搬送装置に取り付けられる。これにより、圧力調整式空圧ユニットの真空導入路の一端側が吸着搬送装置の真空路に接続し、真空路の真空が真空導入路にも同様に導入される。真空導入路の真空度は圧力センサによって検出され、検出値がモニター等に表示される。圧力調整式空圧ユニットは、真空導入路の他端側と連通しかつ圧力調整式空圧ユニットの外気と連通する外気ポートを含む。外気ポートの外気に通じる微間隙の開度を調整部材により調整することにより、真空導入路の真空度を微調整することができる。これに従って真空導入路に通じる吸着搬送装置の真空路の真空度も変更される。
【0007】
本発明では、従来の圧力センサ及び圧力調整ユニットそれぞれの機能を統合、一体化したことにより、様々な利点が得られる。例えば、圧力センサ及び圧力調整ユニットの両機能をコンパクト化、軽量化でき、これにより搬送にかかる負荷を低減することができる。また、吸着搬送装置の真空路に接続するための配管部材や配管作業を削減でき、コスト的にも有利である。
【0008】
本発明の一実施形態において、圧力調整式空圧ユニットは、センサホルダを更に備え、前記真空導入路及び前記外気ポートは前記センサホルダに設けられ、前記センサホルダは前記圧力センサを配置するためのセンサ配置部を含む。また、本発明の一実施形態において、前記調整部材はニードルねじである。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、圧力センサ及び圧力調整ユニットの両機能を統合してコンパクト化、軽量化でき、これにより搬送にかかる負荷を低減することができる。また、吸着搬送装置の真空路に接続するための配管部材や配管作業を削減でき、コスト的にも有利である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明に係る圧力調整式空圧ユニットが取り付けられた吸着搬送装置の斜視図である。
図2図2は、吸着搬送装置における1機の吸着ユニットを概略的に示す側面図である。
図3図3は圧力調整式空圧ユニットの正面図である。
図4図4は圧力調整式空圧ユニットの上面図である。
図5図5は圧力調整式空圧ユニットの底面図である。
図6図6は圧力調整式空圧ユニットの左側面図である。
図7図7図6のA-A線断面図である。
図8図8はセンサホルダの斜視図である。
図9図9はニードルねじの側面図である。
図10図10は、圧力調整式空圧ユニットの制御構成を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲及び均等の範囲内で適宜変更することができる。
【0012】
図1は、本発明に係る圧力調整式空圧ユニット10が取り付けられた吸着搬送装置100の斜視図である。図1の吸着搬送装置100は、一例として3機の吸着ユニット110と、各吸着ユニット110に接続された真空源としての計3機の真空発生器120と、各吸着ユニット110に取り付けられた計3機の圧力調整式空圧ユニット10と、図示を省略した搬送機構とを備える。本実施形態において3機の吸着ユニット110を含む多連式の吸着搬送装置100を例示するが、吸着ユニット110は1機又は2機でも4機以上であってもよい。本実施形態において真空発生器120は圧縮空気供給部130から給気管131を通じて供給される圧縮空気を絞り込んで真空を発生させるエジェクタであるが、真空源として真空ポンプを使用することもできる。この場合、全吸着ユニット110に対して共通の1機の真空ポンプを用いてもよく、各吸着ユニット110それぞれに真空ポンプを用いてもよい。
【0013】
図2は、吸着搬送装置100における1機の吸着ユニット110を概略的に示す側面図である。吸着ユニット110は、ワークWを吸着するための吸着パッド111と、対応する真空発生器120との間に延びる主管112とを備える。主管112は真空発生器120で発生した真空(負圧)を吸着パッド111に伝達する真空路112aを内部に規定する。主管112は、真空発生器120から分岐部113まで水平に延び、分岐部113から吸着パッド111へと下方に延びる。また、分岐部113から圧力調整式空圧ユニット10まで枝管114が水平に次いで上方にわずかに延びる。真空路112aは主管112に連結する枝管114の内部にも拡張すると言える。
【0014】
図3図6は圧力調整式空圧ユニット10の正面図、上面図、底面図及び左側面図である。図7図6のA-A線断面図である。以下、圧力調整式空圧ユニット10についての左右及び上下は図3及び図7の紙面に基づくものとし、圧力調整式空圧ユニット10についての前後は図4の紙面の下上に対応するものとする。圧力調整式空圧ユニット10は、金属製又は樹脂製のセンサホルダ11と、センサホルダ11に設けられた左右に延びる真空導入路12と、真空導入路12の真空度(空気圧)を検出するための圧力センサ20と、真空導入路12の真空度を調整するための圧力調整部30とを備える。圧力調整部30は、真空導入路12に連通しかつセンサホルダ11外の外気に通じる外気ポート31と、外気ポート31の外気に対する開度を調整可能な調整部材としてのニードルねじ40とを含む。
【0015】
図8はセンサホルダ11の斜視図である。図8のセンサホルダ11は圧力センサ20及びニードルねじ40が取り去られた状態である。センサホルダ11は左右に長い直方体形状である。真空導入路12はセンサホルダ11の上下中間部でかつ前後中間部に設けられる。真空導入路12は径が拡大する左端部12aを有する。左端部12aは枝管114(図2等参照)と気密に連結可能である。センサホルダ11には、圧力センサ20を配置するためのセンサ配置部13が設けられる。センサ配置部13はセンサホルダ11の上面11aから下方に凹状となる。センサホルダ11は、真空導入路12、センサ配置部13、及び外気ポート31を有する後述する縦孔部33を除き実質的に中実である。
【0016】
図7を参照して、圧力センサ20は、センサ素子21と、素子基板22と、素子基板22から延びるリード線23とを備える。圧力センサ20は、センサホルダ11のセンサ配置部13に配置された後、センサホルダ11に対して蓋14を閉じることにより固定される。蓋14上のリード線23の周囲には保護キャップ15が蓋14に対して更に固定される。蓋14及び保護キャップ15はリード線23を通すための開口を有する。センサ素子21は、真空導入路12の圧力によって変形するダイヤフラムを含む。圧力センサ20は、センサ素子21のダイヤフラムが変形して発生するピエゾ抵抗効果による電気抵抗の変化を電気信号に変換してリード線23を通じてコントローラ140(図10参照)へと出力する。
【0017】
図7を参照して、圧力調整部30は、真空導入路12の右端に連通する上下方向に延びる縦孔部33を含む。縦孔部33は真空導入路12に対して直交し、真空導入路12と共にT字形をなす。縦孔部33の下端部はセンサホルダ11の底面11bに開口する外気ポート31を規定する。本明細書において縦孔部33における真空導入路12から下方部分を外気ポート31と呼ぶ。縦孔部33はセンサホルダ11の上面11aにも開放し、ここからニードルねじ40を受け入れることができる。
【0018】
図9はニードルねじの側面図である。ニードルねじ40は、下端部のテーパ部41と、テーパ部41の上方にあるねじ部42と、上端部のグリップ部43と、ねじ部42とグリップ部との間を連結する連結部44とを備える。テーパ部41は外径が下方へとわずかに小さくなる。テーパ部41は外気ポート31に導入され、外気ポート31の外気に対する開度を調整する。ねじ部42はテーパ部41の上端(最大)外径よりも大きい実質的に均一な外径を有する。ねじ部42は縦孔部33の対応するねじ部33a(図7参照)と係合し、一方に回転することによりテーパ部41を下方に進め、他方に回転することによりテーパ部41を上方に退ける。グリップ部43はオペレータが把持してニードルねじ40を一方又は他方に手動で回転させるための部位である。連結部44は、ねじ部42の外径よりも大きい均一な外径を有する。連結部44の下端部には環状の溝が設けられ、この溝にパッキン45が嵌め込まれている。パッキン45は常に縦孔部33の周面に接して、縦孔部33における外気ポート31とは反対側の上方から外気に通じる微間隙を気密にシールする。
【0019】
圧力調整式空圧ユニット10は、真空導入路12の左端部12aを吸着搬送装置100の枝管114に気密に接続することにより、吸着搬送装置100に連結されると共に、真空導入路12が吸着ユニット110の真空路112aと連通する。なお、圧力調整式空圧ユニット10は枝管114を介することなく、吸着ユニット110の主管112におけるどの箇所にも直接連結することができる。吸着搬送装置100を使用する場合、まず真空発生器120を作動させて真空を発生させる。この真空が真空路112aを通じて吸着パッド111に伝達され、吸着パッド111がワークWを吸着する。真空発生器120が発生させた真空は、枝管114を介して圧力調整式空圧ユニット10の真空導入路12にも同様に伝達される。
【0020】
図10は、圧力調整式空圧ユニット10の制御構成を概略的に示すブロック図である。吸着パッド111がワークWを吸着した時の真空導入路12(及び真空路112a)の真空度は圧力センサ20により検出され、この検出値はリード線23を介してコントローラ140に入力される。コントローラ140は検出された真空度をモニター150に出力する。コントローラ140はまた、検出された真空度が所定の閾値内にない場合にアラームを発することができる。圧力センサ20の検出値が所定の閾値内の場合、コントローラ140はワークWが吸着パッド111に適正に吸着されたものとしてモニター150に所定のOK表示を行う。次いで、搬送機構により吸着ユニット110が所定の搬送先まで搬送された後、真空路112aの真空を解除してワークWを解放する。
【0021】
ワークWが紙やフィルムの場合、吸着パッド111の吸着力が強すぎると、ワークWに皺が生じるなどしてワークを損傷するおそれがある。このような場合、オペレータが圧力調整式空圧ユニット10におけるニードルねじ40のグリップ部43を把持し、ニードルねじ40を他方に回転させることにより、テーパ部41を上方に変位させる。これにより外気ポート31の外気に通じる微間隙が広がり、真空導入路12及び真空路112aの真空度を下げることができる。このような真空度の変化を圧力センサ20がリアルタイムに検出し、コントローラ140がモニター150に表示するため、真空度の微調整を容易に行うことができる。なお、外気ポート31の外気に通じる微間隙は非常に小さいため、真空を保ったまま真空度を調整することができる。また、吸着パッド111の吸着力が弱い場合は、オペレータがニードルねじ40を一方に回転させてテーパ部41を下方に変位させることにより、外気ポート31の開度を狭めるようにする。ニードルねじ40は、外気ポート31が完全に開放して真空が破壊される状態と、外気ポート31が完全に閉じる状態との間でテーパ部41を変位させることができる。ニードルねじ40は、圧力センサ20の検出値に基づいてコントローラ140(図10参照)がモータ等の回転駆動源を駆動することにより、自動的に所定角度だけ正逆回転してもよい。
【符号の説明】
【0022】
10 圧力調整式空圧ユニット
11 センサホルダ
12 真空導入路
20 圧力センサ
30 圧力調整部
31 外気ポート
40 ニードルねじ
100 吸着搬送装置
110 吸着ユニット
111 吸着パッド
112 主管
112a 真空路
114 枝管
120 真空発生器
140 コントローラ
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10