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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054312
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】飛行体
(51)【国際特許分類】
   B64C 27/08 20230101AFI20230406BHJP
   B64D 27/24 20060101ALI20230406BHJP
   B64D 27/08 20060101ALI20230406BHJP
   B64D 33/04 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
B64C27/08
B64D27/24
B64D27/08
B64D33/04
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027348
(22)【出願日】2023-02-24
(62)【分割の表示】P 2021550985の分割
【原出願日】2019-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】517106408
【氏名又は名称】株式会社A.L.I.Technologies
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】荒川 康弘
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 優
(72)【発明者】
【氏名】大庭 崇史
(72)【発明者】
【氏名】城田 たける
(72)【発明者】
【氏名】小松 周平
(57)【要約】
【課題】搭乗者の運転フィーリングや乗り心地を向上させることができる飛行体を提供する。
【解決手段】本技術に係る飛行体は、前後方向に伸びる機体と、前記機体の上側に設けられる鞍部と、前記機体の下側であって、前記鞍部の下方に設けられる動力部と、前記動力部の前後方向の少なくともいずれかに設けられ、前記動力部を動力源として回転する回転翼部と、を備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に伸びる機体と、
前記機体の上側に設けられる鞍部と、
前記機体の下側であって、前記鞍部の下方に設けられる動力部と、
前記動力部の前後方向の少なくともいずれかに設けられ、前記動力部を動力源として回転する回転翼部と、
を備える飛行体。
【請求項2】
前記回転翼部は前記動力部の前後方向に少なくとも一対設けられ、
前記鞍部は、前後方向において一対の前記回転翼部の間に設けられる、請求項1に記載の飛行体。
【請求項3】
前記回転翼部を回転するモータが前記回転翼部に付設され、
前記モータは前記動力源により動力を得る、請求項1または2に記載の飛行体。
【請求項4】
前記動力部は、前記動力源を電気的に貯蔵するバッテリを含み、
前記バッテリは前記鞍部の下方に設けられる、請求項1~3のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項5】
前記動力部はエンジンを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項6】
前記エンジンから排出される排気ガスを処理する排気システムが、前記鞍部の下方に設けられる、請求項5に記載の飛行体。
【請求項7】
前記回転翼部は、
前記機体を浮上させるための揚力を発生させる揚力発生翼部と、
前記機体に推力を与えるための推力発生翼部と、を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項8】
前記推力発生翼部は、前記揚力発生翼部の、幅方向外側に隣接して設けられる、請求項7に記載の飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飛行体、特に、搭乗者が搭乗可能であって地上から浮上して移動する飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
搭乗者を乗せて浮上して移動することが可能な飛行体は、陸路を移動する自動二輪車等の移動体が、陸路を移動する際に他の移動体との関係で受けることになる移動に対する制約を受けることなく移動することが可能であることから、新たな移動手段として実現されることが期待されている。
【0003】
例えば、特許文献1において、搭乗者を乗せた状態で、プロペラの回転によって地上から50cm乃至100cm程度の高さに浮上して移動する、いわゆるホバーバイクとも称される飛行体に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-14396公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる飛行体を搭乗者が運転する際には、飛行体が備えるべき技術的な性能である、搭乗者の運転フィーリングや乗り心地の向上を図ることが求められる。特許文献1に開示された技術では、搭乗者の前後に重量物が分散して設けられていることから、姿勢制御の観点から改善の余地がある。
【0006】
本技術は、上記事情に鑑みてなされたものであり、運転フィーリングや乗り心地を向上させることが可能である飛行体を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するための、本開示に係る飛行体は、前後方向に伸びる機体と、前記機体の上側に設けられる鞍部と、前記機体の下側であって、前記鞍部の下方に設けられる動力部と、前記動力部の前後方向の少なくともいずれかに設けられ、前記動力部を動力源として回転する回転翼部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示の技術によれば、搭乗者の運転フィーリングや乗り心地を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に係る飛行体の構成例を示す斜視図である。
図2】同実施形態に係る飛行体の構成例を示す側視図である。
図3】同実施形態に係る飛行体のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
図1及び図2は、本開示の一実施形態に係る飛行体1の構成例を示す斜視図及び側視図である。図1よび図2に示すように、飛行体1は、搭乗者が搭乗可能であって地上から50cm乃至100cm程度の高さに浮上して水平方向に移動することが可能な、いわゆるホバーバイクとも称される移動手段である。なお、各図に示す各座標軸について、Lは飛行体1(機体2)の前後方向(前側が正)、Wは飛行体1(機体2)の幅方向(左方向が正)、Hは飛行体1(機体2)の上下方向(上側が正)を示す。
【0012】
飛行体1は、機体2と、鞍部3と、把持部4と、動力部5の一例であるエンジン50と、第1回転翼部6(6A~6B)と、第2回転翼部7(7A~7D)と、第3回転翼部8(8A~8D)と、排気システム9と、を備える。なお、第1回転翼部6、第2回転翼部7および第3回転翼部8は回転翼部の一例である。また、飛行体1はその他の構成要素も備えうるものであり、該構成要素については後述する。
【0013】
機体2は、飛行体1の上部において前後方向に伸びて形成される。機体2は、例えば、炭素繊維強化樹脂、ガラス繊維強化樹脂、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン合金またはマグネシウム合金等の、比較的比重が小さく、かつ強度の高い素材から形成され得る。
【0014】
機体2の前後方向における中央部の上側には、鞍部3および把持部4が設けられる。
【0015】
鞍部3は、搭乗者が飛行体1の機体2に跨って搭乗する座席に相当する。搭乗者が安定して着座できるように、鞍部3は、下方側に突出するような形状を成してもよい。
【0016】
把持部4は、鞍部3に跨った搭乗者が掴むために設けられる。把持部4の形状は図示するような形状に限定されない。把持部4には、搭乗者が飛行体1を操作するための操作部やインタフェース等が設けられてもよい。また、把持部4は機体2に固定されるが、把持部4は機体2に対して相対的に移動可能に設けられてもよいし、移動不能(つまり完全に固定された状態)に設けられてもよい。把持部4は、例えば機体2に対して高さ方向Hに沿う方向を回転軸とするステアリングのように移動可能であってもよいし、機体2に対して前後方向Lに沿う方向に移動可能なレバーのようなものであってもよい。かかる把持部4には、ボタン、レバー、ステアリング等の操作部が設けられてもよく、かかる操作部に入力される入力信号は、後述する制御部10に送出され得る。
【0017】
動力部5の一例であるエンジン50は、機体2の下側であって、鞍部3の下方に設けられる。なお、図2に示すエンジン50は、実際は機体2の外側からは部分的にしか視認できない場合もあり、本明細書において位置関係を示すために側視から全体が確認できるように表示されている。エンジン50は、例えば、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ガスエンジン等が挙げられ、エンジン50の機構は特に限定されない。
【0018】
第1回転翼部6は、機体2を浮上させるための揚力を発生させる揚力発生翼部の一例である。第1回転翼部6A、6Bは、動力部5の前後に一対設けられる。図1及び図2に示す例では、動力部5の前後において、機体2の前方及び後方を構成するテーパ形状のフレームの下方に設けられる。かかるフレーム形状により、第1回転翼部6に多くの気体をスムーズに取り込むことができる。
【0019】
第1回転翼部6は、揚力を発生させるためのプロペラと、かかるプロペラを収容し、上下端に通気口を有するダクトとを備える。プロペラは、例えば上下方向に重ね合わせられた1対のブレード群が、それぞれ反対方向に回転する、いわゆる二重反転プロペラである。かかるプロペラの回転により、上方から下方へと気流が生じる。かかる気流により機体2に揚力が発生し、機体2を浮上させることができる。なお、本実施形態に係る第1回転翼部6は、機体2の前後にそれぞれ設けられているが、前後の少なくともいずれかに第1回転翼部6が設けられていてもよい。かかる機体2をピッチ方向(幅方向Wを回転軸とする回転方向)またはロール方向(前後方向Lを回転軸とする回転方向)に傾斜させたり、第1回転翼部6を傾斜させることで、第1回転翼部6により水平方向の推力が発生する。これにより、飛行体1を推進させることができる。
【0020】
また、第1回転翼部6のダクトの上下端の通気口の少なくともいずれか(上端側が好ましい)には、ルーバーが設けられていてもよい。例えば図1に示すように、ルーバーは、短冊状であり、幅方向に配設され、前後方向Lを中心軸として外側から中心側にかけて下方に傾斜するように設けられてもよい。かかるルーバーにより、ダクト内への異物の侵入を抑制しすることができる。また、ルーバーが設けられることで、ダクトの内部から何かが飛散した際においても、ルーバーが飛散物の障害となり得る。また、上方から流入する気体の流れを整えることができる。また、ルーバーが設けられることにより、飛行体1に搭乗する搭乗者からプロペラが見えにくくなるので、搭乗者の恐怖感が和らぎ得る。
【0021】
また、第1回転翼部6のダクトの一部に、可変のフラップ機構が設けられていてもよい。かかるフラップ機構により流入または流出する気体の流動量および/または流動方向を制御することができる。これにより、飛行体1の飛行制御をより精緻に行うことができる。
【0022】
第2回転翼部7は、機体2に推力を与えるための推力発生翼部の一例である。特に、第2回転翼部7は、機体2に対して主に機体2の前後方向に推力を与え得る。第2回転翼部7Aは機体2の前方左側に、第2回転翼部7Bは機体2の後方左側に、第2回転翼部7Cは機体2の前方右側に、第2回転翼部7Dは機体2の後方右側に設けられる。第2回転翼部7A、7B、7C、7Dは、機体2の前後において、第1回転翼部6の幅方向外側に配設される。
【0023】
第2回転翼部7は、機体2の前後方向に気体を流通させるダクトと、該ダクトの内側において推力を発生させるプロペラと、を備える。該ダクトは、前後方向の端部にそれぞれ流通口が設けられる。該プロペラは、例えば二重反転プロペラであってもよいし、一重プロペラであってもよい。また、該プロペラは、後述する制御部10またはモータドライバ13等により、回転方向やプロペラのピッチ角を適宜変更してもよい。これにより、第2回転翼部7は、機体2の前後方向の少なくともいずれかの方向に沿った推力を発生させることができる。なお、第2回転翼部7は、通常機体2の前方への推力を発生させるが、後方への推力を発生させてもよい。かかる第2回転翼部7は、例えば、飛行体1の速度を変化させたり、飛行体1をヨー軸(上下方向Hに沿う方向の軸)まわりに回転させる制御をするために用いられる。
【0024】
第3回転翼部8は、機体2に推力を与えるための推力発生翼部の一例である。特に、第3回転翼部8は、機体2に対して主に機体2の上下方向に推力を与え得る。第3回転翼部8Aは機体2の前方左側に、第3回転翼部8Bは機体2の後方左側に、第3回転翼部8Cは機体2の前方右側に、第3回転翼部8Dは機体2の後方右側に設けられる。第3回転翼部8A、8B、8C、8Dは、機体2の前後において、第1回転翼部6の幅方向外側に配設される。
【0025】
第3回転翼部8は、機体2の上下方向に気体を流通させるケーシングと、該ケーシングの内側において推力を発生させるプロペラと、を備える。該ケーシングは、上端部および下端部にそれぞれ流通口が設けられる。該プロペラは、例えば二重反転プロペラであってもよいし、一重プロペラであってもよい。また、該プロペラは、後述する制御部10またはモータドライバ13等により、回転方向やプロペラのピッチ角を適宜変更してもよい。これにより、第3回転翼部8は、機体2の上下方向の少なくともいずれかの方向に沿った推力を発生させることができる。なお、第3回転翼部8は、通常機体2の上方への推力を発生させるが、下方への推力を発生させてもよい。かかる第3回転翼部8は、例えば、飛行体1の第1回転翼部6による浮上時の補助的な役割として用いられたり、飛行体1の姿勢を制御したり、飛行体1をピッチ軸(幅方向Wに沿う方向の軸)まわりおよび/またはロール軸(前後方向Lに沿う方向の軸)まわりに回転させる制御をするために用いられる。
【0026】
排気システム9は、エンジン50から排出される排気ガスを処理するシステムである。かかる排気システム9として、例えば公知の排気デバイス等が使用できる。排気システム9は、鞍部3の下方に設けられる。図2に示す例では、エンジン50の下部に排気システム9が設けられている。
【0027】
次に、図3を用いて、飛行体1の構成要素についてより詳細に説明する。図3は、本実施形態に係る飛行体1のハードウェア構成例を示すブロック図である。なお、既に上述した構成要素については説明を省略する。また、図3に示す破線は、飛行体1(機体2)の前部、中央部、後部を区画する仮想の境界線である。すなわち、鞍部3が設けられている領域が、機体2の中央部に相当する。また、図3に示す矢印Lは、機体2の前方向を示す矢印である。
【0028】
図3に示すように、機体2の中央部には、鞍部3、把持部4、動力部5が設けられ、さらに、排気システム9、制御部10、バッテリ11が設けられ得る。
【0029】
動力部5は、エンジン50の他に、ガソリンタンク51、ジェネレータ52、PCU(Power Control Unit)53を備えてもよい。ガソリンタンク51は、エンジン50に供給するガソリンを貯蔵するものである。ジェネレータ52はエンジン50を動力源として得られる動力により電力を発電する機能を有する。かかるジェネレータ52はPCU53により制御され、発電された電力はバッテリ11に蓄電される。PCU53は、バッテリ11の電力管理を行う機能を有する。
【0030】
機体2の前部及び後部には、第1回転翼部6、第2回転翼部7および第3回転翼部8の他に、モータ12およびモータドライバ13が、第2回転翼部7および第3回転翼部8のそれぞれに対して設けられる。
【0031】
本実施形態においては、第1回転翼部6には、エンジン50により発生する動力が、不図示の動力軸等を介して伝達される。一方、第2回転翼部7及び第3回転翼部8には、各々に対して設けられたモータ12から直接動力軸等を介して動力が伝達される。
【0032】
なお、本実施形態では、モータ12は第2回転翼部7及び第3回転翼部8に付随する形でそれぞれ設けられるとしたが、本技術はかかる例に限定されない。例えば、モータ12は機体2の中央部の、鞍部3の下部に設けられてもよい。この場合、モータ12は動力部5の一例である。モータ12の数は特に限定されず、例えば、モータ12の数は第2回転翼部7及び第3回転翼部8の数に対応して設けられてもよい。
【0033】
制御部10は、プロセッサ、メモリおよびセンサ等を有する。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)またはGPU(Graphics Processing Unit)等により構成され、飛行体1の各構成要素の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御や、プログラムの実行に必要な処理等を行う。
【0034】
メモリは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶装置、及びフラッシュメモリやHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶装置から構成される。メモリは、プロセッサの作業領域として使用される一方、制御部10が実行可能であるロジック、コード、あるいはプログラム命令といった各種の設定情報等が格納される。
【0035】
センサは、本実施の形態では、重量センサ、力センサ、慣性センサ(加速度センサ、ジャイロセンサ)、GPS衛星から電波を受信するGPSセンサ、近接センサ、光学式または超音波式の測距センサ、ビジョン/イメージセンサ(カメラ)、大気圧を測定する気圧センサ、温度を測定する温度センサといった各種のセンサによって構成される。
【0036】
制御部10は、例えば、把持部4に備えられた操作部から得られた入力信号や、センサから得られた信号に基づいて、エンジン50や、モータ12の出力を制御する。これにより、各回転翼部の回転数等が制御され、飛行体1の浮上や飛行が行われる。なお、制御部10の設けられる位置は、機体2の中央部等に限定されない。
【0037】
図3に示したように、動力部5が機体2の鞍部3の下側に設けられている。鞍部3は機体2の中央部に据え付けられているため、動力部5は機体2の中央下部に備えられる。動力部5はエンジン50、モータ12、ジェネレータ52、バッテリ11のような重量物で構成され得る。そのため、機体2の中央下部(すなわち鞍部3の下側)にこれらの動力部5が設けられることで、飛行体1の重心を、中心かつ下方に位置させることができる。そうすると、飛行体1の運転時の姿勢や回転動作等における安定性を高くすることができる。よって、運転時において搭乗者の意図しない機体バランスの変化が少なくなるので、搭乗者の運転フィーリングや乗り心地を向上させることができる。
【0038】
また、エンジン50が積載されている場合は、排気システム9も鞍部3の下側に設けられることで、重量物を機体2の中央下部に集中させることができ、運転時の安定性を高くすることができる。
【0039】
また、鞍部3の下側に動力部5のような比較的大型かつ重量のある構成要素を集中させることにより、機体2の他の部分におけるレイアウトを自由に設計することができる。すなわち、機体2をコンパクトにすることができ、設計の自由度を高めることができる。
【0040】
また、モータ12は第2回転翼部7および/または第3回転翼部8に付設されてもよい。この場合、他の動力部5の構成要素と比較してサイズが小さいモータ12を機体2の前後に設けることで、機体2の中央下部のスペースを、より大型の動力部5の構成要素でまとめることが可能である。
【0041】
また、他の実施形態においてエンジン50等の内燃機関を積載しない動力部5により飛行体1が構成される場合においても、バッテリ11を機体2の中央下部に設けることで、飛行体1の重心を、中心かつ下方に位置させることができる。これにより、運転時の安定性を高くすることができる。
【0042】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0043】
例えば、上記実施形態においては、回転翼部として、機体2を浮上させるための揚力を発生させる揚力発生翼部(第1回転翼部6)と、機体2に推力を与えるための推力発生翼部(第2回転翼部7、第3回転翼部8)とが設けられるとしたが、本技術はかかる例に限定されない。例えば、推力発生翼部として上記実施形態に示すような第2回転翼部7のみが設けられてもよいし、第3回転翼部8のみが設けられてもよい。また、揚力発生翼部または推力発生翼部の一方のみが設けられてもよい。いずれかしか設けられない場合は、他方の力を発生する代替手段が適宜採用され得る。また、動力部も、エンジンまたはモータのいずれか一方のみが設けられてもよい。
【0044】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0045】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(項目1)
前後方向に伸びる機体と、
前記機体の上側に設けられる鞍部と、
前記機体の下側であって、前記鞍部の下方に設けられる動力部と、
前記動力部の前後方向の少なくともいずれかに設けられ、前記動力部を動力源として回転する回転翼部と、
を備える飛行体。
(項目2)
前記回転翼部は前記動力部の前後方向に少なくとも一対設けられ、
前記鞍部は、前後方向において一対の前記回転翼部の間に設けられる、項目1に記載の飛行体。
(項目3)
前記回転翼部を回転するモータが前記回転翼部に付設され、
前記モータは前記動力源により動力を得る、項目1または2に記載の飛行体。
(項目4)
前記動力部は、前記動力源を電気的に貯蔵するバッテリを含み、
前記バッテリは前記鞍部の下方に設けられる、項目1~3のいずれか1項に記載の飛行体。
(項目5)
前記動力部はエンジンを含む、項目1~4のいずれか1項に記載の飛行体。
(項目6)
前記エンジンから排出される排気ガスを処理する排気システムが、前記鞍部の下方に設けられる、項目5に記載の飛行体。
(項目7)
前記回転翼部は、
前記機体を浮上させるための揚力を発生させる揚力発生翼部と、
前記機体に推力を与えるための推力発生翼部と、を含む、項目1~6のいずれか1項に記載の飛行体。
(項目8)
前記推力発生翼部は、前記揚力発生翼部の、幅方向外側に隣接して設けられる、項目7に記載の飛行体。
【符号の説明】
【0046】
1 飛行体
2 機体
3 鞍部
4 把持部
5 動力部
6 第1回転翼部
7 第2回転翼部
8 第3回転翼部
9 排気システム
10 制御部
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-02-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に伸びる機体と、
前記機体の上側に設けられる鞍部と、
前記機体の下側であって、前記鞍部の下方に設けられる動力部と、
前記動力部の前後方向に少なくとも一対設けられ、前記動力部を動力源として回転する回転翼部と、
を備え、
前記回転翼部は、
前記機体の上下方向の気流により揚力を発生させる前後一対の揚力発生翼部と、
それぞれの前記揚力発生翼部の幅方向外側に位置し、前記機体の上下方向の気流を発生させる向きで固定された補助回転翼部と、を含む、飛行体。
【請求項2】
記鞍部は、前後方向において一対の前記揚力発生翼部の間に設けられる、請求項1に記載の飛行体。
【請求項3】
前記回転翼部を回転するモータが前記回転翼部に付設され、
前記モータは前記動力源により動力を得る、請求項1または2に記載の飛行体。
【請求項4】
前記動力部は、前記ッテリを含、請求項1~3のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項5】
前記動力部は、前記エンジンを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項6】
前記エンジンから排出される排気ガスを処理する排気システムが、前記鞍部の下方、且つ、前後方向における前記一対の前記揚力発生翼部の間に設けられる、請求項5に記載の飛行体。
【請求項7】
前記回転翼部は、
前記機体を浮上させるための揚力を発生させる揚力発生翼部と、
前記機体に推力を与えるための推力発生翼部と、を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項8】
前記推力発生翼部は、前記揚力発生翼部の、幅方向外側に隣接して設けられる、請求項7に記載の飛行体。