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特開2023-54117軟磁性多層堆積装置、製造の方法、および磁性多層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054117
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】軟磁性多層堆積装置、製造の方法、および磁性多層体
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/34 20060101AFI20230406BHJP
   C23C 14/06 20060101ALI20230406BHJP
   H01F 10/16 20060101ALI20230406BHJP
   H01F 41/18 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
C23C14/34 P
C23C14/06 T
C23C14/06 N
H01F10/16
H01F41/18
【審査請求】有
【請求項の数】38
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023023513
(22)【出願日】2023-02-17
(62)【分割の表示】P 2019558388の分割
【原出願日】2018-04-18
(31)【優先権主張番号】00562/17
(32)【優先日】2017-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)SEMICON Europe 2017(平成29年11月14日から18日)にて頒布したLAYERS EDITION 3 (2)平成29年10月23日にhttps://aip.scitation.org/doi/pdf/10.1063/1.4993688?class=pdfで公開されたAIP Advances、第8巻、第4号、第048002-1~048002-14頁
(71)【出願人】
【識別番号】518031387
【氏名又は名称】エヴァテック・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クラウディウ・ヴァレンティン・ファルブ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・ブレス
(57)【要約】
【課題】軟磁性材料の非常に薄い層の効率的で良好に制御された積層体を堆積させるための技術を提供すること。
【解決手段】動作中、基板運搬装置(11)は処理ステーション(17A、17B)を通る。処理ステーションのうちの1つ(17A)は、第1の軟磁性材料から成るスパッタリングターゲット(T)を有する。第2の処理ステーション(17B)は、第1の上記ターゲット(T)の第1の軟磁性材料と異なる第2の軟磁性材料から成るターゲット(T)を備える。処理ステーション(17A、17B)に対する基板運搬装置(11)の相対移動を制御する制御ユニット(23)が、真空輸送室(3)の円形の内部空間の軸AXの周りでの複数の基板運搬装置(11)の1回の360°を超える回転運動を提供するが、第1および第2の処理ステーション(17A、17B)は連続的に動作する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟磁性材料多層堆積装置であって、
軸の周りの真空輸送室の円形の連続的な内部空間と、
前記軸に対して垂直な第1の平面に沿っての、円形の連続的な前記内部空間において、前記軸と同軸の複数の基板運搬装置であって当該基板運搬装置それぞれが基板を搬送するための基板運搬装置を備える円形の配置と、
前記軸に対して垂直な第2の平面に沿っての、基板処理ステーションの円形の配置であって、当該配置の前記基板処理ステーションが、円形の連続的な前記内部空間へと共通して処理動作する、配置と、
前記複数の基板運搬装置を備える前記円形の配置と、処理ステーションの前記円形の配置との間に相対回転を確立するように、前記複数の基板運搬装置を備える前記円形の配置と、処理ステーションの前記円形の配置との間で動作可能に結合される回転駆動部と
を備え、
前記複数の基板運搬装置を備える前記円形の配置と、処理ステーションの前記円形の配置とは相互に位置合わせされ、
基板処理ステーションの前記配置は、
各々が単一のターゲットを伴う少なくとも1つの第1のスパッタ堆積ステーションおよび少なくとも1つの第2のスパッタ堆積ステーションを備え、
前記第1のスパッタ堆積ステーションは、基板における層材料として堆積される第1の軟磁性材料の第1のターゲットを有し、
前記第2のスパッタ堆積ステーションは、前記基板における層材料として堆積される前記第1の軟磁性材料と異なる第2の軟磁性材料のターゲットを有し、
前記装置は、
処理ステーションの前記配置のうちの前記ステーションと、前記回転駆動部とに動作可能に結合され、前記軸の周りでの処理ステーションの前記円形の配置に対する前記複数の基板運搬装置を備える前記円形の配置の1回を超える360°の回転運動の少なくとも間に、複数の前記基板運搬装置を備える前記円形の配置に向けてかつ前記配置上に連続的なスパッタ堆積を可能とさせるように、少なくとも1つの前記第1のスパッタ堆積ステーションおよび少なくとも1つの前記第2のスパッタ堆積ステーションを制御するように構成された制御ユニットであって、前記360°の回転運動は互いと直接的に後に続く、制御ユニットをさらに備え、

前記制御ユニットが、少なくとも1つの前記第1のスパッタ堆積ステーションおよび少なくとも1つの前記第2のスパッタ堆積ステーションが複数の前記基板運搬装置を備える前記円形の配置に向けてかつ前記配置上に連続的なスパッタ堆積を可能とされた1を超える前記360°回転中に、少なくとも1つの前記第1のスパッタ堆積ステーション及び少なくとも1つの前記第2のスパッタ堆積ステーションが隣接する堆積ステーションとして動作させるように、前記処理ステーションを制御するように構成されており、
それにより、1を超える前記回転中に、互いの上に直接的にあるように前記第1の軟磁性材料の層と前記第2の軟磁性材料の層とを堆積する、軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項2】
円形の連続した前記内部空間は環状であり、前記複数の基板運搬装置を備える前記配置または処理ステーションの前記配置は、環状の前記内部空間の径方向外側の円形のまたは径方向内側の円形の表面、または、環状の前記内部空間の上面もしくは下面に備え付けられる、請求項1に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項3】
前記円形の内部空間は円筒状であり、前記複数の基板運搬装置を備える前記円形の配置または処理ステーションの前記配置は、前記円筒状の内部空間の周囲表面である円形の表面、または、前記円筒状の内部空間の下面もしくは上面に備え付けられる、請求項1に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項4】
処理ステーションの前記円形の配置は静止しており、前記複数の基板運搬装置を備える前記円形の配置は回転可能である、請求項1から3のいずれか一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項5】
少なくとも1つの前記第1のスパッタ堆積ステーションの前記第1のターゲットは、Fe、Ni、Coの群からの1つ以上の元素を含むかまたはその元素から成り、前記第2のターゲットは、Fe、Ni、Coの群の1つ以上の元素を含むかまたはその元素から成る、請求項1から4のいずれか一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項6】
少なくとも1つの前記スパッタ堆積ステーションの前記第1のターゲットは、Fe、Ni、Coの群の1つ以上の元素と、少なくとも1つの非強磁性元素とから成り、および/または、少なくとも1つの前記スパッタ堆積ステーションの前記第2のターゲットは、Fe、Ni、Coの群からの1つ以上の元素と、少なくとも1つの非強磁性元素とから成る、請求項1から5のいずれか一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの非強磁性元素は、周期系のIIIA族、IVB族、およびVB族(IUAPCの第13族、第4族、第5族に従う)からの少なくとも1つの元素である、請求項6に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項8】
少なくとも1つの前記スパッタ堆積ステーションの前記第1のターゲットは、Fe、Ni、Coの群の1つ以上の元素を含むかまたはその元素から成り、少なくとも1つの前記スパッタ堆積ステーションの前記第2のターゲットは、Fe、Ni、Coの群の1つ以上の元素を含むかまたはその元素から成り、前記装置は、少なくとも1つの前記第1のスパッタ堆積ステーションおよび/または少なくとも1つの前記第2のスパッタ堆積ステーションに隣接し、少なくとも1つの非強磁性元素のターゲットを有する少なくとも1つのさらなるスパッタ堆積ステーションをさらに備える、請求項1から7のいずれか1項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの非強磁性元素は、周期系のIIIA族、IVB族、およびVB族(IUAPCの第13族、第4族、第5族に従う)からの少なくとも1つの元素である、請求項8に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの非強磁性元素は、B、Ta、Zrの群からの少なくとも1つである、請求項7または9に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項11】
前記制御ユニットは、
-互いと直接的に後に続く前記少なくとも1回の360°を超える回転運動のうちの少なくとも一部について、前記軸に対して一定の角速度での連続的な相対回転のために、
-段階的な手法で、
-前記回転駆動部の相対回転の方向を逆にするように、
のうちの少なくとも1つの態様で、前記回転駆動部を制御するように構成されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項12】
前記制御ユニットは、それぞれ前記第1のスパッタ堆積ステーションおよび前記第2のスパッタ堆積ステーションの各々によって、それぞれの所望の厚さd1、d2の前記第1の材料および前記第2の材料の層をスパッタ堆積させるように、前記基板運搬装置の各々が少なくとも1つの前記第1のスパッタ堆積ステーションおよび少なくとも1つの前記第2のスパッタ堆積ステーションにそれぞれ暴露される暴露時間に依存して、少なくとも1つの前記第1のスパッタ堆積ステーションおよび少なくとも1つの前記第2のスパッタ堆積ステーションのスパッタリング出力を制御するように構成されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項13】
10nm≧(d1、d2)≧0.1nm、
5nm≧(d1、d2)≧0.1nm、
1nm≧(d1、d2)≧0.1nm、
0.5nm≧(d1、d2)≧0.1nm、
0.5nm≧(d1、d2)≧0.2nm
d1およびd2の少なくとも一方は1nm未満、
d1およびd2は等しい、
d1およびd2の少なくとも一方は1nm未満、
0.1nm≦(d1、d2)≦3nm、
0.3nm≦(d1、d2)≦2nm、
0.5nm≦(d1、d2)≦1.5nm、および
d1及びd2が1nm、
のうちの少なくとも1つが有効であるように制御される、請求項10に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項14】
少なくとも1つの前記第1のスパッタ堆積ステーションはFeCoBを堆積させるように構成され、少なくとも1つの前記第2のスパッタ堆積ステーションはCoTaZrを堆積させるように構成される、請求項12または13に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項15】
前記基板運搬装置は複数の回数にわたって前記第1のスパッタリングステーションと前記第2のスパッタリングステーションとを繰り返し通るように制御される、請求項12から14のいずれか一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項16】
処理ステーションの前記配置は少なくとも1つのさらなる層堆積ステーションを備え、前記制御ユニットは、少なくとも前記1回の360°を超える回転運動の間に連続的に堆積を行うように、前記さらなる層堆積ステーションを制御するように構成され、前記制御ユニットは、前記さらなる層堆積ステーションによって所望の厚さd3の層を堆積させるために、前記基板運搬装置の各々が前記さらなる層堆積ステーションに暴露される暴露時間に依存して、前記さらなる層堆積ステーションの材料堆積速度を制御するとさらに構成される、請求項1から15のいずれか一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項17】
前記所望の厚さd3について、
10nm≧(d3)≧0.1nm、および
5nm≧d3≧2nm
のうちの少なくとも一方が有効であるように制御される、請求項16に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項18】
少なくとも1つの前記第1のスパッタ堆積ステーションのうちの1を超える前記第1のスパッタ堆積ステーションおよび/または少なくとも1つの前記第2のスパッタ堆積ステーションのうちの1を超える前記第2のスパッタ堆積ステーションを備える、請求項1から17のいずれか一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項19】
少なくとも1つの前記第1のスパッタ堆積ステーションと少なくとも1つの前記第2のスパッタ堆積ステーションとは円形の前記内部空間に沿って相互に隣接するステーションの対である、請求項1から18のいずれか一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項20】
前記対を複数で備え、少なくとも1つの前記第1のスパッタ堆積ステーションと少なくとも1つの前記第2のスパッタ堆積ステーションとは交互に配置される、請求項19に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項21】
少なくとも1つの前記第1のスパッタ堆積ステーションおよび少なくとも1つの前記第2のスパッタ堆積ステーションは、さらなる層堆積ステーションを備える群のステーションであり、前記群のうちの前記層堆積ステーションは、円形の連続的な前記内部空間に沿って一方が他方に隣接して設けられ、前記群のうちの前記層堆積ステーションは、前記制御ユニットの制御によって同時に堆積活性化させられる、請求項1から20のいずれか一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項22】
2つ以上の前記群および/または異なる前記群を備える、請求項21に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項23】
基板処理ステーションの前記配置は、さらなる材料を前記基板運搬装置に向けてスパッタ堆積させるように構成された少なくとも1つのさらなるスパッタ堆積ステーションを備える、請求項1から22のいずれか一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項24】
前記さらなる材料は非磁性金属、金属合金、または誘電材料である、請求項23に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項25】
前記さらなる材料は、Alである、請求項24に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項26】
前記制御ユニットは、処理ステーションの前記配置のうちの前記ステーションのうちの選択されたものまたはすべてによって、前記複数の基板運搬装置にある前記基板の処理を制御可能に可能または不可能にするように構成される、請求項1から25のいずれか一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項27】
少なくとも1つの前記第1のスパッタ堆積ステーションおよび少なくとも1つの前記第2のスパッタ堆積ステーションのうちの少なくとも一方は、それぞれの前記ターゲットの下流にコリメータを備える、請求項1から26のいずれか一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項28】
少なくとも1つの前記第1のスパッタ堆積ステーションにある前記第1のターゲットおよび少なくとも1つの前記第2のスパッタ堆積ステーションにある前記第2のターゲットの一方はFex1Coy1のものであり、処理ステーションの前記配置は、前記1つのスパッタリングステーションに続いて隣接すると共にホウ素のターゲットを有するさらなるスパッタリングステーションを備え、x1+y1=100および20<y1<50が有効である、請求項1から27のいずれか一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項29】
少なくとも1つの前記第1のスパッタ堆積ステーションの前記第1のターゲットおよび少なくとも1つの前記第2のスパッタ堆積ステーションの前記第2のターゲットの少なくとも一方はFex2Coy2z2のものであり、ここで、x2+y2+z2=100である、請求項1から28のいずれか一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項30】
処理ステーションの前記配置は、誘電材料層を堆積させるように構成された少なくとも1つのさらなる層堆積ステーションを備える、請求項29に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項31】
少なくとも1つの前記第1のスパッタ堆積ステーションの前記第1のターゲットおよび少なくとも1つの前記第2のスパッタ堆積ステーションの前記第2のターゲットの少なくとも一方はNix3Fey3のものであり、ここで、x3+y3=100であり、50<y3<60または17.5<y3<22.5が有効である、請求項1から30のいずれか一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項32】
少なくとも1つの前記第1のスパッタ堆積ステーションの前記第1のターゲットはFex4Coy4のものであり、少なくとも1つの前記第2のスパッタ堆積ステーションの前記第2のターゲットはNix5Fey5のものであり、x4+y4=100と、x5+y5=100と、5<y4<20と、17.5<y5<22.5または50<y5<60とが有効である、請求項1に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項33】
少なくとも1つの第1のスパッタ堆積ステーションの前記第1のターゲットはFex6Coy6z6のものであり、少なくとも1つの前記第2のスパッタ堆積ステーションの前記第2のターゲットはCox7Tay7Zrz7のものであり、ここで、x6+y6+z6=100およびx7+y7+z7=100である、請求項1に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項34】
x6>y6
45≦x6≦60、
50≦x6≦55、
x6=52、
y6≧z6
20≦y6≦40、
25≦y6≦30、
y6=28、
x7>y7、
85≦x7≦95、
90≦x7≦93、
x7=91.5、
3≦y7≦6、
4≦y7≦5、
y7=4.5、
10≦z6≦30、
15≦z6≦25、
z6=20
2≦z7≦6、
3≦z7≦5、
z7=4、
のうちの少なくとも1つが有効である、請求項33に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項35】
前記制御ユニットは、少なくとも1つの前記第1のスパッタ堆積ステーションおよび少なくとも1つの前記第2のスパッタ堆積ステーションの各々と、可能であれば少なくとも1つのさらなる層堆積ステーションとによって、それへの基板暴露につき、
0.1nm≦d≦3nm
0.3nm≦d≦2nm
0.5nm≦d≦1.5nm
のうちの少なくとも1つが有効であるそれぞれ厚さdの層を堆積させるように、前記相対回転を、並びに/または、少なくとも前記第1のターゲットと前記第2のターゲットとに加えられる出力及び可能であれば処理ステーションの前記配置のうちのさらなる層堆積ステーションに加えられる出力を制御するように構成される、請求項1から34のいずれか一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項36】
前記第1の平面が、前記第2の平面と同じ平面である、請求項1から35のいずれか一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項37】
複数回の前記360°回転中に、複数の前記基板運搬装置を備える前記円形の配置が、少なくとも1つの前記第1のスパッタ堆積ステーションおよび少なくとも1つの前記第2のスパッタ堆積ステーションを通過するように制御される、請求項1から36のいずれか一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
【請求項38】
誘導デバイスのためのコアを有する基板を製造するまたはコアを備える誘導デバイスを製造する方法であって、前記コアは、スパッタリングによって堆積させられた薄い層を備え、前記薄い層の少なくとも一部は、請求項1から37のいずれか一項に記載の装置を用いて堆積させられる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
数GHzまでの非常に高い周波数において動作する、例えば変圧器、誘導コイルなどの、集積された誘導に基づくデバイスの小型化に対する要求がある。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1から、異なる軟磁性材料の複数の層を基板に堆積させることで、このようなデバイスを実現することが知られている。
【0003】
本発明は、少なくとも2つの軟磁性材料の非常に薄い層を積み重ねることによって、層の積層体の全体的な挙動が、高い周波数の磁気用途についての特性を向上させ、それによって基板における誘導マイクロデバイスの大きさをさらに縮小し、また、高い周波数の挙動を向上させるという結果をもたらすという認識から始まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7224254号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
産業用途にとって、軟磁性材料の非常に薄い層の効率的で良好に制御された積層体を堆積させるための技術が利用可能となるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これは、本発明による軟磁性材料多層堆積装置によって実現される。その軟磁性材料多層堆積装置は、軸の周りの円形の内部空間の真空輸送室を備える。それによって、「円形」という用語は、それぞれの円の多角形近似を含むとして理解されるものである。後述するように、円形の内部空間は、環状に成形され得る、または、円筒状であり得る。円形の内部空間の径方向の延在に対する軸方向の延在は、大きくてもよい、または、小さくてもよい。
【0007】
軸に対して垂直な平面に沿って、内部空間において、軸と同軸に、複数の基板運搬装置の円形の配置が設けられる。
【0008】
軸に対して垂直な平面に沿って、内部空間へと処理動作する基板処理ステーションの円形の配置が設けられる。
【0009】
複数の基板運搬装置の円形の配置と、処理ステーションの円形の配置との間に相対回転を確立するように、複数の基板運搬装置の円形の配置と、処理ステーションの円形の配置との間で動作可能に結合される回転駆動部がさらに設けられる。
【0010】
複数の基板運搬装置の円形の配置と、処理ステーションの円形の配置とは相互に並べられる。それらの円形の配置は、軸に対して垂直な共通の平面に沿って設けられるとして並べられるか、または、2つの円形の配置が軸に対して等しい半径の円に沿って配置されることで並べられるかのいずれかである。
【0011】
各々の基板運搬装置は、2つの円形の配置の相対回転が回転駆動部によって確立されるため、装置によって処理される基板の各々の延在表面のうちの1つが処理ステーションの配置のうちのステーションを続いて向くように、基板を収容すると解釈される。
【0012】
層積層体の堆積およびその全体の構造の特定の技術に依存して、処理ステーションの配置は、例えば、導電性材料または誘電材料の反応性または非反応性のスパッタ堆積、エッチングステーションなどについて、異なる層堆積ステーションを備えてもよい。
【0013】
明確には、本発明によれば、基板処理ステーションの配置は、各々が単一のターゲットを伴う少なくとも1つの第1のスパッタ堆積ステーションおよび少なくとも1つの第2のスパッタ堆積ステーションを備える。
【0014】
第1のスパッタ堆積ステーションは、第1の軟磁性材料の第1のターゲットを有する。したがって、非常に薄い層として基板に堆積させられる第1の軟磁性材料は、固体の単一のターゲットから非反応性でスパッタされる。第1のターゲットが、例えば2つ以上の強磁性元素といった混合材料のものである場合、および/または、1つ以上の非強磁性元素を含む場合、単一のターゲットの固体からのスパッタ堆積は、堆積させられた第1の材料の化学量論の非常に正確な制御と、経時的なその化学量論の正確な安定性の非常に正確な制御とを可能にする。スパッタリングに対するこの第1の軟磁性材料の特性に依存して、DC、HIPIMSを含むパルスDC、またはRfの単一または複数の周波数が供給されるスパッタリングが適用される。
【0015】
第2のスパッタ堆積ステーションは、第1の軟磁性材料と異なる第2の軟磁性材料のターゲットを有する。
【0016】
ほとんどの一般的な態様のもとで、「異なる」とは、同じ材料組成であるが異なる化学量論を伴うことを意味することもあることに留意されたい。
【0017】
非常に薄い層として基板に堆積させられる第2の軟磁性材料も、単一のターゲットの固体から非反応性でスパッタされる。第2のターゲットが、例えば2つ以上の強磁性元素といった混合材料のものである場合、および/または、1つ以上の非強磁性元素を含む場合、単一のターゲットの固体からのスパッタ堆積は、堆積させられた第2の材料の化学量論の非常に正確な制御と、経時的なその化学量論の正確な安定性の非常に正確な制御とを可能にする。スパッタリングに対するこの第2の軟磁性材料の特性に依存して、DC、HIPIMSを含むパルスDC、またはRfの単一または複数の周波数が供給されるスパッタリングが適用される。
【0018】
装置は、処理ステーションの配置のうちのステーションと、回転駆動部とに動作可能に結合される制御ユニットをさらに備える。制御ユニットは、上記軸の周りでの処理ステーションの円形の配置に対する複数の基板運搬装置の円形の配置の少なくとも1回の360°を超える相対回転運動の間に、前記基板運搬装置に向けて連続的なスパッタ堆積を可能とさせるように、第1のスパッタ堆積ステーションおよび第2のスパッタ堆積ステーションを制御すると解釈され、上記回転運動は互いに直接的に連続する。
【0019】
したがって、少なくとも第1のスパッタ堆積ステーションおよび第2のスパッタ堆積ステーションのスパッタ動作と、複数の基板運搬装置の配置に向けてのそれぞれのスパッタリングとは、処理ステーションの配置に対する複数の基板運搬装置の配置の1回を超える相対回転運動の間に妨げられない。それによって、スパッタリング効果の任意の過渡的な状態は、スパッタ堆積を間欠的に可能および不可能にすることで行われ得るため回避される。
【0020】
本発明による装置の一実施形態では、円形の内部空間は環状であり、前記複数の基板運搬装置の配置または処理ステーションの配置は、環状の径方向外側の円形の表面、または、環状の内部空間の上面もしくは下面に備え付けられる。
【0021】
本発明による装置の一実施形態では、円形の内部空間は環状であり、前記複数の基板運搬装置の配置または処理ステーションの前記配置は、前記環状の内部空間の径方向内側の円形の表面に備え付けられる。
【0022】
本発明による装置の一実施形態では、円形の内部空間は円筒状であり、複数の基板運搬装置の配置または処理ステーションの配置は、円筒状の内部空間の周囲表面である円形の表面、または、円筒状の内部空間の下面もしくは上面に備え付けられる。
【0023】
本発明による装置の一実施形態では、処理ステーションの配置は静止しており、複数の基板運搬装置の配置は回転可能である。それでもなお、複数の基板運搬装置の配置を静止したままにし、処理ステーションの配置を回転させることも可能である。
【0024】
本発明による装置の一実施形態では、第1のターゲットは、Fe、Ni、Coの群の元素のうちの1つ以上を含むかまたはその元素から成り、第2のターゲットは、Fe、Ni、Coの群からの1つ以上の元素を含むかまたはその元素から成る。
【0025】
本発明による2つのターゲット材料は異なることに留意されたい。
【0026】
したがって、2つのターゲットが上記元素のうちの1つだけから各々成る場合、ターゲットは上記群からの異なる元素のものである。
【0027】
それらターゲットは、上記元素のうちの2つから各々成る場合、上記群のうちの異なる組み合わせから成る、または、異なる化学量論における上記群のうちの同じ組み合わせから成る。
【0028】
それらターゲットは、上記群のすべての3つの元素から成る場合、化学量論に関して異なる。
【0029】
本発明による装置の一実施形態では、第1のターゲットは、Fe、Ni、Coの群からの1つ以上の元素と、少なくとも1つの非強磁性元素とから成り、および/または、第2のターゲットは、Fe、Ni、Coの群からの1つ以上の元素と、少なくとも1つの非強磁性元素とから成る。
【0030】
したがって、第1のターゲットおよび第2のターゲットの材料の違いは、異なる化学量論に正に基づいた違いを含め、上述した1つ以上の強磁性元素の違い、および/または、1つ以上の非強磁性元素に対する違いに基づき得る。
【0031】
本発明による装置の一実施形態では、上述した少なくとも1つの非強磁性元素は、周期系のIIIA族、IVB族、およびVB族(IUAPCの第13族、第4族、第5族に従う)からの少なくとも1つの元素である。
【0032】
本発明による装置の一実施形態では、上述した少なくとも1つの非強磁性元素は、B、Ta、Zrの群からの少なくとも1つである。
【0033】
本発明による装置の一実施形態では、第1のターゲットは、Fe、Ni、Coの群の1つ以上の元素を含むかまたはその元素から成り、第2のターゲットは、Fe、Ni、Coの群の1つ以上の元素を含むかまたはその元素から成り、装置は、第1のスパッタ堆積ステーションおよび/または第2のスパッタ堆積ステーションに隣接し、少なくとも1つの非強磁性元素のターゲットを有する少なくとも1つのさらなるスパッタ堆積ステーションをさらに備える。
【0034】
上述した実施形態の一実施形態では、さらなるスパッタ堆積ステーションのターゲットの少なくとも1つの非強磁性元素は、周期系のIIIA族、IVB族、およびVB族(IUAPCの第13族、第4族、第5族に従う)からの少なくとも1つの元素である。
【0035】
上述した実施形態の一実施形態では、少なくとも1つの非強磁性元素は、B、Ta、Zrの群からの少なくとも1つである。
【0036】
上記軸の周りでの処理ステーションの配置に対する複数の基板運搬装置の配置の1回の360°を超える相対回転運動の間に、基板は、少なくとも第1の軟磁性材料および第2の軟磁性材料の非常に薄い層で2回以上被覆される。基板処理ステーションの配置が、第1のスパッタ堆積ステーションと第2のスパッタ堆積ステーションとの間に、スパッタリングステーションとも呼ばれる追加の処理ステーションを備えない場合、または、このような追加の処理ステーションによる基板処理が、上記回転運動の間に不可能とされる場合、第1の軟磁性材料および第2の軟磁性材料の非常に薄い層は一方が他方の上に直接的に堆積させられる。
【0037】
さらに、処理ステーションの配置が、上記回転運動の間に処理可能とされるさらなる処理ステーションを備えない場合、第1の軟磁性材料の層と第2の軟磁性材料の層との積層体が基板において実現される。積層体の非常に薄い層の数は、360°の相対回転運動の数によって支配される。明確には、2つ以上の第1のスパッタ堆積ステーションと、2つ以上の第2のスパッタ堆積ステーションとが処理ステーションの配置に設けられてもよく、それによって、3つ以上の第1の軟磁性材料および第2の軟磁性材料の層が、360°の回転運動あたり、一方が他方の上に直接的に、または、少なくとも1つの非常に薄い層によって分離して、基板に堆積させられ、処理ステーションの配置の少なくとも1つのさらなる層堆積ステーションによって堆積させられ、1回の360°を超える相対回転運動の間にも堆積可能とされる。
【0038】
上記1回の360°を超える回転運動あたり、上述したような第1の強磁性ターゲット材料および/または第2の強磁性ターゲット材料の1つのそれぞれの非常に薄い層を堆積させることにすぐに続いて、非強磁性材料の非常に薄い層が、第1のスパッタ堆積ステーションおよび第2のスパッタ堆積ステーションのように堆積可能とさせられるさらなるスパッタ堆積ステーションによって堆積させられてもよい。
【0039】
本発明による装置の一実施形態では、制御ユニットは、回転駆動部を制御し、延いては、処理ステーションの配置に対する複数の基板運搬装置の配置の相対回転を段階的な手法で制御すると解釈される。
【0040】
本発明による装置の一実施形態では、制御ユニットは、回転駆動部を制御し、延いては、互いと直接的に後に続く前記1回の360°を超える回転運動のうちの少なくとも一部について、前記軸に対して一定の角速度での連続的な相対回転のために、処理ステーションの配置に対する複数の基板運搬装置の配置の相対回転を制御すると解釈される。
【0041】
したがって、これらの相対回転運動のうちの1回は、第1の一定の角速度で実施され、別の回は異なる一定の速度で実施され得る。少なくとも、上記軸の周りでの複数の基板運搬装置の配置の直接的に後に続く1回の360°を超える相対回転運動の間、連続的にスパッタを行うために第1のスパッタ堆積ステーションおよび第2のスパッタ堆積ステーションを制御することと組み合わされて、過渡的な挙動を制御するのが難しい堆積は回避される。
【0042】
本発明による装置の一実施形態では、制御ユニットは、それぞれ第1のスパッタ堆積ステーションおよび第2のスパッタ堆積ステーションの各々によって、それぞれの所望の厚さd、dの前記第1の材料および前記第2の材料の層をスパッタ堆積させるように、前記基板運搬装置の各々が前記第1のスパッタ堆積ステーションおよび前記第2のスパッタ堆積ステーションにそれぞれ暴露される暴露時間に依存して、少なくとも前記第1のスパッタ堆積ステーションおよび前記第2のスパッタ堆積ステーションのスパッタリング出力を制御すると解釈される。
【0043】
上述した実施形態の一実施形態では、制御ユニットは、
10nm≧(d、d)≧0.1nm
が有効であるように制御を実施すると解釈される。
【0044】
一実施形態では、制御ユニットは、
5nm≧(d、d)≧0.1nm
が有効であるように制御を実施すると解釈される。
【0045】
一実施形態では、制御ユニットは、
1nm≧(d、d)≧0.1nm
が有効であるように制御を実施すると解釈される。
【0046】
一実施形態では、制御ユニットは、
0.5nm≧(d、d)≧0.1nm
または
0.5nm≧(d、d)≧0.2nm
が有効であるように制御を実施すると解釈される。
【0047】
一実施形態では、制御ユニットは、厚さdとdとが等しくなるように制御を実施すると解釈される。
【0048】
一実施形態では、制御ユニットは、dとdとは1nmとなるように制御を実施すると解釈される。
【0049】
一実施形態では、制御ユニットは、dおよびdの少なくとも一方が1nm未満となるように制御を実施すると解釈される。
【0050】
一実施形態では、制御ユニットは、
0.1nm≦(d、d)≦3nm、
0.3nm≦(d、d)≦2nm、
0.5nm≦(d、d)≦1.5nm
のうちの少なくとも1つが有効となるように制御を実施すると解釈される。
【0051】
一実施形態では、制御ユニットは、第1の層と第2の層とは一方が他方の上に直接的に位置するように制御を実施すると解釈される。
【0052】
一実施形態では、第1のスパッタリングステーションはFeCoBを堆積させるように構成され、第2のスパッタリングステーションはCoTaZrを堆積させるように構成される。
【0053】
一実施形態では、制御ユニットは、基板運搬装置が複数の回数にわたって第1のスパッタリングステーションと第2のスパッタリングステーションとを繰り返し通るように制御を実施すると解釈される。
【0054】
本発明による装置の一実施形態では、処理ステーションの配置は、少なくとも1つのさらなる層堆積ステーションを備える。制御ユニットは、一方において、少なくとも1回の360°を超える回転運動の間に連続的に堆積させるようにさらなる層堆積ステーションを制御すると解釈される。制御ユニットは、さらなる層堆積ステーションによって、所望の厚さdの層が堆積させられるように、基板運搬装置の各々がさらなる層堆積ステーションに暴露される暴露時間に依存して、さらなる層堆積ステーションの材料堆積速度を制御するとさらに解釈される。それによって、良好な実施形態では、上記さらなる層堆積ステーションは、上述したような非強磁性材料または元素のためのスパッタ堆積ステーションである。
【0055】
本発明による装置の一実施形態では、制御ユニットは、所望の厚さdについて、
10nm≧(d)≧0.1nm
が有効であるように制御を実施すると解釈される。
【0056】
それによって、一実施形態では、制御ユニットは、
5nm≧d≧2nm
が有効であるように制御を実施すると解釈される。
【0057】
本発明による装置の一実施形態では、装置は、2つ以上の第1のスパッタ堆積ステーションを備える。
【0058】
本発明による装置の一実施形態では、装置は、2つ以上の第2のスパッタ堆積ステーションを備える。
【0059】
本発明による装置の一実施形態では、第1のスパッタ堆積ステーションと第2のスパッタ堆積ステーションとは真空輸送室の内部空間に沿って隣接するステーションの対である。
【0060】
本発明による装置の一実施形態では、上述した対を複数で備え、第1のスパッタ堆積ステーションと第2のスパッタ堆積ステーションとは交互に配置される。
【0061】
本発明による装置の一実施形態では、第1のスパッタ堆積ステーションおよび第2のスパッタ堆積ステーションは、3つ以上の層堆積ステーションの群のうちの2つのステーションであり、群のうちの層堆積ステーションは、内部空間に沿って一方が他方に隣接して設けられ、群のうちのステーションは、制御ユニットの制御によって同時に堆積活性化させられる。
【0062】
したがって、処理ステーションの配置に対する複数の基板運搬装置の配置の相対回転の1つの方向を考慮して、第1のスパッタ堆積ステーションのすぐ前に、および/または、第1のスパッタ堆積ステーションと第2のスパッタ堆積ステーションとの間に、および/または、第2のスパッタ堆積ステーションのすぐ後に、例えば1つのさらなる層堆積ステーションが設けられてもよい。群のうちのすべてのステーション部材が、制御ユニットによって制御されるように、同時に堆積活性化させられる。
【0063】
本発明による装置の一実施形態では、装置は、2つ以上の群を備える、および/または、異なる群を備える。
【0064】
したがって、例えば、3つのステーションの複数の群、および/または、異なる数のステーションを伴う群、および/または、異なるステーションを伴う群が、設けられてもよい。
【0065】
本発明による装置の一実施形態では、基板処理ステーションの配置は、さらなる材料を、基板もしくは基板保持体にスパッタ堆積させる、または、基板もしくは基板保持体に向けてスパッタ堆積させると解釈される少なくとも1つのさらなるスパッタ堆積ステーションを備える。
【0066】
本発明による装置の一実施形態では、上記材料は、非磁性金属、非磁性金属合金、または誘電材料である。
【0067】
誘電材料は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化タンタル、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、またはそれらのそれぞれの炭化物、オキシカーバイド、ニトロカーバイドなどがあり得る。
【0068】
本発明による装置の一実施形態では、制御ユニットは、前記処理ステーションのうちの選択されたものまたはすべてによって、基板の処理を制御可能に可能または不可能にすると解釈される。第1のスパッタ堆積ステーションおよび第2のスパッタ堆積ステーションを含む基板処理ステーションの配置のうちの処理ステーションの選択された不可能は、例えば、基板を装置に載せるために、および/または、基板を装置から降ろすために、適用されてもよく、それによって、すべての基板の全体の処理を等しく維持する。
【0069】
基板処理をそれぞれのステーションによって可能および不可能にすることは、ステーションから基板運搬装置への処理接続を閉鎖または開放するシャッタによって、および/または、それぞれのステーションへの電力供給をスイッチオンおよびスイッチオフすることによって、実施されてもよい。シャッタを使用することは、過渡的な挙動を切り替えることを回避する。
【0070】
本発明による装置の一実施形態では、制御ユニットは、互いと直接的に後に続く前記1回の360°を超える相対回転運動のうちの少なくとも1回について、軸に対して一定の角速度での連続的な相対回転のために回転駆動部を制御すると、および、回転駆動部の回転運動の方向を逆にすると、解釈される。処理ステーションの配置に対する複数の基板運搬装置の配置の相対的な回転または回転運動の方向を逆にすることで、層堆積は均一化され得る。
【0071】
本発明による装置の一実施形態では、第1のスパッタ堆積ステーションおよび第2のスパッタ堆積ステーションの少なくとも一方は、それぞれのターゲットの下流にコリメータを備える。このようなコリメータによって、所望の微細構造が、所望の磁気特性をもたらす非常に薄い層にもたらされ得る。
【0072】
本発明による装置の一実施形態では、第1のターゲットおよび第2のターゲットの一方はFex1Coy1のものであり、処理ステーションの配置は、1つのスパッタリングステーションに続いて連なって隣接すると共にホウ素のターゲットを有するさらなるスパッタリングステーションを備える。さらなるスパッタリングステーションは、1つのスパッタリングステーションと同じ時間の間に堆積可能とされるように制御ユニットによって制御され、x1+y1=100および20<y1<50が有効である。
【0073】
本発明による装置の一実施形態では、第1のターゲットおよび第2のターゲットの一方はCoのものである。処理ステーションの配置は、1つのスパッタリングステーションに続いて隣接すると共にTaおよびZrのターゲットをそれぞれ有する少なくとも2つのさらなるスパッタリングステーションを備える。さらなるスパッタリングステーションは、1つのスパッタリングステーションと同じ時間の間に堆積可能とされるように制御ユニットによって制御される。
【0074】
本発明による装置の一実施形態では、第1のターゲットおよび第2のターゲットの少なくとも一方はFex2Coy2z2のものであり、ここで、x2+y2+z2=100である。
【0075】
上述した実施形態の一実施形態では、処理ステーションの配置は、誘電材料層を堆積させると解釈される少なくとも1つのさらなる層堆積ステーションを備える。
【0076】
本発明による装置の一実施形態では、第1のターゲットおよび第2のターゲットの少なくとも一方はNix3Fey3のものであり、ここで、x3+y3=100であり、50<y3<60または17.5<y3<22.5が有効である。
【0077】
本発明による装置の一実施形態では、第1のターゲットはFex4Coy4のものであり、第2のターゲットはNix5Fey5のものであり、x4+y4=100と、x5+y5=100と、5<y4<20と、17.5<y5<22.5または50<y5<60とが有効である。
【0078】
本発明による装置の一実施形態では、第1のターゲットはFex6Coy6z6から成り、第2のターゲットはCox7Tay7Zrz7から成り、ここで、x6+y6+z6=100およびx7+y7+z7=100である。
【0079】
上述した実施形態の一実施形態では、
x6>y6
が有効である。
【0080】
上述したような本発明による装置の一実施形態では、
y6≧z6
が有効である。
【0081】
上述したような本発明による装置の一実施形態では、
x7>y7
が有効である。
【0082】
上述したような本発明による装置の一実施形態では、
y7≧z7
が有効である。
【0083】
上述したような本発明による装置の一実施形態では、
45≦x6≦60、
50≦x6≦55、
x6=52、
20≦y6≦40、
25≦y6≦30、
y6=28、
10≦z6≦30、
15≦z6≦25、
z6=20
のうちの少なくとも1つ以上が有効である。
【0084】
上述したような本発明による装置の一実施形態では、
85≦x7≦95、
90≦x7≦93、
x7=91.5、
3≦y7≦6、
4≦y7≦5、
y7=4.5、
2≦z7≦6、
3≦z7≦5、
z7=4
のうちの少なくとも1つ以上が有効である。
【0085】
本発明による装置の一実施形態では、制御ユニットは、前記第1のスパッタ堆積ステーションおよび前記第2のスパッタ堆積ステーションの各々と、可能であれば少なくとも1つのさらなる層堆積ステーションとによって、それへの基板暴露につき、
0.1nm≦d≦3nm
0.3nm≦d≦2nm
0.5nm≦d≦1.5nm
のうちの少なくとも1つが有効であるそれぞれ厚さdの層を堆積させるように、相対回転を、および/または、少なくとも第1のターゲットと第2のターゲットとに加えられる出力と、可能であれば処理ステーションの配置のうちのさらなる層堆積ステーションに加えられる出力とを制御すると解釈される。
【0086】
上述したような、本発明による装置の2つ以上の実施形態は、矛盾していない場合には組み合わされてもよい。
【0087】
本発明は、コアを備える誘導デバイスを伴う基板を製造する方法であって、コアは、スパッタリングによって堆積させられた薄い層を備え、薄い層の少なくとも一部は、本発明による装置を用いて、または、この装置の上記実施形態の1つ以上によって堆積させられる、方法にさらに向けられている。
【0088】
本発明は、誘導デバイスのためのコアを伴う基板を製造する方法であって、コアは、スパッタリングによって堆積させられた薄い層を備え、薄い層の少なくとも一部は、本発明による装置を用いて、または、この装置の上記実施形態の1つ以上によって堆積させられる、方法にさらに向けられている。
【0089】
本発明は、第1の軟磁性材料の第1の層と第2の軟磁性材料の第2の層とを備える軟磁性多層積層体であって、第2の軟磁性材料は第1の軟磁性材料と異なり、第1の層は厚さdを各々有し、第2の層は厚さdを各々有し、
5nm≧(d、d)≧0.1nm
が有効である、軟磁性多層積層体にさらに向けられている。
【0090】
それによって、厚さdおよびdは、dおよびdについての上記範囲内で、個々の層ごとで異なってもよい。
【0091】
本発明による軟磁性多層積層体の一実施形態では、
1nm≧(d、d)≧0.1nm
が有効である。
【0092】
本発明による軟磁性多層積層体の一実施形態では、
0.1nm≦(d、d)≦3nm、
0.3nm≦(d、d)≦2nm、
0.5nm≦(d、d)≦1.5nm
のうちの少なくとも1つが有効である。
【0093】
本発明による軟磁性多層積層体の一実施形態では、
0.5nm≧(d、d)≧0.1nm
または
0.5nm≧(d、d)≧0.2nm
が有効である。
【0094】
本発明による軟磁性多層積層体の一実施形態では、厚さdとdとは等しい。
【0095】
本発明による軟磁性多層積層体の一実施形態では、dとdとは1nmである。
【0096】
本発明による軟磁性多層積層体の一実施形態では、dおよびdの少なくとも一方は1nmより小さい。
【0097】
本発明による軟磁性多層積層体の一実施形態では、第1の層と第2の層とは一方が他方の上に直接的に位置する。
【0098】
本発明による軟磁性多層積層体の一実施形態では、第1の層はFeCoBのものであり、第2の層はCoTaZrのものである。
【0099】
本発明による軟磁性多層積層体の一実施形態では、第1の層と第2の層とは一方が他方の上に直接的に位置し、積層体は複数の第1の層および第2の層を備え、その複数は非強磁性材料の層によって覆われる。
【0100】
一実施形態では、上記非強磁性材料はAlOである。
【0101】
一実施形態では、軟磁性多層は、2つ以上の上記複数を備え、それらの間に非強磁性材料の少なくとも1つのそれぞれの層を伴う。
【0102】
本発明は、
・ 複数のFeCoB層と、
・ 複数のCoTaZr層と
を備え、
・ FeCoBの層は、交互の手法で、CoTaZrの層に直接的に位置し、
共通の複数のFeCoB層およびCoTaZr層はAlOの層によって覆われる、軟磁性多層にさらに向けられている。
【0103】
上述したような本発明による軟磁性多層積層体の一実施形態では、FeCoBの層は厚さdを有し、CoTaZrの層は厚さdを有し、dとdとは等しい。
【0104】
上述したような本発明による軟磁性多層積層体の一実施形態では、
0.1nm≦(d、d)≦3nm、
0.3nm≦(d、d)≦2nm、
0.5nm≦(d、d)≦1.5nm
のうちの少なくとも1つが有効である。
【0105】
上述したような本発明による軟磁性多層積層体の一実施形態では、dおよびdは0.2nmまでで1nmより小さい。
【0106】
本発明は、コアが、本発明による、または、本発明の1つ以上の実施形態による少なくとも1つの軟磁性複層を備える、誘導デバイスのためのコアまたはコアを伴う誘導デバイスにさらに向けられる。
【0107】
矛盾しない場合、本発明による磁気複層の実施形態のうちの1つ以上が、それぞれの実施形態のうちの1つ以上と組み合わされ得ることに留意されたい。
【0108】
本発明は先の記載から当業者には既に明らかであるが、ここで、本発明は図を用いて追加的に例示される。
【図面の簡単な説明】
【0109】
図1】本発明による装置の概略的で単純化された実施形態の図である。
図2図1による装置の描写から離れて、本発明による装置のさらなる実施形態の輸送室および基板処理ステーションの配置の図である。
図3】本発明による装置を動作させ、それによって本発明による方法の例を実施する例としてステップ(a)~(e)を動作させる順番の図である。
図4】本発明による装置のさらなる実施形態による、複数の基板運搬装置の配置および基板処理ステーションの配置の概略的で単純化された異なる機械的な概念の図である。
図5】本発明による装置の実施形態における処理ステーションのさらなる配置の例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0110】
図1は、本発明による軟磁性材料多層堆積装置の最も概略的で単純化された実施形態を示している。装置1は、ポンプ手段5によってポンピングされる真空輸送室3を備える。真空輸送室3は、軸AXの周りで円筒状である円筒状内部空間7を有する。真空輸送室3の内部空間7と同軸で、内部空間7において、回転可能に装着された円筒状の輸送回転装置9が設けられている。図1の図の平面と一致し、軸AXに対して垂直である平面Eに沿って、輸送回転装置9の周辺に沿って均等に分配された複数の基板運搬装置11の配置16が設けられている。基板運搬装置11の各々は、基板13の各々の延在表面13のうちの一方が、図1の実施形態では、円筒状内部空間7の円筒状表面7を向くように、基板13を所定位置で受け入れて保持するように構成されている。
【0111】
なおも図1の実施形態によれば、内部空間7の円筒状表面7に沿って、基板処理ステーションの配置15が設けられている。図1では、これらの基板処理ステーションのうちの2つが、符号17Aおよび17Bで図示されて示されている。上記配置15の基板処理ステーションは、処理可能とされるときに基板13の表面13を処理するように、基板運搬装置11の軌道経路の方を向く。
【0112】
回転駆動部19が、軸AXの周りで輸送回転装置9を回転させるように輸送回転装置9に動作可能に結合されている。それによって、基板13が載せられた複数の基板運搬装置11の配置16は、配置15のそれぞれの処理ステーションの処理領域を通過する。
【0113】
したがって、処理ステーションの配置15に対する複数の基板運搬装置11の配置16の相対回転が確立される。
【0114】
処理ステーションの配置15は、第1のスパッタ堆積ステーション17Aおよび第2のスパッタ堆積ステーション17Bを備える、または、最小の構成であっても、第1のスパッタ堆積ステーション17Aおよび第2のスパッタ堆積ステーション17Bから成る。第1のスパッタ堆積ステーション17Aは、基板13における層材料として堆積させられる第1の軟磁性材料から成る第1のスパッタリングターゲットTを有する。この第1のターゲット材料は、図1においてMによって示されている。材料Mは、強磁性元素Fe、Co、Niのうちの1つ以上から成ることができ、または、これらの元素のうちの1つ以上の他に、非強磁性元素のうちの1つ以上を含んでもよい。このような少なくとも1つの非強磁性元素は、周期系のIIIA族、IVB族、およびVB族(IUAPCの第13族、第4族、第5族に従う)からの1つ以上の元素とでき、それによって、特にはB、Ta、Zrの群からの1つ以上の元素とできる。
【0115】
第2のスパッタ堆積ステーション17Bは、基板13において層材料として堆積させられ、第1のスパッタリングステーション17AのターゲットTの軟磁性材料Mと異なる第2の軟磁性材料Mから成る第2のターゲットTを備える。材料Mは、強磁性元素Fe、Co、Niのうちの1つ以上から成ることができ、または、これらの元素のうちの1つ以上の他に、非強磁性元素のうちの1つ以上を含んでもよい。このような少なくとも1つの非強磁性元素は、周期系のIIIA族、IVB族、およびVB族(IUAPCの第13族、第4族、第5族に従う)からの1つ以上の元素とでき、それによって、特にはB、Ta、Zrの群からの1つ以上の元素とできる。
【0116】
したがって、これらの2つのスパッタリングステーション17Aおよび17Bにおいて、非反応性のスパッタ堆積が実施され、基板13に堆積させられる材料は、それぞれのターゲットT、Tの固体材料である。それによって、Mおよび/またはMが2つ以上の元素の材料である場合、基板13の延在表面13に堆積させられる材料の経時的な化学量論および化学量論の恒常性が正確に決定される。
【0117】
スパッタリングステーション17Aおよび17Bは、それぞれの供給ユニット21Aおよび21Bによって電気的に供給される。ターゲット材料MおよびMに依存して、供給ユニット21Aおよび21Bは、単一または複数の周波数の電気供給のためのDC、HIPIMSを含むパルスDCの供給ユニット、またはRfの供給ユニットである。両方の材料MおよびMを堆積させるために、等しくまたは選択的のいずれかで、複数の基板運搬装置11の配置16のうちの基板運搬装置11を電気的にバイアスすることも可能である(図示されていない)。図1の実施形態では、これは、バイアス供給源から輸送回転装置9を介して基板運搬装置11へのそれぞれの電気接続を必要とする。
【0118】
装置1は制御ユニット23をさらに備える。制御ユニット23は、一方で、回転駆動部19を制御し、延いては輸送回転装置9の相対回転移動を制御し、他方で、スパッタ堆積ステーション17Aおよび17Bの処理の可能化および不可能化を制御する。それによって、制御ユニット23は、軸AXの周りでの処理ステーションの配置15に対する複数の基板運搬装置11の配置16の直接的に後に続く1回の360°を超える相対回転運動の間、基板運搬装置11に向けて、延いては基板13へと、ターゲット材料をスパッタ堆積させることに関して、スパッタ堆積ステーション17Aおよび17Bを堆積可能にさせたままにすると解釈される。スパッタ堆積ステーション17Aおよび17Bが堆積可能にされる間の回転運動の数は、基板13の延在表面13oへの積層体として堆積させられる材料MおよびMの薄い層の数に依存する。スパッタ堆積ステーション17Aおよび17Bが堆積可能にされる間の上記1回の360°を超える相対回転運動は、互いと直接的に後に続く。
【0119】
基板13を、例えば二方向の搭載固定配置25を介してといった、図1に概略的に示したように、装置へとであって、図1の実施形態によれば輸送回転装置9へと、載せるために、および、降ろすために、制御ユニット23は、基板13のそれぞれの処理を選択的に不可能にするために、スパッタ堆積ステーション17Aおよび17Bを含む処理ステーションの配置15を追加的に制御する。これは、ここでは符号21Aおよび21Bであるそれぞれの電気供給ユニットを不可能にすること、または、それぞれのシャッタ(図示せず)をそれぞれ閉じるおよび開けることのいずれかで実現でき、それによって、それぞれのステーションによる基板処理を中断させることができる。これは、装置1によって処理されるすべての基板13が、装置に載せられることと、装置から降ろされることとの間で等しく処理されるべきであるという事実を特に念頭に置いている。
【0120】
良好な実施形態において、特には材料MおよびMの非常に薄い層を堆積させる目的を考慮して、図1において矢印Ωによって段階的なステップで上述した、図1によれば、輸送回転装置9における軸AXの周りでの、複数の基板運搬装置11の配置16の相対回転移動を実施することが完全に可能である一方で、制御ユニットは、互いと直接的に後に続く上記1回の360°を超える相対回転運動の少なくとも一部の間、軸AXに対する一定の角速度での連続的な相対回転のために、回転駆動部19を制御する。図1によれば、輸送回転装置9のこのような連続的な一定の速度の相対回転によって、相対回転の停止および進行によって引き起こされ得るさらなる過渡的な状態が回避される。スパッタ堆積ステーション17Aおよび17Bによる非常に薄い層のスパッタ堆積のためのほとんど制御することができない過渡的な状態を回避することは、このような堆積の制御性を向上させる。これは、基板処理ステーションの配置15の、可能であれば提供されるさらなる層堆積ステーションによる基板への層堆積についても有効である。
【0121】
良好な実施形態による、輸送回転装置9が、1回の360°を超える中断のない相対回転運動の少なくとも一部の間、軸AXの周りで一定の相対的な角速度で相対的に回転するために、回転駆動部19および制御ユニット23を介して制御される場合、基板13の表面13において、特にはスパッタ堆積ステーション17Aおよび17Bによって堆積させられる各々の非常に薄い層の厚さは、それぞれのスパッタリングステーション17Aおよび17Bが供給ユニット21Aおよび21Bによって供給される出力によって制御され、実際には、それぞれの堆積速度によって、つまり、単位時間あたりに堆積させられる材料の量によって、制御されることになる。したがって、制御ユニット23は、一方では、処理ステーションの配置15に対する複数の基板運搬装置11の配置16の一定の相対回転速度に依存して、他方では、材料Mについての望ましい非常に小さい層の厚さdと、材料Mについての望ましい非常に小さい層の厚さdとに依存して、それぞれの供給ユニット21Aおよび21Bによってそれぞれのスパッタ堆積ステーション17Aおよび17Bに送られる出力を制御すると解釈される。
【0122】
処理ステーションの配置15が、第1のスパッタ堆積ステーション17Aおよび第2のスパッタ堆積ステーション17Bと同じ時間の間に堆積可能にされるさらなる層堆積ステーションを備える場合、同じことが実施される。このようなさらなるステーションの堆積速度も、上述したような一定の相対回転速度に依存して、他方で、このようなさらなる層堆積ステーションによって堆積させられる所望の非常に小さい層の厚さに依存して、制御ユニット23によって制御される。
【0123】
本発明による、図1において例示されたような装置によって実現される、それぞれの材料MおよびMと、可能であればさらなる材料のd、dを含む厚さdは、上述されており、複数回の360°の回転運動のための一定の相対回転速度についての制御ユニット23と、図1の21Aおよび21Bの供給ユニットの、ユニット23によるそれぞれの制御とによって制御される。
【0124】
図1の輸送回転装置9におけるような複数の基板運搬装置11の配置16が、処理ステーションの配置15に対して段階的なステップで相対回転させられる場合、スパッタ堆積ステーション17Aおよび17Bを含む配置15の処理ステーションは、各々の段階的な相対回転において、基板運搬装置11が処理ステーションのうちの1つと良好に並べられることになることを確実にするために、基板運搬装置11の相互の角度的な空間に対して等しく角度的に離間されなければならない。
【0125】
上記相対回転が回転駆動部19によって駆動され、一定の相対角速度回転のために制御ユニット23によって制御される場合、配置15の処理ステーション同士の角度的な間隔は、例えば輸送回転装置9に沿って、基板運搬装置11の相互の角度的な間隔に適合される必要がない。
【0126】
相対回転が、2回以上の360°の後に続く相対回転運動のために連続的となるように、制御ユニット23によって回転駆動部19を介して制御される場合、非常に薄い層の結果生じる全体の積層体の均一性が、例えば、図1において-Ωにおいて点線で示されているように、輸送回転装置9の相対回転運動の方向を逆にすることで向上させられる。このような逆にすることは、所望の数の薄い層がスパッタ堆積ステーション17Aおよび17Bによって堆積させられた後、制御ユニット23によって制御されてもよい。
【0127】
なおも単純化されて最も概略的に真空輸送室3を示している図2によれば、図1のもののようなスパッタ堆積ステーション17Aおよび17Bの2つ以上の対が、17A、17A、17B、17Bなどによって表されて提供されており、各々のスパッタ堆積ステーション17Aは材料Mのそれぞれのターゲットを有し、したがって、スパッタ堆積ステーション17Bの各々は、図1での背景においても上述したように、材料Mのターゲットを有する。それでもなお、2つ以上の第1および/または第2のスパッタ堆積ステーションは異なる軟磁性材料のそれぞれのターゲットを有してもよく、例えば、ステーション17Aは軟磁性材料MA1のターゲットを有してもよく、ステーション17Aは異なる軟磁性材料MA2などのターゲットを有してもよく、類似して、複数の第2のスパッタリングステーション17B、17Bなども有してもよい。
【0128】
図2においてさらに示されているように、装置の一実施形態では、処理ステーションの配置15の一部として、さらなる層堆積ステーション25が設けられている。この堆積ステーションは、例えば輸送回転装置9の1回の360°を超える相対回転運動の間、堆積活性化させられなくてもよい。図2においてはもはや示されていない制御ユニット23を用いて、さらなる層堆積室25は、所定の数の上記連続的な360°の相対回転運動の完了の後、選択された期間において、それぞれの電気供給をスイッチオンすること、および/または、基板13(図2では示されていない)における堆積を妨げるシャッタを開けることによって、堆積活性化させられるだけであってもよい。この堆積ステーション25によって、良好な実施形態では、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化タンタル、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、およびそれらのそれぞれの炭化物、または、オキシカーバイドもしくはニトロカーバイドなどのものとして、誘電材料の薄い層が、例えば、材料MおよびMの非常に薄い層のまだ完成していない積層体における最終的な層として、および/または、MおよびMの第一の所定の数の非常に薄い層が堆積させられた後で、MおよびMの積層体のさらなる部分をさらに堆積させる前の中間の誘電層として、堆積させられる。
【0129】
図1および図2の実施形態では、スパッタ堆積ステーション17Aおよび17Bが互いに隣接しているが、ある実施形態では、特には少なくとも1つのさらなる層堆積ステーションであって、特には少なくとも1つのさらなるスパッタ堆積室であるさらなる処理ステーションが、それぞれのスパッタ堆積ステーション17Aおよび17Bの間に設けられる。このようなさらなる少なくとも1つの層堆積ステーションによって、特にはホウ素、タンタル、および/またはジルコニウムである、周期系のIIIA族、IVB族、およびVB族(IUAPCの第13族、第4族、第5族に従う)からの1つ以上の元素としての少なくとも1つの非強磁性元素が、堆積させられ得る。このような少なくとも1つの中間ステーションが設けられる場合、その中間ステーションは、スパッタ堆積ステーション17Aおよび17Bのように連続的に、または、材料MおよびMの所定の数の非常に薄い層が基板13に堆積させられた後だけを意味する選択的な間隔で、動作させられてもよい。
【0130】
図5は、処理ステーションの配置15に対する複数の基板運搬装置11(図5では示されていない)の配置16の相対回転Ωの軌道経路に沿って、上記軌道経路に沿って配置されるとしたステーションの例を最も概略的に示している。第1のスパッタ堆積ステーションは、元素Fe、Ni、Coのうちの少なくとも1つから成るターゲットを有する。
【0131】
隣接する後に続くさらなるスパッタ堆積ステーション18aは、元素B、Ta、Zrのうちの少なくとも1つのターゲットを有する。
【0132】
第2のスパッタ堆積ステーション17BはCoのターゲットを有する。隣接する後に続くさらなるスパッタ堆積ステーション18bおよび18cが装着され、TaおよびZrのターゲットをそれぞれ有する。
【0133】
すべてのステーション18a~18cは、例として、ステーション17Aおよび17Bと同時に堆積可能にされる。
【0134】
非常に薄い層の磁気特性をさらに向上させるために、コリメータ(図示せず)が、それぞれのターゲットTおよびTと、回転運動する基板運搬装置11との間に設けられてもよい。このようなコリメータは、処理ステーションの配置15のさらなる層堆積ステーションに設けられてもよい。
【0135】
図3は、例えば図1または図2の実施形態による、装置の動作の例を示している。この図から、真空輸送室3の円筒状内部空間7が、多角形によって近似されるという意味において、円筒状として同じく理解されるものであることが分かる。
【0136】
図3による周期(a)では、層堆積ステーション25は堆積可能にされ、輸送回転装置9におけるすべての基板13は、4nmの厚さを伴う酸化アルミニウムの緩衝層で被覆される。輸送回転装置9は一定の角速度で時計回りに連続的に回転させられる。酸化アルミニウムの緩衝層が基板13に堆積させられると、例えば酸化アルミニウム材料ターゲットにおいて動作するRfスパッタ堆積室といった堆積ステーション25が、堆積不可能にされる。周期(b)では、スパッタ堆積ステーション17Aおよび17Bは、基板13における緩衝層におけるスパッタ堆積のために可能とされ、輸送回転装置9はなおも一定の角速度で時計回りに回転運動している。40回の360°の連続した回転運動によって、材料Mの層と材料Mの層との40組の対が堆積させられる。材料MはFex6Coy6z6であり、材料MはCox7Tay7Zrz7であり、先に示されたような化学量論因子x6、y6、z6およびx7、y7、z7の値を伴う。
【0137】
明確には、一例において、材料MはFe52Co2820であり、材料MはCo91.5Ta4.5Zrである。厚さdおよびdの合計は約2nmである。
【0138】
結果得られるのは、約80nmの全体の厚さを伴う上記MおよびMの非常に薄い層の層の積層体である。約80nmの厚さのこの層の積層体を堆積させた後、酸化アルミニウム堆積のための堆積室25は堆積可能とされ、酸化アルミニウムの約4nmの厚さの薄い層が、周期(c)に従って80nmの層の積層体に堆積させられる。それによって、輸送回転装置9の回転運動方向は反時計回りへと逆にされる。続いて、図3の周期(d)によれば、堆積室25は再び堆積不可能とさせられ、スパッタ堆積ステーション17Aおよび17Bのスパッタ堆積が可能とさせられる。
【0139】
輸送回転装置9の続いての40回の360°の反時計回りの連続した回転運動によって、材料MおよびMの非常に薄い層の80nmの積層体が再び堆積させられる。
【0140】
それによって、例えば1nmから0.2nmまで、上記MおよびMの材料のターゲットから堆積させられた層のdおよびdを小さくすることによって、積層体の磁気特性Hが、35Oeから、飽和保磁力を非常に小さく保つ、つまり、超低損失RF受動デバイスによって必要とされるような軟磁性多層にとって必須である、約0.1Oe~約0.2Oeより小さいほとんど50Oeまで向上される。
【0141】
周期(e)および可能であれば続くさらなる周期によれば、周期(a)~(c)は、要求されるようにしばしば繰り返され得る。
【0142】
化学量論パラメータおよびx、y、zが、1GHzまたは数GHzの非常に高い周波数用途のための非常に薄い軟磁性材料層の結果生じる積層体の軟磁性挙動をさらに最適化するために、上述したように範囲内で変化させられてもよいことは、留意される必要がある。
【0143】
図3による例で被覆された基板は、酸化シリコン層で覆われたシリコン基板である。
【0144】
ところで、図1図3の実施形態によれば、基板運搬装置11は、そこで支持された基板が、回転軸AXに対して外向きに、配置15のそれぞれの位置決めされたステーションに向けて径方向に指す法線を伴う延在表面13を有する様態で、輸送回転装置9の周辺に沿って配置されている。
【0145】
図4(a)~図4(g)は、処理ステーションの配置16に対する複数の基板運搬装置11の配置16の相対回転が確立される本発明による装置の最も概略的な様々な機械的概念を示している。
【0146】
図4aの実施形態では、処理ステーションの配置15は静止している。基板13を伴う複数の基板運搬装置11の配置16は回転可能であり、基板13の処理される表面は、軸AXに対して外向きに、静止した処理ステーションの配置15の方を向いている。
【0147】
図4bの実施形態では、基板13を伴う複数の基板運搬装置11の配置16は静止している。処理ステーションの配置15は回転可能である。基板13の処理される表面は、軸AXに対して内向きに、回転可能な処理ステーションの配置15の方を向いている。
【0148】
図4cの実施形態では、処理ステーションの配置15は回転可能である。基板13を伴う複数の基板運搬装置11の配置16は静止しており、基板13の処理される表面は、軸AXに対して外向きに向けられており、回転可能な処理ステーションの配置15の方を向いている。
【0149】
図4dの実施形態では、基板13を伴う複数の基板運搬装置11の配置16は回転可能である。処理ステーションの配置15は静止している。基板13の処理される表面は、軸AXに対して内向きに向けられており、静止した処理ステーションの配置15を向いている。
【0150】
図4a~図4dにおける静止した搭載がSTによって概略的に示していることに、留意されたい。
【0151】
図4eの実施形態では、真空輸送室3の内部空間7は、図4a~図4dの実施形態におけるように円筒状ではなく、環状である。処理ステーションの配置15は静止または回転可能である。基板13を伴う複数の基板運搬装置11の配置16は、それぞれ回転可能または静止である。基板13の処理される表面は、軸AXに対して外向きに向けられており、処理ステーションの配置15を向いている。
【0152】
図4fの実施形態では、真空輸送室3の内部空間7は、図4a~図4dの実施形態におけるように円筒状ではなく、環状である。処理ステーションの配置15は静止または回転可能である。基板13を伴う複数の基板運搬装置11の配置16は、それぞれ回転可能または静止である。基板13の処理される表面は、軸AXに対して内向きに向けられており、処理ステーションの配置15を向いている。
【0153】
図4gの実施形態では、内部空間7は円筒状である。処理ステーションの配置15は静止または回転可能である。基板13を伴う複数の基板運搬装置11の配置16は、それぞれ回転可能または静止である。処理ステーションの配置15のステーションの処理方向は、軸AXと平行である。基板13の処理される表面は、軸AXと平行に向けられており、処理ステーションの配置15を向いている。
【0154】
当業者には明らかとなるように、基板13のための複数の基板運搬装置11の配置16の実現と、処理ステーションの配置15とのさらなる機械的な組み合わせが、本発明の範囲を逸脱することなく可能である。
【0155】
それでもなお、図1図3および図5の実施形態に関して提供されているすべての説明は、図4による実施形態についても実施される。
【0156】
[付記項1]
軟磁性材料多層堆積装置であって、
軸の周りの円形の内部空間の真空輸送室と、
前記軸に対して垂直な平面に沿っての、前記内部空間において、前記軸と同軸の複数の基板運搬装置の円形の配置と、
前記軸に対して垂直な平面に沿っての、前記内部空間へと処理動作する基板処理ステーションの円形の配置と、
前記複数の基板運搬装置の前記円形の配置と、処理ステーションの前記円形の配置との間に相対回転を確立するように、前記複数の基板運搬装置の前記円形の配置と、処理ステーションの前記円形の配置との間で動作可能に結合される回転駆動部と
を備え、
前記複数の基板運搬装置の前記円形の配置と、処理ステーションの前記円形の配置とは相互に並べられ、
基板処理ステーションの前記配置は、
各々が単一のターゲットを伴う少なくとも1つの第1のスパッタ堆積ステーションおよび少なくとも1つの第2のスパッタ堆積ステーションを備え、
前記第1のスパッタ堆積ステーションは、基板における層材料として堆積される第1の軟磁性材料の第1のターゲットを有し、
前記第2のスパッタ堆積ステーションは、前記基板における層材料として堆積される前記第1の軟磁性材料と異なる第2の軟磁性材料のターゲットを有し、
前記装置は、
処理ステーションの前記配置のうちの前記ステーションと、前記回転駆動部とに動作可能に結合され、前記軸の周りでの処理ステーションの前記配置に対する前記複数の基板運搬装置の前記配置の少なくとも1回の360°を超える回転運動の間に、前記基板運搬装置に向けて連続的なスパッタ堆積を可能とさせるように、前記第1のスパッタ堆積ステーションおよび前記第2のスパッタ堆積ステーションを制御すると解釈される制御ユニットであって、前記360°の回転運動は互いと直接的に後に続く、制御ユニットをさらに備える、軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項2]
前記円形の内部空間は環状であり、前記複数の基板運搬装置の前記配置または処理ステーションの前記配置は、前記環状の内部空間の径方向外側の円形の表面、または、前記環状の内部空間の上面もしくは下面に備え付けられる、少なくとも請求項1に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項3]
前記円形の内部空間は環状であり、前記複数の基板運搬装置の前記配置または処理ステーションの前記配置は、前記環状の内部空間の径方向内側の円形の表面に備え付けられる、少なくとも請求項1に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項4]
前記円形の内部空間は円筒状であり、前記複数の基板運搬装置の前記配置または処理ステーションの前記配置は、前記円筒状の内部空間の周囲表面である円形の表面、または、前記円筒状の内部空間の下面もしくは上面に備え付けられる、少なくとも請求項1に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項5]
処理ステーションの前記配置は静止しており、前記複数の基板運搬装置の前記配置は回転可能である、請求項1から4の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項6]
前記第1のターゲットは、Fe、Ni、Coの群からの1つ以上の元素を含むかまたはその元素から成り、前記第2のターゲットは、Fe、Ni、Coの群の1つ以上の元素を含むかまたはその元素から成る、請求項1から5の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項7]
前記第1のターゲットは、Fe、Ni、Coの群の1つ以上の元素と、少なくとも1つの非強磁性元素とから成り、および/または、前記第2のターゲットは、Fe、Ni、Coの群からの1つ以上の元素と、少なくとも1つの非強磁性元素とから成る、請求項1から6の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項8]
前記少なくとも1つの非強磁性元素は、周期系のIIIA族、IVB族、およびVB族(IUAPCの第13族、第4族、第5族に従う)からの少なくとも1つの元素である、少なくとも請求項7に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項9]
前記第1のターゲットは、Fe、Ni、Coの群の1つ以上の元素を含むかまたはその元素から成り、前記第2のターゲットは、Fe、Ni、Coの群の1つ以上の元素を含むかまたはその元素から成り、前記装置は、前記第1のスパッタ堆積ステーションおよび/または前記第2のスパッタ堆積ステーションに隣接し、少なくとも1つの非強磁性元素のターゲットを有する少なくとも1つのさらなるスパッタ堆積ステーションをさらに備える、請求項1から8の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項10]
前記少なくとも1つの非強磁性元素は、周期系のIIIA族、IVB族、およびVB族(IUAPCの第13族、第4族、第5族に従う)からの少なくとも1つの元素である、少なくとも請求項9に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項11]
前記少なくとも1つの非強磁性元素は、B、Ta、Zrの群からの少なくとも1つである、少なくとも請求項8または10に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項12]
前記制御ユニットは前記回転駆動部を段階的な手法で制御すると解釈される、請求項1から11の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項13]
前記制御ユニットは、互いと直接的に後に続く前記少なくとも1回の360°を超える回転運動のうちの少なくとも一部について、前記軸に対して一定の角速度での連続的な相対回転のために前記回転駆動部を制御すると解釈される、請求項1から12の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項14]
前記制御ユニットは、それぞれ前記第1のスパッタ堆積ステーションおよび前記第2のスパッタ堆積ステーションの各々によって、それぞれの所望の厚さd、dの前記第1の材料および前記第2の材料の層をスパッタ堆積させるように、前記基板運搬装置の各々が前記第1のスパッタ堆積ステーションおよび前記第2のスパッタ堆積ステーションにそれぞれ暴露される暴露時間に依存して、少なくとも前記第1のスパッタ堆積ステーションおよび前記第2のスパッタ堆積ステーションのスパッタリング出力を制御すると解釈される、請求項1から13の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項15]
10nm≧(d、d)≧0.1nm
が有効であるように制御される、請求項14に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項16]
5nm≧(d、d)≧0.1nm
が有効であるように制御される、請求項14または15に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項17]
1nm≧(d、d)≧0.1nm
が有効であるように制御される、請求項14から16の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項18]
0.5nm≧(d、d)≧0.1nm、または、
0.5nm≧(d、d)≧0.2nm
が有効であるように制御される、請求項14から17の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項19]
厚さdとdとは等しくなるように制御される、請求項14から18の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項20]
およびdは1nmとなるように制御される、請求項14から19の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項21]
およびdの少なくとも一方は1nm未満となるように制御される、請求項14から20の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項22]
0.1nm≦(d、d)≦3nm
0.3nm≦(d、d)≦2nm
0.5nm≦(d、d)≦1.5nm
のうちの少なくとも1つが有効であるように制御される、請求項14から21の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項23]
前記第1の層と前記第2の層とは一方が他方の上に直接的に位置するように制御される、請求項14から21の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項24]
前記第1のスパッタリングステーションはFeCoBを堆積させるように構成され、前記第2のスパッタリングステーションはCoTaZrを堆積させるように構成される、請求項14から23の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項25]
前記基板運搬装置は複数の回数にわたって前記第1のスパッタリングステーションと前記第2のスパッタリングステーションとを繰り返し通るように制御される、請求項14から24の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項26]
処理ステーションの前記配置は少なくとも1つのさらなる層堆積ステーションを備え、前記制御ユニットは、少なくとも前記1回の360°を超える回転運動の間に連続的に堆積を行うように、前記さらなる層堆積ステーションを制御すると解釈され、前記制御ユニットは、前記さらなる層堆積ステーションによって所望の厚さdの層を堆積させるために、前記基板運搬装置の各々が前記さらなる層堆積ステーションに暴露される暴露時間に依存して、前記さらなる層堆積ステーションの材料堆積速度を制御するとさらに解釈される、請求項1から25の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項27]
前記所望の厚さdについて、
10nm≧(d)≧0.1nm
が有効であるように制御される、請求項26に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項28]
について、
5nm≧d≧2nm
が有効であるように制御される、少なくとも請求項27に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項29]
前記第1のスパッタ堆積ステーションのうちの2つ以上を備える、請求項1から28の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項30]
前記第2のスパッタ堆積ステーションのうちの2つ以上を備える、請求項1から29の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項31]
前記第1のスパッタ堆積ステーションと前記第2のスパッタ堆積ステーションとは前記内部空間に沿って相互に隣接するステーションの対である、請求項1から30の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項32]
前記対を複数で備え、前記第1のスパッタ堆積ステーションと前記第2のスパッタ堆積ステーションとは交互に配置される、少なくとも請求項31に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項33]
前記第1のスパッタ堆積ステーションおよび前記第2のスパッタ堆積ステーションは、3つ以上の層堆積ステーションの群のうちの2つのステーションであり、前記群のうちの前記層堆積ステーションは、前記内部空間に沿って一方が他方に隣接して設けられ、前記群のうちの前記ステーションは、前記制御ユニットの制御によって同時に堆積活性化させられる、請求項1から32の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項34]
2つ以上の前記群および/または異なる前記群を備える、少なくとも請求項33に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項35]
基板処理ステーションの前記配置は、さらなる材料を前記基板保持体に向けてスパッタ堆積させると解釈される少なくとも1つのさらなるスパッタ堆積ステーションを備える、請求項1から34の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項36]
前記さらなる材料は非磁性金属、金属合金、または誘電材料である、少なくとも請求項35に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項37]
前記制御ユニットは、処理ステーションの前記配置のうちの前記ステーションのうちの選択されたものまたはすべてによって、前記基板の処理を制御可能に可能または不可能にすると解釈される、請求項1から36の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項38]
前記制御ユニットは、互いと直接的に後に続く前記1回の360°を超える相対回転運動のうちの少なくとも1回について、前記軸に対して一定の角速度での連続的な相対回転のために前記回転駆動部を制御すると、および、さらには前記回転駆動部の相対回転の方向を逆にすると、解釈される、請求項1から37の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項39]
前記第1のスパッタ堆積室および前記第2のスパッタ堆積室の少なくとも一方は、それぞれの前記ターゲットの下流にコリメータを備える、請求項1から38の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項40]
前記第1のターゲットおよび前記第2のターゲットの一方はFex1Coy1のものであり、処理ステーションの前記配置は、前記1つのスパッタリングステーションに続いて隣接すると共にホウ素のターゲットを有するさらなるスパッタリングステーションを備え、前記さらなるスパッタリングステーションは、前記1つのスパッタリングステーションと同じ時間の間に堆積可能とされるように前記制御ユニットによって制御され、x1+y1=100および20<y1<50が有効である、請求項1から39の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項41]
前記第1のターゲットおよび前記第2のターゲットの一方はCoのものであり、処理ステーションの前記配置は、前記1つのスパッタリングステーションに隣接すると共にTaおよびZrのターゲットをそれぞれ有する少なくとも2つのさらなるスパッタリングステーションを備え、前記さらなるスパッタリングステーションは、前記1つのスパッタリングステーションと同じ時間の間に堆積が可能とされるように前記制御ユニットによって制御される、請求項1から40の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項42]
前記第1のターゲットおよび前記第2のターゲットの少なくとも一方はFex2Coy2z2のものであり、ここで、x2+y2+z2=100である、請求項1から41の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項43]
処理ステーションの前記配置は、誘電材料層を堆積させると解釈される少なくとも1つのさらなる層堆積ステーションを備える、少なくとも請求項42に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項44]
前記第1のターゲットおよび前記第2のターゲットの少なくとも一方はNix3Fey3のものであり、ここで、x3+y3=100であり、50<y3<60または17.5<y3<22.5が有効である、請求項1から43の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項45]
前記第1のターゲットはFex4Coy4のものであり、前記第2のターゲットはNix5Fey5のものであり、x4+y4=100と、x5+y5=100と、5<y4<20と、17.5<y5<22.5または50<y5<60とが有効である、請求項1から43の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項46]
前記第1のターゲットはFex6Coy6z6のものであり、前記第2のターゲットはCox7Tay7Zrz7のものであり、ここで、x6+y6+z6=100およびx7+y7+z7=100である、請求項1から43の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項47]
x6>y6が有効である、少なくとも請求項46に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項48]
y6≧z6が有効である、少なくとも請求項46または47に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項49]
x7>y7が有効である、請求項46から48の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項50]
y7≧z7が有効である、請求項46から49の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項51]
45≦x6≦60、
50≦x6≦55、
x6=52、
20≦y6≦40、
25≦y6≦30、
y6=28、
10≦z6≦30、
15≦z6≦25、
z6=20
のうちの少なくとも1つ以上が有効である、請求項46から50の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項52]
85≦x7≦95、
90≦x7≦93、
x7=91.5、
3≦y7≦6、
4≦y7≦5、
y7=4.5、
2≦z7≦6、
3≦z7≦5、
z7=4
のうちの少なくとも1つ以上が有効である、請求項46から51の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項53]
前記制御ユニットは、前記第1のスパッタ堆積ステーションおよび前記第2のスパッタ堆積ステーションの各々と、可能であれば少なくとも1つのさらなる層堆積ステーションとによって、それへの基板暴露につき、
0.1nm≦d≦3nm
0.3nm≦d≦2nm
0.5nm≦d≦1.5nm
のうちの少なくとも1つが有効であるそれぞれ厚さdの層を堆積させるように、前記相対回転を、および/または、少なくとも前記第1のターゲットと前記第2のターゲットとに加えられる出力と、可能であれば処理ステーションの前記配置のうちのさらなる層堆積ステーションに加えられる出力とを制御すると解釈される、請求項1から52の少なくとも一項に記載の軟磁性材料多層堆積装置。
[付記項54]
コアを備える誘導デバイスを伴う基板を製造する方法であって、前記コアは、スパッタリングによって堆積させられた薄い層を備え、前記薄い層の少なくとも一部は、請求項1から53の少なくとも一項に記載の装置を用いて堆積させられる、方法。
[付記項55]
誘導デバイスのためのコアを伴う基板を製造する方法であって、前記コアは、スパッタリングによって堆積させられた薄い層を備え、前記薄い層の少なくとも一部は、請求項1から53の少なくとも一項に記載の装置を用いて堆積させられる、方法。
[付記項56]
第1の軟磁性材料の第1の層と第2の軟磁性材料の第2の層とを備える軟磁性多層積層体であって、前記第2の軟磁性材料は前記第1の軟磁性材料と異なり、前記第1の層は厚さdを各々有し、前記第2の層は厚さdを各々有し、
5nm≧(d、d)≧0.1nm
が有効である、軟磁性多層積層体。
[付記項57]
1nm≧(d、d)≧0.1nm
が有効である、請求項56に記載の軟磁性多層積層体。
[付記項58]
0.1nm≦(d、d)≦3nm、
0.3nm≦(d、d)≦2nm、
0.5nm≦(d、d)≦1.5nm
のうちの少なくとも1つが有効である、請求項56または57に記載の軟磁性多層積層体。
[付記項59]
0.5nm≧(d、d)≧0.1nm
または
0.5nm≧(d、d)≧0.2nm
が有効である、請求項56から58の少なくとも一項に記載の軟磁性多層積層体。
[付記項60]
厚さdとdとは等しい、請求項56から59の少なくとも一項に記載の軟磁性多層積層体。
[付記項61]
とdとは1nmである、請求項56から60の少なくとも一項に記載の軟磁性多層積層体。
[付記項62]
およびdの少なくとも一方は1nmより小さい、請求項56から61の少なくとも一項に記載の軟磁性多層積層体。
[付記項63]
前記第1の層と前記第2の層とは一方が他方の上に直接的に位置する、請求項56から62の少なくとも一項に記載の軟磁性多層積層体。
[付記項64]
前記第1の層はFeCoBのものであり、前記第2の層はCoTaZrのものである、請求項56から63の少なくとも一項に記載の軟磁性多層積層体。
[付記項65]
前記第1の層と前記第2の層とは一方が他方の上に直接的に位置し、前記積層体は複数の前記第1の層および前記第2の層を備え、前記複数は非強磁性材料の層によって覆われる、請求項56から64の少なくとも一項に記載の軟磁性多層積層体。
[付記項66]
前記非強磁性材料はAlOである、請求項65に記載の軟磁性多層積層体。
[付記項67]
前記複数のうちの2つ以上と、それぞれの非強磁性材料の層とを備える、少なくとも請求項65または66に記載の軟磁性多層積層体。
[付記項68]
複数のFeCoB層と、
複数のCoTaZr層と
を備え、
FeCoBの前記層は、交互の手法で、CoTaZrの前記層に直接的に位置し、
共通の複数のFeCoB層およびCoTaZr層はAlOの層によって覆われる、軟磁性多層積層体。
[付記項69]
FeCoBの前記層は厚さdを有し、CoTaZrの前記層は厚さdを有し、dとdとは等しい、請求項68に記載の軟磁性多層積層体。
[付記項70]
0.1nm≦(d、d)≦3nm、
0.3nm≦(d、d)≦2nm、
0.5nm≦(d、d)≦1.5nm
のうちの少なくとも1つが有効である、請求項68または69に記載の軟磁性多層積層体。
[付記項71]
およびdは0.2nmまでで1nmより小さい、請求項68から70のいずれか一項に記載の軟磁性多層積層体。
[付記項72]
請求項56から71の少なくとも一項に記載の軟磁性多層積層体を少なくとも1つ備えるコアを伴う誘導デバイスのためのコアまたは誘導デバイス。
【符号の説明】
【0157】
1 装置、3 真空輸送室、5 ポンプ手段、7 円筒状内部空間、7 円筒状表面、9 輸送回転装置、11 基板運搬装置、13 基板、13 延在表面、15 基板処理ステーションの配置、16 基板運搬装置の配置、17A 第1のスパッタ堆積ステーション、17B 第2のスパッタ堆積ステーション、17A,17A,17B,17B,17A,18a,18b,18c スパッタ堆積ステーション、19 回転駆動部、21A,21B 供給ユニット、23 制御ユニット、25 搭載固定配置,さらなる層堆積ステーション,さらなる層堆積室、AX 軸、E 平面、M,MA1,MA2 第1のターゲット材料,軟磁性材料、M ターゲット材料,第2の軟磁性材料、ST 静止した搭載、T 第1のスパッタリングターゲット、T 第2のターゲット、Ω 相対回転
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】