(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053863
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】真空包装装置
(51)【国際特許分類】
B65B 31/02 20060101AFI20230406BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
B65B31/02 B
H05K5/03 A
H05K5/03 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186449
(22)【出願日】2021-11-16
(31)【優先権主張番号】P 2021162972
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】517164556
【氏名又は名称】株式会社TOSEI
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(72)【発明者】
【氏名】野村 雅和
(72)【発明者】
【氏名】鍵山 達也
(72)【発明者】
【氏名】森田 祐規子
(72)【発明者】
【氏名】松永 理佳
(72)【発明者】
【氏名】中村 麻日奈
(72)【発明者】
【氏名】浅利 達也
(72)【発明者】
【氏名】浅賀 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】船川 栄里
【テーマコード(参考)】
3E053
4E360
【Fターム(参考)】
3E053AA06
3E053CA01
3E053CB02
3E053FA01
3E053GA20
3E053JA10
4E360AB04
4E360AB08
4E360BA01
4E360BA08
4E360BB02
4E360BB12
4E360BC03
4E360BC05
4E360BD05
4E360CA02
4E360EA24
4E360EC04
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4E360EC16
4E360ED02
4E360GA08
4E360GA44
4E360GA46
4E360GA53
4E360GB99
(57)【要約】
【課題】利便性の高い真空包装装置を提供する。
【解決手段】被包装物が収納された包装袋Bを収容可能な内部空間を有するチャンバー20と、内部空間を減圧するポンプとを有し、内部空間を減圧することにより被包装物を真空包装する真空包装装置10であって、被包装物の真空包装条件を設定操作するための操作パネル230と、操作パネル230を視認不能に被覆するパネルカバー234とを備えた。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物が収納された包装袋を収容可能な内部空間を有するチャンバーと、前記内部空間を減圧するポンプとを有し、前記内部空間を減圧することにより前記被包装物を真空包装する真空包装装置であって、
前記被包装物の真空包装条件を設定操作するための操作パネルと、
前記操作パネルを視認不能に被覆する被覆部材と
を備えることを特徴とする真空包装装置。
【請求項2】
前記ポンプの作動を停止させる停止スイッチを更に備える
ことを特徴とする請求項1記載の真空包装装置。
【請求項3】
前記チャンバーは、前記包装袋を上面に載置可能な本体部と、該本体部に対して開閉可能に連結し、前記本体部上面を閉塞した閉塞状態において前記本体部との間に前記内部空間を画成する蓋部とを有し、
前記蓋部と前記本体部との連結部分を該本体部の背面側とする場合、前記本体部の正面側外壁に前記停止スイッチが設けられ、前記本体部の側面側外壁に前記操作パネルが設けられる
ことを特徴とする請求項2記載の真空包装装置。
【請求項4】
前記蓋部の閉塞状態を検知する検知部と、
前記検知部が前記蓋部の閉塞状態を検知した場合、予め設定された真空包装条件で前記ポンプを作動させる第1作動制御部と
を更に備えることを特徴とする請求項3記載の真空包装装置。
【請求項5】
前記内部空間の気圧を検出する気圧検出センサと、
前記ポンプと前記内部空間とを連通する経路内に設けられ、前記内部空間を減圧する際に開状態となる真空弁と、
前記包装袋の開口部を封止する封止装置と、
前記気圧検出センサによる検出結果に基づいて前記真空弁と前記封止装置とを作動させる第2作動制御部と
を更に備え、
前記第2作動制御部は、前記気圧検出センサにより検出された前記内部空間の気圧が、前記真空包装条件として予め設定された真空度に応じた圧力まで減圧された場合、前記真空弁を閉状態とし、前記真空包装条件として予め設定された待機時間経過後に前記封止部を作動させる
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項記載の真空包装装置。
【請求項6】
前記被包装物は繊維製品であり、
前記真空包装条件として、前記被包装物の体積を70~80%減少可能な真空度が予め設定されている
ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項記載の真空包装装置。
【請求項7】
前記包装袋の開口部を封止する封止装置の近傍に設けられ、前記開口部が前記封止装置に載置された状態において、前記包装袋に収納された被包装物の前記封止装置側への移動を規制する規制部
を更に備えることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか一項記載の真空包装装置。
【請求項8】
前記規制部は、第1規制部材と第2規制部材とで構成され、
前記包装袋は、前記被包装物を収納する収納部分と、前記収納部分と前記開口部との間に位置する首部分とを含み、
前記第1規制部材と第2規制部材との間に形成される隙間部に前記首部分を挿通した状態とすることにより、前記収納部分に収納された前記被包装物の前記封止装置側への移動を規制する
ことを特徴とする請求項7記載の真空包装装置。
【請求項9】
前記第1及び第2規制部材は上下方向に離間してスリット状の前記間隙部が形成され、それぞれ前記封止装置の長手方向に沿って並行に延在して設けられ、
前記第1及び第2規制部材の一端部が連結部を介して互いに連結されていることを特徴とする請求項8記載の真空包装装置。
【請求項10】
前記規制部は、前記封止装置の長手方向に沿って延在して設けられ、前記長手方向に沿って長穴状の間隙部が形成される一つの規制部材で構成され、
前記包装袋は、前記被包装物を収納する収納部分と、前記収納部分と前記開口部との間に位置する首部分とを含み、
前記首部分が前記間隙部に挿通した状態とすることにより、前記収納部分に収納された被包装物の前記封止装置側への移動を規制することを特徴とする請求項7記載の真空包装装置。
【請求項11】
前記規制部は、前記封止装置の長手方向に沿って延在して設けられ、前記長手方向に沿って長穴状の間隙部が形成されると共に、該間隙部に繋がる切れ込みが形成される一つの規制部材で構成され、
前記包装袋は、前記被包装物を収納する収納部分と、前記収納部分と前記開口部との間に位置する首部分とを含み、
前記切れ込みを介して前記首部分が前記間隙部に挿通した状態とすることにより、前記収納部分に収納された被包装物の前記封止装置側への移動を規制することを特徴とする請求項7記載の真空包装装置。
【請求項12】
前記規制部は、前記封止装置と所定距離離間して、前記封止装置に着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項8~請求項11のいずれか一項記載の真空包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、被包装物が収納された包装袋を収容するチャンバー内を減圧することにより被包装物を真空包装する真空包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品などの被包装物を包装する包装方法の一つとして真空包装が知られている。真空包装は、真空包装装置のチャンバー内に被包装物が収納された包装袋を装填し、チャンバー内を減圧して包装袋内を脱気し、この状態で包装袋の被包装物投入口をシール用ヒータなどにより封止して行われる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明が解決しようとする課題は、利便性の高い真空包装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の真空包装装置は、被包装物が収納された包装袋を収容可能な内部空間を有するチャンバーと、前記内部空間を減圧するポンプとを有し、前記内部空間を減圧することにより前記被包装物を真空包装する真空包装装置であって、前記被包装物の真空包装条件を設定操作するための操作パネルと、前記操作パネルを視認不能に被覆する被覆部材とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態に係る閉塞状態にある真空包装装置を示す斜視図である。
【
図2】第1の実施形態に係る閉塞状態にある真空包装装置を示す左側面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る開放状態にある真空包装装置を示す斜視図である。
【
図4】第1の実施形態に係る開放状態にある真空包装装置を示す右側面図である。
【
図5】第1の実施形態に係る真空包装装置の内部構成を示す模式図である。
【
図6】被包装物が真空包装された状態にある真空包装装置の内部構成を示す模式図である。
【
図7】第1の実施形態に係る真空包装装置の制御機構を示すブロック図である。
【
図8】第1の実施形態に係る真空包装装置の動作を示すフローチャートである。
【
図9】変形例に係る真空包装装置の構成を示す模式図である。
【
図10】第2の実施形態に係る開放状態にある真空包装装置を示す斜視図である。
【
図11】第2の実施形態に係る保持具及び咬み込み防止具が設けられた封止装置を示す正面図である。
【
図12】第2の実施形態に係る保持具及び咬み込み防止具が設けられた封止装置を示す平面図である。
【
図13】第2の実施形態に係る保持具及び咬み込み防止具が設けられた封止装置を示す右側面図である。
【
図14】第2の実施形態に係る咬み込み防止具の正面図である。
【
図15】第2の実施形態に係る咬み込み防止具の封止装置からの分離を説明するため図である。
【
図16】第2の実施形態に係る咬み込み防止具の使用方法を説明するための図である。
【
図17】第2の実施形態に係る咬み込み防止具の使用方法を説明するための図である。
【
図18】変形例に係るに咬み込み防止具の正面図である。
【
図19】別の変形例に係る咬み込み防止具の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。本実施形態においては、衣類やタオル等の織物やニット等の編物である洗濯物(繊維製品)を被包装物とし、これを真空包装用のビニール袋等の包装袋に収納した状態において真空包装を行う真空包装装置を例にとり説明を行う。
【0008】
<第1の実施形態>
(装置構成)
本実施形態に係る真空包装装置の構成について、
図1~
図5を用いて説明する。
図1及び
図2は、本実施形態に係る閉塞状態にある真空包装装置を示す斜視図、左側面図である。
図3及び
図4は、本実施形態に係る開放状態にある真空包装装置を示す斜視図、右側面図である。
図5は、本実施形態に係る真空包装装置の内部構成を示す模式図である。なお、
図5には右側面からみた真空包装装置の内部構成が模式的に示されており、説明上、チャンバーの蓋部が図示されていない。また、
図5においては、被包装物Aを収納する包装袋Bがチャンバーにセットされた状態が示されている。
【0009】
図1~
図3に示されるように、本実施形態に係る真空包装装置10は、上面に包装袋を載置可能な本体部20a及び当該本体部20a上面を上方から閉塞する蓋部20bからなるチャンバー20と、本体部20a及び蓋部20bを開閉可能に連結するヒンジ機構30と、被包装物を収納する包装袋の開口部(被包装物の投入口)を封止する封止装置40とを備える。本実施形態においては、ヒンジ機構30側を真空包装装置10の背面側、その逆方を正面側とし、当該正面側に対向するように使用者が位置して真空包装装置10を使用するものとする。
【0010】
チャンバー20は、本体部20a上面を蓋部20bが閉塞した
図1に示される閉塞状態において、本体部20a上面と蓋部20bとの間に気密な内部空間を画成する耐圧容器である。本体部20aの右側外壁には、左右方向を向く不図示の支軸周りに回動可能な留め具210が設けられている。一方、蓋部20bには、留め具210上方に突起211が設けられている。留め具210を回動させると、留め具210内方に形成された溝部に突起211を嵌合させることができ、これにより本体部20aに対して蓋部20bを開放不能に固定することができ、真空包装装置10の持ち運び時の不要な蓋部20bの開放を防止することができる。
【0011】
本体部20aの正面側外壁面には、真空ポンプ60(
図5参照)により、内部空間が減圧されている状態において、真空ポンプ60の作動を停止させる停止スイッチ220が設けられている。停止スイッチ220が押下された場合、後に詳述する真空ポンプ60の作動(真空引き)が停止すると共に、内部空間の減圧が解除され、内部空間が大気圧に戻ることとなる。本実施形態においては、本体部20aの正面側には、停止スイッチ220のみが設けられており、真空包装装置10を操作する操作パネル等は設けられていない。
【0012】
一方、
図2に示されるように、本体部20aの左側外壁に操作パネル230が設けられている。操作パネル230には、真空包装装置10の電源ON/OFFを切り替える電源スイッチ231(
図7参照)、真空ポンプ60による真空条件(減圧待機時間や真空度等)、封止装置40による封止条件(ヒートシール温度やヒートシール時間、シール冷却時間等)を設定可能な設定スイッチ232(
図7参照)、設定スイッチ232により設定変更された設定値を表示可能な例えば7セグメントディスプレイ等の表示器233(
図7参照)が設けられている。上述した真空条件や封止条件を真空包装条件と称して以後説明する。
【0013】
本実施形態においては、被包装物が洗濯物であるため、例えば被包装物の体積を90%程度減少させるといった過度に高い真空度が設定されると、被包装物は容易に折り曲がらない固い状態となる。このような固い被包装物は、スーツケース等に収納する際、折り曲げる等して隙間に収納するといった扱いが困難となる。したがって本実施形態においては、真空包装条件として、真空包装された状態においても被包装物が固くならずに柔らかい状態を保つことができる凡そ70%~80%程度体積を減少可能な値に真空度が予め設定されていることが好ましい。
【0014】
本実施形態においては、真空包装装置10の使用者が容易に操作パネル230を操作できないよう、矩形板状のパネルカバー234により操作パネル230が外部から視認不能に閉塞されている。パネルカバー234は、操作パネル230または本体部20aに対して着脱自在に構成されており、本実施形態においてはパネルカバー234の四隅に配されたビス等の締結部材により、操作パネル230または本体部20aに対して固定されている。なお、パネルカバー234は、これに限定するものではなく、固有のカギで施錠または解錠可能なもの等、真空包装装置10の使用者が容易に取り外しできないよう構成することが好ましい。
【0015】
図3及び
図4に示されるように、本体部20aの上面には、包装袋を載置可能な平面状に形成されたテーブル240と、テーブル240の周囲に形成されて上面がテーブル240より下方に位置する環状の蓋当接部241と、ガイドプレート242とが形成されている。テーブル240は封止装置40よりも下方に位置しており、包装袋Bは封止装置40からテーブル240にかけて配置されることとなる。ガイドプレート242は、正面側から背面側にかけて漸次下方に傾斜するよう形成されており、これにより
図5に示されるように封止装置40から高低差のあるテーブル240にかけて配置される包装袋Bに過度な屈曲が生じることを防止している。
【0016】
また、テーブル240の上面には真空ポンプ60に接続された吸引口243が穿設されており、真空ポンプ60が作動するとチャンバー20の内部空間内の空気が吸引口243から吸引されて、内部空間が減圧されるように構成されている。
【0017】
図3及び
図4に示されるように、蓋部20bは、ヒンジ機構30により上下方向に回動可能であり、閉塞時に本体部20aの蓋当接部241と当接する部分にシール材250を設けて、チャンバー20内の気密性を維持できるように構成されている。また、蓋部20bの下面には、
図5に示されるように封止装置40の一部を形成する上側閉成ブロック410bが設けられている。
【0018】
なお、蓋部20bは、閉塞状態において上方に回動するように付勢、即ち閉塞状態を解除して僅かに又は完全に開放状態となるように付勢されることが好ましい。閉塞状態においてこのような付勢力を蓋部20bに付与することにより、チャンバー20の内部空間の減圧が解除され大気圧に戻った後、自動に蓋部20bを開放状態とすることができる。このような付勢力の蓋部20bへの付与は、バネ等の弾性体を付勢部材として用い、これをヒンジ機構30または本体部20aと蓋部20bとの間に設ける等して実現すればよい。
【0019】
ヒンジ機構30は、真空包装装置10の背面側においてチャンバー20の本体部20aと蓋部20bとを回動可能に連結する。ヒンジ機構30には、開閉センサ310(
図7参照)が設けられている。開閉センサ310は、蓋部20bが閉塞された際にこれを検知し、検知信号を
図5に示される制御装置50に送信する。このような開閉センサ310は、例えば蓋部20bの閉塞に応じて押下されることをトリガとして検知信号を送信するリミットスイッチにより実現することができる。なお、これに限定するものではなく、他の接触式のセンサや、磁気式の近接センサといった非接触式のセンサ等を用いてもよい。
【0020】
図3~
図5に示されるように、封止装置40は、本体部20a側に昇降可能な状態で設けられた横長角材状の下側閉成ブロック410aと、蓋部20bの下面側に固定された同じく横長角材状の上側閉成ブロック410bとが、蓋部20bの閉塞状態において対向するように設けられている。包装袋Bをチャンバー20にセットする際は、本体部20aの上面に設けられている下側閉成ブロック410aに包装袋Bの開口部が載置され、被包装物Aが収納されている包装袋Bの収納部分が本体部20aのテーブル240に載置される。なお、下側閉成ブロック410aと上側閉成ブロック410bとの対向面は、同じ幅を有する構成でよい。
【0021】
包装袋Bがチャンバー20内にセットされ、真空ポンプ60によりチャンバー20の内部空間が減圧されて包装袋Bの内部の空気が脱気されると、下側閉成ブロック410aは、閉成用シリンダ70の駆動により上向きに上昇することができ、各ブロックが圧接することとなる。これにより下側閉成ブロック410aと上側閉成ブロック410bとの間に包装袋Bの開口部が挟持される。下側閉成ブロック410aの上面にはシール用ヒータ420(
図7参照)が内蔵されており、包装袋Bが挟持された状態においてシール用ヒータ420に通電されると、包装袋Bは、その開口部が閉成した状態で加熱圧着、即ち熱溶着されて封止(ヒートシール)される。
図6は、包装袋B内の空気が脱気され、下側閉成ブロック410aと上側閉成ブロック410bとにより包装袋Bの開口部が挟持、ヒートシールされて被包装物Aが真空包装された状態にある真空包装装置10が示されている。
【0022】
(内部構成)
次に、真空包装装置10の内部構成について、
図5及び
図6を用いて説明する。
図5及び
図6に示されるように、真空包装装置10は、制御装置50と、真空ポンプ(VP)60と、閉成用シリンダ70とを備える。真空ポンプ60とチャンバー20の吸引口243とは、吸気流路601により接続されており、吸気流路601の途中には、真空ポンプ60とチャンバー20との連通を許容したり、解除したりする真空電磁弁610が設けられている。また、吸気流路601の吸引口243と真空電磁弁610との間には、真空開放分岐流路602を介して真空開放電磁弁620が設けられている。この真空開放電磁弁620を開放して、チャンバー20の内部空間を減圧状態から大気圧に戻せる(大気開放できる)ように構成されている。
【0023】
閉成用シリンダ70は、下側閉成ブロック410aを昇降させるものであり、この閉成用シリンダ70と真空ポンプ60との間の閉成駆動流路603には、三方弁で構成された閉成用電磁弁630が設けられている。閉成用電磁弁630は、3つの接続弁の開閉制御により、閉成用シリンダ70と真空ポンプ60との連通を許容、解除する動作と、大気中への開放制御する動作に使用される。
【0024】
次に、上述した制御装置50による真空包装装置10の制御機構について、
図7を用いて説明する。
図7は、本実施形態に係る真空包装装置の制御機構を示すブロック図である。
【0025】
図7に示されるように、制御装置50は、真空包装装置10の制御を行うCPU(Central Processing Unit)501と、CPU501の作業領域として使用されるメモリを含み、真空包装装置10の各種プログラムや各種真空包装条件の設定値(減圧待機時間、真空度、ヒートシール温度、ヒートシール時間、シール冷却時間等)を格納する記憶装置502と、各信号の入出力処理を行うIF(InterFace)回路503等を備える。
【0026】
制御装置50は、停止スイッチ220と、操作パネル230に設けられた電源スイッチ231、設定スイッチ232、及び表示器233と、開閉センサ310と、シール用ヒータ420と、真空ポンプ60と、真空電磁弁610と、真空開放電磁弁620と、閉成用電磁弁630と、各種報知音を発する報知機810と、チャンバー60の内部空間の気圧を検出する気圧検出センサ820とに、IF回路503を介して各装置からの信号を入力及び/又は各装置を作動制御するための制御信号を出力可能に接続されている。
【0027】
(装置動作)
次に、本実施形態に係る真空包装装置10の動作について、
図8を用いて説明する。
図8は、本実施形態に係る真空包装装置の動作を示すフローチャートである。なお、本フローでは、予め真空包装装置10の管理者により操作パネル230の電源スイッチ231がONに切り替えられ、設定スイッチ232により各種真空包装条件が所定の設定値に設定されているものとする。また、電源ONの初期状態では、真空包装装置10は蓋部20bが開けられた
図3に示される開放状態となっているものとする。
【0028】
先ず、使用者は、開放状態にある真空包装装置10の本体部20aのテーブル240上に、被包装物Aが収納された包装袋Bを載置する。この時、包装袋Bの開口部を下側閉成ブロック410a上に一直線状に載せると良い。包装袋Bの載置後、使用者は蓋部20bを閉じる。
【0029】
図8に示されるように、電源ONに切り替えられた後、制御装置50は開閉センサ310からの検知信号を受信したか否かを判定しており(S101)、使用者により蓋部20bが閉じられると、開閉センサ310から検知信号が制御装置50に送信される。制御装置50は、検知信号を受信すると、開閉センサ310からの検知信号を受信したと判定し(S101,YES)、減圧工程に移行する。
【0030】
一方、蓋部20b閉じられず、開放状態が維持されている最中は、開閉センサ310からの検知信号が送信されない。そのため制御装置50は、開閉センサ310からの検知信号を受信していないと判定し(S101,NO)、ステップS101の判定処理が継続して行われる。
【0031】
減圧工程では、制御装置50は真空ポンプ60を作動させ、チャンバー20の内部空間の減圧を開始する(S102)。具体的には、制御装置50はチャンバー20と真空ポンプ60との間の真空電磁弁610を開状態にするとともに、真空開放電磁弁620及び閉成用電磁弁630を閉状態にする。また、制御装置50は、各電磁弁の開閉制御と同時に真空ポンプ60を作動させてチャンバー20の内部空間の減圧を開始し、包装袋B内の脱気を行う。なお、この時、閉成用シリンダ70は大気に開放、即ち閉成用電磁弁630の大気側弁が開放されており、シリンダ内部は減圧されない。
【0032】
真空ポンプ60の作動後、制御装置50はチャンバー20の内部空間の気圧が予め設定された所定の圧力(真空度)まで減圧されたか否かを判定する(S103)。この判定は、制御装置50が気圧検出センサ820の気圧検知結果を示す信号を受信し、当該信号に示される気圧が予め設定された真空度に対応する所定の圧力以下となったか否かにより判定する。チャンバー20の内部空間が所定の圧力まで減圧されていない場合(S103,NO)、制御装置50は真空ポンプ60の作動及び真空電磁弁610の開放を維持して、ステップS103の判定処理が再度行われる。
【0033】
チャンバー20の内部空間が予め設定された所定の圧力まで減圧された場合(S103,YES)、封止工程に移行する。封止工程では、制御装置50は、減圧開始時に開いた真空電磁弁610を閉状態とし(S104)、チャンバー20の内部空間の減圧状態を維持させ、予め設定された減圧待機時間(例えば3分~5分)経過するまで待機する(S105)。真空電磁弁610を閉じてから予め設定された減圧待機時間経過後、制御装置50は、下側閉成ブロック410aを上方に持上げて、上側閉成ブロック410bに下側閉成ブロック410aを押圧することにより、包装袋Bの開口部を閉成する(S106)。具体的には、制御装置50は閉成用電磁弁170の2方向を開状態(大気側は閉状態)にし、これにより閉成用シリンダ70内の空気が真空ポンプ60により脱気される。当該脱気により、閉成用シリンダ70に接続されている下側閉成ブロック410aを上方に持上げて、上側閉成ブロック410bに下側閉成ブロック410aを押圧させることができる。
【0034】
閉成後、制御装置50は、シール用ヒータ420を通電して、真空状態の包装袋Bの開口部が閉成した状態で予め設定されたヒートシール時間経過するまで加熱圧着し、包装袋Bの開口部を封止する(S107)。なお、ヒートシール時間は包装袋Bの素材の種類に応じて適宜設定されることが好ましい。封止後、制御装置50は、シール用ヒータ420の通電を停止し、封止装置40による包装袋Bの挟持状態を維持した状態で、予め設定されたシール冷却時間が経過するまで待機する(S108)。
【0035】
シール冷却時間の経過後、制御装置50は、チャンバー20内および閉成用シリンダ70内を大気に開放する(S109)。具体的には、制御装置50は、真空電磁弁610の閉状態を維持すると共に、真空ポンプ60の動作を停止する。一方、真空開放電磁弁620を閉状態から開状態にする。これにより、真空開放電磁弁620からの空気がチャンバー20の内部空間に導かれ、当該空間内が大気に開放される。真空開放電磁弁620の開放と同時に、制御装置50は、閉成用電磁弁630の大気側弁と閉成用シリンダ70側の弁とを開状態にする。これにより、閉成用電磁弁630からの空気が閉成用シリンダ70内に導かれ、閉成用シリンダ70内が大気に開放される。よって、閉成用シリンダ70に接続されている下側閉成ブロック410aが下降して、上側閉成ブロック410bと下側閉成ブロック410aとによる包装袋Bの挟持状態が解除される。
【0036】
大気開放後、制御装置50が報知機810により、例えばブザーを鳴らす等して真空包装が完了したことを報知し(S110)、再度ステップS101の判定処理が行われる。なお、蓋部20bは、上述した付勢部材により自動に僅かに開く又は開放状態となり、使用者は真空包装された被包装物Aを取り出すことができる。
【0037】
なお、ステップS102の真空ポンプ60の作動処理からステップS107の包装袋Bの封止処理までの間に停止スイッチ220が操作された場合、ステップS109の大気開放の処理とステップS110の真空包装終了を報知する処理とが実行されることとなる。この時、制御装置50は、真空電磁弁610が開状態であればこれを閉状態とし、シール用ヒータ420に通電中であれば通電を停止する。
【0038】
以上に説明した本実施形態によれば、操作パネル230がパネルカバー234により視認不能に覆われているため、使用者が操作パネル230を誤って操作してしまうことや、操作パネル230が視認されることで使用者が操作パネル230の操作が必要であると誤認し真空包装装置10の使用を不便に感じるといった事態を避けることができ、直感的な使用が可能であるため、利便性の向上が見込める。また、チャンバー20内に包装袋Bをセットし、蓋部20bを閉めることでチャンバー20の内部空間の減圧が開始されるため、操作が極めて簡単であり、真空包装装置10に不慣れな使用者でも適切に使用することができる。
【0039】
また、真空包装装置10の正面側には停止スイッチ220が設けられているため、チャンバー20の内部空間の減圧がなされている最中に、包装袋Bに収納された被包装物Aの入れ間違えるまたは入れ忘れが生じた場合、即座に内部空間の減圧を解除し大気に開放させることができる。
【0040】
このような真空包装装置10は、被包装物Aを真空包装することにより、被包装物の種類や入れ方、真空度等により違いがあるものの、凡そ体積を70%~80%程度コンパクトにすることができる。そのため、例えばホテルといった宿泊施設のフロントやロビー、ランドリールーム等に真空包装装置10を設置すれば、宿泊客は荷物として嵩張る洗濯物を簡単に真空包装でき、スペースをとることなく鞄やスーツケース等の収納具に収納することができて極めて有用である。また、繊維製品である被包装物Aに対し、その体積を凡そ70%~80%程度減少させるという緩い体積圧縮が可能な真空度で真空包装する本実施形態によれば、被包装物Aを容易に折り曲げ可能且つ適度にコンパクトな状態とすることができ、収納具の収納スペースを有効利用することができる。このような真空度は予め設定されているため、使用者は真空包装条件を適宜設定する必要はない。
【0041】
また、本実施形態においては、チャンバー20の内部空間を減圧してから真空電磁弁610を閉じた後、減圧待機時間経過するまで待機し、その後に封止工程に移行している。このように減圧待機時間経過するまで待機することにより、急激に包装袋B内を脱気する場合と比較して、被包装物A及び包装袋Bのヨレやシワを低減させることが可能となる。
【0042】
また、
図9に示されるように、包装袋Bの収納部分の上に当該収納部分を覆う方形状のプレス板90を載せて真空包装を行うようにしてもよい。プレス板90を用いることにより、包装袋Bの収納部分がプレス板90の自重により適度に押圧された状態で包装袋B内が脱気され被包装物Aが圧縮されることとなる。これにより被包装物Aがプレス板90に馴染み、被包装物A自体のヨレやシワ、折り畳み時の折り目等による上面の凹凸が抑えられて被包装物Aを平らにすることができるため、真空包装された被包装物Aは綺麗な仕上がりとなる。これは上述した減圧待機時間経過するまで待機することで、被包装物Aがプレス板90に馴染む時間を長くとることができるため、より一層高い効果を得ることができる。プレス板90のセット手順は、先ずテーブル240上に載置してあるプレス板90を取り除き、チャンバー20に包装袋Bをセットした後、蓋部20bの閉塞に先立って包装袋Bの収納部分の上にプレス板90を載置させればよいため簡単である。
【0043】
また、テーブル240の上面から蓋部20bの裏面までの離間距離を短く構成(例えば15~20cm等)するようにしてもよい。このようにすることにより、複数及び/又はタオル等の厚手の被包装物を折り畳む等して、被包装物Aの高さを上記離間距離以上の高さとさせれば、蓋部20bの閉塞と同時に被包装物Aを蓋部20bにより上から押圧することができる。そのため、蓋部20bにプレス板90の機能を持たせることができ、プレス板90をセットする手間を省くことができる。
【0044】
なお、本実施形態においては、シール用ヒータ420を用いて熱溶着可能な包装袋Bを封止したが、これに限定するものではない。例えば開口部にジップが付いた熱溶着不能な包装袋であっても封止できる。この場合、封止工程においては、下側閉成ブロック410aを上方に持上げて、上側閉成ブロック410bに下側閉成ブロック410aを押圧することにより、包装袋のジップを狭圧する形で結合させればよい。なお、このジップ付の包装袋を用いる場合は、シール用ヒータ420を用いなくてもよいため、シール用ヒータ420の通電経路を切断する、または制御装置50がシール用ヒータ420に対する制御信号を送信しない、等することが好ましい。その他、逆止弁付きの包装袋を用いてもよい。この場合、包装袋の開口部を封止装置40に載置する必要がないため、包装袋全体をテーブル240に載置するのみでよい。なお、この逆止弁付きの包装袋を用いる場合は、封止装置40を用いなくてもよいため、シール用ヒータ420及び閉成用電磁弁630の通電経路を切断する、制御装置50がシール用ヒータ420及び閉成用電磁弁630に対する制御信号を送信しない、等することが好ましい。
【0045】
<第2の実施形態>
第2の実施形態では、包装袋Bの開口部を下側閉成ブロック410a上に載せる際に、包装袋Bに収納された被包装物Aが下側閉成ブロック410a上に位置してしまうことを防止可能な真空包装装置について説明する。
【0046】
図10は、本実施形態に係る真空包装装置を示す斜視図である。
図10に示されるように本実施形態に係る真空包装装置10Aは、第1の実施形態に係る真空包装装置10と比較して、封止装置40に保持具430及び咬み込み防止具440が設けられ、ガイドプレート242が排除されている点で異なる。
【0047】
(保持具430)
先ず、保持具430について説明する。
図11~
図13は、それぞれ本実施形態に係る保持具及び咬み込み防止具が設けられた封止装置を示す正面図、平面図、右側面図である。
図11~
図13に示されるように、保持具430は、下側閉成ブロック410aの正面側外壁面に取り付けられ、封止装置40の延在方向である左右方向に沿って延在する側面視L字状をなすプレート部材である。保持具430は、左右方向において封止装置40よりも短く形成されており、垂直プレート部431と、前後方向後端部が垂直プレート部431の上端部と連結された水平プレート部432とを有する。なお、本実施形態においては、垂直プレート部431と水平プレート部432とが一体的に形成されている。
【0048】
垂直プレート部431は、略垂直方向及び左右方向に延在し、左右方向に長尺に形成された矩形の平板部材であり、ネジ等の締結部材Cが挿通可能な不図示の挿通孔が形成されている。正面側から締結部材Cを当該挿通孔に通すと共に、下側閉成ブロック410aの正面側外壁面に形成された不図示のネジ孔に螺合させることにより、保持具430を下側閉成ブロック410aに着脱自在に取り付けることができる。
【0049】
水平プレート部432は、略水平(前後方向及び左右方向)に延在し、左右方向に長尺に形成された矩形の平板部材であり、その上面は、粘着面433となっている。下側閉成ブロック410a上に包装袋Bの開口部を載置する際、当該開口部を粘着面433上に到達させて貼り付けることにより、水平プレート部432は、包装袋Bの開口部を移動不能に保持することができる。なお、接着面433は、例えば包装袋Bの開口部を容易に引きはがせるような適度な接着性を有することが好ましい。そのような接着面433は、例えば水平プレート部432の上面にゲルテープを貼り付けることにより実現することができる。
【0050】
以上のように構成された保持具430によれば、包装袋Bの開口部の下側閉成ブロック410a上への載置後に使用者が蓋部20bを閉じる際、包装袋Bの開口部が下側閉成ブロック410aからズレる等の事態を防止することが可能となる。
【0051】
(咬み込み防止具440)
図14は本実施形態に係る咬み込み防止具の正面図であり、
図15はその分解図である。
図11~
図14に示されるように、咬み込み防止具440は、下側閉成ブロック410aの背面側外壁面に取り付けられ、封止装置40の延在方向である左右方向に沿って延在する側面視クランク状をなすプレート部材であり、左右方向において封止装置40よりも僅かに短く形成され、本実施形態においては保持具430より長い。咬み込み防止具440は、垂直プレート部441と、前後方向前端部が垂直プレート部441の上端部に連結された水平プレート部442と、下端部が水平プレート部442の前後方向後端部に連結された規制プレート部443とを有する。なお、本実施形態においては、垂直プレート部441と水平プレート部442と規制プレート443とが一体的に形成されている。
【0052】
垂直プレート部441は、略垂直方向及び左右方向に延在し、左右方向に長尺に形成された矩形の平板部材であり、
図14に示されるようにネジ等の締結部材Cが挿通可能な挿通孔441aが形成されている。
図15に示されるように、背面側から締結部材Cを挿通孔441aに通すと共に、下側閉成ブロック410aの背面壁部に形成された不図示のネジ孔に螺合させることにより、咬み込み防止具440を下側閉成ブロック410aに着脱自在に取り付けることができる。この締結部材Cが螺合する下側閉成ブロック410aの不図示のネジ孔は、第1の実施形態に係るガイドプレート242を締結部材Cにより下側閉成ブロック410aに取り付けるためのネジ孔としても流用可能であり、適宜ガイドプレート242と咬み込み防止具440とを交換することができる。なお、挿通孔441aを上下方向に延びる長穴として形成することにより、咬み込み防止具440を下側閉成ブロック410aに対して上下方向に相対移動可能としてもよい。
【0053】
水平プレート部442は、略水平に延在し、左右方向に長尺に形成された矩形の平板部材である。この水平プレート部442の前後方向幅分、下側閉成ブロック410aと規制プレート部443とが離間されている。
【0054】
規制プレート部443は、封止装置40の近傍、具体的には水平プレート部442の前後方向幅分離間して位置付けられており、包装袋Bの開口部が下側閉成ブロック410a上に載置された状態において、包装袋Bに収納された被包装物Aの包装袋Bの開口部側、即ち封止装置40側への移動を規制する。規制プレート部443は、
図14に示されるように、水平プレート部442の前後方向後端部と連結された下方プレート部443aと、下方プレート部443aの上方に位置する上方プレート部443bとを有する。上方プレート部443bは、下方プレート部443aと所定距離(例えば15mm程度)離間するように配置されており、左右方向右側端部のみが連結部443cを介して下方プレート部443aに連結され支持されている。この下方プレート部443aと上方プレート部443bとの離間により、それらの間に間隙部444が画成される。
【0055】
間隙部444は、下方プレート部443aと上方プレート部443bとが互いの左右方向右側端部でのみ連結され、左右方向左側では連結されていないため、左右方向に延在すると共に左方向が切り欠かれた、所謂スリット状の切り欠きとして形成される。間隙部444の上下方向幅、換言すれば下方プレート部443aと上方プレート部443bとの離間距離は、包装袋Bの開口部やその近傍部分の通過を許容し、包装袋Bに収納された被包装物Aの通過を規制可能な程度の長さに形成されており、例えばこのような長さは15mm程度である。
【0056】
図16に示されるように、包装袋Bの開口部B1が下側閉成ブロック410a上に載置された状態において、包装袋Bの開口部B1と、包装袋Bの被包装物Aを収納する収納部分B2との間に位置する首部分B3が間隙部444に挿通されることにより、被包装物Aが封止装置40側に移動したとしても、下方及び上方プレート部443a,443bが、それぞれ包装袋Bを介して被包装物Aに当接することとなる。このことから規制プレート部443は、包装袋Bの開口部B1及び首部分B3の通過を許容し、包装袋Bに収納された被包装物Aの通過、即ち封止装置40側への移動を規制することができる。なお、
図16においては、説明上被包装物A及び咬み込み防止具440のみが断面で示されている。また、間隙部444の上下方向幅は15mmに限定するものではなく、包装袋Bの首部分B3の間隙部444への挿通作業に支障が出ない程度短く形成してもよく、例えば水平プレート部442の前後方向幅の増大に応じる等してより長く形成してもよい。
【0057】
間隙部444の下縁内周面、即ち下方プレート部443aの上端面は、下側閉成ブロック410aの上面と面一以下、つまり面一または下側閉成ブロック410aの上面より下方に位置するように形成することが好ましい。当該上端面が下側閉成ブロック410aの上面と面一以下であれば、下側閉成ブロック410aに包装袋Bの開口部を載置した際、封止装置40からテーブル240にかけて配置される包装袋Bに過度な屈曲が生じることはない。
【0058】
なお、上方プレート部443bの上端部には、前後方向後方に突出するリブが補強目的で設けられており、このリブにより上方プレート部443bの前後方向への湾曲を防止している。上方プレート部443bは、上記リブを含めて側面視L字状に形成されているが、角柱状や円柱状に形成されていてもよい。
【0059】
規制プレート部443は、上述したように水平プレート部442の前後方向幅分、下側閉成ブロック410aと離間している。この離間によれば、もし被包装物Aの一部が間隙部444を一部通過したとしても、当該通過した被包装物Aの一部が下側閉成ブロック410aに到達することを防止することができる。この離間距離(水平プレート部442の前後方向幅)は、通過した被包装物Aの一部が下側閉成ブロック410aに到達しない距離として適宜設定すればよく、間隙部444の上下方向幅に応じて増減させてもよい。例えば作業性を考慮せずに間隙部444の上下方向幅を数ミリとすれば、規制プレート443を封止装置40の背面側外壁面に取り付けてもよい。一例としては、下側閉成ブロック410a上のシール用ヒータ420から規制プレート部443(間隙部444)までの距離W(
図12参照)が25mm以上となるように、離間距離を設定することが挙げられる。シール用ヒータ420から規制プレート部443までの距離を25mm程度としておけば、間隙部444を被包装物Aの一部が過度に通過した場合であっても、まずシール用ヒータ420にまで到達することはない。
【0060】
以上のように構成された咬み込み防止具440によれば、間隙部444を有する規制プレート部443により包装袋Bの開口部B1及び首部分B3の通過を許容し、収納部分B2に収納された被包装物Aの通過を規制することができる。そのため、包装袋Bの収納された被包装物Aにおける、下側及び上側閉成ブロック410a,410bへの咬み込み、延いてはシール用ヒータ420への咬み込みを防止することができる。また、
図17に示されるように、使用者は咬み込み防止具440の左右方向左側に包装袋Bを位置付け、その後に間隙部444に向けて包装袋Bの首部分B3を右方向にスライドさせるのみで包装袋Bの首部分B3を間隙部444内に位置付けることができるため、手間がかからず便利である。
【0061】
なお、本実施形態においては上方プレート部443bの左右方向長さは、下方プレート部443aより短く形成されている。これは間隙部444内への包装袋Bの位置付けをする上で、包装袋Bが封止装置40の略中央に位置付けられることから、スライドの手間を考慮してのことである。この上方プレート部443bは、左右方向に伸縮自在に構成してもよく、例えば連結部443cを上下方向に伸縮自在に構成する等して上下方向に移動可能に構成してもよい。
【0062】
また、上方プレート部443bは、
図18に示されるように、左右方向において下方プレート部443aと同様の長さに形成し、左右方向両端部において連結部443cにより下方プレート部443aと連結する上方プレート部443dとしてもよい。この場合、間隙部444に代わり、全周に亘って縁部が形成された長穴である間隙部444dが形成される。このような上方プレート部443dを有する咬み込み防止具440Aにおいて、包装袋Bの開口部B1を下側閉成ブロック410a上に載置する場合は、規制プレート443の背面側から包装袋Bの開口部B1及び首部分B3を間隙部444dに挿通すればよい。
【0063】
また、
図19に示されるように、前述した上方プレート部443dに間隙部44dに繋がる切れ込み443eを入れてもよい。切れ込み443eが形成されることにより、切れ込み443eに包装袋Bの首部分B3を上方から押し込むように挿通させるのみで、包装袋Bの首部分B3を間隙部443d内に位置付けることができる。したがって、このような切れ込み443eを有する咬み込み防止具440Bは、切れ込み443eがない咬み込み防止具440Aと比較して、簡単に包装袋Bの首部分B3を間隙部443c内に位置させることができ、作業性の向上を図れる。
【0064】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
10 真空包装装置
20 チャンバー
20a 本体部
20b 蓋部
220 停止スイッチ
230 操作パネル
234 パネルカバー(被覆部材)
310 開閉センサ(検知部)
40 封止装置(封止部)
440 咬み込み防止具(規制部、規制部材)
443 規制プレート部(規制部、規制部材)
443a 下方プレート部(第2離間部材)
443b,443d 上方プレート部(第1離間部材)
443e 切れ込み
444,444d 間隙部
50 制御装置(第1作動制御部、第2作動制御部)
60 真空ポンプ
820 気圧検出センサ
A 被包装物(繊維製品)
B 包装袋
B1 開口部
B2 収納部分
B3 首部分