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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053866
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】支持金具および支持構造
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/16 20060101AFI20230406BHJP
   E04D 13/00 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
E04H9/16 J
E04D13/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021194296
(22)【出願日】2021-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2021162827
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】300032640
【氏名又は名称】株式会社日下部
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100150968
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 悠有子
(72)【発明者】
【氏名】日下部 安則
(72)【発明者】
【氏名】谷井 満
【テーマコード(参考)】
2E139
【Fターム(参考)】
2E139AA03
2E139DA03
2E139DB04
2E139DB16
(57)【要約】
【課題】施工性に優れた支持金具を提供する。
【解決手段】唐草2と唐草2を覆う屋根材3とが配置される軒先6を有する屋根において、軒先6の鉛直下方向に面する下面と対向するように線状ヒーター5を屋根の桁方向に沿って支持するための支持金具20である。唐草2に支持金具20を固定する固定部21と、線状ヒーター5を屋根材3および唐草2の少なくとも一方と熱的に接続するように支持するヒーター支持部25と、を有する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
唐草と前記唐草を覆う屋根材とが配置される軒先を有する屋根において、前記軒先の鉛直下方向に面する下面と対向するように線状ヒーターを前記屋根の桁方向に沿って支持するための支持金具であって、
前記唐草に前記支持金具を固定する固定部と、
前記線状ヒーターを前記屋根材および前記唐草の少なくとも一方と熱的に接続するように支持するヒーター支持部と、を備える支持金具。
【請求項2】
前記固定部は、前記唐草の略鉛直方向に沿う面に沿って固定手段を用いて前記唐草に固定される、請求項1記載の支持金具。
【請求項3】
前記固定部は、前記唐草の前記軒先を形成する鉛直上下方向に面する上下面を挟み込むことにより前記唐草に前記支持金具を固定する一対のクリップ面を有するクリップ形状を有する、請求項1記載の支持金具。
【請求項4】
唐草と前記唐草を覆う屋根材とが配置される軒先を有する屋根において、前記軒先の鉛直下方向に面する下面と対向するように線状ヒーターを前記屋根の桁方向に沿って支持金具で支持する支持構造であって、
前記支持金具は、
前記唐草に前記支持金具を固定する固定部と、
前記線状ヒーターを前記屋根材および前記唐草の少なくとも一方と熱的に接続するように支持するヒーター支持部と、を有し、
前記支持金具は、前記桁方向に沿って複数配置され、
前記線状ヒーターは、前記複数の前記支持金具に断続的に支持される、支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属屋根材の軒先に線状ヒーターを支持する支持金具および支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、野地板の軒先上下面に融雪ヒーターを配置することにより、つららの発生を抑える構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4-30665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1をはじめとする、軒先における融雪を意図した技術においては、屋根への取付性については、十分考慮されていなかった。このため、融雪のための構造を取り付ける作業を行える者が限られたり、屋根材に融雪のための構造を取り付けることに対する障壁が大きかったりした。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、施工性に優れた支持金具および支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る支持金具は、上述した課題を解決するために、唐草と前記唐草を覆う屋根材とが配置される軒先を有する屋根において、前記軒先の鉛直下方向に面する下面と対向するように線状ヒーターを前記屋根の桁方向に沿って支持するための支持金具であって、前記唐草に前記支持金具を固定する固定部と、前記線状ヒーターを前記屋根材および前記唐草の少なくとも一方と熱的に接続するように支持するヒーター支持部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る支持金具および支持構造においては、施工性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態における支持金具が唐草に固定された支持構造を示す説明図。
図2】唐草に固定された支持金具を特に示す図。
図3】支持金具の斜視図。
図4】線状ヒーターをヒーター支持部に配置する際の様子を示す説明図。
図5】ヒーター受けレールを使用して線状ヒーターがヒーター支持部に収容された使用時の状態を示す図。
図6】ヒーター受けレールを示す斜視図。
図7】第二実施形態における支持金具が唐草に固定された支持構造を示す図。
図8】支持金具の斜視図。
図9】線状ヒーターがヒーター支持部に収容された使用時の状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る支持金具および支持構造の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0010】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態における支持金具20が唐草2に固定された支持構造10を示す説明図である。
図2は、唐草2に固定された支持金具20を特に示す図である。
図3は、支持金具20の斜視図である。
【0011】
以下の説明においては、屋根1の傾斜方向(棟から軒先6方向)を梁方向といい、屋根1の梁方向に直交する軒先6が形成される方向を桁方向という(図4)。また、図4、5および9における上下方向を、鉛直上下方向として定義し、この鉛直上下方向を単に上下方向という場合がある。
【0012】
屋根1には、横葺きの金属屋根材3(図4、以下単に「屋根材3」という。)が葺かれており、軒先6には唐草2が配置されている。唐草2は、軒先6の先端部分において、折り返された屋根材3により覆われている。すなわち、軒先6は、唐草2と、唐草2を覆う屋根材3とが配置される部分である。軒先6は、略鉛直上方向に面する軒先6の上面6aと、この上面6aと反対側である略鉛直下方向に面する下面6bと、を有する。
【0013】
唐草2は、例えば図1に示すような形状を有し、屋根1の軒先6部分に配置される木材にネジなどにより固定される。
【0014】
唐草2(捨て唐草)は、略T字状に成形された、桁方向に長尺の一枚の薄鋼板からなり、水平部2aと、鉛直部2bと、を有する。水平部2aは、屋根1の梁方向の傾斜に沿って配置され、主に屋根材3に覆われる部分であり、棟側に薄板の一端を有し、軒先6側の他端で棟側に所定量折り返されている。鉛直部2bは、水平部2aの棟側に折り返された部分の端部から略直角に折り曲げられた部分である。薄鋼板の両端部である水平部2aの棟側の端部および鉛直部2bの端部は、作業者の怪我防止、浸水時の水切りなどの観点から、小さく折り返されている。唐草2は、支持金具20をネジ止めするためのネジ孔2c(図4)を有する。
【0015】
支持金具20は、唐草2の桁方向に沿って、所定間隔(例えば300mm(1尺))ごとに複数配置され、線状ヒーター5を断続的に支持する。支持金具20は、略L字状に成形された一枚の金属(例えばステンレス鋼)の薄板からなる。支持金具20は、固定部21と、ヒーター支持部25と、を有する。
【0016】
固定部21は、唐草2に支持金具20を固定する。固定部21は、略鉛直方向に面方向を有する部分であり、例えば横(桁方向長さ)40mm、縦(鉛直方向長さ)30mmの寸法を有する。固定部21は、上述した唐草2のネジ孔2cを介して唐草2および屋根1の木材にネジ止め(固定)されるためのネジ孔22を有する。固定部21は、唐草2と対面する面に、止水部材23(図4)を有する。止水部材23は、例えばブチルテープであり、ネジ止め箇所を防水できればどのような部材であってもよい。また、止水部材23は、支持金具20および唐草2間の電食も防止する。
【0017】
ヒーター支持部25は、線状ヒーター5を屋根材3および唐草2の少なくとも一方と熱的に接続するように支持する。ヒーター支持部25は、固定部21の鉛直上方向端縁である上端縁21aで固定部21に連結し、この上端縁21aから軒先6側に折り曲げられることにより形成される部分である。ヒーター支持部25は、鉛直方向断面が上方に開口した凹形状を有し、線状ヒーター5を収容する収容空間26を形成する。ヒーター支持部25は、軒先6側の薄板の端縁25a周辺が下方に押し下げられることにより、端縁21a、25bを起点に撓み、負荷から解放されると元の位置に復元するような弾性を有する。収容空間26の底面は、軒先6の下面6bに対面しており、無負荷時において、屋根材3および唐草2とこの底面との距離が収容空間26に収容される線状ヒーター5の径(鉛直方向長さ)よりも小さいことが好ましい。ヒーター支持部25が弾性を有するためには、例えば支持金具20が、熱処理が施されたステンレス鋼からなることが好ましい。
【0018】
ヒーター支持部25は、この収容空間26において、線状ヒーター5を軒先6の下面6bを形成する屋根材3および唐草2の少なくとも一方に接触させた状態となるように、線状ヒーター5を収容する。ヒーター支持部25の上述した弾性は、下面6bに近付く方向の復元力となるため、下面6bへの線状ヒーター5の接触を確実なものにする。すなわち、ヒーター支持部25は、下面6bに近付く方向の復元力を有することで、線状ヒーター5の自重や、線状ヒーター5の収容時に端縁25a周辺を下方向に開く負荷が作用したとしても、使用時においては元の位置に戻り、線状ヒーター5を下面6bに確実に接触できる。
【0019】
線状ヒーター5は、例えば電源に接続されることにより発熱する電熱線である。線状ヒーター5は、防水や破損防止の観点から、ビニールや金属などで被覆されている。線状ヒーター5は、軒先6の融雪に必要な熱量や使用環境に応じて、適宜構造や性能が設定されればよい。
【0020】
次に、支持金具20および支持構造10の取付方法および作用を説明する。
【0021】
図4(a)は線状ヒーター5をヒーター支持部25に配置する際の様子を示す説明図、(b)は線状ヒーター5がヒーター支持部25に収容された使用時の状態を示す図である。
【0022】
支持金具20は、唐草2(屋根1の木材など)にネジ止めされる。このとき、固定部21は止水部材23を有するため、ネジ孔22、2c、唐草2を介して屋根1内部に水が浸入することなどを防止できる。
【0023】
唐草2に取り付けられた支持金具20は、作業者によりヒーター支持部25の端縁25aが下方向に押し下げられ収容空間26が露出される。この状態で、線状ヒーター5が、収容空間26に収容される。支持金具20は桁方向に複数配置されているため、この作業が順次行われる。ヒーター支持部25は、押し下げが解除された後は復元力により元の姿勢に戻り、収容された線状ヒーター5は軒先6の下面6bである唐草2または屋根材3(図4(b)においては屋根材3)に接触する。これにより、支持構造10(複数の支持金具20)は、桁方向に沿って線状ヒーター5を支持する。
【0024】
線状ヒーター5の熱は、下面6bをなす屋根材3に伝わり、また屋根材3に接触している唐草2に伝わる。これにより、屋根材3(軒先6の上面6a)上の雪は、この熱により溶かされ融雪水として軒下に落下する。ここで、屋根材3上の雪は、軒先6から凍り始め、発生する融雪水がこの凍った部分を成長させ、つららを形成させる。すなわち、軒先6にある雪を凍らせないことが、つららを形成しないために重要である。いい換えると、軒先6につららが形成される条件は、軒先6の融雪水が凍結するほどの低温になることである。
【0025】
第一実施形態における支持構造10を有する軒先6は、線状ヒーター5の熱により軒先6を局所的に加熱することで、つららを発生させる要因となる融雪水を加熱し、凍結することを防止できる。このため、支持金具20および支持構造10を用いた屋根1においては、つららの形成を抑制するために融雪水を凍らせないことが必須である軒先6部分を効率的に加熱することができる。また、このような屋根1は、軒先6部分を凍らせないため、融雪水が氷によりせき止められ、屋内に浸入する現象である「すが漏れ」も好適に防止できる。また、融雪水の排水路となる軒先6の積雪を低減できるため、この結果、屋根1全体の凍結を低減でき、雪下ろしの回数も低減できるという効果がある。
【0026】
また、第一実施形態における支持金具20および支持構造10は、施工性に優れており、唐草2に固定するのみで、線状ヒーター5を軒先6に固定でき、新規の屋根1にも既存の屋根1にも容易に取り付けることができる。
【0027】
なお、支持金具20を所定間隔で複数配置する例を説明したが、支持金具20が、桁方向の長さが長尺(例えば450mm)のレール形状を有していてもよい。
【0028】
また、線状ヒーター5と屋根材3または唐草2との接触を確実にするため、支持構造10は、さらにヒーター受けレールを有していてもよい。
【0029】
図5は、ヒーター受けレール30を使用して線状ヒーター5がヒーター支持部25に収容された使用時の状態を示す図である。
【0030】
図6は、ヒーター受けレール30を示す斜視図である。
【0031】
ヒーター受けレール30は、線状ヒーター5の桁方向に対応する長さを有する、一または複数の長尺状のレールであり、鉛直方向断面が上方に開口した凹形状を有し、線状ヒーター5を収容する収容空間31を形成する。ヒーター受けレール30は、屋根材3または唐草2への伝熱効率の観点から、支持金具20に熱を伝達し難い材料が好ましい。
【0032】
ヒーター受けレール30は、支持金具20のヒーター支持部25の収容空間26に、桁方向にわたって収容される。これにより、線状ヒーター5は、ヒーター受けレール30を介してヒーター支持部25に支持されることになる。ヒーター受けレール30は、一本のヒーター受けレール30で線状ヒーター5を受けてもよいし、複数本のヒーター受けレール30で線状ヒーター5を受けてもよい。ヒーター受けレール30の一例としては、450mm(1尺5寸)の長さを有する複数のレールからなり、レールとレールの間には、水抜きのための隙間(例えば10mm)が設けられてもよい。
【0033】
支持構造10がヒーター受けレール30を有することにより、所定間隔で配置された支持金具20間の線状ヒーター5のたわみを防止することができ、線状ヒーター5の熱を、確実に屋根材3または唐草2に伝えることができる。
【0034】
[第二実施形態]
図7は、第二実施形態における支持金具120が唐草2に固定された支持構造110を示す図である。
図8は、支持金具120の斜視図である。
【0035】
第二実施形態における支持金具120および支持構造110が第一実施形態における支持金具20および支持構造10と異なる点は、支持金具120の固定部121が唐草2を挟み込むことにより支持金具120を唐草2に固定する点である。第一実施形態と対応する構成および部分については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0036】
固定部121は、唐草2に支持金具120を固定する。固定部121は、唐草2の水平部2aであって、軒先6を形成する鉛直上下方向に面する上下面を挟み込むことにより唐草2に支持金具120を固定する。固定部121は、例えばU字状に折り返されて平行に対向する一対のクリップ面127、128を有するクリップ形状を有する。各クリップ面127、128は、例えば横(桁方向)35mm、縦(梁方向)35mmの寸法を有する平坦面からなる。クリップ面127、128の距離は、無負荷時には唐草2の水平部2aの厚さよりも小さく、クリップ面127、128が開かれることにより距離が大きくなり唐草2の挟み込みが可能なように弾性を有する。なお、クリップ面127、128は、平行に配置されたクリップ形状以外にも、U字の折り返し部分から端縁に向うにつれて徐々に互いの距離が狭まるようなクリップ形状をなしてもよい。
【0037】
ヒーター支持部125は、線状ヒーター5を屋根材3および唐草2の少なくとも一方と熱的に接続するように支持する。ヒーター支持部125は、固定部121の下方に位置するクリップ面128の端縁128aで固定部121に連結され、この端縁128aから下方に折り曲げられることにより形成される部分である。ヒーター支持部125の形状や弾性は、ヒーター支持部25とほぼ同様に構成されるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0038】
ヒーター支持部125は、この収容空間126において、線状ヒーター5を軒先6の下面6bを形成する屋根材3および唐草2の少なくとも一方に接触させた状態となるように、線状ヒーター5を収容する。ヒーター支持部25同様、ヒーター支持部125は、下面6bに近付く方向の復元力を有することで、線状ヒーター5の自重や、線状ヒーター5の収容時に端縁125a周辺を下方向に開く負荷が作用したとしても、使用時において元の位置に戻り、線状ヒーター5を下面6bに確実に接触できる。
【0039】
次に、支持金具120および支持構造110の取付方法および作用を説明する。
【0040】
図9は、線状ヒーター5がヒーター支持部125に収容された使用時の状態を示す図である。
【0041】
支持金具120は、唐草2の水平部2aを挟み込むことにより唐草2に固定される。固定部121は水平部2aとの掛かり合いによる摩擦による抜け止め作用で固定される。さらに、固定部121は、唐草2を覆う屋根材3が屋根1に葺かれることにより、屋根材3にも保持されて、唐草2に固定される。なお、支持金具120を唐草2に取り付け、その後屋根材3を取り付けるのに代えて、屋根材3に支持金具121を取り付け、支持金具121を屋根材3と一体にした後に、屋根材3が唐草2を覆うように取り付ける際に、同時に支持金具121が唐草2に固定されるようにしてもよい。
【0042】
このようにして取り付けられた支持金具120は、作業者によりヒーター支持部125の端縁125aが下方向に押し下げられ収容空間126が露出される。この状態で、線状ヒーター5が、収容空間126に収容される。ヒーター支持部125は、押し下げが解除された後は復元力により元の姿勢に戻り、収容された線状ヒーター5は軒先6の下面6bである屋根材3に接触する。これにより、支持構造110(複数の支持金具120)は、桁方向に沿って線状ヒーター5を支持する。
【0043】
線状ヒーター5の熱は、下面6bをなす屋根材3に伝わり、また屋根材3に面接触している唐草2に伝わる。また、線状ヒーター5からヒーター支持部125に伝わった熱がさらに固定部121にも伝わるため、この固定部121と密接している唐草2にも伝わる。すなわち、線状ヒーター5は、屋根材3を直接加熱するのみならず、間接的に唐草2も加熱する。これにより、屋根材3(軒先6の上面6a)上の雪は、この熱により溶かされ融雪水として軒下に落下する。
【0044】
このような第二実施形態における支持構造110を有する軒先6は、第一実施形態同様、線状ヒーター5の熱により軒先6を局所的に加熱することで、つららを発生させる要因となる融雪水を加熱し、凍結することを防止できる。
【0045】
また、第二実施形態における支持金具120および支持構造110は、クリップ形状の固定部121で唐草2を挟み込むのみで、唐草2にネジなどを用いることなく支持金具120を唐草2に容易に固定できる。よって、支持金具120および支持構造110は、第一実施形態における支持金具20および支持構造10に比べて、より一層施工性に優れている。特に、支持金具120は、屋根材3が葺かれる前に唐草2に取り付けられることが好ましいことから、新築の屋根施工において特に好ましく用いられる。
【0046】
なお、第一実施形態の支持構造10の変形例として説明した態様は、第二実施形態の支持構造110にも適用し得る。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0048】
これら、支持金具および支持構造が横葺屋根に適用される例を用いて説明したが、縦葺屋根に適用されてもよい。
【0049】
本発明の支持金具は、唐草と前記唐草を覆う屋根材とが配置される軒先を有する屋根において、前記軒先の鉛直下方向に面する下面と対向するように線状ヒーターを前記屋根の桁方向に沿って支持するための支持金具であって、前記唐草に前記支持金具を固定する固定部と、前記線状ヒーターを前記屋根材および前記唐草の少なくとも一方と熱的に接続するように支持するヒーター支持部と、を備える。
また、支持金具においては、前記固定部は、前記唐草の略鉛直方向に沿う面に沿って固定手段を用いて前記唐草に固定される。
また、支持金具においては、前記ヒーター支持部は、前記固定部の鉛直上方向端縁で前記固定部と連結する。
また、支持金具においては、前記固定部は、前記唐草とネジ止めされ、ネジ止め箇所を防水する止水部材を有する。
また、支持金具においては、前記固定部は、前記唐草の前記軒先を形成する鉛直上下方向に面する上下面を挟み込むことにより前記唐草に前記支持金具を固定する一対のクリップ面を有するクリップ形状を有する。
また、支持金具においては、前記ヒーター支持部は、前記固定部の一方の前記クリップ面の端縁で前記固定部と連結する。
また、支持金具においては、前記ヒーター支持部は、線状ヒーターを収容する収容空間を形成する凹形状を有する。
また、支持金具においては、前記ヒーター支持部は、前記軒先の前記下面に近付く方向の復元力を有する。
本発明の支持構造においては、唐草と前記唐草を覆う屋根材とが配置される軒先を有する屋根において、前記軒先の鉛直下方向に面する下面と対向するように線状ヒーターを前記屋根の桁方向に沿って支持金具で支持する支持構造であって、前記支持金具は、前記唐草に前記支持金具を固定する固定部と、前記線状ヒーターを前記屋根材および前記唐草の少なくとも一方と熱的に接続するように支持するヒーター支持部と、を有し、前記支持金具は、前記桁方向に沿って複数配置され、前記線状ヒーターは、前記複数の前記支持金具に断続的に支持される。
また、支持構造においては、前記桁方向に沿って配置され、前記複数の支持金具の前記ヒーター支持部に収容され支持されるヒーター受けレールをさらに備え、前記線状ヒーターは、前記ヒーター受けレールを介して前記ヒーター支持部に支持される。
また、支持構造においては、前記固定部は、前記唐草の前記軒先を形成する上下面を挟み込むことにより前記唐草に前記支持金具を固定する一対のクリップ面を有するクリップ形状を有し、前記屋根材が前記唐草を挟み込んだ前記固定部をさらに挟み込むように覆うことにより、前記支持金具は前記唐草に固定される。
【符号の説明】
【0050】
1 屋根
2 唐草
2a 水平部
2b 鉛直部
2c ネジ孔
3 金属屋根材(屋根材)
5 線状ヒーター
10、110 支持構造
20、120 支持金具
21、121 固定部
21a 端縁
22 ネジ孔
23 止水部材
25、125 ヒーター支持部
26、126 収容空間
30 ヒーター受けレール
31 収容空間
127、128 クリップ面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9