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  • 特開-積層型キャパシタ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053899
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】積層型キャパシタ
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20230406BHJP
【FI】
H01G4/30 201D
H01G4/30 201C
H01G4/30 513
H01G4/30 516
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131186
(22)【出願日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0131027
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、デ ヒー
(72)【発明者】
【氏名】ジョ、スー ジェオン
(72)【発明者】
【氏名】リー、カン ハ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ユーン ア
(72)【発明者】
【氏名】チュン、ジン ウー
(72)【発明者】
【氏名】チャ、バーム ハ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ミュン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジョン ホ
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC09
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE23
5E082EE26
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
(57)【要約】
【課題】耐湿信頼性及び内部電極の構造的安定性が向上した積層型キャパシタを提供する。
【解決手段】
本発明の一実施形態は、誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、上記本体の外部に形成されて上記内部電極と接続された外部電極を含み、上記複数の内部電極の少なくとも一部は、上記外部電極と接する領域に形成された合金領域を含み、上記合金領域はNi-Cr合金を含む積層キャパシタを提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び前記誘電体層を間に挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、
前記本体の外部に形成され、前記内部電極と接続された外部電極と、を含み、
前記複数の内部電極の少なくとも一部は、前記外部電極と接する領域に形成された合金領域を含み、前記合金領域はNi-Cr合金を含む、積層型キャパシタ。
【請求項2】
前記合金領域は、Cu、W、Mo、Co及びAlから構成された群の少なくとも一つの成分をさらに含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項3】
前記外部電極との接合面から測定した長さを基準に、前記合金領域の長さは9μm以上20μm以下である、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項4】
前記外部電極は、前記本体において互いに対向する第1面及び第2面にそれぞれ配置された第1及び第2外部電極を含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項5】
前記第1及び第2外部電極が対向する方向に測定した長さを基準に、前記合金領域の長さは9μm以上20μm以下である、請求項4に記載の積層型キャパシタ。
【請求項6】
前記内部電極において前記合金領域ではない領域は、Cr含有量が前記合金領域よりも低い、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項7】
前記内部電極において前記合金領域ではない領域はNi成分を含み、前記外部電極はCu成分を含む、請求項6に記載の積層型キャパシタ。
【請求項8】
前記合金領域は、Ni-Cu-Cr合金を含む、請求項7に記載の積層型キャパシタ。
【請求項9】
前記合金領域においてCr含有量は、前記外部電極から離れるほど減る、請求項1から8のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項10】
誘電体層及び前記誘電体層を間に挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、
前記本体の外部に形成され、前記内部電極と接続された外部電極と、を含み、
前記複数の内部電極の少なくとも一部は、前記外部電極と接する領域に形成された合金領域を含み、前記外部電極との接合面から測定した長さを基準に、前記合金領域の長さは9μm以上20μm以下である、積層型キャパシタ。
【請求項11】
前記合金領域は、Cr、Cu、W、Mo、Co及びAlから構成された群の少なくとも1つの成分及びNiの合金を含む、請求項10に記載の積層型キャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型キャパシタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャパシタは電気を蓄えることができる素子であり、基本的に2つの電極を対向させて電圧をかけると、各電極に電気が蓄積されるものである。直流電圧を印加した場合には、電気が蓄電されてキャパシタ内部に電流が流れるが、蓄積が完了すると電流が流れなくなる。一方、交流電圧を印加した場合、電極の極性が交変しながら交流電流が流れるようになる。
【0003】
このようなキャパシタは、電極間に備えられる絶縁体の種類に応じて、アルミニウムで電極を構成し、上記アルミニウム電極間に薄い酸化膜を備えるアルミニウム電解キャパシタ、電極材料としてタンタルを用いるタンタルキャパシタ、電極間にチタンバリウムなどの高誘電率の誘電体を用いるセラミックキャパシタ、電極間に備えられる誘電体として高誘電率系セラミックを多層構造で用いる積層セラミックキャパシタ(Multi-Layer Ceramic Capacitor、MLCC)、電極間の誘電体としてポリスチレンフィルムを用いるフィルムキャパシタなど様々な種類に区分することができる。
【0004】
この中で、積層セラミックキャパシタは温度特性及び周波数特性に優れ、小型で実現可能であるという利点を有しており、最近では、高周波回路などの多様な分野で多く応用されている。最近では、積層セラミックキャパシタをさらに小さく実現するための試みが続けられており、このために誘電体層と内部電極を薄く形成している。最近では、積層型キャパシタ関連分野では、水分やめっき液などの浸透による不良を減らして耐湿信頼性を向上させようとする試みが多く行われている。一つの方法として、キャパシタ本体のカバー層や外部電極を厚く形成する場合、部品の大きさが大きくなり、同一の大きさで静電容量が低下するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的のうち一つは、耐湿信頼性が向上した積層型キャパシタを提供することである。本発明の目的のうち他の一つは、内部電極の構造的安定性が向上した積層型キャパシタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するための方法として、本発明は一例によって積層型キャパシタの新規構造を提案しようとするものであり、具体的には、誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、上記本体の外部に形成されて上記内部電極と接続された外部電極を含み、上記複数の内部電極の少なくとも一部は、上記外部電極と接する領域に形成された合金領域を含み、上記合金領域はNi-Cr合金を含む。
【0007】
一実施形態において、上記合金領域は、Cu、W、Mo、Co、及びAlから構成された群の少なくとも1つの成分をさらに含むことができる。
【0008】
一実施形態において、上記外部電極との接合面から測定した長さを基準に、上記合金領域の長さは9μm以上20μm以下であることができる。
【0009】
一実施形態において、上記外部電極は、上記本体で互いに対向する第1面及び第2面にそれぞれ配置された第1及び第2外部電極を含むことができる。
【0010】
一実施形態において、上記第1及び第2外部電極が対向する方向に測定した長さを基準に、上記合金領域の長さは9μm以上20μm以下であることができる。
【0011】
一実施形態において、上記内部電極で上記合金領域ではない領域は、Cr含有量を上記合金領域よりも低くすることができる。
【0012】
一実施形態において、上記内部電極の上記合金領域ではない領域はNi成分を含み、上記外部電極はCu成分を含むことができる。
【0013】
一実施形態において、上記合金領域はNi-Cu-Cr合金を含むことができる。
【0014】
一実施形態において、上記合金領域におけるCr含有量は、上記外部電極から離れるほど減ることができる。
【0015】
一方、本発明の他の側面は、
誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、上記本体の外部に形成されて上記内部電極と接続された外部電極を含み、上記複数の内部電極の少なくとも一部は、上記外部電極と接する領域に形成された合金領域を含み、上記外部電極との接合面から測定した長さを基準に、上記合金領域の長さは、9μm以上20μm以下である積層型キャパシタを提供する。
【0016】
一実施形態において、上記合金領域は、Cr、Cu、W、Mo、Co及びAlから構成された群の少なくとも1つの成分及びNiの合金を含むことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一例による積層型キャパシタの場合、耐湿信頼性、構造的安定性などの特性の少なくとも1つの特性が向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタの外観を概略的に示した斜視図である。
図2図1の積層型キャパシタにおいてI-I'線に沿った断面図である。
図3図2におけるA領域の拡大図である。
図4図1の積層型キャパシタにおいてII-II'線に沿った断面図である。
図5】変形例による積層型キャパシタを示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0020】
そして、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を付与して説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタの外観を概略的に示した斜視図であり、図2は、図1の積層型キャパシタにおいてI-I'線に沿った断面図であり、図3は、図2におけるA領域の拡大図であり、図4は、図1の積層型キャパシタにおいてII-II'線に沿った断面図であり、図5は、変形例による積層型キャパシタを示した図面である。
【0022】
図1図4を参照すると、本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタ100は、誘電体層111及びこれを間に挟んで積層された複数の内部電極121、122を含む本体110と、外部電極131、132を含み、複数の内部電極121、122の少なくとも一部は外部電極131、132と接する領域に形成された合金領域Rを含み、ここで、合金領域RはNi-Cr合金を含む。内部電極121、122に合金領域Rが備えられることによって、めっき液や水分などが浸透することを低減することができるため、耐湿特性、絶縁抵抗特性などが向上することができる。
【0023】
本体110は、複数の誘電体層111が第1方向(X方向)に積層された積層構造を含み、例えば、複数のグリーンシートを積層した後、焼結して得られる。このような焼結工程によって、複数の誘電体層111は一体化した形態を有することができ、複数のグレインGを含むことができる。そして、図1に示した形態のように、本体110は直方体と類似した形状を有することができる。本体110に含まれた誘電体層111は、高誘電率を有するセラミック材料を含むことができ、例えば、BT系、すなわち、チタン酸バリウム(BaTiO)系セラミックを含むことができるが、十分な静電容量が得られる限り、当技術分野で知られている他の物質も使用可能である。誘電体層111には、主成分であるこのようなセラミック材料と併せて、必要な場合には添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤及び分散剤などがさらに含まれることができる。ここで、添加剤の場合、これらは製造過程において金属酸化物の形態で添加されることができる。このような金属酸化物の添加剤の例として、MnO、Dy、BaO、MgO、Al、SiO、Cr及びCaCOの少なくとも1つの物質を含むことができる。
【0024】
複数の内部電極121、122は、セラミックグリーンシートの一面に所定厚さで導電性金属を含むペーストを印刷した後、これを焼結して得られる。この場合、複数の内部電極121、122は、本体110の互いに対向する方向に露出した第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。第1及び第2内部電極121、122は、互いに異なる外部電極131、132と連結され、駆動時に互いに異なる極性を有することができ、これらの間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。但し、外部電極131、132の個数や内部電極121、122との連結方式は実施形態によって変更することができる。
【0025】
外部電極131、132は、本体110の外部に形成され、具体的には、本体110において互いに対向する第1面S1及び第2面S2にそれぞれ配置された第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。第1及び第2外部電極131、132は、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ接続されることができる。外部電極131、132は、導電性金属を含む物質をペーストで製造した後、これを本体110に塗布する方法などで形成されることができ、導電性金属の例として、Cr、Cu、Ni、Pd、Auまたはこれらの合金が挙げられる。一方、図5の変形例のように、外部電極131、132は多層構造で実現することができ、第1層131a、132aはCr、Cu、Ni、Pd、Auなどを含む上述した構造として、第2層131b、132bは、Ni、Snなどを含むめっき層を含むことができる。
【0026】
図3を参照すると、本実施形態の場合、内部電極121、122の少なくとも一部は、外部電極131、132と接する領域に形成された合金領域Rを含む。この場合、合金領域RはNi-Cr合金を含む。この場合、内部電極121、122において合金領域Rではない領域は、Cr含有量を合金領域Rよりも低くすることができる。本発明者らの研究によると、内部電極121、122がNiの合金領域を含む場合、外部からの水素(H)の浸透が減るようになる。Niと合金を形成する金属のうち、Crの場合、水素の拡散を低減させることに適しているが、その理由は水素の溶解度が低く、水素との結合力が高いためであると理解される。このように、内部電極121、122と外部電極131、132との境界領域にNi-Cr合金を含む合金領域Rを形成することにより、めっき液や水分などによる影響を最小化することができ、このことから耐湿信頼性が向上することができる。内部電極121、122に合金領域Rを形成することにより、他の追加的な耐湿向上構造、例えば、本体101や外部電極131、132の表面に保護層などを別途採用しなくても十分な耐湿信頼性が得られる。
【0027】
合金領域RのNi成分は、内部電極121、122に存在したもの、すなわち、導電性ペースト状態で添加されたものであることができ、Cr成分は外部電極131、132から拡散したものであることができる。これにより、合金領域RにおけるCr含有量は、外部電極131、132から離れるほど減ることができる。内部電極121、122へのCr拡散が起こるようにするために、外部電極131、132はCr成分を含むことができ、例えば、Cr焼結電極として実現することができる。これ以外にも、合金領域は、Cu、W、Mo、Co及びAlから構成された群の少なくとも1つの成分をさらに含むことができ、これらの成分も外部電極131、132から拡散することができる。具体的な例として、内部電極121、122において合金領域Rではない領域はNi成分を含み、外部電極131、132はCu成分を含むことができるが、この場合、合金領域RはNi-Cu-Cr合金を含むことができる。また、内部電極121、122において合金領域Rではない領域は、Cr含有量を合金領域Rよりも低くすることができる。
【0028】
上述した耐湿信頼性の向上効果を得るために、合金領域Rの長さLも十分確保する必要がある。具体的には、外部電極131、132との接合面(図3においてS2と同一面に該当)から測定した長さを基準に、合金領域Rの長さLは、9μm以上20μm以下であることができる。この場合、第1及び第2外部電極131、132が対向する方向(Z方向)に測定した長さを基準に、合金領域Rの長さLは、9μm以上20μm以下であることと定義することもできる。合金領域Rの長さLが9μm以上の場合、水素浸透防止性能が十分に発揮されることができ、合金領域Rが長くなりすぎて20μmを超える場合、内部電極121、122の構造的安定性が低下し、クラック発生の可能性が高くなるおそれがある。もし、合金領域Rの長さLが9μm以上20μm以下である条件を満たす場合、合金領域Rは必ずしもNi-Cr合金を含む必要はなく、他の成分の合金で実現される場合にも耐湿信頼性などの意図した効果を得ることができる。
【0029】
本発明者らは、合金領域Rの長さLに応じて耐湿特性を測定した。具体的には、X5R温度特性、公称容量15μFを有するように設計されたMLCCのNi内部電極で端部の合金領域の長さを測定し、外部電極としてCr焼結電極を用いた。製作されたサンプルにおいて、内部電極の端部に合金領域が形成されたか否か及びその長さを確認するために、サンプルの断面に対してEPMA(Electron Probe Microanalysis)を行った。加速電圧20kV、×2,000倍率で測定されたサンプルのCr成分のマッピングでNi-Cr合金領域の長さ(μm)を4つの部分で測定して平均した結果は、下記表1のとおりである。この場合、合金領域の長さは、外部電極の焼成温度、焼成温度の導電性粒子の大きさなどを制御して調節されることができる。例えば、合金領域の長さを9μm以上に十分確保するために、外部電極を比較的高い温度(約700~750℃ )で焼成することができる。そして、合金領域の長さは、例えば、上記EPMAマッピングでCrが含まれた外部電極での最大intensityに対して10%以上である領域までを合金領域と定義し、当該領域の長さを求める方法で測定することができる。
【0030】
【表1】
【0031】
上記サンプルをめっきした後、水素浸透による絶縁抵抗の劣化程度を比較するためにHALT評価を行った。具体的には、105℃で4時間の間電圧印加した後、初期抵抗よりも1/100以上絶縁抵抗が減少したサンプルの割合を劣化率と定義して下記表2に示した。
【0032】
【表2】
【0033】
上記実験結果によると、合金領域の長さが9μm未満であるサンプル(サンプルA、B、C、D)と異なって、9μm以上であるサンプル(サンプルE、F、G)の場合、絶縁抵抗の劣化が発生しなかった。但し、合金領域の長さが20μm以上であるサンプルGの場合、過度の合金形成に伴う微細クラックが発生し、長期間使用時に信頼性が低下する可能性がある。このような結果を総合してみると、合金領域RをNi-Cr合金で実現する場合、水素の浸透を減らして耐湿特性が向上することができる。そして、合金領域Rの長さLは、9~20μmレベルに調節される場合、十分な耐湿特性を確保するとともに内部電極のクラック発生可能性も最小化することを確認することができる。
【0034】
本発明は、上述の実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で様々な形態の置換、変形及び変更が可能であることは、当技術分野の通常の知識を有する者には自明であり、これも添付の特許請求の範囲に記載された技術的思想に属するといえる。
【符号の説明】
【0035】
100 積層型キャパシタ
110 本体
111 誘電体層
121、122 内部電極
131、132 外部電極
A 合金領域
図1
図2
図3
図4
図5