(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053848
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】端子連鎖帯の連結具及び端子供給装置
(51)【国際特許分類】
H01R 43/16 20060101AFI20230406BHJP
H01R 43/20 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
H01R43/16
H01R43/20 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163167
(22)【出願日】2021-10-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000154163
【氏名又は名称】三晶エムイーシー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181881
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 俊一
(72)【発明者】
【氏名】西野 正人
(72)【発明者】
【氏名】一色 勝彦
【テーマコード(参考)】
5E063
【Fターム(参考)】
5E063GA04
5E063HA05
5E063HB18
5E063XA01
(57)【要約】
【課題】 仕掛り端子連鎖帯と続いて供給される端子連鎖帯との連続性を、多くの端子を無駄にすることなく、且つ適正なピッチを保ちつつ維持できる端子連鎖帯の連結具及び端子供給装置の提供。
【解決手段】 端子α,αを平行に保持する一対の保持溝2,2を、端子連鎖帯Xの端子配列の1ピッチ単位の間隔で備え、一方が先行端子連鎖帯Xの最後尾の端子αを保持し他方が後続端子連鎖帯Xの先頭の端子αを保持する連結具A、又は先行端子連鎖帯Yのキャリアγの最後の保持部に保持される第一連結軸4と、後続端子連鎖帯Yのキャリアγの先頭の保持部に保持される第二連結軸5と、それらを支持する連結枠6を備え、第一連結軸4及び第二連結軸5は、前後に端子連鎖帯Yの端子配列の1ピッチ単位の間隔で平行に配置され、それぞれキャリアγの保持部に保持される端子βの被保持部と略同形態の部分を具備する連結具B。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先行の端子連鎖帯の後端部と、後続の端子連鎖帯の先端部を連結するための連結具であって、
端子を平行に保持する一対の保持溝を備え、
前記一対の保持溝は、端子連鎖帯の端子配列の1ピッチ単位の間隔で平行に配置され、一方が先行の端子連鎖帯の最後尾の端子を保持すると共に、他方が後続の端子連鎖帯の先頭の端子を保持することを特徴とする端子連鎖帯の連結具。
【請求項2】
先行の端子連鎖帯のキャリアの後端部と後続の端子連鎖帯のキャリアの先端部を連結するための連結具であって、
先行の端子連鎖帯のキャリアの最後尾の保持部に保持される第一連結軸と、
後続の端子連鎖帯のキャリアの先頭の保持部に保持される第二連結軸と、
前記第一連結軸及び第二連結軸を端子連鎖帯の端子配列の1ピッチ単位の間隔で平行に支持する連結枠を備え、
前記第一連結軸及び第二連結軸は、それぞれ前記キャリアの保持部に保持される端子の被保持部と略同形態の部分を含むことを特徴とする端子連鎖帯の連結具。
【請求項3】
等間隔で複数の端子が平行に連鎖する端子連鎖帯を連鎖方向へ供給する端子供給装置において、
連鎖方向へ巻着された端子連鎖帯を巻着解除可能に保持する供給手段と、
前記端子連鎖帯を1ピッチ単位で間欠案内動作を行う案内手段と、
前記案内手段から供給された端子連鎖帯の配備部材を規定位置に配置する位置決め手段と、
端子連鎖帯の配備部材と後続部分を分離する分断手段と、
前記案内手段から供給された端子連鎖帯から請求項1乃至請求項2のいずれかに記載の連結具が装着された連結部位を検知し位置情報を出力する連結部位検知手段と、
前記位置情報に基づいて排出位置への連結具の到着を検知し、当該連結具が装着され、且つ後続部分から分離された配備部材を排出する連結具分別手段を備えることを特徴とする端子供給装置。
【請求項4】
前記位置決め手段は、端子連鎖帯の端子間の間隙に嵌る櫛歯が当該端子連鎖帯の端子配列のピッチ間隔で複数列設されたガイドブロックを備え、
前記櫛歯は、端子連鎖帯の連鎖方向側に、配備端子を所定方向へ向けるガイド面を備えることを特徴とする請求項3に記載の端子供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の同じ端子が等間隔で平行に連ねられた端子連鎖帯の連結具と、プリント基板などに実装される電気コネクタの製造装置等において、当該電気コネクタのハウジングに植設する端子を具備した端子連鎖帯を供給するための端子供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気コネクタなどの電子部品の製造工程では、絶縁性材料からなるハウジングに、導電性金属からなる端子を植設する作業が行われる。
端子の植設は、一本ずつ精密な位置決めの下で行われるが、当該端子の供給は、回転可能に支持された端子リールから定められた位置(以下、「規定位置」という。)へ、複数の同じ端子が等間隔で平行に連ねられた端子連鎖帯を誘導することによって行われる。
【0003】
端子連鎖帯は、一連のガイドに複数の端子が平行に等間隔で保持されたもの(下記特許文献1参照)と、打ち抜き工法等により複数の端子がランナーを介して平行に等間隔で一体成形されたもの(下記特許文献2参照)が存在するが、いずれも、リールに巻き付けられ得るだけの長さで途切れる部材である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-51638号
【特許文献2】実開昭60-29031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記案内手段は、端子連鎖帯を規定位置へ送り込む手法を採るものと、端子連鎖帯を規定位置へ引き入れる手法を採るもののいずれにあっても、規定位置から端子の配置間隔(以下、「ピッチ」という。)十数本分の間隔を隔てた位置に配置されているため、端子連鎖帯の終端又は先端から当該間隔分の範囲に存在する端子は、規定位置へ送り込むこと、又は引き込むことができずロスとなる。
端子リールに巻かれた端子連鎖帯が残り少なくなった際に、仕掛りの端子リールに巻かれた端子連鎖帯の終端を、新たな端子リールに巻かれた端子連鎖帯の先端と連結する手法を採ることも可能であるが、単に連結するだけでは、端子ピッチの維持、連結強度及び位置決め精度に劣るという問題がある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、仕掛りの端子リールに巻かれた端子連鎖帯と、続いて供給される端子リールに巻かれた端子連鎖帯との連続性を、多くの端子を無駄にすることなく、且つ適正なピッチを保ちつつ維持できる端子連鎖帯の連結具及び端子供給装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明による端子連鎖帯の連結具は、先行の端子連鎖帯の後端部と後続の端子連鎖帯の先端部を連結するための連結具であって、端子を平行に保持する一対の保持溝を備え、前記一対の保持溝は、端子連鎖帯の端子配列の1ピッチ単位(例えば1ピッチ分)の間隔で平行に配置され、一方が先行の端子連鎖帯の最後尾の端子を保持すると共に、他方が後続の端子連鎖帯の先頭の端子を保持することを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明による端子連鎖帯の他の連結具は、先行の端子連鎖帯のキャリアの後端部と後続の端子連鎖帯のキャリアの先端部を連結するための連結具であって、先行の端子連鎖帯のキャリアの最後尾の保持部に保持される第一連結軸と、後続の端子連鎖帯のキャリアの先頭の保持部に保持される第二連結軸と、前記第一連結軸及び第二連結軸を端子連鎖帯の端子配列の1ピッチ単位(例えば1ピッチ分又は2ピッチ分)の間隔で平行に支持する連結枠を備え、前記第一連結軸及び第二連結軸は、それぞれ前記キャリアの保持部に保持される端子の被保持部と略同形態の部分を含むことを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するためになされた本発明による端子供給装置は、等間隔で複数の端子が平行(傾斜配置を含む)に連鎖する端子連鎖帯を連鎖方向へ供給する端子供給装置において、連鎖方向へ巻着された端子連鎖帯を巻着解除可能に保持する供給手段と、前記端子連鎖帯を1ピッチ単位で間欠案内動作を行う案内手段と、前記案内手段から供給された端子連鎖帯の配備部材(規定位置に位置決めされ、又は規定位置に最先で位置決めされる端子(以下、「配備端子」という。)又はそれに付着したキャリア等の部材)を規定位置に配置する位置決め手段と、端子連鎖帯の配備部材と後続部分(配備端子に続く端子、連結具又はキャリア等を含む部分)を分離する分断手段と、前記案内手段から供給された端子連鎖帯から上記いずれかの連結具が装着された連結部位を検知し位置情報を出力する連結部位検知手段と、前記位置情報に基づいて排出位置への連結具の到着を検知し、当該連結具が装着され、且つ後続部分から分離された配備部材を排出する連結具分別手段を備えることを特徴とする。
前記位置決め手段は、端子連鎖帯の端子間の間隙に嵌る櫛歯が当該端子連鎖帯の端子配列のピッチ間隔(1ピッチと同じ間隔)で複数列設されたガイドブロックを備え、前記櫛歯は、端子連鎖帯の連鎖方向側に、配備端子を所定方向へ向けるガイド面を備える構成を採ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明による連結具によれば、端子リールに巻かれた端子連鎖帯が残り少なくなった際に、先行の端子連鎖帯の後端部に後続の端子連鎖帯の先端部を当該連結具を介して連結しておくことによって、仕掛りのリールに巻かれた端子連鎖帯と、続いて供給されるリールに巻かれた端子連鎖帯との連続性を、多くの端子を無駄にすることなく、当該端子連鎖帯の構成を損なうことなく、且つ適正なピッチを保ちつつ維持することができる。
【0011】
本発明による端子供給装置によれば、端子連鎖帯の連結に用いられた連結具を端子等から確実に分別し回収することができる。
また、前記位置決め手段に、端子連鎖帯の端子間の間隙に嵌る櫛歯が端子連鎖帯のピッチ間隔で複数列設されたガイドブロックを備え、前記櫛歯に、端子連鎖帯の連鎖方向側に、配備端子を所定方向へ向けるガイド面を備える構成を採れば、端子連鎖帯及び本発明による連結具の構成を利用して、連結された端子連鎖帯の端子を正確に位置決めし、分断工程及び植設工程等の作業に供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明による端子連鎖帯の連結具の一例を示す(A)左側面図、(B)平面図、(C)正面図である。
【
図2】本発明による端子連鎖帯の連結具の一例を示す(A)背面図、(B)左側面図、(C)A-A矢視断面図、(D)平面図、(E)正面図である。
【
図3】本発明による端子連鎖帯の連結具の実施態様例を示す(A)B-B矢視断面図、(B)平面図、(C)正面図である。
【
図4】本発明による端子供給装置の一例を示す拡大平面図である。
【
図5】本発明による端子供給装置の一例を示す規定位置及びその近隣の拡大平面図である。
【
図6】本発明による端子供給装置の一例を示す平面図である。
【
図7】本発明による端子供給装置の一例を示す正面図である。
【
図8】本発明による端子連鎖帯の連結具の実施態様例を示す(A)C-C矢視断面図、(B)平面図、(C)正面図である。
【
図9】本発明による端子供給装置の一例を示す拡大平面図である。
【
図10】本発明による端子供給装置の一例を示す規定位置及びその近隣の拡大平面図である。
【
図11】本発明による端子供給装置の一例を示す平面図である。
【
図12】本発明による端子供給装置の一例を示す正面図である。
【
図13】本発明による端子供給装置の一例を示す規定位置及びその近隣の拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明による端子連鎖帯の連結具の実施の形態を、当該連結具に連結された端子連鎖帯の端子を端子挿入装置へ供給する本発明による端子供給装置の実施の形態と共に、図面に基づき詳細に説明する。
図1及び
図2に示す端子連鎖帯X,Yの連結具A,Bは、先行の端子連鎖帯X,Yの後端部に後続の端子連鎖帯X,Yの先端部を連結するための連結具である(
図3及び
図8参照)。
【実施例0014】
図1に示す連結具A(実施例1)は、金属からなる一片の直方体状のブロック1であって、端子αが連鎖方向に対し直角の方向へ向けられて平行に等間隔で配置された端子配列を持つ端子連鎖帯Xに用いられる(
図3参照)。
前記連結具Aを構成する金属は、鉄若しくはステンレス、又はアルミ合金等が挙げられるが、耐摩耗性又は連結寸法の精度を高める上では、鉄やステンレス等の高剛性の素材を選択することが望ましい。
尚、前記ブロック1の外形は、略直方体状に限定されるものではなく、端子連鎖帯Xに施される工程に応じて適切な形態を採用することができる。
【0015】
この端子連鎖帯Xが備える端子αは、導線が接続される嵌合部α1と、回路基板のスルーホール等に挿入される実装部α2を備え、前記嵌合部α1と実装部α2の境界に設けられた連結部α3を介して連鎖状態が維持されている。前記連結部α3は、当該端子連鎖帯Xにおける隣接端子α,αのストッパ部α4がランナーの様に連続したものであって、端子挿入装置の規定位置(
図6及び
図7参照)Pにおいて当該連結部α3の中央部を打ち抜くことにより連結されていた隣接端子α,αが分離され、当該連結部α3の両端部がストッパ部α4として残ることとなる。
【0016】
前記ブロック1は、連結しようとする端子α,αを保持する一対の平行に配置された保持溝2,2を、当該ブロック1の奥行きの全域にわたる長さで備える。前記一対の保持溝2,2は、一方が先行の端子連鎖帯Xの最後尾の端子αを保持し、他方が後続の端子連鎖帯Xの先頭の端子αを保持する(
図3参照)。
この例における各保持溝2,2の中心軸の間隔は、端子連鎖帯Xが備える端子αの配置間隔(1ピッチ)と等しくされている。各保持溝2,2は、各端子αにおける保持部位(被保持部)を、端子挿入装置の規定位置Pへ供給する際に安定的に保持できる幅及び深さを持つ略方形断面に成形されている(
図1参照)が、端子挿入装置の規定位置Pへ供給する際に安定的に保持できる限り、つぼ型断面等の異なる断面形状を採用することができる。
図3に示す例は、端子αの実装部α2を保持部位としているが、保持部位は、前記嵌合部α1又は実装部α2のいずれに設けても良い。
尚、ここで前記配置間隔とは、端子連鎖帯Xにおいて連鎖状態に配置された各端子αの中心軸の間隔である。以下、前記配置間隔を「1ピッチ」とする。
【0017】
当該ブロック1の幅は、3ピッチ分の長さから前記保持部位の幅を差し引いた長さ未満とするが、隣接する端子αとの干渉に配慮して2ピッチ未満とすることが望ましい。
当該ブロック1の奥行きは、連結する二つの端子連鎖帯X,Xの端子α,αの平行状態を維持するに十分な最短の長さが望ましい。
当該ブロック1は、前記保持溝2,2に直交して当該ブロック1の全幅を横断し、且つ当該保持溝2より僅かに深い調整溝3を、当該ブロック1の奥行きの中央に、当該ブロック1の全幅にわたる長さで備える(
図1参照)。
この例においては、当該調整溝3の存在をもって、当該連結具Aを端子αに装着する際の容易さ、又は前記保持溝2の保持力を調整することができる。
この端子連鎖帯Yが備える端子βは、略等断面の硬直性の高い導電性金属からなる角線状端子であって、中間部に、コネクタ等のハウジングHに保持されるアンカー部β1を備え、両端部にテーパー部β2を備える。
前記キャリアγは、金属製の長尺な平板を、複数の保持領域が連鎖した形状に打ち抜いたものである。当該キャリアγの素材は、端子βを傷付ける事無く装脱可能に保持できる真鍮等の銅合金が挙げられる。
前記キャリアγは、打ち抜き加工によって、円形のパイロット孔γ2が、その長手方向に沿って等間隔(1ピッチ間隔)の直線配置となるように穿設され、外向きに開口したC字状の保持枠を持つ保持部γ1が、隣接するパイロット孔γ2に挟まれた領域の両側縁部の中央に配置される様に形成されている。
この例では、隣接するパイロット孔γ2に挟まれた領域が、個々の端子βの保持領域に設定されており、各保持領域は、両側縁部の前記保持部γ1,γ1を各々近接方向へ直角に折り曲げ、両側縁部の保持枠が対向する様に成形することで完成する。
前記連結具Bの第一連結軸4及び第二連結軸5は、両者の外側(端子挿入装置の端子クランパ27が進む方向)の端部に架設された連結枠6をもって一体化され、当該連結枠6の支持により、移送方向の前後に端子連鎖帯Yが備える端子βの配置間隔の2ピッチ分の間隔を隔てて両連結軸4,5の平行な配置が維持される。
前記連結具Bの第一連結軸4及び第二連結軸5は、連結される二つの端子連鎖帯Y,Yのキャリアγ,γに各々保持された時に、当該第一連結軸4及び第二連結軸5の内側(端子挿入装置の端子クランパ27が退く方向)の端部が、連結される二つの端子連鎖帯Y,Yに保持された端子βの内側の端部と同じ位置に達する長さとされ、それらの先端位置は、端子連鎖帯Yが具備する端子βの先端に揃うこととなる。