IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社湯山製作所の特許一覧

<>
  • 特開-ピッキング支援システム 図1
  • 特開-ピッキング支援システム 図2
  • 特開-ピッキング支援システム 図3
  • 特開-ピッキング支援システム 図4
  • 特開-ピッキング支援システム 図5
  • 特開-ピッキング支援システム 図6
  • 特開-ピッキング支援システム 図7
  • 特開-ピッキング支援システム 図8
  • 特開-ピッキング支援システム 図9
  • 特開-ピッキング支援システム 図10
  • 特開-ピッキング支援システム 図11
  • 特開-ピッキング支援システム 図12
  • 特開-ピッキング支援システム 図13
  • 特開-ピッキング支援システム 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054090
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】ピッキング支援システム
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20230406BHJP
   G16H 10/00 20180101ALI20230406BHJP
   G16H 20/10 20180101ALI20230406BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
G16H10/00
G16H20/10
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020285
(22)【出願日】2023-02-13
(62)【分割の表示】P 2018148925の分割
【原出願日】2018-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】増田 真也
(57)【要約】
【課題】先調剤に関する薬品のピッキング作業のミスを抑制することが可能なピッキング支援システムを提供すること。
【解決手段】ピッキング支援システム(1)は、薬品又は薬品収容部に付されている薬品識別情報を読み取り可能な情報読取部(5)と、前記情報読取部(5)により読み取られる前記薬品識別情報を先調剤薬品データとして記憶する記録処理部(41)と、前記先調剤薬品データと処方データとを照合する第1照合処理部(41)と、前記第1照合処理部(41)による照合結果が不一致であり、前記処方データには含まれない前記薬品識別情報が前記先調剤薬品データに含まれていると判断された後、前記情報読取部(5)により読み取られる前記薬品識別情報と、前記先調剤薬品データに含まれる前記薬品識別情報のうち前記処方データには含まれない前記薬品識別情報とを照合する第2照合処理部(41)とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処方データに含まれる一又は複数の薬品識別情報と、当該処方データを取得するよりも前に記録された薬品データに含まれる一又は複数の薬品識別情報とが一致するか否かを判断する第1処理部と、
前記第1処理部により一致しない薬品識別情報が存在すると判断された場合に、当該一致しない薬品識別情報と前記第1処理部による判断後に情報読取部により読み取られる薬品識別情報とを照合する第2処理部と、
を備え、
前記第2処理部による照合結果を出力する支援システム。
【請求項2】
前記第2処理部は、前記第1処理部によって前記処方データに含まれる薬品識別情報であって前記薬品データに含まれない薬品識別情報が存在すると判断された場合に、当該薬品識別情報と、前記第1処理部による判断後に情報読取部により読み取られる薬品識別情報とを照合する、請求項1に記載の支援システム。
【請求項3】
前記第2処理部は、前記第1処理部によって前記処方データに含まれない薬品識別情報であって前記薬品データに含まれる薬品識別情報が存在すると判断された場合に、当該薬品識別情報と、前記第1処理部による判断後に情報読取部により読み取られる薬品識別情報とを照合する、請求項1又は2に記載の支援システム。
【請求項4】
前記第1処理部によって前記処方データに含まれない薬品識別情報であって前記薬品データに含まれる薬品識別情報が存在すると判断された場合に、当該薬品識別情報を前記薬品データから消去する、
請求項1~3のいずれかに記載の支援システム。
【請求項5】
前記薬品データには、前記薬品識別情報に対応する薬品量が含まれており、
前記第1処理部は、前記処方データに含まれる前記薬品識別情報及び前記薬品量と、前記薬品データに含まれる前記薬品識別情報及び前記薬品量とが一致するか否かを判断する、
請求項1~4のいずれかに記載の支援システム。
【請求項6】
プロセッサーに、
処方データに含まれる一又は複数の薬品識別情報と、当該処方データを取得するよりも前に記録された薬品データに含まれる一又は複数の薬品識別情報とが一致するか否かを判断する第1ステップと、
前記第1ステップにより一致しない薬品識別情報が存在すると判断された場合に、当該一致しない薬品識別情報と前記第1ステップによる判断後に情報読取部により読み取られる薬品識別情報とを照合する第2ステップと、
前記第2ステップによる照合結果を出力する第3ステップと、
を実行させるための支援プログラム。
【請求項7】
一又は複数のプロセッサーが、
処方データに含まれる一又は複数の薬品識別情報と、当該処方データを取得するよりも前に記録された薬品データに含まれる一又は複数の薬品識別情報とが一致するか否かを判断する第1ステップと、
前記第1ステップにより一致しない薬品識別情報が存在すると判断された場合に、当該一致しない薬品識別情報と前記第1ステップによる判断後に情報読取部により読み取られる薬品識別情報とを照合する第2ステップと、
前記第2ステップによる照合結果を出力する第3ステップと、
を実行する支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬品を取り揃えるピッキング作業を支援するピッキング支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤師が処方データ(処方箋)に従って薬品を取り揃えるピッキング作業を行う際、薬品の薬品棚などに付されている薬品識別情報を、処方データに処方薬として含まれる薬品の薬品識別情報と照合するシステムが用いられることがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-284760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、薬局等では、処方データがシステムに登録される前に、その処方データの内容が示された処方箋などを参照して薬品のピッキング作業が行われることがある。しかしながら、このように処方データの登録前のピッキング作業(以下「先調剤」と称する)が行われる場合には、ピッキング作業時にはシステム上で前記処方データと取り揃えた薬品とを照合することができない。
【0005】
本発明の目的は、先調剤に関する薬品のピッキング作業のミスを抑制することが可能なピッキング支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るピッキング支援システムは、薬品又は薬品収容部に付されている薬品識別情報を読み取り可能な情報読取部と、前記情報読取部により読み取られる前記薬品識別情報を先調剤薬品データとして記録する記録処理部と、前記先調剤薬品データと処方データとを照合する第1照合処理部と、前記第1照合処理部による照合結果が不一致であり、前記処方データには含まれない前記薬品識別情報が前記先調剤薬品データに含まれていると判断された場合、その後に前記情報読取部により読み取られる前記薬品識別情報と、前記先調剤薬品データに含まれる前記薬品識別情報のうち前記処方データには含まれない前記薬品識別情報とを照合する第2照合処理部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、先調剤に関する薬品のピッキング作業のミスを抑制することが可能なピッキング支援システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施形態に係るピッキング支援システムの構成を示す図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るピッキング支援システムの構成を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るピッキング表示装置の構成を示す外観模式図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係るピッキング支援システムで実行されるピッキング支援処理の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、本発明の実施形態に係るピッキング支援システムで実行される薬品照合処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、本発明の実施形態に係るピッキング支援システムにおける表示画面の一例を示す図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係るピッキング支援システムにおける表示画面の一例を示す図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係るピッキング支援システムにおける表示画面の一例を示す図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係るピッキング支援システムで実行される先調剤処理の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、本発明の実施形態に係るピッキング支援システムにおける表示画面の一例を示す図である。
図11図11は、本発明の実施形態に係るピッキング支援システムにおける先調剤ジャーナルの一例を示す図である。
図12図12は、本発明の実施形態に係るピッキング支援システムで実行される後監査処理の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、本発明の実施形態に係るピッキング支援システムにおける表示画面の一例を示す図である。
図14図14は、本発明の実施形態に係るピッキング支援システムにおける照合完了ジャーナルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0010】
[ピッキング支援システム1]
図1及び図2に示されるように、本実施形態に係るピッキング支援システム1は、サーバー2と一又は複数のピッキング表示装置3と印刷装置7とを備える。前記ピッキング表示装置3は、例えば病院、介護老人保健施設、又は薬局などの医療機関において、薬剤師及びテクニシャンなどのユーザーによって使用される。前記印刷装置7は、前記医療機関において、薬剤師及びテクニシャンなどのユーザーによって使用される。なお、前記ピッキング表示装置3の単体を本発明に係るピッキング支援システムと捉えてもよい。
【0011】
前記サーバー2及び前記ピッキング表示装置3は、例えばLAN又はインターネットなどの通信網N1を介して有線又は無線で接続される。また、前記サーバー2及び前記ピッキング表示装置3は、無線LAN規格、又はBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信規格に従って直接通信可能であってもよい。
【0012】
前記印刷装置7は、一又は複数種類の用紙等の記録媒体にモノクロ又はカラーで情報を印刷可能なインクジェット方式又は電子写真方式などの印刷装置である。前記印刷装置7は、前記サーバー2及び前記ピッキング表示装置3のいずれか一方又は両方に前記通信網N1を介して有線又は無線で接続可能である。また、前記印刷装置7は、前記サーバー2及び前記ピッキング表示装置3のいずれか一方又は両方と前記近距離無線通信規格に従って直接通信可能であってもよい。例えば、前記ピッキング表示装置3にジャーナルプリンタが設けられていてもよい。なお、本実施形態では、前記印刷装置7が、前記サーバー2に接続されており、前記サーバー2から送信される印刷データに基づいて各種の印刷処理を実行可能である場合を例に挙げて説明する。
【0013】
なお、前記サーバー2には、医師等が処方データを登録するために使用する電子カルテシステム、オーダーリングシステム、又はレセプトシステムなどの上位システム6が前記通信網N1を介して接続される。前記処方データには、例えば処方箋No.(処方箋識別情報)、患者の氏名(患者識別情報)、性別、年齢、病棟、担当医師、担当薬剤師、処方対象の薬品の薬品名(薬品識別情報)、用量、用法などの情報が含まれる。
【0014】
前記サーバー2は、制御部21、記憶部22、表示部23、及び操作部24などを有している。前記制御部21は、CPU、ROM、RAM、及びEEPROM(登録商標)などの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは揮発性の記憶部、前記EEPROMは不揮発性の記憶部である。前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。
【0015】
前記表示部23は、各種の情報を表示するために用いられる液晶ディスプレイなどの表示装置であり、前記操作部24は、ユーザー操作を受け付けるためのキーボード又はマウスなどの操作部である。前記制御部21は、前記操作部24に対するユーザー操作に応じて前記処方データの登録を受付可能である。
【0016】
前記記憶部22は、前記制御部21によって実行される制御プログラム、前記処方データ、及び各種マスターデータなどが記憶されるフラッシュメモリ又はハードディスクドライブ等の不揮発性の記憶部である。具体的に、前記記憶部42には、薬品の情報が予め登録された薬品マスター及びユーザーマスター等が記憶される。なお、前記薬品マスター及び前記ユーザーマスターは、前記ピッキング表示装置3でも使用される。
【0017】
例えば、前記薬品マスターには、薬品ごとに、薬品識別情報(薬品名、薬品コード)、薬品分類(分類コード)、薬品成分(成分コード)、JANコード、RSSコード、薬瓶コード、剤形、単位、比重、薬品種、配合変化、賦形薬品、及び注意事項などが対応付けて登録されている。さらに、前記薬品マスターには、薬品ごとにその薬品の収容場所を示す収容場所識別情報が登録可能である。例えば、前記収容場所識別情報は、薬品が収容される薬品棚の番号である。前記薬品マスターへの前記収容場所識別情報の登録処理は、前記制御部21が前記操作部24に対するユーザー操作に応じて実行する。
【0018】
特に、前記薬品種には、麻薬、向精神薬、抗癌剤、冷所保存薬、又は暗所保存薬などの特定の薬品種別が含まれる。前記特定の薬品種別の薬品については、薬品の専門知識を有する資格も持った薬剤師が取り扱う必要があり、テクニシャンなどの他のユーザーが取り扱うことは禁止されている。以下、前記特定の種別の薬品として予め設定された薬品を第1種別の薬品と称し、その他の種別の薬品を第2種別の薬品と称する。
【0019】
また、前記ユーザーマスターには、ユーザー識別情報(ユーザーID)、ユーザー名、ユーザー種別、及びパスワードなどが対応付けて記憶されている。前記ユーザー種別には、薬剤師初級、薬剤師上級、麻薬管理薬剤師、又は管理者などが含まれる。そして、前記ユーザーマスターは、前記ピッキング支援システム1へのユーザーのログイン、及び前記ピッキング表示装置3の現在のユーザーの前記ユーザー種別の特定などに用いられる。
【0020】
そして、前記制御部21は、前記上位システム6から前記処方データを取得し、必要に応じて前記処方データを前記ピッキング表示装置3に入力する。例えば、前記制御部21は、前記上位システム6の予め設定された記憶装置内の処方データ記憶領域に前記処方データが記憶されたか否かを監視しており、前記処方データ記憶領域に前記処方データが記憶された場合に前記処方データを取得する。そして、前記制御部21は、例えば前記処方データを識別するための処方IDを前記ピッキング表示装置3から受信した場合に、当該ピッキング表示装置3に前記処方IDに対応する前記処方データを送信する。なお、前記ピッキング表示装置3が、前記サーバー2の前記記憶部22に記憶されている前記処方データを能動的に読み出すことによって前記処方データを取得してもよい。また、前記制御部21が、前記処方データに含まれる処方薬のうち薬剤師の手動で調剤が行われる薬品として予め登録されている処方薬のデータを前記ピッキング表示装置3に自動送信することも考えられる。さらに、前記上位システム6に登録された前記処方データ各々が、前記上位システム6から前記ピッキング表示装置3に送信されてもよい。
【0021】
ところで、処方データに従って取り揃えるべき薬品には、薬剤師の調剤作業を補助するテクニシャンが扱うべきではない麻薬又は向精神薬などの前記第1種別の薬品が含まれることがある。そのため、一般に、この種のシステムのユーザーは、薬品の専門知識を有する薬剤師であることが前提となっている。これに対し、本実施形態に係る前記ピッキング支援システム1では、ユーザーの種別ごとに薬品のピッキング作業の支援態様を変更することによりピッキング作業の効率化を図ることが可能である。具体的には、薬品の取り揃え作業の一部をテクニシャンに分担することが可能となり、薬剤師によるピッキング作業を効率的に進めることが可能となる。
【0022】
[ピッキング表示装置3]
図2及び図3に示されるように、前記ピッキング表示装置3は、携帯端末4及びコード読取端末5を備える。前記携帯端末4は、前記コード読取端末5に着脱可能である。そして、前記携帯端末4が前記コード読取端末5に装着されると、前記携帯端末4及び前記コード読取端末5が不図示のコネクタを介して接続され、前記携帯端末4及び前記コード読取端末5の間のデータ送受信が可能となる。なお、前記ピッキング表示装置3は、前記携帯端末4が前記コード読取端末5に装着される構成に限らず、前記携帯端末4及び前記コード読取端末5が一体化されたものであってもよい。
【0023】
そして、前記ピッキング表示装置3は、薬剤師又はテクニシャンなどのユーザーが、薬品が収容されている薬品棚から、処方データに処方薬として含まれる薬品を取り揃えるピッキング作業を行う際に用いられる。より具体的に、前記ピッキング表示装置3では、薬品又は薬品が収容されている薬品棚などに付されているコードから前記コード読取端末5で読み取られる薬品識別情報と、前記処方データに処方薬として含まれる薬品の薬品識別情報とが照合される。なお、前記処方データは、前記上位システム6で発行された処方データ、又は当該処方データに基づいて前記サーバー2に登録された調剤データなどである。例えば、前記コードは、バーコードのような一次元のコード、QRコード(登録商標)のような二次元のコード、又はGS1データバーなどである。
【0024】
[携帯端末4]
図2及び図3に示されるように、前記携帯端末4は、制御部41、記憶部42、表示部43、タッチパネル44、通信I/F45、及び蓄電池46を備える。前記携帯端末4は、例えばPDA、スマートフォン、タブレット端末、又はメディアプレーヤーなどのモバイル端末である。具体的に、前記携帯端末4は、メーカー独自のOSによって動作が制御されるiPod(登録商標)又はiPhone(登録商標)などであることが考えられる。
【0025】
前記表示部43は、前記制御部41からの制御指示に従って各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどである。また、前記表示部43には、音声又はブザー音を出力するスピーカー又はブザー等の音声出力部も含まれる。前記タッチパネル44は、前記表示部43に積層して設けられ、前記表示部43に表示される各種の表示画面に対する指又はタッチペンを用いたタッチ操作を受け付ける。具体的に、前記タッチパネル44は、前記タッチ操作の位置座標を静電容量方式又は抵抗膜方式で検出し、前記位置座標を前記制御部41に入力する。これにより、前記制御部41では、例えば前記表示画面各々における前記位置座標と操作内容との対応関係を示す操作対応情報などに基づいて操作内容を特定することが可能である。なお、前記操作対応情報は、前記制御部41のROM又は前記記憶部42などに予め記憶されている。
【0026】
また、前記携帯端末4は、前記タッチパネル44に代えて、ユーザー操作を受け付ける一又は複数の操作ボタン等のハードキーを備える構成であってもよい。例えば、前記携帯端末4は、前記表示部43の下方に、テンキー、十字キー(上下左右の操作キー)、及び各種のファンクションキーなどのハードキーを備える構成であることが考えられる。この場合、前記制御部41は、前記表示部43の表示内容に従った前記ハードキーの操作に応じて、各種情報の入力及び選択などのユーザー操作を受け付けることが可能である。
【0027】
前記通信I/F45は、前記サーバー2などの外部機器との間で、予め定められた通信プロトコルに従って無線又は有線でデータ通信を実行することが可能な通信インターフェースである。例えば、前記通信I/F45は、IEEE802.11のような無線通信規格、或いはBluetooth(登録商標)及びNFC(Near Field Communications)のような近距離無線通信規格に従ってデータ通信を実行する。
【0028】
前記蓄電池46は、前記携帯端末4に動作電力を供給する電源である。前記蓄電池46は、不図示の充電器で充電される。また、前記蓄電池46は、前記コネクタを介して前記コード読取端末5に電力を供給することも可能である。
【0029】
前記制御部41は、CPU、ROM、RAM、及びEEPROM(登録商標)などの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは揮発性の記憶部、前記EEPROMは不揮発性の記憶部である。前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。なお、前記制御部41は、前記サーバー2の前記記憶部22からの情報の読み取り、又は前記記憶部22への情報の記憶が可能である。
【0030】
前記記憶部42は、前記制御部41によって実行される制御プログラム、前記サーバー2から取得する前記処方データ、前記薬品マスター、及び前記ユーザーマスターなどの各種のデータが記憶されるフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶部である。なお、前記制御部41は、前記サーバー2の前記記憶部22に記憶されている前記処方データ、前記薬品マスター、及び前記ユーザーマスターなどのデータを定期的に取得して更新する。また、前記記憶部42には、前記処方データ、前記薬品マスター、及び前記ユーザーマスターなどが記憶されず、前記制御部41が、前記サーバー2の前記記憶部22に記憶されている前記処方データ、前記薬品マスター、及び前記ユーザーマスターなどを参照する構成であってもよい。
【0031】
そして、前記制御部41は、特定処理部411、第1表示処理部412、第2表示処理部413、記録処理部414、第1照合処理部415、第2照合処理部416、修正処理部417、及び出力処理部418を含む。具体的に、前記制御部41は、前記CPUを用いて、前記ROM又は前記記憶部42に予め記憶された各種の制御プログラムに従って各種の処理を実行することにより前記特定処理部411、前記第1表示処理部412、前記第2表示処理部413、記録処理部414、第1照合処理部415、第2照合処理部416、修正処理部417、及び出力処理部418などの処理部として機能する。なお、前記処理部の一部又は全部が前記サーバー2の制御部21によって具現されてもよい。
【0032】
前記特定処理部411は、前記ピッキング表示装置3のユーザーが予め設定される特定ユーザーであるか否かを特定する。例えば、前記特定処理部411は、前記タッチパネル44を用いて行われる前記ユーザー識別情報及び前記パスワードの入力操作に応じてログイン処理を実行し、前記ユーザー識別情報と前記ユーザーマスターとに基づいて、そのユーザーが前記特定ユーザーであるか否かを特定する。なお、前記制御部41は、前記ピッキング表示装置3にログイン中のユーザーが管理者である場合には、前記タッチパネル44のユーザー操作に応じて前記ユーザーマスターを編集することが可能である。
【0033】
なお、前記特定処理部411は、前記コード読取端末5を用いて、ユーザーが保有するカードなどに記載されたコードから前記ユーザー識別情報を読み取り、前記ユーザー識別情報に基づいてユーザーをログインさせることも考えられる。さらに、前記特定処理部411は、前記通信I/F45による無線通信可能な特定の範囲に存在する携帯端末などのユーザー機器を自動的に検出し、前記ユーザー機器から読み取られる前記ユーザー識別情報に基づいてユーザーをログインさせることも考えられる。これらの場合にも、前記特定処理部411は、ユーザーが前記特定ユーザーであるか否かを前記ユーザー識別情報及び前記ユーザーマスターに基づいて特定可能である。
【0034】
具体的に、前記特定処理部411は、前記ピッキング表示装置3にログイン中のユーザーについて、前記記憶部42に記憶されている前記ユーザーマスターに登録されている前記ユーザー種別が薬剤師(薬剤師初級、薬剤師上級、麻薬管理薬剤師)又は管理者である場合に前記特定ユーザーであると特定する。一方、前記特定処理部411は、前記ピッキング表示装置3にログイン中のユーザーについて前記記憶部42に記憶されている前記ユーザーマスターに登録されている前記ユーザー種別が、テクニシャン(テクニシャン初級、テクニシャン上級)である場合に前記特定ユーザーではないと特定する。即ち、本実施形態において、前記特定ユーザーは薬剤師又は管理者である。
【0035】
前記第1表示処理部412は、前記特定処理部411によって現在のユーザーが前記特定ユーザーであると特定された場合に、前記処方データに含まれる全ての種別の薬品(第1種別の薬品及び第2種別の薬品)の情報を表示することが可能である。以下、前記第1表示処理部412によって前記処方データの情報が表示される場合の表示モードを第1表示モードと称する。
【0036】
一方、前記第2表示処理部413は、前記特定処理部411によって現在のユーザーが前記特定ユーザーでないと特定された場合に、前記処方データに含まれる薬品の情報のうち前記第1種別の薬品の情報を除く前記第2種別の薬品の情報のみを表示する。以下、前記第2表示処理部412によって前記処方データの情報が表示される場合の表示モードを第2表示モードと称する。即ち、前記ピッキング表示装置3では、前記ピッキング表示装置3の現在のユーザーの種別に応じて前記処方データの情報の表示モードが切り替えられ、前記ピッキング表示装置3における表示態様が変化することになる。
【0037】
前記記録処理部414は、前記コード読取端末5により読み取られる前記薬品識別情報を先調剤薬品データとして記録するための記録処理を実行する。具体的に、前記記録処理部414は、前記サーバー2に前記先調剤薬品データを送信することにより、当該サーバー2の前記記憶部22に前記先調剤薬品データを記憶させる。なお、前記先調剤薬品データを前記記憶部22に記憶する処理を実行するときの前記制御部21を前記記録処理部414と捉えてもよい。また、前記記録処理部414は、前記記憶部22に代えて前記記憶部42に前記先調剤薬品データを記憶すること、又は前記記憶部22及び前記記憶部42の両方に前記先調剤薬品データを記憶することも考えられる。さらに、前記記録処理部414は、前記先調剤データを記憶部に記憶させる場合に限らず、例えば前記先調剤薬品データの内容を二次元コード又はバーコードなどのコードで用紙などの記録媒体に印刷することも考えられる。
【0038】
前記第1照合処理部415は、前記先調剤薬品データと処方データとを照合する。前記第2照合処理部416は、前記第1照合処理部による照合結果が不一致であり、前記処方データには含まれない前記薬品識別情報が前記先調剤薬品データに含まれていると判断された場合、その後に前記情報読取部により読み取られる前記薬品識別情報と、前記先調剤薬品データに含まれる前記薬品識別情報のうち前記処方データには含まれない前記薬品識別情報とを照合する。なお、前記先調剤データが用紙などの記録媒体に記録されている場合、前記制御部41は、前記第1照合処理部415は前記記録媒体から読み取られる前記先調剤データと前記処方データとを照合してもよい。
【0039】
前記修正処理部417は、前記第2照合処理部416による照合結果が一致である場合に、前記先調剤薬品データから前記薬品識別情報を消去する。前記出力処理部418は、前記第1照合処理部415による照合結果を出力可能である。特に、前記出力処理部418は、前記コード読取端末5により読み取られた前記薬品識別情報と当該薬品識別情報が読み取られたときのユーザーとをそれぞれ対応付けて出力可能である。
【0040】
[コード読取端末5]
図2及び図3に示されるように、前記コード読取端末5は、制御部51、読取操作部52、コード読取部53、及び蓄電池54を備える。前記コード読取端末5は、前記コードを読み取るために使用される情報読取部の一例である。
【0041】
前記蓄電池54は、前記コード読取端末5に動作電力を供給する電源である。前記蓄電池54は、不図示の充電器で充電される。また、前記蓄電池54は、前記コネクタを介して前記携帯端末4に電力を供給することも可能である。即ち、前記ピッキング表示装置3では、前記携帯端末4及び前記コード読取端末5の間で前記蓄電池46及び前記蓄電池54が共用可能であり、前記蓄電池46及び前記蓄電池54の一方の残量が低下した場合でも動作が継続可能である。
【0042】
前記コード読取部53は、赤色の光源及び受光部を備え、前記光源を発光させたときに前記受光部が受光する反射光に基づいて前記コードを読み取ることが可能である。なお、前記コード読取部53では、前記光源からの光が前記コード読取端末5の背面側に設けられた出射窓から照射され、前記出射窓に入射する反射光が前記受光部で受光される。例えば、前記コードの読取方式には、前記光源としてLEDアレイを用い、前記受光部としてCCDを用いるリニアCCD式又は2Dイメージャ式などがある。また、前記コードの読取方式としては、他にレーザー式又は手動走査式なども考えられる。
【0043】
前記読取操作部52は、ユーザーによる押下操作に応じて前記制御部51に押下信号を入力する。前記読取操作部52は、前記携帯端末4が前記コード読取端末5に装着された状態で前記タッチパネル44の側方に位置する前記コード読取端末5の外周面に設けられている。
【0044】
前記制御部51は、CPU、ROM、RAM、及びEEPROM(登録商標)などの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは揮発性の記憶部、前記EEPROMは不揮発性の記憶部である。前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。
【0045】
そして、前記制御部51は、読取処理部511を含む。具体的に、前記制御部51は、前記CPUを用いて、前記ROM又は前記EEPROMに予め記憶された制御プログラムに従って各種の処理を実行することにより前記読取処理部511として機能する。
【0046】
前記読取処理部511は、前記読取操作部52に応じて前記押下信号が入力された場合、及び前記携帯端末4から読取指示を受信した場合に、それぞれ前記コード読取部53による前記コードの読取処理を開始する。なお、前記読取処理部511は、前記コード読取部53によって読み取った情報を前記携帯端末4に入力する。
【0047】
また、前記ピッキング支援システム1において、薬品が収容されている薬品棚にICタグが付されており、前記コード読取端末5が、前記ICタグから無線で前記薬品識別情報を読み取り可能であることも他の実施形態として考えられる。
【0048】
[ピッキング支援処理]
次に、図4を参照しつつ、前記ピッキング表示装置3において、前記携帯端末4の前記制御部41によって実行される前記ピッキング支援処理の手順の一例について説明する。なお、前記ピッキング支援処理は、前記携帯端末4において、前記ピッキング支援処理を実行するためのアプリケーションの起動操作が行われた場合に前記制御部41によって開始される。また、本実施形態では、前記制御部41が前記ピッキング支援処理を実行する場合について説明するが、前記ピッキング表示装置3が操作用端末として用いられ、前記ピッキング支援処理が前記サーバー2の前記制御部21によって実行されてもよい。例えば、前記制御部21が、前記携帯端末4に各種の表示情報を送信して当該携帯端末4に各種の情報を表示させ、前記携帯端末4に対するユーザー操作に応じて当該携帯端末4から送信される操作信号に基づいてユーザー操作を受け付ける。また、前記制御部21は、前記コード読取端末5によって読み取られる情報を前記携帯端末4から受信し、当該情報に基づく処理を実行することが可能である。これにより、前記サーバー2の前記制御部21が、当該ピッキング支援処理と同様の処理を実行することが可能である。なお、前記ピッキング支援処理における照合結果などの各種の処理内容は前記記憶部22などの記憶部に履歴として記憶されることが考えられる。また、前記記憶部22に記憶される情報の一部又は全部が前記携帯端末4の記憶部42に記憶されてもよい。なお、前記制御部41及び前記制御部21が協働して各種の処理を実行してもよい。
【0049】
<ステップS11>
ステップS11において、前記制御部41は、前記ピッキング表示装置3にユーザーがログインしているか否かを判断する。そして、前記制御部41は、ユーザーがログインしている場合は(S11:Yes)、処理をステップS12に移行させ、ログインされるまでの間は(S11:No)、処理を前記ステップS11で待機させる。
【0050】
なお、前記制御部41は、前記ピッキング表示装置3にユーザーがログインしていない状態では、ログインを促すためのメッセージを含むログイン画面D11を前記表示部43に表示させる。例えば、図6(A)は、前記ログイン画面D11の一例を示す図である。そして、前記制御部41は、ユーザーによるログイン操作が行われた場合に、前記ログイン操作で入力されたユーザー識別情報(ユーザーID)及びパスワードと前記ユーザーマスターとに基づいてユーザーのログイン処理を実行する。これにより、前記ステップS11において、前記制御部41は、前記ピッキング表示装置3にユーザーがログインしていると判断する。なお、前述したように、前記コード読取端末5を用いて前記ユーザー識別情報が読み取られ、又は前記通信I/F45により前記ユーザー機器から自動的に前記ユーザー識別情報が読み取られることによりログインが行われてもよい。
【0051】
<ステップS12>
ステップS12において、前記制御部41は、前記ピッキング表示装置3に現在ログイン中のユーザーが前記特定ユーザーである場合は(S12:Yes)、処理をステップS13に移行させ、前記特定ユーザーでない場合は(S12:No)、処理をステップS121に移行させる。なお、前記制御部41は、前記ユーザーマスターに基づいてユーザーが前記特定ユーザーであるか否かを判断することが可能である。
【0052】
<ステップS121>
ステップS121において、前記制御部41は、前記ピッキング表示装置3における表示モードを前記特定ユーザーに対応する前記第1表示モードに設定する。即ち、前記処方データのうち前記第1種別の薬品及び前記第2種別の薬品の表示が可能な状態になる。
【0053】
<ステップS13>
ステップS13において、前記制御部41は、前記ピッキング表示装置3における表示モードを前記第2表示モードに設定する。即ち、前記処方データのうち前記第2種別の薬品の表示のみが可能な状態になる。
【0054】
<ステップS14>
ステップS14において、前記制御部41は、前記ピッキング表示装置3を用いて行う業務内容を選択するための業務選択画面D12を前記表示部43に表示させる。ここに、図6(B)は、前記表示モードが前記第1表示モードである場合の前記業務選択画面D12の一例を示す図であり、図6(C)は、前記表示モードが前記第2表示モードである場合の前記業務選択画面D12の一例を示す図である。前記第1表示モードでは、図6(B)に示されるように、前記業務選択画面D12に、前記特定ユーザーが選択可能な業務内容として予め設定された「照合・調剤」、「充填業務」、「払出記録」、「先調剤」が表示される。また、前記第2表示モードでは、図6(C)に示されるように、前記業務選択画面D12に、前記特定ユーザーではない他のユーザーが選択可能な業務内容として予め設定された「照合・調剤」のみが表示される。即ち、前記制御部41は、前記ピッキング表示装置3にログイン中のユーザーのユーザー種別に応じて選択可能な業務内容も切り替える。
【0055】
なお、前記特定ユーザーでない場合にも「充填業務」、「払出記録」、又は「先調剤」などの業務を行うことを許可する設定が予め行われている場合には、前記第2表示モードにおいてもその許可されている業務の選択が可能であってもよい。具体的に、前記制御部41は、予め登録された管理者などがログインしている場合に、ユーザー種別ごとについて、実施可能な業務種別(照合・調剤、充填業務、払出記録、先調剤など)、その業務種別各々における表示内容の制限の有無(薬品名の表示の有無)、その業務種別各々における薬品の容量チェックの有無などを、ユーザー操作に応じて設定可能であることが考えられる。前記ユーザー種別ごとの前記業務種別の実施の可否の設定内容は、前記サーバー2の記憶部22に記憶される。そして、前記携帯端末4各々の前記制御部41は、前記設定内容に応じて、ユーザー種別ごとについて、実施可能な業務種別、その業務種別各々における表示内容の制限の有無、その業務種別各々における薬品の容量チェックの有無などを制御することが考えられる。
【0056】
また、図6(B)及び図6(C)に示されているように、業務選択画面D12の最下段の表示領域A11には、現在ログイン中のユーザーを示すユーザー識別情報(ユーザーID等)に対応するユーザー名が表示される。さらに、前記表示領域A11には、現在ログイン中のユーザーが前記特定ユーザーであるか否かを識別可能な情報が表示されてもよい。例えば、前記制御部41は、前記表示領域A11に、現在ログイン中のユーザーに対応する前記ユーザー種別(テクニシャン初級、テクニシャン上級、薬剤師初級、薬剤師上級、又は麻薬管理薬剤師など)を前記ユーザー名と共に前記表示領域A11に表示させることが考えられる。また、前記制御部41は、前記表示領域A11の背景色を前記ユーザー種別に応じて変更することも考えられる。なお、前記制御部41は、前記ユーザー種別各々に対応して予め設定された図柄などを前記表示領域A11に表示させることも考えられる。このように、前記表示領域A11において前記ユーザー種別が識別可能に表示されることにより、ユーザーは、前記ユーザーマスターにおいて自分自身に対応付けて登録されているユーザー種別を容易に認識することが可能となり、前記ユーザーマスターの登録間違い又は更新漏れ等が発見されやすくなる。また、ユーザー各々が前記ピッキング表示装置3を使用している場合に、そのユーザー以外の指導者などの第3者が前記ピッキング表示装置3の表示画面を一見するだけでそのユーザーに対応する前記ユーザー種別を把握することが可能である。なお、前記表示領域A11は、後述の照合開始画面D21、薬品表示画面D22、薬品量表示画面D23、完了画面D24などにも表示される。
【0057】
<ステップS15>
ステップS15において、前記制御部41は、前記業務選択画面D12において、前記業務内容として「照合・調剤」が選択されると(S15:Yes)、処理をステップS153に移行させ、前記業務内容として「照合・調剤」が選択されていなければ(S15:No)、処理をステップS151に移行させる。
【0058】
<ステップS151>
ステップS151において、前記制御部41は、前記業務選択画面D12において、前記業務内容として「先調剤」が選択されたと判断すると(S151:Yes)、処理をステップS152に移行させ、前記業務内容として「先調剤」が選択されていないと判断すると(S151:No)、処理を前記ステップS15に戻す。なお、前記業務選択画面D12において「充填業務」又は「払出記録」などの他の業務内容が選択された場合には、前記他の業務内容に対応する処理が実行されるが、ここではその説明を省略する。
【0059】
<ステップS152>
ステップS152において、前記制御部41は、先調剤の業務を支援するための先調剤処理を実行する。先調剤とは、前記サーバー2が前記上位システム6から前記処方データを取得する前、又は前記サーバー2に対して前記処方データが登録される前に行われるピッキング作業である。即ち、先調剤は、前記処方データと取り揃える薬品との照合が可能になる前に行われる薬品のピッキング作業である。その後、先調剤で取り揃えられた一又は複数の薬品は後述の先調剤ジャーナル(図11)と共に保管され、前記処方データとの照合が完了した後に患者に提供される。なお、前記先調剤処理の詳細については後述するが、当該先調剤処理では、取り揃えられた薬品の情報を示す先調剤薬品データと当該先調剤薬品データを識別するための識別情報である先調剤番号とが対応付けて前記記憶部42に記憶される。
【0060】
<ステップS153>
ステップS153において、前記制御部41は、図7(A)に示す照合開始画面D21を前記表示部43に表示させる。前記照合開始画面D21には、前記処方データを選択するための受付番号の入力を受け付ける入力欄K21、先調剤薬品データを選択するための先調剤番号の入力を受け付ける入力欄K22、及びこれらの入力を確定するための操作部K23が表示されている。
【0061】
<ステップS16>
ステップS16において、前記制御部41は、ピッキング作業の対象となる前記処方データが選択されたか否かを判断する。そして、前記制御部41は、前記処方データが選択されたと判断すると(S16:Yes)、処理をステップS154に移行させ、前記処方データが選択されていなければ(S16:No)、処理を前記ステップS16で待機させる。
【0062】
具体的に、前記制御部41は、前記サーバー2の前記記憶部22に記憶されている前記処方データのうち患者の誕生月日又は誕生年月日が前記照合開始画面D21の前記入力欄K21に入力された受付番号と同じである処方データを処理対象の処方データとして選択する。例えば、前記制御部41は、前記記憶部22に記憶されている前記処方データを参照し、前記入力欄K21に入力された受付番号に基づいて前記処方データを選択する。なお、前記受付番号に入力された値に対応する処方データが複数存在する場合、前記制御部41は、その複数の処方データから今回の処理対象となる患者の処方データをユーザーに選択させるための処理を実行し、選択された処方データを処理対象の処方データとして特定する。また、前記制御部41が前記制御部21に受付番号を送信し、前記制御部21によって前記処方データが選択されてもよい。さらに、前記受付番号の入力に限らず、前記制御部41は、前記コード読取端末5により前記処方データの識別情報が読み取られた場合に、当該識別情報に対応する前記処方データを処理対象の処方データとして選択することも考えられる。
【0063】
また、前記制御部41は、前記入力欄K22に先調剤番号が入力されている場合は、前記サーバー2の記憶部22に記憶されている当該先調剤番号に対応する先調剤薬品データを後述の後監査処理の対象として選択する。また、前記制御部41は、前記コード読取端末5により前記先調剤薬品データを識別可能な先調剤番号などの識別情報が当該識別情報を示すコード(図11参照)から読み取られた場合に、当該識別情報に対応する前記先調剤薬品データを処理対象の先調剤薬品データとして選択することも考えられる。
【0064】
<ステップS154>
ステップS154において、前記制御部41は、前記ステップS16で選択された前記処方データについて前記先調剤処理で取り揃えられた先調剤薬品を利用するための後監査処理を実行するか否かを判断する。具体的に、前記照合開始画面D21の前記入力欄K22に前記先調剤番号が入力されている場合に後監査処理を実行すると判断する。なお、前記業務選択画面D12又は前記照合開始画面D21等に後監査ボタン等が表示され、ユーザー操作によって前記後監査ボタンが操作された場合に前記後監査処理が実行されてもよい。ここで、前記後監査処理を実行すると判断されると(S154:Yes)、処理がステップS155に移行し、前記後監査処理を実行しないと判断されると(S154:No)、処理がステップS17に移行する。
【0065】
<ステップS155>
ステップS155において、前記制御部41は、後監査の業務を支援するための後監査処理を実行する。なお、後監査とは、先調剤作業で取り揃えられた薬品と前記処方データに含まれる処方薬とを照合する作業である。なお、前記後監査処理の詳細については後述する。
【0066】
<ステップS17>
ステップS17において、前記制御部41は、前記処方データに処方薬として含まれる薬品各々について薬品照合処理を実行する。但し、前述したように、前記薬品照合処理では、前記ピッキング表示装置3のユーザーが前記特定ユーザーである場合には全ての薬品の情報が表示可能であるが、前記特定ユーザーではない場合は前記第1種別の薬品を除く前記第2種別の薬品の情報のみが表示可能である。前記制御部41は、前記薬品照合処理の終了後、処理を前記ステップS16に戻す。なお、前記制御部41は、前記ピッキング表示装置3におけるログアウト処理が実行された場合に処理を前記ステップS11に戻し、前記業務内容である「照合・調剤」の終了操作が行われた場合には処理を前記ステップS14に戻す。
【0067】
[薬品照合処理]
次に、図5を参照しつつ、前記ステップS17で前記制御部41によって実行される前記薬品照合処理について説明する。
【0068】
なお、以下の薬品照合処理では、前記処方データに「AAAA錠60mg」、「BBBB錠100mg」、「CCCC錠200」が処方薬として含まれる場合を例に挙げつつ説明することがある。そして、「CCCC錠200」は、前記第1種別の薬品として前記薬品マスターに登録されている薬品であり、「AAAA錠60mg」、「BBBB錠100mg」は、前記第2種別の薬品として前記薬品マスターに登録されている薬品であるとする。
【0069】
<ステップS21>
ステップS21において、前記制御部41は、前記ピッキング表示装置3における表示モードが前記第1表示モードであるか否かを判断する。前記表示モードが前記第1表示モードであると判断されると(S21:Yes)、処理がステップS22に移行し、前記第1表示モードではないと判断されると(S21:No)、処理がステップS211に移行する。
【0070】
<ステップS22>
ステップS22において、前記制御部41は、前記第1表示モードに従って、前記処方データに処方薬として含まれる薬品の情報を表示するための薬品表示画面D22を表示部43に表示させる。なお、前記ステップS22は、前記制御部41の前記第1表示処理部412によって実行される。前記薬品表示画面D22では、前記処方データに処方薬として含まれている薬品のうち取り揃えが必要な全ての薬品の情報がピッキング作業の対象として表示可能である。
【0071】
ここに、図7(B)は、前記第1表示モードにおける前記薬品表示画面D22の一例を示す図である。図7(B)に示される前記薬品表示画面D22では、前記処方データに含まれる処方薬のうち、前記第1種別の薬品及び前記第2種別の薬品を含む全ての薬品の情報が表示されている。具体的には、図7(B)に示される前記薬品表示画面D22では、「AAAA錠60mg」、「BBBB錠100mg」、「CCCC錠200」に対応する薬品名(薬品識別情報)が表示されている。
【0072】
さらに、図7(B)に示される前記薬品表示画面D22では、「AAAA錠60mg」、「BBBB錠100mg」、「CCCC錠200」のそれぞれに対応する薬品の収容場所を識別するための収容場所識別情報として薬品棚の番号が表示されている。これにより、薬剤師は、薬品各々の取り揃えを容易に行うことが可能である。なお、前記収容場所識別情報は、薬品の収容場所を概ね示す情報であることも考えられる。例えば、一つの棚に複数の薬品棚が含まれる場合に、その棚の識別情報が前記収容場所識別情報として表示されてもよい。また、前記薬品表示画面D22において、前記収容場所識別情報が表示されないことも他の実施形態として考えられる。
【0073】
なお、前記薬品表示画面D22では、前記第1種別の薬品及び前記第2種別の薬品が識別可能な態様で表示されてもよい。さらに、図7(B)に示される前記薬品表示画面D22では、前記処方データに対応する患者名も表示されている。また、前記制御部41は、前記薬品表示画面D22におけるユーザー操作に応じて前記処方データに含まれる全ての情報を任意に表示させることも可能である。
【0074】
さらに、前記薬品表示画面D22では、後述のステップS24における照合が完了している照合済みの薬品と、照合が完了していない未照合の薬品とが識別可能な表示態様で表示される。例えば、前記薬品表示画面D22において、照合済みの薬品については、「済」の文字が付されること、或いは、背景の色又は文字の色などが変更されることが考えられる。なお、前記制御部41は、後述のステップS24において照合結果が記憶されている薬品を照合済みの薬品として表示する。
【0075】
さらに、前記制御部41は、前記薬品表示画面D22において、前記特定ユーザーではない他のユーザーによって行われたピッキング作業で照合対象にならなかった前記第1種別の薬品が存在する場合には、その旨が表示されることが考えられる。即ち、前記制御部41は、後述のステップS24において第2照合モードで照合されていない薬品が識別可能に表示される。具体的に、前記制御部41は、後述のステップS261で未照合の薬品として記憶されている薬品について、前記ピッキング作業で照合対象にならなかった旨が表示されることが考えられる。これにより、薬剤師などの前記特定ユーザーは、前記処方データに処方薬として含まれる薬品について、テクニシャンなどの他のユーザーによるピッキング作業の対象とならなかったために照合処理が実行されていない薬品と、自分が照合処理を実行していない薬品とを区別することが可能である。
【0076】
<ステップS211>
一方、ステップS211において、前記制御部41は、前記第2表示モードに従って、前記処方データに処方薬として含まれる薬品の情報を表示するための前記薬品表示画面D22を表示部43に表示させる。なお、前記ステップS211は、前記制御部41の前記第2表示処理部413によって実行される。前記薬品表示画面D22では、前記処方データに処方薬として含まれている薬品のうち前記第2種別の薬品の情報のみがピッキング作業の対象として表示可能である。
【0077】
ここに、図8(A)は、前記第2表示モードにおける前記薬品表示画面D22の一例を示す図である。図8(A)に示される前記薬品表示画面D22では、前記処方データに含まれる処方薬のうち、前記第2種別の薬品の情報のみが表示されている。具体的には、図8(A)に示される前記薬品表示画面D22では、「AAAA錠60mg」、「BBBB錠100mg」に対応する薬品が収容されている薬品収容部の識別情報として薬品棚の番号が表示されている。なお、図8(A)に示される前記薬品表示画面D22では、「CCCC錠200」に対応する薬品が収容されている薬品収容部の識別情報として薬品棚の番号は表示されていない。また、図8(A)に示される前記薬品表示画面D22では、前記処方データに対応する患者名も表示されていない。なお、前記第2表示モードにおいても、前記薬品表示画面D22に薬品名又は患者名が表示されてもよい。さらに、前記薬品表示画面D22に前記第1種別の薬品が収容されている薬品収容部の識別情報として薬品棚の番号が表示されることも他の実施形態として考えられる。即ち、薬品の種別に関係なく、前記第1表示モードでは、薬品名などの薬品識別情報が表示され、前記第2表示モードでは、薬品名などの薬品識別情報が表示されずに薬品棚の番号などの薬品収容部の情報が表示されることが考えられる。
【0078】
<ステップS23>
その後、ステップS23において、前記制御部41は、前記コード読取端末5を用いて前記薬品識別情報が読み取られたか否かを判断する。ここで、前記薬品識別情報が読み取られたと判断すると(S23:Yes)、処理がステップS24に移行し、前記薬品識別情報が読み取られるまでの間は(S23:No)、処理がステップS23で待機する。
【0079】
<ステップS24>
ステップS24において、前記制御部41は、前記コード読取端末5で読み取られる前記薬品識別情報と前記処方データに処方薬として含まれる薬品の前記薬品識別情報とを照合する。特に、前記制御部41は、前記処方データに処方薬として含まれる薬品のうち、前記ステップS21又は前記ステップS211によって前記薬品表示画面D22に表示されている薬品の前記薬品識別情報と前記コード読取端末5で読み取られる前記薬品識別情報とを照合する。
【0080】
具体的に、前記表示モードが前記第1表示モードである場合、前記制御部41は、前記ステップS21によって前記薬品の情報が表示された状態で前記薬品の情報と前記コード読取端末5により読み取られる前記薬品識別情報とを照合する第1照合モードを実行する。また、前記表示モードが前記第2表示モードである場合、前記制御部41は、前記ステップS211によって前記薬品の情報が表示された状態で前記薬品の情報と前記コード読取端末5により読み取られる前記薬品識別情報とを照合する第2照合モードとを実行する。
【0081】
ここで、前記照合の結果、前記薬品識別情報が一致しない場合、前記制御部41は、予め定められた照合エラーメッセージを前記表示部43に表示させる。一方、前記照合の結果、前記薬品識別情報が一致する場合、前記制御部41は、前記薬品識別情報に対応する必要総量を表示するための薬品量表示画面D23を前記表示部43に表示させ、前記照合結果を前記処方データに対応付けて記憶する。
【0082】
ここに、図7(C)は、前記第1表示モードにおける前記薬品量表示画面D23の一例を示す図である。図7(C)に示す例では、前記薬品識別情報に対応する薬品の情報として薬品名が表示されると共に、その薬品の必要総量(30錠)が表示されている。なお、前記必要総量は、前記処方データに含まれる用法及び服用期間などの情報に基づいて算出される。また、図7(C)に示す例では、前記薬品量表示画面D23に、前記処方データに含まれる情報のうち患者名及び薬品の用法(1日3回毎食後)などの予め設定された他の付加情報も表示されている。また、前記付加情報には、薬品の用量が含まれていてもよい。これにより、前記特定ユーザーである薬剤師は、前記処方データの患者名及び用法などを意識しつつ前記処方データに従ったピッキング作業を行うことが可能となる。
【0083】
一方、図8(B)は、前記第2表示モードにおける前記薬品量表示画面D23の一例を示す図である。図8(B)に示す例では、前記薬品識別情報に対応する薬品が収容されている薬品収容部の情報として、その薬品が収容されている薬品棚の番号が表示されると共に、その薬品の必要総量(30錠)が表示されている。即ち、前記第2表示モードにおける前記薬品量表示画面D23では薬品名(薬品識別情報)が表示されない。なお、前記第2表示モードにおいても前記薬品量表示画面D23に薬品名が表示されることも他の実施形態として考えられる。
【0084】
さらに、図8(B)に示す例では、前記薬品量表示画面D23に、前記処方データに含まれる情報のうち患者名及び用法も表示されない。これにより、前記特定ユーザーではないテクニシャンなどのユーザーは、前記処方データの患者名及び用法などを意識することなく、前記薬品棚の番号に対応する前記薬品棚から必要総量の薬品を取り出すだけの単純な作業を行うことが可能となる。なお、前記第1表示モード及び前記第2表示モード各々で表示可能な前記処方データの情報は、ここで説明したものに限らず予め設定されていればよい。
【0085】
<ステップS25>
ステップS25において、前記制御部41は、前記処方データに含まれる処方薬のうち前記薬品表示画面D22に表示される全ての薬品の照合処理が終了したか否かを判断する。即ち、前記第1表示モードである場合には、前記処方データに処方薬として含まれる全ての薬品について照合処理が終了したか否かが判断され、前記第2表示モードである場合には、前記処方データに処方薬として含まれる薬品のうち前記第2種別の薬品について照合処理が終了したか否かが判断される。そして、前記照合処理が終了したと判断されると(S25:Yes)、処理がステップS26に移行し、前記照合処理が終了していないと判断されると(S25:No)、処理が前記ステップS23に戻される。
【0086】
<ステップS26>
ステップS26において、前記制御部41は、前記処方データに含まれる処方薬の全てについて照合処理が終了したか否かを判断する。即ち、前記第1表示モードおよび前記第2表示モードのいずれの場合であっても、前記処方データの全ての薬品について照合処理が終了したか否かが判断される。そして、前記照合処理が終了したと判断されると(S26:Yes)、処理がステップS27に移行し、前記照合処理が終了していないと判断されると(S26:No)、処理が前記ステップS261に移行する。
【0087】
<ステップS261>
ステップS261において、前記制御部41は、前記処方データに含まれる処方薬のうち前記照合処理が実行されていない薬品を、未照合の薬品として前記処方データに対応付けて記憶部22などの記憶部に記憶する。
【0088】
<ステップS27>
ステップS27において、前記制御部41は、前記処方データに含まれる全ての処方薬について前記照合処理が完了した旨を示す完了画面D24を表示させると共に、その旨を前記処方データに対応付けて前記記憶部22などの記憶部に記憶する。なお、図7(D)は、前記完了画面D24の一例を示す図である。なお、前記制御部41は、前記ステップS27において、前記照合処理の結果を前記印刷装置7で印刷させることも考えられる。ここに、当該ステップS27の処理は、前記制御部41の前記出力処理部418によって実行される。なお、他の実施形態として、前記制御部41が、前記ステップS27において照合が完了した旨を表示した後、ユーザーによる確認操作が行われた場合に、前記照合結果の印刷を実行することも考えられる。
【0089】
このように、前記ピッキング表示装置3では、予め設定された薬剤師などの特定ユーザーについては、前記処方データに処方薬として含まれる薬品の情報の全てが表示可能である。一方、テクニシャンなどの前記特定ユーザーではないユーザーについては、前記処方データのうち前記第2種別の薬品の情報のみが表示されることになる。従って、前記処方データに前記第1種別及び前記第2種別の薬品が含まれる場合、テクニシャンなどのユーザーは、前記第2種別の薬品の取り揃えのみを実行し、残りの前記第1種別の薬品を取り扱うことがない。一方、薬剤師などの特定ユーザーは、テクニシャンが取り揃えた前記第2種別の薬品を取り揃える必要がなく、前記テクニシャンが取り揃えなかった前記第1種別の薬品の取り揃えのみを実行することが可能である。即ち、前記処方データに基づいて薬品を取り揃えるピッキング作業を薬剤師及びテクニシャンで分担して効率的に行うことが可能である。
【0090】
なお、前記ピッキング表示装置3各々において、前記制御部41が、初期設定におけるユーザー操作に応じて前記ピッキング表示装置3の表示モードを前記第1表示モード及び前記第2表示モードのいずれかに設定することも可能である。また、前記ピッキング支援システム1には、前記第1表示モード又は前記第2表示モードのいずれか一方のみが実行可能であり、例えば外観が異なる前記ピッキング表示装置3が含まれていてもよい。
【0091】
さらに、本実施形態では、前記処方データに含まれる薬品各々について前記特定ユーザー及び前記特定ユーザーを除く他のユーザーのいずれか一方の操作によって前記照合処理が実行された場合に前記薬品について照合完了となる場合について説明した。一方、前記薬品棚から取り出された前記薬品に前記薬品識別情報が付されていることが考えられる。そこで、前記制御部41は、前記他のユーザーの操作によって前記照合処理が実行された場合には、その後に、前記特定ユーザーの操作による前記照合処理が実行されたときに、前記薬品について照合完了となることが他の実施形態として考えられる。これにより、前記他のユーザーが、前記薬品棚から前記薬品をトレイなどに取り出して集めた後、前記特定ユーザーが、前記トレイに集められた前記薬品の適否をより確実に確認することが可能となる。なお、この場合、前記他のユーザーの操作による前記照合処理が実行されることなく、前記特定ユーザーの操作による前記照合処理が実行されたときには、その時点で前記薬品について照合完了となる。
【0092】
[先調剤処理]
次に、図9のフローチャートに従って、前記ステップS152で実行される先調剤処理について説明する。なお、前記先調剤処理の実行中に、予め設定された終了操作が行われた場合には、当該先調剤処理が終了して処理が前記ステップS14に戻される。
【0093】
また、前記業務内容として先調剤が選択された後、前記先調剤処理の開始時に、前記携帯端末4のユーザーが先調剤の業務を実施可能なユーザーであることを確認するための処理を実行してもよい。具体的に、前記制御部41は、前記コード読取端末5を用いて、ユーザーが保有するIDカードなどに記載されたコードから前記ユーザー識別情報が読み取られた場合に、前記ユーザー識別情報に対応するユーザーが先調剤の業務の権限を有しているか否かを確認する。ここで、ユーザーが権限を有していない場合と判断された場合にはエラーメッセージが前記表示部43に表示される。なお、前記ユーザー識別情報に基づいて特定されるユーザーが前記ステップS11でログインされたユーザーと異なる場合には、当該ユーザー識別情報に対応するユーザーを操作者としてログインさせ、その変更後のユーザーが先調剤の権限を有しているか否かを確認する。なお、ユーザーの特定手法は、前述したようにID及びパスワードの入力であってもよい。
【0094】
<ステップS31>
ステップS31において、前記制御部41は、先調剤で取り揃えられる一又は複数の薬品を含む一群の先調剤薬品を示す先調剤薬品データの識別情報を示す先調剤番号を採番する。例えば、先調剤番号は、前記サーバー2によって管理されており、前記制御部41は、前記サーバー2に対して先調剤番号の発行を要求し、前記サーバー2から先調剤番号を取得することが考えられる。前記サーバー2では、前記制御部21が、先調剤番号の発行の要求に応じて、前記記憶部22に先調剤番号を1ずつ加算して記憶し、当該先調剤番号を前記携帯端末4に送信する。なお、前記制御部21は、1日の業務の開始時又は終了時などの予め定められたタイミングで先調剤番号を0にリセットする。そして、前記制御部21は、後述するように前記携帯端末4から先調剤番号に対応する先調剤薬品データを受信し、当該先調剤番号と当該先調剤薬品データとを対応づけて記録する。
【0095】
<ステップS32>
ステップS32において、前記制御部41は、前記ステップS31で採番された先調剤番号を含む先調剤操作画面D31を前記表示部43に表示する。ここに、図10(A)は、前記先調剤操作画面D31の一例を示す図である。図10(A)に示されるように、前記先調剤操作画面D31には、前記先調剤番号が表示される表示領域K31、当該先調剤処理を終了させるための操作キーK32、及び後監査処理を開始するための操作キーK33などが表示されている。なお、このとき、前記先調剤操作画面D31に、薬品の読み込みを促すメッセージが表示されてもよい。
【0096】
<ステップS33>
ステップS33において、前記制御部41は、前記コード読取端末5を用いて前記薬品識別情報が読み取られたか否かを判断する。ここで、前記薬品識別情報が読み取られたと判断すると(S33:Yes)、処理がステップS34に移行し、前記薬品識別情報が読み取られるまでの間は(S33:No)、処理がステップS33で待機する。
【0097】
<ステップS34>
ステップS34において、前記制御部41は、前記ステップS31で読み取られた前記薬品識別情報に対応する薬品を前記表示部43に表示させる。ここに、図10(B)は、前記ステップS34において前記表示部43に表示される先調剤操作画面D31の一例を示す図である。図10(B)に示されるように、前記先調剤操作画面D31には、薬品名などの薬品識別情報が表示される表示領域K34、及び当該薬品識別情報に対応する薬品の薬品量が入力可能な表示領域K35が表示されている。なお、前記薬品量が入力可能でない場合には、前記表示領域K35の表示は省略されてもよい。
【0098】
<ステップS35>
ステップS35において、前記制御部41は、前記ステップS33で読み取られた前記薬品識別情報に対応する薬品の情報と先調剤番号とを対応付けた前記先調剤薬品データを前記サーバー2に送信し、当該サーバー2の前記記憶部22に記録させる記録処理を実行する。なお、当該記録処理は、前記制御部41の前記記録処理部414によって実行される。これにより、前記サーバー2では、前記制御部21が、前記先調剤薬品と前記先調剤番号とが対応付けられた前記先調剤薬品データを前記記憶部22に記録する。なお、前記制御部21を本発明における記録処理部として捉えてもよい。
【0099】
<ステップS36>
ステップS36において、前記制御部41は、先調剤の終了操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記制御部41は、前記先調剤操作画面D31に表示されている前記操作キーK32が操作された場合に、先調剤の終了操作が行われたと判断する。ここで、先調剤の終了操作が行われたと判断されると(S36:Yes)、処理がステップS37に移行し、先調剤の終了操作が行われていないと判断されると(S36:No)、処理がステップS361に移行する。
【0100】
<ステップS361>
ステップS361において、前記制御部41は、先調剤の照合開始操作行われたか否かを判断する。具体的に、前記制御部41は、前記先調剤操作画面D31に表示されている前記操作キーK33が操作された場合に、先調剤の照合開始操作行われたと判断する。ここで、先調剤の照合開始操作行われたと判断されると(S361:Yes)、処理がステップS362に移行し、先調剤の照合開始操作行われていないと判断されると(S361:No)、処理が前記ステップS33に戻される。
【0101】
<ステップS362>
ステップS362では、前記ステップS155と同様に後監査処理が実行され、その後、前記後監査処理が終了すると、処理は前記ステップS31に戻される。なお、前記後監査処理については後述する。
【0102】
<ステップS37>
ステップS37において、前記制御部41は、前記サーバー2に対して、当該先調剤処理で行われた先調剤の業務に関する情報を印刷する印刷指示を送信し、処理を前記ステップS31に戻す。これにより、前記サーバー2では、前記制御部21が、当該先調剤処理で行われた先調剤の業務に関する情報(先調剤薬品データなど)を前記印刷装置7に印刷させる。特に、前記制御部41は、後述の調剤担当者記録機能により印刷される照合完了ジャーナル(図14参照)と同様に、当該ステップS37においても、前記コード読取端末5により読み取られた前記薬品識別情報と当該薬品識別情報が読み取られたときのユーザーとをそれぞれ対応付けて出力することが考えられる。なお、他の実施形態として、前記制御部41が、前記ステップS37において先調剤が完了した旨を表示し、ユーザーによる確認操作が行われた場合に、前記先調剤の業務に関する情報の印刷を実行することも考えられる。
【0103】
ここに、図11は、前記ステップS37で印刷された印刷物である先調剤ジャーナルの一例を示す図である。図11に示されるように、前記印刷装置7によって前記先調剤ジャーナルに印刷される内容には、先調剤の実施日時、ピッキング者(ユーザー)の識別情報、ユーザー種別、ピッキング対象の薬品の識別情報、及び先調剤番号を示すコードなどが含まれる。前記先調剤番号を示すコードは、前記照合開始画面D21の入力欄K22への先調剤番号の入力方法の一例として前記コード読取端末5によって読み取られることがある。なお、前記先調剤番号を示すコードに代えて前記先調剤番号の値が印刷されること、又は、前記先調剤番号を示すコード及び値が共に印刷されてもよい。また、前記制御部41は、前記先調剤処理において前記コード読取端末5により読み取られる前記薬品識別情報に対応する薬品量、即ち取り揃えた薬品の量の入力操作を受付可能であることも考えられ、この場合、図11に示されるように、前記印刷装置7によって前記先調剤ジャーナルに印刷される内容に前記薬品量が含まれる。一方、取り揃えた薬品の量の入力操作を受付可能でない場合には前記薬品量の記載は省略される。なお、前記携帯端末4が前記印刷装置7と接続されており、前記携帯端末4の前記制御部41が、前記印刷装置7に印刷データを送信し、当該先調剤処理で行われた先調剤の業務に関する情報を印刷させてもよい。
【0104】
[後監査処理]
次に、図12のフローチャートに従って、前記ステップS155又は前記ステップS362で実行される後監査処理について説明する。なお、前記後監査処理の実行中に、予め設定された終了操作が行われた場合には、当該後監査処理が終了して処理が前記ステップS14に戻される。また、当該後監査処理の開始時に、前記携帯端末4のユーザーが後監査の業務を実施可能なユーザーであることを確認するための処理を実行してもよい。具体的に、前記制御部41は、前記コード読取端末5を用いて、ユーザーが保有するIDカードなどに記載されたコードから前記ユーザー識別情報が読み取られた場合に、前記ユーザー識別情報に対応するユーザーが後監査の業務の権限を有しているか否かを確認する。ここで、ユーザーが権限を有していない場合と判断された場合にはエラーメッセージが前記表示部43に表示される。なお、前記ユーザー識別情報に基づいて特定されるユーザーが前記ステップS11でログインされたユーザーと異なる場合には、当該ユーザー識別情報に対応するユーザーを操作者としてログインさせ、その変更後のユーザーが後監査の権限を有しているか否かを確認する。なお、ユーザーの特定手法は、前述したようにID及びパスワードの入力であってもよい。
【0105】
<ステップS41>
ステップS41において、前記制御部41は、前記ステップS16で選択された前記処方データの内容と、前記照合開始画面D21に入力されていた前記先調剤番号に対応する先調剤薬品データの内容とを照合する照合処理を実行する。なお、当該照合処理は、前記制御部41の前記第1照合処理部415によって実行される。
【0106】
具体的に、前記制御部41は、前記ステップS16で選択された前記処方データと、前記照合開始画面D21に入力されていた前記先調剤番号に対応する先調剤薬品データとを前記サーバー2の記憶部22から読み出す。そして、前記制御部41は、前記先調剤番号に対応する先調剤薬品データとして薬品名及び薬品量の両方が登録されている場合、当該薬品名及び薬品量と処方データにおける処方薬品名及び処方量とが一致するか否かを照合する。また、前記制御部41は、前記先調剤番号に対応する先調剤薬品データに薬品量が登録されていない場合、前記先調剤薬品データにおける薬品名と処方データにおける処方薬品名とが一致するか否かを照合する。
【0107】
<ステップS42>
ステップS42において、前記制御部41は、前記ステップS41における照合結果が一致である場合は(S42:Yes)、前記表示部43から予め定められた正常音などを鳴動させて処理をステップS43に移行させる。一方、前記ステップS41における照合結果が不一致である場合は(S42:No)、前記表示部43から予め定められたエラー音などを鳴動させて処理をステップS421に移行させる。
【0108】
<ステップS43>
ステップS43において、前記制御部41は、前記ステップS41における照合結果を履歴情報として前記サーバー2の前記記憶部22に記憶させ、前記照合結果を前記印刷装置7で印刷出力させる出力処理を実行する。また、前記制御部41は、後述の調剤担当者記録機能により印刷される照合完了ジャーナル(図14参照)と同様に、当該ステップS43においても、前記コード読取端末5により読み取られた前記薬品識別情報と当該薬品識別情報が読み取られたときのユーザーとをそれぞれ対応付けて出力することが考えられる。ここに、当該出力処理は、前記制御部41の前記出力処理部418によって実行される。その後、当該後監査処理は終了する。なお、他の実施形態として、前記制御部41が、前記ステップS43において照合が完了した旨を表示し、ユーザーによる確認操作が行われた場合に、前記照合結果の印刷を実行することも考えられる。
【0109】
<ステップS421~S423>
ステップS421~S423において、前記制御部41は、前記照合結果の不一致の原因に応じて処理を分岐する。
【0110】
具体的に、ステップS421において、前記制御部41は、前記処方データに含まれる薬品識別情報の中に、前記先調剤薬品に含まれていない種類の薬品識別情報が存在するか否かを判断する。即ち、前記先調剤作業において取り忘れている薬品(以下「取り忘れ薬品」と称する)があるか否かを判断する。ここで、前記取り忘れ薬品が存在すると判断されると(S421:Yes)、前記制御部41は、取り忘れ薬品を前記記憶部22に記憶し、処理をステップS423に移行させる。一方、前記処方データに含まれる薬品識別情報の中に、前記先調剤薬品に含まれていない種類の薬品識別情報が存在しないと判断されると(S421:No)、処理がステップS422に移行する。
【0111】
次に、ステップS422において、前記制御部41は、前記先調剤薬品データに含まれる薬品識別情報に、前記処方データに含まれていない種類の薬品識別情報が存在するか否かを判断する。即ち、前記先調剤作業において取り間違えた薬品(以下「取り間違い薬品」と称する)があるか否かを判断する。ここで、前記取り間違い薬品が存在すると判断されると(S422:Yes)、処理がステップS425に移行する。
【0112】
一方、前記取り間違い薬品が存在しないと判断されると(S422:No)、他に何らかのエラーが発生していることがある。そのため、予め定められたエラー音などが鳴動された後、当該後監査処理が終了する。例えば、先調剤においても患者の氏名、誕生月日、誕生年月日などが入力可能な場合には、前記照合処理で患者の氏名、誕生月日、誕生年月日などの項目を照合することが考えられ、その場合には、その項目の照合結果が一致しないことが考えられる。
【0113】
また、ステップS423において、前記制御部41は、前記ステップS422と同様に、前記取り間違い薬品が存在するか否かを判断する。ここで、前記取り間違い薬品が存在すると判断されると(S423:Yes)、処理がステップS425に移行する。一方、前記取り間違い薬品が存在しないと判断されると(S423:No)、処理がステップS424に移行する。ところで、前記ステップS421~S423の判断順序はここで説明する順序に限らず、例えば、先に前記取り間違い薬品が存在するか否かが判断された後、前記取り忘れ薬品が存在するか否かが判断されることも他の実施形態として考えられる。
【0114】
なお、本実施形態では、前記先調剤薬品データと前記処方データとにおける薬品の種類が一致しない場合に取り忘れ薬品又は取り間違い薬品が存在すると判断される場合を例に挙げて説明する。一方、他の実施形態として、前記先調剤薬品データと前記処方データとにおける薬品の種類が一致する場合であっても薬品量が異なる場合は取り忘れ薬品又は取り間違い薬品があると判断されることも考えられる。例えば、前記先調剤薬品データにおける薬品量が前記処方データにおける薬品量よりも少ない場合は取り忘れと判断され、前記先調剤薬品データにおける薬品量が前記処方データにおける薬品量よりも多い場合は取り間違いと判断される。なお、薬品量よりも少ない取り忘れが生じていると判断された場合、前記制御部41は、その取り忘れ対象の薬品について、前記コード読取端末5による薬品識別情報の読み取り及び照合処理が実行された後、補充する薬品の数量又は総量のユーザーによる入力を受け付け、補充された後の薬品量又は入力された総量と前記処方データにおける薬品量とを照合することが考えられる。
【0115】
<ステップS424>
ステップS424において、前記制御部41は、処理を前記ステップS21(図5参照)に移行させ、前記取り忘れ薬品を対象として前記薬品照合処理を実行する。これにより、ユーザーは、前記後監査処理に続けて、前記先調剤薬品に含まれていない前記取り忘れ薬品のピッキング作業を行うことが可能である。
【0116】
<ステップS425~S428>
ステップS425~S428において、前記制御部41は、前記取り間違い薬品を先調剤で取り揃えられた薬品から取り除くための作業を支援する薬品取り除き処理を実行する。
【0117】
具体的に、ステップS425において、前記制御部41は、前記取り間違い薬品に対応する薬品識別情報を含む後監査画面D41を前記表示部43に表示させる。例えば、図13に示すように、前記制御部41は、前記後監査画面D41に前記取り間違い薬品の薬品名などの薬品識別情報を表示させると共に、前記表示部43の背景色を取り間違いがある場合に対応して予め設定された黄色などの背景色で表示させる。さらに、前記表示部43に、取り間違いがある旨のメッセージ、又は薬品の読み込みを促すメッセージ等が表示されてもよい。なお、前記先調剤処理において前記取り間違い薬品の薬品量が登録されている場合には、図13に示されるように、当該薬品量が前記後監査画面D41に表示されるが、前記先調剤処理において前記取り間違い薬品の薬品量が登録されていない場合には当該薬品量の表示は省略される。
【0118】
続いて、ステップS426において、前記制御部41は、前記コード読取端末5による前記薬品識別情報の読み取りを待ち受ける。ここで、前記薬品識別情報が前記コード読取端末5で読み取られたと判断すると(S426:Yes)、処理がステップS427に移行し、前記薬品識別情報が前記コード読取端末5で読み取られるまでの間は処理がステップS426で待機する。
【0119】
次に、ステップS427において、前記制御部41は、前記コード読取端末5で読み取られた前記薬品識別情報と前記取り間違い薬品に対応する前記薬品識別情報とを照合する照合処理を実行する。なお、当該照合処理は、前記制御部41の前記第2照合処理部416によって実行される。なお、前述したように、前記先調剤薬品データにおける薬品量が前記処方データにおける薬品量よりも多いことが理由で前記取り間違い薬品が存在すると判断された場合には、当該ステップS427における照合処理と共に、取り除かれる薬品の数量又は総量のユーザーによる入力を受け付け、取り除かれた後の薬品量又は入力された総量と前記処方データにおける薬品量とを照合することが考えられる。
【0120】
そして、ステップS428において、前記制御部41は、前記ステップS427における照合結果が一致である場合には(S428:Yes)、処理がステップS429に移行する。一方、前記照合結果が不一致である場合(S428:No)、前記制御部41は、前記表示部43からエラー音などを鳴動させた後、処理を前記ステップS426に戻す。
【0121】
<ステップS429>
ステップS429において、前記制御部41は、前記表示部43から正常音などを鳴動させた後、前記先調剤薬品データから前記取り間違い薬品の薬品識別情報を消去する修正処理を実行し、処理を前記ステップS41に戻す。なお、当該修正処理は、前記制御部41の前記修正処理部417によって実行される。これにより、前記先調剤薬品データと前記処方データとの再照合が実行され、取り間違い薬品が存在しないと判断されると(S42:Yes)、処理が前記ステップS43に移行する。なお、この場合、前記ステップS43において記憶されて印刷される前記履歴情報には、前記先調剤薬品から前記取り間違い薬品が消去された履歴(ユーザーの識別情報、消去日時など)が含まれてもよい。
【0122】
なお、前記ステップS429の終了後、前記先調剤薬品データについて取り忘れ薬品が存在する場合には、前記ステップS41に戻った後、前記取り忘れ薬品が存在する場合に対応する前記ステップS424が実行されることになる。但し、前記ステップS429の実行後、前記取り忘れ薬品が存在する場合には、そのまま前記ステップS424に移行することも考えられる。
【0123】
以上説明したように、前記後監査処理では、先調剤作業において取り揃えられた先調剤薬品を示す先調剤薬品データと処方データとが照合されるため、先調剤作業における人為的ミスが抑制される。特に、前記後監査処理では、先調剤で取り揃えられた薬品から前記取り間違い薬品を取り出す際に当該取り間違い薬品の照合処理が実行されるため、先調剤で取り揃えられた薬品から前記取り間違い薬品を取り出す際の人為的ミスが抑制される。
【0124】
[調剤担当者記録機能]
ところで、一つの前記処方データについての調剤が、複数のユーザーによって分担して実行されることがある。特に、一つの前記処方データに、前記特定のユーザーが扱うことが可能な前記第1種別の薬品と前記特定のユーザーでなくとも扱うことが可能な前記第2種別の薬品とが含まれる場合には、ユーザー種別が異なる複数のユーザーによって調剤が分担されることがある。そして、前記ピッキング支援システム1は、複数のユーザーにより調剤が分担して行われた場合に、その複数のユーザーの識別情報と当該ユーザーが調剤を担当した薬品とを対応付けて記録する調剤担当者記録機能を備えることが考えられる。
【0125】
まず、前記制御部41は、ある処方データを処理対象として前記薬品照合処理が実行されている途中で全ての薬品についての照合が完了する前に、ユーザーにより、予め定められた保留操作又は完了操作が行われた場合に、当該薬品照合処理を中断する。例えば、前記保留操作又は前記完了操作などに対応する操作キーが前記薬品表示画面D22に表示されており、前記制御部41は、当該操作キーが操作された場合に前記保留操作又は前記完了操作が行われたと判断する。
【0126】
そして、前記制御部41は、前記処方データについて前記薬品照合処理で照合された途中結果を前記サーバー2の前記記憶部22に記憶すると共に前記印刷装置7で印刷させる。具体的に、前記制御部41は、前記サーバー2に前記途中結果の印刷指示を送信することにより当該途中結果を前記印刷装置7に印刷させ、又は、前記印刷装置7に前記途中結果の印刷データを送信して当該途中結果を印刷させる。なお、前記制御部41は、前記薬品照合処理が実行されたときの前記携帯端末4のユーザーが照合した薬品の情報を当該ユーザーの識別情報と対応付けて記憶させる。
【0127】
その後、前記制御部41は、前記照合開始画面D21において、過去に前記薬品照合処理が中断された前記処方データが処理対象として選択された場合、当該処方データについての前記薬品照合処理を再開する。そして、前記制御部41は、前記処方データの全ての薬品についての照合が完了した場合、前記ステップS27においても、前記照合履歴の印刷指示を前記サーバー2に送信して当該照合履歴を前記印刷装置7で印刷させる。なお、前記制御部41が、前記印刷装置7に前記照合履歴の印刷データを送信して当該照合履歴を印刷させてもよい。
【0128】
ここに、図14は、前記印刷装置7によって前記照合履歴が印刷された照合完了ジャーナルの一例を示す図である。まず、1人のユーザーによってピッキング作業が完了した場合には、前記ステップS27において、図14(A)に示されるように、1人のユーザーがピッキング者として記載された前記照合履歴が前記照合完了ジャーナルに印刷されることが考えられる。一方、薬剤師とテクニシャンとが分担してピッキング作業が完了した場合には、前記ステップS27において、図14(B)に示されるように、2人のユーザーの氏名がピッキング者を識別するピッキング者識別情報として記載された前記照合履歴が前記照合完了ジャーナルに印刷される。この場合、前記照合完了ジャーナルには、各ピッキング者によってピッキングされた薬品が明示される。なお、前記ピッキング者識別情報は氏名に限らず、例えばユーザーごと又はユーザー種別ごとに予め設定された色分け、マーク、番号などであってもよい。また、図14(C)に示されるように、前記処方データに照合が未完了の薬品が含まれている場合には、その未完了の薬品が識別可能に表示されることが考えられる。
【0129】
ところで、前記処方データに含まれる処方薬のピッキング作業が薬剤師とテクニシャンとによって分担して行われる場合には、その先後関係が制限されることが考えられる。例えば、前記制御部41は、前記薬品照合処理が途中で保留された場合であって、先にピッキング作業を行ったのが薬剤師であり、そのピッキング作業で取り揃えられた薬品が前記第1種別の薬品である場合には、当該薬品照合処理を再開可能なユーザー種別を薬剤師などのように前記第1種別の薬品を取り扱い可能なユーザーに限定することが考えられる。これにより、前記第1種別の薬品の取り扱いが許可されていないテクニシャンなどのユーザーが、先に薬剤師によって取り揃えられた薬品の一時的な扱いを制限することが可能である。
【符号の説明】
【0130】
1 ピッキング支援システム
2 サーバー
3 ピッキング表示装置
4 携帯端末
5 コード読取端末
41 制御部
411 特定処理部
412 第1表示処理部
413 第2表示処理部
414 記録処理部
415 第1照合処理部
416 第2照合処理部
417 修正処理部
418 出力処理部
43 表示部
44 タッチパネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14