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特開2023-54188再装填可能な止血クリップ装置のための伸縮性フープカプラー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054188
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】再装填可能な止血クリップ装置のための伸縮性フープカプラー
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/122 20060101AFI20230406BHJP
【FI】
A61B17/122
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025151
(22)【出願日】2023-02-21
(62)【分割の表示】P 2021548522の分割
【原出願日】2019-10-29
(31)【優先権主張番号】62/767,816
(32)【優先日】2018-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】マレー、コリン
(72)【発明者】
【氏名】キング、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ピャタエバ、イリーナ
(57)【要約】
【課題】組織を治療するためのシステムを提供する。
【解決手段】組織を治療するためのシステムは、一対のクリップアームを含むクリップアセンブリを備える。クリップアームの近位端は、カプセルのチャンネル内に摺動可能に受承されて組織受容形態と組織クリップ形態との間で移動される。このシステムは、内部を通って延びる制御部材を含むカテーテルアセンブリを含む。制御部材は、クリップアームに連結される遠位端を含んでクリップアセンブリを組織受容形態と組織クリップ形態との間で移動させる。このシステムは、カプセルの近位端に離脱可能に連結され、かつ、カテーテルアセンブリの遠位端に連結されるように構成されたカプラーをさらに含む。カプラーは、制御部材を介してカプラーに加えられる近位方向への力が第1の所定の閾値を超えた時、分離してカプセルを離脱してクリップアセンブリを配備する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプラーの近位端から延びる複数のフィンガーをブッシングの遠位端に連結する工程であって、前記ブッシングが可撓性チューブの遠位端に連結されている、前記カプラーの近位端から延びる複数のフィンガーをブッシングの遠位端に連結する工程と、
前記カプラーの遠位端をクリップアセンブリの近位端に連結する工程であって、前記可撓性チューブの制御部材が前記クリップアセンブリのクリップアームの両近位端に対して着脱自在に連結されている、前記カプラーの遠位端をクリップアセンブリの近位端に連結する工程と、
前記制御部材を前記クリップアセンブリに対して長手方向に移動して前記クリップアームの両遠位端を互いに引き寄せることによって、前記クリップアームの両遠位端が互いに離間する受け入れ姿勢と、前記クリップアームの両遠位端が互いに接近するクリップ姿勢との間で前記クリップアセンブリを移動させる工程と、
前記カプラーを前記クリップアセンブリから離脱させ、且つ同カプラーの少なくとも一部を前記可撓性チューブに対して連結された状態に維持させるように、前記制御部材をクリップアームの近位方向に、予め設定された閾値を超えて移動させることによって、前記クリップアセンブリを前記可撓性チューブから離脱させる工程と
を含む、クリップ装置を装填するための方法。
【請求項2】
前記クリップアームの両近位端は、前記制御部材の拡大遠位端に対して着脱自在に連結可能なヨークによって互いに連結される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御部材の前記拡大遠位端が前記ヨークから離脱されるまで、さらなる予め設定された閾値を超えて、前記制御部材をさらに近位方向に移動させる工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記カプラーは、前記カプラーの遠位部において、対向して配置される2つのセットのVノッチを含み、各セットのVノッチは、前記カプラーの壁の近位端から延びる近位Vノッチと、前記カプラーの前記壁の遠位端から延びる遠位Vノッチとを含み、前記2つのセットのVノッチは、付与される近位方向の力が閾値を超えたとき、割れるように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記カプラーは、各セットのVノッチの第1の側から、各セットのVノッチの第2の側に延びるループ部を備え、前記ループ部は、前記カプラーが割れる時、前記カプラーが前記ブッシングの前記遠位端から離脱することを防止する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記カプラーは、前記ブッシングの外周面に延びる隆起部に相互作用するように構成された傾斜部を備え、前記カプラーに近位方向の力が付与されたとき、前記傾斜部は前記隆起部を越えて近位方向に移動して、前記カプラーの前記壁を拡張して、前記Vノッチの部分が割れるようにする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
各セットのVノッチは、前記カプラーの外面から前記カプラーの前記壁の中に延びる第3のVノッチを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記クリップアセンブリが前記可撓性チューブから離脱された後、さらなるカプラーの近位端から延びる複数のフィンガーを、前記ブッシングの遠位端に連結することによって、さらなるクリップアセンブリが前記可撓性チューブに搭載される工程と、
前記カプラーの遠位端を前記さらなるクリップアセンブリの近位端に連結する工程であって、カテーテルアセンブリの制御部材が前記さらなるクリップアセンブリのクリップアームの両近位端に対して着脱自在に連結される、前記カプラーの遠位端を前記さらなるクリップアセンブリの近位端に連結する工程と
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
第1のカプラーの近位端から延びる複数のフィンガーを、再利用可能な可撓性チューブの遠位端に連結されたブッシングの遠位端に連結することによって、第1のクリップアセンブリを前記再利用可能な可撓性チューブに搭載する工程と、
前記第1のカプラーの遠位端を、前記第1のクリップアセンブリの近位端に連結する工程であって、前記再利用可能な可撓性チューブの制御部材は前記第1のクリップアセンブリのクリップアームの両近位端に対して着脱自在に連結されている、前記第1のカプラーの遠位端を、前記第1のクリップアセンブリの近位端に連結する工程と、
前記制御部材を前記第1のクリップアセンブリに対して長手方向に移動して前記クリップアームの両遠位端を互いに引き寄せることによって、前記クリップアームの両遠位端が互いに離間する受け入れ姿勢と、前記クリップアームの両遠位端が互いに接近するクリップ姿勢との間で前記第1のクリップアセンブリを移動する工程と、
前記制御部材を前記クリップアームに対して近位方向に移動させることによって、前記制御部材に対して予め設定された閾値以上の力を付与して、前記第1のカプラーの少なくとも一部を前記可撓性チューブに連結された状態に維持しつつ前記第1のクリップアセンブリを前記可撓性チューブから離脱させる工程と
を備える、クリップ装置を搭載するための方法。
【請求項10】
前記クリップアームの両近位端は、前記制御部材の拡大遠位端に対して着脱可能に連結されたヨークを介して互いに連結されている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記制御部材は、前記制御部材に付与される力が、さらなる予め設定された閾値を超えるまで、前記制御部材をさらに近位方向に移動させることによって、前記制御部材の前記拡大遠位端が前記ヨークから離脱するように、前記第1のクリップアセンブリに連結されている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のカプラーは、前記第1のカプラーの遠位部において、対向して配置される2つのセットのVノッチを含み、各セットのVノッチは、前記第1のカプラーの壁の近位端から延びる近位Vノッチと、前記第1のカプラーの前記壁の遠位端から延びる遠位Vノッチとを含み、各セットのVノッチは、付与される近位方向の力が閾値を超えたとき、割れるように構成されている、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のカプラーは、各セットのVノッチの第1の側から各セットのVノッチの第2の側まで延びるループ部を含み、前記ループ部は、前記第1のカプラーが割れたとき、前記第1のカプラーが前記ブッシングの前記遠位端から離脱することを防止する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のカプラーは、前記ブッシングの外周面に延びる隆起部に相互作用するように構成された傾斜部を含み、前近位方向の力が前記第1のカプラーに付与されたとき、前記傾斜部は、前記隆起部を越えて近位方向に移動し、前記第1のカプラーの前記壁を拡張して前記Vノッチが割れるようにする、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
各セットのVノッチは、前記第1のカプラーの外面から前記第1のカプラーの前記壁の中に延びる第3のVノッチを含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用クリップに関する。より詳細には、内視鏡を介して標的部位に送達される止血クリップに関する。
【背景技術】
【0002】
胃腸(GI)系、胆道系、血管系、及びその他の体管腔ならびに中空器官の疾患は、内視鏡検査によって治療されることが多く、その多くは内出血を制御するために止血を必要とする。止血クリップは、そのような内出血を制御するためにしばしば使用される。これらのクリップは、創傷の周囲の組織を把持して、創傷端を一時的にともに保持して、自然治癒工程で創傷が永久に閉鎖することを可能にする。特殊な内視鏡クリップ装置がクリップを体内の目的の場所に送達するためによく使用され、その後、クリップ送達装置は抜去されてクリップは体内に留置される。
【0003】
多くの場合、止血クリップには、クリップを送達装置に連結するカプラーが含まれている。設計上、クリップが配備されてクリップが送達装置から離脱される時、カプラーは自壊する。自壊するカプラーを使用する際の1つの課題は、破片が小さいため、内視鏡のワーキングチャンネルに吸引されて詰まる可能性がある。その結果、破片は、標準的な洗浄処置を実行した後でも内視鏡内に留まり、内視鏡を汚染して患者を感染させるリスクが高まる。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、組織を治療するためのシステムに関するものであり、該システムは、一対のクリップアームを含むクリップアセンブリと、各クリップアームは、近位端から遠位端まで延びており、クリップアームの近位端はカプセルのチャンネル内に摺動可能に受承されて、クリップアームの遠位端が互いに離間した組織受容形態と、クリップアームの遠位端が互いに向かって接近した組織クリップ形態との間で移動されることと、ブッシング及びその中を貫通して延びる制御部材を備えるカテーテルアセンブリと、制御部材はクリップアームに連結される遠位端を備え、クリップアセンブリを組織受容形態と組織クリップ形態との間で移動することと、カプセルの近位端に離脱可能に連結され、かつ、カテーテルアセンブリの遠位端に連結されるように構成されたカプラーであって、制御部材によってカテーテルの遠位端に付与される近位方向の力が第1の予め定められた閾値を超えた時、破砕してカプセルから離脱してクリップアセンブリを配備するカプラーとからなる。
【0005】
一実施形態では、クリップアームの近位端は、制御部材の拡大された遠位端に対して離脱可能に連結可能なヨークを介して互いに連結されている。
一実施形態では、カプラーの近位部は、カプラーをカテーテルアセンブリに連結するためにブッシングの遠位部上に取り付け可能な複数のフィンガーを含む。
【0006】
一実施形態では、カプラーは、カプラーの遠位部の周面に径方向に対向する2組のVノッチを含み、各Vノッチは、カプラーの壁の近位端から延びる近位Vノッチと、カプラーの壁の遠位端から延びる遠位Vノッチとを含み、Vノッチは、付与された近位方向への力が閾値を超えた時破砕するように構成されている。
【0007】
一実施形態では、カプラーは、ブッシングの外周面に延びる隆起部と相互作用するように構成された傾斜部を含み、近位方向への力がカプラーに付与された時、傾斜部は隆起部上を近位方向に移動してカプラーの壁を拡張してVノッチ部分を破砕する。
【0008】
一実施形態では、各Vノッチは、カプラーの外面からカプラーの壁内に延びる第3のVノッチを含む。
一実施形態では、カプラーは、各Vノッチの第1の側から各Vノッチの第2の側に延びるループ部を含み、ループ部は、カプラーが破砕した時、カプラーがブッシングの遠位端から離脱するのを防止する。
【0009】
本発明は、組織を治療するためのシステムにも関し、該システムは一対のクリップアーム及びカプセルを含むクリップアセンブリと、各クリップアームは、近位端から遠位端まで延びており、クリップアームの近位端は、両クリップアームの遠位端が互いに離間した組織受容形態と、両クリップアームの遠位端が互いに向かって接近した組織クリップ形態との間で移動されることと、内部を貫通して延びる制御部材を含むカテーテルアセンブリと、制御部材は、クリップアームに連結される遠位端を含み、クリップアセンブリを組織受容形態と組織クリップ形態との間で移動させることと、クリプアセンブリの近位端に離脱可能に連結され、かつ、カテーテルアセンブリの遠位端に連結されるように構成されたカプラーと、カプラーは破砕してカプセルを離脱してクリップアセンブリを配備するように構成されていることとを備える。
【0010】
一実施形態では、カテーテルアセンブリは、その遠位端にブッシングを含み、ブッシングは、カプラーの近位端に連結される。
一実施形態では、カプラーは、カプラーの遠位部の周面に径方向に対向する2組のVノッチを含み、Vノッチは、カプラーの壁の近位端から延びる近位Vノッチと、カプラーの壁の遠位端から延びる遠位Vノッチとを含み、Vノッチは、付与された近位方向への力が閾値を超えた時、破砕するように構成されている。
【0011】
一実施形態では、カプラーは、ブッシングの外周面に延びる隆起部と相互作用するように構成された傾斜部を含み、近位方向への力がカプラーに付与された時、傾斜部は隆起部上を近位方向に移動してカプラーの壁を拡張してVノッチ部分を破砕する。
【0012】
一実施形態では、Vノッチの各セットは、カプラーの外面からカプラーの壁内に延びる第3のVノッチを含む。
一実施形態では、カプラーは、Vノッチの各セットの第1の側からVノッチの各セットの第2の側に延びるループ部を含み、ループ部は、カプラーが破砕した時、カプラーがブッシングの遠位端から離脱するのを防止する。
【0013】
一実施形態では、クリップアームの近位端は、制御部材の拡大された遠位端と離脱可能に連結可能なヨークを介して互いに連結されている。
一実施形態では、カプラーの近位部は、カプラーをカテーテルアセンブリに連結するために、ブッシングの遠位部上に取り付け可能な複数のフィンガーを含む。
【0014】
本発明は、カプラーの近位端をカテーテルアセンブリの遠位端に連結すること及びカプラーの遠位端をクリップアセンブリの近位端に連結することによってカテーテルアセンブリにクリップアセンブリを装填する工程と、カテーテルアセンブリの制御部材が、クリップアセンブリのクリップアームの近位端に離脱可能に連結されることと、装填されたクリップアセンブリを挿入装置のワーキングチャンネルの中を通って生体内の標的部位に挿入する工程と、所望どおりに、その間に標的組織が把持されるまで制御部材をクリップアセンブリに対して長手方向に移動させることにより、両クリップアームの遠位端が互いに離間した組織受容形態と、両クリップアームの遠位端が互いに向かって接近した組織クリップ形態との間でクリップアセンブリを移動させる工程と、制御部材を予め定められた閾値を超えてクリップアームに対して近位方向に引くことにより、クリップアセンブリをカテーテルから離脱する工程とを含む組織を治療するための方法にも関し、カプラーは降伏してクリップアセンブリを離脱して、カプラーの少なくとも一部は、カテーテルアセンブリに連結されたままである。
【0015】
一実施形態では、この方法は、制御部材の拡大された遠位端がクリップアセンブリのヨークから離脱するまで、予め定められた閾値を超えて、制御部材をさらに近位方向に引くことをさらに含む。
【0016】
一実施形態では、クリップアームの近位端は、制御部材の拡大された遠位端と離脱可能に連結可能なヨークを介して互いに連結されている。
一実施形態では、カプラーは、カプラーの遠位部の周面に径方向に対向する2組のVノッチを含み、各Vノッチは、カプラーの壁の近位端から延びる近位Vノッチと、カプラーの壁の遠位端から延びる遠位Vノッチとを含み、Vノッチは、加えられた近位方向への力が閾値を超えた時、破砕するように構成されている。
【0017】
一実施形態では、カプラーは、各Vノッチの第1の側から各Vノッチの第2の側に延びるループ部分を含み、ループ部分は、カプラーが破砕した時、カプラーがブッシングの遠位端から離脱するのを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の例示的な実施形態にかかるクリップ装置を示す斜視断面図。
図2】本発明の例示的な実施形態にかかる図1のクリップ装置のフープカプラーを示す斜視図。
図3図1のフープカプラーを示す別の斜視図。
図4】本発明の第2の例示的な実施形態にかかるクリップ装置のフープカプラーを示す斜視図。
図5】本発明の第3の例示的な実施形態にかかるクリップ装置のフープカプラーを示す斜視図。
図6】本発明の第4の例示的な実施形態にかかるクリップ装置のフープカプラーを示す斜視図。
図7】本発明の第5の例示的な実施形態にかかるクリップ装置のフープカプラーを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、以下の説明及び添付の図面を参照してさらに理解することができ、類似の要素には、同一の参照付号を付す。本発明は、クリップシステムに関し、特には、再装填可能な内視鏡クリップシステムに関する。本発明の例示的な実施形態は、内視鏡処置に先立ちカテーテルアセンブリの遠位端に装填することのできるクリップアセンブリについて説明する。クリップが身体の所望の標的領域に配備されると、カテーテルアセンブリには新しいクリップが再装填され得る。特には、カテーテルアセンブリは、カテーテルアセンブリのブッシングをクリップアセンブリに離脱可能に連結するためのカプラーを含み、1つのカテーテルアセンブリを使用して複数のクリップを発射することができる。カプラーは、カプセルの近位端に予め組み付けられ、ブッシングの遠位端に連結されるように構成されている。クリップアセンブリを体内に配備することが望まれる場合、制御部材は、カプラーがカプセルから離脱、又は破砕してカプセルをカテーテルアセンブリから離脱するまで、クリップアセンブリに対して近位方向に引っ張られる。例示的な実施形態では、カプラーは、カプラーが割れた時、割れたカプラーをカテーテルアセンブリの先端に保持するように設計されたフープを含む。本明細書で使用する「近位」及び「遠位」という用語は、装置の使用者に接近する(近位)方向及び離間する(遠位)方向を指すことに留意されたい。
【0020】
図1に示すように、本発明の例示的な実施形態にかかるシステム100は、クリップアセンブリ102、カテーテルアセンブリ104、及びカテーテルアセンブリ104とクリップアセンブリ102との間の離脱可能な連結を容易にするカプラー106を含む。クリップアセンブリ102は、標的組織をクリップするためにシステム100を生体内に挿入するのに先立ち、カテーテルアセンブリ104のブッシング110に装填可能である。カテーテルアセンブリ104は、生体内にクリップアセンブリ102を配備した後、新しいクリップアセンブリ102をカテーテルアセンブリ104に装填可能に構成されており、同一のカテーテルアセンブリ104を使用して複数のクリップアセンブリ102を生体内の標的組織の別の部分に送達可能である。この実施形態では、クリップアセンブリ102のカプセル108は、カプラー106に予め組み付けられ、カテーテルアセンブリ104に離脱可能に連結されるように構成されている。クリップアセンブリ102のカプセル108がカテーテルアセンブリ104のブッシング110に連結されると、クリップアセンブリ102のクリップアーム114に離脱可能に連結されたカテーテルアセンブリ104の制御部材112は、カテーテルアセンブリ104及びカプセル108に対して長手方向に移動可能になり、両クリップアーム114の遠位端116が互いに離間して、両遠位端116間に標的組織を受承する開放された組織受容形態と、両遠位端116が互いに引き寄せられて標的組織を把持する閉鎖された組織把持形態との間でクリップアセンブリ102を移動させる。所望どおりに標的組織を把持すると、圧縮力がカプラー106に付与され、この実施形態のカプラー106の一部は、たわんだり破砕したりして、カテーテルアセンブリ104からカプセル108を離脱させる。この例示的な実施形態では、カプラー106がクリップアセンブリ102のカプセル108に予め組み付けられているものとして示され説明されているが、別の実施形態では、カプラー106は、カテーテルアセンブリ104のブッシング110に同様に予め組み付けられてカプセル108に離脱可能に連結されてもよい。
【0021】
クリップアセンブリ102は、一対のクリップアーム114を含み、その近位端118は、カプセル108内に摺動可能に受承されるヨーク120に連結されている。ヨーク120がカテーテルアセンブリ104の制御部材112に連結され、カプセル108がカプラー106を介してカテーテルアセンブリ104のブッシングに連結された時、ブッシング110に対する制御部材112の長手方向の移動は、組織受容形態と組織クリップ形態との間でクリップアセンブリ102を移動させる。この実施形態のクリップアーム114は、組織受容形態に付勢されているため、カプセル108に拘束されていない時、クリップアーム114は、自身が備える付勢力によって、クリップアーム114の両遠位端116が互いに離間した組織受容形態に移動する。クリップアーム114がカプセル108内に引き込まれた時、カプセル108はクリップアーム114を拘束し、両遠位端116を組織把持形態に保持する。
【0022】
上記のように、各クリップアーム114は、近位端118から遠位端116まで延びる。当業者であれば理解できるだろうが、この実施形態のクリップアーム114は、同クリップアーム間で組織を把持する力を高めるように構成された任意の把持要素を含む。例えば、クリップアーム114の一方又は双方の遠位端116は、もう一方のクリップアーム114に向かって横方向内方に延びる尖端を含み、尖端は例えば、両遠位端116に組織を把持するように構成された歯、突起、スパイク、などの構造を含む。クリップアーム114の一方又は双方は、標的組織がクリップアーム114によって所望どおりに把持された後、クリップアーム114を組織把持形態にロックするように構成されたロック要素を含んでもよい。一実施形態では、クリップアーム114の一方又は双方の近位部は、クリップアーム114が予め定められた距離だけカプセル108内に引き込まれた時、カプセル108の一部に係合するように構成された、横方向外方に延びるロッキングタブを含む。例えば、ロッキングタブは、カプセル108の壁の中又は壁を貫通して横方向に延びる、対応するサイズ、形状、及び配置を有するロッキングウィンドウ内に受容されて、組織クリップ形態でカプセル108に対してクリップアーム114をロックする。
【0023】
一実施形態では、両クリップアーム114の近位端118は、互いに連結されて、ヨーク120に連結される1つの一体的な要素を形成する。別の実施形態では、両近位端118は、ヨーク120を介して互いに連結される別個の要素として形成される。ヨーク120は、各クリップアーム114の近位端118に連結され、カテーテルアセンブリ104の制御部材112の拡大された遠位端122に離脱可能に連結されている。例えば、ヨーク120は、ヨーク120の長手軸線に沿ってヨーク120の近位端128にある近位開口部126から、カテーテルアセンブリ104の制御部材112の拡大された遠位端122を受承するサイズ及び形状を有する遠位部130まで延びる長手方向スロット124を含む。例示的な一実施形態では、拡大された遠位端122は、遠位部130の対応するサイズ及び形状を有するソケット内に受け入れられる膨らみとして構成される。近位開口部126と遠位部130との間に延びるスロット124の近位部132は、遠位部130の断面積よりも小さな断面積(例えば、直径)を有する。スロット124は、拡張して拡大された遠位端122を受承することができ、互いに向かって付勢されているため、拡大された遠位端122が遠位部130内に遠位方向に進行すると、対向部134は跳ね返って戻って拡大された遠位端122を遠位部130内にロックして、制御部材112をヨーク120に連結する。したがって、カプセル108に対する制御部材112の長手方向の移動は、組織受容形態と組織クリップ形態との間でクリップアーム114の動きを制御する。配備時には、制御部材112に増加した張力が付与される。クリップアセンブリ102が配備される間、両対向部134が互いに離間して制御部材112がヨーク120から離脱されるまで、前記張力が拡大された遠位端122によりスロット124の近位部132に付与される。
【0024】
この実施形態によれば、制御部材112の拡大された遠位端122は、ヨーク120の近位開口部126を経て遠位部130に挿入される。制御部材112が予め定められた閾値を超えてヨーク120内で遠位方向に押されると、スロット124の近位開口部126は、両対向部134が互いに離間することにより変形して、拡大された遠位端122が近位部132を通過して遠位部130の中に進むことを許容する。拡大された遠位端122が遠位部130内に受承されると、スロット124の近位部132は元のサイズに回復して、制御部材112の拡大された遠位端122を遠位部130に保持する。
【0025】
カプセル108は、近位端136から遠位端138まで延び、内部を貫通して長手方向に延びるチャンネル140を含む。チャンネル140は、その内部にヨーク120及びクリップアーム114の少なくとも近位部を摺動可能に受承するサイズ及び形状を有する。上記のように、カプセル108は、クリップアーム114の対応するロック要素(例えば、ロックタブ)に係合するロック要素(例えば、ロックウィンドウ)も含み得る。この実施形態では、近位端136は、カプラー106に予め組み付けられている。カプセル108は、カプラー106の対応するサイズ及び形状を有する係合要素を受承するために、近位端136を貫通して横方向に延びるウインドウ(図示せず)を含む。一実施形態では、カプセル108は、カプラー106に係合するための一対の径方向に対向するウインドウを含む。しかしながら、当業者であれば、カプセル108は、カプラー106の任意の数の対応する係合要素を受承するための任意の数のウインドウを含み得ることが理解できる。カプラー106は様々な連結のうちの任意の1つを用いてカプセル108に予め組み付けられる。
【0026】
カプラー106は、同カプラー内において近位端144から遠位端146まで延び、同カプラー内において貫通して延びるチャンネル148を含む。一実施形態では、上記のように、カプラー106の遠位端146は、カプセル108の近位端136に予め組み付けられており、カプラー106のチャンネル148は、カプセル108のチャンネル140に連通している。したがって、カテーテルアセンブリ104の制御部材112は、クリップアセンブリ102を装填する間、カプラー106及びカプセル108のチャンネル148,140中をそれぞれ進んでヨーク120に連結され得る。カプセル108の近位部は、カプラー106のチャンネル148内に受承されるサイズ及び形状を有し、カプラー106の遠位部の内方係合要素は、カプセル108のウインドウ(図示せず)内に受承されてカプラー106をカプセルに対して連結する。一実施形態では、カプラー106は、カプセル108の径方向において対向するウインドウ内に受承される一対の対向するタブ(図示せず)を含む。しかしながら、カプラー106は、カプラー106をカプセル108に連結するための任意の数のタブを含み得る。
【0027】
この実施形態のカプラー106の近位部は、カテーテルアセンブリ104のブッシング110に係合するように構成された複数のフィンガー152を含む。フィンガー152は、ブッシング110とカプラー106とが互いにスナップフィットするように、ブッシング110の遠位端160上に取り付けられている。両フィンガー152は、係合姿勢に付勢されているが、ブッシング110の遠位端160が両フィンガー内に受承されるように離間され得る。特には、各フィンガー152は内面に沿って延びる溝153を含み、溝153は、ブッシング110の遠位端160の対応する係合要素162又は隆起部を受承するサイズ及び形状を有する。隆起部162は、図3に示すように、ブッシング110の外面において周方向に延びる。遠位端160の隆起部162がフィンガーの間に挿入されたとき、フィンガー152は互いに離間する方向に偏位する。しかしながら、一旦隆起部162が溝153内に受承されると、両フィンガー152は自然な付勢によって内方にスナップするため、溝153及び隆起部162は互いに係合して、ブッシング110をカプラー106に連結する。各フィンガー152は、図2~3に示すように、その内面の遠位部に傾斜部150も含む。傾斜部150は、近位端154から遠位端156まで増す厚さを有し、以下でさらに詳細に説明するように、ブッシング110の外面の隆起部162にインターフェースするように構成されている。
【0028】
カプラー106の壁164の遠位部は、開いて(例えば、離間して、割れて、又は破砕して)、カプセル108をカプラー106から離脱するように構成された径方向において対向する2組のVノッチ158を含む。具体的には、Vノッチ158は、近位Vノッチ166と遠位Vノッチ168とを含む。近位Vノッチ166は、近位端から遠位端に向かって細くなり、遠位Vノッチ168は、Vノッチ166,168の尖端が互いに最も接近するように、遠位端から近位端に向かって細くなる。Vノッチ158の各セットは、カプセル108の近位の移動によって近位方向への力が付与されたときに開く(例えば、離間する、破砕する、又は割れる)ように構成されている。したがって、カプラー106は、カプラー106の中心長手軸線に平行をなす径方向において対向する2つの長手軸線に沿って開くように構成される。2つのVノッチ158の開口部は、カプラー106の遠位端146を拡張可能にして、カプラー106の係合要素がカプセル108のウインドウから離脱可能にする。カプラー106がカテーテルアセンブリ104のブッシング110から離脱されるのを防止するために、壁164の遠位側に配置された一対のループ部170は、図2,3に示すように、各Vノッチセット158の第1の側から各Vノッチセット158の第2の側に延びる。したがって、Vノッチ166,168が開いた時、カプラー106はブッシング110の周囲でループ部170により保持される。
【0029】
図4~6に示すように、ループ部170の各形状は、カプセル108を離脱するためにカプラー106に必要とされる偏位量に基づいて変更することができる。例えば、いくつかの場合には、カプラー106の遠位端146のより大きな偏位、すなわちより大きな外方への拡張が好ましい場合がある。別例では、より少ない偏位が好ましい場合がある。カプラー106の遠位端により多くの偏位を形成するために、ループ部170は、例えば、射出成形されたポリマー、アクリル、ポリカーボネートなどのような可撓性材料で形成され得る。逆に、より剛性の高い材料から形成されたループ部170は、拡張量がより少なくなる。別の実施形態では、図4,5に示すように、(図6のループ部170と比較して)より短いループ部170を有し、その結果、カプラー106の拡張量がより少なくなる。逆に、図6のループ部170はより長く、カプラー106をより大きく偏位させる。さらに、Vノッチ166,168のサイズは、カプラー106の遠位端146の偏位量を増加又は減少させるために変更することができる。例えば、図5に示すより大きな遠位Vノッチ168は、破砕することなく、図4,6に示すより小さな遠位Vノッチ168と比較して遠位端146のより大きな偏位を可能にする。
【0030】
カテーテルアセンブリ104は、ブッシング110、同ブッシングから近位方向に延びる可撓性部材172、及び可撓性部材172及びブッシング110を貫通して長手方向に延びる制御部材112を含む。可撓性部材172の近位端(図示せず)は、ハンドル部分に連結することができる。この実施形態における制御部材112の近位端(図示せず)は、ハンドル部分のアクチュエータに連結されて、可撓性部材172及びブッシング110に対する制御部材112の長手方向への移動は、ハンドル部分で使用者によって制御される。
【0031】
可撓性部材172はワイヤのコイルとして形成され、同コイル中を通過して制御部材112が拡大された遠位端122から近位端(図示せず)まで延びる。ワイヤのコイルは、好ましくは、生体内の蛇行路内でさえも進行する十分な柔軟性を有し(例えば、可撓性を有する内視鏡が通過可能な任意の経路に沿って同内視鏡中を通過して進むことを可能にする可撓性を有する)、内視鏡又は他の挿入装置のワーキングチャンネル内を進むことができるようなサイズ及び形状を有する。可撓性部材172は、ワイヤのコイルとして示され説明されているが、当業者であれば、可撓性部材172は、クリップアセンブリ102から制御部材112に付与される張力に対抗する十分な圧縮力を設けることができるものであれば、別の任意の適切な可撓性構造を使用できることが理解できる。当業者であれば、カテーテルアセンブリ104は、制御部材112を移動させてクリップアーム114の移動を制御するために、任意の様々な作動機構を含みうることが理解できる。
【0032】
ブッシング110は、可撓性部材172に連結された近位端から、カプラー106に離脱可能に連結される遠位端160まで長手方向に延びる。制御部材112は、ブッシング110のルーメン174内を延びる。ブッシング110の遠位部176は、カプラー106の複数のフィンガー152の間に挿入されるサイズ及び形状を有し、ブッシング110の遠位端160の隆起部162はカプラー106のフィンガー152の溝153に受承されて係合される。
【0033】
ブッシング110をカプラー106から離脱させてクリップアセンブリ102を身体内に配備することが望まれる場合、カプラー106は、制御部材112をカプラーに対して近位方向に引くことにより近位方向に移動される。具体的には、クリップアセンブリ102が組織クリップ形態でロックされると、制御部材112の近位方向の移動は、ヨーク120を介してカプセル108を近位方向に引き寄せるため、カプラー106は、ブッシング110に抗して近位方向に引かれる。近位方向に働く力が続くと、カプラー106は、傾斜部150を介してブッシング110の隆起部162上に引かれる。傾斜部150がさらに近位方向に引かれると、フィンガー152は、傾斜部150に対する隆起部162の外方の力によってカプラー106の長手軸線から径方向外方に偏位されて、Vノッチ166,168を破砕させる。Vノッチ166,168が破砕すると、カプラー106の遠位端146は拡張可能になり、カプセル108を離脱する。Vノッチ166,168が破砕した後、ループ部170は、カプラー106が割れてクリップアセンブリ102から離脱するのを防止して、カプラー106がカテーテルアセンブリ104とともに体外に抜去されるようにカプラー106をブッシング110に保持する。
【0034】
クリップアセンブリ102をカテーテルアセンブリ104に装填するための例示的な方法は、制御部材112をヨーク120に連結する工程と、ブッシング110をカプラー106を介してカプセル108に連結する工程とを含む。制御部材112の拡大された遠位端122は、ヨーク120の近位開口部126に対して、加えられる遠位方向への力が予め定められた閾値を超えるまで拡大された遠位端122を遠位方向に押して、拡大された遠位端122の対向部134を互いに離間する方向に偏位させて拡大された遠位端122が長手方向スロット124の遠位部130内に遠位方向に移動することを可能にすることにより、ヨークを介してクリップアーム114に連結される。一旦拡大された遠位端122が遠位部130内に受承されると、対向部134は元の姿勢に回復し、拡大された遠位端122をヨーク120内に保持する。ブッシング110は、カプラー106とブッシング110とがスナップフィットを介して互いに係合するように、ブッシング110の一部をカプラー106のフィンガー152の間に挿入することによりカプラー106を介してカプセル108に連結される。カプセル108の近位端136は、カプラー106の遠位端146の中に挿入される。ブッシング110がカプセル108に離脱可能に連結され、拡大された遠位端122がヨーク120に連結されると、制御部材112は、閉じたクリップ形態に向かってクリップアセンブリ102を引っ張るために近位に移動される。
【0035】
使用中には、クリップアセンブリ102がカテーテルアセンブリ104に装填された後、クリップアセンブリ102は、内視鏡(又は他の任意の挿入装置)のワーキングチャンネル内を経て体内に(例えば、自然の体管腔内を通過して)挿入されて、挟持されるべき組織の標的部分に隣接する部位まで挿入される。クリップアセンブリ102は、損傷を低減し、且つワーキングチャンネル内を通過して進みやすくする為に、組織クリップ形態で標的組織まで挿入される。標的組織の部位に到達すると、クリップアセンブリ102は、ワーキングチャンネルの遠位端から前進され、制御部材112は、ブッシング110に対して遠位方向に移動されて、クリップアーム114をカプセル108の外側に遠位方向に延ばして組織受容形態にする。標的組織がクリップアーム114の間に受承されるようにクリップアセンブリ102が配置されると、クリップアセンブリ102は、標的組織がその両遠位端間に把持されるように(制御部材112を近位に引くことによって)組織クリップ形態に向かって移動される。クリップアーム114は、ブッシング110及びカプセル108に対して制御部材112を近位方向に引くことによって、組織クリップ形態に向かって移動される。クリップアセンブリ102が組織クリップ形態をなすと、制御部材112はさらに近位に引かれてクリップアーム114をカプセル108にロックする。
【0036】
クリップアセンブリ102を配備するために、カプセル108に取り付けられたカプラー106がブッシング110に対して近位方向に引かれるまで、制御部材112がカプセル内に近位方向に引き込まれる。カプラー106をさらに近位方向に移動させることにより、ブッシング110の隆起部162は、連結フィンガー152の傾斜部150に対して遠位方向に摺動し、フィンガー152を径方向外方に偏位させる。カプラー106をさらに近位方向に移動させると、ブッシング110の隆起部162は、Vノッチセット158に付与された張力によってVノッチセット158が開くまで、カプラー106のフィンガー152を拡張させる。Vノッチセット158が開くと、カプラー106の遠位端は、カプセル108をそこから離脱するのに十分に拡張できるが、ループ部170は、破砕したカプラー106を保持して、カプラー106の近位端がブッシング110の遠位端から離脱されるまで十分に拡張することを防止する。
【0037】
カプセル108がカプラー106から離脱すると、制御部材112は、拡大された遠位端122がヨーク120から離脱するまで、さらに近位方向に引かれる。特には、拡大された遠位端122によってヨーク120に付与される力が予め定められた閾値を超えると、両対向部134が離間して、拡大された遠位端が離脱される。代替的には、ヨーク120は破砕して、クリップアセンブリ102が制御部材112から離脱させる。次に、制御部材112及びブッシング110を含むカテーテルアセンブリ104全体を体内から近位方向に引き抜いて、クリップアセンブリ102(及びクリップアセンブリ102に取り付けられたままのカプラー106の任意の部分)を標的組織上に挟持した状態で留置できる。カプラー106は、カテーテルアセンブリ104の先端から手動で取り外すことができる。所望に応じて、新しいクリップアセンブリ102を上記と同じ方法でカテーテルアセンブリ104に装填することができる。この工程は、同一のカテーテルアセンブリ104を使用して必要又は所望の回数だけ繰り返すことができる。
【0038】
図7に示すように、本発明の別の例示的な実施形態によるカプラー206は、Vノッチ258の各セットが壁264内に横方向に延びる第3のVノッチ280を含むことを除いて、カプラー106にほぼ類似する。具体的には、カプラー106と同様に、カプラー206の壁264は、割れたり、破砕したりしてカプセル208をカプラー206から離脱するように構成された2つの径方向に対向するVノッチ258のセットを含む。具体的には、各Vノッチは、近位Vノッチ266と遠位Vノッチ268とを含む。近位Vノッチは、近位端から遠位端に向かって細くなり、遠位Vノッチ268は、Vノッチ266,268の尖端が互いに最も接近するように、遠位端から近位端に向かって細くなっている。さらに、図7で確認できるように、Vノッチ258のセットは、壁264に横方向に切り込まれた第3のVノッチ280を含む。図に示すように、第3のVノッチ280は、壁264の近位端から壁264の遠位端まで延び、近位ノッチ266及び遠位のVノッチ268を連結する。第3のVノッチ280は、壁264の厚み(すなわち、カプラー206の内面と外面との間のカプラー206の長手軸線に直交して延びる寸法)を貫通して部分的にのみ延びる。壁264への第3のVノッチ280の深さは、カプラー206を破砕するのに必要な好ましい力の量に応じて変更し得る。すなわち、第3のVノッチ280は、使用者が、カプラー206を開くのに必要な力の量をより細かく制御することを可能にする。浅い第3のVノッチ280は、より深い第3のVノッチ280よりも大きな力を必要とする。Vノッチ258の各セットは、カプセル208を介して近位方向に働く圧縮力が加えられたときに開く(分離する、破砕する、又は割れる)ように構成される。したがって、カプラー206は、カプラー206の中心長手軸線に平行をなす2つの径方向に対向する長手軸線に沿って開くように構成される。2つのVノッチセット258を開くことにより、カプラー206の遠位端246は拡張し、カプセル208はカプラー206から離脱される。
【0039】
例示的な実施形態は、カプラーを介してクリップアセンブリをカテーテルアセンブリに装填するように構成された特定のシステムを示して説明しているが、当業者であれば、本発明は、カプラーがカプセルに予め組み付けられて、クリップアセンブリを配備する際に、たわむ、破砕する、及び/又はカプセルから分離可能なものであれば、クリップアセンブリのカプセルをカテーテルアセンブリに連結するために任意のカプラーを含むことが理解できる。クリップアセンブリが配備されると、カプラー(又はその残りの部分)をカテーテルアセンブリのブッシングから取り外して、カテーテルアセンブリに新しいクリップアセンブリを装填することができる。
【0040】
当業者であれば、本発明の概念から逸脱することなく、上記実施形態に変更を加えることができることが理解できる。さらに、実施形態の1つに対応する構造的な要素及び方法は、別の実施形態に組み込むことができることを理解されたい。したがって、本発明は、発明された特定の実施形態に限定されず、むしろ、添付特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内で変更形態も包含されることが理解される。
(付記)
(付記1)
組織を治療するためのシステムにおいて、
クリップアセンブリは、一対のクリップアームを含み、各クリップアームは、近位端から遠位端まで延び、両クリップアームの近位端は、カプセルのチャンネル内に摺動可能に受承され、両クリップアームの遠位端が互いに離間した組織受容形態と、両クリップアームの遠位端が互いに接近した組織クリップ形態との間で移動されることと、
カテーテルアセンブリは、ブッシングと、同ブッシングの中を貫通して延びる制御部材とを含み、前記制御部材は、前記クリップアームに連結される遠位端を備えて組織受容形態と組織クリップ形態との間で前記クリップアセンブリを移動させることと、
カプラーは、前記カプセルの近位端に離脱可能に連結される遠位部と、前記カテーテルアセンブリの遠位端に連結される近位部とを備え、前記近位部は前記遠位部から前記近位部の近位端まで延びる複数のフィンガーを含み、前記遠位部は前記複数のフィンガーを互いに連結させる壁において、互いに対向する面から、互いに接近する方向に延びる一対のVノッチを形成し、前記制御部材を介して前記カプラーに付与される近位方向に作用する力が第1の予め定められた閾値を超えた時、前記一対のVノッチが裂けることにより前記カプラーは割れて前記カプラーから前記カプセルを離脱して前記クリップアセンブリを配備するように構成されていることと
を特徴とする組織を治療するためのシステム。
(付記2)
前記クリップアームの近位端は、前記制御部材の拡大された遠位端に離脱可能に連結されるヨークを介して互いに連結されている、付記1に記載のシステム。
(付記3)
前記複数のフィンガーは、前記ブッシングの遠位部上に取り付け可能である、付記1又は2に記載のシステム。
(付記4)
前記一対のVノッチは、前記壁の近位端から延びる近位Vノッチと、前記壁の遠位端から延びる遠位Vノッチとを含む、付記1~3のいずれか一つに記載のシステム。
(付記5)
前記カプラーは、前記ブッシングの外面において周方向に延びる隆起部と相互作用するように構成された傾斜部を含み、近位方向への力が前記カプラーに付与された時、前記傾斜部は前記隆起部上を近位方向に移動されて、前記カプラーの壁を径方向外方に拡張して前記一対のVノッチの部分が割れるように構成されている、付記1に記載のシステム。
(付記6)
各Vノッチは、前記カプラーの外面から前記カプラーの壁内に延びる第3のVノッチを含む、付記1に記載のシステム。
(付記7)
前記カプラーは、各Vノッチの第1の側から各Vノッチの第2の側に延びるループ部を含み、前記ループ部は、前記カプラーが割れる時、前記カプラーが前記ブッシングの遠位端から離脱することを防止する、付記1に記載のシステム。
(付記8)
組織を治療するためのシステムにおいて、
クリップアセンブリは、一対のクリップアーム及びカプセルを含み、各クリップアームは、近位端から遠位端まで延びており、両クリップアームの近位端は、前記カプセルのチャンネル内に摺動可能に受承されて、両クリップアームの遠位端が互いに離間した組織受容形態と、両クリップアームの遠位端が互いに接近した組織クリップ形態との間で移動されることと、
カテーテルアセンブリは内部を通って延びる制御部材を含み、前記制御部材は、前記クリップアームに連結される遠位端を備えて、組織受容形態と組織クリップ形態との間で前記クリップアセンブリを移動させることと、
カプラーは、前記クリップアセンブリの近位端に離脱可能に連結される遠位部と、前記カテーテルアセンブリの遠位端に連結される近位部とを備え、前記近位部は前記遠位部から前記近位部の近位端まで延びる複数のフィンガーを含み、前記遠位部は前記複数のフィンガーを互いに連結させる壁において、互いに対向する面から、互いに接近する方向に延びる一対のVノッチを形成し、前記制御部材を介して前記カプラーに付与される近位方向に作用する力が予め定められた閾値を超えたとき、前記一対のVノッチが裂けることにより前記カプラーは割れて前記カプラーから前記カプセルを離脱して前記クリップアセンブリを配備するように構成されていることと
を特徴とする組織を治療するためのシステム。
(付記9)
前記カテーテルアセンブリは、その遠位端にブッシングを含み、前記ブッシングは、前記カプラーの近位部に連結される、付記8に記載のシステム。
(付記10)
前記一対のVノッチは、前記壁の近位端から延びる近位Vノッチとカプラーの壁の遠位端から延びる遠位Vノッチとを含む、付記8に記載のシステム。
(付記11)
前記カプラーは、前記ブッシングの外面において周方向に延びる隆起部と相互作用する傾斜部を含み、近位方向への力が前記カプラーに付与された時、前記傾斜部は前記隆起部上を近位方向に移動され、前記カプラーの壁を径方向外方に拡張して前記一対のVノッチの部分が割れるように構成されている、付記9に記載のシステム。
(付記12)
各Vノッチは、前記カプラーの外面から前記カプラーの壁の中に延びる第3のVノッチを含む、付記9に記載のシステム。
(付記13)
前記カプラーは、各Vノッチの第1の側から各Vノッチの第2の側に延びるループ部を含み、前記ループ部は、前記カプラーが割れる時、前記カプラーが前記ブッシングの遠位端から離脱することを防止する、付記9に記載のシステム。
(付記14)
前記クリップアームの近位端は、前記制御部材の拡大された遠位端に離脱可能に連結されるヨークを介して互いに連結されている、付記8に記載のシステム。
(付記15)
前記複数のフィンガーは、前記ブッシングの遠位部上に取り付け可能である、付記9~13のいずれか一つに記載のシステム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7