(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005439
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】入浴具
(51)【国際特許分類】
A47K 3/03 20060101AFI20230111BHJP
A47K 3/12 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
A47K3/03
A47K3/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021107361
(22)【出願日】2021-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】512023683
【氏名又は名称】株式会社ヒューマンウェア
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】石田 貴朗
【テーマコード(参考)】
2D132
【Fターム(参考)】
2D132DA00
(57)【要約】
【課題】使い勝手の良い入浴具を提供する。
【解決手段】中空部を画成する環状体20と、一端部に開口が形成され、該開口が環状体20の中空部と連通するように環状体20に対して着脱自在に接続された液体を貯留可能な袋体10とを備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空部を画成する環状体と、
一端部に開口が形成され、該開口が前記環状体の中空部と連通するように前記環状体に対して着脱自在に接続された液体を貯留可能な袋体と
を備えることを特徴とする入浴具。
【請求項2】
前記袋体は、前記開口の周縁部が前記環状体の内方側から外方側に該環状体を巻き込むように折り返されることにより、前記環状体に接続される
ことを特徴とする請求項1記載の入浴具。
【請求項3】
前記袋体の前記開口の周縁部における周長は、前記環状体の外周長よりも小さく、
前記袋体は、延伸されることにより前記環状体を巻き込むように折り返される
ことを特徴とする請求項2記載の入浴具。
【請求項4】
前記袋体は、前記環状体との当接部分に、前記袋体と前記環状体との間の滑りを防止するための第1防滑部が設けられている
ことを特徴とする請求項2または請求項3記載の入浴具。
【請求項5】
前記袋体の折り返し部分には、当該折り返し部分と環状体20とに巻き付く留め具が設けられている
ことを特徴とする請求項2~請求項4のいずれか一項記載の入浴具。
【請求項6】
前記袋体の折り返し部分内部には、周方向に沿って延在する紐部材が設けられている
ことを特徴とする請求項2~請求項5のいずれか一項記載の入浴具。
【請求項7】
前記環状体は、一部が浴槽の縁部上に載置可能に、一方向における長さが浴槽の短手方向内壁間の長さより長い
ことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか一項記載の入浴具。
【請求項8】
前記袋体の外周面には、浴槽の壁面との間の滑りを防止するための第2防滑部が設けられている
ことを特徴とする請求項1~請求項7のいずれか一項記載の入浴具。
【請求項9】
前記袋体には、貯留する液体を排出するための着脱自在な排出部が設けられている
ことを特徴とする請求項1~請求項8のいずれか一項記載の入浴具。
【請求項10】
前記環状体には、浴室の壁面に接続し、該壁面に対して該環状体の移動を制限する接続部材が設けられている
ことを特徴とする請求項1~請求項9のいずれか一項記載の入浴具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る実施形態は、入浴具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入浴具としては、下記特許文献1に記載のものが知られている。これに示される入浴具は、弾性変形可能で浴槽の短方向内壁間以上の外径寸法を有する環状の浮体と、上面開口を前記浮体の中央開口に一致させて連結した袋体とからなることを特徴としている。このような特徴によれば、浮体を浴槽の内壁間に止め置くことで浮体を移動させないようにすることができ、身体を袋体内に入れる際に浮体を支えておく必要がなくなり、入浴具に対する出入りが簡単になるという効果を奏する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、使い勝手の良い入浴具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る入浴具は、中空部を画成する環状体と、一端部の開口が形成され、該開口が前記環状体の中空部と連通するように前記環状体に対して着脱自在に接続された液体を貯留可能な袋体とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、使い勝手の良い入浴具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係る入浴具を示す概略斜視図である。
【
図2】第1の実施形態に係る入浴具を示す概略分解斜視図である。
【
図3】第1の実施形態に係る入浴具の環状体を示す平面図である。
【
図4】第1の実施形態に係る入浴具の袋体と環状体とが取付状態にある入浴具の環状体近傍の概略縦断面図である。
【
図5】第1の実施形態に係る入浴具の使用方法を説明するための概略平面図である。
【
図6】第1の実施形態に係る入浴具の使用方法を説明するための概略縦断面図である。
【
図7】第1の実施形態に係る入浴具の源泉水の排出方法を説明するための概略縦断面図である。
【
図8】第1の変形例に係る入浴具の環状体近傍の概略縦断面図である。
【
図9】第2の変形例に係る入浴具を示す概略側面図である。
【
図10】第2の変形例に係る入浴具の環状体近傍の概略縦断面図である。
【
図11】第3の変形例に係る入浴具の袋体における上方側端部を示す概略縦断面図である。
【
図12】第3の変形例に係る入浴具の袋体における上方側端部に紐部材を取り付けた状態を示す概略縦断面図である。
【
図13】第4の変形例に係る入浴具の袋体における上方側端部を示す概略側面図である。
【
図14】第4の変形例に係る入浴具の円筒部材に紐部材を取り付けた状態を示す概略側面図である。
【
図15】第2の実施形態に係る入浴具の環状体を示す概略上面図である。
【
図16】第2の実施形態に係る入浴具の使用方法を説明するための概略縦断面図である。
【
図17】第3の実施形態に係る入浴具の構成及び源泉水の袋体への供給方法を説明するための概略縦断面図である。
【
図18】第3の実施形態に係る入浴具における袋体内の源泉水の排出方法を説明するための概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0009】
<第1の実施形態>
(全体構成)
先ず、本実施形態に係る入浴具の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る入浴具を示す斜視図であり、
図2はその分解斜視図である。
図3は入浴具の環状体を示す平面図である。
図1に示されるように、本実施形態に係る入浴具1は、袋体10と、袋体10に対して着脱自在に取り付け可能な環状体20とを備える。
【0010】
(袋体10)
袋体10は、
図2に示されるように軸方向に長い略円筒形状をなして長手方向一方側に開口11を有し、他方側が閉じられた袋状物であり、内部に温泉水などの身体に有用な成分を含む源泉水を貯留することができる。以後、適宜一方側を上方側、他方側を下方側と称して説明を行う。袋体10は、開口11及び内部空間が環状体20の中空部と連通するように環状体20に対して着脱自在に接続される。なお、本実施形態においては、袋体10は環状体20に巻き付けられることにより、環状体20に取り付けられているが、この取付方法についての詳細は後述する。
【0011】
袋体10は、湯が張られた浴槽内に没入させると共に使用者がその内部に入ることで使用するものであり、したがって柔軟性且つ強度があり、熱伝導率、水密性に優れるポリエチレンやポリ塩化ビニル等の樹脂素材より形成することが好ましい。その他、防水コーティングした不織布等の布生地などが挙げられる。また、袋体10のサイズは適宜であるが、浴槽よりも内容量が小さく、且つ使用者の全身が入り込める程度の大きさを有することが好ましい。そのようなサイズとしては、例えば厚さ30μm、上下方向長さ1200mm、左右方向長さ1100mmのものが挙げられる。
【0012】
袋体10は、その開口11の周縁部近傍の外周面に第1防滑部12aが設けられており、その下方側、具体的には袋体10の略中央外周面に第2防滑部12bが設けられている。以後、これらを区別しない場合、防滑部12と称して説明する。防滑部12は、袋体10と当接する当接部材との間の摩擦力を増大させることができる。したがって第1防滑部12aは、袋体10が環状体20に対して取り付けられ、取付状態となった際の、環状体20に対する袋体10の滑りを防止することができる。一方、第2防滑部12bは、使用者が袋体10内に入り込んだ状態において、浴槽底面に対する袋体10の滑りを防止、延いては使用者の転倒を防止することができる。防滑部12を設ける手法としては、摩擦抵抗が大きい塗料である防滑インクを印刷、例えばドット状に印刷するといった手法が挙げられる。その他、摩擦抵抗が大きい部材、例えばゴムといった弾性部材を設ける手法や、防滑シートを貼付ける手法が挙げられる。製作の容易性、コスト面から見ると防滑インクを袋体に印刷する手法が好ましい。なお、防滑部12は袋体10の全周に亘って設けられていてもよく、袋体10における他部材との当接部分に設けられていればよい。
【0013】
袋体10の下方側端部近傍には、貯留する源泉水を外部に排出するための中空の排出部材13が設けられている。排出部材13には、キャップ131が着脱自在に取り付けられており、キャップ131を排出部材13に取り付けることで袋体10内に源泉水を貯留することができ、キャップ131を排出部材13から取り外すことで当該源泉水を排出部材13から排出させることができる。なお、排出部材13は、袋体10に予め溶着されていても良いが、袋体10を破棄する際に取り外し、他の袋体に取り付ける等、繰り返し流用できるように袋体10に対して着脱自在に構成することが好ましい。このような構成としては、例えば排出部材13を袋体10の外側に位置してキャップ131が取り付けられた略円筒の外部排出部と袋体10の内側に位置する略円筒の内部排出部とにより構成する手法が挙げられる。この場合、排出部材13を袋体10に取り付ける際には、取り付け部分に孔を穿設し、その孔部分の外側に外部排出部を位置付けて、袋体10の内側から外部排出部に嵌合または螺合させるなどして内側排出部を取り付ければよい。
【0014】
(環状体20)
環状体20は、
図3に示されるように、中空部を画成するように全体としてリング状を形成している。環状体20は、剛性且つ強度を有するリング状の芯材211を有し、その芯材211の周面を柔軟性を有する被覆部材212が囲繞することによりなる。なお、芯材211は、剛性且つ強度を有するものであればよく、特に樹脂部材より構成することが好ましい。また、被覆部材212は、柔軟性を有するものであればよく、特に発泡部材より構成することが好ましい。
【0015】
環状体20は、
図3に示されるように複数の弧状の円柱部材21が連結することにより形成されており、この円柱部材21は、両端部が互いに嵌合することにより着脱自在となっている。したがって入浴具1を使用しない不使用時においては、袋体10から環状体20を取り外し、且つ環状体20を複数の円柱部材21に分離させることでコンパクトな状態とすることができる。そのため持ち運びが便利であり、また保管場所の省スペース化も実現できる。
【0016】
本実施形態に係る環状体20は、形成するリングの外径(以後、環状体20の外径と称する)が浴槽の短手方向に直交する内壁間の長さ(以後、短手方向幅と称する)よりも長く形成されており、これにより環状体20の一部が浴槽の縁部上に載置された状態、具体的には、当該縁部上において2点で支持される。この状態において環状体20は、取り付けられた袋体10のみが浴槽内に没入するように当該袋体10を支持することができる。環状体20の外径は開口11の直径より大きく、つまり環状体20の外周長が、袋体10の開口11の周長より長く形成されていることが、後述する環状体20への袋体10の取り付けを考慮すると好ましい。周長の差は適宜であるが、数%程度とすればよい。例えば4%程度の差として環状体20の外径を730mm(外周長2290mm)とした場合、袋体10の周長は2200mmとなる。
【0017】
(取付方法)
環状体20に対する袋体10の取付方法について説明する。
図4は、袋体と環状体とが取付状態にある入浴具の環状体近傍の概略縦断面図である。環状体20に袋体10を取り付ける場合、先ず環状体20の中空部分に袋体10の開口11の周縁部近傍を挿通する。挿通後、
図4に示されるように、環状体20を巻き込むように開口11の周縁部を内方側から外方側に折り返す。この折り返し量は200mm程度あればよい。上述したように、環状体20の外径が開口11の径より大きく形成されているものの、折り返し時には袋体10の伸びが生じると共に、環状体20の巻き込み時には被覆部材212の圧縮が生じることとなるため、開口11周縁部の折り返しを実現することができる。この折り返しは、一部分から順に周方向に沿って行うとよく、折り返し長さは200mm程度あればよい。
【0018】
この折り返しにより、袋体10を下方に牽引したとしても、袋体10が伸びた状態における被覆部材212との間の摩擦力が環状体20の全周に亘って生じるため、袋体10と環状体20とが容易に分離することはない。さらに、
図4に示されるように被覆部材212と第1防滑部12aとが接触することとなるため、それらの間に生じる摩擦力は極めて高く不本意な分離を確実に防止することができる。なお、袋体10を交換するなどで環状体20からの分離を行う場合、折り返した開口11の周縁部近傍を、その一部分から環状体20の内方側に折り返し、これを順に周方向に沿って行うのみでよいため極めて簡単である。
【0019】
(使用方法)
入浴具1の使用方法について説明する。
図5、
図6は本実施形態に係る入浴具の使用方法を説明するための概略平面図、概略縦断面図である。
図6では、説明上、入浴具1と浴槽3と浴槽用の折り畳み式蓋部材5とが縦断面で示されている。入浴具1を使用する際には、
図5に示されるように、先ず環状体20を浴槽3の縁部31上に載置する。上述したように環状体20は浴槽3の短手方向幅よりも外径が長いため、浴槽3内に滑落することはない。次に、浴槽3内に湯を張る。湯量は適宜であるが、袋体10内に給水する源泉水の量と使用者の体積とを考慮し、満水に対して60%程度の湯を張るようにすればよい。湯張り後、
図6に示されるようにバックインボックス等の収容箱4に収容されている源泉水を環状体20の中空部内、即ち袋体10内に給水する。なお、給水は、
図6に示されるように蓋部材5上に収容箱4を載置して行うようにしてもよく、浴室外からホースを用いて給水するようにしてもよい。ここでの給水量は、例えば30L~40L程度であると使用者Hが十分に源泉水に浸かることができる。
【0020】
給水後、源泉水は袋体10を介して浴槽3の湯と熱交換されて温められる。この時、追い炊き機能がる浴槽であれば、追い炊き機能を使用して湯を沸かすことにより、源泉水による湯温の低下が生じることはない。その後、
図6に示されるように使用者が環状体20内に入り込むことで、袋体10内に満たされた源泉水のみに漬かることができる。この時、使用者Hは袋体10の第2防滑部12b上に座る姿勢をとることで袋体10に対する出入りや座り込み時において浴槽3の底面と袋体10との滑りが防止される為、使用者Hの転倒等を防止することができる。
【0021】
入浴後における入浴具1内の源泉水の排出方法について説明する。
図7は、本実施形態に係る入浴具の源泉水の排出方法を説明するための概略縦断面図である。
図7では、説明上、入浴具1と浴槽3とが縦断面で示されている。
図7に示されるように、先ず、浴槽3内の湯をくみ出し、ある程度湯量を減らしておく。例えば追い炊き口がある場合は、それより低い水位を目安とすればよい。次に排水部材13のキャップ131を取り外し、袋体10内と浴槽3内とを流体的に連通させる。その後、環状体20を徐々に持ち上げることにより、袋体10内の源泉水を浴槽3内の湯に混流させる。袋体10内の源泉水の排出後、浴槽3の排水栓を抜く。以上により、簡単に入浴具1の撤去を行うことができる。
【0022】
なお、浴槽3内の湯のくみ出し作業をせずに浴槽の排水口から源泉水を排出させてもよい。例えば、袋体10が巻き込まれないよう注意しながら浴槽3の排水栓を抜いて浴槽3内の湯を排出し、ある程度湯量が減少した後に排水部材13のキャップ131を取り外し、袋体10内と浴槽3内とを流体的に連通させて袋体10内の源泉水と浴槽3内の湯とを浴槽の排水口から排出すればよい。
【0023】
以上に説明した本実施形態によれば、袋体10が環状体20に対して着脱自在となっているため、袋体10及び環状体20の一方が汚損や破損が生じたとしても、その一方のみを交換すればよいため、これらが一体となっている場合と比較して、コストを低減させることができ、資源の有効活用も可能となる。また、袋体10の環状体20への取り付け、取り外しが極めて容易であるため、交換作業や清掃作業も容易となる。さらに環状体20が浴槽3の縁部に載置可能な大きさを有しているため、使用時に環状体20が浴槽3内に没入することを防止することができ、袋体10内の源泉水等の内容物が浴槽3内に漏出、浴槽3内の湯の袋体10内への混流を確実に防止することができる。また、環状体20が少なくとも浴槽3の内部空間における短手方向幅よりも大きいことから、使用者Hの袋体10内への入り込みを阻害することはない。
【0024】
また、上述した特許文献1に示される入浴具と比較すると、浮体を膨らませるといった手間がかることがなく、使用操作が容易である。さらに、環状体20は、円柱部材21の円弧部の断面直径21dが浮体よりも小さいため、不使用時においては円柱部材21に分離せずとも保管が容易である。
【0025】
以下、袋体10の環状体20からの脱落を防止する手段を、本実施形態の変形例として説明する。
【0026】
(第1の変形例)
図8は、本変形例に係る入浴具の環状体近傍の概略縦断面図である。
図8に示されるように、本変形例に係る入浴具は、袋体10の折り返し部分と環状体20とに巻き付く結束バンド等の帯状の留め具22を有しており、これにより袋体10の環状体20からの脱落を防止できる。具体的には、袋体10の開口11周縁部近傍に、上下方向に離間する一対のスリット孔が袋体10に穿設され、留め具22が一対のスリット孔14にそれぞれ挿通され袋体10を間に挟むように環状体20に巻き付けられ、留め具22両端が互いに連結されている。なお、留め具22の両端部の連結は、例えば面ファスナにより実現することが好ましい。留め具22は、結束バンドの他、クリップ等を用いても良い。
【0027】
(第2の変形例)
図9は本変形例に係る入浴具を示す概略側面図であり、
図10はその環状体近傍の概略縦断面図である。なお、
図9においては説明上、防滑部12は図示されていない。
図9に示されるように、本変形例に係る入浴具は、袋体10の上方側端部全周に袋体10の周長より長い紐部材6が環状となって取り付けられている。具体的には、紐部材6は、袋体10の上方側端部に位置付けられ、紐部材6を巻き込むように当該周縁部を折り返すことにより、
図10に示されるように袋体10に挟持される。なお、紐部材6の両端部は、袋体10の折り返し部分に形成された切れ込みからそれぞれ外部に露出されており、ストッパ61内に挿通されてロックされることにより、ストッパ61に固定可能となっている。
【0028】
このような紐部材6の両端部をストッパ61を介して牽引することにより、袋体10の端部を環状体20の外径より小さくなるまで縮径させるように絞ることができる。したがって袋体10の端部は環状体20が通過不能な径となるため、袋体10の環状体20からの脱落を防止できる。一方、ストッパ61のロックを解除して紐部材6による絞りを緩めることにより、容易に袋体10から環状体20を取り外す易くすることができる。なお、紐部材6を巻き込んだ袋体10の折り返し部分は、接着剤やテープ等の接着部材により接着させてもよく、熱溶着させてもよい。
【0029】
(第3の変形例)
図11は、本変形例に係る入浴具の袋体における上方側端部を示す概略側面図であり、
図12は、その上方側端部に紐部材を取り付けた状態を示す概略側面図である。
図11に示されるように、本変形例に係る入浴具は、袋体10の上方側端部に上下方向に離間する上下一対の孔部15が周方向に沿って連設されている。この上下一対の孔部15が互いに重なるように袋体10の上方側端部が下方に折り曲げられ、
図12に示されるようにその間に紐部材6が介在されると共に、周方向に隣接する複数の孔部15に対して縫うように紐部材6が挿通されることにより、第2の変形例と同様に袋体10の上方側端部全周に紐部材6が環状となって取り付けられる。これにより、第2の変形例と同様の機能を奏することができる。
【0030】
(第4の変形例)
図13は、本変形例に係る入浴具の袋体における上方側端部を示す概略側面図であり、
図14は、円筒部材に紐部材を取り付けた状態を示す概略側面図である。
図13に示されるように、本変形例に係る入浴具は、円筒部材16が袋体10の上方側端部の周方向に沿って複数取り付けられている。
図14に示されるように、この複数の円筒部材16ごと袋体10の上方側端部を折り返した状態で、円筒部材16に紐部材6が挿通されることにより、袋体10の上方側端部全周に円筒部材16を介して紐部材6が環状となって取り付けられる。これにより、第2の変形例と同様の機能を奏することができる。
【0031】
なお、以上のような変形例であれば、例え袋体10の周長が環状体20の外周長よりも長い場合であっても、袋体10の環状体20からの脱落を防止できることは言うまでもない。また、本実施形態においては、環状体20がリング形状をなすと説明したが、これに限定するものではなく、三角形や四角形等の多角形、楕円形等でも袋体10が取り付け可能であればどのような形状であっても良い。
【0032】
また、排出部材13にキャップ131を設けずに、中空のホースを取り付けても良い。具体的には、ホースの一端を排出部材13に流体的に接続させ、他端にピンコック等のホース先端口を開閉可能な閉鎖部材を設ける。これにより源泉水排出の際には、閉鎖部材を開放することでサイフォンの原理を用いて袋体10内の源泉水を排出することができる。
【0033】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、浴槽3の縁部31に載置された環状体20は、縁部31の上面を移動可能となっているため、入浴具1は自由に移動可能な状態となっている。したがって不本意な移動が生じると使用者Hが上手く袋体10内に入り込むことができない可能性がある。本実施形態においては、移動を制限可能な入浴具を説明する。
【0034】
図15は本実施形態に係る入浴具の環状体を示す概略上面図であり、
図16は本実施形態に係る入浴具の使用方法を説明するための概略縦断面図である。
図15に示されるように、本実施形態に係る入浴具1Aは、第1の実施形態に係る入浴具1と比較すると、新たに固定部材23を備える。
【0035】
固定部材23は、環状体20の一部を上下方向から挟み込む形で挟持及び開放可能なクリップ構造をなしており、したがって環状体20に対して容易に着脱自在となっている。固定部材23は、その外方側に吸盤231が取り付けられている。
図16に示されるように入浴具1Aを使用する際には、吸盤231を浴室の壁面7に吸着させることで壁面7に対して固定状態となることができる。これにより環状体20を浴槽3の縁部31上に載置させると共に、固定部材23を壁面7に固定させることで入浴具1Aの移動を制限でき、使用者Hが袋体10内に入り込む際に入浴具1Aが移動してしまうといった事態を回避することができる。
【0036】
<第3の実施形態>
第1の実施形態では、収容箱4から直接袋体10内に源泉水を給水し、排水部材13から袋体10内の源泉水を排出すると説明したが、これに限定するものではない。本実施形態においては、このような給排水を専用の器具を用いて行うことができる入浴具を説明する。
【0037】
図17は、本実施形態に係る入浴具の構成及び源泉水の袋体への供給方法を説明するための概略縦断面図である。
図18は、本実施形態に係る入浴具における袋体内の源泉水の排出方法を説明するための概略縦断面図である。
図17に示されるように、本実施形態に係る入浴具1Bは、第1の実施形態に係る入浴具1と比較すると、排水部材13が設けられておらず。給排水器具8により源泉水の給排水が行われる。
【0038】
給排水器具8は、第1導管81と第2導管82とを有し、ポンプ83の繰り返しの圧縮といった操作を行うことでサイフォンの原理を利用して第1導管81から液体を吸引し、第2導管82に吸引した液体を導入させて第2導管82から排出する、所謂灯油ポンプであり、第1導管81先端には収容箱4の供給口41に対して水密に嵌合または螺合するなどして着脱自在に連結する連結部811が設けられている。
【0039】
このような給排水器具8を用いて袋体10内に源泉水を供給する場合は、主として第1の実施形態と同様となるが、収容箱4から袋体10内に源泉水を給水する工程が異なる、具体的には、
図15に示されるように、先ず収容箱4を環状体20より上方となる位置に位置付け、第1導管81の連結部811を収容箱4の供給口41に連結させ、第2導管82を袋体10内に挿入する。挿入後、ポンプ83を操作することにより収容箱4内の源泉水を供給口41から吸引し、第2導管82から袋体10内に排出することができる。一方、袋体10内から源泉水を排出する場合は、浴槽3内の湯を排出せずとも、第1導管81を源泉水内に挿入し、第2導管82先端を第1導管81の連結部811より下方に位置付けてポンプ83を操作するのみで源泉水を排出することができる。したがって、給排水器具8を用いることで極めて簡便に源泉水の給排水を行うことができる。
【0040】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1,1A 入浴具
10 袋体
11 開口
12a 第1防滑部
12b 第2防滑部
13 排水部材(排出部)
20 環状体
22 留め具
23 固定部材(接続部材)
6 紐部材