(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054067
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】収穫ロボット
(51)【国際特許分類】
A01D 46/24 20060101AFI20230406BHJP
A01D 46/30 20060101ALI20230406BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
A01D46/24 B
A01D46/30
B25J13/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019001
(22)【出願日】2023-02-10
(62)【分割の表示】P 2019160359の分割
【原出願日】2019-09-03
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸島 亮
(72)【発明者】
【氏名】金田 善夫
(72)【発明者】
【氏名】黒田 賢
(57)【要約】
【課題】収穫作業を効率良く行うことが出来る収穫ロボットを提供すること。
【解決手段】上下方向に沿って配された2個の収納籠と、2個の収納籠のうち、下層の収納籠を把持する第1把持部材108と、2個の収納籠のうち、上層の収納籠を把持する第2把持部材109と、第1把持部材108又は第2把持部材109を上下に移動させるリフト機構110,111と、対象物を収穫するアームを含む収穫機構101と、を備え、リフト機構110,111は、下層の収納籠と上層の収納籠の間に空間が形成されるように、第1把持部材108又は第2把持部材109を上下に移動させ、収穫機構101は、収穫した対象物を下層の収納籠に収納する、収穫ロボット。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に沿って配された2個の収納籠と、
前記2個の収納籠のうち、下層の収納籠を把持する第1把持部材と、
前記2個の収納籠のうち、上層の収納籠を把持する第2把持部材と、
前記第1把持部材又は前記第2把持部材を上下に移動させるリフト機構と、
対象物を収穫するアームを含む収穫機構と、
を備え、
前記リフト機構は、前記下層の収納籠と前記上層の収納籠の間に空間が形成されるように、前記第1把持部材又は前記第2把持部材を上下に移動させ、
前記収穫機構は、収穫した前記対象物を前記下層の収納籠に収納する、
収穫ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トマトやりんご等の果実を自動的に収穫する収穫ロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の収穫ロボットとしては、多数個の収納籠を格納しタイムリーに供給する収納籠供給装置を備えたものがある(例えば、特許文献1)。
図6は、特許文献1に記載された従来の収穫ロボットを示す図である。
図6において、撮像装置601は収穫対象である果実との距離を検出する役割があり、アーム602により果実を把持摘果し、旋回後に収納籠603へ収納される。収納籠603は収納籠供給装置604により、単独で供給される。これらは車台605の上側に配設され、下側には車輪606が配設されることで車体を構成している。収穫ロボットを手動操作する場合は、収納籠供給装置604の前面に配設された操作パネル607および操向レバー608を使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、収穫した果実を収納籠に入れ、該収納籠が満杯になった時点で地上に放出するため、放出しなければ次の収穫動作に移れず、また敏道に放出された収納籠が他の作業者や作業ロボットの邪魔になる上、放出された収納籠を逐一人が回収しなければならず、回収作業に時間を要するという課題を有している。また、空の収穫籠を、定期的にタイムリーに収穫ロボットへ手作業でセットしなければならないため、手間がかかるという課題も有している。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、収穫作業を効率良く行うことが出来る収穫ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決する主たる本開示は、
上下方向に沿って配された2個の収納籠と、
前記2個の収納籠のうち、下層の収納籠を把持する第1把持部材と、
前記2個の収納籠のうち、上層の収納籠を把持する第2把持部材と、
前記第1把持部材又は前記第2把持部材を上下に移動させるリフト機構と、
対象物を収穫するアームを含む収穫機構と、
を備え、
前記リフト機構は、前記下層の収納籠と前記上層の収納籠の間に空間が形成されるように、前記第1把持部材又は前記第2把持部材を上下に移動させ、
前記収穫機構は、収穫した前記対象物を前記下層の収納籠に収納する、
収穫ロボットである。
【発明の効果】
【0007】
以上のように、本発明の収穫ロボットによれば、効率良く収穫作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】本実施の形態1における収穫動作を示す工程断面図
【
図3】本実施の形態2における収穫動作を示す工程断面図
【
図4】本実施の形態3における収穫動作を示す工程断面図
【
図5】本実施の形態における第1把持部材の動作フローを示す概略上面図
【
図6】特許文献1に記載された従来の収穫ロボットを示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
(収穫ロボットの全体構成)
図1は、本開示における収穫ロボットの側面図である。
図1において、収穫機構101はアーム103を含み、収穫対象である果実を収穫し、収納籠102へ入れる。
【0011】
収穫機構101による収穫方法は従来、果実の種類に応じ様々な収穫方法が提案されているので詳細の説明は省略する。対象とする果実の種類に応じ、適切な収穫方法が選択される。
【0012】
収納籠102は、第2把持部材109と第1把持部材108によりそれぞれ把持される。
【0013】
アーム103は先端に収穫した対象物を保持する機能を有する。具体的には、アーム103は、例えば収穫機構101によって収穫した果実を吸着保持する真空吸着機構や、収穫した果実を投入され一時的に保持するケースなど、を先端に有する。なお、当該機構はアーム103の先端付近に配設されても良く、後述するように収穫した対象物を収納籠に収納していくことのできる位置に配設されていれば良い。
【0014】
撮像装置104は、収穫のため収穫対象物を撮像するとともに、地面に載置された収納籠102を撮像する。
【0015】
制御装置105は、撮像装置104によって撮影された画像データから収納籠の位置を特定し、特定した収納籠の位置へ自走台車106を誘導するよう制御する。
【0016】
自走台車106は、制御装置105によって制御され、前後部に配設されている車輪107により走行する。自走台車106は一般にAGV(Automated guided vehicle)と呼ばれているもので、詳細の説明は割愛する。
【0017】
第1把持部材108は、積層された収納籠102の最下層の収納籠102を把持する。
【0018】
第2把持部材109は、第1把持部材108によって把持される収納籠102以外の任意の収納籠102を把持する。
【0019】
第2把持部材109および第1把持部材108によって把持されている収納籠102は、地面に対して鉛直方向同軸上に配置されている。
【0020】
第1リフト機構110は、制御装置105によって制御され、第1把持部材108を上下駆動させる。
【0021】
第2リフト機構111は、制御装置105によって制御され、第2把持部材109を上下駆動させる。
【0022】
第2把持部材109及び第1把持部材108は、収納籠102を挟み込むことによって把持し、挟み込みを緩めることによって解放する。第2把持部材109及び第1把持部材108は、制御装置105によって把持および解放の動きを制御されても良く、その他の手法を用いて制御されても良い。例えば、センサー等を用いて把持対象物を検知した場合に、その情報を直接フィードバックされることで駆動しても良い。
【0023】
第1把持部材108は、収納籠102の最下面より上方に位置し、第1把持部材108の最下面と収納籠102最下面との間の距離が距離Lの位置で収納籠102を把持する。第1リフト機構110は、第1把持部材108の最下面と地面との間の距離が距離L以下になるまで、第1把持部材108を移動可能に構成されている。
【0024】
なお、
図1には図示されていないが、第1把持部材108にはストッパー501が備えられる。ストッパー501の詳細については後述する。
【0025】
以上のように構成された収穫ロボットの動作について、
図2~
図5を用いて説明する。
【0026】
(実施の形態1)
図2は、本実施の形態1における収穫動作を示す工程断面図である。実施の形態1は、第2リフト機構111のメイン動作による収穫動作を想定している。なお、
図2は収納籠が4個の場合を例示しているが、何個であってもよい。
【0027】
以下に説明する第2リフト機構111の動きは、制御装置105によって制御される。
【0028】
まず、
図2(a)に示すように、第1把持部材108が、積層された収納籠102の最下層の収納籠102を把持する。
【0029】
次に、第2把持部材109が第2リフト機構111により下降し、下から2段目の収納籠102を把持し上昇する(
図2(b))。この状態で、
図1に示す収穫機構101により収穫動作が行われる。
【0030】
さらに、第2把持部材109によって把持される収納籠102と、その一つ下層の収納籠102との間隔に形成された空間に、
図1に示すアーム103が挿入され、収穫された対象物を最下層の収納籠102に収納していく。具体的には、アーム103は、例えば収穫機構101によって収穫した果実を吸着保持する真空吸着機構の吸着を解除したり、回転または振動することによりケースから収穫した果実を収納籠102へ移動させたりする。
【0031】
ここで、アーム103は、第2把持部材109によって把持される収納籠102と、その一つ下層の収納籠102との間隔に挿入される必要がある。そこで、制御装置105は、アーム103の挿入高さを決定する。例えば、制御装置105は、撮像素子を有するカメラ等を用いて計測された上述の間隔の位置に基づき、アーム103の挿入高さを決定する。また例えば、制御装置105は、センサー等を用いて計測された第2把持部材109の位置に基づき、アーム103の挿入高さを決定する。より具体的には、制御装置105は、第2把持部材109によって把持される収納籠102とアーム103とが干渉しないと推定される位置に、アーム103を挿入する。
【0032】
最下層の収納籠102が満杯になると、第2把持部材109が下降し、いったんすべての収納籠102を積層する。そして、第2把持部材109が下から2段目の収納籠102を解放し、収納籠102一個分の高さ上昇して下から3段目の収納籠102を把持し、上昇する(
図2(c))。
【0033】
ここで、制御装置105が、収納籠102が満杯になったことを判定する。制御装置105は、例えば、アーム103の往復回数が予め設定された回数を超えた場合に、収納籠102が満杯になったことを判定する。また例えば、収納籠102に収納された対象物の数を、撮像素子を有するカメラ等を用いて計測し、制御装置105は、予め設定された個数を超えた場合に、収納籠102が満杯になったことを判定する。また例えば、重量計等を用いて収納籠102の重量を計測し、制御装置105は、予め設定された重量を超えた場合に、収納籠102が満杯になったことを判定する。
【0034】
この状態で中断していた収穫動作が再開され、下から2段目の収納籠102の上方に形成された空間にアーム103が挿入され、収穫された対象物を下から2段目の収納籠102に収納していく。
【0035】
以下、同様に繰り返し、
図2(d)、
図2(e)と推移する。最終的には、第2把持部材109は、
図2(e)に示すとおり、収納籠102を把持しない状態となる。積載された収納籠102のうち、最上層の収納籠102が満杯になれば、収穫作業が終了する。
【0036】
その後、第1把持部材108は下降し、収納籠102を地上に降ろす。なお、収納籠102を地上に降ろす際には、適切な場所まで移動しても良い。
【0037】
このように、第2把持部材109と、第1把持部材108と、第2把持部材109を上下駆動させる第2リフト機構111により、複数の収納籠102を保持したまま、それぞれの収納籠102に順次対象物を収納できる。したがって、収穫を連続的に行うことができ、収穫効率が向上する。さらに、一度の収穫動作における収穫量を増大させることができる。さらに、満杯になった収納籠102を畝道に点々と放出することがないため、放出された収納籠102によって他の作業者や作業ロボットによる作業の邪魔となることを、低減することができる。また、満杯になった収納籠102を一度に複数放出することで、収納済の収穫籠102の回収効率が向上する。また、収穫作業のスタート時には、空の収納籠を積載しておくのみで良く、省スペースと効率化が見込める。
【0038】
[効果]
以上のように、本実施形態に係る収穫ロボットは、
上下方向に沿って配されたn(nは3以上の整数)個の収納籠102と、
n個の収納籠102のうち、最下層の収納籠102を把持する第1把持部材108と、
n個の収納籠102のうち、最下層からk(kは2以上で且つn以下の整数)層目の収納籠102を把持する第2把持部材109と、
第1把持部材108又は第2把持部材109を上下に移動させるリフト機構(110又は111)と、
対象物を収穫するアーム103を含む収穫機構101と、
を備え、
第2把持部材109は、n個の収納籠102のうちから把持対象の収納籠102を可変に構成され、
第1把持部材108が、n個の収納籠102のうち、積載された最下層の収納籠102からk-1層目の収納籠102までを支持し、
第2把持部材109が、n個の収納籠102のうち、積載されたk層目の収納籠102からn層目の収納籠102までを支持する。
【0039】
従って、本実施形態に係る収穫ロボットによれば、複数の収納籠102を保持したまま、対象物を収納籠102に収納することができるため、満杯となった収納籠102を順次地上に放出することなく、収穫作業を続行することが可能である。これによって、収穫作業を効率的に実行することができる。
【0040】
特に、本実施形態に係る収穫ロボットにおいては、リフト機構(110又は111)が、k層目の収納籠102とk-1層目の収納籠102の間に空間が形成されるように、第1把持部材108又は第2把持部材109を上下に移動させ、収穫機構101が、収穫した対象物をk-1層目の収納籠102に収納する。
【0041】
これによって、収穫作業を効率的に実行することができる。
【0042】
(実施の形態2)
図3は、本実施の形態2における収穫動作を示す工程断面図である。実施の形態2は、第1リフト機構110のメイン動作による収穫動作を想定している。なお、
図3は収納籠102が3個の場合を例示しているが、何個であってもよい。また、実施の形態1と共通する部分については説明を省略することもある。
【0043】
以下に説明する第1リフト機構110の動きは、制御装置105によって制御される。
【0044】
まず、
図3に示すように、第1把持部材108が、積層された収納籠の最下層の収納籠102を把持する。
【0045】
次に、第1把持部材108が第1リフト機構110により上昇し、下から2段目の収納籠を第2把持部材109が把持できる位置で停止する。そして、第2把持部材109が、下から2段目の収納籠を把持する(
図3(b))。
【0046】
次に、第1把持部材108が第1リフト機構110により下降し、最下層の収納籠の上方に空間を形成する(
図3(c))。この状態で、
図1に示す収穫機構101により収穫動作が行われる。さらに、第2把持部材109によって把持される収納籠102と、その一つ下層の収納籠102との間隔に形成された空間に、
図1に示すアーム103が挿入され、収穫された対象物を最下層の収納籠102に収納していく。
【0047】
最下層の収納籠102が満杯になると、再度
図3(b)の状態となるよう第1把持部材108が上昇する。すなわち、第2把持部材109によって把持される収納籠102と、その一つ下層の収納籠102との間隔がなくなるよう、第1把持部材108が上昇する。この状態で、第2把持部材109が把持していた収納籠102を解放し、収納籠1個分上昇し、下から3段目の収納籠102を把持する。そして、第2把持機構109が下降し、下から2段目の収納籠102の上方に空間を形成する(
図3(d))。
【0048】
この状態で中断していた収穫動作が再開され、下から2段目の収納籠102の上方に形成された空間にアーム103が挿入され、収穫された対象物を下から2段目の収納籠102に収納していく。
【0049】
以下、同様に繰り返し、最上層の収納籠102が満杯になると収穫作業が完了する(
図3(e))。
【0050】
その後、第1把持部材108は下降し、収納籠102を地上に降ろす(
図3(f))。
【0051】
このように、第2把持部材109と、第1把持部材108と、第1把持部材108を上下駆動させる第1リフト機構110により、複数の収納籠102を保持したまま、それぞれの収納籠102に順次対象物を収納できる。したがって、収穫を連続的に行うことができ、収穫効率が向上する。さらに、一度の収穫動作における収穫量を増大させることができる。さらに、満杯になった収納籠を畝道に点々と放出することがないため、放出された収納籠によって他の作業者や作業ロボットによる作業の邪魔となることを、低減することができる。また、満杯になった収納籠を一度に複数放出することで、収納済の収穫籠の回収効率が向上する。また、収穫作業のスタート時には、空の収納籠を積載しておくのみで良く、省スペースと効率化が見込める。
【0052】
(実施の形態3)
図4は、本実施の形態3における収穫動作を示す工程断面図である。実施の形態3は、第2リフト機構111ならびに第1リフト機構110の複合的動作による収穫動作を想定している。なお、
図4は収納籠102が5個の場合を例示しているが、何個であってもよい。また、実施の形態1または実施の形態2と共通する部分については、説明を省略することもある。
【0053】
以下に説明する第2リフト機構111及び第1リフト機構110の動きは、制御装置105によって制御される。
【0054】
まず、
図4(a)に示すように、第1把持部材108が、積層された収納籠102のうち最下層の収納籠102を把持する。
【0055】
次に、第1把持部材108が第1リフト機構110により上昇し、最下層の収納籠102を所定の高さに持ち上げる。そして、第2把持部材109が第2リフト機構111により下降し、下から2段目の収穫籠102を把持する(
図4(b))。ここで、所定の高さとは、アーム103のストローク範囲内で最も低い位置で、最下層の収穫籠102に対象物を収納できる位置をいう。このことで、第1リフト機構110の駆動を最小限に抑えることができる。また、積層された収納籠102を必要以上に持ち上げなくて済み、重心位置を低く抑えることができる。なお、所定の高さは、上記の位置より高ければ駆動可能である。例えば
図4においては、第1リフト機構110は、上記の位置より高くまで上昇している。
【0056】
次に、第2把持部材109が第2リフト機構111により上昇し、最下層の収納籠102の上方に空間を形成する(
図4(c))。この状態で、
図1に示す収穫機構101により収穫動作が行われる。さらに、第2把持部材109によって把持される収納籠102と、その一つ下層の収納籠102との間隔に形成された空間に、
図1に示すアーム103が挿入され、収穫された対象物を最下層の収納籠102に収納していく。
【0057】
最下層の収納籠102が満杯になると、第2把持部材109によって把持される収納籠102と、その一つ下層の収納籠102との間隔がなくなるよう、第2把持部材109が下降する。この状態で、第2把持部材109が把持していた収納籠102を解放し、第2把持部材109が収納籠1個分上昇もしくは第1把持部材108が収納籠1個分下降し、第2把持部材109が下から3段目の収納籠102を把持する。そして、第2把持部材109が上昇し、下から2段目の収納籠102の上方に空間を形成する(
図4(d))。
【0058】
この状態で中断していた収穫動作が再開され、下から2段目の収納籠102の上方に形成された空間にアーム103が挿入され、収穫された対象物を下から2段目の収納籠102に収納していく。
【0059】
下から2段目の収納籠102が満杯になると、第2把持部材109によって把持される収納籠102と、その一つ下層の収納籠102との間隔がなくなるよう、再び第2把持部材が下降する。この状態で、第2把持部材109が把持していた収納籠102を解放し、第2把持部材109が収納籠1個分上昇もしくは第1把持部材108が収納籠1個分下降し、第2把持部材109が下から4段目の収納籠102を把持する。そして、第2把持部材109が上昇し、下から3段目の収納籠102の上方に空間を形成する(
図4(e))。
【0060】
この状態で中断していた収穫動作が再開される。以下、同様に繰り返し(
図4(f))、最上層の収納籠102が満杯になると収穫作業が完了する(
図4(g))。
【0061】
その後、第1把持部材108は下降し、収納籠102を地上に降ろす(
図4(h))。
【0062】
このように、第2把持部材109と、第1把持部材108と、第2把持部材109を上下駆動させる第2リフト機構111と、第1把持部材108を上下駆動させる第1リフト機構110とにより、複数の収納籠102を保持したまま、それぞれの収納籠102に順次対象物を収納できる。したがって、収穫を連続的に行うことができ、収穫効率が向上する。また、実施の形態1または実施の形態2と同様の効果を得ることができる。さらに、実施の形態3ではアーム103のストローク範囲が小さくて済む、もしくは同じストローク範囲で動かすことができ、機構の効率化が図れる。さらに、収納籠を多く積層した場合に、重心位置を低く抑えた状態で把持することができ、安全性が向上し、積層できる収納籠の個数も増やすことができる。
【0063】
図5は、本実施の形態における第1把持部材108の動作フローを示す概略上面図である。なお、
図5において各構成は簡易的に図示されている。
【0064】
第1把持部材108は、収穫作業の最初の段階または前段階において、地上に置かれた収納籠102を挟む。
【0065】
まず、撮像装置104が、地面に載置された収納籠102を撮像する(
図5(a))。撮像装置104によって撮影された画像データを基に、制御装置105が収納籠102の位置を特定する。
【0066】
次に、制御装置105は、特定した収納籠102の位置に基づき、収納籠102と第1把持部材108の中心軸を合わせるよう、自走台車106を駆動させる(
図5(b))。
【0067】
次に、制御装置105は、自走台車106を前進させ、ストッパー501に収穫籠102が接触した時点で停止させる(
図5(c))。停止させるトリガーは、撮像装置104からの画像データを基にしてもよいし、ストッパー501に接触センサーを仕込んでもよい。
【0068】
その後、第1把持部材108は、収穫穫102を挟み込む動作を行う(
図5(d))。
【0069】
このように、第1把持部材108と、撮像装置104と、制御装置105と、自走台車106とにより、地面の任意の位置に置かれた収納籠を自動的に検出し、把持することができる。これによりさらに作業の効率化が図れる。
【0070】
なお、本実施の形態においてアーム103は1本としたが、収穫機構101は2本のアームを有していてもよい。アーム103の本数が多いほど、より効率的に収穫作業を行うことができる。
【0071】
また、撮像装置104は収穫対象物の位置特定と収納籠の位置特定を行うとしたが、それぞれ別個に専用の撮像装置を有していてもよい。
【0072】
また、制御装置105は単数のみならず、複数のコンピュータによってその機能を果たしても良い。
【0073】
また、第2把持部材109と第1把持部材108はそれぞれ収納籠102を把持するとしたが、つばのある収納籠102の場合は、チャックせず、そのつばを引っ掛けて持ち上げる構造としてもよく、要は収納籠102を保持できればよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本開示の収穫ロボットは、複数の収納籠を保持したまま、順次複数の収納籠に対象物を収納でき、また積層された収納籠を地上に降ろし、またすくい上げる機能を有し、農学分野の収穫作業以外の、工業製品の組立工程におけるピッキングや部品の配膳作業の自動化の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0075】
101 収穫機構
102 収納籠
103 アーム
104 撮像装置
105 制御装置
108 第1把持部材
109 第2把持部材
110 第1リフト機構
111 第2リフト機構