(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054089
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】焼却炉構造
(51)【国際特許分類】
F23G 5/20 20060101AFI20230406BHJP
F23G 5/44 20060101ALI20230406BHJP
F27B 7/22 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
F23G5/20 A
F23G5/44 D
F27B7/22
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020244
(22)【出願日】2023-02-13
(62)【分割の表示】P 2018244582の分割
【原出願日】2018-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(72)【発明者】
【氏名】津乗 充良
(72)【発明者】
【氏名】大竹 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】成澤 道則
(72)【発明者】
【氏名】岩本 典之
(72)【発明者】
【氏名】篠原 良平
(57)【要約】
【課題】炉本体と端子部の接続部分における応力集中を緩和させることが可能な焼却炉構造を提供する。
【解決手段】焼却炉構造30Aは、筒状に形成された炉本体11と、周方向に延伸する環状に形成され、炉本体11の外周面11cに固定される支持部31Aと、炉本体11との間で力を伝達する構造体33と係合し、炉本体11の周方向に沿って設けられると共に支持部31Aに固定される端子部32Aとを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成された炉本体と、
前記炉本体との間で力を伝達する構造体と係合し、前記炉本体の周方向に沿って設けられると共に前記炉本体の外周面に固定される複数の端子部と、
前記炉本体の前記外周面に固定され、且つ、前記複数の端子部のうち互いに隣接する端子部を連結する複数の連結部と
を備え、
前記複数の端子部と前記複数の連結部は、前記炉本体の前記周方向に延伸する環状の支持部を構成する
焼却炉構造。
【請求項2】
前記炉本体は金属製である請求項1に記載の焼却炉構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は廃棄物等の焼却炉構造に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物の焼却炉の一種である回転ストーカ式焼却炉(ストーカ炉)は、多数の気体供給孔をもった火格子(ストーカ、ロストル)からなる炉本体を備えている。炉本体は筒状に形成され、稼働時には回転する。炉本体に投入された廃棄物は、気体供給孔を介して一次気体の供給を受けながら、炉本体の回転によって撹拌されながら下流に移動する。この撹拌と移動の間に、廃棄物の温度は上昇し、当該廃棄物は乾燥、熱分解され、その後、燃焼する(特許文献1参照)。
【0003】
筒状の炉本体を備えた焼却炉として、キルン式焼却炉(ロータリーキルン、回転焼却炉)も知られている(特許文献2参照)。但し、キルン式焼却炉における炉本体の内面はレンガ等の耐熱材で覆われており、上述の気体供給孔をもたない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-57963号公報
【特許文献2】特開2000-329471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した筒状の炉本体は横向きに載置され、当該炉本体の外周面を支持することによって姿勢を維持している。炉本体の外周には環状部材(所謂タイヤ)が設けられ、この環状部材と炉本体との間はスポークや板バネ等の連結部材によって連結されている。
【0006】
環状部材と炉本体の連結において、連結部材は、炉本体の外周面に固定された端子部に接続する。端子部は、炉本体とは別の構造体として形成され、その剛性は炉本体よりも高い。従って、炉本体と端子部の接続部分は、その周辺よりも応力集中が発生しやすい。このような応力集中は、炉本体の稼働期間の長期化を妨げる要因となる。
【0007】
本開示は上述の状況を鑑みて成されたものである。即ち本開示は、炉本体と端子部の接続部分における応力集中を緩和させることが可能な焼却炉構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様は焼却炉構造であって、筒状に形成された炉本体と、前記炉本体の周方向に延伸する環状に形成され、前記炉本体の外周面に固定される支持部と、前記炉本体との間で力を伝達する構造体と係合し、前記炉本体の周方向に沿って設けられると共に前記支持部に固定される複数の端子部とを備えることを要旨とする。
【0009】
本開示の第2の態様は焼却炉構造であって、筒状に形成された炉本体と、前記炉本体との間で力を伝達する構造体と係合し、前記炉本体の外周に沿って配列すると共に前記炉本体の外周面に固定される複数の端子部と、前記炉本体の前記外周面に固定され、且つ、前記複数の端子部のうち互いに隣接する端子部を連結する複数の連結部とを備え、前記複数の端子部と前記複数の連結部は、前記炉本体の前記周方向に延伸する環状の支持部を構成することを要旨とする。
【0010】
第1の態様又は第2の態様に係る焼却炉構造において、前記炉本体は金属製であってもよい。前記支持部は、前記複数の端子部の群に対して複数設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、炉本体と支持部の接続部分における応力集中を緩和させることが可能な焼却炉構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施形態に係る焼却炉の概略構成図である。
【
図4】本開示の第1実施形態に係る焼却炉構造の断面図である。
【
図6】(a)は
図5におけるVIA-VIA断面図であり、(b)は
図5におけるVIB-VIB断面図である。
【
図7】第2実施形態に係る端子部としてのスラスト受け部と連結部とを示す図である。
【
図8】スポークを採用した焼却炉構造の拡大断面図である。
【
図9】スポークを採用した焼却炉構造の変形例を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本実施形態に係る焼却炉構造は筒状の炉本体を備えており、回転ストーカ式焼却炉及びキルン式焼却炉に適用可能である。ただし、本実施形態に係る焼却炉構造は、同様の構成を備える他の焼却炉にも適用可能である。
【0014】
便宜上、焼却炉構造が回転ストーカ式焼却炉(以下、焼却炉)に適用された例を挙げて説明する。即ち、焼却炉構造の炉本体は円筒状に形成され、その中心軸の周りを回転するものである。以下の説明において、軸方向、周方向、及び、接線方向は、それぞれ、炉本体の軸方向(長手方向)、周方向、及び、接線方向である。
【0015】
<第1実施形態>
本開示の第1実施形態について説明する。まず、焼却炉10の構成について説明する。
図1は、焼却炉10の概略構成図である。
図2は、
図1に示すII-II断面図である。
図3は、
図2に示す炉本体11の部分拡大図である。
【0016】
図1~
図3に示すように、焼却炉10は、筒状(
図2参照)に形成された炉本体11を備えている。炉本体11は、軸方向の上流側端部(
図1中の左側端部)に廃棄物Wの入口11aを有する。同様に、炉本体11は、炉本体11の下流側端部(
図1中の左側端部)に廃棄物Wの出口11bを有する。炉本体11は、水平面(
図1中の横方向)に対して出口11bが入口11aよりも低くなるように若干傾斜させた状態で設置される。炉本体11は金属製であり、その材質は、例えば炭素鋼等の金属である。
【0017】
炉本体11はカバーケーシング12に収容されている。炉本体11は、複数の水管13と、複数のフィン14と、入口側ヘッダー管16と、出口側ヘッダー管17とを備える。水管13は、軸方向に延伸する金属製の配管であり、所定の間隔を置いて周方向に配列している。各水管13にはシール板19が取り付けられている。シール板19は、水管13の略全長に亘って延伸し、径方向外方に向けて展開している。
【0018】
フィン14は、軸方向に延伸する金属製の帯状部材である。フィン14は、互いに隣接する2本の水管13、13の間に位置する。即ち、水管13及びフィン14は軸方向に延伸し、所定の間隔をおいて周方向に交互に並んでいる。フィン14には気孔15が複数形成されている。フィン14は、その両側に位置する2本の水管13、13を連結する。この連結により、気孔15付きのフィン14と水管13は所謂火格子を構成する。また、水管13とフィン14は、炉本体11の外周面11cを構成し、炉本体11は全体として筒状の形状を成す。
【0019】
入口側ヘッダー管16は、炉本体11の上流側端部(
図1中の左側端部)に取り付けられている。一方、出口側ヘッダー管17は炉本体11の下流側端部(
図1中の右側端部)に取り付けられる。入口側ヘッダー管16及び出口側ヘッダー管17は、両者の間の水管13に連通している。
【0020】
更に、出口側ヘッダー管17は、その下流側(
図1中の右側)に設けられたロータリージョイント18に接続している。ロータリージョイント18は、水管13を流れる水の供給路及び排出路である。つまり、水はロータリージョイント18から出口側ヘッダー管17、水管13、入口側ヘッダー管16を経由して、再びロータリージョイント18に戻る。この流通する水に高温のボイラ水を用いることによって、水管13及びフィン14を、低温腐食や高温腐食が発生しにくい温度に維持することができる。
【0021】
図1に示すように、炉本体11の外周には、環状部材(タイヤ)20が設けられている。環状部材20は炉本体11の入口11a側及び出口11b側に位置する。環状部材20の内径は、炉本体11の外径よりも大きい。環状部材20と炉本体11との間は連結部材としての板バネ21によって径方向に摺動可能に連結されている(
図4参照)。
【0022】
環状部材20はローラ22に載置されている。ローラ22は駆動装置23によって回転し、この回転によって炉本体11が回転する。なお、駆動装置23としてピンギヤ等の駆動機構を採用してもよい。この場合、環状部材20は駆動装置23によって直接駆動される。
【0023】
炉本体11の入口11a側にはホッパ24が設けられている。ホッパ24に投入された廃棄物Wは、給じん機(図示せず)によって炉本体11に供給される。
【0024】
炉本体11の下側には、カバーケーシング12の下端に連通する風箱(ダクト)25が設けられている。風箱25に供給された一次気体(例えば空気)は、炉本体11の下部から気孔15を介して炉本体11の内部に供給される。
【0025】
図1及び
図2に示すように、風箱25は、軸方向及び周方向に分割されている。つまり、炉本体11に連通する一次気体の供給路は、炉本体11の軸方向及び周方向に複数設けられている。一方、各供給路への一次気体の供給量は、ダンパ等の流量調整装置(図示せず)を用いて調整することができる。例えば、炉本体11に残留する廃棄物Wの成分、量及び分布に応じて、一次気体の供給先や供給量を最適化することができる。
【0026】
分割された風箱25の各出口にはシール装置26が設置されている。炉本体11が回転すると、各水管13に取り付けられたシール板19が次々にシール装置26に接触する。この接触によって各供給路が適切に仕切られ、一次気体を所望の箇所に適切に供給することができる。
【0027】
上述の焼却炉10では、駆動装置23によって炉本体11が低速回転している間に、廃棄物Wが炉本体11内に供給される。炉本体11内の廃棄物Wは、炉本体11の回転に伴って撹拌されると共に、炉本体11の傾斜によって徐々に下流側に移動する。
【0028】
廃棄物Wが炉本体11内を移動している間に、一次気体が風箱25から炉本体11に供給される。なお、一次気体の供給量は、廃棄物Wの緩慢燃焼が維持される程度の量に設定される。焼却炉10の内部は、以前に投入された廃棄物の緩慢燃焼によって高温になっている。このような状態の下で、新たに投入された廃棄物Wは、炉本体11の上流側から下流側に向けて順に乾燥、熱分解、燃焼の過程を経ることになる。
【0029】
緩慢燃焼に伴って発生した未燃ガスは、下流の二次燃焼室27において二次気体(例えば空気)の供給により燃焼する。また、炉本体11から排出された廃棄物Wの灰の中の未燃分は後燃焼ストーカ28で燃焼する。所謂、後燃焼が行われる。
【0030】
次に、本実施形態の焼却炉構造30Aについて説明する。
図4は、焼却炉構造30Aの断面図である。
図5は、
図4に示す断面図の部分拡大図である。
図6(a)は
図5におけるVIA-VIA断面図であり、
図6(b)は
図5におけるVIB-VIB断面図である。これらの図に示すように、焼却炉構造30Aは、上述の炉本体11と、支持部31A、端子部32Aとを備える。端子部32Aは、例えば後述の板バネ受け部34である。
【0031】
図4に示すように、支持部31Aは、周方向に延伸する環状に形成され、炉本体11の外周面11cに固定される。例えば、支持部31Aは、溶接によって炉本体11の外周面11cに固定される。軸方向に沿った支持部31Aの厚さ、及び、径方向に沿った支持部31Aの高さは、炉本体11の材質や使用環境、及び、端子部32Aの大きさ等に応じて適宜設定される。
【0032】
支持部31Aは、端子部32Aの大きさに応じて複数設けられてもよい。換言すれば、支持部31Aは、複数の端子部32Aの群に対して複数設けられてもよい。この場合、支持部31Aは、軸方向に所定の間隔を置いて配列し、各端子部32Aを支持する。支持部31Aを複数設けることによって、支持部31Aが過度に厚くなり、炉本体11の熱膨張に干渉することを抑制できる。
【0033】
端子部32Aは支持部31Aに固定される。端子部32Aは、炉本体11との間で力を伝達する構造体33と係合し、炉本体11の周方向に沿って複数設けられる。また、端子部32Aは、構造体33との係合形態や構造体33の形状及び寸法に応じた形状を有する。
【0034】
以下、この端子部32Aと構造体33の第1例及び第2例について説明する。
【0035】
(第1例)
構造体33の第1例は、炉本体11と環状部材20との間を連結する板バネ21である。また、端子部32Aの第1例は、この板バネ21と係合する板バネ受け部34である。
【0036】
図5に示すように、板バネ21は、炉本体11の外周面11cと環状部材20との間において、所定の角度間隔で周方向に複数設けられている。板バネ21は、炉本体11の接線方向に延伸し、炉本体11の径方向に撓み可能なバネ本体35を有する。バネ本体35の両端は、環状部材20の内周面20aに設けられた取付部(ブラケット)37に支持される。また、バネ本体35は、その中央に断面矩形の凸部36を有する。凸部36は、所定の長さでバネ本体35から径方向内方に突出している。
【0037】
一方、板バネ受け部34は、支持部31Aに固定されている。例えば、板バネ受け部34は、支持部31Aの外周面11cに固定される。また、板バネ受け部34は、支持部31Aにおいて板バネ21と径方向に対向する位置に設けられている。具体的には、板バネ受け部34の係合孔34aが、板バネ21の凸部36と対向するように径方向に開口している。
【0038】
図5及び
図6(a)に示すように、板バネ受け部34は、周方向に延伸し、支持部31Aに固定される板状の本体42と、本体42に形成される係合孔34aを有する。係合孔34aは、凸部36の外形に応じた断面形状(例えば矩形)を有する。
【0039】
炉本体11の接線方向における係合孔34aの長さ(幅)は、この接線方向における板バネ21の凸部36の長さ(幅)に略等しい。一方、軸方向における係合孔34aの長さ(奥行き)は、この軸方向における凸部36の長さ(奥行き)よりも小さい。
【0040】
また、板バネ21の凸部36の少なくとも先端は、板バネ受け部34の係合孔34aの内部に位置する。従って、上述の幅の関係から、凸部36は係合孔34aの内面を径方向に摺動する一方で、係合孔34aに対する周方向への移動が規制される。つまり、凸部36と係合孔34aの係合によって、板バネ21と板バネ受け部34は、径方向への相対的な移動が許容されると共に、周方向への相対的な移動が規制される。
【0041】
このように、板バネ21は、炉本体11の外周を囲むように周方向に複数設けられ、炉本体11における径方向の熱膨張を許容しつつ、板バネ受け部34を介して炉本体11を径方向から弾性的に支持する。
【0042】
上述の通り、板バネ21と板バネ受け部34は、互いの周方向へ移動が規制されている。従って、環状部材20が周方向に回転しようとすると、これに伴って炉本体11も回転する。環状部材20の回転力は、板バネ21から、凸部36と係合孔34aの互いの当接箇所を介して板バネ受け部34に伝達され、更に、支持部31Aを介して炉本体11に伝達される。この力の伝達により、炉本体11の外周面11cには応力が発生する。また、炉本体11の下部に位置する板バネ21は、炉本体11を支えているため、これらの反力に起因する応力も炉本体11の外周面11cに発生する。
【0043】
上述した何れの力も、板バネ21から、板バネ受け部34を介して炉本体11の外周面11cに伝達する。この力の伝達経路は、板バネ21が接触する箇所に局在している。一方、端子部32Aとしての板バネ受け部34は、炉本体11とは別体として形成された部材であり、その剛性は炉本体11よりも高い。従って、回転力や反力が環状部材20と炉本体11との間を伝達した場合、炉本体11の外周面11cのうちの板バネ21の近傍に、応力集中が発生しやすい。このような応力集中は、炉本体11の稼働期間の長期化を妨げる要因となる。
【0044】
しかしながら、本例では、板バネ受け部34と炉本体11の外周面11cとの間に支持部31Aが介在している。支持部31Aは周方向に延伸する環状に形成され、連続する一体構造を有することから、板バネ受け部34と炉本体11との間を伝達する力を分散させる。従って、板バネ受け部34の近傍における応力集中が緩和される。よって、炉本体11の外周面11c、即ち、水管13及びフィン14における金属疲労等の劣化の進行が抑制され、炉本体11の稼働期間の長期化を図ることが可能になる。
【0045】
(第2例)
構造体33の第2例は、環状部材20に設けられた上述の取付部37である。また、端子部32Aの第2例は、この取付部37と係合するスラスト受け部38Aである。
【0046】
図5及び
図6(a)に示すように、取付部37は、環状部材20の内周面20aから径方向内方に突出し、所定の角度間隔を置いて周方向に配列している。また、
図6に示すように、取付部37は、炉本体11の入口11a側に面した第1平面37aと、炉本体11の出口11b側に面した第2平面37bとを有する。
【0047】
取付部37には、ボルト等の締結部材によって2つの板バネ21の端部が接続(支持)される。具体的には、2つの板バネ21のうちの一方の端部が第1平面37a側に接続し、2つの板バネ21のうちの他方の端部が第2平面37b側に接続する。
【0048】
一方、スラスト受け部38Aは、支持部31Aに固定されている。例えば、スラスト受け部38Aは、支持部31Aの外周面11cに固定される。また、スラスト受け部38Aは、支持部31Aにおいて取付部37と径方向に対向する位置に設けられている。
【0049】
図6(a)に示すように、スラスト受け部38Aは、支持部31Aに固定される基部39と、基部39から径方向外方に突出する壁部40とを有する。スラスト受け部38Aは、取付部37に対して、炉本体11の入口11a側及び炉本体11の出口11b側のそれぞれに設けられる。
【0050】
更に、スラスト受け部38Aは、ストッパボルト41を有する。ストッパボルト41は壁部40に螺合し、回転させることにより軸方向に移動する。入口11a側のストッパボルト41は、取付部37の第1平面37aに当接する。同様に、出口11b側のストッパボルト41は、取付部37の第2平面37bに当接する。
【0051】
これらの当接により、スラスト受け部38Aと取付部37の軸方向における相対的な移動が規制される。なお、取付部37に対するストッパボルト41の押圧力は、スラスト受け部38Aと取付部37の軸方向における相対的な移動が規制され、且つ、両者の径方向における相対的な移動が許容される値に設定される。
【0052】
スラスト受け部38Aと支持部31Aの互いの係合により、環状部材20と炉本体11は一体となって軸方向に移動する。例えば、炉本体11の熱膨張によって炉本体11が軸方向に伸びようとした場合、その力がスラスト受け部38Aと支持部31Aを介して環状部材20に伝達され、環状部材20も軸方向に移動する。これにより、炉本体11に生じた軸方向の応力が緩和される。
【0053】
しかしながら、この応力が緩和される際に、炉本体11の外周面のうちのスラスト受け部38Aの近傍に、応力集中が発生しやすい。本例では、スラスト受け部38Aと炉本体11の外周面11cとの間に支持部31Aが介在している。支持部31Aは周方向に延伸する環状に形成され、連続する一体構造を有することから、スラスト受け部38Aと炉本体11との間を伝達する力を分散させる。従って、スラスト受け部38Aの近傍における応力集中が緩和される。よって、炉本体11の外周面11c、即ち、水管13及びフィン14における金属疲労等の劣化の進行が抑制され、炉本体11の稼働期間の長期化を図ることが可能になる。
【0054】
<第2実施形態>
本開示の第2実施形態に係る焼却炉構造30Bについて説明する。第2実施形態に係る焼却炉構造30Bは、第1実施形態の支持部31Aを備える代わりに、炉本体11の外周面11cに固定される複数の端子部32Bと、複数の端子部32Bのうち互いに隣接する端子部32B、32Bを連結する複数の連結部43とを備えている。その他の構成は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0055】
図7は第2実施形態に係る端子部32Bとしてのスラスト受け部38Bと連結部43とを示す図である。この図に示すように、第2実施形態のスラスト受け部38Bは、第1実施形態のスラスト受け部38Aと異なり、炉本体11の外周面11cに直接固定されている。
【0056】
また、連結部43は、第1実施形態の支持部31Aと同様に矩形の断面形状を有し、周方向に延伸する。連結部43は、2つのスラスト受け部38B、38Bの間に位置し、両者を連結する。この連結手段は例えば溶接である。スラスト受け部38Bと同じく、連結部43も炉本体11の外周面11cに固定されている。
【0057】
第2実施形態において、複数の端子部32Bと複数の連結部43は、炉本体11の周方向に延伸する環状の支持部31Bを構成する。
図7に示す例では、スラスト受け部38Bと連結部43が環状の支持部31Bを構成する。第1実施形態と同じく、環状の支持部31Bは、スラスト受け部38Bと炉本体11との間を伝達する力を分散させる。従って、スラスト受け部38Bの近傍に発生する応力集中が緩和される。
【0058】
なお、第2実施形態に係る端子部32Bとして、第1実施形態の板バネ受け部34も適用できる。即ち、複数の板バネ受け部34が炉本体11の外周面11cに固定され、隣接する2つの板バネ受け部34の間が連結部43と同様の形状を持つ連結部で連結されてもよい。この場合も板バネ受け部の近傍に発生する応力集中が緩和される。
【0059】
<その他の実施形態>
図4~
図7に示す板バネ21の代わりに、構造体33としてのスポーク44を用いてもよい。
図8は、スポーク44を採用した焼却炉構造30Cの拡大断面図である。
【0060】
スポーク44は一方向に延伸する棒状部材である。スポーク44の一方の端部は環状部材20の内周面20aに設けられた取付部(ブラケット)45に揺動可能に支持される。また、スポーク44の他方の端部は支持部31Aに固定された、端子部32Aとしての取付部(ブラケット)46に、ボルト等の揺動可能に支持される。これにより、炉本体11と環状部材20は、スポーク44を介して連結される。なお、スポーク44の代わりにピン(図示せず)を用いて両取付部を連結してもよい。
【0061】
また、第2実施形態と同様に、取付部46は炉本体11の外周面11cに固定されてもよい。
図9は
図8に示す焼却炉構造30Cの変形例30Dである。この図に示すように、互いに隣接する2つの取付部46、46の間には、第2実施形態と同様の構成の連結部47が設けられ、2つの取付部46、46を連結する。
【0062】
スポーク44を採用した場合も、炉本体11の外周面11cに、第1実施形態及び第2実施形態と同様の環状の支持部が形成される。従って、スポーク44を介して伝達された力は、環状の支持部によって分散され、取付部46の近傍の応力集中が緩和される。
【0063】
なお、本開示は上述の実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0064】
10…焼却炉、11…炉本体、11a…入口、11b…出口、11c…外周面、12…カバーケーシング、13…水管、14…フィン、15…気孔、16…入口側ヘッダー管、17…出口側ヘッダー管、18…ロータリージョイント、19…シール板、20…環状部材(タイヤ)、20a…内周面、21…板バネ、22…ローラ、23…駆動装置、24…ホッパ、25…風箱(ダクト)、26…シール装置、27…二次燃焼室、28…後燃焼ストーカ、30A~30D…焼却炉構造、31A、31B…支持部、32A、32B…端子部、33…構造体、34…板バネ受け部、34a…係合孔、35…バネ本体、36…凸部、37、45、46…取付部(ブラケット)、37a…第1平面、37b…第2平面、38A…スラスト受け部、38B…スラスト受け部、39…基部、40…壁部、41…ストッパボルト、42…本体、43、47…連結部、44…スポーク、W…廃棄物