(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053844
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】携帯飲料抽出器
(51)【国際特許分類】
A47J 31/18 20060101AFI20230406BHJP
【FI】
A47J31/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163156
(22)【出願日】2021-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】599074257
【氏名又は名称】オアシス珈琲有限会社
(71)【出願人】
【識別番号】510184885
【氏名又は名称】石川 博美
(74)【代理人】
【識別番号】100082636
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 修治
(72)【発明者】
【氏名】石川 高信
(72)【発明者】
【氏名】石川 博美
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA09
4B104BA53
4B104BA56
4B104EA33
(57)【要約】
【課題】 携帯性に優れ、茶葉等のエキスの抽出に当たって、操作がし易く、且つ携帯に当たって内部の抽出液が不用意に漏洩しない携帯飲料抽出器を提供する。
【解決手段】 携帯飲料抽出器7は、容器本体1の内部に予め、紅茶、緑茶等の茶葉と熱湯を入れた状態で、上端部1aから可動円筒3とパッキング部材5とフィルター部材4からなるプランジャユニット6を嵌入し、その自重により沈降させる。
適宜に押圧され且つジャンピングされた茶葉からは、エキスが効率良く抽出される。紅茶を注ぐときは、容器本体1を45度以上傾けることで、茶葉のエキスがフィルター部材4と上端部1aを介して茶碗に注がれる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紅茶、緑茶、ウーロン茶等の茶葉あるいはコーヒーの粉末から水または熱湯にエキスを抽出させる携帯飲料抽出器であって、
底部が閉塞され上端部が開口された長い円筒状の容器本体と、
前記容器本体の前記上端部に結合し、前記容器本体の前記上端部を気密に閉塞する蓋体と、
前記容器本体の内部に移動可能な状態で余裕をもって嵌入される両端開口型の短い円筒状の可動円筒と、
前記容器本体の内壁と前記可動円筒の外壁との間に介挿され、前記内壁と前記外壁との間を水密的に保持するパッキング部材と、
前記可動円筒の底部を覆うように設けられたフィルター部材と、
からなり、
前記容器本体内に茶葉あるいは粉末と熱湯または水が投入された状態において、前記パッキング部材と前記フィルター部材と前記可動円筒からなるプランジャユニットが、
前記容器本体の上端部から嵌入されると自重により前記容器本体内を降下し、前記茶葉あるいは粉末を上方から押圧し得るように構成したことを特徴とする携帯飲料抽出器。
【請求項2】
前記プランジャユニットは、前記容器本体が前記蓋体によって閉塞された前記容器本体内において、前記容器本体を逆さに向けた場合においても、自重により前記蓋体の方向に向かって降下し得るように構成したことを特徴とする請求項1に記載の携帯飲料抽出器。
【請求項3】
前記プランジャユニットは、
前記容器本体を上下方向または傾斜方向に繰り返し揺動することにより、
前記容器本体内において、往復動し、前記茶葉あるいは粉末を撹拌し得るように構成したことを特徴とする請求項1に記載の携帯飲料抽出器。
【請求項4】
前記パッキング部材は、
前記可動円筒の外周に形成された少なくとも2つの円環状凹溝に勘合した状態から取り外し可能であって、前記茶葉あるいは粉末が袋入りである場合、前記パッキング部材を前記可動円筒から取り外した状態で抽出を行い得るように構成したことを特徴とする請求項1に記載の携帯飲料抽出器。
【請求項5】
前記容器本体は、ガラス、スティール、アルミニウム、磁器のうちの1つを選択して構成することを特徴とする請求項1に記載の携帯飲料抽出器。
【請求項6】
前記可動円筒は、スティール、陶器、磁器、プラスチックのうちのいずれかの1つからなり、前記容器本体内において、自重により降下し得る比重の大きさを有することを特徴とする請求項1に記載の携帯飲料抽出器。
【請求項7】
前記蓋体は、開閉可能な中蓋を有し、飲み口を備えたものを含むことを特徴とする請求項1に記載の携帯飲料抽出器。
【請求項8】
前記フィルター部材は、多数の小孔が穿設された円板状の薄板を、前記可動円筒の底部に取着されてなることを特徴とする請求項1に記載の携帯飲料抽出器。
【請求項9】
前記小孔の直径が異なるフィルター部材を複数用意し、選択的に前記容器本体の底部に取着し得るように構成したことを特徴とする請求項8に記載の携帯飲料抽出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紅茶、緑茶、ウーロン茶等(以下、「紅茶等」という)の茶葉あるいはコーヒーの粉末から熱湯または水の中に効率よく抽出させる携帯飲料抽出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コーヒー粉末と熱湯を円筒に入れて、その上からコーヒー液を抽出するために、フィルターを底部に備えたプランジャを押し棒(プレス棒)をもって、手動的に加圧するように構成されたものがある(特許文献1、2)。即ち、このうち、特許文献1には、ガラス容器の開口部に、キャップが勘合され、そのキャップの中心部に押し棒が挿通されると共に、該押し棒の下端部には、可撓性樹脂製のストレインプレートと、ガラス容器の内径よりも大径で可撓性材よりなる濾過網が固定された濾過板とがナットなどにより着脱自在に固定されてなるコーヒー抽出器が開示されている。
また、上記特許文献2には、金属製保持枠に格納された円筒状ガラス容器に、フィルター付きのプランジャが嵌入され、押し棒の下端が連結された当該プランジャは、蓋体の中心部に穿設された案内部材により案内される押し棒によって、底部にあるコーヒー粉を押圧するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭52-51782号公報
【特許文献2】実開平6-48536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1および2に記載の従来のコーヒー抽出器は、プランジャを押し棒によって、押下操作するように構成されているので、第1に押し棒がガラス容器の上方に突出し、さらに、その押し棒の上端部に操作用つまみを付設する必要があるため、上下方向の寸法が大きくなり、携帯性が悪いという難点がある。
第2に、茶葉あるいは粉末のエキスを熱湯の中に抽出するに際し、逐一、手動により押し下げ操作をしなければならないので、厄介であり、その操作性において難点がある。
第3に、ガラス容器の開口部に勘合されるキャップの中心部に開けられた貫通孔を介して押し棒が挿通されるため、ガラス容器を一定以上に傾けたり、逆さにすると、キャップに設けた貫通孔と押し棒との間の隙間から内部の抽出液が漏れだす、という難点がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、抽出作用を充分に果たし得るにも拘らず、携帯性に優れた携帯飲用抽出器を提供することにある。
第2の目的は、茶葉あるいは粉末のエキスを熱湯の中に抽出するに際し、従来のように押し棒の押し下げ力を微妙に手加減する必要がなく、プランジャの重力に任せるか、必要に応じて、容器全体を適宜揺動するだけで、エキスの抽出を最適に行うことができ、渋みや濃さの調節を可能とする携帯飲用抽出器を提供することにある。
第3の目的は、容器本体を傾けたり逆さにしても内部の抽出液が漏れだす虞れがない携帯飲用抽出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明に係る携帯飲料抽出器は、上記第1、第2および第3の目的を達成するために、
紅茶、緑茶、ウーロン茶等の茶葉あるいはコーヒーの粉末から水または熱湯にエキスを抽出させる携帯飲料抽出器であって、
底部が閉塞され上端部が開口された長い円筒状の容器本体と、
前記容器本体の前記上端部に結合し、前記容器本体の前記上端部を気密に閉塞する蓋体と、
前記容器本体の内部に移動可能な状態で余裕をもって嵌入される両端開口型の短い円筒状の可動円筒と、
前記容器本体の内壁と前記可動円筒の外壁との間に介挿され、前記内壁と前記外壁との間を水密的に保持するパッキング部材と、
前記可動円筒の底部を覆うように設けられたフィルター部材と、
からなり、
前記容器本体内に茶葉あるいは粉末と熱湯または水が
投入された状態において、前記パッキング部材と前記フィルター部材と前記可動円筒からなるプランジャユニットが、
前記容器本体の上端部から嵌入されると自重により前記容器本体内を降下し、前記茶葉あるいは粉末を、上方から押圧し得るように構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、
紅茶、緑茶、ウーロン茶等の茶葉あるいはコーヒーの粉末から水または熱湯にエキスを抽出させる携帯飲料抽出器であって、
底部が閉塞され上端部が開口された長い円筒状の容器本体と、
前記容器本体の前記上端部に結合し、前記容器本体の前記上端部を気密に閉塞する蓋体と、
前記容器本体の内部に移動可能な状態で余裕をもって嵌入される両端開口型の短い円筒状の可動円筒と、
前記容器本体の内壁と前記可動円筒の外壁との間に介挿され、前記内壁と前記外壁との間を水密的に保持するパッキング部材と、
前記可動円筒の底部を覆うように設けられたフィルター部材と、
からなり、
前記容器本体内に茶葉あるいは粉末と熱湯または水が投入された状態において、前記パッキング部材と前記フィルター部材と前記可動円筒からなるプランジャユニットが、
前記容器本体の上端部から嵌入されると自重により前記容器本体内を降下し、前記茶葉あるいは粉末を上方から押圧し得るように構成ことにより、
上下方向の寸法が小型化されることから携帯性に優れ、また、紅茶等の茶葉あるいはコーヒーの粉末から容易且つ適切にエキスを抽出し得るなど、操作性に優れ、さらには、飲料抽出器を傾けたり逆さにしても、容器本体内の抽出液が不用意に漏洩することのない携帯飲料抽出器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一つの実施の形態に係る携帯飲料抽出器の断面構成を示す正面中央縦断面図である。
【
図2】
図1に示す携帯飲料抽出器の一部を構成する可動円筒の構成を示すもので、(a)は、その平面図、(b)は、断面図である。
【
図3】
図1に示す携帯飲料抽出器の一部を構成するパッキング部材の構成を示すもので、(a)は、その平面図、(b)は、断面図である。
【
図4】
図1に示す携帯飲料抽出器の一部を構成するフィルター部材の構成を示すもので、(a)は、平面図、(b)は、断面図である。
【
図5】本発明の一実施の形態に係る携帯飲料抽出器の要部であるプランジャユニットが透けて見える形式で描いてなる斜視図である。
【
図6】本発明の一実施の形態に係る携帯飲料抽出器において、蓋体を外し、容器本体内に紅茶等の茶葉等および熱湯を入れた状態でプランジャユニットを挿入した状態を示す斜視図である。
【
図7】本発明の一実施の形態に係る携帯飲料抽出器を
図5の状態から180°反転し蓋部を下側に向けた使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施の形態を通じて、本発明を説明するが、以下の実施の形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
次に、本発明に係る携帯飲料抽出器の実施の形態について、説明する。
図1は、本発明の一つの実施の形態に係る携帯飲料抽出器の断面構成を示す正面中央縦断面図である。
【0010】
図2~
図4は、
図1に示す携帯飲料抽出器の一部を構成する部材であり、このうち
図2は、可動円筒の構成を示すもので、(a)は、平面図、(b)は、断面図であり、
図3は、パッキング部材の構成を示すもので、(a)は、その平面図、(b)は、断面図であり、
図4は、フィルター部材の構成を示すもので、(a)は、その平面図、(b)は、断面図である。
【0011】
図1において、7は、紅茶、緑茶、ウーロン茶等の茶葉8あるいはコーヒーの粉末から水または熱湯にエキスを抽出させる携帯型の飲料抽出器(以下、「携帯飲料抽出器」という)である。
この携帯飲料抽出器7は、底部1bが閉塞され、上端部1aが開口され、少なくとも底部1bから上端部1a近傍までの間は、一定直径の比較的長い円筒状に形成された容器本体1と、前記容器本体1の上端部1aに勘合し、前記容器本体1の上端部1aを、気密に閉塞する蓋体2と、上記容器本体1の内部で移動可能に余裕をもって嵌入される両端開口型の短い円筒状の可動円筒3と、容器本体1の内壁1cと可動円筒3の外壁3aとの間に介挿され、内壁1cと外壁3aとの間を水密的に保持するパッキング部材5と、可動円筒3の底部3bを覆うように設けられたフィルター部材4と、から構成されている。
【0012】
次に、上記各部材について、説明する。
上記容器本体1は、例えば、ガラス、スティール(特にステインレススティール)、アルミニウム、磁器などの材質の中から選択されるが、ガラスのように透明(半透明)なものであってもよいが、不透明のものであってもよい。
上記容器本体1の上端部1aには、雄ねじが形成されている。
また、蓋体2の内面側には、上記雄ねじと螺合する雌ねじが形成され、互いに螺合された状態では、内部の抽出エキスを含んだ熱湯や水などが漏洩しないように構成されている。
可動円筒3は、例えば、スティール(特に、ステインレススティール)、磁器、陶器、合成樹脂を用いることができるが、水中において、自重により沈降するような比重の素材を用いるものとし、沈降速度を配慮して可動円筒3の肉厚(外形寸法―内径寸法)や上下方法の寸法を設定する。
【0013】
パッキング部材5は、例えば、シリコンゴムのような可撓性、弾力性(ばね性)を有する素材を用いることにより、可動円筒3の外壁3aと容器本体1の内壁1cとの間から茶葉8やコーヒーの粉末が流通することを阻止することが目的となる。
従って、パッキング部材5は、可動円筒3の外周壁面に一応深さの円環状凹溝、この場合、上下に2本形成してなる円環状の凹溝3cに勘合させることで、上下方向に安定性を付与する。
上記凹溝3c、3cに勘合させたとき、パッキング部材5の外径は、容器本体1の内壁1cの直径よりやや大きくなるように設定する。
水密性を付与するために、断面がO形状を呈するOリングを用いることが多いが、この場合、Oリングであると摩擦力が大きくなり、可動円筒3の自重による降下が阻害されるので、図示のような薄板状のものが望ましい。
【0014】
尚、パッキング部材5は、上述したように可動円筒3の外壁3aに削成した円環状に形成した凹溝3cに装着したり、離脱することが可能であり、例えば、コーヒーの粉末、紅茶等の茶葉8を用いるときは、パッキング部材5を装着した状態で使用する必要はあるが、コーヒーの粉や紅茶の茶葉8が袋入り(パック入り)である場合には、パッキング部材5を取り外した状態で使用することができる。
次に、フィルター部材4は、例えば、ステインレススティール(例えば、SUS304)を用いることができ、具体的には、例えば厚さ1.0mmの円形板に、直径43mmの範囲内に、直径0.5mmの小孔を0.5mmピッチで穿孔してなるフィルター部材4を試作し実験を試みた。
但し、上記寸法は、一つの実施例であって、これに限定されるものではない。
【0015】
上記フィルター部材4は、図示においては、可動円筒3の底部3bに、溶着してなるが、例えば、底部3bとフィルター部材4との間を、ねじ結合、一定角度回転させて固定するバヨネット結合などの方法により、粗密の異なるフィルター部材4を複数用意し、可動円筒3に交換的に着脱可能なるように構成してしもよい。
このように構成すれば、コーヒー豆の粉末の大きさに応じて最適のフィルター径を設定することができる。
次に、上記構成よりなる携帯飲料抽出器7の使用方法について、説明する。
先ず、容器本体1の上端部1aに勘合している蓋体2を、反時計回りに回転して、容器本体1から取り外す。
【0016】
次に、可動円筒3、フィルター部材4およびパッキング部材5からなるプランジャユニット6を、容器本体1から外部へ取り出す。
次に、紅茶、緑茶、ウーロン茶等の茶葉(あるいは、コーヒーの粉末)を、適量、容器本体1に投入する。
次に、予め所定温度に加熱した熱湯(あるいは、水の場合もある)を、ゆっくりと注入する。
その後、プランジャユニット6を、容器本体1の上端部1から、フィルター部材4を下に向けて、挿入する。
すると、プランジャユニット6は、パッキング部材5が容器本体1の内壁1cを摺接しながら、その自重によりゆっくり降下し、茶葉(粉末)をゆっくり圧接し、バランスした位置で、降下を停止する(
図6に示す状態)。
この状態を暫時保持した上で、
図7に示すように、蓋体2が下方に位置するように、容器本体1を逆さになるように反転させる。
【0017】
さらに、必要に応じ、容器本体1を持って、上下、左右あるいは斜め方向に揺動させて、いわゆるジャンピング動作を加えて、茶葉8を撹拌させ、より多くの茶葉8のエキスを抽出させることができる。
上記のような、いわゆるジャンピング動作は、上記特許文献1および2の抽出器においては、到底期待し得ない作用、効果をもたらすものである。
このような構成よりなる、本発明に係る携帯飲料抽出器7によれば、あっさりとした茶葉8のエキスを抽出して味わいたいのであれば、プランジャユニット6が茶葉8を押圧してから、あまり時間の経過を待たずに、蓋体2を離脱して、容器本体1を、45度以上傾向けることにより、茶葉8から抽出したエキスがフィルター部材4を経由して濾過されて容器本体1の上端部1aから流出するので、これを茶器(図示せず)に注ぐことにより、比較的淡泊なエキスを飲むことができる。
【0018】
例えば、おいしい紅茶を抽出するに当たっては、第1に、酸素を含んだ新鮮な沸かしたての熱湯を用い、第2に新しい鮮度の良い茶葉8を用いること、第3に、ティーポットの形状がジャンピングし易いという条件が整うことが必要とされる。
特に、紅茶8が袋入りである場合には、容易にエキスが熱湯中に抽出されないところ、本発明に係る飲料抽出器にあっては、ジャンピングが効率良く行えるため、おいしい紅茶を容易に抽出することができる。
抽出時間については、茶葉8、粉末の等級、茶葉8のカットサイズ、コーヒー豆の挽き方(例えば、粗挽き、細挽き)によって、抽出時間が(例えば、1分とか3分とか)が決まる。
【0019】
本発明に係る携帯飲料抽出器7によれば、それぞれの最適な抽出時間に合わせて、プランジャユニット6を底に沈めることで、抽出が止まり、味を損なう渋味が出るのを抑止することができ、おいしいと思える味を保持することができる。
尚、上述の実施の形態に係る携帯飲料抽出器7は、茶葉8の種類を選ばす、紅茶、緑茶、ウーロン茶はもとより、最近脚光をあびてきた腎臓結石の防止効果があるとされる、ウラジロガシのエキス抽出にも好適である。
上述した本発明に係る携帯飲料抽出器7について、その要旨とするところを整理すると、以下の通りである。
【0020】
先ず、本発明の携帯飲料抽出器7は、
紅茶、緑茶、ウーロン茶等の茶葉8あるいはコーヒーの粉末から水または熱湯にエキスを抽出させる携帯飲料抽出器7であって、
底部1bが閉塞され上端部1aが開口された長い円筒状の容器本体1と、
前記容器本体1の前記上端部1aに結合し、前記容器本体1の前記上端部1aを気密に閉塞する蓋体2と、
前記容器本体1の内部に移動可能な状態で余裕をもって嵌入される両端開口型の短い円筒状の可動円筒3と、
前記容器本体1の内壁1cと前記可動円筒3の外壁3aとの間に介挿され、前記内壁1cと前記外壁3aとの間を水密的に保持するパッキング部材5と、
前記可動円筒3の底部を覆うように設けられたフィルター部材4と、
からなり、
前記容器本体1内に茶葉8あるいは粉末と熱湯または水が投入された状態において、前記パッキング部材5と前記フィルター部材4と前記可動円筒3からなるプランジャユニット6が、
前記容器本体1の上端部から嵌入されると自重により前記容器本体1内を降下し、前記茶葉8あるいは粉末を上方から押圧し得るように構成したことを特徴としている(請求項1に対応する)。
【0021】
また、本発明の携帯飲料抽出器7の前記プランジャユニット6は、前記容器本体1が前記蓋体2によって閉塞された前記容器本体1内において、前記容器本体1を逆さに向けた場合においても、自重により前記蓋体2の方向に向かって降下し得るように構成したことを特徴としている(請求項2に対応する)。
また、本発明の携帯飲料抽出器7の前記プランジャユニット6は、
前記容器本体1を上下方向または傾斜方向に繰り返し揺動することにより、
前記容器本体1内において、往復動し、前記茶葉8あるいは粉末を撹拌し得るように構成したことを特徴としている(請求項3に対応する)。
【0022】
また、本発明の携帯飲料抽出器7の前記パッキング部材5は、
前記可動円筒3の外周に形成された少なくとも2つの円環状凹溝3cに勘合した状態から取り外し可能であって、前記茶葉8あるいは粉末が袋入りである場合、前記パッキング部材5を前記可動円筒3から取り外した状態で抽出を行い得るように構成したことを特徴としている(請求項4に対応する)。
また、本発明の携帯飲料抽出器7の前記容器本体1は、ガラス、スティール、アルミニウム、磁器のうちの1つを選択して構成することを特徴としている(請求項5に対応する)。
また、本発明の携帯飲料抽出器7の前記可動円筒3は、スティール、陶器、磁器、プラスチックのうちのいずれかの1つからなり、熱湯が入った前記容器本体1内において、自重により降下し得る比重の大きさを有することを特徴としている(請求項6に対応する)。
【0023】
また、本発明の携帯飲料抽出器7の前記蓋体2は、開閉可能な中蓋を有し、飲み口を備えたものを含むことを特徴としている(請求項7に対応する)。
また、本発明の携帯飲料抽出器7の前記フィルター部材4は、多数の小孔が穿設された円板状の薄板を、前記可動円筒3の底部に取着されてなることを特徴としている(請求項8に対応する)。
また、本発明の携帯飲料抽出器7は、前記小孔の直径が異なるフィルター部材4を複数用意し、選択的に前記容器本体1の底部に取着し得るように構成したことを特徴としている(請求項9に対応する)。
尚、容器本体1の上端部1aから一定距離(例えば、可動円筒3の高さ方向寸法の略1/2の寸法程度)の位置に、容器本体1の内壁1cの内径よりも約3~4mm小さい内径の円弧状の突部1dを形成してある。
これは、茶葉8のエキスが抽出された飲料を、別途用意される茶碗にそそぐ際に、プランジャユニット6が重力により容器本体1の上端部1aから脱落しないように、パッキング部材5の自由端側が、上記突部1dに係止する役割を果たすものである。
【符号の説明】
【0024】
1 容器本体
2 蓋体
3 可動円筒
4 フィルター部材
5 パッキング部材
6 プランジャユニット
7 携帯飲料抽出器
8 茶葉