(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054241
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】加熱式たばこ
(51)【国際特許分類】
A24D 1/20 20200101AFI20230406BHJP
A24D 3/17 20200101ALI20230406BHJP
A24D 3/04 20060101ALI20230406BHJP
A24D 1/02 20060101ALI20230406BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20230406BHJP
【FI】
A24D1/20
A24D3/17
A24D3/04
A24D1/02
A24F40/20
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025974
(22)【出願日】2023-02-22
(62)【分割の表示】P 2021200237の分割
【原出願日】2019-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仙道 誠
(72)【発明者】
【氏名】時津 尚弘
(72)【発明者】
【氏名】植松 宏海
(72)【発明者】
【氏名】山道 啓二
(72)【発明者】
【氏名】眞鍋 哲也
(57)【要約】
【課題】たばこ原料及びエアロゾル生成基材を含むたばこ充填材を巻紙の内側に充填して形成されたたばこロッドを有する加熱式たばこにおいて、たばこロッドへの挿入時に電気ヒーターに折れ、曲がり等といった損傷が生じたり、たばこロッドを構成するたばこ充填材が吸い口側に押し込まれたり、たばこロッドが座屈変形することを抑制するための技術を提供する。
【解決手段】たばこ刻み及びエアロゾル生成基材を含むたばこ充填材を巻紙の内側に充填して形成されたたばこロッドを有する加熱式たばこであって、たばこロッドの先端面側に開口すると共にたばこロッドの軸方向に沿って延在する、加熱装置のヒーターを挿入するためのヒーター挿入用空洞部を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
たばこロッドと、
前記たばこロッドと同軸に整列して配列されたフィルタと、
前記たばこロッドと前記フィルタとを連結するチップペーパと、
備え、
前記フィルタは、
前記たばこロッドの下流側に位置する支持部と、
前記支持部の下流側に位置する冷却部と、を含み、
前記支持部は、センターホールが貫通形成された中空の管体であり、
前記冷却部は、長手方向に沿って貫通孔が形成された中空管であり、
前記冷却部は、外部の空気を導入可能な通気孔を有し、
前記通気孔は、前記冷却部における上流側に位置している、
加熱式たばこ。
【請求項2】
前記支持部及び前記冷却部が巻取紙によって巻き取られており、
前記通気孔は、前記チップペーパ及び前記巻取紙を貫通している、
請求項1に記載の加熱式たばこ。
【請求項3】
前記通気孔は、前記チップペーパ、前記巻取紙、及び前記冷却部を貫通している、
請求項2に記載の加熱式たばこ。
【請求項4】
前記貫通孔の直径は、前記センターホールの直径よりも大きい、
請求項1から3の何れか一項に記載の加熱式たばこ。
【請求項5】
前記支持部を形成する中空の管体はセルロースアセテートによって構成されており、前記冷却部を形成する中空管はフィルタ材料によって構成されている、
請求項1から4の何れか一項に記載の加熱式たばこ。
【請求項6】
前記たばこロッドは、たばこ充填材を含み、前記たばこ充填材に、前記たばこロッドの軸方向に沿った空洞部が形成されている、
請求項1から5の何れか一項に記載の加熱式たばこ。
【請求項7】
前記たばこ充填材は、前記空洞部の側方周囲を囲んでいる、
請求項6に記載の加熱式たばこ。
【請求項8】
前記空洞部は、前記たばこロッドの軸方向に沿って貫通している、
請求項6又は7に記載の加熱式たばこ。
【請求項9】
請求項1から8の何れか一項に記載の前記加熱式たばこと、前記加熱式たばこを挿入する収容キャビティを有する加熱装置と、を組み合わせた製品であって、
ヒーターを備え、前記ヒーターは前記空洞部内に位置する、
加熱式たばこと加熱装置を組み合わせた製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱式たばこに関する。
【背景技術】
【0002】
たばこ原料(例えば、たばこ刻み、たばこ顆粒、たばこシートの成形体等)及びエアロゾル生成基材(グリセリン、プロピレングリコール等)を含むたばこ充填材を巻紙の内側に充填して形成されたたばこロッドを有する加熱式たばこが知られている(例えば、特許文献1を参照)。この種の加熱式たばこは、加熱装置における電気ヒーターによってたばこ充填材を燃焼させることなく加熱し、たばこ充填材において生成されたエアロゾルを使用者にデリバリーするタイプのたばこ物品である。電気ヒーターとしては、ブレード状やロッド状など、様々な形状のヒーターが実用化されており、使用時にたばこロッドの先端面から電気ヒーターを挿入することでたばこロッドが加熱装置に装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5920744号公報
【特許文献2】特許第5348648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の加熱式たばこにおいては、たばこロッドの先端面から電気ヒーターを挿入する際の挿入抵抗が大きく、たばこロッド(たばこ充填材)への挿入時に電気ヒーターに折れ、曲がり等といった損傷が生じたり、たばこロッドを構成するたばこ充填材が吸い口側に押し込まれたり、たばこロッドが座屈変形する虞がある。
【0005】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、たばこ原料及びエアロゾル生成基材を含むたばこ充填材を巻紙の内側に充填して形成されたたばこロッドを有する加熱式たばこにおいて、たばこロッドへの挿入時に電気ヒーターに折れ、曲がり等といった損傷が生じたり、たばこロッドを構成するたばこ充填材が吸い口側に押し込まれたり、たばこロッドが座屈変形することを抑制するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明に係る加熱式たばこは、たばこ原料及びエアロゾル生成基材を含むたばこ充填材を巻紙の内側に充填して形成されたたばこロッドを有する加熱式たばこであって、前記たばこロッドの先端面側に開口すると共に当該たばこロッドの軸方向に沿って延在する、加熱装置のヒーターを挿入するためのヒーター挿入用空洞部を備えることを特徴とする。
【0007】
ここで、前記ヒーター挿入用空洞部における前記たばこロッドの軸方向に直交する横断面積は、前記たばこロッドに規定深さまで挿入された状態における前記ヒーターの各対向部位の横断面積よりも小さくても良い。
【0008】
また、前記ヒーター挿入用空洞部における前記たばこロッドの軸方向に直交する横断面積は、前記たばこロッドに規定深さまで挿入された状態における前記ヒーターの各対向部位の横断面積に対して、70%以上99%以下の範囲内となるように設定されていても良い。
【0009】
また、前記ヒーター挿入用空洞部は、直径が1mm以上4mm以下の円柱形状を有していても良い。
【0010】
また、前記ヒーター挿入用空洞部は、前記たばこロッドの軸方向に沿って先細りの円錐形状を有し、前記たばこロッドの先端面側に位置する第1端位置における直径が1mm以上4mm以下であり、前記先端面と反対側に位置する第2端位置における直径が0mmより大きく0.5mm以下であっても良い。
【0011】
また、前記ヒーター挿入用空洞部は、前記たばこロッドの軸方向に沿って先細りの円錐台形状を有し、前記たばこロッドの先端面側に位置する第1端位置における直径が1mm以上4mm以下であり、前記先端面と反対側に位置する第2端位置における直径が0.5mm以上3.5mm以下であっても良い。
【0012】
また、前記加熱式たばこは、前記たばこロッドにおける基端側に同軸に連結されたフィルタを有し、前記フィルタは、前記たばこ充填材に含まれるエアロゾル生成基材から放出される揮発性物質を冷却するための冷却部を含んでいても良い。
【0013】
また、本発明に係る加熱式たばこにおいて、前記フィルタは、前記たばこロッドの基端側に接続される接続端に配置され、前記ヒーターが前記ヒーター挿入用空洞部に挿入された際に、前記たばこ充填材が前記フィルタの吸い口端側に向かって押し込まれるのを抑制するために前記たばこ充填材を支持する支持部を含んでいても良い。
【0014】
また、本発明に係る加熱式たばこにおいて、前記フィルタは、当該フィルタの吸い口端側に配置されたマウスピース部を含んでいても良い。
【0015】
また、前記ヒーター挿入用空洞部は、前記たばこロッドを貫通する貫通孔として形成されていても良いし、前記たばこロッドを貫通しない凹部として形成されていても良い。
【0016】
なお、本発明における課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて採用することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、たばこ原料及びエアロゾル生成基材を含むたばこ充填材を巻紙の内側に充填して形成されたたばこロッドを有する加熱式たばこにおいて、たばこロッドへの挿入時に電気ヒーターに折れ、曲がり等といった損傷が生じたり、たばこロッドを構成するたばこ充填材が吸い口側に押し込まれたり、たばこロッドが座屈変形することを抑制するための技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る加熱式たばこの内部構造を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、加熱式たばこにおけるたばこロッドの詳細を示す図である。
【
図3】
図3は、加熱式たばこが適用される加熱装置の概略構成図である。
【
図4】
図4は、加熱装置における収容キャビティにたばこロッドを装着した際、電気ヒーターがたばこロッドに規定深さまで挿入された状態を示す図である。
【
図5】
図5は、第1変形例に係るたばこロッドを説明する図である。
【
図6】
図6は、加熱装置における収容キャビティに第1変形例に係るたばこロッドを装着した状態を示す図である。
【
図7】
図7は、第2変形例に係るたばこロッドを説明する図である。
【
図8】
図8は、加熱装置における収容キャビティに第2変形例に係るたばこロッドを装着した状態を示す図である。
【
図9A】
図9Aは、第3変形例に係るヒーター挿入用空洞部を説明する図である。
【
図9B】
図9Bは、第4変形例に係るヒーター挿入用空洞部を説明する図である。
【
図9C】
図9Cは、第5変形例に係るヒーター挿入用空洞部を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここで、本発明に係る加熱式たばこの実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、本実施形態に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0020】
<実施形態1>
[加熱式たばこ]
図1は、実施形態1に係る加熱式たばこ1の内部構造を概略的に示す図である。加熱式たばこ1は、たばこ充填材を燃焼させることなく加熱し、たばこ充填材において生成されたエアロゾルを使用者にデリバリーするタイプのたばこ物品である。
【0021】
加熱式たばこ1は、同軸に整列して配列されたたばこロッド2及びフィルタ3を備える。加熱式たばこ1は、使用中に使用者が口腔内に挿入する吸い口端1aと、この吸い口端1aとは反対側の端部にある先端1bを有する。フィルタ3は、同軸に整列して配列された支持部4、冷却部5、及びマウスピース部6を有し、これらの部材がフィルタ3の先端側から順に配置されている。フィルタ3の支持部4、冷却部5、及びマウスピース部6は、巻取紙7によって一体に巻き取られている。更に、たばこロッド2及びフィルタ3は、チップペーパ8によって巻き取られることで一体に連結されている。
【0022】
加熱式たばこ1の使用時には、空気が、使用者によって先端1bから吸い口端1aまで加熱式たばこ1を通って吸い込まれる。加熱式たばこ1の先端1bは、たばこロッド2の先端、又は上流端として捉えることができ、加熱式たばこ1の吸い口端1aはマウスピース部6の後端又は下流端として捉えることができる。
【0023】
たばこロッド2は、加熱式たばこ1の先端1bに配置される。たばこロッド2は、たばこ原料及びエアロゾル生成基材を含むたばこ充填材21の側面を覆うように巻紙22によって包んだ棒状部材である。本実施形態において、たばこ充填材21に含まれるたばこ原料は、たばこ刻み、たばこ顆粒、再構成たばこ材料のいずれか1種類若しくは複数種類を含んでいても良い。本実施形態において、たばこ充填材21は、再構成たばこ材料である。再構成たばこ材料は、再構成たばこシートを小片に裁刻したり、粉砕することで粒状・粉状の形態としたもの、若しくは、当該再構成たばこシートを裁刻せずに折り畳んだもの等であっても良い。再構成たばこシートは、例えば、均質化たばこに、結合剤、ゲル化剤、架橋剤、香料、粘度調整剤等を添加して混練し、適宜の方法によってシート状に成形したものである。均質化たばこは、葉タバコ、乾燥たばこ葉、刻みたばこ、膨化たばこ、再生たばこ等を粉砕、磨砕して混和することで得られるたばこ材料である。再構成たばこシートは、例えばスラリー法、抄造法、圧延法等といった適宜の方法を用いて形成した再構成たばこスラリーシート(再構成たばこキャストシート)、再構成たばこ抄造シート、再構成たばこ圧延シートであっても良い。例えば、再構成たばこスラリーシートは、平板上に展開した再構成たばこスラリーを乾燥、脱水することで製造される再構成たばこシートである。また、再構成たばこ抄造シートは、再構成たばこスラリーにパルプ(セルロース繊維)を配合して抄紙することで製造される再構成たばこシートである。また、再構成たばこ圧延シートは、再構成たばこスラリーをローラ等によってシート状に圧延し、乾燥させることで製造される再構成たばこシートである。
【0024】
たばこ充填材21に含まれるエアロゾル生成基材は、揮発して放出される揮発性物質が冷やされた際にエアロゾルを生成する物質である。エアロゾル生成基材の種類は、特に限定されず、用途に応じて種々の天然物からの抽出物質を適宜選択することができる。エアロゾル生成基材としては、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、1,3-ブタンジオール、及びこれらの混合物等を例示できる。また、たばこ充填材21は、香料を含んでいてもよい。香料の種類は、特に限定されない。
【0025】
支持部4は、フィルタ3の前端側に位置するセグメントである。支持部4は、たばこロッド2の直ぐ下流側に位置し、たばこロッド2の後端と当接した状態で配置されている。支持部4は、例えば、中空のセルロースアセテート管体であってもよい。言い換えると、支持部4は、円柱状のセルロースアセテート繊維束の横断面中央にセンターホールを貫通形成したものであってもよい。また、支持部4は、他の形態として、セルロール繊維を充填したペーパフィルタや、紙管等であっても良い。ある程度の厚さを有する紙管であれば、支持部4として有効に機能させることができる。支持部4は、加熱式たばこ1が適用される加熱装置の電気ヒーターがたばこロッド2内に挿入された際に、たばこ充填材21が加熱式たばこ1内で冷却部5に向かって下流側に押し込まれるのを防ぐためのセグメントである。また、支持部4は、加熱式たばこ1の冷却部5をたばこロッド2から離間させるためのスペーサとしても機能する。
【0026】
冷却部5は、支持部4の直ぐ下流側に位置し、支持部4の後端と当接して配置される。加熱式たばこ1の使用時において、たばこロッド2(たばこ充填材21)から放出される揮発性物質は、冷却部5に沿って下流側へ向かって流れる。たばこロッド2(たばこ充填材21)から放出された揮発性物質は、冷却部5で冷却されることで、使用者によって吸入されるエアロゾルを形成する。
図1に示す形態において、冷却部5は、外部の空気を導入可能な通気孔5aを有する中空の紙管によって形成されている。但し、冷却部5は、通気孔5aを有していなくても良い。また、冷却部5は、揮発性物質、エアロゾルの流れを妨げないように配置された吸熱剤を有していても良い。例えば、フィルタ3の長手方向(軸方向)に沿って多数の流路(貫通孔)が形成されたフィルタ材料によって冷却部5を形成しても良い。
【0027】
マウスピース部6は、フィルタ3の後端、すなわち吸い口端1a側に位置するセグメントである。マウスピース部6は、冷却部5の直ぐ下流側に位置し、冷却部5の後端と当接した状態で配置されていても良い。
図1に示す形態において、マウスピース部6は、例えば、円柱状に成形したセルロースアセテート繊維によって形成されたフィルタ材料を備えていてもよい。また、マウスピース部6は、センターホールフィルタ、セルロース繊維を充填したペーパフィルタであっても良く、また、濾材を含まない紙管であっても良い。マウスピース部6は、濾材を有する中実のフィルタ材料、センターホールフィルタ、ペーパフィルタ、濾材を含まない紙管の何れかによって形成されても良いし、これらの複数を選択的に組み合わせることで形成されても良い。
【0028】
図2は、加熱式たばこ1におけるたばこロッド2の詳細を示す図である。
図2に示すように、たばこロッド2(たばこ充填材21)の先端面2aには、加熱装置のヒーターを挿入するためのヒーター挿入用空洞部23が開口している。
図2に示す例において、ヒーター挿入用空洞部23は、たばこロッド2(たばこ充填材21)の軸方向に沿った非貫通の凹部(空洞部)として形成されている。但し、ヒーター挿入用空洞部23は、たばこロッド2(たばこ充填材21)の軸方向に沿って貫通する空洞部として形成されてもよい。
図2に示す形態では、ヒーター挿入用空洞部23は、たばこロッド2(たばこ充填材21)の先端面2aから後端側に向かって縮径する先細りの円錐形状を有しているが、先端面2aから後端側に向かって縮径する先細りの円錐台形状を有していてもよい。ヒーター挿入用空洞部23の形状は特に限定されず、円錐形状や円錐台形状以外の形状、例えば円柱形
状を有していてもよい。
図2に示す符号CL1は、たばこロッド2の中心軸である。ヒーター挿入用空洞部23は、たばこロッド2の中心軸CL1と同軸に形成されていてもよい。
【0029】
ここで、たばこロッド2(たばこ充填材21)のヒーター挿入用空洞部23は、たばこロッド2の先端面2a側に位置する第1端23aの位置における直径が1mm以上4mm以下であり、先端面2aと反対側に位置する第2端23bの位置における直径が0mmより大きく0.5mm以下とすることが好ましい。なお、ヒーター挿入用空洞部23は、たばこロッド2の先端面2a側に位置する第1端23aの位置における直径をたばこロッド2の直径に対して10%以上80%以下とし、第2端23bの位置における直径をたばこロッド2の直径に対して0%より大きく10%以下とすることが好ましい。
【0030】
図3は、
図1は、実施形態1に係る加熱式たばこ1が適用される加熱装置100の概略構成図である。加熱装置100は、各種構成部品を収容するための筐体であるハウジング102を有する。ハウジング102内には、電気ヒーター103、コントローラ(制御部)104、電源105等が収容されている。ハウジング102は、加熱式たばこ1のたばこロッド2を挿入する開口部106を含む収容キャビティ107を有している。収容キャビティ107は、円柱形状を有する空洞部であり、たばこロッド2を収容することができる。
【0031】
図3に示すように、収容キャビティ107内には、電気ヒーター103が設けられている。電気ヒーター103は、円錐形状を有し、収容キャビティ107における底部107aの中央部から垂直に開口部106側に向かって垂直に突設されており、基端部103aから先端部103bに向かって徐々に先細りとなっている。また、電気ヒーター103の中心軸は、収容キャビティ107の中心軸と同軸である。また、電気ヒーター103の種類は特に限定されないが、例えば鋼材に発熱線(例えば、ニクロム、鉄クロム、鉄ニッケル等)を張り巡らせて配置したもの、或いは、セラミックヒーター等を用いることができる。
【0032】
以上のように構成される加熱式たばこ1は、たばこロッド2(たばこ充填材21)にヒーター挿入用空洞部23が形成されているため、たばこロッド2を加熱装置100の収容キャビティ107に装着する際、電気ヒーター103をたばこロッド2(たばこ充填材21)のヒーター挿入用空洞部23に挿入することで、電気ヒーター103をたばこ充填材21に挿入する際の挿入抵抗を小さくすることができる。これにより、加熱装置100に対するたばこロッド2の装着時(たばこロッド2に対する電気ヒーター103の挿入時)におけるユーザビリティを向上させることができる。また、電気ヒーター103をたばこロッド2に挿入する際に、電気ヒーター103に折れや曲がり等といった損傷が生じたり、たばこロッド2が座屈変形することを抑制できる。また、たばこロッド2を加熱装置100の収容キャビティ107に装着する際に、たばこロッド2のたばこ充填材21が吸い口側に押し込まれることも抑制できる。
【0033】
また、本実施形態においては、たばこロッド2(たばこ充填材21)のヒーター挿入用空洞部23が円錐形状を有しているため、ヒーター挿入用空洞部23に電気ヒーター103を挿入した際に、ヒーター挿入用空洞部23の側方周囲を囲むたばこ充填材21と電気ヒーター103を好適に密着させることができ、電気ヒーター103からたばこ充填材21への熱伝導を向上させることができる。更に、使用後に加熱式たばこ1のたばこロッド2を加熱装置100の収容キャビティ107から引き抜く際にも、電気ヒーター103とたばこ充填材21間で生じる摩擦力が小さいため、たばこ充填材21の脱落が起こり難い。また、使用時におけるたばこ充填材21の焼き付きが起こり難くなるため、使用後に加熱装置100の収容キャビティ107からたばこロッド2を引き抜く際に、たばこ充填材
21の脱落を起こり難くすることができる。
【0034】
ここで、本実施形態におけるたばこロッド2(たばこ充填材21)のヒーター挿入用空洞部23は、たばこロッド2の中心軸CL1方向に直交する横断面積が、たばこロッド2に規定深さまで挿入された状態における電気ヒーター103の各対向部位の横断面積よりも小さくても良い。
図4は、加熱装置100における収容キャビティ107にたばこロッド2を装着した際、電気ヒーター103がたばこロッド2に規定深さまで挿入された状態を示す図である。本実施形態において、ヒーター挿入用空洞部23における直径(横断面積)は、たばこロッド2に規定深さまで挿入された状態における電気ヒーター103の各対向部位の直径(横断面積)に対して、70%以上99%以下の範囲内となるように設定されている。ここでいう各対向部位とは、電気ヒーター103がたばこロッド2に規定深さまで挿入された状態において、電気ヒーター103とヒーター挿入用空洞部23とにおいて互いに対向する部位をいう。
【0035】
本実施形態におけるたばこロッド2(たばこ充填材21)のヒーター挿入用空洞部23において、加熱式たばこ1が適用される加熱装置100の電気ヒーター103における各対応部位よりも横断面積を小さくした場合、ヒーター挿入用空洞部23に電気ヒーター103を挿入する際、電気ヒーター103はヒーター挿入用空洞部23を押し広げながら挿入されることになる。この場合、ヒーター挿入用空洞部23の側方周囲を囲むたばこ充填材21と電気ヒーター103をより一層に密着させることができ、電気ヒーター103からたばこ充填材21への熱伝導効率を向上させることができる。
【0036】
<第1変形例>
図5は、第1変形例に係るたばこロッド2(たばこ充填材21)を説明する図である。第1変形例におけるたばこロッド2のヒーター挿入用空洞部23Aは、たばこロッド2の中心軸CL1方向に沿って直径が一定の円柱形状を有している。
図6は、加熱装置100における収容キャビティ107に第1変形例に係るたばこロッド2を装着した状態を示す図である。
図6は、たばこロッド2に対して電気ヒーター103Aが規定深さまで挿入された状態を示している。また、本変形例において、電気ヒーター103Aは、第1変形例に係るヒーター挿入用空洞部23Aと同様、円柱形状を有している。
【0037】
第1変形例に係るヒーター挿入用空洞部23Aにおいても、電気ヒーター103Aに比べて直径(横断面積)が相対的に小さな値に設定されていても良い。この場合、ヒーター挿入用空洞部23Aに電気ヒーター103Aを挿入する際、電気ヒーター103Aはヒーター挿入用空洞部23Aを押し広げながら挿入されることになる。これにより、ヒーター挿入用空洞部23Aの側方周囲を囲むたばこ充填材21と電気ヒーター103Aを密着させることができる。その結果、電気ヒーター103Aからたばこ充填材21への熱伝導効率を向上させることができる。
【0038】
ここで、ヒーター挿入用空洞部23Aを過度に小径にすると電気ヒーター103Aを挿入する際の挿入抵抗が大きくなり易く、ヒーター挿入用空洞部23Aを過度に大径にすると電気ヒーター103Aを挿入した際の接触性が悪化し易くなる。そこで、第1変形例のヒーター挿入用空洞部23Aにおいては、その直径(横断面積)が、電気ヒーター103Aの直径(横断面積)に対して70%以上99%以下の範囲内となるように設定する。これにより、電気ヒーター103Aを挿入する際の挿入抵抗と、挿入後の接触性を両立することができる。その結果、加熱装置100に対するたばこロッド2の装着時(たばこロッド2に対する電気ヒーター103Aの挿入時)におけるユーザビリティと、電気ヒーター103Aによってたばこ充填材21を加熱する際の加熱効率の双方を向上させることができる。
【0039】
更に、第1変形例に係るヒーター挿入用空洞部23Aは、直径が一定の円柱形状を有しているため、第2端23b側においてもヒーター挿入用空洞部23Aの周囲におけるたばこ充填材21をヒーター加熱時に十分に加熱することができる。よって、ヒーター加熱時において中心軸CL1方向に沿ってたばこ充填材21に温度分布が生じにくくすることができ、エアロゾルのデリバリー量や、デリバリーの安定性を向上することができる。
【0040】
なお、第1変形例におけるヒーター挿入用空洞部23Aは、直径を1mm以上4mm以下の円柱形状とすることが好ましい。また、ヒーター挿入用空洞部23Aの直径をたばこロッド2の直径に対して10%以上80%以下とすることが好ましい。例えば、たばこロッド2の直径を7mmとした場合、ヒーター挿入用空洞部23Aの直径を2.5mm程度とすることが好ましい。
【0041】
<第2変形例>
図7は、第2変形例に係るたばこロッド2(たばこ充填材21)を説明する図である。第2変形例におけるたばこロッド2のヒーター挿入用空洞部23Bは、たばこロッド2の中心軸CL1方向に沿って先細りの円錐台形状(切頭円錐形状)を有している。
図8は、加熱装置100における収容キャビティ107に第2変形例に係るたばこロッド2を装着した状態を示す図である。
図8は、たばこロッド2に対して電気ヒーター103Bが規定深さまで挿入された状態を示している。また、本変形例において、電気ヒーター103Bは、第2変形例に係るヒーター挿入用空洞部23Bと同様、円錐台形状(切頭円錐形状)を有している。
【0042】
第2変形例に係るヒーター挿入用空洞部23Bにおいても、その直径(横断面積)がたばこロッド2に規定深さまで挿入された状態における電気ヒーター103Bの各対向部位の直径(横断面積)よりも小さな値に設定されていても良い。この場合、ヒーター挿入用空洞部23Bに電気ヒーター103Bを挿入する際、電気ヒーター103Bはヒーター挿入用空洞部23Bを押し広げながら挿入されることになる。これにより、ヒーター挿入用空洞部23Bの側方周囲を囲むたばこ充填材21と電気ヒーター103Bを密着させることができる。その結果、電気ヒーター103Bからたばこ充填材21への熱伝導効率を向上させることができる。
【0043】
ここで、ヒーター挿入用空洞部23Bを過度に小径にすると電気ヒーター103Bを挿入する際の挿入抵抗が大きくなり易く、ヒーター挿入用空洞部23Bを過度に大径にすると電気ヒーター103Bを挿入した際の接触性が悪化し易くなる。そこで、第2変形例のヒーター挿入用空洞部23Bにおける直径(横断面積)を、たばこロッド2に規定深さまで挿入された状態における電気ヒーター103Bの各対向部位の直径(横断面積)に対して、70%以上99%以下の範囲内となるように設定することとした。これにより、たばこロッド2に電気ヒーター103Bを挿入する際の挿入抵抗と、挿入後の接触性を両立することができる。その結果、加熱装置100に対するたばこロッド2の装着時(たばこロッド2に対する電気ヒーター103Bの挿入時)におけるユーザビリティと、電気ヒーター103Bによってたばこ充填材21を加熱する際の加熱効率の双方を向上させることができる。
【0044】
また、第2変形例におけるヒーター挿入用空洞部23Bによれば、円錐台形状(切頭円錐形状)を採用したので、円錐形状を採用するヒーター挿入用空洞部23と、円柱形状を採用するヒーター挿入用空洞部23の利点を両立することができる。
【0045】
すなわち、第2変形例に係るヒーター挿入用空洞部23Bは、吸い口側に位置する第2端23bの位置における直径が、円錐形状を採用するヒーター挿入用空洞部23に比べて大きな寸法に確保しやすいため、ヒーター加熱時にたばこ充填材21における中心軸CL
1方向に沿った温度分布が生じにくくすることができる。また、第2変形例に係るヒーター挿入用空洞部23Bによれば、たばこロッド2の中心軸CL1方向に沿って先細りの直径(横断面積)を有しているため、たばこロッド2に電気ヒーター103Bを挿入する際の挿入抵抗を低減しつつ、挿入後の接触性を向上することができる。
【0046】
ここで、第2変形例に係るヒーター挿入用空洞部23Bは、たばこロッド2の先端面2a側に位置する第1端23aの位置における直径が1mm以上4mm以下であり、先端面2aと反対側に位置する第2端23bの位置における直径が0.5mm以上3.5mm以下とすることが好ましい。なお、ヒーター挿入用空洞部23Bは、たばこロッド2の先端面2a側に位置する第1端23aの位置における直径をたばこロッド2の直径に対して10%以上80%以下とし、第2端23bの位置における直径をたばこロッド2の直径に対して5%以上70%以下とすることが好ましい。
【0047】
なお、本実施形態におけるたばこロッド2(たばこ充填材21)のヒーター挿入用空洞部23,23A,23Bは、上述までの円錐形、円柱形、円錐台形に限られず、種々の形状を採用することができる。また、たばこロッド2(たばこ充填材21)に形成されるヒーター挿入用空洞部23,23A,23Bの数についても特に限定されない。例えば、たばこロッド2(たばこ充填材21)には、複数のヒーター挿入用空洞部23,23A,23Bが形成されていても良い。
【0048】
また、上述までのヒーター挿入用空洞部23,23A,23Bは、たばこロッド2の中心軸CL1方向に沿ってたばこロッド2を貫通しない非貫通の凹部として形成する場合を例に説明したが、たばこロッド2を貫通する貫通孔として形成してもよい。
図9Aは、第3変形例に係るヒーター挿入用空洞部23Cを説明する図である。第3変形例に係るヒーター挿入用空洞部23Cは、円錐形状を有しており、たばこロッド2を貫通する貫通孔として形成されている点を除いて
図2に示すヒーター挿入用空洞部23と同一である。
図9Bは、第4変形例に係るヒーター挿入用空洞部23Dを説明する図である。第4変形例に係るヒーター挿入用空洞部23Dは、円柱形状を有しており、たばこロッド2を貫通する貫通孔として形成されている点を除いて
図5に示すヒーター挿入用空洞部23Aと同一である。
図9Cは、第5変形例に係るヒーター挿入用空洞部23Eを説明する図である。第5変形例に係るヒーター挿入用空洞部23Eは、円錐台形状を有しており、たばこロッド2を貫通する貫通孔として形成されている点を除いて
図7に示すヒーター挿入用空洞部23Bと同一である。
【0049】
なお、
図9A~9Cに示すように、ヒーター挿入用空洞部23C,23D,23Eがたばこロッド2の中心軸CL1方向に沿って貫通する貫通孔とする場合、ヒーター挿入用空洞部23C,23D,23Eを形成した後のたばこロッド2をフィルタチップアタッチメント装置によってフィルタ3と一体に接続させるとよい。これにより、例えば、たばこロッド2の先端面2aにニードルを挿入することでヒーター挿入用空洞部23C,23D,23Eを形成する際、ニードルによってたばこ充填材21が吸い口側に押し出されたとしても、その後にたばこロッド2をフィルタ3に接続するようにすれば、特段の不都合は生じない。
【0050】
また、
図9A~9Cに示すように、たばこロッド2を貫通する貫通孔としてヒーター挿入用空洞部23C,23D,23Eを形成することで、電気ヒーター103の先端よりも下流側にたばこ充填材21が存在しないため、ヒーター加熱時における熱伝導性が低下することがない。これにより、ヒーター加熱時に生成されたエアロゾルが電気ヒーター103の先端近傍においけるたばこ充填材21において冷やされ、凝縮することを抑制できる。その結果、使用時におけるエアロゾルのデリバリー量を増加させることができる。
【0051】
一方、
図2、
図5、
図7に示したように、たばこロッド2を貫通しない非貫通孔としてヒーター挿入用空洞部23,23A,23Bを形成することで、例えば、たばこロッド2の先端面2aにニードルを挿入することでヒーター挿入用空洞部23,23A,23Bを形成する際、ニードルによってたばこロッド2のたばこ充填材21を吸い口側に押し出すことがない。これにより、フィルタチップアタッチメント装置において、フィルタ3をたばこロッド2に連結した後に、ヒーター挿入用空洞部23,23A,23Bを穿孔することができ、製造適性が優れている。
【0052】
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明に係る加熱式たばこはこれらに限られない。
【符号の説明】
【0053】
1・・・加熱式たばこ
2・・・たばこロッド
3・・・フィルタ
4・・・支持部
5・・・冷却部
6・・・マウスピース部
21・・・たばこ充填材
23・・・ヒーター挿入用空洞部