(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054398
(43)【公開日】2023-04-14
(54)【発明の名称】産業用ロボットおよび製造システム
(51)【国際特許分類】
B25J 9/06 20060101AFI20230407BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
B25J9/06 D
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163212
(22)【出願日】2021-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 一樹
(72)【発明者】
【氏名】志村 芳樹
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 隆之
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS25
3C707BS15
3C707BS26
3C707CY27
3C707HS27
3C707HT02
3C707HT26
3C707HT40
3C707NS12
5F131AA03
5F131BA33
5F131CA17
5F131CA37
5F131CA55
5F131DA33
5F131DA42
5F131DB04
5F131DB52
5F131DB54
5F131DB58
5F131DB76
5F131DB92
5F131JA12
5F131JA33
(57)【要約】
【課題】真空中で搬送対象物を搬送する産業用ロボットにおいて、汎用性を高めることが可能で、かつ、真空領域と大気領域との境界部分のシール構造を簡素化することが可能な産業用ロボットを提供する。
【解決手段】産業用ロボット1は、2個のハンド8、9と、ハンド8、9のそれぞれが回動可能に連結される2個の先端側アーム部13、14と2個の先端側アーム部13、14が回動可能に連結される共通アーム部15とを有するアーム10と、共通アーム部15が先端側に回動可能に連結されるスイングアーム11と、スイングアーム11の基端側が回動可能に連結される本体部12と、スイングアーム11に対してアーム10を伸縮させてハンド8、9を水平方向に直線的に移動させるとともにスイングアーム11に対して共通アーム部15を回動させるアーム駆動機構と、本体部12に対してスイングアーム11を回動させるスイングアーム駆動機構とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象物が搭載される2個のハンドと、上下方向を回動の軸方向として2個の前記ハンドのそれぞれが先端側に回動可能に連結される2個の先端側アーム部と上下方向を回動の軸方向として2個の前記先端側アーム部の基端側が回動可能に連結される共通アーム部とを有するアームと、上下方向を回動の軸方向として前記共通アーム部が先端側に回動可能に連結されるスイングアームと、上下方向を回動の軸方向として前記スイングアームの基端側が回動可能に連結される本体部と、前記スイングアームに対して前記アームを伸縮させて前記ハンドを水平方向に直線的に移動させるとともに前記スイングアームに対して前記共通アーム部を回動させるアーム駆動機構と、前記本体部に対して前記スイングアームを回動させるスイングアーム駆動機構とを備えることを特徴とする産業用ロボット。
【請求項2】
2個の前記ハンドのうちの一方の前記ハンドを第1ハンドとし、他方の前記ハンドを第2ハンドとし、前記第1ハンドが連結される前記先端側アーム部を第1先端側アーム部とし、前記第2ハンドが連結される前記先端側アーム部を第2先端側アーム部とすると、
前記アーム駆動機構は、前記共通アーム部に対して前記第1先端側アーム部を回動させるとともに前記第1先端側アーム部に対して前記第1ハンドを回動させる第1駆動機構と、前記共通アーム部に対して前記第2先端側アーム部を回動させるとともに前記第2先端側アーム部に対して前記第2ハンドを回動させる第2駆動機構と、前記スイングアームに対して前記共通アーム部を回動させる第3駆動機構とを備えることを特徴とする請求項1記載の産業用ロボット。
【請求項3】
請求項2に記載の産業用ロボットと、上下方向から見たときの形状が長方形状または正方形状となるトランスファーチャンバーとを備え、
前記ハンド、前記アームおよび前記スイングアームは、前記トランスファーチャンバーの内部に配置され、
上下方向から見たときに長方形状または正方形状をなす前記トランスファーチャンバーの一辺に平行な方向を第1方向とし、前記ハンドの基端から前記ハンドの先端に向かう方向をハンド長手方向とし、前記本体部に対する前記スイングアームの回動中心をアーム回動中心とすると、
前記スイングアームが回動するときに、前記第1駆動機構および前記第2駆動機構は停止しており、
前記スイングアームの先端側が前記アーム回動中心よりも前記第1方向の一方側に配置されている状態、または、前記スイングアームの先端側が前記アーム回動中心よりも前記第1方向の他方側に配置されている状態で前記スイングアームが回動するときに、前記ハンド長手方向が前記第1方向に対して傾いているとともに、前記第3駆動機構は、前記ハンドの向きが一定になるように前記スイングアームに対して前記共通アーム部を回動させることを特徴とする製造システム。
【請求項4】
前記スイングアームの先端側が前記アーム回動中心よりも前記第1方向の一方側に配置されている状態、または、前記スイングアームの先端側が前記アーム回動中心よりも前記第1方向の他方側に配置されている状態で前記スイングアームが回動するときに、前記ハンド長手方向が前記第1方向に対して90°傾いていることを特徴とする請求項3記載の製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送対象物を搬送するための産業用ロボットに関する。また、本発明は、かかる産業用ロボットを備える製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、真空中で液晶ディスプレイ用のガラス基板を搬送する産業用ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の産業用ロボットは、2個のハンドと、2個のハンドが回動可能に連結されるアームと、アームが回動可能に連結される本体部とを備えている。アームは、2個のハンドのそれぞれが先端側に回動可能に連結される2個の先端側アーム部と、2個の先端側アーム部の基端側が回動可能に連結される1個の共通アーム部とから構成されている。
【0003】
特許文献1に記載の産業用ロボットでは、ハンドは、本体部に対して水平方向に直線的に移動可能となっている。具体的には、ハンドは、上下方向から見たときに、本体部に対する共通アーム部の回動中心を通過する直線に沿って本体部に対して移動可能になっており、本体部に対する共通アーム部の回動中心を中心とする放射状に移動可能になっている。すなわち、ハンドは、上下方向から見たときに、共通アーム部の回動中心を中心とする径方向に移動可能になっており、特許文献1に記載の産業用ロボットでは、共通アーム部の回動中心を中心とする径方向へのガラス基板の搬送が可能になっている。
【0004】
また、特許文献1に記載の産業用ロボットでは、ハンド、アームおよび本体部の上端側部分は、真空チャンバーの中に配置されている。すなわち、ハンド、アームおよび本体部の上端側部分は、真空領域の中(真空中)に配置されている。真空領域と大気領域との境界部分には、大気領域から真空領域への空気の流入を防止するためのシール部材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の産業用ロボットでは、本体部に対する共通アーム部の回動中心を中心とする径方向へのガラス基板の搬送が可能になっているが、径方向以外の方向へガラス基板を搬送することができない。そのため、この産業用ロボットは、特定の製造システムでは使用することができるが、この産業用ロボットを使用することができる製造システムは限られる。すなわち、特許文献1に記載の産業用ロボットは、汎用性が高くない。この産業用ロボットの汎用性を高めるためには、たとえば、本体部を水平方向に移動させる移動機構を設ければ良い。しかしながら、この場合には、上端側部分が真空領域の中に配置される本体部が水平方向に移動するため、真空領域と大気領域との境界部分のシール構造が複雑になる。
【0007】
そこで、本発明の課題は、真空中で搬送対象物を搬送する産業用ロボットにおいて、汎用性を高めることが可能で、かつ、真空領域と大気領域との境界部分のシール構造を簡素化することが可能な産業用ロボットを提供することにある。また、本発明の課題は、かかる産業用ロボットを備える製造システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットは、搬送対象物が搭載される2個のハンドと、上下方向を回動の軸方向として2個のハンドのそれぞれが先端側に回動可能に連結される2個の先端側アーム部と上下方向を回動の軸方向として2個の先端側アーム部の基端側が回動可能に連結される共通アーム部とを有するアームと、上下方向を回動の軸方向として共通アーム部が先端側に回動可能に連結されるスイングアームと、上下方向を回動の軸方向としてスイングアームの基端側が回動可能に連結される本体部と、スイングアームに対してアームを伸縮させてハンドを水平方向に直線的に移動させるとともにスイングアームに対して共通アーム部を回動させるアーム駆動機構と、本体部に対してスイングアームを回動させるスイングアーム駆動機構とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の産業用ロボットは、共通アーム部が先端側に回動可能に連結されるスイングアームと、スイングアームの基端側が回動可能に連結される本体部と、スイングアームに対してハンドを水平方向に直線的に移動させるとともにスイングアームに対して共通アーム部を回動させるアーム駆動機構と、本体部に対してスイングアームを回動させるスイングアーム駆動機構とを備えている。そのため、本発明では、スイングアームを用いて、本体部に対するスイングアームの回動中心を中心とする径方向以外の方向にも搬送対象物を搬送することが可能になる。したがって、本発明では、産業用ロボットの汎用性を高めることが可能になる。
【0010】
また、本発明では、本体部を水平方向に移動させなくても、本体部に対するスイングアームの回動中心を中心とする径方向以外の方向に搬送対象物を搬送することが可能になるため、たとえば、ハンド、アームおよびスイングアームに加えて、本体部の上端側部分が真空領域に配置されていても、真空領域と大気領域との境界部分のシール構造を簡素化することが可能になる。
【0011】
本発明において、2個のハンドのうちの一方のハンドを第1ハンドとし、他方のハンドを第2ハンドとし、第1ハンドが連結される先端側アーム部を第1先端側アーム部とし、第2ハンドが連結される先端側アーム部を第2先端側アーム部とすると、たとえば、アーム駆動機構は、共通アーム部に対して第1先端側アーム部を回動させるとともに第1先端側アーム部に対して第1ハンドを回動させる第1駆動機構と、共通アーム部に対して第2先端側アーム部を回動させるとともに第2先端側アーム部に対して第2ハンドを回動させる第2駆動機構と、スイングアームに対して共通アーム部を回動させる第3駆動機構とを備えている。
【0012】
本発明の産業用ロボットは、上下方向から見たときの形状が長方形状または正方形状となるトランスファーチャンバーを備える製造システムに用いることができる。この製造システムでは、ハンド、アームおよびスイングアームは、トランスファーチャンバーの内部に配置され、上下方向から見たときに長方形状または正方形状をなすトランスファーチャンバーの一辺に平行な方向を第1方向とし、ハンドの基端からハンドの先端に向かう方向をハンド長手方向とし、本体部に対するスイングアームの回動中心をアーム回動中心とすると、スイングアームが回動するときに、第1駆動機構および第2駆動機構は停止しており、スイングアームの先端側がアーム回動中心よりも第1方向の一方側に配置されている状態、または、スイングアームの先端側がアーム回動中心よりも第1方向の他方側に配置されている状態でスイングアームが回動するときに、ハンド長手方向が第1方向に対して傾いているとともに、第3駆動機構は、ハンドの向きが一定になるようにスイングアームに対して共通アーム部を回動させることが好ましい。
【0013】
このように構成すると、スイングアームが回動するときに、ハンド長手方向が第1方向に対して傾いているとともに、ハンドの向きが一定になるように第3駆動機構がスイングアームに対して共通アーム部を回動させるため、第1方向におけるトランスファーチャンバーの幅が狭くなっていても、スイングアームが回動するときの、トランスファーチャンバーの第1方向の内壁面と、ハンドおよびアームとの干渉を防止することが可能になる。また、このように構成すると、スイングアームが回動するときに、ハンドの向きが一定になるように第3駆動機構がスイングアームに対して共通アーム部を回動させるため、スイングアームが回動しているときの、ハンドに搭載される搬送対象物の状態を安定させることが可能になる。
【0014】
本発明において、スイングアームの先端側がアーム回動中心よりも第1方向の一方側に配置されている状態、または、スイングアームの先端側がアーム回動中心よりも第1方向の他方側に配置されている状態でスイングアームが回動するときに、たとえば、ハンド長手方向が第1方向に対して90°傾いている。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明では、真空中で搬送対象物を搬送する産業用ロボットの汎用性を高めることが可能になるとともに、真空領域と大気領域との境界部分のシール構造を簡素化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる産業用ロボットが製造システムに組み込まれた状態を示す平面図である。
【
図2】
図1に示すアームおよびスイングアームの内部の構成を説明するための断面図である。
【
図3】
図1に示す本体部の内部の構成を説明するための断面図である。
【
図4】
図1に示す産業用ロボットの、スイングアームの回動動作時の状態を説明するための平面図である。
【
図5】
図1に示す産業用ロボットの、スイングアームの回動動作時の状態を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
(産業用ロボットおよび製造システムの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1が製造システム3に組み込まれた状態を示す平面図である。
図2は、
図1に示すアーム10およびスイングアーム11の内部の構成を説明するための断面図である。
図3は、
図1に示す本体部12の内部の構成を説明するための断面図である。
【0019】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、たとえば、搬送対象物である有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ用のガラス基板2や液晶ディスプレイ用のガラス基板2(以下、「基板2」とする。)を搬送するためのロボットである。ロボット1は、ディスプレイの製造システム3に組み込まれて使用される水平多関節ロボットである。ロボット1は、真空中で基板2を搬送する。
【0020】
製造システム3は、トランスファーチャンバー4(以下、「チャンバー4」とする。)と、チャンバー4の周囲に配置される複数のプロセスチャンバー5、6(以下、「チャンバー5、6」とする。)とを備えている。製造システム3は、たとえば、2個のチャンバー5と2個のチャンバー6とを備えている。チャンバー4~6は、真空チャンバーであり、チャンバー4~6の内部は、真空になっている。チャンバー4の内部には、ロボット1の一部が配置されている。ロボット1の一部を構成する後述のフォーク部19がチャンバー5、6の中に入り込むことで、ロボット1は、チャンバー5、6の間で基板2を搬送する。チャンバー5、6には、各種の装置等が配置されており、ロボット1で搬送された基板2が収容される。また、チャンバー5、6では、基板2に対して各種の処理が行われる。
【0021】
チャンバー4は、たとえば、上下方向から見たときの形状が正方形状となる略直方体の箱状に形成されている。以下の説明では、上下方向から見たときに正方形状をなすチャンバー4の外周面に平行な2つの方向のうちの一方の方向(
図1のX方向)を「前後方向」とし、上下方向と前後方向とに直交する他方の方向(
図1のY方向)を「左右方向」とする。また、前後方向の一方側(
図1のX1方向側)を「前」側とし、前側の反対側(
図1のX2方向側)を「後ろ側」とし、左右方向の一方側(
図1のY1方向側)を「右」側とし、右側の反対側(
図1のY2方向側)を「左」側とする。
【0022】
2個のチャンバー5は、チャンバー4の後ろ側に配置されている。2個のチャンバー5は、左右方向で隣り合うように配置されている。2個のチャンバー6は、チャンバー4の前側に配置されている。2個のチャンバー6は、左右方向で隣り合うように配置されている。チャンバー4とチャンバー5との接続部分、および、チャンバー4とチャンバー6との接続部分には、ゲートが設置されている。
【0023】
ロボット1は、基板2が搭載されるハンド8、9と、ハンド8、9が連結されるアーム10と、アーム10が連結されるスイングアーム11と、スイングアーム11が連結される本体部12とを備えている。本形態のロボット1は、2個のハンド8、9を備えている。ハンド8、9は、アーム10に回動可能に連結されている。具体的には、ハンド8、9は、アーム10の先端側に回動可能に連結されている。アーム10は、スイングアーム11の先端側に回動可能に連結されている。具体的には、アーム10の基端側がスイングアーム11の先端側に回動可能に連結されている。本体部12には、スイングアーム11の基端側が回動可能に連結されている。
【0024】
アーム10は、2個のハンド8、9のそれぞれが先端側に回動可能に連結される2個の先端側アーム部13、14と、2個の先端側アーム部13、14の基端側が回動可能に連結されるとともにスイングアーム11の先端側に回動可能に連結される共通アーム部15とを備えている。本形態のアーム10は、2個の先端側アーム部13、14と1個の共通アーム部15とによって構成されている。
【0025】
ハンド8は、先端側アーム部13の先端側に回動可能に連結されている。ハンド9は、先端側アーム部14の先端側に回動可能に連結されている。本形態のハンド8は、第1ハンドであり、ハンド9は、第2ハンドである。また、本形態の先端側アーム部13は、第1先端側アーム部であり、先端側アーム部14は、第2先端側アーム部である。
【0026】
ハンド8は、先端側アーム部13に対して上下方向を回動の軸方向として回動可能になっている。ハンド9は、先端側アーム部14に対して上下方向を回動の軸方向として回動可能になっている。先端側アーム部13、14は、共通アーム部15に対して上下方向を回動の軸方向として回動可能になっている。共通アーム部15は、スイングアーム11に対して上下方向を回動の軸方向として回動可能になっている。スイングアーム11は、本体部12に対して上下方向を回動の軸方向として回動可能になっている。
【0027】
ハンド8は、ハンド9よりも上側に配置されている。先端側アーム部13は、ハンド8よりも上側に配置されている。先端側アーム部14は、ハンド9よりも下側に配置されている。共通アーム部15は、先端側アーム部14よりも下側に配置されている。すなわち、先端側アーム部13、14は、共通アーム部15よりも上側に配置されている。共通アーム部15は、スイングアーム11よりも上側に配置されている。すなわち、アーム10は、スイングアーム11よりも上側に配置されている。スイングアーム11は、本体部12よりも上側に配置されている。
【0028】
本体部12は、有底円筒状に形成されるケース体16(
図3参照)と、ケース体16の上端の開口を覆う蓋体17とから構成されている。蓋体17の外径は、ケース体16の外径よりも大きくなっている。蓋体17の外周側部分は、ケース体16の径方向の外側に広がる鍔部17aとなっている。本体部12に対するスイングアーム11の回動中心をアーム回動中心Cとすると、上下方向から見たときに、チャンバー4の中心とアーム回動中心Cとが一致している。すなわち、チャンバー4の中心とアーム回動中心Cとが一致するように、本体部12が設置されている。
【0029】
本形態では、ロボット1の、鍔部17aの下面よりも上側の部分は、チャンバー4の中に配置されており、ハンド8、9、アーム10およびスイングアーム11は、チャンバー4の中に配置されている。すなわち、ロボット1の、鍔部17aの下面よりも上側の部分は、真空領域VRの中(真空中)に配置されている(
図3参照)。一方、ロボット1の、鍔部17aの下面よりも下側の部分は、大気領域ARの中(大気中)に配置されている。
【0030】
ハンド8、9は、アーム10に連結される基部18と、基板2が搭載されるフォーク部19とを備えている。ハンド8の基部18は、先端側アーム部13の先端側に回動可能に連結され、ハンド9の基部18は、先端側アーム部14の先端側に回動可能に連結されている。フォーク部19は、基部18から水平方向へ突出するように基部18に固定されている。基板2は、フォーク部19の先端側部分に搭載される。本形態では、チャンバー5、6の奥行が深くなっており、フォーク部19の長さは長くなっている。すなわち、ハンド8、9の長さは長くなっている。
【0031】
先端側アーム部13、14は、上下方向から見たときの形状が細長い長円形状となるとともに上下方向の厚さが比較的薄いブロック状に形成されている。共通アーム部15は、略V形状のブロック状に形成されている。略V形状に形成される共通アーム部15の中心部分(頂点部分)は、スイングアーム11の先端側に回動可能に連結されている。また、略V形状に形成される共通アーム部15の一方の先端側に先端側アーム部13の基端側が回動可能に連結され、共通アーム部15の他方の先端側に先端側アーム部14の基端側が回動可能に連結されている。スイングアーム11は、上下方向から見たときの形状が細長い長方形状となるとともに上下方向の厚さが比較的薄いブロック状に形成されている。
【0032】
先端側アーム部13、14および共通アーム部15は、中空状に形成されている。すなわち、アーム10は、中空状に形成されている。また、スイングアーム11は、中空状に形成されている。中空状に形成される先端側アーム部13、14の内部は真空となっている。一方、中空状に形成される共通アーム部15およびスイングアーム11の内部は、大気圧となっている。
【0033】
水平方向において、スイングアーム11に対する共通アーム部15の回動中心と共通アーム部15に対する先端側アーム部13の回動中心との距離と、共通アーム部15に対する先端側アーム部13の回動中心と先端側アーム部13に対するハンド8の回動中心との距離とが等しくなっており、スイングアーム11に対する共通アーム部15の回動中心と共通アーム部15に対する先端側アーム部14の回動中心との距離と、共通アーム部15に対する先端側アーム部14の回動中心と先端側アーム部14に対するハンド9の回動中心との距離とが等しくなっている。また、水平方向において、スイングアーム11に対する共通アーム部15の回動中心と共通アーム部15に対する先端側アーム部13の回動中心との距離と、スイングアーム11に対する共通アーム部15の回動中心と共通アーム部15に対する先端側アーム部14の回動中心との距離とが等しくなっている。
【0034】
アーム10は、スイングアーム11と共通アーム部15との連結部である関節部20からハンド8、9の先端(具体的には、フォーク部19の先端)が離れるように伸びる位置と、ハンド8、9の先端が関節部20に近づくように縮む位置との間でスイングアーム11に対して伸縮可能となっている。本形態では、関節部20からハンド8の先端が離れるように、アーム10の、先端側アーム部13側の部分が伸びるときには、アーム10の、先端側アーム部14側の部分は縮んでおり、関節部20からハンド9の先端が離れるように、アーム10の、先端側アーム部14側の部分が伸びるときには、アーム10の、先端側アーム部13側の部分は縮んでいる。スイングアーム11に対してアーム10が伸縮するときには、ハンド8、9は、スイングアーム11に対して一定方向を向いた状態で水平方向に直線的に移動する。
【0035】
(アーム駆動機構、スイングアーム駆動機構およびブレーキ機構等の構成)
図2、
図3に示すように、ロボット1は、スイングアーム11に対してハンド8、9を水平方向に直線的に移動させるとともにスイングアーム11に対してアーム10を回動させるアーム駆動機構24と、本体部12に対してスイングアーム11を回動させるスイングアーム駆動機構25と、本体部12に対するスイングアーム11の回動を停止させるためのブレーキ機構26と、本体部12に対してスイングアーム11を昇降させるスイングアーム昇降機構27とを備えている。
【0036】
アーム駆動機構24は、スイングアーム11に対してアーム10を伸縮させてハンド8、9を水平方向に直線的に移動させる(すなわち、アーム10を伸縮させることでスイングアーム11に対してハンド8、9を水平方向に直線的に移動させる)とともにスイングアーム11に対して共通アーム部15を回動させる。アーム駆動機構24は、共通アーム部15に対して先端側アーム部13を回動させるとともに先端側アーム部13に対してハンド8を回動させる第1駆動機構31と、共通アーム部15に対して先端側アーム部14を回動させるとともに先端側アーム部14に対してハンド9を回動させる第2駆動機構32と、スイングアーム11に対して共通アーム部15を回動させる第3駆動機構33とを備えている。
【0037】
第1駆動機構31は、モータ34と、モータ34に連結される減速機35とを備えている。減速機35は、中空波動歯車装置であり、共通アーム部15と先端側アーム部13との連結部に配置されている。また、第1駆動機構31は、減速機35の入力軸に固定されるプーリ36と、先端側アーム部13の基端側の内部に配置されるプーリ37と、先端側アーム部13の先端側の内部に配置されるプーリ38とを備えている。プーリ37のピッチ円径とプーリ38のピッチ円径との比は1:2に設定されている。
【0038】
モータ34は、サーボモータであり、モータ34の回転位置を検知するためのエンコーダを備えている。モータ34は、共通アーム部15の内部に配置されている。モータ34の出力軸には、プーリが固定されている。このプーリとプーリ36とにはベルト40が架け渡されている。減速機35の出力軸には、円筒状に形成される回動軸41の下端が固定されている。回動軸41の上端は、先端側アーム部13の基端側の下面に固定されている。減速機35の出力軸の外周側には、磁性流体シールが配置されている。
【0039】
先端側アーム部13の基端側の内部には、プーリ37を回動可能に支持する支持軸が設置されている。プーリ37は、固定部材42を介して共通アーム部15の一方の先端側に固定されている。固定部材42は、先端側アーム部13および共通アーム部15の外部に配置されている。先端側アーム部13の先端側の内部には、プーリ38を回動可能に支持する支持軸が設置されている。プーリ38の下端には、ハンド8の基部18が固定されている。プーリ37とプーリ38とには、ベルト43が架け渡されている。
【0040】
第2駆動機構32は、第1駆動機構31とほぼ同様に構成されており、モータ44と、モータ44に連結される減速機45とを備えている。減速機45は、中空波動歯車装置であり、共通アーム部15と先端側アーム部14との連結部に配置されている。また、第2駆動機構32は、減速機45の入力軸に固定されるプーリ46と、先端側アーム部14の基端側の内部に配置されるプーリ47と、先端側アーム部13の先端側の内部に配置されるプーリ48とを備えている。プーリ47のピッチ円径とプーリ48のピッチ円径との比は1:2に設定されている。
【0041】
モータ44は、サーボモータであり、モータ44の回転位置を検知するためのエンコーダを備えている。モータ44は、共通アーム部15の内部に配置されている。モータ44の出力軸には、プーリが固定されている。このプーリとプーリ46とにはベルト50が架け渡されている。減速機45の出力軸は、先端側アーム部14の基端側の下面に固定されている。減速機45の出力軸の外周側には、磁性流体シールが配置されている。
【0042】
先端側アーム部14の基端側の内部には、プーリ47を回動可能に支持する支持軸が設置されている。プーリ47は、固定部材52を介して共通アーム部15の他方の先端側に固定されている。固定部材52は、先端側アーム部14および共通アーム部15の外部に配置されている。先端側アーム部14の先端側の内部には、プーリ48を回動可能に支持する支持軸が設置されている。プーリ48の上端には、ハンド9の基部18が固定されている。プーリ47とプーリ48とには、ベルト53が架け渡されている。
【0043】
第3駆動機構33は、モータ54と、モータ54に連結される減速機55と、減速機55の入力軸に固定されるプーリ56とを備えている。減速機55は、中空波動歯車装置であり、関節部20に配置されている。モータ54は、サーボモータであり、モータ54の回転位置を検知するためのエンコーダを備えている。モータ54は、スイングアーム11の内部に配置されている。モータ54の出力軸には、プーリが固定されている。このプーリとプーリ56とにはベルト58が架け渡されている。減速機55の出力軸は、共通アーム部15の基端部(中心部)の下面に固定されている。減速機55の出力軸の外周側には、磁性流体シールが配置されている。
【0044】
スイングアーム駆動機構25は、モータ62と、モータ62に連結される減速機63と、減速機63の入力軸に固定されるプーリ64とを備えている。減速機63は、中空波動歯車装置である。モータ62は、サーボモータであり、モータ62の回転位置を検知するためのエンコーダを備えている。モータ62および減速機63は、ケース体16の内部に配置されている。モータ62の出力軸には、プーリ65が固定されている。プーリ64とプーリ65とにはベルト66が架け渡されている。減速機63の出力軸には、円筒状に形成される回動軸68の下端が固定されている。回動軸68の上端は、スイングアーム11の基端側の下面に固定されている。蓋体17の中心には、回動軸68が配置される貫通孔が形成されている。回動軸68の外周側には、磁性流体シールおよびベローズが配置されている。
【0045】
ブレーキ機構26は、無励磁作動型の電磁ブレーキである。ブレーキ機構26は、モータ62の回転軸に固定される回転板と、回転板を挟んで配置される制動板およびアーマチュアと、アーマチュアを回転板に向かって付勢する圧縮コイルバネ等のバネ部材と、コイルが巻回されるヨークとを備えている。ブレーキ機構26では、コイルが無励磁状態のときに制動力が作用し、コイルが励磁状態のときに制動力が作用しない。
【0046】
スイングアーム昇降機構27は、スイングアーム駆動機構25と一緒にスイングアーム11を昇降させる。スイングアーム昇降機構27は、ケース体16の内部に配置されている。スイングアーム昇降機構27は、モータ70と、モータ70の動力で回転するボールネジ71と、ボールネジ71のネジ軸に固定されるプーリ72とを備えている。モータ70は、サーボモータであり、モータ70の回転位置を検知するためのエンコーダを備えている。ボールネジ71のネジ軸は、ケース体16に回転可能に保持されている。ボールネジ71のナット部材は、スイングアーム駆動機構25を保持する可動フレーム73に固定されている。モータ70の出力軸には、プーリ74が固定されている。プーリ72とプーリ74とにはベルト75が架け渡されている。
【0047】
(ロボットの動作)
図4、
図5は、
図1に示すロボット1の、スイングアーム11の回動動作時の状態を説明するための平面図である。
【0048】
チャンバー5に基板2を搬入する基板2の搬入時、および、チャンバー5から基板2を搬出する基板2の搬出時には、ハンド8、9の先端が後ろ側に配置されるとともにハンド8、9の基端が前側に配置された状態で、アーム10が伸縮する。具体的には、チャンバー5への基板2の搬入時、および、チャンバー5からの基板2の搬出時には、ハンド8の先端が後ろ側に配置されるとともにハンド8の基端が前側に配置された状態で、アーム10の、先端側アーム部13側の部分が伸縮して、ハンド8が一定方向を向いた状態で前後方向に直線的に移動するか、または、ハンド9の先端が後ろ側に配置されるとともにハンド9の基端が前側に配置された状態で、アーム10の、先端側アーム部14側の部分が伸縮して、ハンド9が一定方向を向いた状態で前後方向に直線的に移動する。
【0049】
同様に、チャンバー6への基板2の搬入時、および、チャンバー6からの基板2の搬出時には、ハンド8の先端が前側に配置されるとともにハンド8の基端が後ろ側に配置された状態で、アーム10の、先端側アーム部13側の部分が伸縮して、ハンド8が一定方向を向いた状態で前後方向に直線的に移動するか、または、ハンド9の先端が前側に配置されるとともにハンド9の基端が後ろ側に配置された状態で、アーム10の、先端側アーム部14側の部分が伸縮して、ハンド9が一定方向を向いた状態で前後方向に直線的に移動する。すなわち、ハンド8、9の基端からハンド8、9の先端に向かうハンド8、9の長手方向をハンド長手方向とすると、チャンバー5、6への基板2の搬入時、および、チャンバー5、6からの基板2の搬出時には、ハンド長手方向と前後方向とが一致した状態でハンド8、9が前後方向に直線的に移動するようにアーム10が伸縮する。
【0050】
チャンバー5、6への基板2の搬入時、および、チャンバー5、6からの基板2の搬出時には、本体部12に対してスイングアーム11が停止している。すなわち、チャンバー5、6への基板2の搬入時、および、チャンバー5、6からの基板2の搬出時には、本体部12に対してスイングアーム11が停止している状態で、ハンド8、9がスイングアーム11に対して前後方向に直線的に移動する。チャンバー5、6への基板2の搬入時、および、チャンバー5、6からの基板2の搬出時には、ブレーキ機構26のコイルは無励磁状態になっている。すなわち、ブレーキ機構26は、チャンバー5、6への基板2の搬入時、および、チャンバー5、6からの基板2の搬出時に作動して本体部12に対するスイングアーム11の回動停止状態を維持している。
【0051】
本体部12に対してスイングアーム11が回動するときには、第1駆動機構31および第2駆動機構32は停止している。すなわち、本体部12に対してスイングアーム11が回動するときには、モータ34、44が停止しており、スイングアーム11に対してアーム10は伸縮しない。また、本体部12に対してスイングアーム11が回動するときには、アーム10は縮んでおり、ハンド8とハンド9とが上下方向で重なっている。このときには、ハンド8のフォーク部19の真下にハンド9のフォーク部19が配置されている。
【0052】
たとえば、スイングアーム11の先端側がアーム回動中心Cよりも後ろ側に配置されている状態でスイングアーム11が回動するときには、
図4(A)~(C)に示すように、ハンド長手方向は前後方向に対して傾いている。具体的には、スイングアーム11の先端側がアーム回動中心Cよりも後ろ側に配置されている状態でスイングアーム11が回動するときに、ハンド長手方向は前後方向に対して90°傾いており、ハンド長手方向は左右方向と一致している。
【0053】
また、スイングアーム11の先端側がアーム回動中心Cよりも後ろ側に配置されている状態でスイングアーム11が回動するときには、第3駆動機構33は、ハンド8、9の向きが一定になるようにスイングアーム11に対して共通アーム部15を回動させる。たとえば、スイングアーム11の先端側がアーム回動中心Cよりも後ろ側に配置されている状態でスイングアーム11が回動するときに、第3駆動機構33は、ハンド8、9の先端が左側を向いた状態を維持するようにスイングアーム11に対して共通アーム部15を回動させる。
【0054】
また、たとえば、スイングアーム11の先端側がアーム回動中心Cよりも前側に配置されている状態でスイングアーム11が回動するときには、
図5(A)~(C)に示すように、ハンド長手方向は前後方向に対して傾いている。具体的には、スイングアーム11の先端側がアーム回動中心Cよりも前側に配置されている状態でスイングアーム11が回動するときに、ハンド長手方向は前後方向に対して90°傾いており、ハンド長手方向は左右方向と一致している。
【0055】
また、スイングアーム11の先端側がアーム回動中心Cよりも前側に配置されている状態でスイングアーム11が回動するときには、第3駆動機構33は、ハンド8、9の向きが一定になるようにスイングアーム11に対して共通アーム部15を回動させる。たとえば、スイングアーム11の先端側がアーム回動中心Cよりも前側に配置されている状態でスイングアーム11が回動するときに、第3駆動機構33は、ハンド8、9の先端が右側を向いた状態を維持するようにスイングアーム11に対して共通アーム部15を回動させる。
【0056】
また、スイングアーム11の先端側がアーム回動中心Cよりも右側に配置されている状態でスイングアーム11が回動するときには、
図4(D)~(F)に示すように、ハンド長手方向は左右方向に対して傾いている。具体的には、スイングアーム11の先端側がアーム回動中心Cよりも右側に配置されている状態でスイングアーム11が回動するときに、ハンド長手方向は左右方向に対して90°傾いており、ハンド長手方向は前後方向と一致している。
【0057】
また、スイングアーム11の先端側がアーム回動中心Cよりも右側に配置されている状態でスイングアーム11が回動するときには、第3駆動機構33は、ハンド8、9の向きが一定になるようにスイングアーム11に対して共通アーム部15を回動させる。たとえば、スイングアーム11の先端側がアーム回動中心Cよりも右側に配置されている状態でスイングアーム11が回動するときに、第3駆動機構33は、ハンド8、9の先端が後ろ側を向いた状態を維持するようにスイングアーム11に対して共通アーム部15を回動させる。
【0058】
また、スイングアーム11の先端側がアーム回動中心Cよりも左側に配置されている状態でスイングアーム11が回動するときには、
図5(D)~(F)に示すように、ハンド長手方向は左右方向に対して傾いている。具体的には、スイングアーム11の先端側がアーム回動中心Cよりも左側に配置されている状態でスイングアーム11が回動するときに、ハンド長手方向は左右方向に対して90°傾いており、ハンド長手方向は前後方向と一致している。
【0059】
また、スイングアーム11の先端側がアーム回動中心Cよりも左側に配置されている状態でスイングアーム11が回動するときには、第3駆動機構33は、ハンド8、9の向きが一定になるようにスイングアーム11に対して共通アーム部15を回動させる。たとえば、スイングアーム11の先端側がアーム回動中心Cよりも左側に配置されている状態でスイングアーム11が回動するときに、第3駆動機構33は、ハンド8、9の先端が前側を向いた状態を維持するようにスイングアーム11に対して共通アーム部15を回動させる。
【0060】
このように、上下方向から見たときに正方形状をなすチャンバー4の一辺に平行な方向(すなわち、前後方向または左右方向)を第1方向とすると、スイングアーム11の先端側がアーム回動中心Cよりも第1方向の一方側に配置されている状態、または、スイングアーム11の先端側がアーム回動中心Cよりも第1方向の他方側に配置されている状態でスイングアーム11が回動するときには、ハンド長手方向が第1方向に対して傾いている。具体的には、ハンド長手方向が第1方向に対して90°傾いている。
【0061】
また、スイングアーム11の先端側がアーム回動中心Cよりも第1方向の一方側に配置されている状態、または、スイングアーム11の先端側がアーム回動中心Cよりも第1方向の他方側に配置されている状態でスイングアーム11が回動するときには、第3駆動機構33は、ハンド8、9の向きが一定になるようにスイングアーム11に対して共通アーム部15を回動させる。
【0062】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のロボット1は、共通アーム部15が先端側に回動可能に連結されるスイングアーム11と、スイングアーム11の基端側が回動可能に連結される本体部12と、スイングアーム11に対してハンド8、9を水平方向に直線的に移動させるとともにスイングアーム11に対して共通アーム部15を回動させるアーム駆動機構24と、本体部12に対してスイングアーム11を回動させるスイングアーム駆動機構25とを備えている。そのため、本形態では、スイングアーム11を用いて、アーム回動中心C(すなわち、本体部12に対するスイングアーム11の回動中心)を中心とする径方向以外の方向にも基板2を搬送することが可能になる。したがって、本形態では、ロボット1の汎用性を高めることが可能になる。
【0063】
また、本形態では、本体部12を水平方向に移動させなくても、アーム回動中心Cを中心とする径方向以外の方向に基板2を搬送することが可能になるため、ハンド8、9、アーム10およびスイングアーム11に加えて、本体部12の上端側部分(具体的には、鍔部17aの下面よりも上側の部分)が真空領域VRに配置されていても、真空領域VRと大気領域ARとの境界部分のシール構造を簡素化することが可能になる。
【0064】
本形態では、スイングアーム11の先端側がアーム回動中心Cよりも後ろ側または前側に配置されている状態でスイングアーム11が回動するときに、ハンド長手方向は前後方向に対して傾いているとともに、第3駆動機構33は、ハンド8、9の向きが一定になるようにスイングアーム11に対して共通アーム部15を回動させている。そのため、本形態では、チャンバー4の前後方向の幅が狭くなっていても、スイングアーム11が回動するときに、チャンバー4の内部に配置されるハンド8、9およびアーム10とチャンバー4の前後方向の内壁面との干渉を防止することが可能になる。
【0065】
同様に、本形態では、スイングアーム11の先端側がアーム回動中心Cよりも右側または左側に配置されている状態でスイングアーム11が回動するときに、ハンド長手方向は左右方向に対して傾いているとともに、第3駆動機構33は、ハンド8、9の向きが一定になるようにスイングアーム11に対して共通アーム部15を回動させているため、チャンバー4の左右方向の幅が狭くなっていても、スイングアーム11が回動するときの、チャンバー4の左右方向の内壁面とハンド8、9およびアーム10との干渉を防止することが可能になる。
【0066】
また、本形態では、スイングアーム11が回動するときに、ハンド8、9の向きが一定になるように第3駆動機構33がスイングアーム11に対して共通アーム部15を回動させるため、スイングアーム11が回動しているときの、ハンド8、9に搭載される基板2の状態を安定させることが可能になる。
【0067】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0068】
上述した形態において、スイングアーム11の先端側がアーム回動中心Cよりも後ろ側または前側に配置されている状態でスイングアーム11が回動するときに、ハンド長手方向は、前後方向に対して90°以外の角度で傾いていても良い。同様に、スイングアーム11の先端側がアーム回動中心Cよりも右側または左側に配置されている状態でスイングアーム11が回動するときに、ハンド長手方向は、左右方向に対して90°以外の角度で傾いていても良い。
【0069】
上述した形態において、スイングアーム11が回動するときに、チャンバー4の内壁面とハンド8、9およびアーム10との干渉を防止することができるのであれば、第3駆動機構33は停止していても良い。すなわち、スイングアーム11が回動するときに、スイングアーム11に対して共通アーム部15を回動させなくても良い。また、上述した形態において、チャンバー4の中心とアーム回動中心Cとがずれていても良い。また、上述した形態において、チャンバー4は、上下方向から見たときの形状が長方形状となる略直方体の箱状に形成されていても良い。
【0070】
上述した形態において、スイングアーム11に対する共通アーム部15の回動中心と共通アーム部15に対する先端側アーム部13の回動中心との水平方向の距離と、スイングアーム11に対する共通アーム部15の回動中心と共通アーム部15に対する先端側アーム部14の回動中心との水平方向の距離とが異なっていても良い。また、上述した形態において、先端側アーム部13の長さと先端側アーム部14の長さとが異なっていても良い。たとえば、先端側アーム部13が先端側アーム部14より長くなっていても良い。
【0071】
上述した形態では、共通アーム部15は、略V形状のブロック状に形成されているが、共通アーム部15は、上下方向から見たときの形状が細長い長円形状または長方形状となるとともに上下方向の厚さが比較的薄いブロック状に形成されていても良い。また、上述した形態において、ロボット1によって搬送される搬送対象物はガラス基板以外のものであっても良い。たとえば、ロボット1によって搬送される搬送対象物は半導体ウエハ等であっても良い。
【符号の説明】
【0072】
1 ロボット(産業用ロボット)
2 基板(ガラス基板、搬送対象物)
3 製造システム
4 チャンバー(トランスファーチャンバー)
8 ハンド(第1ハンド)
9 ハンド(第2ハンド)
10 アーム
11 スイングアーム
12 本体部
13 先端側アーム部(第1先端側アーム部)
14 先端側アーム部(第2先端側アーム部)
15 共通アーム部
24 アーム駆動機構
25 スイングアーム駆動機構
31 第1駆動機構
32 第2駆動機構
33 第3駆動機構
C アーム回動中心