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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005383
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】回転切削工具
(51)【国際特許分類】
   B23C 5/26 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
B23C5/26
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021107245
(22)【出願日】2021-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】390002521
【氏名又は名称】ダイジ▲ェ▼ット工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】相澤 翔太
(72)【発明者】
【氏名】早水 拓也
【テーマコード(参考)】
3C022
【Fターム(参考)】
3C022PP05
(57)【要約】
【課題】 アーバーの先端面から突出された取付凸部の径と切削工具本体のアーバー側の取付面に凹設された取付凹部の径とが異なる場合にも、アーバーの先端部に切削工具本体を確実に取り付けることができるようにする。
【解決手段】 アーバー20の先端面21から突出された取付凸部22を、切削工具本体10の取付面11に凹設された取付凹部12内に嵌め込んで、アーバーの先端部に切削工具本体を取り付ける回転切削工具において、アーバーの先端面から突出された取付凸部を嵌め込む切削工具本体の取付凹部に、凹部径が異なる嵌め込み段部12a,12bを設け、アーバー側の嵌め込み段部12bの凹部径Dbを、先端側の嵌め込み段部12aの凹部径Daより大きくした。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転するアーバーの先端面から突出された取付凸部を、切削工具本体のアーバー側の取付面に凹設された取付凹部内に嵌め込んで、アーバーの先端部に切削工具本体を取り付ける回転切削工具において、アーバーの先端面から突出された取付凸部を嵌め込む切削工具本体の取付凹部に、凹部径が異なる複数の嵌め込み段部を設け、アーバー側の嵌め込み段部の凹部径が、先端側の嵌め込み段部の凹部径より大きくなるようにしたことを特徴とする回転切削工具。
【請求項2】
請求項1に記載した回転切削工具において、アーバーの先端面から突出された取付凸部を、切削工具本体の取付凹部における先端側の凹部径の小さな嵌め込み段部に嵌め合わせて、アーバーの先端面を切削工具本体のアーバー側の取付面に当接させると共に、前記の取付凸部の外周側におけるアーバーの先端面から突出するように設けられたキー部を、前記の取付凹部の外周側における切削工具本体の取付面に設けられたキー溝に係合させることを特徴とする回転切削工具。
【請求項3】
請求項1に記載した回転切削工具において、アーバーの先端面から突出された取付凸部を、切削工具本体の取付凹部におけるアーバー側の凹部径の大きな嵌め込み段部に嵌め合わせるにあたって、アーバーの先端面と切削工具本体の取付面との間に調整リングを挟み込むようにし、前記の取付凸部の外周側におけるアーバーの先端面から突出するように設けられたキー部を、前記の調整リングのアーバー側の端面に設けた調整キー溝に係合させると共に、前記の取付凹部の外周側における切削工具本体の取付面に設けられたキー溝に、前記の調整リングの切削工具本体側の端面に設けた調整キー部を係合させることを特徴とする回転切削工具。
【請求項4】
回転するアーバーの先端面から突出された取付凸部を、切削工具本体のアーバー側の取付面に凹設された取付凹部内に嵌め込んで、アーバーの先端部に切削工具本体を取り付ける回転切削工具において、アーバーの先端面から突出された取付凸部に径が異なる複数の取付段部を設け、アーバーの先端面側における取付段部の径が、切削工具本体側における取付段部の径より大きくなるようにしたことを特徴とする回転切削工具。
【請求項5】
請求項4に記載した回転切削工具において、アーバーの先端面から突出された取付凸部における先端面側の径の大きい取付段部を、切削工具本体の取付凹部に嵌め合わせて、アーバーの先端面を切削工具本体のアーバー側の取付面に当接させると共に、前記の取付凸部の外周側におけるアーバーの先端面から突出するように設けられたキー部を、前記の取付凹部の外周側における切削工具本体の取付面に設けられたキー溝に係合させることを特徴とする回転切削工具。
【請求項6】
請求項4に記載した回転切削工具において、アーバーの先端面から突出された取付凸部における切削工具本体側の径の小さい取付段部を、切削工具本体の取付凹部に嵌め合わせるにあたり、アーバーの先端面と切削工具本体の取付面との間に調整リングを挟み込むようにし、前記の取付凸部の外周側におけるアーバーの先端面から突出するように設けられたキー部を、前記の調整リングのアーバー側の端面に設けた調整キー溝に係合させると共に、前記の取付凹部の外周側における切削工具本体の取付面に設けられたキー溝に、前記の調整リングの切削工具本体側の端面に設けた調整キー部を係合させることを特徴とする回転切削工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転するアーバーの先端部に切削工具本体を取り付けた回転切削工具に関するものである。特に、アーバーの先端面から突出された取付凸部を、切削工具本体のアーバー側の取付面に凹設された取付凹部内に嵌め込んで、アーバーの先端部に切削工具本体を取り付ける回転切削工具において、アーバーの先端面から突出された取付凸部の径が異なる複数のアーバーを、1つの切削工具本体における取付凹部に嵌め合わせて取り付けることができ、また切削工具本体のアーバー側の取付面に凹設された取付凹部の凹部径が異なる各切削工具本体を、1つのアーバーの先端面から突出された取付凸部に嵌め合わせて取り付けることができるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、回転するアーバーの先端部に切削工具本体を取り付けた回転切削工具が使用されている。
【0003】
そして、このような回転切削工具においては、特許文献1、2等に示されるように、アーバーの先端面から突出された取付凸部を、切削工具本体のアーバー側の取付面に凹設された取付凹部内に嵌め込んで、前記の取付凸部の外周側におけるアーバーの先端面から突出したキー部を、前記の取付凹部の外周側における切削工具本体の取付面に設けられたキー溝に係合させると共に、切削工具本体の先端側から取付ボルトを、切削工具本体を貫通する取付穴を通して、アーバーに設けられたねじ穴にねじ込み、切削工具本体を取付ボルトによってアーバーに取り付けるようにしたものが示されている。
【0004】
ここで、このような回転切削工具においては、アーバーの先端面から突出された取付凸部の径や、切削工具本体のアーバー側の取付面に凹設された取付凹部の凹部径は、一般に、アーバーや切削工具本体の大きさ等を基準にして規格化されており、アーバーにおける取付凸部の径と、切削工具本体における取付凹部の凹部径とが異なる規格のものは、アーバーの先端面における取付凸部を切削工具本体における取付凹部内に嵌め込んで、切削工具本体をアーバーに取り付けることが困難であった。
【0005】
このため、規格が一致する数多くのアーバーと切削工具本体とを準備して組み合わせなければならず、これらの製造コストが高くつくと共に、これらを保管・管理することも面倒になるという問題があった。
【0006】
また、従来においては、アーバーの先端面から突出された取付凸部の径を変化させるために、アーバーの先端面における取付凸部の径と異なる径の取付凸部を有するプランジ変換アダプター(マンヨーツール社製:FMPプランジ変換アダプター)を、アーバーの先端部に取り付けるようにしたものが示されている。
【0007】
しかし、このようにアーバーの先端部に、プランジ変換アダプターを取り付けると、アーバーの突出し部の長さが長くなってしまい、この回転切削工具を用いて切削加工する場合に、切削加工時にビビリ等が発生して、安定した切削加工が行えなくなる等の問題が生じた。
【0008】
また、従来においては、市販のフェイスミルアーバ(マンヨーツール社製:FMフェイスミルアーバ)に使用するリング状になった変換スリーブが示されており、この変換スリーブに設けたキー溝を、アーバーの先端面に設けられたキー部に嵌め合わせるようにして、アーバーの先端面における取付凸部の外周に変換スリーブを取り付けて、アーバーの先端面における取付凸部の径を変換スリーブの厚み分だけ増加させるようにしたものが示されている。
【0009】
しかし、このようにアーバーの先端面から突出された取付凸部の外周に変換スリーブを取り付けると、切削工具本体に設けられた取付凹部内に嵌め込むアーバーの先端面における取付凸部の径が変換スリーブの厚み分だけ増加してしまい、切削工具本体における取付凹部の径とアーバーにおける取付凸部の径の差が小さい場合に使用することが困難であり、またアーバーに設けたキー部の幅や高さは、取付凸部の径に対応して規格で異なるが、変換スリーブを使用しても、キー部の幅や高さは変化しないため、キー溝が異なる様々な切削工具本体に使用することも困難になるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平5-237716号公報
【特許文献2】実開昭63-131316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、アーバーの先端面から突出された取付凸部を、切削工具本体のアーバー側の取付面に凹設された取付凹部内に嵌め込むようにして、アーバーの先端部に切削工具本体を取り付けるようにした回転切削工具における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0012】
すなわち、本発明は、前記のような回転切削工具において、アーバーの先端面から突出された取付凸部の径が異なる複数のアーバーを、1つの切削工具本体における取付凹部に嵌め合わせて取り付けることができ、また切削工具本体のアーバー側の取付面に凹設された取付凹部の凹部径が異なる各切削工具本体を、1つのアーバーの先端面から突出された取付凸部に嵌め合わせて取り付けることができるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る第1の回転切削工具においては、前記のような課題を解決するため、回転するアーバーの先端面から突出された取付凸部を、切削工具本体のアーバー側の取付面に凹設された取付凹部内に嵌め込んで、アーバーの先端部に切削工具本体を取り付ける回転切削工具において、アーバーの先端面から突出された取付凸部を嵌め込む切削工具本体の取付凹部に、凹部径が異なる複数の嵌め込み段部を設け、アーバー側の嵌め込み段部の凹部径が、先端側の嵌め込み段部の凹部径より大きくなるようにした。
【0014】
そして、前記の回転切削工具において、アーバーの先端面から突出された取付凸部の径が小さくて、切削工具本体の取付凹部における先端側の凹部径の小さな嵌め込み段部に対応する場合には、アーバーの先端面から突出された径の小さい取付凸部を、切削工具本体の取付凹部における先端側の凹部径の小さな嵌め込み段部に嵌め合わせて、アーバーの先端面を切削工具本体のアーバー側の取付面に当接させると共に、前記の取付凸部の外周側におけるアーバーの先端面から突出するように設けられたキー部を、前記の取付凹部の外周側における切削工具本体の取付面に設けられたキー溝に係合させるようにして、アーバーの先端部に切削工具本体を取り付けるようにする。
【0015】
このようにすると、アーバーの先端面から突出された取付凸部の径が小さい場合においても、切削工具本体の取付凹部における先端側の凹部径の小さな嵌め込み段部に確実に嵌め合わされ、アーバーの先端部に切削工具本体をがたつかないようにして簡単かつ確実に取り付けることができるようになる。
【0016】
また、前記の回転切削工具において、アーバーの先端面から突出された取付凸部の径が大きくて、切削工具本体の取付凹部におけるアーバー側の凹部径の大きな嵌め込み段部に対応する場合には、アーバーの先端面から突出された径の大きい取付凸部を、切削工具本体の取付凹部におけるアーバー側の凹部径の大きな嵌め込み段部に嵌め合わせるにあたって、アーバーの先端面と切削工具本体の取付面との間に調整リングを挟み込むようにし、前記の取付凸部の外周側におけるアーバーの先端面から突出するように設けられたキー部を、前記の調整リングのアーバー側の端面に設けた調整キー溝に係合させると共に、前記の取付凹部の外周側における切削工具本体の取付面に設けられたキー溝に、前記の調整リングの切削工具本体側の端面に設けた調整キー部を係合させるようにして、アーバーの先端部に切削工具本体を取り付けるようにする。
【0017】
このようにすると、アーバーの先端面から突出された取付凸部の径が大きい場合においても、切削工具本体の取付凹部におけるアーバー側の凹部径の大きな嵌め込み段部に確実に嵌め合わされると共に、アーバーの先端面と切削工具本体の取付面との間に調整リングが挟み込まれ、アーバーの先端面と切削工具本体の取付面との間に隙間が生じないようにして、アーバーの先端部に切削工具本体をがたつかないようにして簡単かつ確実に取り付けることができるようになる。
【0018】
また、本発明に係る第2の回転切削工具においては、前記のような課題を解決するため、回転するアーバーの先端面から突出された取付凸部を、切削工具本体のアーバー側の取付面に凹設された取付凹部内に嵌め込んで、アーバーの先端部に切削工具本体を取り付ける回転切削工具において、アーバーの先端面から突出された取付凸部に径が異なる複数の取付段部を設け、アーバーの先端面側における取付段部の径が、切削工具本体側における取付段部の径より大きくなるようにした。
【0019】
そして、前記の回転切削工具において、前記の切削工具本体の取付凹部における先端側の凹部径が大きく、アーバーの先端面から突出された取付凸部における先端面側の径の大きい取付段部に対応する場合には、アーバーの先端面から突出された取付凸部における先端面側の径の大きい取付段部を、切削工具本体の取付凹部に嵌め合わせて、アーバーの先端面を切削工具本体のアーバー側の取付面に当接させると共に、前記の取付凸部の外周側におけるアーバーの先端面から突出するように設けられたキー部を、前記の取付凹部の外周側における切削工具本体の取付面に設けられたキー溝に係合させるようにして、アーバーの先端部に切削工具本体を取り付けるようにする。
【0020】
このようにすると、切削工具本体の取付凹部における先端側の凹部径が大きい場合においても、アーバーの先端面から突出された取付凸部における先端面側の径の大きい取付段部が確実に嵌め合わされ、アーバーの先端部に切削工具本体をがたつかないようにして簡単かつ確実に取り付けることができるようになる。
【0021】
また、前記の回転切削工具において、前記の切削工具本体の取付凹部における先端側の凹部径が小さく、アーバーの先端面から突出された取付凸部における切削工具本体側の径の小さい取付段部に対応する場合には、アーバーの先端面から突出された取付凸部における切削工具本体側の径の小さい取付段部を、切削工具本体の取付凹部に嵌め合わせるにあたり、アーバーの先端面と切削工具本体の取付面との間に調整リングを挟み込むようにし、前記の取付凸部の外周側におけるアーバーの先端面から突出するように設けられたキー部を、前記の調整リングのアーバー側の端面に設けた調整キー溝に係合させると共に、前記の取付凹部の外周側における切削工具本体の取付面に設けられたキー溝に、前記の調整リングの切削工具本体側の端面に設けた調整キー部を係合させるようにして、アーバーの先端部に切削工具本体を取り付けるようにする。
【0022】
このようにすると、切削工具本体の取付凹部における先端側の凹部径が小さい場合においても、アーバーの先端面から突出された取付凸部における切削工具本体側の径の小さい取付段部が、切削工具本体の取付凹部に確実に嵌め合わされると共に、アーバーの先端面と切削工具本体の取付面との間に調整リングを挟み込まれ、アーバーの先端面と切削工具本体の取付面との間に隙間が生じないようにして、アーバーの先端部に切削工具本体をがたつかないようにして簡単かつ確実に取り付けることができるようになる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る第1の回転切削工具においては、アーバーの先端面から突出された取付凸部を嵌め込む切削工具本体の取付凹部に、凹部径が異なる複数の嵌め込み段部を設け、アーバー側の嵌め込み段部の凹部径が、先端側の嵌め込み段部の凹部径より大きくしたため、アーバーの先端面から突出された取付凸部の径が異なる複数のアーバーを用いる場合であっても、これらの各アーバーの先端面から突出された取付凸部を、1つの切削工具本体における取付凹部に確実に嵌め合わせることができるようになり、1つの切削工具本体を、取付凸部の径が異なる複数のアーバーの先端部に、がたつかないようにして簡単かつ取り付けることができるようになる。
【0024】
本発明に係る第2の回転切削工具においては、アーバーの先端面から突出された取付凸部に径が異なる複数の取付段部を設け、アーバーの先端面側における取付段部の径が、切削工具本体側における取付段部の径より大きくなるようにしたため、切削工具本体のアーバー側の取付面に凹設された取付凹部の凹部径が異なる各切削工具本体に対しても、1つのアーバーの先端面から突出された取付凸部を、各切削工具本体における取付凹部に確実に嵌め合わせることができるようになり、取付凹部の凹部径が異なる複数の切削工具本体を、1つのアーバーの先端部に、がたつかないようにして簡単に取り付けることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態1に係る回転切削工具において使用するアーバーを示した概略斜視図である。
図2】前記の実施形態1に係る回転切削工具において使用するアーバーを示し、(A)は取付凸部の径が小さいアーバーを示した概略平面図、(B)は取付凸部の径が大きいアーバーを示した概略平面図である。
図3】前記の実施形態1に係る回転切削工具において使用する切削工具本体を示した概略断面説明図である。
図4】前記の実施形態1に係る回転切削工具において、取付凸部の径が小さいアーバーの先端部に切削工具本体を取り付ける前の状態を示した概略説明図である。
図5】前記の実施形態1に係る回転切削工具において、取付凸部の径が小さいアーバーの取付凸部を、切削工具本体の取付凹部における先端側の凹部径の小さな嵌め込み段部に嵌め合わせて、取付凸部の径が小さいアーバーの先端部に切削工具本体を取り付ける状態を示した概略説明図である。
図6】本発明の実施形態1に係る回転切削工具において使用する調整リングを示した概略斜視図である。
図7】前記の実施形態1に係る回転切削工具において、取付凸部の径が大きいアーバーの先端部に切削工具本体を取り付けるにあたって、アーバーと切削工具本体との間に調整リングを配置させた状態を示した概略説明図である。
図8】前記の実施形態1に係る回転切削工具において、アーバーの先端面から突出された径の大きい取付凸部を調整リングの貫通穴を通して突出させ、この取付凸部を切削工具本体の取付面に凹設された取付凹部における凹部径の大きな嵌め込み段部内に嵌め合わせ、アーバーの先端面と切削工具本体の取付面との間に調整リングを挟み込むようして、取付凸部の径が大きいアーバーの先端部に切削工具本体を取り付ける状態を示した概略説明図である。
図9】本発明の実施形態2に係る回転切削工具に使用するアーバーにおいて、アーバーの先端面から突出された取付凸部に径が異なる2つの取付段部を設けた状態を示した概略斜視図である。
図10】前記の実施形態2に係る回転切削工具において使用する切削工具本体を示し、(A)は取付凹部の凹部径が大きい切削工具本体を示した概略断面説明図、(B)は取付凹部の凹部径が小さい切削工具本体を示した概略断面説明図である。
図11】前記の実施形態2に係る回転切削工具において、取付凹部の凹部径が大きい切削工具本体を、径が異なる2つの取付段部が設けられた取付凸部を有するアーバーの先端部に取り付ける前の状態を示した概略説明図である。
図12】前記の実施形態2に係る回転切削工具において、取付凹部の凹部径が大きい切削工具本体を、取付凸部における径が大きくなった取付段部に嵌め合わせてアーバーの先端部に取り付ける状態を示した概略説明図である。
図13】前記の実施形態2に係る回転切削工具において、取付凹部の凹部径が小さい切削工具本体を、径が異なる2つの取付段部が設けられた取付凸部を有するアーバーの先端部に取り付けるにあたって、アーバーと切削工具本体との間に調整リングを配置させた状態を示した概略説明図である。
図14】前記の実施形態2に係る回転切削工具において、アーバーの先端面から突出された取付凸部における径の大きい取付段部を調整リングの貫通穴内に挿入させて径の小さい取付段部を調整リングから突出させ、この径の小さい取付段部を切削工具本体の取付面に凹設された取付凹部に嵌め合わせ、アーバーの先端面と切削工具本体の取付面との間に調整リングを挟み込むようして、アーバーの先端部に取付凹部の凹部径が小さい切削工具本体を取り付ける状態を示した概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係る回転切削工具を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明における回転切削工具は、特に下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0027】
[実施形態1]
実施形態1における回転切削工具においては、アーバー20として、図1に示すように、その先端面21の中央部から前方に向けて取付凸部22が突出されると共に、この取付凸部22の外周側の先端面21から前方に向けてキー部23が突出され、前記の取付凸部22の中央部にねじ穴24が設けられたものを用いるようにしている。
【0028】
そして、この実施形態1においては、図2(A),(B)に示すように、前記のアーバー20として、その先端面21から突出された取付凸部22の径が異なり、取付凸部22aの径daが小さく、この小さい径daに対応したキー部23aを持つアーバー20Aと、取付凸部22bの径dbが大きく、この大きい径dbに対応したキー部23bを持つアーバー20Bとの2種類を用いるようにしている。
【0029】
一方、前記の2つのアーバー20A,20Bに取り付ける切削工具本体10においては、図3に示すように、アーバー20側の取付面11に取付凹部12を凹設させ、この取付凹部12に凹部径Da,Dbが異なる2つの嵌め込み段部12a,12bを設け、切削工具本体10の先端側の嵌め込み段部12aの凹部径Daを、アーバー20側の嵌め込み段部12bの凹部径Dbより小さくし、先端側の嵌め込み段部12aの凹部径Daを前記のアーバー20Aにおける取付凸部22aの小さい径daに対応させ、アーバー20側の嵌め込み段部12bの凹部径Dbを前記のアーバー20Bにおける取付凸部22bの大きい径dbに対応させるようにしている。
【0030】
また、この切削工具本体10においては、アーバー20側の取付面11に設けた取付凹部12の外周側の部分には、前記のアーバー20Aにおけるキー部23a等を係合させるキー溝13を設け、さらに切削工具本体10の中央部の先端側から取付凹部12に貫通した取付穴14を設けると共に、切削工具本体10の先端部の周方向に所要間隔を介して複数の切削インサート15を交換可能に取り付けている。
【0031】
ここで、この実施形態1における回転切削工具において、前記の取付凸部22aの径daが小さいアーバー20Aの先端部に、前記の切削工具本体10を取り付けるにあたっては、図4に示すように、アーバー20Aの先端面21から突出された取付凸部22aが、切削工具本体10の取付面11に凹設された取付凹部12に対向するように配置させる。
【0032】
そして、図5に示すように、アーバー20Aの先端面21から突出された取付凸部22aを、切削工具本体10の取付面11に凹設された取付凹部12内に挿入させて、取付凹部12の先端側における嵌め込み段部12a内に嵌め合わせ、アーバー20Aの先端面21を切削工具本体10の取付面11に当接させると共に、取付凸部22aの外周側において前方に向けて突出されたアーバー20Aのキー部23aを、切削工具本体10の取付凹部12の外周側の部分に設けられたキー溝13に係合させるようにする。
【0033】
その後、前記の状態で、取付ボルト1を切削工具本体10の中央部に設けられた取付穴14を通してアーバー20Aに設けられたねじ穴24にねじ込んで、切削工具本体10を取付ボルト1のボルト頭1aとアーバー20Aの先端面21との間で挟み込むようにして、切削工具本体10をアーバー20の先端部に取り付けるようにする。
【0034】
このようにすると、切削工具本体10を、取付凸部22aの径daが小さいアーバー20Aの先端部にがたつかないようにして簡単かつ確実に取り付けることができるようになる。
【0035】
一方、この実施形態1における回転切削工具において、取付凸部22bの径dbが大きいアーバー20Bの先端部に、前記の切削工具本体10を取り付けるにあたっては、図6に示すように、中央部にアーバー20Bの取付凸部22bを挿通させる貫通穴31が設けられた調整リング30を用い、この調整リング30のアーバー20Bと対向する面に、アーバー20Bの先端面21に設けられたキー部23bを係合させる調整キー溝32を設ける一方、この調整リング30の切削工具本体10と対向する面に、切削工具本体10に設けられたキー溝13に係合させる円柱状の調整キー部33を設けている。
【0036】
ここで、この実施形態1における回転切削工具においては、取付凸部22bの径dbが大きいアーバー20Bの先端部に、前記の切削工具本体10を取り付けるにあたっては、図7に示すように、取付凸部22bが突出されたアーバー20Bの先端面21と、取付凹部12が凹設された切削工具本体10の取付面11との間に、前記の調整リング30を配置させるようにする。
【0037】
そして、図8に示すように、前記のアーバー20Bの先端面21から突出された取付凸部22bを、前記の調整リング30の貫通穴31を通して切削工具本体10側に突出させると共に、アーバー20Bの先端面21に設けられたキー部23bを調整リング30の調整キー溝32に係合させ、この状態で、調整リング30の貫通穴31を通して突出された取付凸部22bを、切削工具本体10の取付面11に凹設された取付凹部12内に挿入させて、取付凹部12における凹部径Dbの大きな嵌め込み段部12b内に嵌め合わせると共に、前記の調整リング30において切削工具本体10と対向する面から突出された調整キー部33を、切削工具本体10に設けられたキー溝13に係合させて、前記の調整リング30を、アーバー20Bの先端面21と切削工具本体10の取付面11との間で挟み込むようにする。
【0038】
その後、前記の状態で、取付ボルト1を切削工具本体10の中央部に設けられた取付穴14を通してアーバー20Bに設けられたねじ穴24にねじ込んで、切削工具本体10を取付ボルト1のボルト頭1aとアーバー20Aの先端面21との間で挟み込むようにして、切削工具本体10をアーバー20の先端部に取り付けるようにする。
【0039】
このようにして、切削工具本体10を、取付凸部22bの径dbが大きいアーバー20Bの先端部に取り付けると、アーバー20Bの先端面21と切削工具本体10の取付面11との間に前記の調整リング30が挟み込まれた状態で、切削工具本体10を、取付凸部22bの径dbが大きいアーバー20Bの先端部にがたつかないようにして簡単かつ確実に取り付けることができるようになる。
【0040】
[実施形態2]
実施形態2における回転切削工具においては、アーバー20として、図9に示すように、その先端面21の中央部から突出された取付凸部22に径dが異なる2つの取付段部22x,22yが設けられ、アーバー20の先端面21側における取付段部22xの径dxが、切削工具本体10側における取付段部22yの径dyより大きくなったアーバー20Cを用いるようにしている。また、このアーバー20Cにおいても、前記の実施形態1のアーバー20と同様に、前記の取付凸部22の外周側の先端面21から前方に向けてキー部23が突出されると共に、前記の取付凸部22の中央部にねじ穴24が設けられている。
【0041】
一方、前記のアーバー20に取り付ける切削工具本体10として、この実施形態2においては、図10(A),(B)に示すように、アーバー20側の取付面11に凹設させる取付凹部12の凹部径Dx,Dyを異ならせた2種類の切削工具本体10X,10Yを用い、切削工具本体10Xにおける取付凹部12の凹部径Dxを、切削工具本体10Yにおける取付凹部12の凹部径Dyよりも大きくし、切削工具本体10Xにおける取付凹部12の凹部径Dxを、前記のアーバー20の先端面21側における取付段部22xの径dxに対応させる一方、切削工具本体10Yにおける取付凹部12の凹部径Dyを、アーバー20の切削工具本体10側における取付段部22yの径dyに対応させるようにしている。
【0042】
また、前記の切削工具本体10X,10Yにおいては、アーバー20側の取付面11に設けた取付凹部12の外周側の部分に、前記のアーバー20におけるキー部23等を係合させるキー溝13x、13yを設け、さらに切削工具本体10X,10Yの中央部の先端側から取付凹部12に貫通した取付穴14を設けると共に、切削工具本体10X,10Yの先端部の周方向に所要間隔を介して複数の切削インサート15を交換可能に取り付けている。
【0043】
ここで、この実施形態2における回転切削工具において、前記のアーバー20の先端部に、取付凹部12の凹部径Dxが大きい切削工具本体10Xを取り付けるにあたっては、図11に示すように、アーバー20の先端面21から突出された取付凸部22が、切削工具本体10Xの取付面11に凹設された取付凹部12と対向するように配置させる。
【0044】
そして、図12に示すように、アーバー20の先端面21から突出された取付凸部22を、切削工具本体10Xの取付面11に凹設された取付凹部12内に挿入させて、取付凹部12の凹部径Dxに対応したアーバー20の先端面21側における径dxの取付段部22xを、切削工具本体10Xにおける凹部径Dxの取付凹部12内に嵌め合わせ、アーバー20の先端面21を切削工具本体10の取付面11に当接させると共に、取付凸部22の外周側において前方に向けて突出されたアーバー20のキー部23を、切削工具本体10Xの取付凹部12の外周側の部分に設けられたキー溝13xに係合させるようにする。
【0045】
その後、前記の状態で、取付ボルト1を切削工具本体10Xの中央部に設けられた取付穴14を通してアーバー20に設けられたねじ穴24にねじ込んで、切削工具本体10Xを取付ボルト1のボルト頭1aとアーバー20の先端面21との間で挟み込むようにして、切削工具本体10Xをアーバー20の先端部に取り付けるようにする。
【0046】
このようにすると、凹部径Dxが大きい切削工具本体10Xの取付凹部12内に、アーバー20の取付凸部22の先端面21側における径dxが大きい取付段部22xが嵌め合わされて、凹部径Dxが大きい切削工具本体10Xを、アーバー20Aの先端部にがたつかないようにして簡単かつ確実に取り付けることができるようになる。
【0047】
一方、この実施形態2における回転切削工具において、前記のアーバー20の先端部に、取付凹部12の凹部径Dyが小さい切削工具本体10Yを取り付けるにあたっては、前記の実施形態1の図6に示した調整リング30と同様に、アーバー20の先端面21から突出された取付凸部22における径dxの大きい取付段部22xを挿入させて径dyの大きい取付段部22yを挿通させる貫通穴31が中央部に設けられた調整リング30を用い、この調整リング30のアーバー20と対向する面に、アーバー20の先端面21に設けられたキー部23を係合させる調整キー溝32を設ける一方、この調整リング30の切削工具本体10Yと対向する面に、切削工具本体10Yに設けられたキー溝13yに係合させる円柱状の調整キー部33を設けたものを用いるようにする。
【0048】
そして、この実施形態2における回転切削工具においては、図13に示すように、取付凸部22が突出されたアーバー20の先端面21と、取付凹部12が凹設された切削工具本体10Yの取付面11との間に、前記の調整リング30を配置させる。
【0049】
次いで、図14に示すように、前記のアーバー20の先端面21から突出された取付凸部22における取付段部22xを前記の調整リング30の貫通穴31に挿入させて、取付凸部22における取付段部22yを切削工具本体10Y側に突出させると共に、アーバー20の先端面21に設けられたキー部23を調整リング30の調整キー溝32に係合させ、この状態で、調整リング30の貫通穴31を通して突出された取付段部22yを、切削工具本体10Yの取付面11に凹設された凹部径Dyの取付凹部12内に嵌め合わせると共に、前記の調整リング30において切削工具本体10Y側に突出された調整キー部33を、切削工具本体10Yに設けられたキー溝13yに係合させて、前記の調整リング30を、アーバー20の先端面21と切削工具本体10Yの取付面11との間で挟み込むようにする。
【0050】
そして、前記の状態で、取付ボルト1を切削工具本体10Yの中央部に設けられた取付穴14を通してアーバー20Bに設けられたねじ穴24にねじ込んで、切削工具本体10を取付ボルト1のボルト頭1aとアーバー20Aの先端面21との間で挟み込むようにして、切削工具本体10Yをアーバー20の先端部に取り付けるようにする。
【0051】
このようにして、取付凹部12の凹部径Dyが小さい切削工具本体10Yを、アーバー20の先端面21から突出された先端側における径dyが小さい取付段部22yに取り付けると、アーバー20の先端面21と切削工具本体10Yの取付面11との間に前記の調整リング30が挟み込まれた状態になって、取付凹部12の凹部径Dyが小さい切削工具本体10Yを、アーバー20の先端部にがたつかないようにして簡単かつ確実に取り付けることができるようになる。
【符号の説明】
【0052】
1 :取付ボルト
1a :ボルト頭
10,10X,10Y :切削工具本体
11 :取付面
12 :取付凹部
12a,12b :嵌め込み段部
13,13x,13y :キー溝
14 :取付穴
15 :切削インサート
20,20A,20B,20C :アーバー
21 :先端面
22,22a,22b :取付凸部
22x,22y :取付段部
23,23a,23b :キー部
24 :ねじ穴
30 :調整リング
31 :貫通穴
32 :調整キー溝
33 :調整キー部
Da,Db :嵌め込み段部の凹部径
Dx,Dy :取付凹部の凹部径
d,da,db :取付凸部の径
dx,dy :取付段部の径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14