(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054088
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】スクイズボトル
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20230406BHJP
B65D 1/32 20060101ALI20230406BHJP
A61J 1/06 20060101ALI20230406BHJP
A61J 1/05 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
B65D1/02 100
B65D1/32
A61J1/06 Z
A61J1/05 313B
A61J1/05 311
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020192
(22)【出願日】2023-02-13
(62)【分割の表示】P 2019512581の分割
【原出願日】2018-04-13
(31)【優先権主張番号】P 2017080068
(32)【優先日】2017-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100176773
【弁理士】
【氏名又は名称】坂西 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100135242
【弁理士】
【氏名又は名称】江守 英太
(72)【発明者】
【氏名】池田 直浩
(72)【発明者】
【氏名】固城 浩幸
(57)【要約】
【課題】一体的に成形されたスクイズボトルであって、滴下又は注出する際の操作性に優れた、液状組成物を収容するためのスクイズボトルを提供すること。
【解決手段】本発明は、液状組成物を収容するための収容部、及び前記収容部に連設された注出口を含む容器本体と、前記注出口の開口部を密封するように前記容器本体に接合された蓋と、を一体的に備えるスクイズボトルであって、前記容器本体は、環状オレフィン類及びポリエチレン類を含有する樹脂を含む、スクイズボトルに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状組成物を収容するための収容部、及び前記収容部に連設された注出口を含む容器本体と、
前記注出口の開口部を密封するように前記容器本体に接合された蓋と、を一体的に備えるスクイズボトルであって、
前記容器本体は、環状オレフィン類及びポリエチレン類を含有する樹脂を含む、スクイズボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスクイズボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
水性医薬製剤を収容する容器として、例えば特許文献1には、容器の成形、水性医薬製剤の充填及び容器の密封を連続的に行うブローフィルシール(BFS)法によって一体的に成形されたプラスチックアンプルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、薬物を含有する眼科用などの液状組成物を収容するスクイズボトルにおいては、液状組成物を滴下又は注出する際に、液滴を作りやすく、眼やコンタクトレンズなどの局所部位に確実に滴下又は注出でき、かつ滴下量又は注出量を安定的にコントロールすることのできる、良好な操作性が求められている。
【0005】
本発明は、一体的に成形されたスクイズボトルであって、滴下又は注出する際の操作性に優れた、液状組成物を収容するためのスクイズボトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、環状オレフィン類及びポリエチレン類を含有する樹脂で一体的に成形されたスクイズボトルが、意外にも滴下又は注出する際の操作性に優れていることを見出した。
【0007】
本発明は、この知見に基づくものであり、以下の各発明を提供する。
[1]液状組成物を収容するための収容部、及び前記収容部に連設された注出口を含む容器本体と、
前記注出口の開口部を密封するように前記容器本体に接合された蓋と、を一体的に備えるスクイズボトルであって、
前記容器本体は、環状オレフィン類及びポリエチレン類を含有する樹脂を含む、スクイズボトル。
[2]前記注出口の開口部の面積が、0.15~20.0mm2である、[1]に記載のスクイズボトル。
[3]前記収容部の側面における圧縮強度が、20~250N/mmである、[1]又は[2]に記載のスクイズボトル。
[4]前記容器本体の波長400~700nmの可視光領域における光透過率の最大値が、50%以上である、[1]~[3]のいずれかに記載のスクイズボトル。
[5]前記容器本体が内層及び外層を含む2以上の層からなり、前記液状組成物と接する前記内層が環状オレフィン類及びポリエチレン類を含有する樹脂を含む、[1]~[4]のいずれかに記載のスクイズボトル。
[6]前記ポリエチレン類が、低密度ポリエチレン及び/又は直鎖状低密度ポリエチレンである、[1]~[5]のいずれかに記載のスクイズボトル。
[7]前記液状組成物と接する環状オレフィン類及びポリエチレン類を含有する樹脂層における前記環状オレフィン類の総含有量が、前記環状オレフィン類及びポリエチレン類を含有する樹脂の総量を基準として、50~99質量%である、[1]~[6]のいずれかに記載のスクイズボトル。
[8]前記液状組成物が眼科用組成物である、[1]~[7]のいずれかに記載のスクイズボトル。
[9]環状オレフィン類及びポリエチレン類を含有する樹脂を用いて一体的に成形することを含む、スクイズボトルの製造方法。
[10]環状オレフィン類及びポリエチレン類を含有する樹脂を用いて一体的に成形することでスクイズボトルを製造することを含む、該スクイズボトルに収容された液状組成物を吐出する操作性を向上させる方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、一体的に成形されたスクイズボトルであって、滴下又は注出する際の操作性に優れた、液状組成物を収容するためのスクイズボトルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(a)は、本発明の一実施形態に係るスクイズボトルの構成を示す正面図であり、(b)は、本発明の一実施形態に係るスクイズボトルの構成を示す左側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るスクイズボトルを複数連結した構成を示す正面図である。
【
図3】最大試験力を測定する方法を示す斜視図である。
【
図4】(a)は、試験例4で作製されたスクイズボトルの構成を示す正面図であり、(b)は、試験例4で作製されたスクイズボトルの構成を示す左側面図である。(c)は、試験例4で作製されたスクイズボトルの収容部の断面(液状組成物が滴下又は注出される方向と垂直の方向に沿った断面)を模式的に示した図である。
【
図5】試験例4で作製された、複数連結した状態のスクイズボトルを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
図1(a)は、本発明の一実施形態に係るスクイズボトルの構成を示す正面図であり、
図1(b)は、本発明の一実施形態に係るスクイズボトルの構成を示す左側面図である。
図1(a)及び(b)に示すように、スクイズボトル1は、液状組成物を収容するための収容部3、及び収容部3に連設された注出口4を含む容器本体2と、注出口4の開口部5を密封するように容器本体2に接合された蓋6と、を一体的に備えている。なお、本実施形態に係るスクイズボトルは、注出口4の開口部5と蓋6とを連接する薄肉部を更に一体的に備えていてもよい。以上の構成において、収容部3と蓋6とを把持し、互いに反対方向に捻って切り裂くことで、注出口4の開口部5が開封される。
【0012】
図2は、本発明の一実施形態に係るスクイズボトルを複数連結した構成を示す正面図である。
図2に示すように、スクイズボトル1を2個以上(
図2では5個)連結した状態で成形することも可能である。この場合、スクイズボトル1の収容部3の側面及び/又は蓋6の側面が、隣接する別のスクイズボトル1の収容部3の側面及び/又は蓋6の側面と一部連結した状態で成形し、複数連結したスクイズボトルから1個のスクイズボトルを切り離すことができる。
【0013】
本実施形態に係るスクイズボトルは、収容された液状組成物を吐出する、吐出容器である。液状組成物は滴下又は注出によってスクイズボトルの外に吐出される。
【0014】
本実施形態に係るスクイズボトルの容器本体は、環状オレフィン類及びポリエチレン類を含有する樹脂(単に「環状オレフィン類及びポリエチレン類含有樹脂」とも表記する。)を含む。
【0015】
環状オレフィン類としては、例えば、環状オレフィンポリマー(単に「COP」とも表記する。)、環状オレフィンコポリマー(単に「COC」とも表記する。)が挙げられる。環状オレフィン類としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、好ましくはCOCである。
【0016】
COPは、1種単独の環状オレフィンを共重合させたポリマー、若しくは2種以上の環状オレフィンを共重合させたポリマー、又はそれらの水素添加物を含有するものであれば、特に制限されない。COPは、環状オレフィンの開環重合体又はその水素添加物を含有するものが好ましい。また、COPは、非結晶性の重合体を含むものが好ましい。
【0017】
COCは、環状オレフィンと非環状オレフィンとを共重合させたポリマー、又はそれらの水素添加物を含有するものであれば、特に制限されない。
【0018】
環状オレフィンとしては、例えば、ビニル基を有する単環式若しくは多環式シクロアルカン、単環式若しくは多環式シクロアルケン、及びこれらの誘導体が挙げられる。環状オレフィンとして、好ましくは、ノルボルネン、テトラシクロドデセン、及びこれらの誘導体である。非環状オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン等のα-オレフィンが挙げられる。
【0019】
COPとしては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、ノルボルネン骨格を有する環状オレフィンの重合体またはその水素添加物を含有するものが好ましい。COCとしては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、ノルボルネンとエチレンとを共重合させたポリマーを含有するものが好ましい。なお、環状オレフィンと非環状オレフィンとを共重合させたポリマーには、当該ポリマーの構成成分として他のモノマーが含まれていてもよい。
【0020】
環状オレフィン類のガラス転移温度は、例えば、60~200℃、60~180℃、60~160℃、60~150℃、60~140℃、65~130℃、65~120℃、65~110℃、65~100℃、又は65~90℃であってもよい。ガラス転移温度は、ISO11375に準拠した方法で測定することができる。
【0021】
環状オレフィン類は、市販されているものを特に制限なく用いることができる。市販品のCOPとしては、例えば、ゼオネックス(登録商標)(日本ゼオン株式会社製)、ゼオノア(登録商標)(日本ゼオン株式会社製)が挙げられる。市販品のCOCとしては、例えば、TOPAS(登録商標)(ポリプラスチックス社製)、アペル(登録商標)(三井化学株式会社製)が挙げられる。
【0022】
ポリエチレン(PE)類としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が挙げられる。ポリエチレン類としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、好ましくはLDPE、LLDPEであり、より好ましくはLLDPEである。
【0023】
ポリエチレン類はホモポリマーであってもよく、コポリマーであってもよい。コモノマーとしては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン等のα-オレフィンが挙げられる。
【0024】
ポリエチレン類の密度は、例えば、0.900~0.980kg/m3、0.900~0.942kg/m3、0.902~0.940kg/m3、0.902~0.930kg/m3、0.905~0.927kg/m3、又は0.908~0.920kg/m3であってもよい。
【0025】
ポリエチレン類は、市販されているものを特に制限なく用いることができる。市販品のポリエチレン類としては、例えば、ノバテック(登録商標)(日本ポリエチレン株式会社製)、ウルトゼックス(登録商標)(三井化学株式会社製)、エボリュー(登録商標)(プライムポリマー株式会社製)、UBEポリエチレン(登録商標)B128H(宇部丸善ポリエチレン株式会社製)、ユメリット(登録商標)(プライムポリマー株式会社製)、ペトロセン(登録商標)(東ソー株式会社製)、ニポロン(登録商標)(東ソー株式会社製)、LUMITAC(登録商標)(東ソー株式会社製)、サンテック(登録商標)(旭化成ケミカルズ株式会社製)、Purell PE(登録商標)(LyondellBasell社製)が挙げられる。
【0026】
本実施形態に係る環状オレフィン類及びポリエチレン類含有樹脂には、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート、(メタ)アクリル酸系重合体、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリアリレート等の他のポリマーが含まれていてもよい。また、本実施形態に係る環状オレフィン類及びポリエチレン類含有樹脂は、安定化剤、改質剤、着色剤、紫外線吸収剤、金属酸化物、酸素吸収剤、抗菌剤、可塑剤、ガラス繊維等の添加剤が含まれていてもよい。なお、スクイズボトルの容器本体が内層及び外層を含む2以上の層からなる場合、これらの添加剤は外層に含有させることが好ましい。
【0027】
本実施形態に係るスクイズボトルの容器本体は、環状オレフィン類及びポリエチレン類含有樹脂を含む単層構造であってもよく、環状オレフィン類及びポリエチレン類含有樹脂を含む層を含む多層構造であってもよい。スクイズボトルの容器本体が多層構造、すなわち、内層及び外層を含む2以上の層からなる場合、環状オレフィン類及びポリエチレン類含有樹脂を含む層は液状組成物と接する内層であってもよく、前記液状組成物と接しない外層(又は中間層)であってもよいが、本発明による効果をより顕著に奏する観点からは、内層であることが好ましい。また、スクイズボトルの容器本体が多層構造であって、環状オレフィン類及びポリエチレン類含有樹脂を含む層が液状組成物と接する内層である場合、外層(又は中間層)を形成する樹脂の種類については特に制限されないが、例えば、ポリエチレン(PE)類、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、エチレン酢酸ビニル共重合体及びエチレンビニルアルコール共重合体よりなる群から選択される1種以上のポリマーが構成成分として含まれていてもよい。外層(又は中間層)を形成する樹脂としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、好ましくはポリエチレン(PE)類、ポリプロピレン(PP)、エチレンビニルアルコール共重合体であり、より好ましくはLDPE、LLDPE、PPであり、更に好ましくはLDPEである。
【0028】
本実施形態に係るスクイズボトルの容器本体が、環状オレフィン類及びポリエチレン類含有樹脂を含む単層構造である場合、又は環状オレフィン類及びポリエチレン類含有樹脂を含む層を含む多層構造であって、環状オレフィン類及びポリエチレン類含有樹脂を含む層が液状組成物と接する内層である場合、液状組成物と接する環状オレフィン類及びポリエチレン類を含有する樹脂を含む層(単層、又は液状組成物と接する内層)における環状オレフィン類の含有量は特に限定されず、環状オレフィン類の種類、他の配合成分の種類及び含有量等に応じて適宜設定される。液状組成物と接する環状オレフィン類及びポリエチレン類を含有する樹脂層(単層、又は液状組成物と接する内層)における環状オレフィン類の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、環状オレフィン類及びポリエチレン類含有樹脂の総量を基準として、環状オレフィン類の総含有量が、10~99質量%、30~99質量%、50~99質量%、55~99質量%、60~99質量%、65~99質量%、70~99質量%、75~96質量%、80~96質量%、85~96質量%、又は90~96質量%であってもよい。
【0029】
本実施形態に係るスクイズボトルの容器本体が、環状オレフィン類及びポリエチレン類含有樹脂を含む単層構造である場合、又は環状オレフィン類及びポリエチレン類含有樹脂を含む層を含む多層構造であって、環状オレフィン類及びポリエチレン類含有樹脂を含む層が液状組成物と接する内層である場合、液状組成物と接する環状オレフィン類及びポリエチレン類を含有する樹脂層(単層、又は液状組成物と接する内層)におけるポリエチレン類の含有量は特に限定されず、ポリエチレン類の種類、他の配合成分の種類及び含有量等に応じて適宜設定される。液状組成物と接する環状オレフィン類及びポリエチレン類を含有する樹脂層(単層、又は液状組成物と接する内層)におけるポリエチレン類の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、環状オレフィン類及びポリエチレン類含有樹脂の総量を基準として、ポリエチレン類の総含有量が、1~50質量%、5~50質量%、10~50質量%、15~50質量%、20~50質量%、25~45質量%、30~45質量%、35~45質量%、又は40~45質量%であってもよい。
【0030】
本実施形態に係るスクイズボトルの容器本体におけるポリエチレン類の含有量は特に限定されず、ポリエチレン類の種類、他の配合成分の種類及び含有量等に応じて適宜設定される。容器本体におけるポリエチレン類の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、容器本体の質量を基準として、ポリエチレン類の総含有量が、10~95質量%、30~95質量%、35~90質量%、40~85質量%、40~83質量%、40~80質量%、45~78質量%、45~75質量%、45~70質量%、50~65質量%、又は50~60質量%であってもよい。
【0031】
本実施形態に係るスクイズボトルの容器本体が、環状オレフィン類及びポリエチレン類含有樹脂を含む単層構造である場合、又は環状オレフィン類及びポリエチレン類含有樹脂を含む層を含む多層構造であって、環状オレフィン類及びポリエチレン類含有樹脂を含む層が液状組成物と接する内層である場合、液状組成物と接する環状オレフィン類及びポリエチレン類を含有する樹脂層(単層、又は液状組成物と接する内層)における、環状オレフィン類に対するポリエチレン類の配合比率は特に限定されず、環状オレフィン類及びポリエチレン類の種類、他の配合成分の種類及び含有量等に応じて適宜設定される。液状組成物と接する環状オレフィン類及びポリエチレン類を含有する樹脂層(単層、又は液状組成物と接する内層)における、環状オレフィン類に対するポリエチレン類の配合比率としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、環状オレフィン類の総含有量1質量部に対して、ポリエチレン類の総含有量が、0.01~9.0質量部、0.01~2.5質量部、0.01~1.0質量部、0.01~0.81質量部、0.02~0.66質量部、0.02~0.53質量部、0.02~0.42質量部、0.05~0.33質量部、0.05~0.25質量部、0.05~0.17質量部、又は0.05~0.11質量部であってもよい。
【0032】
本実施形態に係るスクイズボトルの蓋を成形する樹脂は特に限定されないが、ブローフィルシール(BFS)法によって容器本体と蓋を一体的に成形することができる観点からは、容器本体と同一の樹脂であることが好ましい。
【0033】
本実施形態に係るスクイズボトルの注出口の開口部の面積は、本発明による効果をより顕著に奏するという観点から、例えば、0.15~20.0mm2、0.2~20.0mm2、0.2~18.0mm2、0.2~16.0mm2、0.2~14.0mm2、0.2~12.6mm2、0.2~11.0mm2、0.2~9.7mm2、0.5~8.0mm2、0.79~7.1mm2、0.79~6.2mm2、又は0.79~5.0mm2であってもよい。注出口の開口部の面積は、ノギス、マイクロメーター、万能投影機、実体顕微鏡等を使用して、開口部の直径、又は開口部の長径及び短径を計測することで算出することができる。なお、本発明による効果が奏される限りにおいて、注出口の開口部の形状を適宜設計することができる。本発明による効果をより顕著に奏する観点からは、円形又は楕円形が好ましい。
【0034】
本実施形態に係るスクイズボトルの収容部の側面における圧縮強度は、本発明による効果をより顕著に奏するという観点から、例えば、20~250N/mm、20~240N/mm、20~230N/mm、20~220N/mm、20~210N/mm、20~200N/mm、20~190N/mm、20~180N/mm、20~170N/mm、20~160N/mm、20~150N/mm、20~140N/mm、20~130N/mm、20~120N/mm、20~110N/mm、20~100N/mm、20~90N/mm、20~85N/mm、20~80N/mm、20~75N/mm、20~70N/mm、20~65N/mm、20~60N/mm、又は20~55N/mmであってもよい。ここで、「収容部の側面」には、液状組成物を滴下又は注出する際に通常指で把持する部位が含まれる。なお、本実施形態に係るスクイズボトルの収容部の断面(液状組成物が滴下又は注出される方向と垂直の方向に沿った断面)の形状が円形又は楕円形の場合、「収容部の側面」とは「収容部の周面」を意味する。
【0035】
収容部の側面における圧縮強度は、例えば精密万能試験機(オートグラフAGS-X、島津製作所製)を用いて、以下のようにして求めることができる。
図3は、収容部の断面(液状組成物が滴下又は注出される方向と垂直の方向に沿った断面)の形状が円形又は楕円形の場合において、最大試験力を測定する方法を示す斜視図である。なお、
図3において、収容部の側面(周面)3a上に、容器本体の高さ方向に描かれた点線は、収容部の側面(周面)3aと平面10が接している部分を示している。
1)注出口4の開口部5が開封され、液状組成物が収容されていないスクイズボトル1を、開口部5が横方向を向くように平面10(例えば、精密万能試験機の測定ステージ)上に置く。
2)収容部の側面(周面)3aにおいて、液状組成物を滴下又は注出するために通常指先で把持する部位12(1箇所;以下、「最大試験力測定部位」ともいう)に測定プローブ11を接触させ、最大試験力測定部位12と平面10との間の距離hの半分の距離(h/2)を100mm/minの速度で押し込む時に要する力の最大値(以下、「最大試験力」ともいう)を測定する。なお、測定プローブ11は、その端面の全てが収容部の側面(周面)3aにおける最大試験力測定部位12と接するようにし、かつ収容部の側面(周面)3aを貫通しないような形状のものを適宜選択する。また、収容部の底面3bは最大試験力を測定する部位とはしない。
3)下記式1に従って、測定した最大試験力を最大試験力測定部位の厚みで除した値(以下、「単位厚み当たりの最大試験力」ともいう)を算出する。
[式1]単位厚み当たりの最大試験力(N/mm)=最大試験力/収容部の側面(周面)における最大試験力を測定した部位の厚み
4)同一の組成及び形状を有する5個のスクイズボトル1について、同一の部位における単位厚み当たりの最大試験力を算出し、得られた5つの値の平均値(以下、「単位厚み当たりの最大試験力の平均値」ともいう)を算出する。
5)スクイズボトル1の収容部の側面(周面)3aにおける複数の最大試験力測定部位12(3箇所以上)について、単位厚み当たりの最大試験力の平均値を算出し、得られた3つ以上の単位厚み当たりの最大試験力の平均値の中で最小の値を「収容部の側面(周面)における圧縮強度」とする。
【0036】
本実施形態に係るスクイズボトルの収容部の断面(液状組成物が滴下又は注出される方向と垂直の方向に沿った断面)の形状は、適宜設計することができる。本発明による効果をより顕著に奏する観点からは、円形、楕円形、矩形又は多角形が好ましく、楕円形又は矩形がより好ましい。
【0037】
本実施形態に係るスクイズボトルの注出口から滴下される1滴あたりの滴下量は、本発明による効果をより顕著に奏するという観点から、1~130μLとなるように設計されることができ、1~99μLであることが好ましく、1~79μLであることがより好ましく、7~79μLであることが更に好ましく、13~79μLであることが更により好ましい。1滴あたりの滴下量は、注出口の開口部の面積、収容部の周面における圧縮強度を上述の範囲内に設定すること等により調整することができる。
【0038】
本実施形態に係るスクイズボトルの容量は特に限定されず、用途に応じて適宜設定すればよい。また、スクイズボトルは、多数回(例えば、25回以上)の使用量の液状組成物が収容される容器であってもよく、少数回(例えば、2回以上25回未満)の使用量の液状組成物が収容される容器であってもよく、単回の使用量の液状組成物が収容される容器であってもよい。本実施形態に係るスクイズボトルは、好ましくは少数回又は単回の使用量の液状組成物が収容される容器である。
【0039】
本実施形態に係るスクイズボトルが、例えば、点眼剤、コンタクトレンズ装着液、洗眼剤又は点鼻剤を収容する容器の場合、容量が0.01mL以上50mL以下、0.05mL以上40mL以下、0.1mL以上25mL以下であってよい。スクイズボトルが、例えば、点眼剤、コンタクトレンズ装着液、洗眼剤、点鼻剤、育毛剤又は発毛剤を収容する容器であって、使用回数が少数回(例えば、2回以上25回未満)又は単回の容器である場合は、容量が0.01mL以上7mL以下、0.05mL以上6mL以下、0.1mL以上5mL以下、0.1mL以上4mL以下、0.1mL以上3mL以下、0.1mL以上2.5mL以下、0.2mL以上2mL以下、0.2mL以上1.5mL以下、0.2mL以上1mL以下であってよい。
【0040】
本実施形態に係るスクイズボトルの容器本体は、異物の確認、残存量の確認等を肉眼で観察できる観点から、透明性を有することが好ましい。スクイズボトルの容器本体は、透明性を有するものであれば、無色であってもよく、有色であってもよい。スクイズボトルの容器本体は、内部を肉眼で観察可能な程度の内部視認性が確保された透明性を有すればよく、容器本体の一部分に上記の内部視認性が確保されていれば、必ずしも容器本体の全面が均一な透明性を有する必要はない。透明性としては、例えば、スクイズボトルの波長400~700nmの可視光領域における光透過率の最大値(以下、「最大光透過率」ともいう)が、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、又は95%以上であってもよい。最大光透過率は、例えば、マイクロプレートリーダー等を使用して、波長400~700nmの間で10nm毎に光透過率を測定し、得られる各光透過率から求めることができる。
【0041】
本実施形態に係るスクイズボトルの容器本体の厚みは、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、0.01~2.0mm、0.05~1.8mm、0.08~1.5mm、0.08~1.2mm、0.08~1.0mm、0.08~0.8mm、0.1~0.6mm、0.1~0.5mm、又は0.1~0.4mmであってもよい。本実施形態に係るスクイズボトルの容器本体が2以上の層からなる場合、環状オレフィン類及びポリエチレン類含有樹脂を含む層の厚みは、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、0.01~1.0mm、0.05~0.8mm、0.08~0.6mm、0.08~0.5mm、0.08~0.4mm、0.08~0.3mm、又は0.1~0.2mmであってもよい。
【0042】
本実施形態に係るスクイズボトルに収容される液状組成物は、容器の収容部に充填されうる流動性を備えていればよい。
【0043】
本実施形態に係るスクイズボトルに収容される液状組成物の粘度は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される範囲内であれば、特に限定されるものではない。液状組成物の粘度としては、例えば、回転粘度計(RE550型粘度計、東機産業社製、ローター;1°34’×R24)で測定した20℃における粘度が0.5~1000mPa・s、0.8~500mPa・s、1.0~250mPa・s、1.0~100mPa・s、1.0~80mPa・s、1.0~70mPa・s、1.0~60mPa・s、1.0~50mPa・s、1.0~40mPa・s、1.0~30mPa・s、1.0~25mPa・s、1.0~20mPa・s、1.0~15mPa・s、1.0~10mPa・s、1.0~8.0mPa・s、1.0~7.0mPa・s、1.0~6.0mPa・s、1.0~5.0mPa・s、1.0~4.0mPa・s、1.0~3.0mPa・s、又は1.0~2.0mPa・sであってもよい。
【0044】
本実施形態に係るスクイズボトルに収容される液状組成物は、水性組成物であってもよく、油性組成物であってもよいが、好ましくは水性組成物である。また、本実施形態に係るスクイズボトルに収容される液状組成物の具体例としては、例えば、眼科用組成物、耳鼻科用組成物、皮膚用組成物等の外用液状組成物;内服用液状組成物が挙げられ、好ましくは眼科用組成物である。
【0045】
本実施形態に係るスクイズボトルに収容される液状組成物が水性組成物である場合、水の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、液状組成物の総量を基準として、水の含有量が、15w/v%以上100w/v%未満、20w/v%以上100w/v%未満、25w/v%以上99.5w/v%未満、30w/v%以上99.5w/v%未満、40w/v%以上99.2w/v%未満、50w/v%以上99.2w/v%未満、60w/v%以上99.2w/v%未満、70w/v%以上99w/v%未満、80w/v%以上99w/v%未満、85w/v%以上99w/v%未満、又は90w/v%以上98.5w/v%未満であってもよい。
【0046】
本実施形態に係るスクイズボトルに収容される液状組成物が眼科用組成物である場合、スクイズボトルの種類としては、具体的には、例えば、点眼容器、洗眼液収容容器、コンタクトレンズ装着液収容容器、コンタクトレンズケア用液収容容器(コンタクトレンズ洗浄液収容容器、コンタクトレンズ保存液収容容器、コンタクトレンズ消毒液収容容器、コンタクトレンズマルチパーパスソリューション収容容器等が含まれる)であってよい。スクイズボトルの種類は、点眼容器、洗眼液収容容器、コンタクトレンズ装着液収容容器、コンタクトレンズケア用液収容容器であることが好ましい。また、本実施形態に係るスクイズボトルは、収容された液状組成物を吐出(滴下又は注出)する際の操作性に優れているため、使用者の意図した通りに液状組成物を吐出することができる。特に、使用時に、眼瞼閉鎖反射、及び乾燥によって苦痛や障害が起こりやすく、かつ適用領域が比較的小さな眼部位に用いる液状組成物を収容するための吐出容器、すなわち点眼容器として好適である。なお、「コンタクトレンズ」は、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ(イオン性及び非イオン性の双方を包含し、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ及び非シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの双方を包含する)を含む。
【0047】
本実施形態に係るスクイズボトルは、例えば、特許文献1に記載されたブローフィルシール(BFS)法によって製造することができる。単層からなる容器本体を含むスクイズボトルは、具体的には、スクイズボトルの材料である環状オレフィン類及びポリエチレン類を含有する樹脂を押出成形することにより、パリソンを作製する。次に、得られたパリソンを割り型で挟み、内部に空気を圧入するか、又は金型面に設置された真空孔よりパリソンを吸引することでスクイズボトルの容器本体の各部を成形し(ブロー工程)、収容部に液状組成物を充填する(充填工程)。次に、割り型で挟んで蓋を成形し、注出口の開口部を密封する(シール工程)ことにより製造することができる。複数の層からなる容器本体を含むスクイズボトルは、多層ブロー成形における常法に従って作製した多層構造パリソンを用いること以外は、上記単層からなる容器本体を含むスクイズボトルの製造と同様の方法で製造することができる。なお、多層構造パリソンの層構成は、スクイズボトルに要求される層構成に応じて、適宜設定すればよい。
【0048】
本実施形態に係るスクイズボトルは、当該スクイズボトルに液状組成物が収容された製品(点眼剤、洗眼剤、コンタクトレンズ関連製品、化粧水、美容液、ヘアトニック、メイクアップ化粧料、頭皮ケア剤、育毛剤、発毛剤、飲料等)としても提供され得る。
【実施例0049】
以下、試験例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0050】
[試験例1:圧縮試験(1)]
収容部及び注出口を含む容器本体と蓋とを一体的に備え、表1及び2に示す配合比率で環状オレフィン類とポリエチレン類を含有する樹脂で成形され、精製水5mLが充填された各試験例のスクイズボトルを、ブローフィルシール法で作製した。なお、環状オレフィンコポリマーはTOPAS8007(ポリプラスチックス社製)を使用し、低密度ポリエチレンは密度0.927kg/m3を使用し、直鎖状低密度ポリエチレンは密度0.920kg/m3を使用した。また、作製した各スクイズボトルの収容部の形状は、高さ38mm、長径20mm(外径)、短径13mm(外径)、厚み約500μmであった。
上記各試験例のスクイズボトルの蓋を把持して捩じり、蓋と容器本体を切り離して開口部を開封した後、スクイズボトルに充填された精製水を開口部から排出して、スクイズボトルの収容部を空にした。開口部は円形で、その直径は1.5mm(内径)であった。
精密万能試験機(オートグラフAGS-X、島津製作所製)を用いて、各スクイズボトルの収容部の側面(周面)の圧縮強度を測定した。スクイズボトルを、開口部5が横方向を向くように精密万能試験機の測定ステージ上に置いた。最大試験力測定部位として収容部側面(周面)の中央部(1箇所)に測定プローブ(先端の直径3mmの円柱形;ステンレス製)の全面を接触させ、最大試験力測定部位と測定ステージとの間の距離(短径13mm)の半分の距離(6.5mm)を100mm/minの速度で押し込んだ時の最大試験力(N)を測定した。また、収容部側面(周面)の最大試験力測定部位の厚みを、ノギスを用いて計測した。下記式1に従って、単位厚み当たりの最大試験力を算出した。これを1つの試験例について5個のスクイズボトルで行い、単位厚み当たりの最大試験力の平均値を算出した。スクイズボトルの収容部における、異なる3箇所の最大試験力測定部位について、単位厚み当たりの最大試験力の平均値を算出し、得られた3つの単位厚み当たりの最大試験力の平均値の中で最小の値を、試験例の収容部の側面(周面)における圧縮強度とした。圧縮試験は、室温23℃、湿度50%の条件で実施した。結果を表1及び2に示す。
[式1]単位厚み当たりの最大試験力(N/mm)=最大試験力/収容部の側面(周面)における最大試験力を測定した部位の厚み
【0051】
[試験例2:操作性評価(1)]
試験例1と同様の方法で、表1及び2に示す各試験例のスクイズボトルを作製した。
4名の被験者は、スクイズボトルの蓋を把持して捩じり、蓋と容器本体を切り離すことで開口部を開封した。開口部の直径は1.5mm(内径)であった。次に被験者は、スクイズボトルに充填された精製水を、直径24mmの円が置かれた平面に対して10cm上方から、この円の中心点を標的として液滴を滴下した。その操作性についてVAS(Visual Analog Scale)法によるアンケートに回答した。被験者は、アンケートで指示された滴数を滴下するように試みた。具体的には、1)1滴のみ滴下できた、2)連続して2滴を滴下できた、及び3)意図したタイミングで標的点(直径24mmの円の中心点)に着滴できた、の3項目について、10cmの直線が記載された調査シート上に、「最も感じる場合」を10cm、「全く感じられない場合」を0cmとして、上記各項目に相当する直線上の点を被験者に示させ、0cmの点からの距離(cm)を測定し、VAS値とした。なお、意図したタイミングとは、収容部を押し始めて1秒後に着滴するように操作を行うことを意味する。4名の被験者のVAS値の平均を、試験例のVAS値とした。結果を表1及び2に示す。なお、各評価項目についてのVAS値を合計した値が大きいほど、操作性に優れたスクイズボトルであると評価できる。
【0052】
【0053】
【0054】
環状オレフィン類とポリエチレン類を含有する樹脂で成形された試験例1-2~1-11のスクイズボトルは、環状オレフィン類を含有するもののポリエチレン類を含有しない樹脂で成形された試験例1-1のスクイズボトルと比較して、いずれも圧縮強度が低く、また滴下する際の操作性が向上することが確認された。被験者の1名(被験者A)は、試験例1-1において1滴のみ滴下するように試みたところ、精製水は線状に吐出し、滴形状にならなかった(VAS値は0)。被験者Aが試験例1-8において連続して2滴を滴下するように試みたところ、1滴目の着滴の中心点は標的点と重なり、2滴目の着滴の中心点は標的点から約2mm離れた地点であった(VAS値は9.2)。別の被験者1名(被験者B)は、試験例1-1において1滴のみ滴下するように試みたところ、精製水は標的(直径24mmの円)の外側に着滴した(VAS値は0)。被験者Bが試験例1-7において連続して2滴を滴下するように試みたところ、2滴とも着滴の中心点は標的点から約5mm離れた地点であった(VAS値は7.2)。
【0055】
環状オレフィンコポリマーと低密度ポリエチレンを90:10の配合比率で含有する樹脂を内層(厚み100μm)とし、低密度ポリエチレンを外層(厚み400μm)とした2層のスクイズボトルについて試験例1及び2と同じ試験を行ったところ、圧縮強度は100.2N/mm、「1滴のみ滴下できた」についてのVAS値は7.8、「連続して2滴を滴下できた」についてのVAS値は7.6、「意図したタイミングで標的点に着滴できた」についてのVAS値は7.6であった。
【0056】
環状オレフィンコポリマーと直鎖状低密度ポリエチレンを70:30の配合比率で含有する樹脂を内層(厚み100μm)とし、低密度ポリエチレンを外層(厚み400μm)とした2層のスクイズボトルについて試験例1及び2と同じ試験を行ったところ、圧縮強度は95.4N/mm、「1滴のみ滴下できた」についてのVAS値は8.2、「連続して2滴を滴下できた」についてのVAS値は7.8、「意図したタイミングで標的点に着滴できた」についてのVAS値は8.0であった。
【0057】
また、収容部の光透過率の最大値を測定したところ、いずれも50%以上であり、例えば試験例1-3は85%、試験例1-4は70%、試験例1-10は57%だった。なお、光透過率の最大値は、マイクロプレートリーダー(SH-9000、コロナ電気株式会社製)を使用して、波長400~700nmの間で10nm毎に光透過率を測定し、得られた各光透過率から求めた。
【0058】
[試験例3:操作性評価(2)]
収容部及び注出口を含む容器本体と蓋とを一体的に備え、表3及び4に示す配合比率で環状オレフィン類とポリエチレン類を含有する樹脂で成形され、精製水5mLが充填された、開口部の面積が異なる各試験例のスクイズボトルを、ブローフィルシール法で作製した。なお、環状オレフィンコポリマーはTOPAS8007(ポリプラスチックス社製)を使用し、低密度ポリエチレンは密度0.927kg/m3を使用し、直鎖状低密度ポリエチレンは密度0.920kg/m3を使用した。作製した各スクイズボトルの収容部の形状は、高さ38mm、厚み約500μmであった。
被験者は、スクイズボトルの蓋を把持して捩じり、蓋と収容部を切り離すことで開口部を開封した。次に被験者は、スクイズボトルに充填された精製水を、直径24mmの円が置かれた平面に対して10cm上方から、この円の中心点を標的として液滴を滴下した。その操作性についてVAS(Visual Analog Scale)法によるアンケートに回答した。被験者は、アンケートで指示された滴数を滴下するように試みた。具体的には、1)1滴のみ滴下できた、2)連続して2滴を滴下できた、及び3)意図したタイミングで標的点(直径24mmの円の中心点)に着滴できた、の3項目について、10cmの直線が記載された調査シート上に、「最も感じる場合」を10cm、「全く感じられない場合」を0cmとして、上記各項目に相当する直線上の点を被験者に示させ、0cmの点からの距離(cm)を測定し、VAS値とした。なお、各評価項目についてのVAS値を合計した値が大きいほど、操作性に優れたスクイズボトルであると評価できる。また、開口部の面積は、万能投影機(PROFILE PROJECTOR V-12B、Nikon社製)を用いて、長径と短径を計測することで算出した。
【0059】
【0060】
【0061】
[試験例4:圧縮試験(2)]
収容部及び注出口を含む容器本体と蓋とを一体的に備え、環状オレフィンコポリマー(TOPAS8007(ポリプラスチックス社製))と直鎖状低密度ポリエチレン(密度0.920kg/m
3)を表5に示す配合比率で含有する樹脂を内層とし、低密度ポリエチレン(密度0.927kg/m
3)を外層とした、液状組成物(精製水)が0.5mL充填された各試験例の2層のスクイズボトル1を、ブローフィルシール法で作製した(
図4)。スクイズボトルは5個連結した状態で作製され(
図5)、当該連結したスクイズボトルから1個のスクイズボトルを切り離して使用した。
図4(a)は、試験例4で作製されたスクイズボトルの構成を示す正面図であり、
図4(b)は、試験例4で作製されたスクイズボトルの構成を示す左側面図である。
図4(a)及び(b)に示すように、スクイズボトル1は、収容部3及び収容部3に連設された注出口4を含む容器本体2と、注出口4の開口部5を密封するように容器本体2に接合された蓋6とを一体的に備えている。なお、本実施形態に係るスクイズボトルは、試験例4で作製されたスクイズボトルのように、把持部13を収容部3の下部に備えていてもよい。
図4(c)は、試験例4で作製されたスクイズボトルの収容部の断面(液状組成物が滴下又は注出される方向と垂直の方向に沿った断面)を模式的に示した図である。
図4(c)に示すように、収容部3は外層14及び液状組成物(精製水)16と接する内層15からなる2層構造であり、内部に液状組成物(精製水)16が充填されている。
作製した各スクイズボトルの収容部の形状は、高さ12mm、長径9.5mm(内径)、短径8mm(内径)、内層の厚み0.1mm、外層の厚み0.3mmであった。作製した各スクイズボトルの収容部の断面(液状組成物が滴下又は注出される方向と垂直の方向に沿った断面)は楕円形であった。作製した各スクイズボトルの開口部は円形で、その直径は1.5mm(内径)であった。
次いで、最大試験力測定部位と測定ステージとの間の距離(短径の内径8mm、内層の厚み0.1mm、外層の厚み0.3mm)の半分の距離が4.4mmであったこと以外は試験例1と同様の方法で、各試験例のスクイズボトルの収容部側面(周面)における圧縮強度を算出した。結果を表5に示す。
【0062】
[試験例5:操作性評価(3)]
試験例4と同様の方法で、表5に示す各試験例の2層のスクイズボトルを作製した。
5名の成人男性被験者は、スクイズボトルの蓋を把持して捩じり、蓋と容器本体を切り離すことで開口部を開封した。次に被験者は、スクイズボトルに充填された精製水を、直径24mmの円が置かれた平面に対して10cm上方から、この円の中心点を標的として液滴を滴下した。その操作性についてVAS(Visual Analog Scale)法によるアンケートに回答した。被験者は、アンケートで指示された滴数を滴下するように試みた。具体的には、1)1滴のみ標的部位(直径24mmの円の中心点)に滴下できた、2)連続した2滴を標的部位(直径24mmの円の中心点)に滴下できた、及び3)意図したタイミングで標的点(直径24mmの円の中心点)に着滴できた、の3項目について、10cmの直線が記載された調査シート上に、「最も感じる場合」を10cm、「全く感じられない場合」を0cmとして、上記各項目に相当する直線上の点を被験者に示させ、0cmの点からの距離(cm)を測定し、VAS値とした。より具体的には、1)の評価では直径24mmの円の中心点と滴下後の着滴液の中心が重なったと最も感じた場合に10cm、直径24mmの円に滴下できなかった場合又は1滴のみを滴下できなかった(例えば、滴状に吐出しなかった)場合に0cmとし、2)の評価では連続して滴下した2滴のうち、直径24mmの円の中心点と滴下後の着滴液の中心がより離れた1滴について、直径24mmの円の中心点と滴下後の着滴液の中心が重なったと最も感じた場合に10cm、直径24mmの円に滴下できなかった場合又は2滴を連続して滴下できなかった場合に0cmとした。5名の被験者のVAS値の平均を、試験例のVAS値とした。結果を表5に示す。なお、各評価項目についてのVAS値を合計した値が大きいほど、操作性に優れたスクイズボトルであると評価できる。
【0063】
【0064】
環状オレフィンコポリマーと直鎖状低密度ポリエチレンを含有する樹脂を内層とする試験例1-13及び1-14のスクイズボトルは、環状オレフィンコポリマーを含有するものの直鎖状低密度ポリエチレンを含有しない樹脂を内層とする試験例1-12のスクイズボトルと比較して、いずれも圧縮強度が低く、操作性が向上することが確認された。
【0065】
[試験例6:操作性評価(4)]
試験例4と同様の方法で、表6及び7に示す、開口部の面積が異なる各試験例の2層のスクイズボトルを作製した。
次いで、試験例5と同様の方法で、開口部の面積、並びに1)1滴のみ標的部位(直径24mmの円の中心点)に滴下できた、2)連続して2滴を標的部位(直径24mmの円の中心点)に滴下できた、及び3)意図したタイミングで標的点(直径24mmの円の中心点)に着滴できた、の3項目について、各試験例のVAS値を算出した。結果を表6及び7に示す。
【0066】
【0067】
【0068】
[試験例7:操作性評価(5)]
試験例4と同様の方法で、表8に示す各試験例の2層のスクイズボトルを作製した。作製した各スクイズボトルの収容部の形状は、試験例3-1~3-3については高さ12mm、長径9.5mm(内径)、短径8mm(内径)、内層の厚み0.1mm、外層の厚み0.3mmであり、試験例3-4及び3-5については高さ12mm、長径9.5mm(内径)、短径8mm(内径)、内層の厚み0.2mm、外層の厚み0.2mmであった。また、作製した各スクイズボトルの収容部の断面(液状組成物が滴下又は注出される方向と垂直の方向に沿った断面)は楕円形であった。さらに、作製した各スクイズボトルの開口部は円形で、その直径は1.5mm(内径)であった。
5名の被験者は、1)スクイズボトルの蓋を把持して捩じり、蓋と収容部を切り離したときの開口部の開封のしやすさ、2)開封後の開口部を指で触れたときの滑らかさ、についてVAS(Visual Analog Scale)法によるアンケートに回答した。具体的には、上記1)及び2)の2項目について、10cmの直線が記載された調査シート上に、「最も感じる場合」を10cm、「全く感じられない場合」を0cmとして、上記各項目に相当する直線上の点を被験者に示させ、0cmの点からの距離(cm)を測定し、VAS値とした。5名の被験者のVAS値の平均を、試験例のVAS値とした。結果を表8に示す。なお、各評価項目についてのVAS値を合計した値が大きいほど、操作性に優れたスクイズボトルであると評価できる。
【0069】
【0070】
環状オレフィンコポリマーと直鎖状低密度ポリエチレンを含有する樹脂を内層とする試験例3-2~3~5のスクイズボトルは、環状オレフィンコポリマーを含有するものの直鎖状低密度ポリエチレンを含有しない樹脂を内層とする試験例3-1のスクイズボトルと比較して、いずれも操作性が向上することが確認された。被験者の1名(被験者C)は、試験例3-3のスクイボトルの蓋と収容部を切り離したとき、ほとんど抵抗を感じなかった(VAS値は9.5)。被験者Cが試験例3-2のスクイボトルの開口部を指でなでるとほとんど凸凹を感じなかった(VAS値は9.0)。被験者Cが試験例3-1のスクイボトルの開口部を指でなでると凸凹を感じ、目視で凸凹を観察した(VAS値は7.0)。
【0071】
また、収容部の光透過率の最大値を測定したところ、いずれも50%以上であり、例えば試験例3-2は82%、試験例3-3は88%、試験例3-4は78%、試験例3-5は80%だった。なお、光透過率の最大値は、マイクロプレートリーダー(SH-9000、コロナ電気株式会社製)を使用して、波長400~700nmの間で10nm毎に光透過率を測定し、得られた各光透過率から求めた。
【0072】
[試験例8:操作性評価(6)]
試験例4と同様の方法で、表8に示す各試験例の2層のスクイズボトルを作製した。5名の成人男性被験者は、各試験例のスクイズボトルの蓋を把持して捩じり、蓋と容器本体を切り離して開口部を開封した後、スクイズボトルに充填された精製水を開口部から排出して、スクイズボトルの収容部を空にした。次いで、各被験者は収容部の断面短径方向の右側面(右周面)中央部及び左側面(左周面)中央部の2部位を2本の指先で把持し、当該2部位から容器の中心に向かって、当該2部位間の距離が4mmになるまで押し込み、当該押し込みが完了してから1秒経過後に収容部から2本の指を離した。指を離した時点を基準とし、目視で観察して、1)当該押し込みによって収容部に凹みが生じた部分が元の形状に戻り始める時間、及び2)元の形状に完全に戻るまでの時間をそれぞれ計測した。各被験者は3個のスクイズボトルについて試験を行い、計測した1)と2)のそれぞれの時間の平均を算出した。表9の評価基準に従って点数を付け、1)と2)の点数の合計を算出した。5名の被験者の結果を平均し、スクイズボトルの弾性の良さとした。結果を表10に示す。なお、点数が大きいほど、弾性が良く、使用者が液状組成物を繰り返し吐出する操作を制御しやすく、操作性に優れたスクイズボトルであると評価できる。
【0073】
【0074】
1…スクイズボトル、2…容器本体、3…収容部、3a…収容部の側面(周面)、3b…収容部の底面、4…注出口、5…開口部、6…蓋、10…最大試験力測定時にスクイズボトルの容器本体が置かれる平面、11…測定プローブ、12…最大試験力測定部位、13…把持部、14…内層、15…外層、16…液状組成物(精製水)。