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  • 特開-動物飼料組成物及び使用方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053979
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】動物飼料組成物及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   A23K 10/30 20160101AFI20230406BHJP
   A23K 50/10 20160101ALI20230406BHJP
   A01H 5/00 20180101ALI20230406BHJP
   A01H 6/46 20180101ALI20230406BHJP
   A01H 5/10 20180101ALI20230406BHJP
   C12N 15/56 20060101ALN20230406BHJP
   C12N 15/31 20060101ALN20230406BHJP
【FI】
A23K10/30
A23K50/10
A01H5/00 A ZNA
A01H6/46
A01H5/10
C12N15/56
C12N15/31
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023010163
(22)【出願日】2023-01-26
(62)【分割の表示】P 2019559722の分割
【原出願日】2018-04-30
(31)【優先権主張番号】62/492,609
(32)【優先日】2017-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519295993
【氏名又は名称】シンジェンタ パーティシペーションズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】ドルイラード ジェイムズ エス
(72)【発明者】
【氏名】ホートン ルーカス マイケル
(57)【要約】
【課題】耐熱性の組み換えα-アミラーゼを発現するトランスジェニック植物又は植物部位に由来する植物材料を含む動物飼料組成物を提供すること。飼料利用率を向上させ、且つ肝膿瘍を低減させる方法をさらに提供すること。蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物を生産する方法及びこれにより生産された蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物を提供すること。
【解決手段】耐熱性の組み換えα-アミラーゼを発現するトランスジェニック植物又は植物部位に由来する植物材料を含む動物飼料組成物を提供する。飼料利用率を向上させ、且つ肝膿瘍を低減させる方法をさらに提供する。蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物を生産する方法及びこれにより生産された蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物も提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫された畜牛における肝膿瘍を低減する方法であって、
a)畜牛に動物飼料組成物を給餌する工程であって、前記動物飼料組成物が、耐熱性の組み換え微生物α-アミラーゼを発現するトランスジェニック植物又は植物部位に由来する植物材料を含む、工程;及び
b)前記畜牛を収穫する工程
を含む方法。
【請求項2】
前記微生物α-アミラーゼが、配列番号1のアミノ酸配列に対する少なくとも80%の同一性を有するポリペプチド又は配列番号2、配列番号3、配列番号4及び/若しくは配列番号5のヌクレオチド配列に対する少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記トランスジェニック植物又は植物部位が、前記植物材料の約1重量%~約100重量%を占める、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記植物材料が、前記動物飼料組成物の約5重量%~約100重量%を占める、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記植物材料が、トウモロコシである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記トウモロコシが、トウモロコシ事象3272を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記トウモロコシが、蒸気圧ぺんされている、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記畜牛が、肉用種牛である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記畜牛が、フィードロット牛である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記畜牛が、酪牛である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法によって生産される収穫された畜牛の枝肉であって、前記収穫された畜牛の枝肉ga、前記収穫された動物の肝臓を含み、耐熱性の組み換え微生物α-アミラーゼを発現するトランスジェニック植物又は植物部位に由来する植物材料が給餌されていない対照畜牛からの枝肉と比べて、前記収穫された畜牛の枝肉における肝膿瘍の発生数が低減されている、収穫された畜牛の枝肉。
【請求項12】
動物飼料を生産する方法であって、
a)耐熱性の組み換え微生物α-アミラーゼを含むトランスジェニックトウモロコシ穀粒を提供する工程;及び
b)前記トウモロコシ穀粒を蒸気圧ぺんして、蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物を生産する工程
を含む方法。
【請求項13】
スループット速度が、耐熱性の組み換え微生物α-アミラーゼを含まない対照トウモロコシ穀粒と比べて増加されている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記トランスジェニックトウモロコシ穀粒を蒸気圧ぺんするための時間が、前記対照トウモロコシ穀粒と比べて短縮されている、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物におけるデンプンの消化率が、前記対照トウモロコシ穀粒から生産される対照蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物におけるデンプンの消化率と比べて増加されている、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物が、前記対照トウモロコシ穀粒から生産される対照蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物と比べて減少した幾何平均粒径を有する、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記トランスジェニックトウモロコシ穀粒が、トウモロコシ事象3272を含む、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
請求項12~17のいずれか一項に記載の方法によって生産される、蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物。
【請求項19】
畜牛に給餌された場合、対照蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物の利用率と比べてより効率的に利用される、請求項18に記載の蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物。
【請求項20】
畜牛に給餌された場合、実質的に同様のデンプン利用率を有する対照蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物の利用率と比べてより効率的に利用される、請求項19に記載の蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年5月1日に出願された米国仮特許出願第62/492609号明細書の利益を主張するものであり、その開示は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
配列表の電子提出に関する陳述
2018年4月26日に作成され、EFS-WEBを介して提出された、15,179バイトのサイズで“81324_ST25.txt”という名称である、米国特許法施行規則(37 CFR)第1.821条の下で提出されたASCIIテキスト形式の配列表が紙のコピーの代わりに提供される。この配列表は、その開示のために参照により本明細書に援用される。
【0003】
本発明は、動物飼料組成物並びにそれを製造及び使用する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
動物飼料は、(1)濃縮物又は化合物飼料及び(2)粗飼料の2つの群に分類することができる。脂肪、穀物及びそれらの副産物(オオムギ、トウモロコシ、オートムギ、ライムギ、コムギ)、高タンパク質油かす(oil meal)又は油かす(oil cake)(ダイズ、キャノーラ、綿実、ピーナッツなど)並びにペレット又は屑の形態で生成され得る、サトウダイコン、サトウキビ、動物及び魚類の加工からの副産物を含む濃縮物又は化合物飼料はエネルギー値が高い。濃縮物又は化合物飼料は、その他のあらゆる食料として提供され得るものを補給して1日に必要な食品の必要量の全てを提供することができ、又は食料の一部を提供することができる点で完全であり得る。粗飼料としては、牧草、干し草、サイレージ、根菜作物、わら及び茎葉(トウモロコシ茎葉)が挙げられる。
飼料は、食糧生産用の動物の飼育の最も大きいコストを占める。従って、本発明は、動物飼料利用の効率を向上させ、それによって生産のコストを削減するための組成物及び方法に関する。
【0005】
加えて、フィードロット牛において、化膿菌によって引き起こされる肝膿瘍は、一般的である。肝膿瘍の罹患率は、低飼草/高濃縮物の食餌によって増加する。フィードロット牛における肝膿瘍を低減させることで生体重、枝肉(carcass)重量、枝肉歩留り(dressing percentage)及び枝肉トリムの向上がもたらされる。重度の肝膿瘍に罹った畜牛は、追加の枝肉トリミングが必要であり得、いくつかの事例では内臓全部の廃棄処分が必要であり得る。膿瘍が破裂すると、枝肉が汚染されて、枝肉のフローの中断、時間の損失、コストの増加及び労力の増加がもたらされる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2016/164732号
【特許文献2】特開2016-153406号公報
【特許文献3】特開昭49-069456号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、微生物α-アミラーゼを含む動物飼料組成物及び畜牛における肝膿瘍を低減させるための動物飼料組成物の使用方法を提供する。いくつかの態様において、微生物α-アミラーゼは、配列番号1のアミノ酸配列に対する少なくとも約80%の同一性を有するポリペプチド又は配列番号2、配列番号3、配列番号4及び/若しくは配列番号5のヌクレオチド配列に対する少なくとも約80%の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドを含む。いくつかの態様において、動物飼料組成物は、微生物α-アミラーゼを発現する蒸気圧ぺん(steam-flaked)トウモロコシを含む。微生物α-アミラーゼを発現するトランスジェニックトウモロコシ植物からトウモロコシ穀粒を蒸気圧ぺんすることにより、蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物を生産する方法及びこれにより生産された蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】各処理に係る肝膿瘍の重症度とHCWとの関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
文脈上特に示されない限り、本明細書に記載される本発明の様々な特徴が任意の組合せで使用され得ることが特に意図される。
【0010】
さらに、本発明は、本発明のある実施形態において、本明細書に記載される任意の特徴又は特徴の組合せが除外又は省略され得ることも想定している。例示するために、組成物が成分A、B及びCを含むことを本明細書が記載している場合、A、B又はCのいずれか又はそれらの組合せが単独で又は任意の組合せで除外され、特許請求されないことがあることが特に意図される。
【0011】
特に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書における本発明の説明に使用される専門用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定することは意図されない。
【0012】
本発明の明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される際、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈上特に明記されない限り、複数形も含むことが意図される。
【0013】
本明細書において使用される際、「及び/又は」は、関連する列挙される項目の1つ又は複数のあらゆる可能な組合せ並びに代替(「又は」)として解釈されるときには組合せの欠如を指し、それらを包含する。
【0014】
本明細書において使用される際の「約」という用語は、投与量、量又は期間などの測定可能な値に言及するとき、規定の量(例えば、増加した体重又は提供される飼料の量)の±20%、±10%、±5%、±1%、±0.5%、或いは±0.1%の変動を包含することが意図される。
【0015】
本明細書において使用される際、「X~Y」及び「約X~Y」などの語句は、X及びYを含むものと解釈されるべきである。本明細書において使用される際、「約X~Y」などの語句は、「約X~約Y」を意味する。本明細書において使用される際、「約XからYまで」などの語句は、「約Xから約Yまで」を意味する。
【0016】
本明細書において使用される際の「含む(comprise)」、「含む(comprises)」及び「含むこと」という用語は、記載される特徴、整数、工程、動作、要素及び/又は成分の存在を規定するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、工程、動作、要素、成分及び/又はそれらの群の存在又は追加を除外しない。
【0017】
本明細書において使用される際、「から本質的になる」という移行句は、特許請求の範囲が、特許請求の範囲に記載される規定の材料又は工程及び特許請求される本発明の基本的及び新規な特徴に実質的に影響を与えないものを包含するものと解釈されることを意味する。従って、本発明の特許請求の範囲において使用されるときの「から本質的になる」という用語は、「含む」と均等であると解釈されることが意図されない。
【0018】
本発明は、動物飼料利用の効率を向上させ、それによって生産のコストを削減するための組成物及び方法に関する。本発明者らは、微生物α-アミラーゼを含む動物飼料組成物を供給された動物が、前記飼料組成物を供給されない動物と比較して平均1日体重増加又は成長速度の増大、飼料利用の効率の増大を有することができ、又は所望の体重を達成するための減少された日数を必要とすることを意外にも発見した。
【0019】
従って、本発明の一態様において、微生物α-アミラーゼを含む動物飼料組成物が提供される。本発明のさらなる態様において、微生物α-アミラーゼは、配列番号1のアミノ酸配列に対する少なくとも80%の同一性を有するポリペプチド又は配列番号2、配列番号3、配列番号4及び/又は配列番号5のヌクレオチド配列に対する少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドを含む。ある実施形態において、α-アミラーゼは液体である。従って、本発明のある実施形態において、本発明の動物飼料組成物は、動物に提供される飼料に添加され得る液体微生物α-アミラーゼを含む栄養補助食品であり得る。
【0020】
別の態様において、本発明は、植物材料を含む動物飼料組成物であって、植物材料が、発現された組み換えα-アミラーゼを含む、動物飼料組成物を提供する。ある特定の実施形態において、発現された組み換えα-アミラーゼは、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び/又は配列番号5のヌクレオチド配列に対する少なくとも約80%の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされ、又は配列番号1のアミノ酸配列に対する少なくとも約80%の同一性を有するポリペプチドを含む。従って、さらなる実施形態において、本発明は、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び/又は配列番号5のヌクレオチド配列に対する少なくとも約80%の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされ、又は配列番号1のアミノ酸配列に対する少なくとも約80%の同一性を有するポリペプチドを含む組み換えα-アミラーゼを含むトランスジェニック植物又は植物部位に由来する植物材料を含む動物飼料組成物を提供する。
【0021】
特定の実施形態において、トランスジェニック植物又は植物部位は、植物材料の約1重量%~約100重量%を占め得る。従って、例えば、トランスジェニック植物又は植物部位は、植物材料の重量基準で約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%など、又はその中の任意の範囲を占め得る。従って、ある実施形態において、植物材料は、1つ又は複数の異なるタイプの植物を含み得る。従って、例えば、植物材料は、組み換え又は異種(例えば、微生物)α-アミラーゼが発現された植物に由来し得る。他の実施形態において、植物材料は、組み換え又は異種(例えば、微生物)α-アミラーゼが発現された植物に由来する材料及び前記組み換え又は異種α-アミラーゼを発現しない植物(例えば、商品植物)に由来する材料を含むか、それから本質的になるか又はそれからなる。従って、ある実施形態において、植物材料が、組み換え又は異種(例えば、微生物)α-アミラーゼが発現された植物に由来する材料及び前記組み換え又は異種α-アミラーゼを発現しない植物(例えば、商品植物)に由来する材料を含むとき、組み換え又は異種(例えば、微生物)α-アミラーゼが発現された植物に由来する材料は、植物材料の約1重量%~約99重量%を占めることができ、前記組み換え又は異種α-アミラーゼを発現しない植物に由来する材料は、植物材料の約99重量%~約1重量%を占め得る。
【0022】
さらなる実施形態において、植物材料は、動物飼料組成物の約5重量%~約100重量%を占め得る。従って、例えば、植物材料は、動物飼料組成物の重量基準で約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%など、及び/又はその中の任意の範囲を占め得る。
【0023】
本発明の動物飼料は、本発明で有用である任意の形態であり得る。従って、ある実施形態において、動物飼料の形態は、限定はされないが、ペレット、混合された1つ又は複数のタイプの穀粒(すなわち混粒)を含む穀粒、穀粒とペレットとの混合物、サイレージ、乾燥圧延されたもの、蒸気圧ぺんされたもの、全粒、粗挽きした穀粒(例えば、粗挽きしたトウモロコシ)、高水分トウモロコシ及び/又はそれらの任意の組合せであり得る。ある実施形態において、動物飼料は、粗挽きした穀粒、湿潤蒸留穀物残渣(distillers grain)、乾燥蒸留穀物残渣、トウモロコシサイレージ、栄養補助食品/液体栄養補助食品、トウモロコシグルテン飼料及び/又は粉砕干し草を含むがこれらに限定されない他の成分を含み得る。
【0024】
本明細書において使用される際、「植物材料」という用語は、胚乳、胚(胚芽)、果皮(ふすま)、茎(茎頂)、花粉、胚珠、種子(穀粒)、葉、花、枝、茎、果実、穀粒、穂、穂軸、外皮、柄、根、根端、葯、植物及び/又は植物の部位において無傷である植物細胞を含む植物細胞、植物プロトプラスト、植物組織、植物細胞組織培養物、植物カルス、植物塊などを含むがこれらに限定されない任意の植物部位を含む。さらに、本明細書において使用される際、「植物細胞」は、細胞壁を含む、植物の構造的及び生理的単位を指し、プロトプラストを指すこともある。本発明の植物細胞は、単離された単一細胞の形態であり得、若しくは培養細胞であり得、又は例えば、植物組織若しくは植物器官などの高度に組織化された単位の一部であり得る。「プロトプラスト」は、細胞壁を有さない又は細胞壁の一部のみを有する単離された植物細胞である。従って、本発明のある実施形態において、本発明のヌクレオチド配列によってコードされる組み換えα-アミラーゼを含むトランスジェニック植物又は植物部位は、本発明のヌクレオチド配列によってコードされる前記組み換えα-アミラーゼを含む細胞を含み、細胞は、根細胞、葉細胞、組織培養物細胞、種子細胞、花細胞、果実細胞、花粉細胞などを含むがこれらに限定されない、任意の植物又は植物部位の細胞である。代表的な実施形態において、植物材料は、種子又は穀粒であり得る。
【0025】
植物材料は、任意の植物に由来し得る。ある実施形態において、植物材料は、組み換え又は異種(例えば、微生物)α-アミラーゼが発現され得る植物に由来する。さらに、本明細書に記載されるように、他の実施形態において、植物材料は、組み換え又は異種(例えば、微生物)α-アミラーゼが発現された植物及び前記組み換え又は異種α-アミラーゼを発現しない植物(例えば、商品植物)に由来する植物材料の混合物であり得る。従って、代表的な実施形態において、植物材料は、通常の「商品」植物材料(例えば、商品トウモロコシ)と、組み換え又は異種α-アミラーゼを発現する本発明のトランスジェニック植物に由来する植物材料との混合物であり得る。
【0026】
従って、ある実施形態において、植物材料は、トウモロコシ植物、ソルガム植物、コムギ植物、オオムギ植物、ライムギ植物、オートムギ植物、コメ植物及び/又はキビ植物に由来し得る。代表的な実施形態において、植物材料は、トウモロコシ植物に由来し得る。他の実施形態において、植物材料は、トウモロコシ植物に由来する種子又は穀粒であり得る。特定の実施形態において、植物材料は、トウモロコシ事象(event)3272を含むトウモロコシ植物であり得る(米国特許第8,093,453号明細書を参照されたい)。
【0027】
ある実施形態において、本発明は、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び/又は配列番号5のヌクレオチド配列に対する約80%の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされ、又は配列番号1のアミノ酸配列に対する少なくとも約80%の同一性を有するポリペプチドを含む組み換えα-アミラーゼで安定に形質転換されたトランスジェニックトウモロコシ植物又は植物部位に由来する植物材料を含む「完全混合飼料」を提供する。本明細書において使用される際、「完全混合飼料」は、例えば、トランスジェニックトウモロコシ植物又は植物部位に由来する植物材料(例えば、トウモロコシ穀粒、粗挽きしたトウモロコシなど)、栄養補助食品及び添加剤、(例えば、ビタミン及びミネラル)及び/又は「粗飼料」(例えば、牧草、干し草、サイレージ、根菜作物、わら及び茎葉(トウモロコシ茎葉))を含む、個別の動物への24時間の飼料供給を意味し得る。
【0028】
ある実施形態において、トランスジェニックトウモロコシ植物又は植物部位に由来する植物材料は、完全混合飼料の約1重量%~約100重量%を占める。従って、例えば、トランスジェニック植物又は植物部位は、植物材料の重量基準で約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%など、及び/又はその中の任意の範囲を占め得る。
【0029】
他の実施形態において、本発明の完全混合飼料を含む動物飼料組成物が提供される。ある実施形態において、完全混合飼料は、動物飼料組成物の約5重量%~約100重量%を占め得る。従って、例えば、完全混合飼料は、動物飼料組成物の重量基準で約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%など、及び/又はその中の任意の範囲を占め得る。代表的な実施形態において、完全混合飼料は、動物飼料組成物の約50%を占める。
【0030】
さらに他の実施形態において、本発明は、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び/又は配列番号5のヌクレオチド配列に対する約80%の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされ、又は配列番号1のアミノ酸配列に対する少なくとも約80%の同一性を有するポリペプチドを含む組み換えα-アミラーゼで安定に形質転換されたトランスジェニックトウモロコシ植物又は植物部位に由来する植物材料を含むトウモロコシ飼料を提供する。本明細書において使用される際、「トウモロコシ飼料」は、個別の動物への24時間のトウモロコシ供給を意味する。
【0031】
ある実施形態において、トランスジェニックトウモロコシ植物又は植物部位に由来する植物材料は、トウモロコシ飼料の約1重量%~約100重量%を占める。従って、例えば、トランスジェニック植物又は植物部位は、植物材料の重量基準で約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%など、及び/又はその中の任意の範囲を占め得る。
【0032】
他の実施形態において、本発明のトウモロコシ飼料を含む動物飼料組成物が提供される。ある実施形態において、トウモロコシ飼料は、動物飼料組成物の約5重量%~約100重量%を占め得る。従って、例えば、トウモロコシ飼料は、動物飼料組成物の重量基準で約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%など、及び/又はその中の任意の範囲を占め得る。代表的な実施形態において、トウモロコシ飼料は、動物飼料組成物の約50%を占める。
【0033】
ある実施形態において、完全混合飼料は、動物飼料組成物の約10重量%~約40重量%であり得る湿潤トウモロコシグルテン飼料を含み得る。さらなる実施形態において、完全混合飼料は、動物飼料組成物の重量基準で約10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%であり得る湿潤トウモロコシグルテン飼料を含み得る。
【0034】
他の実施形態において、完全混合飼料は、動物飼料組成物の約5重量%~約25重量%であり得る可溶性物質添加改変蒸留穀物残渣を含み得る。さらなる実施形態において、完全混合飼料は、動物飼料組成物の重量基準で約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%であり得る可溶性物質添加改変蒸留穀物残渣を含み得る。
【0035】
他の実施形態において、完全混合飼料は、動物飼料組成物の約5重量%~約25重量%を占めることができる可溶性物質を伴う改変蒸留穀粒を含み得る。さらなる実施形態において、完全混合飼料は、動物飼料組成物の重量基準で約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%であり得る乾燥蒸留穀粒を含むことができる。
【0036】
さらなる実施形態において、完全混合飼料は、動物飼料組成物の約5重量%~約25重量%であり得る可溶性物質添加湿潤蒸留穀物残渣を含み得る。さらなる実施形態において、完全混合飼料は、動物飼料組成物の重量基準で約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%であり得る可溶性物質添加湿潤蒸留穀物残渣を含み得る。
【0037】
相同性を有する異なる核酸又はタンパク質は、本明細書において「相同体」と呼ばれる。相同体という用語は、同じ及び他の種に由来する相同配列並びに同じ及び他の種に由来するオーソロガス配列を含む。「相同性」は、位置同一性(すなわち配列類似性又は同一性)のパーセントに関して、2つ以上の核酸及び/又はアミノ酸配列の間の類似性のレベルを指す。相同性は、異なる核酸又はタンパク質の間の類似の機能特性の概念も指す。従って、本発明の組成物及び方法は、本発明のヌクレオチド配列及びポリペプチド配列(例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5)に対する相同体をさらに含む。本明細書において使用される際の「オーソロガス」は、種形成の際に共通の先祖遺伝子に由来する異なる種における相同ヌクレオチド配列及び/又はアミノ酸配列を指す。本発明の相同体は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4又は配列番号5に対する実質的配列同一性(例えば、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%及び/又は100%)を有する。
【0038】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び/又は配列番号5の相同体は、単独で又は互いに及び/又は配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び/又は配列番号5と組み合わせて、本発明の任意の飼料組成物又は方法と共に用いられ得る。
【0039】
本明細書において使用される際、「配列同一性」は、2つの最適にアラインメントされたポリヌクレオチド又はペプチド配列が成分、例えば、ヌクレオチド又はアミノ酸の一連のアラインメントにわたって不変である程度を指す。「同一性」は、Computational Molecular Biology(Lesk,A.M.,ed.)Oxford University Press,New York(1988);Biocomputing:Informatics and Genome Projects(Smith,D.W.,ed.)Academic Press,New York(1993);Computer Analysis of Sequence Data,Part I(Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.)Humana Press,New Jersey(1994);Sequence Analysis in Molecular Biology(von Heinje,G.,ed.)Academic Press(1987);及びSequence Analysis Primer(Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.)Stockton Press,New York(1991)に記載されているものを含むがこれらに限定されない公知の方法によって容易に計算され得る。
【0040】
本明細書において使用される際、「配列同一性パーセント」又は「同一性パーセント」という用語は、2つの配列が最適にアラインメントされているとき、試験(「対象」)ポリヌクレオチド分子(又はその相補鎖)と比較した参照(「問い合わせ」)ポリヌクレオチド分子(又はその相補鎖)の線形ポリヌクレオチド配列における同一のヌクレオチドのパーセンテージを指す。ある実施形態において、「同一性パーセント」は、アミノ酸配列における同一のアミノ酸のパーセンテージを指し得る。
【0041】
2つの核酸分子、ヌクレオチド配列又はタンパク質配列に関連して、「実質的に同一」という語句は、本明細書に記載され、当該技術分野において公知であるような以下の配列比較アルゴリズムのうちの1つを用いて、又は目視検査によって測定される際に最大一致性について比較及びアラインメントされるとき、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%のヌクレオチド又はアミノ酸残基同一性を有する2つ以上の配列又は部分配列を指す。本発明のある実施形態において、実質的同一性は、長さが少なくとも約50の残基~約200の残基、約50の残基~約150の残基などである配列の領域にわたって存在する。従って、本発明のある実施形態において、実質的同一性は、長さが少なくとも約50、約60、約70、約80、約90、約100、約110、約120、約130、約140、約150、約160、約170、約180、約190、約200又はそれを超える残基である配列の領域にわたって存在する。さらなる実施形態において、配列は、コード領域の全長にわたって実質的に同一である。さらに、代表的な実施形態において、実質的に同一のヌクレオチド又はタンパク質配列は、実質的に同じ機能(例えば、α-アミラーゼ活性)を果たす。従って、ある特定の実施形態において、配列は、少なくとも約150の残基にわたって実質的に同一であり、α-アミラーゼ活性を有する。
【0042】
配列比較のために、典型的に、1つの配列が試験配列を比較するための参照配列として機能する。配列比較アルゴリズムを用いる場合、試験及び参照配列をコンピュータに入力し、必要に応じて部分配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。次に、配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメータに基づいて、参照配列と比較した試験配列の配列同一性パーセントを計算する。
【0043】
比較ウインドウをアラインメントするための配列の最適なアラインメントは、当業者に周知であり、Smith及びWatermanの局所的相同性アルゴリズム、Needleman及びWunschの相同性アラインメントアルゴリズム、Pearson及びLipmanの類似法の探索などの手段により、且つ任意選択的にGCG(登録商標)Wisconsin Package(登録商標)(Accelrys Inc.,San Diego,CA)の一部として利用可能なGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTAなどのこれらのアルゴリズムのコンピュータ化された実施により行われ得る。試験配列及び参照配列のアラインメントされたセグメントの「同一性割合」は、2つのアラインメントされた配列が共有する同一の構成要素の数を参照配列セグメント、すなわち全参照配列又は参照配列のより小さい規定の部分における構成要素の総数で除算した値である。配列同一性パーセントは、同一性割合に100を乗算した値として表される。1つ又は複数のポリヌクレオチド配列の比較は、完全長のポリヌクレオチド配列若しくはその一部又はより長いポリヌクレオチド配列に及び得る。本発明の趣旨では、「同一性パーセント」はまた、翻訳されたヌクレオチド配列についてBLASTX version 2.0及びポリヌクレオチド配列についてBLASTN version 2.0を用いて決定され得る。
【0044】
BLAST分析を実施するソフトウェアは、the National Center for Biotechnology Informationによって公開されている。このアルゴリズムは、データベース配列中の同じ長さのワードとアラインメントされるときに一致するか又はいくつかの正の値の閾値スコアTを満たす、問い合わせ配列の長さWの短いワードを同定することによって高スコア配列対(HSP)をまず同定することを含む。Tは、隣接ワードスコア閾値と呼ばれる(Altschul et al.,1990.J.Mol.Biol.215:403)。これらの最初の隣接ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見つけるための検索を開始するためのシードとして機能する。次に、ワードヒットは、累積アラインメントスコアが増加され得る限り、各配列に沿って両方の方向に拡張される。累積スコアは、ヌクレオチド配列について、パラメータM(一致する残基の対のための報酬スコア;常に>0)及びN(不一致の残基のためのペナルティスコア;常に<0)を用いて計算される。アミノ酸配列について、スコアリングマトリックスを用いて累積スコアを計算する。累積アラインメントスコアがその最大達成値から量Xだけ下降したとき、累積スコアが1つ又は複数の負のスコアの残基アラインメントの累積のためにゼロ以下になったとき又はいずれかの配列の末端に達したとき、各方向におけるワードヒットの拡張は停止される。BLASTアルゴリズムパラメータW、T及びXは、アラインメントの感受性及び速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、11のワード長(W)、10の期待値(E)、100のカットオフ値、M=5、N=-4及び両方の鎖の比較をデフォルトとして使用する。アミノ酸配列について、BLASTPプログラムは、3のワード長(W)、10の期待値(E)及びBLOSUM62スコアリングマトリックスをデフォルトとして使用する(Henikoff&Henikoff,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915(1989)を参照されたい)。
【0045】
配列同一性パーセントの計算に加えて、BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性の統計的分析も実施する(例えば、Karlin&Altschul,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 90:5873-5787(1993)を参照されたい)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの尺度は、最小合計確率(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間の一致が偶然起こる確率の指標を提供する。例えば、参照ヌクレオチド配列との試験ヌクレオチド配列の比較における最小合計確率が約0.1未満~約0.001未満である場合、試験核酸配列は、参照配列と類似していると考えられる。従って、本発明のある実施形態において、参照ヌクレオチド配列との試験ヌクレオチド配列の比較における最小合計確率は約0.001未満である。
【0046】
2つのヌクレオチド配列は、2つの配列がストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズするとき、実質的に同一であるとも考えられ得る。ある代表的な実施形態において、実質的に同一であると考えられる2つのヌクレオチド配列は、高度にストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズする。
【0047】
サザン及びノーザンハイブリダイゼーションなどの核酸ハイブリダイゼーション実験に関連して、「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」及び「ストリンジェントなハイブリダイゼーション洗浄条件」は、配列依存性であり、異なる環境パラメータ下で異なる。核酸のハイブリダイゼーションの広範な指針は、Tijssen Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Acid Probes part I chapter 2“Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays”Elsevier,New York(1993)に見出される。一般に、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション及び洗浄条件は、規定のイオン強度及びpHにおいて特定の配列の熱融点(Tm)より約5℃低くなるように選択される。
【0048】
mは、標的配列の50%が完全に一致したプローブにハイブリダイズする温度(規定のイオン強度及びpH下で)である。非常にストリンジェントな条件は、特定のプローブのTmに等しくなるように選択される。サザン又はノーザンブロットにおいてフィルタ上に100を超える相補的残基を有する相補的ヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションのためのストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の一例は、42℃で1mgのヘパリンを含む50%のホルムアミドであり、このハイブリダイゼーションは一晩行われる。高度にストリンジェントな洗浄条件の一例は、約15分間にわたって72℃で0.15MのNaClである。ストリンジェントな洗浄条件の一例は、15分間にわたって65℃で0.2×SSCの洗浄である(SSC緩衝液の説明については、以下のSambrookを参照されたい)。多くの場合、バックグラウンドプローブ信号を除去するために、高度のストリンジェンシー洗浄前に低度のストリンジェンシー洗浄を行う。例えば、100を超えるヌクレオチドの二本鎖のための中程度のストリンジェンシー洗浄の一例は、15分間にわたって45℃で1×SSCである。例えば、100を超えるヌクレオチドの二本鎖のための低度のストリンジェンシー洗浄の一例は、15分間にわたって40℃で4~6×SSCである。短いプローブ(例えば、約10~50ヌクレオチド)について、ストリンジェントな条件は、典型的に、pH7.0~8.3で約1.0M未満のNaイオン、典型的に約0.01~1.0MのNaイオン濃度(又は他の塩)の塩濃度を含み、温度は、典型的に、少なくとも約30℃である。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加によって達成することもできる。一般に、特定のハイブリダイゼーションアッセイにおける非関連プローブについて観察されるものの2倍又はより高い信号対雑音比は、特定のハイブリダイゼーションの検出を示す。ストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズしないヌクレオチド配列は、それらがコードするタンパク質が実質的に同一である場合、依然として実質的に同一である。これは、例えば、ヌクレオチド配列のコピーが遺伝子コードによって許容される最大コドン縮重を用いて作成されるときに起こり得る。
【0049】
以下は、参照ヌクレオチド配列(例えば、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5)に対して実質的に同一である相同ヌクレオチド配列をクローニングするのに使用され得る一連のハイブリダイゼーション/洗浄条件の例である。一実施形態において、参照ヌクレオチド配列は、50℃で2×SSC、0.1%のSDS中で洗浄しながら、50℃で7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5MのNaPO4、1mMのEDTA中で「試験」ヌクレオチド配列にハイブリダイズする。別の実施形態において、参照ヌクレオチド配列は、50℃で1×SSC、0.1%のSDS中で洗浄しながら、50℃で7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5MのNaPO4、1mMのEDTA中又は50℃で0.5×SSC、0.1%のSDS中で洗浄しながら、50℃で7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5MのNaPO4、1mMのEDTA中で「試験」ヌクレオチド配列にハイブリダイズする。さらに他の実施形態において、参照ヌクレオチド配列は、50℃で0.1×SSC、0.1%のSDS中で洗浄しながら、50℃で7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5MのNaPO4、1mMのEDTA中又は65℃で0.1×SSC、0.1%のSDS中で洗浄しながら、50℃で7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5MのNaPO4、1mMのEDTA中で「試験」ヌクレオチド配列にハイブリダイズする。
【0050】
特定の実施形態において、2つのヌクレオチド配列又は2つのポリペプチド配列が実質的に同一であるというさらなる指標は、第1の核酸によってコードされるタンパク質が、第2の核酸によってコードされるタンパク質と免疫学的に交差反応性であるか、又はそれと特異的に結合することであり得る。従って、ある実施形態において、例えば、2つのポリペプチドが、保存的置換のみが異なる場合、ポリペプチドは第2のポリペプチドに対して実質的に同一であり得る。
【0051】
従って、本発明のある実施形態において、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び/又は配列番号5のヌクレオチド配列に対する実質的配列同一性を有するヌクレオチド配列が提供される。「実質的配列同一性」又は「実質的配列類似性」は、別のヌクレオチド配列との少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%及び/又は100%の同一性又は類似性を意味する。従って、さらに別の実施形態において、「実質的配列同一性」又は「実質的配列類似性」は、別のヌクレオチド配列との約70%~約100%、約75%~約100%、約80%~約100%、約81%~約100%、約82%~約100%、約83%~約100%、約84%~約100%、約85%~約100%、約86%~約100%、約87%~約100%、約88%~約100%、約89%~約100%、約90%~約100%、約91%~約100%、約92%~約100%、約93%~約100%、約94%~約100%、約95%~約100%、約96%~約100%、約97%~約100%、約98%~約100%及び/又は約99%~約100%の同一性又は類似性の範囲を意味する。従って、ある実施形態において、本発明のヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号3、配列番号4又は配列番号5のヌクレオチド配列に対する実質的配列同一性を有し、α-アミラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列である。ある実施形態において、本発明のヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号3、配列番号4又は配列番号5のヌクレオチド配列に対する80%~100%の同一性を有し、α-アミラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列である。代表的な実施形態において、本発明のヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号3、配列番号4又は配列番号5のヌクレオチド配列に対する95%の同一性を有し、α-アミラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列である。
【0052】
ある実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも70%同一、例えば、少なくとも70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%及び/又は100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなり、αアミラーゼ活性を有する。
【0053】
ある実施形態において、ポリペプチド又はヌクレオチド配列は、保存的に修飾された変異体であり得る。本明細書において使用される際、「保存的に修飾された変異体」は、配列中の単一のアミノ酸又はヌクレオチド又は少ないパーセンテージのアミノ酸又はヌクレオチドを改変、付加又は欠失させる個別の置換、欠失又は付加を含むポリペプチド及びヌクレオチド配列を指し、ここで、改変は、化学的に類似したアミノ酸によるアミノ酸の置換をもたらす。機能的に類似したアミノ酸を提供する保存的置換表は、当該技術分野において周知である。
【0054】
本明細書において使用される際、ポリペプチドの保存的に修飾された変異体は、生物学的に活性であり、従って、本明細書に記載されるように、参照ポリペプチド(例えば、α-アミラーゼ活性)の所望の活性を有する。変異体は、例えば、遺伝的多型又は人間の操作から生じ得る。参照ポリペプチドの生物学的に活性な変異体は、本明細書の他の箇所に記載されている配列アラインメントプログラム及びパラメータによって決定される際、参照ポリペプチドのアミノ酸配列に対して少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれを超える配列同一性又は類似性(例えば、約40%~約99%又はそれを超える配列同一性又は類似性及びその中の任意の範囲)を有し得る。活性な変異体は、1~15程度のアミノ酸残基、1~10程度、例えば6~10、5程度、4、3、2又はさらに1つ程度のアミノ酸残基だけ参照ポリペプチド配列と異なり得る。
【0055】
天然の変異体が集団内に存在し得る。このような変異体は、後述されるように、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)及びハイブリダイゼーションなどの周知の分子生物学技術を用いて同定され得る。合成的に誘導されたヌクレオチド配列、例えば、本発明のポリペプチドをコードする、部位特異的突然変異又はPCR媒介突然変異によって生成される配列も変異体として含まれる。置換、付加又は欠失がコードされたタンパク質中に導入されるように、1つ又は複数のヌクレオチド又はアミノ酸置換、付加又は欠失は、本明細書に開示されるヌクレオチド又はアミノ酸配列中に導入され得る。付加(挿入)又は欠失(切断)は、天然タンパク質のN末端又はC末端において、又は天然タンパク質の1つ若しくは複数の部位において行われ得る。同様に、1つ又は複数のヌクレオチド又はアミノ酸の置換は、天然タンパク質の1つ又は複数の部位において行われ得る。
【0056】
例えば、保存的アミノ酸置換は、1つ又は複数の予測される好ましくは非必須アミノ酸残基において行われ得る。「非必須」アミノ酸残基は、生物学的活性を改変せずにタンパク質の野生型配列から改変され得る残基であるが、「必須」アミノ酸は生物学的活性に必要とされる。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されたものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野において公知である。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。このような置換は、保存アミノ酸残基又は保存モチーフ内に存在するアミノ酸残基(ここで、このような残基はタンパク質活性に必須である)には行われない。
【0057】
例えば、参照ポリペプチドのアミノ酸配列変異体は、酵素をコードするヌクレオチド配列を突然変異させることによって作製され得る。得られた変異体は、植物中で組み換え的に発現され、当該技術分野において周知の方法を用いてα-アミラーゼ活性を分析することにより、生物学的活性を保持するものについてスクリーニングされ得る。突然変異及びヌクレオチド配列改変のための方法は、当該技術分野において公知である。例えば、Kunkel(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488-492;Kunkel et al.(1987)Methods in Enzymol.154:367-382;及びTechniques in Molecular Biology(Walker&Gaastra eds.,MacMillan Publishing Co.1983)及びその中で引用される参考文献;並びに米国特許第4,873,192号明細書を参照されたい。明らかに、変異体をコードするDNAにおいて行われる突然変異は、リーディングフレームを破壊してはならず、好ましくは、二次mRNA構造を産生し得る相補的領域を生成しない。欧州特許出願公開第75,444号明細書を参照されたい。該当するタンパク質の生物学的活性に影響を与えない適切なアミノ酸置換についての指針は、参照により本明細書に援用されるDayhoff et al.(1978)Atlas of Protein Sequence and Structure(米国立生物医学研究財団(National Biomedical Research Foundation)、Washington,D.C.)のモデルに見出される。
【0058】
本明細書に記載されるポリペプチドにおける欠失、挿入及び置換は、ポリペプチドの特性(例えば、ポリペプチドの活性)の根本的な変化を生じることは予想されない。しかしながら、それを行う前に置換、欠失又は挿入の厳密な影響を予測することが難しい場合、当業者は、該当する特定のポリペプチド活性(例えば、α-アミラーゼ活性)についてスクリーニングすることが可能な通例のスクリーニングアッセイによって影響を評価することができることを理解するであろう。
【0059】
ある実施形態において、本発明の組成物は、ポリペプチドの活性な断片を含み得る。本明細書において使用される際、「断片」は、α-アミラーゼのポリペプチド活性を保持する参照ポリペプチドの部分を意味する。断片は、参照ポリペプチドをコードする核酸分子の部分も意味する。ポリペプチドの活性な断片は、例えば、(例えばインビトロ組み換え発現によって)ポリペプチドのコードされた断片を発現するポリペプチドをコードする核酸分子の部分を単離し、断片の活性を評価することによって調製され得る。このような断片をコードする核酸分子は、少なくとも約150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100又は2200の連続ヌクレオチド若しくはその中の任意の範囲又は完全長ポリペプチドをコードする核酸分子中に存在するヌクレオチドの数までであり得る。従って、ポリペプチド断片は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、525、550、600、625、650、675若しくは700の連続アミノ酸残基又はその中の任意の範囲、或いは完全長ポリペプチド中に存在するアミノ酸残基の総数までであり得る。従って、ある実施形態において、本発明は、本発明のポリペプチド(例えば、配列番号1)の少なくとも約150の連続アミノ酸残基を含むか、それから本質的になるか又はそれからなり、α-アミラーゼ活性を有するポリペプチドを提供する。
【0060】
本明細書において使用される際、核酸分子及び/又はヌクレオチド配列(例えば、RNA又はDNA)に関して、「発現する(express)」、「発現する(expresses)」、「発現された」又は「発現」などの用語は、核酸分子及び/又はヌクレオチド配列が転写され、任意選択的に翻訳されることを示す。従って、核酸分子及び/又はヌクレオチド配列は、該当するポリペプチド又は機能性非翻訳RNAを発現又は産生し得る。
【0061】
「異種」又は「組み換え」ヌクレオチド配列は、天然ヌクレオチド配列の非天然の複数のコピーを含む、それが導入される宿主細胞に天然に関連していないヌクレオチド配列である。
【0062】
「天然」又は「野生型」核酸、ヌクレオチド配列、ポリペプチド又はアミノ酸配列は、天然又は内因性の核酸、ヌクレオチド配列、ポリペプチド又はアミノ酸配列を指す。従って、例えば、「野生型mRNA」は、生物中で自然に発生する又は生物に内在するmRNAである。「相同」核酸配列は、それが導入される宿主細胞と天然に関連しているヌクレオチド配列である。
【0063】
また、本明細書において使用される際、「核酸」、「核酸分子」、「ヌクレオチド配列」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、同義的に使用され、cDNA、ゲノムDNA、mRNA、合成(例えば、化学的に合成された)DNA又はRNA並びにRNA及びDNAのキメラを含む、RNA及びDNAの両方を包含し得る。ポリヌクレオチド、ヌクレオチド配列又は核酸という用語は、鎖の長さにかかわらずヌクレオチドの鎖を指す。核酸は、二本鎖又は一本鎖であり得る。一本鎖である場合、核酸は、センス鎖又はアンチセンス鎖であり得る。核酸は、オリゴヌクレオチド類似体又は誘導体(例えば、イノシン又はホスホロチオエートヌクレオチド)を用いて合成され得る。このようなオリゴヌクレオチドは、例えば、改変された塩基対形成能力又はヌクレアーゼに対する向上した耐性を有する核酸を調製するのに使用され得る。本発明は、本発明の核酸、ヌクレオチド配列又はポリヌクレオチドの相補体(完全相補体又は部分相補体のいずれかであり得る)である核酸をさらに提供する。本明細書において提供される核酸分子及び/又はヌクレオチド配列は、左から右に5’から3’の方向で示され、米国の配列規則(U.S.sequence rule)、米国特許法施行規則(37 CFR)第1.821~1.825条及び世界知的所有権機関(WIPO)標準ST.25に記載されているようにヌクレオチドの性質を表す標準的なコードを用いて表される。
【0064】
ある実施形態において、本発明の組み換え核酸分子、ヌクレオチド配列及びポリペプチドは「単離」される。「単離」された核酸分子、「単離」されたヌクレオチド配列又は「単離」されたポリペプチドは、人の手によってその天然環境とは別に存在し、従って自然の産物ではない核酸分子、ヌクレオチド配列又はポリペプチドである。単離された核酸分子、ヌクレオチド配列又はポリペプチドは、天然の生物若しくはウイルスの他の構成要素、例えば、細胞若しくはウイルス構成成分又はポリヌクレオチドに関連して一般的に見られる他のポリペプチド若しくは核酸の少なくとも一部から少なくとも部分的に分離される精製された形態で存在し得る。代表的な実施形態において、単離された核酸分子、単離されたヌクレオチド配列及び/又は単離されたポリペプチドは、少なくとも約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又はそれを超えて純粋である。
【0065】
他の実施形態において、単離された核酸分子、ヌクレオチド配列又はポリペプチドは、例えば、組み換え宿主細胞などの非天然環境中に存在し得る。従って、例えば、ヌクレオチド配列に関して、「単離」という用語は、それが自然に存在する染色体及び/又は細胞からそれが分離されることを意味する。ポリヌクレオチドはまた、それが自然に存在する染色体及び/又は細胞からそれが分離され、次に、遺伝学的状況、それが自然に存在しない染色体及び/又は細胞(例えば、自然界に見出されるものと異なる宿主細胞、異なる調節配列及び/又はゲノム中の異なる位置)に挿入される場合に単離される。従って、組み換え核酸分子、ヌクレオチド配列及びそれらのコードされたポリペプチドは、人の手によってそれらがそれらの天然環境とは別に存在し、従って自然の産物ではないが、ある実施形態において、それらが組み換え宿主細胞中に導入され、組み換え宿主細胞中に存在し得る点で「単離」される。
【0066】
ある実施形態において、本発明のヌクレオチド配列及び/又は核酸分子は、宿主細胞(例えば、植物細胞)中の発現のための様々なプロモータと動作可能に関連され得る。本明細書において使用される際、第2の核酸配列に動作可能に連結される第1の核酸配列に言及するときの「動作可能に関連される」は、第1の核酸配列が第2の核酸配列との機能的関係に置かれた状況を意味する。例えば、プロモータがコード配列の転写又は発現をもたらす場合、プロモータは、コード配列と動作可能に関連される。
【0067】
DNA「プロモータ」は、RNAポリメラーゼのための結合部位を含有し、DNAの転写を開始させる、コード領域の上流の非翻訳DNA配列である。「プロモータ領域」は、遺伝子発現の調節因子として機能する他の要素も含み得る。プロモータは、例えば、組み換え核酸分子、すなわちキメラ遺伝子の調製に使用するための、構成的、誘導性、時間的に調節された、発生学的に調節された、化学的に調節された、組織優先及び組織特異的プロモータを含み得る。特定の態様において、本発明で有用な「プロモータ」は、植物の細胞中のヌクレオチド配列の転写を開始させることが可能なプロモータである。
【0068】
「キメラ遺伝子」は、調節ヌクレオチド配列が、関連されたヌクレオチド配列の転写又は発現を調節することができるように、プロモータ又は他の調節ヌクレオチド配列がmRNAについてコードし、又はタンパク質として発現されるヌクレオチド配列と動作可能に関連された組み換え核酸分子である。キメラ遺伝子の調節ヌクレオチド配列は、通常、自然界に見られる関連されたヌクレオチド配列に動作可能に連結されていない。
【0069】
プロモータの選択は、発現のための時間的及び空間的要件と、及びさらに形質転換される宿主細胞とに応じて変化する。従って、例えば、ヌクレオチド配列の発現は、任意の植物及び/又は植物部位内、(例えば、葉内、柄又は茎内、穂内、花序内(例えば、穂、茎、穂軸など)、根、種子及び/又は苗内など)であり得る。双子葉植物に由来する多くのプロモータが単子葉植物において機能することが示されており、逆も同様であるが、理想的には、双子葉植物プロモータが双子葉植物における発現のために、及び単子葉植物プロモータが単子葉植物における発現のために選択される。しかしながら、選択されたプロモータの起源に制限はなく、それらが所望の細胞中のヌクレオチド配列の発現の促進において機能すれば十分である。
【0070】
本発明で有用なプロモータとしては、限定はされないが、構造的にヌクレオチド配列の発現を促すもの、誘導されると発現を促すもの、及び組織特異的又は発生学的に特異的な方法で発現を促すものが挙げられる。これらの様々なタイプのプロモータが当該技術分野において公知である。
【0071】
構成的プロモータの例としては、限定はされないが、ケストルム(cestrum)ウイルスプロモータ(cmp)(米国特許第7,166,770号明細書)、コメアクチン1プロモータ(Wang et al.(1992)Mol.Cell.Biol.12:3399-3406;並びに米国特許第5,641,876号明細書)、CaMV 35Sプロモータ(Odell et al.(1985)Nature 313:810-812)、CaMV 19Sプロモータ(Lawton et al.(1987)Plant Mol.Biol.9:315-324)、nosプロモータ(Ebert et al.(1987)Proc.Natl.Acad.Sci USA 84:5745-5749)、Adhプロモータ(Walker et al.(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:6624-6629)、スクロースシンターゼプロモータ(Yang&Russell(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:4144-4148)及びユビキチンプロモータが挙げられる。ユビキチンに由来する構成的プロモータは、多くの細胞型中に蓄積する。ユビキチンプロモータは、トランスジェニック植物、例えば、ヒマワリ(Binet et al.,1991.Plant Science 79:87-94)、トウモロコシ(Christensen et al.,1989.Plant Molec.Biol.12:619-632)及びシロイヌナズナ(Norris et al.1993.Plant Molec.Biol.21:895-906)において使用するためにいくつかの植物種からクローニングされている。トウモロコシユビキチンプロモータ(UbiP)は、トランスジェニック単子葉植物系において開発され、単子葉植物形質転換のために構築されたその配列及びベクターが特許公開欧州特許第0 342 926号明細書に開示されている。さらに、McElroy et al.(Mol.Gen.Genet.231:150-160(1991))によって記載されるプロモータ発現カセットは、ヌクレオチド配列の発現のために容易に改変され得、単子葉植物宿主に使用するのに特に好適である。
【0072】
ある実施形態において、組織特異的/組織優先プロモータが使用され得る。組織特異的又は優先発現パターンとしては、限定はされないが、緑色組織特異的又は優先、根特異的又は優先、茎特異的又は優先及び花特異的又は優先発現パターンが挙げられる。緑色組織における発現に好適なプロモータは、光合成に関与する遺伝子を調節する多くのものを含み、これらの多くは、単子葉植物及び双子葉植物の両方からクローニングされた。一実施形態において、本発明で有用なプロモータは、ホスホエノールカルボキシラーゼ遺伝子に由来するトウモロコシPEPCプロモータである(Hudspeth&Grula,Plant Molec.Biol.12:579-589(1989))。組織特異的プロモータの非限定的な例としては、種子貯蔵タンパク質(β-コングリシニン、クルシフェリン、ナピン(napin)及びファセオリンなど)、ゼイン(例えば、ガンマゼイン)、又は油体タンパク質(オレオシンなど)、又は脂肪酸生合成に関与するタンパク質(アシル担体タンパク質、ステアロイル-ACPデサチュラーゼ及び脂肪酸デサチュラーゼ(fad 2-1)を含む)及び胚発生の際に発現される他の核酸(Bce4など、例えば、Kridl et al.(1991)Seed Sci.Res.1:209-219;並びに欧州特許第255378号明細書を参照されたい)をコードする遺伝子と関連したものが挙げられる。植物、特に、トウモロコシにおけるヌクレオチド配列の発現に有用な組織特異的又は組織優先プロモータとしては、限定はされないが、根、髄、葉又は花粉内の発現を促すものが挙げられる。このようなプロモータは、例えば、全体が参照により本明細書に援用されるPCT公開国際公開第93/07278号に開示されている。組織特異的又は組織優先プロモータの他の非限定的な例としては、米国特許第6,040,504号明細書に開示されているワタルビスコプロモータ;米国特許第5,604,121号明細書に開示されているコメスクロースシンターゼプロモータ;de Framond(FEBS 290:103-106(1991);Ciba-Geigyに付与された欧州特許第0 452 269号明細書)によって記載されている根特異的プロモータ;米国特許第5,625,136号明細書(Ciba-Geigyに付与された)に記載され、トウモロコシtrpA遺伝子の発現を促す茎特異的プロモータ;及びPCT公開国際公開第01/73087号に開示されているケストルムイエローリーフカーリングウイルス(cestrum yellow leaf curling virus)プロモータが挙げられ、これらの文献は全て参照により本明細書に援用される。
【0073】
組織特異的/組織優先プロモータのさらなる例としては、限定はされないが、根特異的プロモータRCc3(Jeong et al.Plant Physiol.153:185-197(2010))及びRB7(米国特許第5459252号明細書)、レクチンプロモータ(Lindstrom et al.(1990)Der.Genet.11:160-167;及びVodkin(1983)Prog.Clin.Biol.Res.138:87-98)、トウモロコシアルコールデヒドロゲナーゼ1プロモータ(Dennis et al.(1984)Nucleic Acids Res.12:3983-4000)、S-アデノシル-L-メチオニンシンテターゼ(SAMS)(Vander Mijnsbrugge et al.(1996)Plant and Cell Physiology,37(8):1108-1115)、トウモロコシ光収穫複合体プロモータ(Bansal et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:3654-3658)、トウモロコシ熱ショックタンパク質プロモータ(O’Dell et al.(1985)EMBO J.5:451-458;及びRochester et al.(1986)EMBO J.5:451-458)、エンドウマメ小サブユニットRuBPカルボキシラーゼプロモータ(Cashmore,“Nuclear genes encoding the small subunit of ribulose-l,5-bisphosphate carboxylase”pp.29-39 In:Genetic Engineering of Plants(Hollaender ed.,Plenum Press 1983;及びPoulsen et al.(1986)Mol.Gen.Genet.205:193-200)、Tiプラスミドマンノピン(mannopine)シンターゼプロモータ(Langridge et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:3219-3223)、Tiプラスミドノパリンシンターゼプロモータ(Langridge et al.(1989)、上記を参照されたい)、ペチュニアカルコンイソメラーゼプロモータ(van Tunen et al.(1988)EMBO J.7:1257-1263)、インゲンマメグリシンリッチタンパク質1プロモータ(Keller et al.(1989)Genes Dev.3:1639-1646)、切断CaMV 35Sプロモータ(O’Dell et al.(1985)Nature 313:810-812)、ジャガイモパタチンプロモータ(Wenzler et al.(1989)Plant Mol.Biol.13:347-354)、根細胞プロモータ(Yamamoto et al.(1990)Nucleic Acids Res.18:7449)、トウモロコシゼインプロモータ(Kriz et al.(1987)Mol.Gen.Genet.207:90-98;Langridge et al.(1983)Cell 34:1015-1022;Reina et al.(1990)Nucleic Acids Res.18:6425;Reina et al.(1990)Nucleic Acids Res.18:7449;及びWandelt et al.(1989)Nucleic Acids Res.17:2354)、グロブリン-1プロモータ(Belanger et al.(1991)Genetics 129:863-872)、α-チューブリンcabプロモータ(Sullivan et al.(1989)Mol.Gen.Genet.215:431-440)、PEPCaseプロモータ(Hudspeth&Grula(1989)Plant Mol.Biol.12:579-589)、R遺伝子複合体に関連するプロモータ(Chandler et al.(1989)Plant Cell 1:1175-1183)及びカルコンシンターゼプロモータ(Franken et al.(1991)EMBO J.10:2605-2612)が挙げられる。
【0074】
種子特異的発現に特に有用なのは、エンドウマメビシリンプロモータ(Czako et al.(1992)Mol.Gen.Genet.235:33-40;並びに米国特許第5,625,136号明細書に開示されている種子特異的プロモータである。ある実施形態において、プロモータは、トウモロコシガンマ-ゼインプロモータ又はトウモロコシADP-gppプロモータを含むがこれらに限定されない胚乳特異的プロモータであり得る。
【0075】
成熟した葉における発現に有用なプロモータは、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)に由来するSAGプロモータなど、老化の開始時に作動されるものである(Gan et al.(1995)Science 270:1986-1988)。
【0076】
さらに、プラスチドにおいて機能するプロモータが使用され得る。このようなプロモータの非限定的な例としては、バクテリオファージT3遺伝子9 5’ UTR及び米国特許第7,579,516号明細書に開示されている他のプロモータが挙げられる。本発明で有用な他のプロモータとしては、限定はされないが、S-E9小サブユニットRuBPカルボキシラーゼプロモータ及びKunitzトリプシン阻害遺伝子プロモータ(Kti3)が挙げられる。
【0077】
本発明のある実施形態において、誘導性プロモータが使用され得る。従って、例えば、化学的に調節されたプロモータを用いて、外因性化学調節剤の適用によって植物における遺伝子の発現を調節することができる。化学的に調節されるプロモータによるヌクレオチド配列の発現の調節は、作物植物が誘導性化学物質で処理されるときのみ、本発明のポリペプチドが合成されるのを可能にする。目的に応じて、プロモータは、化学物質の適用が遺伝子発現を誘導する場合、化学物質誘導性プロモータであり、又は化学物質の適用が遺伝子発現を抑制する場合、化学物質抑制性プロモータであり得る。
【0078】
化学物質誘導性プロモータが当該技術分野において公知であり、これらとしては、限定はされないが、ベンゼンスルホンアミド除草剤毒性緩和剤によって活性化されるトウモロコシIn2-2プロモータ、発芽前除草剤として使用される疎水性求電子化合物によって活性化されるトウモロコシGSTプロモータ及びサリチル酸によって活性化されるタバコPR-1 aプロモータ(例えば、PR1aシステム)、ステロイドステロイド応答性プロモータ(例えば、Schena et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88,10421-10425及びMcNellis et al.(1998)Plant J.14、247-257におけるグルココルチコイド誘導性プロモータを参照されたい)並びにテトラサイクリン誘導性及びテトラサイクリン抑制性プロモータ(例えば、Gatz et al.(1991)Mol.Gen.Genet.227,229-237並びに米国特許第5,814,618号明細書及び同第5,789,156号明細書を参照されたい、Lacリプレッサシステムプロモータ、銅誘導性システムプロモータ、サリチレート誘導性システムプロモータ(例えば、PR1aシステム)、グルココルチコイド誘導性プロモータ(Aoyama et al.(1997)Plant J.11:605-612)及びエクジソン誘導性システムプロモータが挙げられる。
【0079】
誘導性プロモータの他の非限定的な例としては、ABA誘導性及び膨圧(turgor)誘導性プロモータ、オーキシン結合タンパク質遺伝子プロモータ(Schwob et al.(1993)Plant J.4:423-432)、UDPグルコースフラボノイドグリコシル-トランスフェラーゼプロモータ(Ralston et al.(1988)Genetics 119:185-197)、MPIプロティナーゼ阻害剤プロモータ(Cordero et al.(1994)Plant J.6:141-150)及びグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼプロモータ(Kohler et al.(1995)Plant Mol.Biol.29:1293-1298;Martinez et al.(1989)J.Mol.Biol.208:551-565;及びQuigley et al.(1989)J.Mol.Evol.29:412-421)が挙げられる。ベンゼンスルホンアミド誘導性(米国特許第5,364,780号明細書)及びアルコール誘導性(国際特許出願公開国際公開第97/06269号及び国際公開第97/06268号)システム及びグルタチオンS-トランスフェラーゼプロモータも含まれる。同様に、Gatz(1996)Current Opinion Biotechnol.7:168-172及びGatz(1997)Annu.Rev.Plant Physiol.Plant Mol.Biol.48:89-108に記載されている誘導性プロモータのいずれかを使用することができる。植物における本発明のヌクレオチド配列の発現を促すのに有用な他の化学的誘導性プロモータは、全体が参照により本明細書に援用される米国特許第5,614,395号明細書に開示されている。遺伝子発現による化学的誘導は、公開出願欧州特許出願公開第0 332 104号明細書(Ciba-Geigyに付与された)及び米国特許第5,614,395号明細書でも詳述されている。ある実施形態において、化学的誘導のプロモータは、タバコPR-1aプロモータであり得る。
【0080】
本発明のポリペプチドは、シグナル配列の使用によって植物内のコンパートメントに標的化されても又はされなくてもよい。多くのシグナル配列が、特定のコンパートメント/組織に対する又は特定のコンパートメント/組織以外でのポリヌクレオチドの発現又は標的化に影響を与えることが知られている。好適なシグナル配列及び標的化プロモータが当該技術分野において公知であり、これらとしては、限定はされないが、本明細書において提供されるものが挙げられる(例えば、米国特許第7,919,681号明細書を参照されたい)。標的の例としては、限定はされないが、液胞、小胞体(ER)、葉緑体、アミロプラスト、デンプン粒、細胞壁、種子又は特定の組織、例えば、胚乳が挙げられる。従って、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(例えば、配列番号1)は、植物内のコンパートメントに対してポリペプチドを標的化及び/又は保持するためにシグナル配列に動作可能に連結され得る。ある実施形態において、シグナル配列は、ワキシー(waxy)に由来するN末端シグナル配列、ガンマ-ゼインに由来するN末端シグナル配列、デンプン結合ドメイン又はC末端デンプン結合ドメインであり得る。さらなる実施形態において、シグナル配列は、ERシグナル配列、ER保持配列、ERシグナル配列及びさらなるER保持配列であり得る。従って、本発明のある実施形態において、α-アミラーゼポリペプチドは、1つ又は複数のシグナル配列と融合され得る(及び/又は前記ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、前記シグナル配列をコードするヌクレオチド配列に動作可能に連結され得る)。
【0081】
本明細書において使用される際、「発現カセット」は、該当するヌクレオチド配列(例えば、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び/又は配列番号5のヌクレオチド配列)を含む核酸分子を意味し、ここで、前記ヌクレオチド配列は、少なくとも制御配列(例えば、プロモータ)と動作可能に関連される。従って、本発明のある実施形態は、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び/又は配列番号5のヌクレオチド配列を発現するように設計された発現カセットを提供する。このように、例えば、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び/又は配列番号5のヌクレオチド配列又は配列番号2、配列番号3、配列番号4及び/又は配列番号5のヌクレオチド配列に対する実質的同一性を有するヌクレオチド配列と動作可能に関連された1つ又は複数の植物プロモータは、生物又はその細胞(例えば、植物、植物部位及び/又は植物細胞)内の発現のための発現カセットにおいて提供され得る。
【0082】
該当するヌクレオチド配列を含む発現カセットは、キメラであり得、これは、その構成要素の少なくとも1つがその他の構成要素の少なくとも1つに対して異種であることを意味する。発現カセットは、天然に存在するが、異種発現に有用な組み換え形態で得られたものでもあり得る。しかしながら、典型的に、発現カセットは、宿主に対して異種であり、すなわち発現カセットの特定の核酸配列は、宿主細胞内に天然に存在せず、形質転換事象によって宿主細胞又は宿主細胞の祖先中に導入されたはずである。
【0083】
発現されるべきヌクレオチド配列に動作可能に連結されたプロモータに加えて、発現カセットは、他の調節配列も含み得る。本明細書において使用される際、「調節配列」は、コード配列の上流(5’非コード配列)、コード配列内及び/又はコード配列の下流(3’非コード配列)に位置し、且つ/又は転写、RNAプロセシング若しくは安定性又は関連したコード配列の翻訳に影響を与えるヌクレオチド配列を意味する。調節配列としては、限定はされないが、プロモータ、エンハンサ、イントロン、翻訳リーダー配列、終止シグナル及びポリアデニル化シグナル配列が挙げられる。ある実施形態において、発現カセットは、本発明のポリヌクレオチド配列に動作可能に連結されたシグナル配列をコードするヌクレオチド配列も含み得る。
【0084】
本発明の趣旨では、調節配列又は領域は、植物、植物部位及び/又は植物細胞に由来/類似し得、及び/又は調節配列は、他の調節配列に由来/類似し得る。或いは、調節配列は、植物(及び/又は植物部位及び/又は植物細胞)に及び/又は互い(すなわち調節配列)に対して異種であり得る。従って、例えば、プロモータは、ポリヌクレオチドが由来する種と異なる種に由来するポリヌクレオチドに動作可能に連結されるとき、異種であり得る。或いは、プロモータは、プロモータが、ポリヌクレオチドが由来するのと同じ/類似の種に由来するが、一方又は両方(すなわちプロモータ及び/又はポリヌクレオチド)がそれらの原型及び/又はゲノム遺伝子座から実質的に改変され、及び/又はプロモータが、動作可能に連結されたポリヌクレオチドのための天然のプロモータでない場合、選択されたヌクレオチド配列に対して異種でもあり得る。
【0085】
ウイルスに由来するいくつかの非翻訳リーダー配列が遺伝子発現を促進することが知られている。具体的には、タバコモザイクウイルス(Tobacco Mosaic Virus)(TMV、「ω-配列」)、トウモロコシ退緑斑紋ウイルス(Maize Chlorotic Mottle Virus)(MCMV)及びアルファルファモザイクウイルス(Alfalfa Mosaic Virus)(AMV)に由来するリーダー配列が発現を促進するのに有効であることが示されている(Gallie et al.(1987)Nucleic Acids Res.15:8693-8711;及びSkuzeski et al.(1990)Plant Mol.Biol.15:65-79)。当該技術分野において公知の他のリーダー配列としては、限定はされないが、脳心筋炎(EMCV)5’非コード領域リーダーなどのピコルナウイルスリーダー(Elroy-Stein et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6126-6130);タバコエッチ病ウイルス(Tobacco Etch Virus)(TEV)リーダーなどのポチウイルスリーダー(Allison et al.(1986)Virology 154:9-20);トウモロコシモザイク病ウイルス(Maize Dwarf Mosaic Virus)(MDMV)リーダー(Allison et al.(1986)、上記を参照されたい);ヒト免疫グロブリン重鎖結合タンパク質(BiP)リーダー(Macejak&Samow(1991)Nature 353:90-94);AMVの外被タンパク質mRNAに由来する非翻訳リーダー(AMV RNA 4;Jobling&Gehrke(1987)Nature 325:622-625);タバコモザイクTMVリーダー(Gallie et al.(1989)Molecular Biology of RNA 237-256);及びMCMVリーダー(Lommel et al.(1991)Virology 81:382-385)が挙げられる。Della-Cioppa et al.(1987)Plant Physiol.84:965-968も参照されたい。
【0086】
発現カセットは、任意選択的に、植物中で機能する転写及び/又は翻訳終止領域(すなわち終止領域)も含み得る。様々な転写ターミネータが発現カセットに使用するために利用可能であり、該当する異種ヌクレオチド配列を超えた転写の終止及び正確なmRNAポリアデニル化に関与する。終止領域は、転写開始領域に由来し得るか、動作可能に連結された該当するヌクレオチド配列に由来し得るか、植物宿主に由来し得るか、又は別の源に由来し得る(すなわちプロモータ、該当するヌクレオチド配列、植物宿主又はそれらの任意の組合せに対して異質又は異種である)。適切な転写ターミネータとしては、限定はされないが、CAMV 35Sターミネータ、tmlターミネータ、ノパリンシンターゼターミネータ及び/又はエンドウマメrbcs E9ターミネータが挙げられる。これらは、単子葉植物及び双子葉植物の両方に使用され得る。さらに、コード配列の天然転写ターミネータが使用され得る。
【0087】
本発明の発現カセットは、形質転換された植物、植物部位及び/又は植物細胞を選択するのに使用され得る、選択可能なマーカーのためのヌクレオチド配列も含み得る。本明細書において使用される際、「選択可能なマーカー」は、発現されるとき、マーカーを発現する植物、植物部位及び/又は植物細胞に明確な表現型を与え、それにより、このような形質転換された植物、植物部位及び/又は植物細胞が、マーカーを有さないものと区別されるのを可能にするヌクレオチド配列を意味する。このようなヌクレオチド配列は、マーカーが、選択的薬剤(例えば、抗生物質、除草剤など)を使用することなどによる化学的手段によって選択され得る特質を与えるかどうか、又はマーカーが単にスクリーニングなどにより観察又は試験によって同定することができる特質(例えば、R遺伝子座の特質)であるかどうかに応じて、選択可能又はスクリーニング可能なマーカーのいずれかをコードし得る。当然ながら、好適な選択可能なマーカーの多くの例が当該技術分野において公知であり、本明細書に記載される発現カセットに使用され得る。
【0088】
選択可能なマーカーの例としては、限定はされないが、カナマイシン、G418などに対する耐性を与える、neo又はnptIIをコードするヌクレオチド配列(Potrykus et al.(1985)Mol.Gen.Genet.199:183-188);ホスフィノトリシンに対する耐性を与える、barをコードするヌクレオチド配列;グリホサートに対する耐性を与える、改変5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸(EPSP)シンターゼをコードするヌクレオチド配列(Hinchee et al.(1988)Biotech.6:915-922);ブロモキシニルに対する耐性を与える、臭鼻菌(Klebsiella ozaenae)に由来するbxnなどのニトリラーゼをコードするヌクレオチド配列(Stalker et al.(1988)Science 242:419-423);イミダゾリノン、スルホニル尿素又は他のALS阻害化学物質に対する耐性を与える、改変アセト乳酸シンターゼ(ALS)をコードするヌクレオチド配列(欧州特許出願第154204号明細書);メトトレキサート耐性ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)をコードするヌクレオチド配列(Thillet et al.(1988)J.Biol.Chem.263:12500-12508);ダラポンに対する耐性を与える、ダラポンデハロゲナーゼをコードするヌクレオチド配列;マンノースを代謝させる能力を与えるマンノース-6-リン酸イソメラーゼ(ホスホマンノースイソメラーゼ(PMI)とも呼ばれる)をコードするヌクレオチド配列(米国特許第5,767,378号明細書及び同第5,994,629号明細書);5-メチルトリプトファンに対する耐性を与える、改変アントラニル酸シンターゼをコードするヌクレオチド配列;及び/又はハイグロマイシンに対する耐性を与える、hphをコードするヌクレオチド配列が挙げられる。当業者は、本発明の発現カセットに使用するのに好適な選択可能なマーカーを選択することができる。
【0089】
さらなる選択可能なマーカーとしては、限定はされないが、それに対する様々な発色性基質が知られている酵素をコードするβ-グルクロニダーゼ又はuidA(GUS)をコードするヌクレオチド配列;植物組織におけるアントシアニン色素(赤色)の生成を調節する産物をコードするR遺伝子座ヌクレオチド配列(Dellaporta et al.,“Molecular cloning of the maize R-nj allele by transposon-tagging with Ac”,pp.263-282 In:Chromosome Structure and Function:Impact of New Concepts,18th Stadler Genetics Symposium(Gustafson&Appels eds.,Plenum Press 1988));それに対する様々な発色性基質が知られている酵素であるβ-ラクタマーゼをコードするヌクレオチド配列(例えば、PADAC、発色性セファロスポリン)(Sutcliffe(1978)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:3737-3741);カテコールジオキシゲナーゼをコードするxylEをコードするヌクレオチド配列(Zukowsky et al.(1983)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:1101-1105);凝集してメラニンを形成するDOPA及びドーパキノンへとチロシンを酸化することが可能な酵素であるチロシナーゼをコードするヌクレオチド配列(Katz et al.(1983)J.Gen.Microbiol.129:2703-2714);それに対する発色性基質が存在する酵素であるβ-ガラクトシダーゼをコードするヌクレオチド配列;生物発光検出を可能にするルシフェラーゼ(lux)をコードするヌクレオチド配列(Ow et al.(1986)Science 234:856-859);カルシウム感受性生物発光検出に用いられ得るイクオリンをコードするヌクレオチド配列(Prasher et al.(1985)Biochem.Biophys.Res.Comm.126:1259-1268);又は緑色蛍光タンパク質をコードするヌクレオチド配列(Niedz et al.(1995)Plant Cell Reports 14:403-406)が挙げられる。当業者は、本発明の発現カセットに使用するのに好適な選択可能なマーカーを選択することができる。
【0090】
本発明の他の態様において、動物の成長速度(体重増加)又は平均1日体重増加を増大させる方法であって、本発明の動物飼料組成物を前記動物に供給する工程を含み、動物の成長速度又は動物の平均1日体重増加が、本発明の動物飼料組成物を提供されない対照動物の成長速度と比較して約0.05ポンド/日~約10ポンド/日だけ増大される、方法が提供される。従って、ある実施形態において、成長速度又は平均1日体重増加の増大は、約0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.1、0.125、0.15、0.175、0.2、0.225、0.25、0.275、0.3、0.325、0.35、0.375、0.4、0.425、0.45、0.475、0.5、0.525、0.55、0.575、0.6、0.625、0.65、0.675、0.7、0.725、0.75、0.775、0.8、0.825、0.85、0.875、0.9、0.925、0.95、0.975、1、1.25、1.5、1.75、2、2.25、2.5、2.75、3、3.25、3.5、3.75、4、4.1、4.2、4.21、4.22、4.23、4.24、4.25、4.26、4.27、4.28、4.29、4.3、4.31、4.32、4.33、4.34、4.35、4.36、4.37、4.38、4.39、4.4、4.41、4.42、4.43、4.44、4.45、4.46、4.47、4.48、4.49、4.5、4.75、5、5.25、5.5、5.75、6、6.25、6.5、6.75、7、7.25、7.5、7.75、8、8.25、8.5、8.75、9、9.25、9.5、9.75、10ポンド/日など及び/又はその中の任意の範囲であり得る。ある特定の実施形態において、成長速度又は平均1日体重増加の増大は、約0.05ポンド/日~約0.5ポンド/日であり得る。さらなる実施形態において、成長速度又は平均1日体重増加の増大は、前記動物飼料組成物を提供されない対照動物の成長と比較して約0.1ポンド/日であり得る。
【0091】
本発明のさらに他の態様において、動物の所望の体重を達成するのに必要な日数を減少させる方法であって、本発明の動物飼料組成物を前記動物に供給し、それにより、前記動物飼料組成物を供給されない対照動物の同じ所望の体重を達成するのに必要な日数と比較して、所望の体重を達成するのに必要な日数を減少させる工程を含む方法が提供される。
【0092】
本明細書において使用される際、「所望の体重」、「又は所望の最終体重」は、生体重又は温と体枝肉重量(hot carcass weight)を意味し得る。従って、例えば、畜牛の場合、所望の生体重は、約950~約1,600ポンドであり得、所望の温と体枝肉重量は、約700~約1,000ポンドであり得る。
【0093】
フィードロットに入る前、畜牛は、放牧地又は牧草地で放牧されて生涯の大半を過ごし、次に仕上げのためにフィードロットに移送され、ここで、穀物及び他の飼料濃縮物を供給される。一般に、畜牛は、約600~約750ポンドの体重でフィードロットに入る。配置時の体重、摂食状態及び所望の最終体重に応じて、フィードロット内の期間は、約90日間~約300日間の範囲であり得る。平均増加は、約2.5~約5ポンド/日であり得る。
【0094】
従って、本発明の別の態様において、本発明の動物飼料組成物を供給される動物の所望の体重を達成するのに必要な日数は、前記動物飼料組成物を供給されない対照動物と比較して約1日~約30日だけ減少され得る。ある実施形態において、本発明の動物飼料組成物を供給される動物の所望の体重を達成するのに必要な日数は、前記動物飼料組成物を供給されない対照動物と比較して約1日~約25日、約1日~約20日、約5日~約20日、約5日~約15日などだけ減少され得る。従って、ある実施形態において、本発明の動物飼料組成物を供給される動物の所望の体重を達成するのに必要な日数は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30日など及び/又はその中の任意の範囲だけ減少され得る。
【0095】
本発明の他の態様において、動物による飼料利用の効率を増大させる方法であって、動物飼料組成物を供給されない対照動物と比較して、前記動物による飼料利用の効率を増大させるのに有効な量で本発明の動物飼料組成物を前記動物に供給する工程を含む方法が提供される。
【0096】
飼料利用の効率は、提供される飼料の量当たりの動物の体重の増加として計算され得る。ある実施形態において、体重は、屠殺前の最終体重である。さらなる実施形態において、提供される飼料は、約90日間~約300日間の期間にわたって提供される飼料の量である。従って、ある実施形態において、提供される飼料は、約100日間~約275日間、約125日間~約250日間、約150日間~約225日間、約180日間~約200日間などの期間にわたって提供される飼料の量である。
【0097】
従って、ある実施形態において、体重増加を測定する期間(日数)は、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300日間など、及び/又はその中の任意の範囲である。
【0098】
本発明のさらなる態様において、動物によるトウモロコシの飼料価値は、前記動物飼料組成物を供給されない対照動物と比較して約1%~約25%だけ増大される。トウモロコシの飼料価値は、本発明の飼料組成物の飼料効率と、前記飼料組成物を供給されない対照動物の飼料効率との差を、前記飼料組成物を供給されない前記対照動物の飼料効率で除算した値に等しく、それらの全ては、前記飼料組成物のトウモロコシ含有パーセントで除算される。従って、ある実施形態において、トウモロコシの飼料価値の増大は、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%など、及び/又はその中の任意の範囲であり得る。特定の実施形態において、トウモロコシの飼料価値の増大は、対照と比較して約1%~約10%である。代表的な実施形態において、飼料価値の増大は、対照と比較して約5%である。
【0099】
本発明のさらなる態様において、動物による飼料利用の効率は、前記動物飼料組成物を供給されない対照動物と比較して約0.005~約0.1だけ増大される。従って、ある実施形態において、飼料利用の効率の増大は、約0.005、0.006、0.007、0.008、0.009,0.01、0.011、0.012、0.013、0.014、0.015、0.016、0.017、0.018、0.019、0.02、0.021、0.022、0.023、0.024、0.025、0.026、0.027、0.028、0.029、0.03など、及び/又はその中の任意の範囲であり得る。特定の実施形態において、飼料利用の効率の増大は、対照と比較して約0.005~約0.01である。代表的な実施形態において、飼料利用の効率の増大は、対照と比較して約0.06である。「G:F」としても知られている飼料利用の効率は、平均1日増加を動物の1日当たりの乾物摂取量で除算した値である。
【0100】
ある実施形態において、動物は、1日当たり動物当たり本発明の動物飼料組成物を約1ポンド~約30ポンド供給される。従って、ある実施形態において、動物は、1日当たり動物当たり本発明の動物飼料組成物を約1ポンド、2ポンド、3ポンド、4ポンド、5ポンド、6ポンド、7ポンド、8ポンド、9ポンド、10ポンド、11ポンド、12ポンド、13ポンド、14ポンド、15ポンド、16ポンド、17ポンド、18ポンド、19ポンド、20ポンド、21ポンド、22ポンド、23ポンド、24ポンド、25ポンド、26ポンド、27ポンド、28ポンド、29ポンド、30ポンドなど、及び/又はその中の任意の範囲で供給される。ある実施形態において、動物は、1日当たり動物当たり本発明の動物飼料組成物を約9ポンド~約21ポンド供給される。ある実施形態において、動物は、本発明の動物飼料組成物を自由に供給され、又は1日に約1回~約3回(例えば、1、2、3回)又はそれらの任意の組合せで供給され得る。
【0101】
本発明は、収穫された(harvested)(例えば、屠殺された)畜牛における肝膿瘍を低減させる方法も想定し、この方法は、a)畜牛に動物飼料組成物を給餌する工程であって、動物飼料組成物は、耐熱性の組み換え(任意選択により微生物)α-アミラーゼを発現するトランスジェニック植物又は植物部位(例えば、トランスジェニックトウモロコシ植物又は植物部位)に由来する植物材料を含む工程;及びb)畜牛を収穫する工程を含む。本発明のα-アミラーゼは、本明細書に記載のものである。実施形態において、トランスジェニック植物又は植物部位は、任意選択によりトウモロコシ事象3272を含むトランスジェニックトウモロコシ植物又は植物部位(例えば、蒸気圧ぺんトウモロコシ穀粒)である。代表的な実施形態において、トランスジェニック植物又は植物部位は、植物材料の約1重量%~約100重量%を占める。この方法は、任意の畜牛、例えば肉用種牛(去勢牛及び/又は未経産雌牛)及び/又は酪牛で実施され得る。実施形態において、畜牛は、フィードロット牛である。
【0102】
肝膿瘍が形成される頻度は、高飼料濃縮物及び低飼草(すなわち粗飼料)の食餌で増加することが技術分野において公知である。代表的な実施形態において、肝膿瘍を低減させる方法は、高濃縮物/低飼草食餌が給餌される畜牛で実施される。実施形態において、食餌は、約20%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%以下(乾物基準)の量で飼草を含む。実施形態において、食餌は、草を含まないか又は実質的に含まない。実施形態において、食餌は、少なくとも約80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれを超える飼料濃縮物(乾物基準)を含む。
【0103】
実施形態において、肝膿瘍が形成される全体的な頻度は、(例えば、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%又はそれを超えて)低減される。代表的な実施形態において、中度及び/又は重度肝膿瘍の頻度は、(例えば、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%又はそれを超えて)低減される。
【0104】
本明細書に記載の給餌方法により生産され、収穫された(すなわち屠殺された)畜牛の枝肉(又は複数の収穫された畜牛の枝肉)も本発明により提供され、収穫された畜牛の枝肉は、収穫された動物の肝臓を含み、耐熱性の組み換え(例えば微生物)α-アミラーゼを発現するトランスジェニック植物又は植物部位に由来する植物材料が給餌されていない対照畜牛からの枝肉と比べて、前記収穫された畜牛の枝肉の肝臓における肝膿瘍の発生数は、低減されている。実施形態において、肝膿瘍が形成される全体的な頻度は、(例えば、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%又はそれを超えて)低減される。代表的な実施形態において、中度及び/又は重度肝膿瘍の頻度は、(例えば、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%又はそれを超えて)低減される。
【0105】
耐熱性の組み換え(例えば、微生物)α-アミラーゼ(本明細書に記載のもの)を発現する蒸気圧ぺん植物材料(例えば、トウモロコシ穀粒)は、耐熱性の組み換えα-アミラーゼを発現しない好適な対照植物材料と比べて、意外であり、予期しない利益を有することを本発明者らは発見した。例示するために、耐熱性の組み換えα-アミラーゼを発現する植物材料(例えば、トウモロコシ穀粒)のスループット速度を、例えば同様の条件下又はさらに同等の条件下(水分、温度等)において、α-アミラーゼを発現しない植物材料と比べて高めることが可能であることを本発明者らは見出した。実施形態では、本方法により、圧ぺん厚が実質的に同一(例えば、約5%又は10%以内)又は向上した(薄くなった)蒸気圧ぺん生産物、幾何平均粒径が実質的に同一(例えば、約5%又は10%以内)又は向上した(小さくなった)蒸気圧ぺん生産物、及び/又は圧ぺん密度が実質的に同一(例えば、約5%又は10%以内)又は向上した(高くなった)蒸気圧ぺん生産物がもたらされる。高いスループット速度は、多くの動物に対する給餌が支えられ得、且つ/又は労力、水、エネルギー(電気及び/又は天然ガスなど)及び/若しくは機械にかかるコストの観点で節約につなげることが可能であるという利点を有する。
【0106】
従って、本発明は、耐熱性の組み換え(例えば微生物)α-アミラーゼを含む植物材料を蒸気圧ぺんすることにより、動物飼料を生産する方法も提供する。代表的な実施形態において、この方法は、a)耐熱性の組み換え(例えば、微生物)α-アミラーゼを含むトランスジェニックトウモロコシ穀粒(例えば、全粒トウモロコシ穀粒といった本明細書に記載のもの)を提供する工程;及びb)トウモロコシ穀粒を蒸気圧ぺんして、蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物を生産する工程を含み、任意選択により、スループット速度は、例えば、同様の条件下又はさらに同等の条件下(水分、温度等)において、耐熱性の組み換え(例えば、微生物)α-アミラーゼを含まない好適な対照トウモロコシ穀粒と比べて増加されている。実施形態において、スループット速度は、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%又は50%又はそれを超えて増加されている。一般に、「スループット」速度とは、植物材料が、予備的な洗浄チャンバ/ステップ、予備的な液浸チャンバ/ステップ、追加の冷却チャンバ/ステップ、追加の乾燥チャンバ/ステップ等を任意選択により含み得る全蒸気圧ぺんプロセス及び装置を通して加工される速度を指す。実施形態において、スループット速度とは、植物材料が水蒸気チャンバ及び圧ぺんミル(例えばローラ)を通して加工される速度を特定的に指す。
【0107】
本明細書において用いられる際、「対照」植物材料、トウモロコシ穀粒等とは、耐熱性の組み換えα-アミラーゼ(本明細書に記載のもの)を発現しない植物材料又はトウモロコシ穀粒であって、例えばそれ以外にはトランスジェニック植物材料又はトウモロコシ穀粒と同様の特性を有する対照植物材料又はトウモロコシ穀粒を指す。本明細書において用いられる際、「対照」蒸気圧ぺん植物生産物又は「対照」蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物は、それぞれ「対照」植物材料又はトウモロコシ穀粒から生産される。
【0108】
代表的な実施形態において、本発明の蒸気圧ぺん方法に用いられるトランスジェニックトウモロコシ穀粒は、トウモロコシ事象3272を含む。
【0109】
実施形態において、耐熱性の組み換え(例えば、微生物)α-アミラーゼを発現するトランスジェニック植物材料(例えば、トウモロコシ穀粒)を蒸気圧ぺんするための時間は、それ以外には同様の条件下において、対照植物材料と比べて短縮され得る(例えば、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%又はそれを超えて)。
【0110】
代表的な実施形態において、蒸気圧ぺん植物生産物(例えば、トウモロコシ生産物)におけるデンプンの消化率は、対照トウモロコシ穀粒から生産される対照蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物におけるデンプンの消化率と比べて増加されている(例えば、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、15%、20%又はそれを超えて)。デンプン消化率は、飼料中のデンプンがどの程度エネルギーに転換されて動物に用いられるかの尺度であり、全動物方法(例えば、糞便中のデンプン)及び実験方法(例えば、添付の実施例に記載されているとおり)を含む、技術分野において公知であるいずれかの方法によって測定可能である。
【0111】
実施形態において、本発明の蒸気圧ぺん方法によって生産される蒸気圧ぺん植物生産物(例えば、蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物)は、対照植物生産物から生産される対照蒸気圧ぺん植物生産物と比べて小さい幾何平均粒径(例えば、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、15%、20%又はそれを超えて)を有する。幾何平均粒径を測定する方法は、技術分野において公知である(例えば、実施例を参照されたい)。
【0112】
実施形態において、本発明の蒸気圧ぺん方法では、対照蒸気圧ぺん植物生産物と比べて、耐熱性の組み換え(例えば微生物)α-アミラーゼを発現する植物材料から調製される蒸気圧ぺん植物生産物(例えば、トウモロコシ穀粒)における褐変の増加がもたらされ得る。実施形態において、蒸気圧ぺん生産物における褐変の増加は、冷却プロセス中及び/又はその後に観察される。実施形態では、褐変(例えば、非酵素的褐変)が増加される(例えば、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%又はそれを超えて)。いかなる本発明の理論にも限定されることはないが、耐熱性の組み換え(例えば、微生物)α-アミラーゼは、植物材料中におけるマルトース及び他の還元糖などの可溶性の糖質の高い濃度をもたらすと考えられる。還元糖は、マイラード反応(茶色の変色をもたらすアミノ酸と還元糖との化学反応)に関与可能であり、これにより、対照植物材料から生産される対照蒸気圧ぺん植物生産物と比べて、耐熱性の組み換え(例えば微生物)α-アミラーゼを発現する蒸気圧ぺん植物材料(例えばトウモロコシ穀粒)において高い褐変をもたらし得る(例えば、目視検査又は実験分析による測定において)。
【0113】
本発明は、本明細書に記載の蒸気圧ぺん方法によって生産される蒸気圧ぺん植物生産物(例えば、トウモロコシ生産物)も提供する。実施形態において、蒸気圧ぺん植物生産物は、上記において考察した1つ以上の利点(例えば、高いデンプン消化率、小さい幾何平均粒径、薄い圧ぺん厚及び/又は高い圧ぺん密度)を含み得る。代表的な実施形態において、蒸気圧ぺん植物生産物は、動物(例えば、畜牛)に給餌された場合、対照蒸気圧ぺん植物生産物の利用率と比べてより効率的に利用される。例えば、増体重-飼料比によって計測される飼料効率を高めることが可能である。飼料効率及び増体重-飼料比の増加を測定する方法は、本明細書に記載のとおりである。例えば、実施形態において、増体重-飼料比は、対照蒸気圧ぺん植物生産物を含む飼料と比べて少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、15%又はそれを超えて増加されている。代表的な実施形態において、飼料効率の増加は、本発明の蒸気圧ぺん植物生産物を給餌した場合、実質的に同様のレベル(例えば、約5%又は10%以内)のデンプン利用率を有する対照蒸気圧ぺん植物生産物と比べた場合にも観察される。実施形態において、デンプン利用率は、約48%、49%、50%以上及び/又は約51%、52%、53%、54%若しくは55%以下の範囲である(範囲の下限が範囲の上限未満である限り、これらのいずれかの組み合わせが含まれる)。実施形態において、デンプン利用率は、約48%~55%、約48%~54%、約48%~53%、約48%~52%、約49%~55%、約49%~54%、約49%~53%、約49%~52%、約50%~55%、約50%~54%、約50%~53%、約50%~52%、約51%~55%、約51%~54%、約51%~53%又は約51%~52%の範囲内である。
【0114】
デンプン利用率は、デンプンのどの程度が糊化され(例えば、蒸気圧ぺんプロセス中)及び/又はそうでなければ通常、デンプン顆粒(例えば、トウモロコシ穀粒中のもの)を包むタンパク質マトリックスを破り、従って酵素消化(例えば、第一胃におけるもの)に利用可能となるかを反映している。デンプン利用率は、技術分野において公知であるいずれかの方法によって計測可能である(例えば、Sindt et al.,(2000)“Refractive Index:a rapid method for determination of starch availability in grains,”Kansas Agricultural Experiment Station Research Reports,Article 398:Vol.0:Iss.1,doi.org/10.4148/2378-5977.1801においてインターネット上で見出される)。蒸気圧ぺん工程において、デンプン利用率は、圧ぺん密度と高い相関関係にあり、これは、実際にデンプン利用率の間接的な尺度として多くの場合に用いられる。
【0115】
本発明の動物飼料組成物は、任意の動物、例えば、家畜、動物園の動物、実験動物及び/又はコンパニオンアニマルに供給され得る。ある実施形態において、動物は、限定はされないが、ウシ亜科の動物(例えば、家畜牛(ウシ(例えば、乳牛及び/又は肉牛))、バイソン、バッファロー)、ウマ科の動物(例えば、ウマ、ロバ、シマウマなど)、鳥類(例えば、ニワトリ、ウズラ、シチメンチョウ、カモなど;例えば、家禽)、ヒツジ、ヤギ、レイヨウ、ブタ(pig)(例えば、ブタ類(swine))、イヌ科の動物、ネコ科の動物、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、モルモット);ウサギ、魚類などであり得る。ある実施形態において、動物は、ウシであり得る。ある実施形態において、動物は、家禽であり得る。他の実施形態において、動物は、ニワトリであり得る。さらなる実施形態において、動物は、ブタ類であり得る。さらに他の実施形態において、動物は、ブタであり得る。
【0116】
さらなる実施形態において、本発明は、乳畜(例えば、ウシ、ヤギなど)によって生産される乳の量を増大させる方法であって、本発明の動物飼料組成物を前記乳畜に供給する工程を含み、前記動物によって生産される乳の量が、本発明の前記動物飼料組成物を提供されない対照動物によって生産される乳の量と比較して約5%~約200%だけ増大される、方法を提供する。ある実施形態において、乳の量の増大は、約1~約72時間の期間にわたる。他の実施形態において、前記動物によって生産される乳の量が約25%~約175%、約50%~約150%などだけ増大される。さらなる実施形態において、前記動物によって生産される乳の量が、本発明の動物飼料組成物を供給されなかった対照動物と比較して約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、135%、140%、145%、150%、155%、160%、165%、170%、175%、180%、185%、190%、195%及び/又は200%だけ増大される。
【0117】
「増大させる」、「増大させること」、「増大される」、「促進する」、「促進される」、「促進すること」及び「促進」(及びそれらの文法的変化形)という用語は、本明細書において使用される際、例えば本発明の動物飼料組成物を動物に供給することによる動物の平均1日体重増加又は動物の成長速度(体重増加)の増大(ここで、動物の平均1日体重増加又は成長速度は、約0.05ポンド/日~約10ポンド/日だけ増大される)又は動物による飼料利用の効率を増大させるのに有効な量で本発明の動物飼料組成物を前記動物に供給することによる動物による飼料利用の効率といった特定のパラメータにおける増大を表す。平均1日体重増加、成長速度(体重増加)又は動物による飼料利用の効率のこの増大は、平均1日体重増加、成長速度(体重増加)又は動物による飼料利用の効率の増大を、本発明の動物飼料組成物を供給されない動物(すなわち対照)と比較することによって観察され得る。
【0118】
本明細書において用いられる際、「低減する」、「低減された」、「低減すること」、「低減」、「減少する」、「抑制する」及び「低下する」(及びその文法上の変化形)という用語は、例えば、肝膿瘍形成の数及び/若しくは重症度又は対照(例えば、動物飼料組成物が給餌されていない対照動物)と比べた動物における所望の重量の達成に必要な日数といった特定のパラメータにおける低減又は減少を例えば表すものである。
【0119】
本発明は、その多くの変更形態及び変形形態が当業者に明らかであるため、あくまでも例示として意図される以下の実施例においてより具体的に説明される。
【実施例0120】
実施例1 - フィードロット性能及び最終肉用種未経産牛の枝肉品質に対する高アミラーゼ飼料トウモロコシの効果
Enogen(登録商標)Feed Corn(EFC;Syngenta Seeds,LLC)は、穀粒の胚乳における高アミラーゼ発現によって特徴付けられる。これは、元々エタノールの製造のために設計され、広範に用いられている。デンプンは、食餌エネルギーの大部分を提供するため、トウモロコシは、最終畜牛に給餌される最も主要な成分として十分に確立されている。反芻動物は、膵アミラーゼの分泌能が限定的であり、結果的にデンプンの第一胃後の消化が限定的である(Harmon et al.,2004.Can.J.Anim.Sci.84:309)。第一胃で消化されていないデンプンのいずれも、穀粒によって生成されるα-アミラーゼによって小腸中においてさらに分解されることが可能であると推測されている。これは、エネルギー上の利点であろう。
【0121】
トウモロコシの蒸気圧ぺんは、穀粒から利用されるエネルギーを最大化するための最適な加工法であると多くの人が考えており、この加工技術による向上が広く著されている(Owens et al.,1997.J.Anim.Sci.75:868;Zinn et al.,2002.J.Anim.Sci.80:1145)。本発明者らが知る限り、本明細書に記載の研究は、EFCの蒸気圧ぺんを評価する最初のものである。本発明者らによる結果は、EFCの作用によって圧ぺんプロセスが向上され、恐らくデンプン糊化速度を高めるアミラーゼにより、より優れたスループットがもたらされることを明示している。
【0122】
本研究における本発明者らの目的は、最終肉用種未経産牛に給餌された場合におけるEFCの蒸気圧ぺん特性及びフィードロット性能、枝肉特性並びに肝膿瘍罹患率及び重症度に対する効果を検査することであった。
【0123】
材料及び方法
本研究において利用した全てのプロトコル及び手法は、Kansas State University Institutional Animal Care and Use Committeeに承認されたものである。試験は、12月に開始して4月に終了し、Kansas State University Beef Cattle Research Center(Manhattan,KS)で行った。
【0124】
実験設計
2回の処理による完全乱塊法を700頭の交雑種未経産雌牛(394kg±8.5初期BW)を用いて行った。別々にブロックした2つのロットの畜牛を試験に利用した。6月に350頭の未経産雌牛を受け入れたが、これらは、過去において微量ミネラル栄養補助食品を検査する受容試験に用いられていた。畜牛の2番目のロットを11月に受け入れ、研究開始時におけるロット間での初期体重(BW)が同様となるよう目標とした。未経産雌牛は、ロットによってブロックし、次いでBWで階層化し、次いで28つの土敷のペンの1つに無作為に割り当てた(ペン1つ当たり25頭の動物)。処理は、対照として360g/Lに蒸気圧ぺんしたミルラントウモロコシ(CON);及び390g/Lに蒸気圧ぺんしたEnogen Feed Corn(EFC)から構成して、ブロックにおいて無作為に割り当てた。穀粒処理は、1日デンプン利用率が同程度となることを目的として設計し;これは、予備的な作業に基づいており、EFCをより高い嵩密度で圧ぺんし、且つこれを達成するためにより高いミルスループットで圧ぺんするよう決定した。ミルラントウモロコシは、およそ6トン/時間で圧ぺんし;EFCは、水蒸気-チェスト保持時間を短縮しておよそ9トン/時間(ミルスループットの50%増加)で圧ぺんした。
【0125】
動物の処置、畜舎及び取り扱い
Kansas State University Beef Cattle Research Centerに到着したら、未経産雌牛にアルファルファ干し草及び水を無制限に与えた。畜牛は、各ロットについて数日にわたって受け入れ、到着後24~48時間後に処置した。ロット1における処置は、このロットの未経産雌牛が若齢であったため、呼吸器疾患を標的として、5種ウイルスワクチン(Bovishield Gold-5;Zoetis,Parsippany,NJ)、7種クロストリジウム(Ultrabac 7/Somubac;Zoetis)及び抗生物質(Micotil;Elanco Animal Health,Greenfield,IN)を用いたワクチン接種を含んでいた。ロット2のワクチン接種は、同等であったが、ただし、このロットの未経産雌牛は、Micotilで処置せず、局所殺寄生虫剤(Dectomax;Zoetis)を適用した。両方のグループに係る初期処置中、動物に識別のために固有の番号を付した耳標を付け、BWを記録した。試験開始から1日目に動物をペンに分けながら開始BWを記録し、トレンボロン/エストラジオールインプラント(Component TE-IH+Tylan;Elanco Animal Health)を移植した。84日目に未経産雌牛に対して再移植を行い(Component TE-200+Tylan;Elanco Animal Health)、ポアオン殺虫剤(Standguard;Elanco Animal Health)で処置した。
【0126】
動物は、動物1頭当たりおよそ13m2の表面積で、スチールパイプ製のフェンス及びゲートを備え、且つ追加の電気柵で2つに区分けした土敷のペン中に入れた。無制限にアクセス可能な自動給水器を隣接するペンで共有させた。体重は、ペン重量計を用いて測定し、ペン重量を平均化して、各ペンについて平均BWを測定した。
【0127】
食餌調製
未経産雌牛は、試験開始時に仕上げ飼料に移行し、21日間にわたって3回の中間食餌(濃縮物:粗飼料比:徐々に適用させるために、60:40、71:29及び92:8(7日/ステップ))を用いた。46×91cmの波形ロール及びおよそ4.25トンのトウモロコシを保持可能な水蒸気チェストを備える蒸気圧ぺん器(R&R Machine Works;Dalhart,TX)を用いて、両方の穀粒タイプを毎日蒸気圧ぺんした。穀粒特性により、ローラ上への穀粒の滞積を伴うことなくおよそ6トン/時間でこのシステム中のミルラントウモロコシの圧ぺんが可能であるが、しかしながら、EFCは、穀粒の滞積をまったく伴わずに最大ミル能力で圧ぺんが可能であった(約9トン/時間)。蒸気処理に先だって穀粒に水分を適用するシステム(SarTec;Anoka,MN)により、処理間で穀粒乾物(DM)が均等となるよう、穀粒のコンディショニングの調整が可能であった。実験用食餌の組成を表1に示す。最後の39日間は、食餌を再配合して、300mg/日でOptaflexx(Elanco Animal Health)を含めた。畜牛には、およそ0800時に開始して1日1回与えることで、混合された飼料を無制限に給餌した。飼料の摂取量を視覚的に監視し、毎朝かいば桶中に残る飼料が極わずかな量のみとなるよう、必要に応じて毎日調節した。消費されなかった飼料について原因を明らかにするために必要に応じて残滓を回収し、55℃で48時間乾燥させて乾物摂取(DMI)を厳密に調節した。各飼料成分の副次試料を毎週又は到着時に採り、55℃で48時間乾燥させ、毎月のサンプルに合成し、これを、その後、栄養組成について分析した(SDK Labs;Hutchinson,KS)。
【0128】
表1. 肉用種未経産牛に給餌した仕上げ飼料の組成1
【表1】
1 最後の39日間の食餌には、Optaflexx(Elanco Animal Health)を300 mg/日の割合で飼料に配合した。
2 担体として粉末化トウモロコシ及び1%獣脂とブレンドした完全食餌DMにおいて、1.76 mg/kgの酢酸メレンゲストロールとなるように配合した。
3 0.15 mg/kgのコバルト、10 mg/kgの銅、0.50 mg/kgのヨウ素、20 mg/kgのマンガン、0.10 mg/kgのセレニウム、30 mg/kgの亜鉛、2205 IU/kgのビタミンA、22 IU/kgのビタミンE及び36.4 mg/kgのモネンシン(Rumensin, Elanco Animal Health) (完全食餌DM基準で)となるよう、尿素、塩、石灰岩、微量ミネラル/ビタミンプレミックス、KClを含有している。
4 完全食餌中の成分の分析した栄養組成(SDK Labs)。
5 CP、粗タンパク質
6 ADF、酸性デタージェント繊維
7 EE、エーテル抽出物
【0129】
収穫
136日目に、全ての動物について、屠殺のための輸送直前にペン重量計で重量を計測した。移動中の4%の目減りを考慮するために各ペンに係る平均BWに0.96を乗じることによって最終BWを算出した。未経産雌牛をトラックに積み込み、Lexington,NEの商用の屠殺場までおよそ440kmを輸送した。訓練されたKansas State Universityの作業車によって屠殺日に集められた記録は、以下のとおりであった:屠殺指示書中の動物の識別、温屠体肉重量(HCW)並びにElancoスコアリングシステム(Liver Abscess Technical Information AI 6288;Elanco Animal Health)を用いた肝膿瘍の罹患率及び重症度。肝臓のスコアリングでは以下の等級が与えられる:0(膿瘍無し)又は軽度、中度及び重度の肝膿瘍についてそれぞれA-、A若しくはA+。24時間にわたる冷却期間後、LM面積、第十二肋骨皮下脂肪、マーブリングスコア、USDA歩留まり等級及びUSDA肉質等級データを集めた。枝肉歩留りをフィードロットペンにおけるHCWを平均化し、得られた値を最終BW目減りによって除することにより判定した。
【0130】
穀粒特性
DMを毎日観察することで、デンプン利用率及び粒径を両方の穀粒タイプについて計測した。穀粒DMは、105℃に設定した強制通風炉中において24時間乾燥させることによって測定した。DMに変化が生じた場合、本発明者らは、トウモロコシタイプ間における含水量を等しくするために、SarTecシステムによって適用される水分の量を調整した。デンプン利用率は、25gのトウモロコシ圧ぺんを、55℃に加熱した100mlのアミログルコシダーゼ溶液(2.5%)中に15分間浸漬することにより判定した(Sindt et al.,2006.J.Anim.Sci.84:424)。次いで、液体画分をろ過することで、可溶性の糖質の割合が手持の屈折率計で視認される。次いで、可溶性物質及びDMの割合が、デンプン利用率を判定する回帰方程式に当てはめられる。粒径は、4750、3350、2360、1700、1180、850、600μm及び堅固なパンの順番で網の目開きが小さくなる一組のふるいに入れたおよそ200gの圧ぺんトウモロコシを計量することにより判定した。この積み重ねたものをRo-Tapオービタルシェーカに入れ、ロータリータッピングサイクル(rotary tapping cycle)を5分間行った。個々のふるいを各々洗浄し、粒子を計量した。幾何粒径は、Pfost and Headley(Methods of determining and expressing particle size.In:H.Pfost(ed),Feed Manufacturing Technology II-Appendix C.Am.Feed Manufacturers Assoc.1976:512-520)に記載の式を用いて、スプレッドシート(Scott and Herrman,2002.Evaluating Particle Size.Kansas State University Department of Grain Science and Industry.MF-2051,1-6)において算出する。
【0131】
統計分析
BW、DMI、1日平均増体重(ADG)及び飼料効率の分析は、実験ユニットとしてのペン、固定効果としての処理及び変量効果としてのブロックと共に、Statistical Analysis System(SAS version 9.4;SAS Inst.Inc.,Cary,NC)のMIXED法を用いた。枝肉格付形質(USDA肉質等級、USDA歩留まり等級及び肝膿瘍罹患率及び重症度)を、上記と同じパラメータを用いて、SASのGLIMMIX法で分析した。
【0132】
結果
4頭の動物を、処理に関連しない理由によってCONグループから外した。3頭は、出産のためであり、及び1頭は、呼吸器疾患のために死亡が認められた。また、4頭の動物を、処理に関連しない理由によってEFCグループから外した。1頭は、細菌感染のためであり、1頭は、呼吸器疾患のためであり、1頭は、第四胃変位のためであり、及び1頭は、臀部の負傷のためであり、これらは、全て極度の重量損失を引き起こしていた。
【0133】
穀粒特性
CONとEFCとの栄養組成の実験分析(SDK labs)が表2に示されている。Enogen Feed Cornの方が、大きいADF(P<0.01)及びカリウム(P=0.03)成分を有していた。Enogen Feed Cornは、より多くの脂肪含有量(標示として、エーテル抽出物[EE])に対する傾向(P=0.06)も有していた。圧ぺん穀粒間において、タンパク質、カルシウム又はリンについて穀粒間における差異は認められなかった。
【0134】
表2. ミルラン及びEnogen Feed Cornの栄養分析
【表2】
【0135】
穀粒の特性が表3に示されている。意図的に、両方のトウモロコシタイプについて、蒸気圧ぺん工程の後の含水量に差異はなく(P=0.55)及びデンプン利用率についても同様であるが、EFCについて、より大きいデンプン利用率の値が求められる傾向(P=0.08)があった。EFCは、より高い嵩密度に圧ぺんしたにも関わらず(390対360g/L)、小さい平均粒径(P<0.01)となった。
【0136】
表3. 圧ぺん穀粒の特性
【表3】
【0137】
フィードロット性能
増体重に対するEFCの効果及びフィードロット未経産雌牛の効率が表4に示されている。試験開始時にBWに差異は存在しなかったが(P=0.52)、最終日には、EFCを給餌した畜牛は、より重くなっていた(P<0.01)。そのため、136日間にわたり、Enogen畜牛は、ADGが向上していた(P<0.01)。処理間でDMIに差異は存在せず(P=0.78)、これは、EFCを給餌した畜牛について5%大きい飼料効率(増体重:飼料、G:F)をもたらした(P<0.01)。
【0138】
表4. ミルラントウモロコシ又はEFCを用いて仕上げられた未経産雌牛のフィードロット性能
【0139】
【表4】
枝肉特性
枝肉価値に対するEFCの効果が表5に表示されている。未経産雌牛でおよそ6kg重い枝肉(P<0.01)が得られたため、EFCを給餌した畜牛に係るフィードロットにおける向上した一日増体重を枝肉重量に変換した。最長筋(LM)面積又は第十二肋骨脂肪に差異は生じなかった。CON食餌では、より高い数値のマーブリングスコア(P=0.04)の枝肉が得られたが、しかしながら、これは、USDA肉質等級(P>0.33)に対する影響をもたらさなかった。EFCを給餌した未経産雌牛について、よりUSDA歩留まり等級3の枝肉をもたらす傾向(P=0.09)も存在した。
【0140】
表5. ミルラントウモロコシ又はEFCを用いて仕上げられた肉用種未経産牛の枝肉特性
【表5】
500 - 599 = 低度のマーブリング; 600 - 699 = 適度なマーブリング。
【0141】
肝膿瘍罹患率及び重症度が表6に示されている。実験用食餌中、肝膿瘍を予防するためのチロシンは、含まれていなかったことに注意すべきである(表1)。EFCを給餌した仕上げられた肉用種未経産牛は、屠殺時、CONを給餌した比較相手よりも合計肝膿瘍が少なかった(P=0.03)。この差異は、EFCグループ中に中度(P=0.03)及び重度(P=0.11)の肝膿瘍が少なかったことに起因する。軽く、低品質の枝肉をもたらす(Brown and Lawrence,2010.J.Anim.Sci.88:4037)、畜牛の増体重に対する肝膿瘍の好ましくない影響(Potter et al.,1985.J.Anim.Sci.61:1058)は、十分に立証されている。各処理に係る肝膿瘍の重症度とHCWとの関係を図1に示す。食餌(P<0.01)、肝膿瘍重症度(P<0.01)及び処理に対する傾向×肝膿瘍相互作用(P=0.09)による影響が存在していた。EFCグループは、より重い枝肉を維持していたが、CON畜牛について観察された、膿瘍重症度が増加した場合におけるHCWの低下を同じようには示さなかった。この時点では、蒸気圧ぺんEFCが肝膿瘍について有していた効果に係る作用機構は不明であるが、抗生物質の使用がますます反対されていることで肝膿瘍の予防に係る新規方法が必要とされているため、及ぼされる影響は、相当なものである可能性があった。
【0142】
表6. ミルラントウモロコシ又はEFCを給餌された未経産雌牛における肝膿瘍罹患率及び重症度
【表6】
【0143】
本発明者らが見出した高い動物性能を説明する作用形態をより良く理解するために、さらなるリサーチがEFCアミラーゼ発現形質について必要とされることとなる。現時点では、消化に係る利点が第一胃で生じるか又は第一胃の後で生じるかは不明である。EFCにおける高アミラーゼ発現は、デンプンがより迅速に糊化されると共により高いスループットで圧ぺん可能であり、且つ加工レベルが低い(より高い嵩密度)より生産的な圧ぺんプロセスの背景にある理由である可能性が高いと本発明者らは考えている。
【0144】
影響
Enogen Feed Cornは、蒸気圧ぺん工程に関連する生産コストを削減するために生産者によって有利に用いられることが可能である。低減された水蒸気の使用、低減された穀粒の加工、高いミルスループット(本研究では50%)、これらによる飼料をかいば桶に入れる前に生じるコスト及び労力の削減の全てが有益である。ミルスループット、ADG、飼料効率、HCW及び肝膿瘍の緩和における向上は、蒸気圧ぺんしたEFCの使用による実質的な有益性であると考えられる。
【0145】
実施例2 - 様々な水分及び水蒸気処理、これに続く圧ぺん工程を経たアミラーゼトウモロコシブレンドの消化特性。
穀粒の処理
研究穀粒の混合物を、アミラーゼ全粒トウモロコシと、対照としてミルランの単一源である全粒トウモロコシとを用いて調製した。アミラーゼ穀粒は、0:100、25:75、50:50、75:25及び100:0の割合でミルラン穀粒とブレンドした。サンプル(1.8kg)を3.8Lのねじ蓋付きのガラスジャーに入れた。0%、3%又は6%(w/w)で水を加え、ジャーをシールし、その後、機械式ローラ装置上に水平に置き、ジャーをゆっくりと回転させてテンパリング期間を通して水を分散させた。穀粒を充填したジャーをローラ上に1時間置き、さらなる穀粒の混合及び水分処理に対する最大限の露出を確実とした。60分後に穀粒混合物をジャーから取り出し、穿孔したステンレス鋼製のバスケットに入れ、次いでこれを、独立したチャンバを12個備える水蒸気台に置いた。サンプルを水蒸気で15、30又は45分間コンディショニングし、これにより5×3×3の要因処理配置を完了させた(5種の穀粒混合物、3種の水分レベル及び3種のコンディショニング時間)。45の処理の各々を二つ重複で調製して、合計で90のサンプルを作成した。水蒸気コンディショニングの直後に、サンプルを、360g/L(28lb/bu)の目標密度に設定したローラを有する二重駆動ローラミル(R&R Machine)を用いて圧ぺんした。サンプルをローラ上のコンベヤシステムから圧ぺん器に投入し、圧ぺん物を直後にローラの下で回収した。嵩密度は、ウィンチェスターカップを用いて直後に測定し、次いでサンプルを以後の粒径分析のために冷凍した。デンプン利用率は、その後、短時間で酵素アッセイを用いて測定した。他の分量の穀粒を105℃の強制通風炉に24時間置いて含水量を測定した。残ったサンプル(約700g)を冷凍し、以後のインビトロ及びインサイチュ分析のために保存しておいた。
【0146】
粒径分析
各穀粒のおよそ200gを、8種一組のふるい及び底のパンを備えたRoTapデバイスを用いる粒径分布の特徴付けのために用いた。9.50、6.70、4.75、3.35、2.36、1.70及び1.18mmと、上から下に向かって網の目開きが次第に小さくなるようふるいを積み重ね、微細な粒子を集めるためのパンの上に設置した。圧ぺんトウモロコシサンプルを一番上のふるいに入れ、次いで積み重ねたものをRo-Tapオービタルシェーカの台上に5分間置いた。撹拌した後、各網の内容物を取り出して計量し、平均幾何直径(Dgw)及び標準偏差(Sgw)を、Scott and Herrman(Scott,B.,T.Herrman.2002.Evaluating Particle Size.Kansas State University Department of Grain Science and Industry.MF-2051,1-6.)に記載されているとおり各穀粒について算出した。
【0147】
デンプン利用率
Sindt(Sindt,J.J.2004. Factors influencing utilization of steam-flaked corn. Doctoral Dissertation,Kansas State University,Manhattan)による酵素的手法を、各サンプルに係るデンプン利用率の測定に用いた。アセテート緩衝剤中のアミログルコシダーゼ(Sigma Chemical Company,St.Louis Mo)を水浴中において55℃に予熱しておいた。圧ぺん穀粒のサンプル(25g)を100mLの予熱しておいた緩衝剤と組み合わせ、水浴中において55℃で15分間インキュベートした。インキュベーション後、内容物をろ紙を通してろ過し、数滴の粒子を含まないろ液を携帯型屈折率計のプリズム上に置いた。屈折率は、水溶性成分の尺度を提供し、そのため、酵素加水分解の程度の有用な指標である。得られる値(可溶性物質の割合)は、乾物基準で表記して、デンプン利用率の推定値とされる。
【0148】
インサイチュでの乾物消失率
およそ2g(乾物基準)の圧ぺんサンプルの各々を計量し、Dacronバッグに入れてシールし、三重重複で調製した。計測は、同一の週における3日間にわたって行った。サンプルをブロック中の6頭のカニューレを装着したジャージー種去勢牛に割り当て、これにより結果的な消失率の値に対する動物の影響を考慮した。フィステルを装着した去勢牛の第一胃中にバッグを14時間吊り下げ、これらは、取り出した後、十分にすすぎ、強制通風炉中において105℃で24時間乾燥させた。次いで、バッグを計量し、バッグの重量を差し引き、乾燥残渣を、インキュベーション前の乾燥重量に係る割合として表した。インサイチュ乾物消失率(ISDMD)の割合は、以下のとおり算出した。
【数1】
【0149】
インビトロガス生成及びVFAプロファイル
種菌としてルーメン液を用いるインビトロ法を利用し、各サンプルを二重重複で調製して(合計で180の観察対象)、消化に対する穀粒の感受性を評価した。ランの各々において基質(ブランク)を含まない2本のボトルを用いて、培養物の揮発性脂肪酸(VFA)含有量に対するルーメン液の寄与を考慮した。Ankom RF Gas Production監視システム(Ankom Technologies,Macedon,NY)を用いて発酵プロファイルを監視した。3グラムの加工穀粒をねじ蓋つきのボトル(250mL)に入れ、10mLのろ過したルーメン液及び140mLのMcDougall緩衝剤を加え、ボトルにAnkom製の高周波圧力検出モジュールを取り付け、培養物を39℃の振盪インキュベータに24時間入れ、ボトル中のガス圧を、インキュベーション全体を通して15分間間隔で記録した。24時間後、培養物のpHを測定し、シンチレーションバイアル中において4mLの上澄を1mLの25%メタリン酸溶液と組み合わせ、その後、これらを以後の利用のために冷凍した。後にサンプルを解凍し、ボルテックス(Vortex)ミキサで均質化し、上澄をマイクロ遠心分離チューブに移し、内容物を15,000×gで15分間遠心分離し、ガスクロマトグラフィによるVFAの計測のために微粒子を含まない上澄をクロマトグラフィバイアルに移した。Nukolキャピラリカラム(15m×0.35mm、df0.50μm)を備えるAglient 7890ガスクロマトグラフィ(Aglient Technologies,Santa Clara,CA)を用いて揮発性脂肪酸を計測し、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、バレレート、イソカプロエート、カプロエート及びヘプタノエートの濃度を得た。
【0150】
統計分析
Statistical Analysis System(SAS version 9.4)のMIXEDモデル手法を用いてデータを分析した。固定効果は、トウモロコシアミラーゼの割合、追加した水分の割合、水蒸気コンディショニング時間、全ての2種及び3種相互作用を含んでいた。ブロックを変量効果として用いた。追加の直交対比により、処理間の一次及び二次効果の考察が可能であった。処理効果は、0.05未満のP値で顕著であるとみなした。
【0151】
処理間における顕著な2又は3種効果は、いずれの分析についても見られなかった。
【0152】
粒径分析
粒径は、反芻動物に給餌された場合における穀粒の消化性及び発酵特性に重要な役割を果たす。穀粒混合物中におけるアミラーゼトウモロコシの含有割合に対する一次応答(P<0.01)が存在する。アミラーゼトウモロコシの割合が高いほど、平均粒径が小さい。水分処理は、粒径(P>0.10)に影響を有していなかった。穀粒の水蒸気コンディショニング時間は、二次効果(P<0.01)を誘起し、これにより、30分間の水蒸気への露出で最も小さい平均粒径となった。この水蒸気の二次効果は、以下のアッセイにおいて見られるものに反映される。
【0153】
デンプン利用率
デンプン利用率アッセイは、通例、消化に対する圧ぺん穀粒の感受性の特徴付けに用いられる。純粋なアミラーゼ穀粒は、最も高いデンプン利用率(52.7%)をもたらし、デンプン利用率は、ミルラントウモロコシによるアミラーゼトウモロコシの希釈に応じてリニアに低減し(P<0.01)、これは、混合物のアミラーゼトウモロコシ画分中のアミラーゼが有する、混合物のミルラン穀粒成分である非アミラーゼトウモロコシに対する影響が比較的小さいことを示唆している。
【0154】
デンプン利用率は、水分量の増加に応じてリニアに増加した(P<0.01)。他方で、水蒸気コンディショニング時間は、30分間のコンディショニング処理で二次効果(P<0.01)をもたらして、最大限のデンプン利用率となった。
【0155】
インサイチュ乾物消失率
穀粒混合物のアミラーゼトウモロコシ含有量は、圧ぺん穀粒混合物のインサイチュ消化性に顕著な影響(アミラーゼトウモロコシ含有量の一次効果;P<0.01)を有していた。非一次効果が不在であることは、アミラーゼトウモロコシ由来のアミラーゼの効果が穀粒自体に実質的に限定されており、混合物中の非アミラーゼトウモロコシ子実への相当量の移行が存在していないことを示唆している。
【0156】
アミラーゼトウモロコシ含有量の効果に対する比較において、テンパリングフェーズ中の水分の添加及び水蒸気コンディショニング時間が有する、穀粒のインサイチュ乾物消失率に対する影響は、比較的小さかった。コンディショニング時間がインサイチュ乾物消失率に二次的な影響を与える傾向があり(P=0.12);この関係は、デンプン利用率について観察されるものと顕著に同様であり、ここでは、30分間の水蒸気コンディショニングは、最大のインサイチュ消失率を有する最高の穀粒をもたらす。
【0157】
インビトロガス生成及びVFAプロファイル
最終の基質pHがインビトロ培養物による発酵活性全体の有用な指標であり、ここでは、計測値が低いほど、有機酸の生成がより多く、従って穀粒の微生物性消化が高いことを示す。培養物の最終pHは、混合物に組み入れられたアミラーゼトウモロコシ子実の量と正比例して低減する(一次効果P<0.01)。顕著な二次効果(P<0.01)は、水蒸気コンディショニング時間について観察され、ここでは、30分間で最も低い培養物pHとされる。テンパリングフェーズ中の水分の添加は、インビトロ培養物の最終pHに対する影響をほとんど有していないようであった。
【0158】
想定されたとおり、VFA生成における変化は、培養物の最終pHにおける差異と一致する。サンプルをカプロエート、イソカプロエート及びヘプタノエートについて分析したが、しかしながら、これらの微量VFAは、いずれも検出されなかった。表7に、様々な割合のアミラーゼトウモロコシ及びミルラントウモロコシから構成される圧ぺん穀粒に係るVFAプロファイルがまとめられている。
【0159】
表7. 基質として混合蒸気圧ぺん穀粒を与えた混合ルーメン微生物のインビトロ培養による、VFA生成に対するアミラーゼトウモロコシ含有量の影響。
【表7】
【0160】
VFA(アセテート、プロピオネート、バレレート、イソバレレート及び総VFA)の生成は、アミラーゼトウモロコシ子実の割合の増加に応じてリニアに増加した(P<0.01)。これは、ミルラントウモロコシと比べてアミラーゼトウモロコシ子実のより高レベルの微生物性の消化を示す。VFAは、反芻動物における維持及び生産を目的とするエネルギーの大部分に寄与し、高い微生物性消化は、一般に、デンプンの高い総消化管消化率と一致する。そのため、ルーメン微生物によってより消化されやすい穀粒は、より高い総消化管消化率をもたらす可能性が高く、そのため、性能又は効率の向上を達成し得る。アミラーゼトウモロコシ子実の割合の増加は、アセテート:プロピオネート比も低減させた(P<0.01)。アセテート:プロピオネートの下方シフトには多くの場合にメタノゲネシスの低減が付随し、これは、エネルギー上より好ましいために、これは、望ましい効果である。
【0161】
インビトロガス生成は、発酵活性全体の良好な指標であり、ここでは、二酸化炭素及びメタンは、第一胃発酵の一次ガス副産物である。処理間の統計的差異を6時間間隔で分析した。6時間の時点で0%のアミラーゼトウモロコシ子実が分離を開始し、50、75及び100%処理よりも顕著に低かった。12時間の時点で0%及び25%のアミラーゼトウモロコシレベルが全ての他の処理と異なっており;50%が100%から異なっている一方、75%と100%との間の差異は顕著でなかった。18時間の時点では、12時間の時点に対する処理の差異が反映されていた。24時間発酵させた時点では、50%アミラーゼトウモロコシ処理が相違を埋め、75%と100%との間でこれ以上の統計的な区別が可能ではなくなった。
【0162】
アミラーゼトウモロコシ子実は、対照として用いられたミルラントウモロコシと比べてはるかに消化されやすく、デンプン利用率、インビトロ及びインサイチュ消化並びに最終生成物の形成において相当の向上をもたらすようである。混合物中のアミラーゼトウモロコシ子実に対する応答は、アミラーゼトウモロコシ含有量に対して正比例であり、これは、混合物中の他の穀粒に対するアミラーゼトウモロコシ由来のアミラーゼが有する影響がほとんどないか又はまったくないことを示唆していた。アミラーゼトウモロコシは、蒸気圧ぺん工程による穀粒の加工に顕著な利点をもたらすものである。
【0163】
上記は、本発明を例示するものであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。本発明は、以下の特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲の均等物がその中に包含される。
【0164】
本明細書に引用される全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、その中に参考文献が示される文章及び/又は段落に関して、教示のために全体が参照により援用される。
図1
【配列表】
2023053979000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-02-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物飼料を生産する方法であって、
a)耐熱性の組み換え微生物α-アミラーゼを含むトランスジェニックトウモロコシ穀粒を提供する工程;及び
b)前記トウモロコシ穀粒を蒸気圧ぺんして、蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物を生産する工程であって、ここで、スループット速度が、耐熱性の組み換え微生物α-アミラーゼを含まない対照トウモロコシ穀粒と比べて少なくとも20%増加されている、工程、
を含む方法。
【請求項2】
前記トランスジェニックトウモロコシ穀粒を蒸気圧ぺんするための時間が、前記対照トウモロコシ穀粒と比べて少なくとも20%短縮されている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物におけるデンプンの消化率が、前記対照トウモロコシ穀粒から生産される対照蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物におけるデンプンの消化率と比べて増加されている、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物が、前記対照トウモロコシ穀粒から生産される対照蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物と比べて減少した幾何平均粒径を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記トランスジェニックトウモロコシ穀粒が、トウモロコシ事象3272を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法によって生産される、蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物。
【請求項7】
畜牛に給餌された場合、対照蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物の利用率と比べてより効率的に利用される、請求項6に記載の蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物。
【請求項8】
畜牛に給餌された場合、実質的に同様のデンプン利用率を有する対照蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物の利用率と比べてより効率的に利用される、請求項7に記載の蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0164
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0164】
本明細書に引用される全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、その中に参考文献が示される文章及び/又は段落に関して、教示のために全体が参照により援用される。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕収穫された畜牛における肝膿瘍を低減する方法であって、
a)畜牛に動物飼料組成物を給餌する工程であって、前記動物飼料組成物が、耐熱性の組み換え微生物α-アミラーゼを発現するトランスジェニック植物又は植物部位に由来する植物材料を含む、工程;及び
b)前記畜牛を収穫する工程
を含む方法。
〔2〕前記微生物α-アミラーゼが、配列番号1のアミノ酸配列に対する少なくとも80%の同一性を有するポリペプチド又は配列番号2、配列番号3、配列番号4及び/若しくは配列番号5のヌクレオチド配列に対する少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドを含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕前記トランスジェニック植物又は植物部位が、前記植物材料の約1重量%~約100重量%を占める、前記〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
〔4〕前記植物材料が、前記動物飼料組成物の約5重量%~約100重量%を占める、前記〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の方法。
〔5〕前記植物材料が、トウモロコシである、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の方法。
〔6〕前記トウモロコシが、トウモロコシ事象3272を含む、前記〔5〕に記載の方法。
〔7〕前記トウモロコシが、蒸気圧ぺんされている、前記〔5〕又は〔6〕に記載の方法。
〔8〕前記畜牛が、肉用種牛である、前記〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の方法。
〔9〕前記畜牛が、フィードロット牛である、前記〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載の方法。
〔10〕前記畜牛が、酪牛である、前記〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の方法。
〔11〕前記〔1〕~〔10〕のいずれか一項に記載の方法によって生産される収穫された畜牛の枝肉であって、前記収穫された畜牛の枝肉ga、前記収穫された動物の肝臓を含み、耐熱性の組み換え微生物α-アミラーゼを発現するトランスジェニック植物又は植物部位に由来する植物材料が給餌されていない対照畜牛からの枝肉と比べて、前記収穫された畜牛の枝肉における肝膿瘍の発生数が低減されている、収穫された畜牛の枝肉。
〔12〕動物飼料を生産する方法であって、
a)耐熱性の組み換え微生物α-アミラーゼを含むトランスジェニックトウモロコシ穀粒を提供する工程;及び
b)前記トウモロコシ穀粒を蒸気圧ぺんして、蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物を生産する工程
を含む方法。
〔13〕スループット速度が、耐熱性の組み換え微生物α-アミラーゼを含まない対照トウモロコシ穀粒と比べて増加されている、前記〔12〕に記載の方法。
〔14〕前記トランスジェニックトウモロコシ穀粒を蒸気圧ぺんするための時間が、前記対照トウモロコシ穀粒と比べて短縮されている、前記〔12〕又は〔13〕に記載の方法。
〔15〕前記蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物におけるデンプンの消化率が、前記対照トウモロコシ穀粒から生産される対照蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物におけるデンプンの消化率と比べて増加されている、前記〔12〕~〔14〕のいずれか一項に記載の方法。
〔16〕前記蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物が、前記対照トウモロコシ穀粒から生産される対照蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物と比べて減少した幾何平均粒径を有する、前記〔12〕~〔15〕のいずれか一項に記載の方法。
〔17〕前記トランスジェニックトウモロコシ穀粒が、トウモロコシ事象3272を含む、前記〔12〕~〔16〕のいずれか一項に記載の方法。
〔18〕前記〔12〕~〔17〕のいずれか一項に記載の方法によって生産される、蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物。
〔19〕畜牛に給餌された場合、対照蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物の利用率と比べてより効率的に利用される、前記〔18〕に記載の蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物。
〔20〕畜牛に給餌された場合、実質的に同様のデンプン利用率を有する対照蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物の利用率と比べてより効率的に利用される、前記〔19〕に記載の蒸気圧ぺんトウモロコシ生産物。
【外国語明細書】