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  • 特開-形質細胞様樹状細胞活性化剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053926
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】形質細胞様樹状細胞活性化剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20230406BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 36/02 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 31/716 20060101ALI20230406BHJP
   A23L 33/125 20160101ALI20230406BHJP
【FI】
A23L33/10
A61P43/00 107
A61K36/02
A61K31/716
A61P43/00 121
A23L33/125
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157306
(22)【出願日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2021163081
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(71)【出願人】
【識別番号】508042869
【氏名又は名称】学校法人 大妻学院
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 高▲徳▼
(72)【発明者】
【氏名】西田 典永
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 円
(72)【発明者】
【氏名】青江 誠一郎
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LE02
4B018MD33
4B018MD89
4B018ME14
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA20
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZB22
4C086ZC41
4C086ZC75
4C088AA12
4C088AC15
4C088BA04
4C088MA08
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZB22
4C088ZC41
4C088ZC75
(57)【要約】
【課題】形質細胞様樹状細胞活性化剤を提供すること。
【解決手段】ユーグレナ、パラミロン、パラミロン加工物、及びβ-1,3-グルカンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、形質細胞様樹状細胞活性化剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーグレナ、パラミロン、パラミロン加工物、及びβ-1,3-グルカンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、形質細胞様樹状細胞活性化剤。
【請求項2】
ユーグレナ、パラミロン、及びパラミロン加工物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項1に記載の形質細胞様樹状細胞活性化剤。
【請求項3】
ユーグレナを含有し、且つ前記ユーグレナがユーグレナ・グラシリスである、請求項1に記載の形質細胞様樹状細胞活性化剤。
【請求項4】
ユーグレナを含有し、且つ前記ユーグレナがユーグレナ・グラシリスEOD-1株(受託番号FERM BP-11530)である、請求項1に記載の形質細胞様樹状細胞活性化剤。
【請求項5】
I型インターフェロン産生促進に用いるための、請求項1~4のいずれかに記載の形質細胞様樹状細胞活性化剤。
【請求項6】
食品組成物、栄養補助食品、食品添加剤、又は医薬である、請求項1~4のいずれかに記載の形質細胞様樹状細胞活性化剤。
【請求項7】
経口組成物である、請求項1~4のいずれかに記載の形質細胞様樹状細胞活性化剤。
【請求項8】
ユーグレナ、パラミロン、パラミロン加工物、及びβ-1,3-グルカンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、I型インターフェロン産生促進剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形質細胞様樹状細胞活性化剤等に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、SARS-CoV-2の発生及び流行と共に、ウイルス感染防御に対する意識が高まっている。ウイルス感染防御機構を担う細胞の一つとして、形質細胞様樹状細胞(pDC)が知られている。pDCは、ウイルス感染により活性化し、I型インターフェロン(インターフェロン-α、インターフェロン-β等)を産生し、抗ウイルス効果を発揮する。このため、人為的にpDCを活性化することができれば、ウイルス非感染時及びウイルス感染時のI型インターフェロンの産生を促進し、ウイルス感染症の予防又は治療効果を発揮させることができる。
【0003】
ユーグレナは、ミドリムシ属(=ユーグレナ属)に属する微細藻類であり、食品材料として利用されている。また、ユーグレナ抽出物を皮膚に適用することも行われている(特許文献1)。また、パラミロンは、ミドリムシが産生するβ-1,3-グルカンであり、創傷治療やアレルギー抑制などに有用であることが報告されている。しかしながら、ユーグレナやβ-1,3-グルカンとpDCとの関連については未だしられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008-526954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、形質細胞様樹状細胞活性化剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意研究した結果、ユーグレナ、パラミロン、パラミロン加工物、及びβ-1,3-グルカンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、形質細胞様樹状細胞活性化剤、であれば、上記課題を解決できることを見出した。この知見に基づいてさらに研究を進めた結果、本発明が完成した。即ち、本発明は、下記の態様を包含する。
【0007】
項1. ユーグレナ、パラミロン、パラミロン加工物、及びβ-1,3-グルカンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、形質細胞様樹状細胞活性化剤。
【0008】
項2. ユーグレナ、パラミロン、及びパラミロン加工物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、項1に記載の形質細胞様樹状細胞活性化剤。
【0009】
項3. ユーグレナを含有し、且つ前記ユーグレナがユーグレナ・グラシリスである、項1又は2に記載の形質細胞様樹状細胞活性化剤。
【0010】
項4. ユーグレナを含有し、且つ前記ユーグレナがユーグレナ・グラシリスEOD-1株(受託番号FERM BP-11530)である、項1又は2に記載の形質細胞様樹状細胞活性化剤。
【0011】
項5. I型インターフェロン産生促進に用いるための、項1~4のいずれかに記載の形質細胞様樹状細胞活性化剤。
【0012】
項6. 食品組成物、栄養補助食品、食品添加剤、又は医薬である、項1~5のいずれかに記載の形質細胞様樹状細胞活性化剤。
【0013】
項7. 経口組成物である、項1~6のいずれかに記載の形質細胞様樹状細胞活性化剤。
【0014】
項8. ユーグレナ、パラミロン、パラミロン加工物、及びβ-1,3-グルカンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、I型インターフェロン産生促進剤。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、形質細胞様樹状細胞活性化剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】形質細胞様樹状細胞におけるHLA-DRの発現強度の測定結果を示す(試験例1)。縦軸は、HLA-DRの発現強度(Mean Fluorescence Intensity; M. F. I.)を示す。横軸は、測定対象の群を示す。*は、バーで示される群間で有意(P値<0.05, マンホイットニーU検定)であることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
【0018】
本発明は、その一態様において、ユーグレナ、パラミロン、パラミロン加工物、及びβ-1,3-グルカンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、形質細胞様樹状細胞活性化剤(本明細書において、「本発明の剤」と示すこともある。)に関する。以下に、これについて説明する。
【0019】
1.ユーグレナ
ユーグレナは、ミドリムシ属(=ユーグレナ属)に属する微細藻類であり、その限りにおいて特に制限されない。ユーグレナとして、具体的には、例えばEuglena gracilis(ユーグレナ・グラシリス)、Euglena longaEuglena caudataEuglena oxyurisEuglena tripterisEuglena proximaEuglena viridisEuglena sociabilisEuglena ehrenbergiiEuglena desesEuglena pisciformisEuglena spirogyraEuglena acusEuglena geniculataEuglena intermediaEuglena mutabilisEuglena sanguineaEuglena stellataEuglena terricolaEuglena klebsiEuglena rubraEuglena cyclopicolaなどが挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより確実に発揮できるという観点から、好ましくはユーグレナ・グラシリスが挙げられ、より好ましくはユーグレナ・グラシリスEOD-1株[2013年6月28日付で独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター{NITE-IPOD(郵便番号292-0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 120号室)}にブダペスト条約の規定下で、受託番号FERM BP-11530として国際寄託済み]が挙げられる。
【0020】
ユーグレナの形態は、ユーグレナの細胞体又はその成分の大半を含むものである限り、特に制限されない。ユーグレナの形態としては、例えばユーグレナの乾燥粉末形態、ユーグレナの懸濁液、ユーグレナエキス等が挙げられ、中でも、好ましくはユーグレナの乾燥粉末形態が挙げられる。
【0021】
ユーグレナの乾燥状態におけるパラミロン含有率は、例えば50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上である。
【0022】
ユーグレナは、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0023】
2.β-1,3-グルカン、パラミロン
β-1,3-グルカンは、グルコースがβ1,3結合のみで連結してなる1本の糖鎖(又は糖鎖構造)を主鎖として有するものであれば特に制限されない。β-1,3-グルカンは、直鎖状のものに限らず、分枝鎖を有するものも包含する。
【0024】
β-1,3-グルカン誘導体の重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば1×104~2×106、好ましくは5×104~1×106、更に好ましくは1×105~1×106ある。なお、重量平均分子量は、GPC法により測定することができる。
【0025】
β-1,3-グルカンは、化学合成により得られたものであってもよいが、入手容易性等の観点から、各種生物が産生する天然β-1,3-グルカンが好ましい。天然β-1,3-グルカンとしては、例えばパラミロン、カードラン、ラミナラン、カロース、レンチナン、シゾフィラン等が挙げられる。これらの中でも、特に好ましくはパラミロンが挙げられる。以下、パラミロンについて説明する。
【0026】
パラミロンは、ユーグレナ由来のβ-1,3-グルカンであり、その限りにおいて特に制限されない。
【0027】
パラミロンが由来するユーグレナについては、上記「1.ユーグレナ」における説明と同様である。
【0028】
パラミロンの質量平均分子量は、特に限定されないが、例えば1×104~5×106、好ましくは2×104~1×106、より好ましくは5×104~1×106、さらに好ましくは1×105~5×105である。
【0029】
なお、質量平均分子量は、SEC-MALS分析により、以下の条件で測定 することができる:
検出器:多角度散乱検出器(Wyatt Technology製DAWN HELEOS II) 示差屈折計検出器(Wyatt Technology製Optilab T-rEX)使用カラム:TSKgel α-M 2本(東ソー製)
移動相:0.05M臭化カリウム添加DMSO
流 速:0.5 mL/min。
【0030】
パラミロンは、ユーグレナの細胞内において、通常、β-1,3-グルカン鎖が形成する3重螺旋構造体が一定の規則性の基に高度に集積してなるパラミロン粒子として存在している。
【0031】
パラミロン粒子の形状は、特に制限されないが、通常は、偏平な回転楕円体状である。
【0032】
パラミロン粒子の粒子径分布は、特に制限されないが、例えば0.5~15μm、好ましくは1~6μmである。また、パラミロン粒子の平均粒子径も特に制限されないが、例えば1~10、好ましくは2~4μmである。
【0033】
パラミロンの形態は、パラミロンを含むものである限り、特に制限されない。ユーグレナの形態としては、例えばパラミロンの乾燥粉末形態、パラミロンの懸濁液等が挙げられ、中でも、好ましくはパラミロンの乾燥粉末形態が挙げられる。
【0034】
パラミロンは、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0035】
3.ユーグレナ及びパラミロンの製造方法
ユーグレナは、液体に含まれたユーグレナを培養する工程(培養工程)を含む方法により、大量に調製することが可能である。培養工程は、例えば公知の方法(例えば、特許第5883532号公報に記載の方法)に従って行うことができる。該培養工程では、典型的には、水と、ユーグレナと、ユーグレナが利用できる栄養素とを含む液体(培養液)を撹拌しつつ好気条件でユーグレナ属微細藻類を培養する。
【0036】
栄養素としては、糖類(グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)などの単糖類)、ミネラル類(例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、モリブデン、銅、リン、窒素、硫黄、又は、ホウ素など)、ビタミンB類(例えばビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサール、又はピリドキサミン)、ビタミンB12(シアノコバラミン)、葉酸、ビオチンなど)などが挙げられる。培養液中の栄養素の濃度は、ユーグレナの生存、増殖等が可能な濃度である限り特に制限されない。
【0037】
培養工程の光条件は特に制限されず、培養工程は明条件と暗条件のいずれで行われてもよい。従属栄養培養にて培養する際には暗条件で培養される。明条件としては、藻類を増殖させるための通常の光強度を採用することができる。暗条件としては、例えば10μmol/m2/s未満、好ましくは光が全く当たらない完全な暗所条件が挙げられる。
【0038】
培養工程における培養温度は、ユーグレナが増殖できる温度であれば、特に限定されない。該培養温度(培養液の温度)としては、例えば、20℃~35℃が採用される。
【0039】
培養工程における液体のpHは、ユーグレナが増殖できるpHであれば、特に限定されない。ユーグレナが増殖できるpHとしては、例えば3.0~5.5が採用される。
【0040】
培養工程の後に、液体の遠心分離や重力分離などによってユーグレナを濃縮することが好ましい。得られたユーグレナは、所望の形態に応じて、追加の処理(例えば、液体への懸濁、水中又は油中への分散、エキス抽出、乾燥粉末化等)に供することができる。
【0041】
パラミロン粒子は、公知の方法(例えば特許第5883532号公報に記載の方法)に従って又は準じて、ミドリムシから分離、単離、又は精製することによって製造することができる。パラミロン粒子は、例えばミドリムシの細胞膜を破壊することによって得られる細胞内容成分を回収することによって、容易に得ることができる。また、必要に応じて、パラミロン粒子を精製してもよい。パラミロン粒子の精製については各種知られており(例えば、特許第5883532号公報)、それらの方法に従って行うことができる。精製工程としては、例えば、界面活性剤処理工程、洗浄工程などが挙げられる。得られたユーグレナは、所望の形態に応じて、追加の処理(例えば、液体への懸濁、水中又は油中への分散、乾燥粉末化等)に供することができる。
【0042】
4.パラミロン加工物
パラミロン加工物は、パラミロンに対して加工処理、例えば物理処理、化学処理等することによって得られるものであり、その限りにおいて特に制限されない。パラミロン加工物としては、例えば、繊維化パラミロン、アモルファスパラミロン等が挙げられる。アモルファスパラミロンは、公知の方法に従って又は準じて、例えば特開2011-184592号公報に記載の方法を用いて化学的に処理することにより、得ることができる。
【0043】
パラミロン加工物としては、繊維化パラミロンが好ましい。以下に、繊維化パラミロンについて説明する。
【0044】
繊維化パラミロンは、ユーグレナ由来のβ-1,3-グルカンであり、繊維状の形態のものである限りにおいて特に制限されない。これまで、パラミロン粒子を化学処理(アルカリ処理等)して得られたアモルファスパラミロンが報告されているが、これは、電子顕微鏡で観察すると繊維化であるとは認められず、形や大きさが不定形の塊であるため、繊維化パラミロンには包含されない。
【0045】
繊維化パラミロンの重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば1×104~2×107、好ましくは1×105~5×105である。
【0046】
なお、重量平均分子量は、SEC-MALS分析により、以下の方法で測定することができる:検出器:多角度散乱検出器(Wyatt Technology製DAWN HELEOS II) 示差屈折計検出器(Wyatt Technology製Optilab T-rEX)使用カラム:TSKgel α-M 2本(東ソー製)
移動相:0.05M臭化カリウム添加DMSO
流 速:0.5 mL/min。
【0047】
繊維化パラミロンの繊維の直径は、特に制限されないが、例えば10~500 nm、好ましくは20~300 nm、より好ましくは50~200 nmである。繊維化パラミロンの繊維の直径は、通常、繊維化パラミロンの電子顕微鏡像に基づいて測定することができる。
【0048】
繊維化パラミロンの水中沈定体積は、特に制限されないが、例えば30~300 mL/g、好ましくは50~250 mL/g、より好ましくは70~200 mL/gである。
【0049】
水中沈定体積は以下の方法に従って又は準じて測定することができる:
「日本食物繊維学会監修、日本食物繊維学会編集委員会編(2008)食物繊維 ‐基礎と応用‐ 第3版, p.111 第一出版, 東京」に記載されている方法に準じて測定を行う。具体的には、次の通りである。サンプルのスラリー状の試験試料を、25 mL容積のプラスチックチューブに、乾燥質量換算で125 mg計り取り、プラスチックチューブを手で激しく振って、内容物を撹拌する。その後、25 mL容積のメスシリンダーに内容物を移し、25 mLになるまで純水を加える。メスシリンダー内の液体を撹拌した後、37℃で24時間静置する。これによりサンプルが沈殿し、界面を介して分けられる2つの層(沈殿したサンプルを主に含む層(下層)、及び水を主に含む層(上層))が生じる。下層の体積をメスシリンダーの目盛から求め、得られた体積をサンプル質量(乾燥質量)で除して、水中沈定体積(mL/g)を算出する。試験は3回又は4回行い、平均値及び標準偏差を算出する。
【0050】
繊維化パラミロンは、酵素による分解に対して、比較的高い耐性を有する。例えば、βグルカナーゼの分解により生成されるモノマー(グルコース)の量は、繊維化パラミロン1 g当たり、例えば0.1~50 mg、好ましくは1~10 mgである。
【0051】
この量は以下の方法に従って又は準じて測定することができる:
反応液[被検物質30 mg(乾燥重量)、緩衝液(東京化成工業社製 B0156、フタル酸水素カリウム-水酸化ナトリウムバッファー (pH4.0))5 mL、酵素液(日本バイオコン社製 endo-1,3-β-Glucanase (酵素含有量:50 units/mL))0.1 mL、純水、反応液量 10 mL]を調製し、40℃で24時間、45 rpmで水平振盪する。振盪後、直ちに凍結保存し、濃縮のために凍結乾燥する。凍結乾燥後、各試料に純水を0.5 mLずつ加え、攪拌する(20倍濃縮)。遠心分離(10000G、5分間、4℃)し、上澄を回収する作業を2回繰り返す。回収した上澄中のグルコース濃度を、測定キット(和光純薬工業社製、グルコースCII-テストワコー)を用いて測定する。測定値に基づいて、被検物質1 g当たりのグルコース生成量(mg)を算出する。
【0052】
繊維化パラミロンは、アルカリ溶液への溶解性が、比較的低い。例えば、繊維化パラミロンは、0.1~0.3Mの水酸化ナトリウム水溶液に対して溶解しない。ここで、「溶解しない」とは、例えば、当該水溶液に繊維化パラミロンを懸濁した後(例えば、直後~1時間経過後)の溶液の吸光度(660 nm)が、例えば0.1以上、好ましくは1.0以上であることを意味する。
【0053】
溶解性は以下の方法に従って又は準じて測定することができる:
被検物質250 mg(乾燥重量)をバイアル中の試験液(純水、0.1M NaOH水溶液、0.3M NaOH水溶液)10 mLに懸濁する。バイアルを20秒間、手で激しく振った後、およびシェーカーで80 rpmで1時間振盪した後に、それぞれバイアル中の液の660 nmにおける吸光度を測定する。なお、吸光度の測定は、日本分光株式会社製分光光度計 V-730を用いて行う。
【0054】
繊維化パラミロンの結晶化度の粒状パラミロンに対する相対値(繊維化パラミロンの結晶化度/粒状パラミロンの結晶化度)は、例えば0.60~0.90、好ましくは0.65~0.80である。
【0055】
結晶化度は以下の方法に従って又は準じて測定することができる:
被検物質について、XRD測定する。条件は次のとおりである。機器:PANalytical X’Pert3 Powder、管電圧:45kV、管電流:40mA、測定範囲:5.005~50.018°、測定間隔:0.013°、解析ソフト:HighScore。結晶化度は2θ=5~80°における非晶質部の強度と結晶部の強度の比により解析する。解析は各測定テ一夕から装置によるバックグラウンドを除去(バックグラウンド設定Auto、ベンティングファクター0、粒状度100)した後に実施し、非晶質部は2θ=14、29°を通る接線で決定する。それぞれの非晶質部を決定するペンディングファクターと粒状度の条件は、0/20とする。
【0056】
繊維化パラミロンは、水などの溶媒に分散した形態であってもよいし、乾燥形態であってもよい。繊維化パラミロンは、乾燥形態であっても、水に再分散することが可能である。
【0057】
なお、本明細書において、「乾燥形態」とは、水分含量が15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であることを示す。
【0058】
繊維化パラミロンとしては、好ましくはこのパラミロン粒子を物理的に解繊処理して得られる、パラミロン粒子の解繊物を用いることができる。また、この解繊処理をユーグレナに適用することによって得られる、ユーグレナの解繊処理物を、繊維化パラミロンとして用いることもできる。
【0059】
解繊処理は、パラミロン粒子中に存在するβ-1,3グルカンの水素結合をほとんど切断せずに(例えば、β-1,3グルカンの水素結合の10%以下、5%以下、2%以下、1%以下しか切断せずに)解繊することができる処理、又はパラミロン粒子中に存在するβ-1,3-グルカン鎖又はこれが形成する3重螺旋構造体の一部又は全部を解くことができる処理である限り特に制限されない。好ましくはパラミロン粒子中に存在するβ-1,3グルカンの水素結合をほとんど切断せずに解繊処理し、繊維状とすることが好ましい。パラミロン粒子の様な微粒子を摩砕(せん断)又は粉砕(好ましくは摩砕(せん断))することができる公知の処理を、解繊処理として採用することができる。
【0060】
解繊処理は、公知の摩砕機(せん断機)、粉砕機などの装置を用いて行うことができる。解繊処理に用いる装置としては、例えば石臼式摩砕機、ジェットミル、二軸混練機、高圧ホモジナイザー、高圧乳化機、二軸押し出し機、ビーズミルなどが挙げられる。これらの中でも、好ましくは石臼式摩砕機やビーズミルが挙げられる。
【0061】
解繊処理は、湿式で行うことも、乾式で行うこともできる。湿式で解繊処理を行う方が、繊維化パラミロンをより効率的に溶液中に分散させることが可能となり、好ましい。湿式で行う場合の溶媒としては、繊維化パラミロンを分散可能な溶媒である限り特に制限されず、水を好適に用いることができる。
【0062】
解繊処理は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。また、一部が解繊処理されたパラミロンであってもよく、解繊処理されたパラミロンを含む限り本発明の意図するものである。
【0063】
5.用途
ユーグレナ、パラミロン、パラミロン加工物、及びβ-1,3-グルカンからなる群より選択される少なくとも1種(以下、「本発明の有効成分」と示すこともある。)は、形質細胞様樹状細胞活性化作用を有することから、形質細胞様樹状細胞活性化剤の有効成分として利用することができる。
【0064】
形質細胞様樹状細胞(pDC:プラズマサイトイド樹状細胞(plasmacytoid dendritic cells))は、CD123 陽性且つBDCA4陽性の細胞として定義することができる。形質細胞様樹状細胞の活性化は、形質細胞様樹状細胞における活性化マーカー(HLA-DR等)の発現上昇、樹状細胞中の形質細胞様樹状細胞の割合等を指標として判断することができる。形質細胞様樹状細胞の選別、活性化マーカーの発現測定は、表面タンパク質に対する抗体で染色した上でFACS解析、マスサイトメトリー等をすることにより行うことができる。
【0065】
形質細胞様樹状細胞は、活性化すると、I型インターフェロンの産生量が向上する。I型インターフェロンとしては、例えばインターフェロン-α、インターフェロン-β等が挙げられる。本発明の有効成分、本発明の剤は、ウイルス非感染時及びウイルス感染時のI型インターフェロンの産生を促進することができる。このため、本発明の有効成分、本発明の剤は、I型インターフェロン産生促進のために用いることができる。本発明は、その一態様において、本発明の有効成分を含有する、I型インターフェロン産生促進剤に関する。本明細書において、この剤も、上述の形質細胞様樹状細胞活性化剤と合わせて、「本発明の剤」と示すこともある。
【0066】
本発明の有効成分、本発明の剤は、形質細胞様樹状細胞の活性化、I型インターフェロン産生促進に基づいて、抗ウイルス作用を発揮することができる。I型インターフェロンは、ウイルス複製阻害機構の活性化作用、CD8+T細胞、CD4+T細胞、B細胞等の獲得免疫系の活性化作用、NK細胞の活性化作用等を有し、ウイルス増殖阻害作用、生体からのウイルス排除作用、ウイルス感染初期及び後期の免疫応答促進作用等を発揮することができる。本発明の有効成分、本発明の剤は、抗ウイルスのために、又はウイルス感染症の予防又は改善のために用いることができる。なお、「改善」とは、症状又は状態の好転又は緩和、症状又は状態の悪化の防止又は遅延、症状又は状態の進行の逆転、防止又は遅延を意味し、「治療」を包含する。
【0067】
対象ウイルスとしては、特に制限されない。ウイルスとしては、例えばインフルエンザウイルス(例えばA型、B型等)、風疹ウイルス、エボラウイルス、コロナウイルス、麻疹ウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、ムンプスウイルス、アルボウイルス、RSウイルス、SARSウイルス、肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス等)、黄熱ウイルス、エイズウイルス、狂犬病ウイルス、ハンタウイルス、デングウイルス、ニパウイルス、リッサウイルス等のエンベロープウイルス(エンベロープを有するウイルス); アデノウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス、ヒトパピローマウイルス、ポリオウイルス、エンテロウイルス、コクサッキーウイルス、ヒトパルボウイルス、脳心筋炎ウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルス等の非エンベロープウイルス(エンベロープを有さないウイルス)等が挙げられる。
【0068】
コロナウイルスは、オルトコロナウイルス亜科に属するウイルスである。コロナウイルスとしては、アルファコロナウイルス属、ベータコロナウイルス属、ガンマコロナウイルス属、デルタコロナウイルス属等が挙げられる。ベータコロナウイルス属としては、SARS関連コロナウイルス(SARSr-CoV)、広コロナウイルスHKU1、MERSコロナウイルス等が挙げられる。SARSr-CoVとしては、SARS-CoV-2、SARS-CoV-1等が挙げられる。
【0069】
さらには、本発明の有効成分は、以下に列挙する用途、目的、対象:
(a)免疫機能を維持する・高める・サポートする
(b)免疫機能の維持をサポートする
(c)免疫力を維持する・高める・サポートする
(d)免疫を維持する・高める・サポートする
(e)プラズマサイトイド樹状細胞に働きかける
(f)プラズマサイトイド樹状細胞の働きを維持する・高める・サポートする
(g)プラズマサイトイド樹状細胞を活性化させる
(h)プラズマサイトイド樹状細胞の活性を維持する・高める
(i)免疫の司令塔を活性化させる
(j)免疫の司令塔の活性化をサポートする
(k)免疫の司令塔の働きを維持する・高める・サポートする
(l)免疫細胞全体を活性化させる
(m)免疫細胞全体の活性化をサポートする
(n)I型インターフェロンの産生を促進する
(o)プラズマサイトイド樹状細胞数の維持/向上
(p)プラズマサイトイド樹状細胞への分化維持/促進
等に利用することもできる。
【0070】
本発明の剤は、各種分野において、例えば食品組成物(健康食品、健康増進剤、栄養補助食品(サプリメントなど)を包含する)、食品添加剤、化粧品、化粧品添加剤、医薬、試薬、飼料などとして用いることができる。本発明の剤は、好ましくは経口組成物である。
【0071】
本発明の剤の形態は、特に限定されず、用途に応じて、各用途において通常使用される形態をとることができる。
【0072】
本発明の剤の形態としては、用途が食品組成物の場合は、液状、ゲル状あるいは固形状の食品、例えばジュース、清涼飲料、茶、スープ、豆乳などの飲料、サラダ油、ドレッシング、ヨーグルト、ゼリー、プリン、ふりかけ、育児用粉乳、ケーキミックス、乳製品(例えば、粉末状、液状、ゲル状、固形状等)、パン、菓子(例えば、クッキー等)などが挙げられる。
【0073】
本発明の剤の形態としては、用途が化粧品である場合は、例えば乳液、化粧液、フェイスクリーム、ハンドクリーム、ローション、ボディソープ、シャンプー、リンス、化粧用ゲル、パック、ファンデーション、リップクリーム、洗顔剤等が挙げられる。
【0074】
本発明の剤の形態としては、用途が医薬である場合は、例えば軟膏剤、外用液剤(リニメント剤、ローション剤等)、スプレー剤(外用エアゾール剤、ポンプスプレー剤等)、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤(プラスター剤、硬膏剤等のテープ剤(リザーバー型、マトリックス型等)、パップ剤、パッチ剤、マイクロニードル等)、点眼剤、眼軟膏剤、点鼻剤、坐剤、直腸用半固形剤、注腸剤等の非経口摂取に適した製剤形態(特に、外用製剤形態); 錠剤(口腔内側崩壊錠、咀嚼可能錠、発泡錠、トローチ剤、ゼリー状ドロップ剤などを含む)、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、ドライシロップ剤、液剤(ドリンク剤、懸濁剤、シロップ剤を含む)、ゼリー剤などの経口摂取に適した製剤形態(経口製剤形態)が挙げられる。
【0075】
本発明の剤の形態としては、用途が添加剤、健康増進剤、栄養補助食品(サプリメントなど)などである場合は、例えば錠剤(口腔内側崩壊錠、咀嚼可能錠、発泡錠、トローチ剤、ゼリー状ドロップ剤などを含む)、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、ドライシロップ剤、液剤(懸濁剤、シロップ剤を含む)、ゼリー剤などが挙げられる。
【0076】
本発明の剤は、必要に応じてさらに他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、食品組成物(健康食品、健康増進剤、栄養補助食品(サプリメントなど)を包含する)、食品添加剤、化粧品、化粧品添加剤、医薬、試薬、飼料などに配合され得る成分である限り特に限定されるものではないが、例えば基剤、担体、溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、増粘剤、着色料、香料、キレート剤などが挙げられる。
【0077】
本発明の剤における有効成分の含有量は、用途、使用態様、適用対象の状態などに左右されるものであり、限定はされないが、例えば0.0001~100質量%、好ましくは0.001~50質量%とすることができる。
【0078】
本発明の剤の適用(例えば、投与、摂取、接種など)量は、形質細胞様樹状細胞活性化作用を発現する有効量であれば特に限定されず、通常は、有効成分の乾燥重量として、一般に1日あたり0.1~10000 mg/kg体重である。上記適用量は1日1回以上(例えば1~3回)に分けて適用するのが好ましく、年齢、病態、症状により適宜増減することもできる。
【0079】
本発明の好ましい一態様において、ユーグレナ適用量(乾燥重量)は、1日あたり、好ましくは100~10000mg、より好ましくは1000~7000mg、さらに好ましくは2000~5000mgである。適用期間は、好ましくは1週間以上、より好ましくは4週間以上、さらに好ましくは8週間以上である、さらに長期間(10週間以上、15週間以上、又は20週間以上)適用することも可能である。本発明の有効成分は天然由来であり安全性が高いので適用期間の上限は特に制限されないが、例えば3年間、1年間、6ヶ月間、4ヶ月間である。
【実施例0080】
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0081】
製造例1
ユーグレナ・グラシリスEOD-1株(独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター(NITE-IPOD)の乾燥粉末(神鋼環境ソリューション製、パラミロン含有率70%以上)を下記配合でカプセル錠(カプセル構成成分:プルラン及びコウリャン色素)としたものを被験食とし、対照食としてセルロースを配合したカプセル錠(カプセル構成成分:プルラン及びコウリャン色素)を製造した。
【0082】
【表1】
【0083】
試験例1
試験概要は以下のとおりである。
・試験食摂取期間 : 12週間
・試験食の摂取量 : 15カプセル/day(朝食、昼食、夕食の食前それぞれに5カプセルずつ)
・被験者 :8名(表2)。
【0084】
【表2】
【0085】
試験食は被験食と対照食(プラセボ)の2種類(製造例1)とし、被験食はユーグレナグラシリスEOD-1株含有食品、対照食(プラセボ)はユーグレナグラシリスEOD-1株非含有食品とした。
【0086】
試験食を1日15カプセル(1日3回:朝食、昼食、夕食の食前それぞれに5カプセルずつ)摂取させ、これを12週間継続させた。15カプセル中の原料の合計含有量は次のとおりである。被験食:ユーグレナグラシリスEOD-1株3.75g含有(パラミロンとして2.6g含有)。対照食:セルロース2.6g含有。
【0087】
試験終了時(摂取開始から12週間経過時)に、被験者それぞれから、BD バキュテイナCPTTM単核球分離用採血管(日本 BD)を用いて、血液を採取した。血液から末梢血単核球 (peripheral blood mononuclear cells ;PBMC)の単離を行い、得られたPBMCを1mLのCELLBANKER 1(日本全薬工業)に懸濁したのち、測定日まで-80 ℃で保存した。凍結したPBMCを融解後、FITC anti-human CD123 (Bio Legend)、APC anti-human BDCA-4 (Bio Legend)、Per Cp-CyTM Anti-Human HLA-DR (BD Biosciences)で染色を行い、FACS buffer(0.5% BSA in PBS buffer)で洗浄後、4%パラフォルムアルデヒドで固定し、BD FACS ViaTM Flow Cytometer (日本BD)を用いて測定を行った。BD FACS ViaTM Reserch Software (日本BD)を用い、CD123 陽性かつ BDCA4陽性の細胞を形質細胞様樹状細胞(pDC)と定義し、pDCにおけるHLA-DRの発現強度(Mean Fluorescence Intensity; M. F. I.)を解析した。
【0088】
結果を図1に示す。対照食摂取群に比べて、被験食摂取群では、pDCにおけるHLA-DRの発現量が高かった。HLA-DRはpDC活性化の指標であることが知られている。このことから、被験食摂取によりpDCが活性化することが分かった。なお、上記結果は、ユーグレナが含むパラミロンに起因すると推察された。
【0089】
試験例2
試験概要は以下のとおりである。
・試験食摂取期間 : 12週間
・試験食の摂取量 : 2カプセル/day
・被験者 :50歳以上65歳未満の男女23名(被験食群12名、対照食群11名)。
【0090】
試験食は被験食と対照食(プラセボ)の2種類(製造例1)とし、被験食はユーグレナグラシリスEOD-1株含有食品、対照食(プラセボ)はユーグレナグラシリスEOD-1株非含有食品とした。
【0091】
試験食を1日2カプセル摂取させ、これを12週間継続させた。2カプセル中の原料の合計含有量は次のとおりである。被験食:ユーグレナグラシリスEOD-1株444mg含有(パラミロンとして350mg含有)。対照食:セルロース350 mg含有。
【0092】
試験食摂取開始前および12週間摂取後に、被験者それぞれから、ヘパリン採血管を用いて、血液5mLを採血し、ヘパリン加全血とした。遠心分離によりPBMCを単離し、Maxpar Direct Immune Profiling Assay kit(フリューダイム社)を用いてPBMCの染色を行った。マスサイトメトリーにより、樹状細胞中の形質細胞様樹状細胞(pDC)の割合を測定した。マスサイトメトリーによる測定は、Helios(フリューダイム社)にて実施した。データ解析は、Flow Joソフトウェア(BD社)を用いた。試験食摂取開始前の樹状細胞中のpDCの割合(%)の平均値から、12週間摂取後の樹状細胞中のpDCの割合(%)の平均値を減じて、得られた値を変化量(%)とした。
【0093】
結果を表3に示す。表3中、p値はウェルチのt検定によるp値を示す。
【0094】
【表3】
【0095】
対照食群では変化量(%)が-8.80であったのに対して、被験食群では変化量(%)は-2.86であった。このことから、ユーグレナが、樹状細胞中のpDCの割合の減少傾向を抑制する(すなわち、当該割合を向上させる=pDC全体の活性の向上)作用を有することが分かった。なお、上記結果は、ユーグレナが含むパラミロンに起因すると推察された。
図1