(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054237
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】人力駆動車用制御装置
(51)【国際特許分類】
B62M 6/45 20100101AFI20230406BHJP
B62M 25/08 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
B62M6/45
B62M25/08
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025908
(22)【出願日】2023-02-22
(62)【分割の表示】P 2018192519の分割
【原出願日】2018-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】高山 仁志
(72)【発明者】
【氏名】謝花 聡
(57)【要約】
【課題】人力駆動車の快適な走行に貢献できる人力駆動車用制御装置を提供する。
【解決手段】人力駆動車に用いられる人力駆動車用制御装置であって、前記人力駆動車は、クランクと、前記クランクを予め定める回転方向に回転させることによって駆動される駆動輪と、前記クランクの回転速度に対する前記駆動輪の回転速度の比率を変更するための変速装置と、前記クランクに加えられる人力駆動力に対する前記クランクの抗力を調節可能な抗力調節部と、を含み、人力駆動車用制御装置は、前記比率が変更される場合、前記クランクの抗力が大きくなるように前記抗力調節部を制御するように構成される第1制御部を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車に用いられる人力駆動車用制御装置であって、
前記人力駆動車は、
クランクと、
前記クランクを予め定める回転方向に回転させることによって駆動される駆動輪と、
前記クランクの回転速度に対する前記駆動輪の回転速度の比率を変更するための変速装置と、
前記クランクに加えられる人力駆動力に対する前記クランクの抗力を調節可能な抗力調節部と、を含み、
前記人力駆動車用制御装置は、
前記比率が変更される場合、前記クランクの抗力が大きくなるように前記抗力調節部を制御するように構成される第1制御部を含む、人力駆動車用制御装置。
【請求項2】
前記第1制御部は、前記比率が小さくなる場合、および、前記比率が大きくなる場合の少なくとも一方において、前記クランクの抗力が大きくなるように前記抗力調節部を制御するように構成される、請求項1に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項3】
前記クランクの回転速度、前記人力駆動車の走行速度、前記人力駆動車の走行抵抗、前記人力駆動力、および、前記人力駆動車の傾斜状態の少なくとも1つに応じて前記変速装置を制御するように構成される第2制御部をさらに含む、請求項1または2に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項4】
前記抗力調節部は、前記クランクに接続される電気モータを含み、
前記第1制御部は、前記電気モータに回転トルクを発生させることによって、前記クランクの抗力を調節するように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項5】
前記電気モータは、回生制動によって前記回転トルクを発生するように構成される、請求項4に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項6】
前記電気モータは、前記人力駆動車の推進力をアシストするように構成される、請求項4または5に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項7】
前記第1制御部は、前記人力駆動力に応じて前記電気モータを制御するように構成される、請求項6に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項8】
前記第1制御部は、前記人力駆動力が第6の値以上の場合、前記人力駆動車の推進力をアシストするように前記電気モータを制御可能に構成され、前記人力駆動力が第7の値未満の場合、前記人力駆動車の推進力をアシストしないように前記電気モータを制御可能に構成される、請求項7に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項9】
前記電気モータは、前記クランクの近傍に設けられる、請求項4から8のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項10】
前記電気モータは、ツーウェイクラッチまたは直結クラッチを介して前記クランクに接続される、請求項4から9のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項11】
前記抗力調節部は、前記人力駆動車の車輪を制動するように構成される制動装置を含み、
前記第1制御部は、前記制動装置に前記車輪を制動させることによって、前記クランクの抗力を調節するように構成される、請求項1から10のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項12】
前記車輪は、前記駆動輪を含み、
前記制動装置は、前記駆動輪を制動するように構成される、請求項11に記載の人力駆動車用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力駆動車用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人力駆動車に用いられる人力駆動車用制御装置が知られている。従来の人力駆動車用制御装置は、人力駆動車に搭載される各種のコンポーネントを制御する。特許文献1は、従来の人力駆動車用制御装置の一例を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人力駆動車に搭乗する搭乗者が快適に走行できることが望ましい。
本発明の目的の1つは、人力駆動車の快適な走行に貢献できる人力駆動車用制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従う人力駆動車用制御装置は、人力駆動車に用いられる人力駆動車用制御装置であって、前記人力駆動車は、クランクと、前記クランクを予め定める回転方向に回転させることによって駆動される駆動輪と、前記クランクに加えられる人力駆動力に対する前記クランクの抗力を調節可能な抗力調節部と、を含み、前記人力駆動車用制御装置は、前記クランクが前記予め定める回転方向に回転している状態において、前記人力駆動車の走行状態に応じて、前記クランクの抗力が大きくなるように前記抗力調節部を制御するように構成される第1制御部を含む。
第1側面の人力駆動車用制御装置によれば、クランクの抗力が調節されるため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0006】
本開示の第1側面に従う第2側面の人力駆動車用制御装置において、前記走行状態は、前記クランクの回転速度、前記人力駆動力、および、前記人力駆動車の車輪の回転速度の少なくとも1つを含む。
第2側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車の走行状態に応じて抗力調節部が好適に制御されるため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0007】
本開示の第2側面に従う第3側面の人力駆動車用制御装置において、前記第1制御部は、前記クランクの回転速度の変化量が第1の値以上であり、前記人力駆動力が第2の値未満の場合、前記クランクの抗力が大きくなるように前記抗力調節部を制御するように構成される。
第3側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0008】
本開示の第2または第3側面に従う第4側面の人力駆動車用制御装置において、前記第1制御部は、前記クランクの回転速度と、前記車輪の回転速度とが、予め定める関係を満たしていない場合、前記クランクの抗力が大きくなるように前記抗力調節部を制御するように構成される。
第4側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0009】
本開示の第2~第4側面のいずれか1つに従う第5側面の人力駆動車用制御装置において、前記第1制御部は、前記クランクの回転速度と、前記車輪の回転速度とが、予め定める関係を満たしておらず、かつ、前記人力駆動力が第3の値未満の場合、前記クランクの抗力が大きくなるように前記抗力調節部を制御するように構成される。
第5側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0010】
本開示の第2~第5側面のいずれか1つに従う第6側面の人力駆動車用制御装置において、前記第1制御部は、前記クランクの回転速度が第4の値以上であり、前記人力駆動力が第5の値未満の場合、前記クランクの抗力が大きくなるように前記抗力調節部を制御するように構成される。
第6側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0011】
本開示の第1~第6側面のいずれか1つに従う第7側面の人力駆動車用制御装置において、前記人力駆動車は、前記クランクの回転速度に対する前記駆動輪の回転速度の比率を変更するための変速装置をさらに含む。
第7側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0012】
本開示の第7側面に従う第8側面の人力駆動車用制御装置において、前記クランクの回転速度、前記人力駆動車の走行速度、前記人力駆動車の走行抵抗、前記人力駆動力、および、前記人力駆動車の傾斜状態の少なくとも1つに応じて前記変速装置を制御するように構成される第2制御部をさらに含む。
第8側面の人力駆動車用制御装置によれば、変速装置が好適に制御されるため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0013】
本開示の第8側面に従う第9側面の人力駆動車用制御装置において、前記第2制御部は、前記第1制御部が前記クランクの抗力が大きくなるように前記抗力調節部を制御している間に前記変速装置による変速を実行し、前記第1制御部は、前記第2制御部によって前記変速装置による変速が完了した後、前記抗力調節部によって生じる前記クランクの抗力が小さくなるように前記抗力調節部を制御する。
第9側面の人力駆動車用制御装置によれば、クランクの抗力が大きくなるように抗力調節部が制御される状態が変速装置による変速が完了するまで継続されるため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0014】
本開示の第10側面に従う人力駆動車用制御装置は、人力駆動車に用いられる人力駆動車用制御装置であって、前記人力駆動車は、クランクと、前記クランクを予め定める回転方向に回転させることによって駆動される駆動輪と、前記クランクの回転速度に対する前記駆動輪の回転速度の比率を変更するための変速装置と、前記クランクに加えられる人力駆動力に対する前記クランクの抗力を調節可能な抗力調節部と、を含み、前記人力駆動車用制御装置は、前記比率が変更される場合、前記クランクの抗力が大きくなるように前記抗力調節部を制御するように構成される第1制御部を含む。
第10側面の人力駆動車用制御装置によれば、クランクの抗力が調節されるため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0015】
本開示の第10側面に従う第11側面の人力駆動車用制御装置において、前記第1制御部は、前記比率が小さくなる場合、および、前記比率が大きくなる場合の少なくとも一方において、前記クランクの抗力が大きくなるように前記抗力調節部を制御するように構成される。
第11側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0016】
本開示の第10または第11側面に従う第12側面の人力駆動車用制御装置において、前記クランクの回転速度、前記人力駆動車の走行速度、前記人力駆動車の走行抵抗、前記人力駆動力、および、前記人力駆動車の傾斜状態の少なくとも1つに応じて前記変速装置を制御するように構成される第2制御部をさらに含む。
第12側面の人力駆動車用制御装置によれば、変速装置が好適に制御されるため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0017】
本開示の第1~第12側面のいずれか1つに従う第13側面の人力駆動車用制御装置において、前記抗力調節部は、前記クランクに接続される電気モータを含み、前記第1制御部は、前記電気モータに回転トルクを発生させることによって、前記クランクの抗力を調節するように構成される。
第13側面の人力駆動車用制御装置によれば、クランクの抗力を好適に調節できる。
【0018】
本開示の第13側面に従う第14側面の人力駆動車用制御装置において、前記電気モータは、回生制動によって前記回転トルクを発生するように構成される。
第14側面の人力駆動車用制御装置によれば、クランクの抗力を好適に調節できる。
【0019】
本開示の第13または第14側面に従う第15側面の人力駆動車用制御装置において、前記電気モータは、前記人力駆動車の推進力をアシストするように構成される。
第15側面の人力駆動車用制御装置によれば、1つの電気モータが人力駆動車の推進力をアシストする機能、および、クランクの抗力を調節する機能を有するため、人力駆動車を簡素に構成できる。
【0020】
本開示の第15側面に従う第16側面の人力駆動車用制御装置において、前記第1制御部は、前記人力駆動力に応じて前記電気モータを制御するように構成される。
第16側面の人力駆動車用制御装置によれば、電気モータを好適に制御できる。
【0021】
本開示の第16側面に従う第17側面の人力駆動車用制御装置において、前記第1制御部は、前記人力駆動力が第6の値以上の場合、前記人力駆動車の推進力をアシストするように前記電気モータを制御可能に構成され、前記人力駆動力が第7の値未満の場合、前記人力駆動車の推進力をアシストしないように前記電気モータを制御可能に構成される。
第17側面の人力駆動車用制御装置によれば、電気モータを好適に制御できる。
【0022】
本開示の第13~第17側面のいずれか1つに従う第18側面の人力駆動車用制御装置において、前記電気モータは、前記クランクの近傍に設けられる。
第18側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車を簡素に構成できる。
【0023】
本開示の第13~第18側面のいずれか1つに従う第19側面の人力駆動車用制御装置において、前記電気モータは、ツーウェイクラッチまたは直結クラッチを介して前記クランクに接続される。
第19側面の人力駆動車用制御装置によれば、電気モータとクランクとを好適に接続できる。
【0024】
本開示の第1~第19側面のいずれか1つに従う第20側面の人力駆動車用制御装置において、前記抗力調節部は、前記人力駆動車の車輪を制動するように構成される制動装置を含み、前記第1制御部は、前記制動装置に前記車輪を制動させることによって、前記クランクの抗力を調節するように構成される。
第20側面の人力駆動車用制御装置によれば、クランクの抗力を好適に調節できる。
【0025】
本開示の第20側面に従う第21側面の人力駆動車用制御装置において、前記車輪は、前記駆動輪を含み、前記制動装置は、前記駆動輪を制動するように構成される。
第21側面の人力駆動車用制御装置によれば、クランクの抗力を好適に調節できる。
【発明の効果】
【0026】
本開示の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】第1実施形態の人力駆動車用制御装置を含む人力駆動車の側面図。
【
図2】
図1の人力駆動車の動力伝達経路の一例を示すブロック図。
【
図3】
図1の人力駆動車用制御装置と各種の要素との接続関係を示すブロック図。
【
図4】
図3の第2制御部が実行する制御の一例を示すフローチャート。
【
図5】
図3の第1制御部が実行する制御の一例を示すフローチャート。
【
図6】第2実施形態の人力駆動車用制御装置において、第1制御部が実行する制御の一例を示すフローチャート。
【
図7】第3実施形態の人力駆動車用制御装置において、第1制御部が実行する制御の一例を示すフローチャート。
【
図8】第4実施形態の人力駆動車用制御装置において、第1制御部が実行する制御の一例を示すフローチャート。
【
図9】第5実施形態の人力駆動車用制御装置において、第1制御部が実行する制御の一例を示すフローチャート。
【
図10】第6実施形態の人力駆動車用制御装置において、第1制御部が実行する制御の一例を示すフローチャート。
【
図11】第7実施形態の人力駆動車用制御装置において、第1制御部が実行する制御の一例を示すフローチャート。
【
図12】第8実施形態の人力駆動車用制御装置において、第1制御部が実行する制御の一例を示すフローチャート。
【
図13】第9実施形態の人力駆動車用制御装置において、第1制御部が実行する制御の一例を示すフローチャート。
【
図14】変形例の人力駆動車の動力伝達経路の一例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1実施形態)
図1~
図3を参照して、第1実施形態の人力駆動車用制御装置60について説明する。以下では、人力駆動車用制御装置60を、単に制御装置60と記載する。制御装置60は、人力駆動車10に用いられる。人力駆動車10は、少なくとも人力駆動力HPによって駆動することができる車両である。人力駆動車10は、車輪の数が限定されず、例えば1輪車および3輪以上の車輪を有する車両も含む。人力駆動車10は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、リカンベントなどの種々の自転車を含む。自転車は、電気モータ42Aによって駆動力が与えられる電動自転車(E-bike)を含む。電動自転車は、電気モータ42Aによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下の実施形態において、人力駆動車10を、2つの車輪16を有する自転車として説明する。
【0029】
図1に示されるように、人力駆動車10は、フレーム12、フロントフォーク14、車輪16、および、ハンドルバー18を含む。一例では、人力駆動車10は、クランク20と、クランク20を予め定める回転方向に回転させることによって駆動される駆動輪16Bと、クランク20に加えられる人力駆動力HPに対するクランク20の抗力を調節可能な抗力調節部40と、を含む。クランク20には、人力駆動力HPが入力される。クランク20は、フレーム12に対して回転可能なクランク軸20Aと、クランク軸20Aの軸方向の両端部にそれぞれ設けられるクランクアーム20Bとを含む。各クランクアーム20Bには、一対のペダル22が個別に連結される。駆動輪16Bは、クランク20が予め定める回転方向に回転することによって駆動される。予め定める回転方向は、例えば人力駆動車10を前進させるためにクランク20を回転させる方向である。駆動輪16Bは、フレーム12に支持される。クランク20と駆動輪16Bとは、駆動機構24によって連結される。
【0030】
駆動機構24は、クランク軸20Aに結合される第1回転体26を含む。第1回転体26は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。駆動機構24は、連結部材28および第2回転体30をさらに含む。連結部材28は、第1回転体26の回転力を第2回転体30に伝達する。連結部材28は、例えばチェーン、ベルト、または、シャフトを含む。第2回転体30は、駆動輪16Bに連結される。第2回転体30は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。第2回転体30と駆動輪16Bとの間には、ワンウェイクラッチ32が設けられる。ワンウェイクラッチ32は、第2回転体30が前転した場合に駆動輪16Bを前転させ、第2回転体30が後転した場合に駆動輪16Bを後転させないように構成される。人力駆動車10に搭乗する搭乗者によってペダル22に加えられる人力駆動力HPは、第1回転体26、連結部材28、および、第2回転体30を介して駆動輪16Bに伝達される。
【0031】
車輪16は、従動輪16Aおよび駆動輪16Bを含む。本実施形態では、人力駆動車10の前輪が従動輪16Aであり、人力駆動車10の後輪が駆動輪16Bである。前輪は、フロントフォーク14を介してフレーム12に取り付けられる。後輪は、フレーム12のリアエンド12Aに取り付けられる。ハンドルバー18は、ステム18Aを介してフレーム12に連結される。以下の実施形態では、前輪を従動輪16A、後輪を駆動輪16Bとして説明するが、前輪が駆動輪16B、後輪が従動輪16Aであってもよい。
【0032】
人力駆動車10は、クランク20の回転速度RCに対する駆動輪16Bの回転速度の比率を変更するための変速装置34をさらに含む。クランク20の回転速度RCに対する駆動輪16Bの回転速度の比率は、人力駆動車10の変速比GRと同義である。変速装置34は、変速機36と、変速機36を駆動するように構成される電動アクチュエータ34Aとを含む。変速機36は、例えばフロントディレーラ、リアディレーラ、および、内装変速機の少なくとも1つを含む。変速機36は、フロントディレーラ、リアディレーラ、内装変速機、あるいは、フロントディレーラ、リアディレーラ、および、内装変速機のうちの任意の組合せを含む。電動アクチュエータ34Aは、電気モータを含む。
【0033】
本実施形態では、変速機36は、フロントディレーラ36Aおよびリアディレーラ36Bを含む。本実施形態では、第1回転体26および第2回転体30は、複数のスプロケットを含む。フロントディレーラ36Aは、第1回転体26付近に設けられる。フロントディレーラ36Aの駆動に伴って、連結部材28が巻き掛けられる第1回転体26のスプロケットが変更され、人力駆動車10の変速比GRが変更される。リアディレーラ36Bは、フレーム12のリアエンド12Aに設けられる。リアディレーラ36Bの駆動に伴って、連結部材28が巻き掛けられる第2回転体30のスプロケットが変更され、人力駆動車10の変速比GRが変更される。一例では、変速操作装置34Bの操作に応じて、対応する変速装置34が駆動される。変速装置34は、人力駆動車10に搭載されるバッテリ38から供給される電力、または、変速装置34に搭載される専用の電源から供給される電力によって動作する。変速機36が内装変速機を含む場合、内装変速機は、例えば駆動輪16Bのハブに設けられる。変速装置34から電動アクチュエータ34Aを省略してもよく、この場合、変速操作装置34Bと変速機36とは、例えばボーデンケーブルを介して接続される。本実施形態では、電動アクチュエータ34Aは、後述する第2制御部66によって制御される。電動アクチュエータ34Aは、例えば有線または無線によって第2制御部66に接続される。
【0034】
変速装置34は、複数の変速段を有する。フロントディレーラ36Aは、1または複数の変速段を有する。フロントディレーラ36Aが有する変速段の数は、第1回転体26のスプロケットの枚数に対応する。リアディレーラ36Bは、1または複数の変速段を有する。リアディレーラ36Bが有する変速段の数は、第2回転体30のスプロケットの枚数に対応する。変速装置34が有する変速段の数は、フロントディレーラ36Aが有する変速段の数と、リアディレーラ36Bが有する変速段の数との積によって決められる。一例では、変速装置34の変速段が変更されることによって、人力駆動車10の変速比GRが変更される。人力駆動車10の変速比GRは、フロントディレーラ36Aの変速段に応じた第1回転体26のスプロケットの歯数と、リアディレーラ36Bの変速段に応じた第2回転体30のスプロケットの歯数との関係によって決められる。
【0035】
人力駆動車10は、人力駆動車10の推進力をアシストするドライブユニット42をさらに含む。ドライブユニット42は、例えばペダル22に加えられる人力駆動力HPに応じて動作する。ドライブユニット42は、電気モータ42Aを含む。電気モータ42Aは、クランク20の近傍に設けられる。電気モータ42Aは、クランク20に接続される。ドライブユニット42は、人力駆動車10に搭載されるバッテリ38から供給される電力によって動作する。電気モータ42Aは、駆動輪16Bに設けられてもよい。
【0036】
人力駆動車10は、車輪16に制動力を与えるように構成される制動装置44をさらに含む。本実施形態では、前輪および後輪のそれぞれに対応する2つの制動装置44が人力駆動車10に設けられる。制動装置44は、人力駆動車10の車輪16を制動するように構成される。2つの制動装置44は、例えば互いに同じ構成を有する。制動装置44は、例えば人力駆動車10のリム16Cを制動するリムブレーキ装置を含む。一例では、ブレーキレバー46の操作に応じて、対応する制動装置44が機械的および/または電気的に駆動される。制動装置44は、制動部44Aと、制動部44Aを駆動するように構成される電動アクチュエータ44Bとを含む。電動アクチュエータ44Bは、後述する第1制御部62によって制御される。電動アクチュエータ44Bは、例えば有線または無線によって第1制御部62に接続される。
【0037】
制動装置44が電気的に駆動される場合、制動装置44は、人力駆動車10に搭載されるバッテリ38から供給される電力、または、制動装置44に搭載される専用の電源から供給される電力によって動作する。制動装置44が電気的に駆動される場合、制動装置44は、人力駆動車10に搭載されるバッテリ38から供給される電力、および、制動装置44に搭載される専用の電源から供給される電力の両方によって動作してもよい。制動装置44は、人力駆動車10に搭載されるディスクブレーキロータを制動するディスクブレーキ装置、バンドブレーキ装置、または、ローラブレーキ装置を含んでいてもよい。前輪および後輪のそれぞれ対応する2つの制動装置44は、互いに異なる構成としてもよい。
【0038】
バッテリ38は、1または複数のバッテリセルを含む。バッテリセルは、充電池を含む。バッテリ38は、人力駆動車10に設けられ、バッテリ38と電気的に接続される他の電気部品に電力を供給する。他の電気部品は、例えば制御装置60を含む。バッテリ38は、例えば制御装置60と有線または無線によって通信可能に接続される。バッテリ38は、例えば電力線通信(Power Line Communication:PLC)によって制御装置60と通信可能である。バッテリ38は、フレーム12の外部に取り付けられてもよく、少なくとも一部がフレーム12の内部に収容されてもよい。本実施形態では、抗力調節部40は、他の電気部品に含まれる。
【0039】
図2に示されるように、ドライブユニット42は、人力駆動車10を推進させるための駆動力を駆動機構24に伝達する。ドライブユニット42は、クランク軸20A、出力部52、電気モータ42A、および、クラッチ54を含む。出力部52は、クランク軸20Aと一体に回転する。出力部52には、電気モータ42Aの駆動力が伝達される。出力部52は、例えば出力部52の回転軸心がクランク軸20Aの回転軸心と一致し、かつ、クランク軸20Aの回転軸心まわりにクランク軸20Aの少なくとも一部を囲むように配置される。クラッチ54は、ツーウェイクラッチまたは直結クラッチ54Aを含む。
【0040】
電気モータ42Aは、ツーウェイクラッチまたは直結クラッチ54Aを介してクランク20に接続される。本実施形態では、クラッチ54は、直結クラッチ54Aを含む。本実施形態では、電気モータ42Aは、直結クラッチ54Aおよび出力部52を介してクランク20に接続される。電気モータ42Aとクラッチ54との間、出力部52とクラッチ54との間、または、電気モータ42Aとクラッチ54との間および出力部52とクラッチ54との間の両方に、電気モータ42Aの回転を減速して出力部52に出力する減速機が設けられてもよい。
【0041】
直結クラッチ54Aは、電気モータ42Aに接続される第1部分と、出力部52に接続される第2部分とを含む。直結クラッチ54Aは、第1部分と第2部分とを連結し、第1部分と第2部分とが一体に回転する第1状態と、第1部分と第2部分との間で動力を伝達しない第2状態とを切換可能に構成される。直結クラッチ54Aは、例えば電磁クラッチを含む。直結クラッチ54Aは、第1制御部62によって制御される。第1制御部62は、電気モータ42Aによってクランク20に抗力を発生させる必要がある場合、または、電気モータ42Aによって人力駆動車の推進をアシストする場合には、直結クラッチ54Aが第1状態になるように制御する。第1制御部62は、電気モータ42Aによってクランク20に抗力を発生させる必要がなく、かつ、電気モータ42Aによって人力駆動車の推進をアシストしない場合、直結クラッチ54Aが第2状態になるように制御する。
【0042】
クランク20が予め定める回転方向に回転する場合の回転力は、駆動機構24を介して駆動輪16Bに伝達される。クランク20が予め定める回転方向に回転する場合の回転力が駆動輪16Bに伝達され、電気モータ42Aが人力駆動車10の推進力をアシストする場合、電気モータ42Aの駆動力は、出力部52において人力駆動力HPと合流する。クランク20が予め定める回転方向とは逆方向に回転する場合の回転力は、ワンウェイクラッチ32によって駆動輪16Bに伝達されない。
【0043】
図3に示されるように、制御装置60は、クランク20が予め定める回転方向に回転している状態において、人力駆動車10の走行状態に応じて、クランク20の抗力が大きくなるように抗力調節部40を制御するように構成される第1制御部62を含む。第1制御部62は、予め定められる制御プログラムを実行する第1演算処理装置を含む。第1演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。第1制御部62は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。制御装置60は、記憶部64をさらに含む。記憶部64は、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報等が記憶される。記憶部64は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。一例では、制御装置60は、電気モータ42Aが収容されるドライブユニット42のハウジング42Bに設けられる。
【0044】
人力駆動車10の走行状態は、クランク20の回転速度RC、人力駆動力HP、および、人力駆動車10の車輪16の回転速度RWの少なくとも1つを含む。人力駆動車10の走行状態は、クランク20の回転速度RC、人力駆動力HP、人力駆動車10の車輪16の回転速度RW、あるいは、クランク20の回転速度RC、人力駆動力HP、および、人力駆動車10の車輪16の回転速度RWのうちの任意の組合せを含む。クランク20の回転速度RCは、ケイデンスと同義である。人力駆動力HPは、クランク20に与えられる回転トルク、および、クランク20の回転トルクとクランク20の回転速度RCとの積である仕事率の少なくとも一方で示される。車輪16の回転速度RWは、従動輪16Aまたは駆動輪16Bの回転速度を含む。
【0045】
第1制御部62は、例えばクランク20の回転速度RCが所定値以下である場合、人力駆動車10の走行状態に応じて抗力調節部40を制御する。クランク20の回転速度RCは、複数回連続して検出されたクランク20の回転速度RCの平均であってもよい。所定値は、予め設定される。所定値は、好ましくは、人力駆動車10に搭乗する搭乗者が実質的にペダル22を漕いでいない状態におけるクランク20の回転速度RCを含む。所定値は、30rpm以下の範囲に含まれることが好ましい。
【0046】
第1制御部62は、クランク20の回転速度RCの変化量ΔRCが第1の値VA1以上であり、人力駆動力HPが第2の値VA2未満の場合、クランク20の抗力が大きくなるように抗力調節部40を制御するように構成される。第1の値VA1は、予め設定される。第1の値VA1は、例えばクランク20の回転速度RCが急激に増加した状態における変化量ΔRCを含む。第1の値VA1は、例えばクランク20が空転している可能性がある状態における変化量ΔRCの値を含む。第1の値VA1は、100rpm以上2000rpm以下の範囲に含まれることが好ましい。第2の値VA2は、予め設定される。第2の値VA2は、例えばクランク20が空転している可能性がある状態における人力駆動力HPの値を含む。第2の値VA2は、例えば0ワット以上5ワット未満の範囲の値、好ましくは、0ワット以上1ワット未満の範囲の値を含む。第2の値VA2は、後述する第7の値VA7以下である。クランク20の回転速度RCの変化量ΔRCが第1の値VA1以上であり、人力駆動力HPが第2の値VA2未満の場合、人力駆動力HPに対するクランク20の抗力が小さく、クランク20が空転している可能性がある。
【0047】
第1制御部62は、例えばクランク20の回転速度RCの変化量ΔRCが第1の値VA1以上であり、人力駆動力HPが第2の値VA2未満の場合に目標抗力DGを演算する。一例では、第1制御部62は、人力駆動車10の走行状態に基づいて目標抗力DGを演算する。目標抗力DGは、例えば人力駆動車10に搭乗する搭乗者がペダリングに負荷を感じる程度のクランク20の抗力である。第1制御部62は、目標抗力DGに従って抗力調節部40を制御する。具体的には、第1制御部62は、クランク20の抗力が目標抗力DGとなるように抗力調節部40を制御する。第1制御部62は、目標抗力DGを演算せずに、人力駆動車10の走行状態に応じて抗力調節部40を適宜制御してもよい。
【0048】
抗力調節部40は、第1抗力調節部40Aおよび第2抗力調節部40Bの少なくとも一方を含む。抗力調節部40は、第1抗力調節部40Aのみ、第2抗力調節部40Bのみ、または、第1抗力調節部40Aおよび第2抗力調節部40Bの両方を含んでもよい。第1抗力調節部40Aは、クランク20に接続される電気モータ42Aを含む。電気モータ42Aは、回生制動によって回転トルクを発生するように構成される。第1制御部62は、電気モータ42Aに回転トルクを発生させることによって、クランク20の抗力を調節するように構成される。
【0049】
電気モータ42Aは、人力駆動車10の推進力をアシストするように構成される。第1制御部62は、人力駆動力HPに応じて電気モータ42Aを制御するように構成される。第1制御部62は、人力駆動力HPが第6の値VA6以上の場合、人力駆動車10の推進力をアシストするように電気モータ42Aを制御可能に構成される。第1制御部62は、人力駆動力HPが第7の値VA7未満の場合、人力駆動車10の推進力をアシストしないように電気モータ42Aを制御可能に構成される。第6の値VA6は、予め設定される。第7の値VA7は、予め設定される。第6の値VA6および第7の値VA7は、例えば道路交通法に基づいて予め設定される。一例では、第6の値VA6は、第7の値VA7と同じ値である。第1抗力調節部40Aは、人力駆動車10の推進力をアシストするように構成される電気モータ42Aとは別の電気モータを含んでいてもよい。
【0050】
第2抗力調節部40Bは、人力駆動車10の車輪16を制動するように構成される制動装置44を含む。一例では、第2抗力調節部40Bは、前輪に対応する制動装置44、および、後輪に対応する制動装置44の少なくとも一方を含む。第2抗力調節部40Bは、前輪に対応する制動装置44のみ、後輪に対応する制動装置44のみ、または、前輪に対応する制動装置44、および、後輪に対応する制動装置44の両方を含んでいてもよい。第1制御部62は、制動装置44に車輪16を制動させることによって、クランク20の抗力を調節するように構成される。一例では、第2抗力調節部40Bとして制動装置44によって制動される車輪16は、駆動輪16Bを含む。この場合、駆動輪16Bに対応する制動装置44が第2抗力調節部40Bに含まれる。第2抗力調節部40Bに含まれる制動装置44は、駆動輪16Bを制動するように構成される。第1制御部62は、制動装置44に駆動輪16Bを制動させることによって、クランク20の抗力を調節する。
【0051】
第1制御部62は、人力駆動車10の走行状態に応じて、第1抗力調節部40Aおよび第2抗力調節部40Bの少なくとも一方を制御する。第1制御部62は、人力駆動車10の走行状態に応じて、第1抗力調節部40Aのみ、第2抗力調節部40Bのみ、または、第1抗力調節部40Aおよび第2抗力調節部40Bの両方を制御してもよい。第1抗力調節部40Aおよび第2抗力調節部40Bの両方が抗力調節部40に含まれる場合、第1制御部62は、予め設定される割合で第1抗力調節部40Aおよび第2抗力調節部40Bを制御する。予め設定される割合に関する情報は、例えば記憶部64に変更可能に記憶される。記憶部64に記憶されている予め設定される割合に関する情報は、人力駆動車10に搭載される操作装置および外部装置の少なくとも一方によって変更されてもよい。予め設定される割合は、人力駆動車10の走行状態に応じて変更されてもよく、人力駆動車10の走行速度が予め定める走行速度以上であれば、第2抗力調節部40Bの割合を第1抗力調節部40Aの割合よりも大きくしてもよい。
【0052】
制御装置60は、クランク20の回転速度RC、人力駆動車10の走行速度、人力駆動車10の走行抵抗、人力駆動力HP、および、人力駆動車10の傾斜状態の少なくとも1つに応じて変速装置34を制御するように構成される第2制御部66をさらに含む。第2制御部66は、クランク20の回転速度RCのみ、人力駆動車10の走行速度のみ、人力駆動車10の走行抵抗のみ、人力駆動力HPのみ、人力駆動車10の傾斜状態のみ、あるいは、クランク20の回転速度RC、人力駆動車10の走行速度、人力駆動車10の走行抵抗、人力駆動力HP、および、人力駆動車10の傾斜状態のうちの任意の組合せに応じて変速装置34を制御するように構成されてもよい。第2制御部66は、予め定められる制御プログラムを実行する第2演算処理装置を含む。第2演算処理装置は、例えばCPUまたはMPUを含む。第2制御部66は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。第1制御部62の第1演算処理装置と、第2制御部66の第2演算処理装置とは、同一の演算処理装置であってもよい。
【0053】
人力駆動車10の走行抵抗は、例えば人力駆動力HPのトルク、クランク20の回転速度RC、走行速度、および、人力駆動車10の駆動系の伝達効率に基づいて算出される。人力駆動車10の傾斜状態は、例えば人力駆動車10のロール角、人力駆動車10のピッチ角、および、人力駆動車10のヨー角の少なくとも1つを含む。人力駆動車10の傾斜状態は、好ましくは、人力駆動車10のロール角、および、人力駆動車10のピッチ角の少なくとも1つを含む。人力駆動車10の傾斜状態は、人力駆動車10のロール角のみ、人力駆動車10のピッチ角のみ、または、人力駆動車10のロール角および人力駆動車10のピッチ角の両方を含んでもよい。人力駆動車10のロール角は、鉛直面に対する人力駆動車10の左右方向の傾きを規定する。人力駆動車10のピッチ角は、水平面に対する人力駆動車10の前後方向の傾きを規定する。人力駆動車10のヨー角は、鉛直軸まわりの人力駆動車10の回転を規定する。
【0054】
第2制御部66は、例えば人力駆動車10に搭載される変速装置34を変速条件に応じて自動的に制御するように構成される。第2制御部66は、例えば自動変速モードと、非自動変速モードとで動作するように構成されてもよい。この場合、第2制御部66は、自動変速モードで動作する場合に、人力駆動車10に搭載される変速装置34を変速条件に応じて自動的に制御するように構成される。変速条件は、参照値および閾値THに基づいて規定される。参照値は、例えばクランク20の回転速度RC、人力駆動車10の走行速度、人力駆動車10の走行抵抗、人力駆動力HP、および、人力駆動車10の傾斜状態の少なくとも1つを含む。参照値は、クランク20の回転速度RCのみ、人力駆動車10の走行速度のみ、人力駆動車10の走行抵抗のみ、人力駆動力HPのみ、人力駆動車10の傾斜状態のみ、あるいは、クランク20の回転速度RC、人力駆動車10の走行速度、人力駆動車10の走行抵抗、人力駆動力HP、および、人力駆動車10の傾斜状態のうちの任意の組み合わせを含んでいてもよい。本実施形態では、参照値は、クランク20の回転速度RCを含む。クランク20の回転速度RCは、推定ケイデンスECを含む。推定ケイデンスECは、例えば車輪16の回転速度RWと人力駆動車10の変速比GRとの関係に基づいて算出される。一例では、推定ケイデンスECは、下記式[1]に基づいて算出される。
【0055】
【数1】
車輪16の回転速度RWは、人力駆動車10の走行速度と相関を有する。車輪16の回転速度RWは、各種のセンサによって直接的に検出されてもよく、人力駆動車10の走行速度と車輪16の周長とを用いて算出されてもよい。一例では、第2制御部66は、式[1]に基づいて推定ケイデンスECを算出する。
【0056】
閾値THは、第1閾値TH1および第2閾値TH2を含む。第2制御部66は、例えば参照値と第1閾値TH1との関係に応じて変速比GRが大きくなるように変速装置34を制御し、参照値と第2閾値TH2との関係に応じて変速比GRが小さくなるように変速装置34を制御する。一例では、第1閾値TH1は、第2閾値TH2よりも大きい。一例では、第2制御部66は、参照値が第1閾値TH1以上になると変速比GRが大きくなるように変速装置34を制御し、参照値が第2閾値TH2未満になると変速比GRが小さくなるように変速装置34を制御する。本実施形態では、第2制御部66は、推定ケイデンスECが60rpm以上70rpm以下の範囲に含まれるように変速装置34を制御する。この場合、第1閾値TH1が70rpmに対応し、第2閾値TH2が60rpmに対応する。
【0057】
第2制御部66は、好ましくは、第1制御部62がクランク20の抗力が大きくなるように抗力調節部40を制御している間に変速装置34による変速を実行する。第1制御部62は、第2制御部66が変速条件に応じた適切な変速比GRになるまで変速装置34を自動的に制御している間、クランク20の抗力が大きくなるように抗力調節部40を制御する。第1制御部62は、好ましくは、第2制御部66によって変速装置34による変速が完了した後、抗力調節部40によって生じるクランク20の抗力が小さくなるように抗力調節部40を制御する。第1制御部62は、例えば推定ケイデンスECが第1閾値TH1以下かつ第2閾値TH2以上の範囲に入ると、変速装置34による変速が完了したと判定する。第1制御部62は、第2制御部66によって変速装置34による変速が完了した後、好ましくは、抗力調節部40によって生じるクランク20の抗力が徐々に小さくなるように抗力調節部40を制御してもよく、抗力調節部40によって生じるクランク20の抗力が直ぐに0になるように抗力調節部40を制御してもよい。
【0058】
人力駆動車10は、各種の情報を検出する検出装置70をさらに含む。検出装置70は、第1検出部70A、第2検出部70B、第3検出部70C、第4検出部70D、および、第5検出部70Eの少なくとも1つを含む。検出装置70は、例えば検出した各種の情報を制御装置60に出力する。検出装置70は、第1検出部70A、第2検出部70B、第3検出部70C、第4検出部70D、第5検出部70E、あるいは、第1検出部70A、第2検出部70B、第3検出部70C、第4検出部70D、および、第5検出部70Eのうちの任意の組合せを含んでいてもよい。
【0059】
第1検出部70Aは、クランク20の回転速度RCに関する情報を検出するように構成される。第1検出部70Aは、例えばドライブユニット42に設けられる磁気センサを含む。磁気センサは、クランク軸20Aまたはクランク軸20Aの回転に伴って回転する部材に設けられる磁石の磁気を検出するように構成される。
【0060】
第2検出部70Bは、人力駆動力HPに関する情報を検出するように構成される。第2検出部70Bは、例えばクランク20の回転トルクを検出するトルクセンサを含む。一例では、第2検出部70Bは、クランク軸20A、クランクアーム20B、または、ペダル22の少なくとも1つに設けられる。人力駆動力HPを表す仕事率は、例えば第1検出部70Aの検出結果と第2検出部70Bの検出結果との関係に基づいて算出される。
【0061】
第3検出部70Cは、車輪16の回転速度RWに関する情報を検出するように構成される。第3検出部70Cは、例えば従動輪16Aのスポーク16Dに設けられる磁石を検出する磁気センサ、および、駆動輪16Bのスポーク16Dに設けられる磁石を検出する磁気センサの少なくとも一方を含む。一例では、第3検出部70Cは、フレーム12およびフロントフォーク14の少なくとも一方に設けられる。人力駆動車10の走行速度は、例えば第3検出部70Cの検出結果と車輪16の周長との関係に基づいて算出される。
【0062】
第4検出部70Dは、人力駆動車10の傾斜状態に関する情報を検出するように構成される。第4検出部70Dは、人力駆動車10の姿勢に応じて出力が変化するモーションセンサを含む。モーションセンサは、例えばジャイロセンサ、加速度センサ、および、傾斜センサの少なくとも1つを含む。一例では、第4検出部70Dは、人力駆動車10のフレーム12またはドライブユニット42に設けられる。
【0063】
第5検出部70Eは、変速装置34の変速状態に関する情報を検出するように構成される。第5検出部70Eは、例えば変速装置34の変速状態に応じた信号を出力する各種のセンサを含む。変速装置34の変速状態に関する情報は、例えば変速装置34を構成する部品の動作に関する情報、および、変速装置34の変速ステージに関する情報の少なくとも一方を含む。一例では、第5検出部70Eは、変速装置34に設けられる。推定ケイデンスECは、例えば第3検出部70Cの検出結果と第5検出部70Eの検出結果とに基づいて算出される。
【0064】
図4を参照して、第2制御部66が実行する制御の一例について説明する。
第2制御部66は、例えば推定ケイデンスECに応じて変速装置34を制御する。第2制御部66に電力が供給される場合、第2制御部66は、
図4のフローチャートの処理を開始する。第2制御部66は、
図4のフローチャートの処理が終了し、予め定める周期が経過すると、第2制御部66への電力の供給が停止されるまでは、再び
図4のフローチャートの処理を開始する。第2制御部66が、自動変速モードと、非自動変速モードとで動作する場合、非自動変速モードから自動変速モードに変更された場合に、第2制御部66は、
図4のフローチャートの処理を開始してもよい。この場合、第2制御部66は、
図4のフローチャートの処理が終了し、予め定める周期が経過すると、第2制御部66への電力の供給が停止されるか、または、非自動変速モードに変更されるまでは、再び
図4のフローチャートの処理を開始する。
【0065】
第2制御部66は、ステップS11において、推定ケイデンスECが第1閾値TH1以上か否かを判定する。第2制御部66は、ステップS11において、推定ケイデンスECが第1閾値TH1以上であると判定した場合、ステップS12に移行する。第2制御部66は、ステップS12において、現在の人力駆動車10の変速比GRが最大変速比か否かを判定する。第2制御部66は、ステップS12において、現在の人力駆動車10の変速比GRが最大変速比であると判定した場合、ステップS11に移行する。第2制御部66は、ステップS12において、現在の人力駆動車10の変速比GRが最大変速比ではないと判定した場合、ステップS13に移行する。第2制御部66は、ステップS13において、人力駆動車10の変速比GRが大きくなるように変速装置34を制御する。
【0066】
第2制御部66は、ステップS11において、推定ケイデンスECが第1閾値TH1未満であると判定した場合、ステップS14に移行する。第2制御部66は、ステップS14において、推定ケイデンスECが第2閾値TH2未満か否かを判定する。第2制御部66は、ステップS14において、推定ケイデンスECが第2閾値TH2以上であると判定した場合、ステップS11に移行する。第2制御部66は、ステップS14において、推定ケイデンスECが第2閾値TH2未満であると判定した場合、ステップS15に移行する。
【0067】
第2制御部66は、ステップS15において、現在の人力駆動車10の変速比GRが最小変速比か否かを判定する。第2制御部66は、ステップS15において、現在の人力駆動車10の変速比GRが最小変速比であると判定した場合、ステップS11に移行する。第2制御部66は、ステップS15において、現在の人力駆動車10の変速比GRが最小変速比ではないと判定した場合、ステップS16に移行する。第2制御部66は、ステップS16において、人力駆動車10の変速比GRが小さくなるように変速装置34を制御する。ステップS13が終了する場合、または、ステップS16が終了する場合、
図4に示すフローチャートを終了する。
【0068】
図5を参照して、第1制御部62が実行する制御の一例について説明する。
第1制御部62は、例えば人力駆動車10の走行状態に応じて抗力調節部40を制御する。一例では、第1制御部62の制御と、第2制御部66の制御とは、並行して実行される。第1制御部62に電力が供給される場合、または、第1制御部62に電力が供給された後、人力駆動車10が走行を開始した場合、第1制御部62は、
図5のフローチャートの処理を開始する。第1制御部62は、
図5のフローチャートの処理が終了し、予め定める周期が経過すると、第1制御部62への電力の供給が停止されるまでは、再び
図5のフローチャートの処理を開始する。第2制御部66が、自動変速モードと、非自動変速モードとで動作する場合、非自動変速モードから自動変速モードに変更された場合に、第1制御部62は、
図5のフローチャートの処理を開始してもよい。この場合、第1制御部62は、
図5のフローチャートの処理が終了し、予め定める周期が経過すると、第1制御部62への電力の供給が停止されるか、人力駆動車10が走行を停止するか、または、第2制御部66が非自動変速モードに変更されるまでは、再び
図5のフローチャートの処理を開始する。
【0069】
第1制御部62は、ステップS21において、クランク20の回転速度RCが所定値以下か否かを判定する。第1制御部62は、ステップS21において、クランク20の回転速度RCが所定値よりも大きいと判定した場合、ステップS21の処理を繰り返す。第1制御部62は、ステップS21において、クランク20の回転速度RCが所定値以下であると判定した場合、ステップS22に移行する。
【0070】
第1制御部62は、ステップS22において、クランク20の回転速度RCの変化量ΔRCが第1の値VA1以上か否かを判定する。第1制御部62は、ステップS22において、クランク20の回転速度RCの変化量ΔRCが第1の値VA1未満であると判定した場合、ステップS21に移行する。第1制御部62は、ステップS22において、クランク20の回転速度RCの変化量ΔRCが第1の値VA1以上であると判定した場合、ステップS23に移行する。
【0071】
第1制御部62は、ステップS23において、人力駆動力HPが第2の値VA2未満か否かを判定する。第1制御部62は、ステップS23において、人力駆動力HPが第2の値VA2以上であると判定した場合、ステップS21に移行する。第1制御部62は、ステップS23において、人力駆動力HPが第2の値VA2未満であると判定した場合、ステップS24に移行する。ステップS21~ステップS23の処理の順番は、変更されてもよい。第1制御部62は、ステップS24において、人力駆動車10の走行状態に基づいて目標抗力DGを演算して、ステップS25に移行する。第1制御部62は、ステップS25において、目標抗力DGに従ってクランク20の抗力が大きくなるように抗力調節部40を制御して、ステップS26に移行する。
【0072】
第1制御部62は、ステップS26において、推定ケイデンスECが第1閾値TH1未満か否かを判定する。推定ケイデンスECが第1閾値TH1未満である場合、第2制御部66が実行する変速装置34による変速が完了したことが想定される。第1制御部62は、ステップS26において、推定ケイデンスECが第1閾値TH1以上であると判定した場合、ステップS26の処理を繰り返す。第1制御部62は、ステップS26において、推定ケイデンスECが第1閾値TH1未満であると判定した場合、ステップS27に移行する。第1制御部62は、ステップS27において、クランク20の抗力が小さくなるように抗力調節部40を制御して、
図5に示すフローチャートを終了する。ステップS21、ステップS23、または、ステップS21およびステップS23の両方の処理は省略されてもよい。
【0073】
第1実施形態の制御装置60が設けられる人力駆動車10では、クランク20が空転している可能性がある場合にクランク20の抗力が大きくなるように抗力調節部40が制御されるため、搭乗者がペダル22を強く踏んだ場合においても、クランク20が高速で空転し続けることを抑制できる。
【0074】
(第2実施形態)
図6を参照して、第2実施形態の制御装置60について説明する。第2実施形態の制御装置60は、第1制御部62が実行する制御が異なる点以外は、第1実施形態の制御装置60と同様であるため、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0075】
第1制御部62は、人力駆動車10の走行状態に応じて、クランク20の抗力が大きくなるように抗力調節部40を制御した後、人力駆動力HPに応じて目標抗力DGを小さくする。一例では、第1制御部62は、人力駆動力HPに応じて目標抗力DGを徐々に小さくする。第1制御部62は、例えば人力駆動力HPが駆動輪16Bに伝達される状態になると、目標抗力DGを0にする。クランク20が空転している状態から、クランク20が空転しない状態になると、第2検出部70Bによって検出される人力駆動力HPが増加するため、第1制御部62は、第2検出部70Bによって検出される人力駆動力HPに応じて、人力駆動力HPが駆動輪16Bに伝達される状態を判定できる。一例では、第1制御部62は、クランク20の回転速度RCおよび人力駆動車10の変速比GRに基づいて推定される駆動輪16Bの推定回転速度と、第3検出部70Cによって検出される駆動輪16Bの回転速度との差が小さくなるにつれて、目標抗力DGを0に近づける。
【0076】
第1制御部62は、人力駆動力HPに応じて目標抗力DGを徐々に小さくすることによって、目標抗力DGに応じてクランク20の抗力が小さくなるように抗力調節部40を制御する。第1制御部62は、例えば目標抗力DGが0になると、抗力調節部40によって生じるクランク20の抗力が0になるように抗力調節部40を制御する。
【0077】
図6を参照して、第1制御部62が実行する制御の一例について説明する。
第1制御部62は、例えば人力駆動車10の走行状態に応じて抗力調節部40を制御する。一例では、第1制御部62の制御と、第2制御部66の制御とは、並行して実行される。
図6のフローチャートでは、
図5のフローチャートにおいてステップS26およびS27を、ステップS36~ステップS38に置き換えているので、
図5のフローチャートとは異なる処理についてのみ説明する。
図6のフローチャートの開始条件は、
図5のフローチャートの開始条件と同じである。
【0078】
第1制御部62は、ステップS25が終了すると、ステップS36に移行する。第1制御部62は、ステップS36において、人力駆動力HPに応じて目標抗力DGを小さくして、ステップS37に移行する。第1制御部62は、ステップS37において、目標抗力DGに従ってクランク20の抗力が小さくなるように抗力調節部40を制御して、ステップS38に移行する。第1制御部62は、ステップS38において、目標抗力DGが0か否かを判定する。第1制御部62は、ステップS38において、目標抗力DGが0ではないと判定した場合、ステップS36に移行する。第1制御部62は、ステップS38において、目標抗力DGが0であると判定した場合、
図6のフローチャートの処理を終了する。第1制御部62は、ステップS25とステップS36との間に、
図5に示されるステップS26の処理を実行してもよい。
【0079】
(第3実施形態)
図7を参照して、第3実施形態の制御装置60について説明する。第3実施形態の制御装置60は、第1制御部62が実行する制御が異なる点以外は、第1実施形態の制御装置60と同様であるため、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0080】
第1制御部62は、人力駆動車10の走行状態に応じて、クランク20の抗力が大きくなるように抗力調節部40を制御した後、その後の経過時間に応じて目標抗力DGを小さくする。一例では、第1制御部62は、経過時間に応じて目標抗力DGを徐々に小さくする。第1制御部62は、例えば経過時間が予め定める時間に到達すると、目標抗力DGを0にする。予め定める時間は、例えば第2制御部66が実行する変速装置34による変速が完了したことが想定される経過時間に基づいて予め設定される。制御装置60は、少なくとも時計またはタイマをさらに含む。
【0081】
第1制御部62は、経過時間に応じて目標抗力DGを徐々に小さくしながら、目標抗力DGに従ってクランク20の抗力が小さくなるように抗力調節部40を制御する。第1制御部62は、例えば目標抗力DGが0になると、抗力調節部40によって生じるクランク20の抗力が0になるように抗力調節部40を制御する。
【0082】
図7を参照して、第1制御部62が実行する制御の一例について説明する。
第1制御部62は、例えば人力駆動車10の走行状態に応じて抗力調節部40を制御する。一例では、第1制御部62の制御と、第2制御部66の制御とは、並行して実行される。
図7のフローチャートでは、
図5のフローチャートにおいてステップS26およびS27を、ステップS46~ステップS48に置き換えているので、
図5のフローチャートとは異なる処理についてのみ説明する。
図7のフローチャートの開始条件は、
図5のフローチャートの開始条件と同じである。
【0083】
第1制御部62は、ステップS25が終了すると、ステップS46に移行する。第1制御部62は、ステップS46において、ステップS25の処理を終えた後の経過時間に応じて目標抗力DGを小さくする。第1制御部62は、ステップS47において、目標抗力DGに従ってクランク20の抗力が小さくなるように抗力調節部40を制御する。第1制御部62は、ステップS48において、経過時間が予め定める時間に到達したか否かを判定する。第1制御部62は、ステップS48において、経過時間が予め定める時間に到達していないと判定した場合、ステップS46に移行する。第1制御部62は、ステップS48において、経過時間が予め定める時間に到達したと判定した場合、
図7のフローチャートの処理の処理を終了する。第1制御部62は、ステップS25とステップS46との間に、
図5に示されるステップS26の処理を実行してもよい。
【0084】
(第4実施形態)
図8を参照して、第4実施形態の制御装置60について説明する。第4実施形態の制御装置60は、第1制御部62が実行する制御が異なる点以外は、第1実施形態の制御装置60と同様であるため、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0085】
第1制御部62は、人力駆動車10の走行状態に応じて、クランク20の抗力が大きくなるように抗力調節部40を制御した後、変速装置34の変速段に応じて目標抗力DGを小さくする。一例では、第1制御部62は、変速装置34の変速段に応じて目標抗力DGを徐々に小さくする。具体的には、第1制御部62は、第2制御部66によって変速装置34の変速段が変更される毎に目標抗力DGを小さくする。第1制御部62は、第2制御部66によって人力駆動車10の変速比GRが大きくなるように変速装置34が制御される毎に目標抗力DGを小さくする。第1制御部62は、例えば変速装置34の変速段が目標変速段に到達すると、目標抗力DGを0にする。目標変速段は、例えば推定ケイデンスECと現在の人力駆動車10の変速比GRとの関係に基づいて決められる。変速装置34の変速段が目標変速段に到達した場合、第2制御部66が実行する変速装置34による変速が完了したことが想定される。
【0086】
第1制御部62は、変速装置34の変速段に応じて目標抗力DGを徐々に小さくしながら、目標抗力DGに従ってクランク20の抗力が小さくなるように抗力調節部40を制御する。第1制御部62は、例えば目標抗力DGが0になると、抗力調節部40によって生じるクランク20の抗力が0になるように抗力調節部40を制御する。
【0087】
図8を参照して、第1制御部62が実行する制御の一例について説明する。
第1制御部62は、例えば人力駆動車10の走行状態に応じて抗力調節部40を制御する。一例では、第1制御部62の制御と、第2制御部66の制御とは、並行して実行される。
図8のフローチャートでは、
図5のフローチャートにおいてステップS26およびS27を、ステップS56~ステップS58に置き換えているので、
図5のフローチャートとは異なる処理についてのみ説明する。
図8のフローチャートの開始条件は、
図5のフローチャートの開始条件と同じである。
【0088】
第1制御部62は、ステップS25が終了すると、ステップS56に移行する。第1制御部62は、ステップS56において、変速装置34の変速段に応じて目標抗力DGを小さくして、ステップS57に移行する。第1制御部62は、ステップS57において、目標抗力DGに従ってクランク20の抗力が小さくなるように抗力調節部40を制御して、ステップS58に移行する。第1制御部62は、ステップS58において、変速装置34の変速段が目標変速段に到達したか否かを判定する。第1制御部62は、ステップS58において、変速装置34の変速段が目標変速段に到達していないと判定した場合、ステップS56に移行する。第1制御部62は、ステップS58において、変速装置34の変速段が目標変速段に到達したと判定した場合、
図8のフローチャートの処理を終了する。第1制御部62は、ステップS25とステップS56との間に、
図5に示されるステップS26の処理を実行してもよい。
【0089】
(第5実施形態)
図9を参照して、第5実施形態の制御装置60について説明する。第5実施形態の制御装置60は、第1制御部62が実行する制御が異なる点以外は、第1実施形態の制御装置60と同様であるため、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0090】
第1制御部62は、クランク20の回転速度RCと、車輪16の回転速度RWとが、予め定める関係を満たしていない場合、クランク20の抗力が大きくなるように抗力調節部40を制御するように構成される。第1制御部62は、例えばクランク20の回転速度RCおよび人力駆動車10の変速比GRに基づいて推定される駆動輪16Bの推定回転速度と、実際の駆動輪16Bの回転速度とが実質的に等しい場合、予め定める関係を満たすと判定する。第1制御部62は、例えば駆動輪16Bの推定回転速度が実際の駆動輪16Bの回転速度よりも小さい場合、予め定める関係を満たさないと判定する。クランク20の回転速度RCと、車輪16の回転速度RWとが、予め定める関係を満たしていない場合、人力駆動力HPに対するクランク20の抗力が小さく、クランク20が空転する可能性がある。第1制御部62は、例えばクランク20の回転速度RCと、車輪16の回転速度RWとが、予め定める関係を満たしていない場合に目標抗力DGを演算し、目標抗力DGに従って抗力調節部40を制御する。
【0091】
図9を参照して、第1制御部62が実行する制御の一例について説明する。
第1制御部62は、例えば人力駆動車10の走行状態に応じて抗力調節部40を制御する。一例では、第1制御部62の制御と、第2制御部66の制御とは、並行して実行される。
図9のフローチャートでは、
図5のフローチャートにおいてステップS21~S23を、ステップS61に置き換えているので、
図5のフローチャートとは異なる処理についてのみ説明する。
図9のフローチャートの開始条件は、
図5のフローチャートの開始条件と同じである。
【0092】
第1制御部62は、ステップS61において、クランク20の回転速度RCと、車輪16の回転速度RWとが、予め定める関係を満たしていないか否かを判定する。第1制御部62は、ステップS61において、クランク20の回転速度RCと、車輪16の回転速度RWとが、予め定める関係を満たしていると判定した場合、ステップS61の処理を繰り返す。第1制御部62は、ステップS61において、クランク20の回転速度RCと、車輪16の回転速度RWとが、予め定める関係を満たしていないと判定した場合、ステップS24に移行する。
【0093】
図9のフローチャートのステップS26の処理に代えて、第1制御部62は、クランク20の回転速度RCと、車輪16の回転速度RWとが、予め定める関係を満たしていないか否かを判定してもよい。この場合、第1制御部62は、クランク20の回転速度RCと、車輪16の回転速度RWとが、予め定める関係を満たしていると判定すると、ステップS27に移行する。
【0094】
(第6実施形態)
図10を参照して、第6実施形態の制御装置60について説明する。第6実施形態の制御装置60は、第1制御部62が実行する制御が異なる点以外は、第1実施形態の制御装置60と同様であるため、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0095】
第1制御部62は、クランク20の回転速度RCと、車輪16の回転速度RWとが、予め定める関係を満たしておらず、かつ、人力駆動力HPが第3の値VA3未満の場合、クランク20の抗力が大きくなるように抗力調節部40を制御するように構成される。第1制御部62は、例えばクランク20の回転速度RCおよび人力駆動車10の変速比GRに基づいて推定される駆動輪16Bの推定回転速度と、実際の駆動輪16Bの回転速度とが実質的に等しい場合、予め定める関係を満たすと判定する。第1制御部62は、例えば駆動輪16Bの推定回転速度が実際の駆動輪16Bの回転速度よりも小さい場合、予め定める関係を満たさないと判定する。第3の値VA3は、予め設定される。第3の値VA3は、例えばクランク20が空転している可能性がある場合における人力駆動力HPの値を含む。第3の値VA3は、例えば0ワット以上5ワット未満の範囲の値、好ましくは、0ワット以上1ワット未満の範囲の値を含む。第3の値VA3は、第7の値VA7以下である。第3の値VA3は、第2の値VA2と同じ値であってもよく、第2の値VA2とは異なる値であってもよい。クランク20の回転速度RCと、車輪16の回転速度RWとが、予め定める関係を満たしておらず、かつ、人力駆動力HPが第3の値VA3未満の場合、人力駆動力HPに対するクランク20の抗力が小さく、クランク20が空転している可能性がある。第1制御部62は、例えばクランク20の回転速度RCと、車輪16の回転速度RWとが、予め定める関係を満たしておらず、かつ、人力駆動力HPが第3の値VA3未満の場合に目標抗力DGを演算し、目標抗力DGに従って抗力調節部40を制御する。
【0096】
図10を参照して、第1制御部62が実行する制御の一例について説明する。
第1制御部62は、例えば人力駆動車10の走行状態に応じて抗力調節部40を制御する。一例では、第1制御部62の制御と、第2制御部66の制御とは、並行して実行される。
図10のフローチャートでは、
図9のフローチャートにおいてステップS61およびS24の間に、ステップS72を追加しているので、
図9のフローチャートとは異なる処理についてのみ説明する。
図10のフローチャートの開始条件は、
図5のフローチャートの開始条件と同じである。
【0097】
第1制御部62は、ステップS61における判定がYESの場合、ステップS72に移行する。第1制御部62は、ステップS72において、人力駆動力HPが第3の値VA3未満か否かを判定する。第1制御部62は、ステップS72において、人力駆動力HPが第3の値VA3以上であると判定した場合、ステップS61に移行する。第1制御部62は、ステップS72において、人力駆動力HPが第3の値VA3未満であると判定した場合、ステップS24に移行する。
【0098】
(第7実施形態)
図11を参照して、第7実施形態の制御装置60について説明する。第7実施形態の制御装置60は、第1制御部62が実行する制御が異なる点以外は、第1実施形態の制御装置60と同様であるため、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0099】
第1制御部62は、クランク20の回転速度RCが第4の値VA4以上であり、人力駆動力HPが第5の値VA5未満の場合、クランク20の抗力が大きくなるように抗力調節部40を制御するように構成される。第4の値VA4は、予め設定される。第4の値VA4は、例えばクランク20の空転している可能性がある状態におけるクランク20の回転速度RCに基づいて予め設定される。第4の値VA4は、150rpm以上200rpm以下の範囲に含まれることが好ましい。第5の値VA5は、予め設定される。第5の値VA5は、例えばクランク20の空転している可能性がある状態における人力駆動力HPの値を含む。第5の値VA5は、例えば0ワット以上5ワット未満の範囲の値、好ましくは、0ワット以上1ワット未満の範囲の値を含む。第5の値VA5は、第7の値VA7以下である。第5の値VA5は、第2の値VA2および第3の値VA3の少なくとも一方と同じ値であってもよく、第2の値VA2および第3の値VA3の少なくとも一方と異なる値であってもよい。クランク20の回転速度RCが第4の値VA4以上であり、人力駆動力HPが第5の値VA5未満の場合、人力駆動力HPに対するクランク20の抗力が小さく、クランク20が空転している可能性がある。第1制御部62は、例えばクランク20の回転速度RCが第4の値VA4以上であり、人力駆動力HPが第5の値VA5未満の場合に目標抗力DGを演算し、目標抗力DGに従って抗力調節部40を制御する。
【0100】
図11を参照して、第1制御部62が実行する制御の一例について説明する。
第1制御部62は、例えば人力駆動車10の走行状態に応じて抗力調節部40を制御する。一例では、第1制御部62の制御と、第2制御部66の制御とは、並行して実行される。
図11のフローチャートでは、
図5のフローチャートにおいてステップS21~S23を、ステップS81およびS82に置き換えているので、
図5のフローチャートとは異なる処理についてのみ説明する。
図11のフローチャートの開始条件は、
図5のフローチャートの開始条件と同じである。
【0101】
第1制御部62は、ステップS81において、クランク20の回転速度RCが第4の値VA4以上であるか否かを判定する。第1制御部62は、ステップS81において、クランク20の回転速度RCが第4の値VA4未満であると判定した場合、ステップS81の処理を繰り返す。第1制御部62は、ステップS81において、クランク20の回転速度RCが第4の値VA4以上であると判定した場合、ステップS82に移行する。
【0102】
第1制御部62は、ステップS82において、人力駆動力HPが第5の値VA5未満か否かを判定する。第1制御部62は、ステップS82において、人力駆動力HPが第5の値VA5以上であると判定した場合、ステップS81に移行する。第1制御部62は、ステップS82において、人力駆動力HPが第5の値VA5未満であると判定した場合、ステップS24に移行する。
【0103】
(第8実施形態)
図12を参照して、第8実施形態の制御装置60について説明する。第8実施形態の制御装置60は、第1制御部62が実行する制御が異なる点以外は、第1実施形態の制御装置60と同様であるため、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0104】
第1制御部62は、クランク20に入力されるトルクTが第8の値VA8未満の場合、クランク20の抗力が大きくなるように抗力調節部40を制御するように構成される。第8の値VA8は、例えばクランク20の空転している可能性がある場合におけるトルクTの値を含む。第8の値VA8は、0N・m以上5N・m以下の範囲の値、好ましくは、0N・m以上2N・m以下の範囲の値を含む。クランク20に入力されるトルクTが第8の値VA8未満の場合、人力駆動力HPに対するクランク20の抗力が小さく、クランク20が空転している可能性がある。第1制御部62は、例えばクランク20に入力されるトルクTが第8の値VA8未満の場合に目標抗力DGを演算し、目標抗力DGに従って抗力調節部40を制御する。
【0105】
第1制御部62は、人力駆動車10の走行状態に応じて、クランク20の抗力が大きくなるように抗力調節部40を制御した後、クランク20に入力されるトルクTが第9の値VA9以上の場合、抗力調節部40によって生じるクランク20の抗力が小さくなるように抗力調節部40を制御する。第9の値VA9は、予め設定される。第9の値VA9は、例えば第2制御部66が実行する変速装置34の変速が完了したことが想定されるトルクTに基づいて予め設定される。具体的には、第9の値VA9は、人力駆動力HPが駆動輪16Bに伝達される状態になったことが想定されるトルクTに基づいて予め設定される。第9の値VA9は、例えば5N・m以上の値である。第1制御部62は、抗力調節部40によって生じるクランク20の抗力が徐々に小さくなるように抗力調節部40を制御してもよい。抗力調節部40によって生じるクランク20の抗力が直ぐに0になるように抗力調節部40を制御してもよい。
【0106】
図12を参照して、第1制御部62が実行する制御の一例について説明する。
第1制御部62は、例えば人力駆動車10の走行状態に応じて抗力調節部40を制御する。一例では、第1制御部62の制御と、第2制御部66の制御とは、並行して実行される。
図12のフローチャートでは、
図5のフローチャートにおいてステップS21~S23をステップS91に置き換え、
図5のフローチャートにおいてステップS26をステップS94に置き換えているので、
図5のフローチャートとは異なる処理についてのみ説明する。
図12のフローチャートの開始条件は、
図5のフローチャートの開始条件と同じである。
【0107】
第1制御部62は、ステップS91において、クランク20に入力されるトルクTが第8の値VA8未満か否かを判定する。第1制御部62は、ステップS91において、クランク20に入力されるトルクTが第8の値VA8以上であると判定した場合、ステップS91の処理を繰り返す。第1制御部62は、ステップS91において、クランク20に入力されるトルクTが第8の値VA8未満であると判定した場合、ステップS24に移行する。
【0108】
第1制御部62は、ステップS25が終了すると、ステップS94に移行する。第1制御部62は、ステップS94において、クランク20に入力されるトルクTが第9の値VA9以上か否かを判定する。第1制御部62は、ステップS94において、クランク20に入力されるトルクTが第9の値VA9未満であると判定した場合、ステップS94の処理を繰り返す。第1制御部62は、ステップS94において、クランク20に入力されるトルクTが第9の値VA9以上であると判定した場合、ステップS27に移行する。第1制御部62は、ステップS94とステップS25との間に、
図5に示されるステップS26の処理を実行してもよい。
【0109】
(第9実施形態)
図13を参照して、第9実施形態の制御装置60について説明する。第9実施形態の制御装置60は、第1制御部62が実行する制御が異なる点以外は、第1実施形態の制御装置60と同様であるため、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0110】
第1制御部62は、クランク20の回転速度RCに対する駆動輪16Bの回転速度の比率が変更される場合、クランク20の抗力が大きくなるように抗力調節部40を制御するように構成される。第1制御部62は、第2制御部66が変速装置34を変速条件に応じて自動的に制御した場合、および、変速操作装置34Bが操作された場合の少なくとも一方において、クランク20の抗力が大きくなるように抗力調節部40を制御するように構成される。第1制御部62は、第2制御部66が変速装置34を変速条件に応じて自動的に制御した場合のみ、変速操作装置34Bが操作された場合のみ、または、第2制御部66が変速装置34を変速条件に応じて自動的に制御した場合、および、変速操作装置34Bが操作された場合の両方において、クランク20の抗力が大きくなるように抗力調節部40を制御するように構成されてもよい。
【0111】
一例では、第1制御部62は、クランク20の回転速度RCに対する駆動輪16Bの回転速度の比率が小さくなる場合、および、クランク20の回転速度RCに対する駆動輪16Bの回転速度の比率が大きくなる場合の少なくとも一方において、クランク20の抗力が大きくなるように抗力調節部40を制御する。第1制御部62は、クランク20の回転速度RCに対する駆動輪16Bの回転速度の比率が小さくなる場合のみ、クランク20の回転速度RCに対する駆動輪16Bの回転速度の比率が大きくなる場合のみ、または、クランク20の回転速度RCに対する駆動輪16Bの回転速度の比率が小さくなる場合、および、クランク20の回転速度RCに対する駆動輪16Bの回転速度の比率が大きくなる場合の両方において、クランク20の抗力が大きくなるように抗力調節部40を制御してもよい。クランク20の回転速度RCに対する駆動輪16Bの回転速度の比率が変更される場合、人力駆動力HPに対するクランク20の抗力が小さくなり、クランク20が空転する可能性がある。第1制御部62は、例えばクランク20の回転速度RCに対する駆動輪16Bの回転速度の比率が変更される場合に目標抗力DGを演算し、目標抗力DGに従って抗力調節部40を制御する。本実施形態では、第1制御部62は、人力駆動車10の走行状態に基づいて目標抗力DGを演算せず、予め設定された目標抗力DGを用いてもよい。
【0112】
第1制御部62は、クランク20の抗力が大きくなるように抗力調節部40を制御した後、第2制御部66が実行する変速装置34による変速が完了した場合、抗力調節部40によって生じるクランク20の抗力が小さくなるように抗力調節部40を制御する。変速装置34による変速の完了は、例えば第5検出部70Eによって検出できる。第1制御部62は、抗力調節部40によって生じるクランク20の抗力が徐々に小さくなるように抗力調節部40を制御してもよく、抗力調節部40によって生じるクランク20の抗力が直ぐに0になるように抗力調節部40を制御してもよい。第1制御部62は、クランク20の抗力が大きくなるように抗力調節部40を制御した後、人力駆動車10の走行抵抗が増加した場合、抗力調節部40によって生じるクランク20の抗力が小さくなるように抗力調節部40を制御してもよい。
【0113】
図13を参照して、第1制御部62が実行する制御の一例について説明する。
第1制御部62は、例えば人力駆動車10の変速比GRが変更される場合に抗力調節部40を制御する。一例では、第1制御部62の制御と、第2制御部66の制御とは、並行して実行される。
図13のフローチャートでは、
図5のフローチャートにおいてステップS21~S23をステップS101に置き換え、
図5のフローチャートにおいてステップS26をステップS104に置き換えているので、
図5のフローチャートとは異なる処理についてのみ説明する。
図13のフローチャートの開始条件は、
図5のフローチャートの開始条件と同じである。
【0114】
第1制御部62は、ステップS101において、変速装置34による変速が開始されたか否かを判定する。第1制御部62は、ステップS101において、例えば変速装置34の電動アクチュエータ34Aが動作を開始したか否かを判定する。第1制御部62は、ステップS101において、変速装置34による変速が開始されていないと判定した場合、ステップS101の処理を繰り返す。第1制御部62は、ステップS101において、変速装置34による変速が開始されたと判定した場合、ステップS24に移行する。
【0115】
第1制御部62は、ステップS25が終了すると、ステップS104に移行する。第1制御部62は、ステップS104において、変速装置34による変速が完了したか否かを判定する。第1制御部62は、ステップS104において、変速装置34による変速が完了していないと判定した場合、ステップS104の処理を繰り返す。第1制御部62は、ステップS104において、変速装置34による変速が完了したと判定した場合、ステップS27に移行する。
【0116】
(変形例)
上記各実施形態に関する説明は、本発明に従う人力駆動車用制御装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う人力駆動車用制御装置は、例えば以下に示される上記各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、各実施形態の形態と共通する部分については、各実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0117】
・各実施形態の第1制御部62が実行する制御に含まれる処理は、任意に変更可能である。一例では、第1制御部62が実行する制御において、ステップS24の処理を省略してもよい。この場合、第1制御部62は、ステップS25において、予め設定された目標抗力DGを用いて抗力調節部40を制御する。
【0118】
・制御装置60の構成は、任意に変更可能である。第1例では、制御装置60は、第1制御部62および第2制御部66に代えて、第1制御部62の機能および第2制御部66の機能を有する1つの制御部を含む。第2例では、制御装置60は、第2制御部66を省略して構成される。この場合、変速装置34は、変速操作装置34Bの操作に応じて機械的に駆動される。
【0119】
・電気モータ42Aとクランク20との接続関係は、任意に変更可能である。一例では、
図14に示されるように、電気モータ42Aは、ツーウェイクラッチ56および出力部52を介してクランク20に接続される。電気モータ42Aとツーウェイクラッチ56との間、ツーウェイクラッチ56と出力部52との間、または、電気モータ42Aとツーウェイクラッチ56との間、および、ツーウェイクラッチ56と出力部52との間の両方に、電気モータ42Aの回転を減速して出力する減速機が設けられてもよい。ツーウェイクラッチ56は、第1制御部62によって制御される。第1制御部62は、電気モータ42Aによってクランク20に抗力を発生させる必要がある場合、クランク20が前転するときの回転力が電気モータ42Aに伝達されるようにツーウェイクラッチ56を制御し、電気モータ42Aによって人力駆動車の推進をアシストする場合には、電気モータ42Aから出力部52に回転力が伝達されるようにツーウェイクラッチ56を制御する。ドライブユニット42には、第1制御部62と電気的に接続され、ツーウェイクラッチ56を動作させるための電動アクチュエータが設けられる。第1制御部62は、ツーウェイクラッチ56を動作させるための電動アクチュエータを制御することによって、ツーウェイクラッチ56の動作状態を切り替えることができる。
【0120】
・電気モータ42Aの構成は、任意に変更可能である。第1例では、電気モータ42Aは、回生制動によってクランク20に抗力を発生させるのではなく、人力駆動車10の推進力をアシストする場合とは反対の方向に回生トルクを発生させるように構成される。第2例では、電気モータ42Aは、回生不能に構成される。この場合、電気モータ42Aは、ワンウェイクラッチを介してクランク20に接続されてもよい。
【0121】
・抗力調節部40の構成は、任意に変更可能である。一例では、抗力調節部40は、第1抗力調節部40Aのみを含む。この場合、第1制御部62は、第2抗力調節部40Bに含まれる制動装置44を制御しない。
【0122】
・変速装置34の制御方法は、任意に変更可能である。一例では、第2制御部66は、推定ケイデンスECと現在の人力駆動車10の変速比GRとの関係に基づいて目標変速比を算出し、現在の人力駆動車10の変速比GRが目標変速比となるように変速装置34を制御する。
【0123】
・人力駆動車10の構成は、任意に変更可能である。一例では、人力駆動車10は、変速装置34を省略して構成されてもよい。
・各実施形態において、制御に不要な構成は省略されてもよい。
【符号の説明】
【0124】
10…人力駆動車、16…車輪、16B…駆動輪、20…クランク、34…変速装置、40…抗力調節部、42A…電気モータ、44…制動装置、54A…直結クラッチ、56…ツーウェイクラッチ、60…制御装置(人力駆動車用制御装置)、62…第1制御部、66…第2制御部、HP…人力駆動力、RC…回転速度、RW…回転速度、VA1…第1の値、VA2…第2の値、VA3…第3の値、VA4…第4の値、VA5…第5の値、VA6…第6の値、VA7…第7の値、ΔRC…変化量。