(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054405
(43)【公開日】2023-04-14
(54)【発明の名称】油性マーキングペンインキ用組成物及びこれを用いた油性マーキングペン
(51)【国際特許分類】
C09D 11/16 20140101AFI20230407BHJP
C09D 11/106 20140101ALI20230407BHJP
B43K 8/02 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
C09D11/16
C09D11/106
B43K8/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163221
(22)【出願日】2021-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000108328
【氏名又は名称】ゼブラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100129296
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 博昭
(72)【発明者】
【氏名】大澤 祐哉
(72)【発明者】
【氏名】生川 麻友子
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 悠衣
【テーマコード(参考)】
2C350
4J039
【Fターム(参考)】
2C350GA04
2C350HA15
4J039AD07
4J039BA04
4J039BC07
4J039BC08
4J039BC20
4J039BE01
4J039BE13
4J039BE15
4J039BE16
4J039BE22
4J039CA04
4J039EA15
4J039EA16
4J039EA17
4J039EA19
4J039EA48
4J039FA02
4J039GA21
(57)【要約】
【課題】筆記板の表面に筆跡として形成された後、消去時にスキージで拭き取る場合に消しカスの飛散を抑制させることができる油性マーキングペンインキ用組成物及びこれを用いた油性マーキングペンを提供すること。
【解決手段】筆記板の表面に筆跡として形成された後、消去時にスキージで拭き取られる油性マーキングペンインキ用組成物であって、有機溶剤と、着色剤と、有機溶剤に可溶なポリビニルブチラール樹脂とを含み、平均重合度が500以上であり、水酸基量が25~40モル%であり、アセチル基量が3モル%以下である、油性マーキングペンインキ用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筆記板の表面に筆跡として形成された後、消去時にスキージで拭き取られる油性マーキングペンインキ用組成物であって、
有機溶剤と、着色剤と、前記有機溶剤に可溶なポリビニルブチラール樹脂とを含み、
前記ポリビニルブチラール樹脂が、平均重合度が500以上であり、水酸基量が25~40モル%であり、アセチル基量が3モル%以下である、油性マーキングペンインキ用組成物。
【請求項2】
前記ポリビニルブチラール樹脂の平均重合度が2100以下である、請求項1に記載の油性マーキングペンインキ用組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の油性マーキングペンインキ用組成物を含む油性マーキングペン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性マーキングペンインキ用組成物及びこれを用いた油性マーキングペンに関する。
【背景技術】
【0002】
ホワイトボードなどの筆記板の表面に筆記する筆記具としては、油性マーキングペンが用いられる。このような油性マーキングペンに用いられるインキ組成物として、例えば、顔料と、有機溶剤と、樹脂と、シクロヘキサンジカルボン酸エステルとを含む組成物が知られている(下記特許文献1参照)。このような油性マーキングペンインキ用組成物は、一般的には、筆記板の表面に筆跡として形成された後、消去時にフェルト等の不織布で拭き取られるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、筆記板の表面に筆跡として形成された油性マーキングペンインキ用組成物は、消去時にスキージで拭き取ることも可能であると考えられる。スキージとは、本体部の先端に弾性部材を有するものである。
【0005】
しかし、従来、消去時にスキージで拭き取るのに適した油性マーキングペンインキ用組成物については検討されていない。すなわち、消去時にスキージで拭き取る場合に消しカスの飛散を抑制させることができる油性マーキングペンインキ用組成物については検討されていない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、筆記板の表面に筆跡として形成された後、消去時にスキージで拭き取る場合に、消しカスの飛散を抑制させることができる油性マーキングペンインキ用組成物及びこれを用いた油性マーキングペンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、筆記板の表面に筆跡として形成された後、消去時にスキージで拭き取られる油性マーキングペンインキ用組成物であって、有機溶剤と、着色剤と、前記有機溶剤に可溶なポリビニルブチラール樹脂とを含み、前記ポリビニルブチラール樹脂が、平均重合度が500以上であり、水酸基量が25~40モル%であり、アセチル基量が3モル%以下である、油性マーキングペンインキ用組成物である。
【0008】
本発明の油性マーキングペンインキ用組成物によれば、当該油性マーキングペンインキ用組成物を含む油性マーキングペンで筆記板の表面に形成された筆跡を消去時にスキージで拭き取る場合に、消しカスを線状にまとめることができるため、消しカスの飛散を抑制することができる。
【0009】
上記のように消しカスが線状にまとまる理由については定かではないが、本発明者らは以下の理由によるものではないかと推測している。
【0010】
すなわち、油性マーキングペンインキ用組成物を含む油性マーキングペンで筆記板の表面に形成された筆跡をスキージによって拭き取る場合に、離れた位置で形成される消しカス中のポリビニルブチラール樹脂同士がスキージ上に積み重なることで、ポリビニルブチラール分子鎖同士の物理的距離が近づき、分子間力がより強固に働くようになる。この分子間力には、ファンデルワールス力の他に、ポリビニルブチラール樹脂が分子内に持つ水酸基とアセチル基によって生じるものがあり、水酸基同士、またはアセチル基同士、または水酸基とアセチル基との相互作用がある。水酸基量が多い場合は、分子間力が過剰に強く作用してしまい、硬くもろい消しカスとなる。一方、アセチル基量が多い場合は、分子間力が弱く、柔らかくて弱い消しカスとなる。したがって、水酸基量とアセチル基量をそれぞれ適切に調節することで、強くてしなやかな消しカスとすることができ、消しカスが線状にまとまりやすくなるのではないかと本発明者らは推測している。
【0011】
上記油性マーキングペンインキ用組成物においては、前記ポリビニルブチラール樹脂の平均重合度が2100以下であることが好ましい。
この場合、インキ組成物の過度な粘度上昇を抑制することができ、油性マーキングペンとしての筆記性能の低下をより抑制することができる。
【0012】
また、本発明は、上述した油性マーキングペンインキ用組成物を含む油性マーキングペンである。
【0013】
この油性マーキングペンによれば、当該油性マーキングペンに含まれる油性マーキングペンインキ用組成物で筆記板の表面に形成された筆跡を消去時にスキージで拭き取る場合に、消しカスを線状にまとめることができるため、消しカスの飛散を抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、筆記板の表面に筆跡として形成された後、消去時にスキージで拭き取る場合に、消しカスの飛散を抑制させることができる油性マーキングペンインキ用組成物及びこれを用いた油性マーキングペンが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の油性マーキングペンインキ用組成物を拭き取るために使用されるスキージの一例を概略的に示す平面図である。
【
図2】本発明の油性マーキングペンインキ用組成物を含む油性マーキングペンインキで筆記板の表面に形成された筆跡を拭き取っている状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について
図1を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の油性マーキングペンインキ用組成物を拭き取るために使用されるスキージの一例を概略的に示す平面図、
図2は、本発明の油性マーキングペンインキ用組成物を含む油性マーキングペンインキで筆記板の表面に形成された筆跡を拭き取っている状態を示す断面図である。
【0017】
<油性マーキングペンインキ用組成物>
本発明の油性マーキングペンインキ用組成物(以下、単に「インキ組成物」と呼ぶことがある)は、筆記板の表面に筆跡として形成された後、消去時にスキージで拭き取られるものであり、有機溶剤と、着色剤と、ポリビニルブチラール樹脂を含む。ポリビニルブチラール樹脂は、平均重合度が500以上であり、水酸基量が25~40モル%であり、アセチル基量が3モル%以下である。
【0018】
図1及び
図2に示すように、スキージ10は、本体部11と、本体部11に設けられる直線状の弾性部材12とを有する。スキージ10で筆記板20の表面21に形成される筆跡Hを拭き取る場合には、スキージ10の弾性部材12を、筆記板20の表面21に当接させ、弾性部材12を当該表面21に押し付けながら、筆跡Hを通過するようにスキージ10を
図2の矢印A方向に沿って移動させればよい。弾性部材12は通常、ゴムで構成される。なお、
図1では、弾性部材12は、本体部11の両側に設けられているが、片側のみに設けられてもよい。
【0019】
本発明のインキ用組成物によれば、当該インキ用組成物を含む油性マーキングペンで筆記板20の表面21に形成された筆跡Hを消去時にスキージ10で拭き取る場合に、消しカスSを線状にまとめることができるため、消しカスSの飛散を抑制することができる。その結果、インキ組成物による筆跡Hを拭き取る場合に、筆記板20の周辺が汚れたり、筆記者の手指や衣服が汚れたりすることを抑制することができる。
【0020】
以下、上記インキ組成物について詳細に説明する。
【0021】
(A)有機溶剤
インキ組成物に含まれる有機溶剤は特に制限されるものではないが、揮発性を有する有機溶剤が好ましく用いられる。この場合、ホワイトボード等の筆記板20の表面21にインキ組成物を筆記しても、インキ組成物が乾燥しやすくなり、手指に付着しにくくなる。有機溶剤としては、例えばアルコール類及びグリコールエーテル類が挙げられる。アルコール類としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール及び変性エチルアルコール系溶剤が挙げられる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。グリコールエーテル類としては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0022】
(B)着色剤
着色剤は、顔料及び染料の少なくとも一方を含む。
【0023】
(顔料)
顔料は、有機溶剤中に分散され得るものであれば特に制限されるものではなく、顔料としては、有機顔料及び無機顔料が挙げられる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0024】
有機顔料としては、例えばアゾ顔料、アンスラキノン顔料、フタロシアニン顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料、キナクドリン顔料及びジケトピロロピロール系顔料などが挙げられる。
【0025】
無機顔料としては、例えばカーボンブラック、アニリンブラック、酸化チタン、酸化鉄及び金属粉(アルミニウム等)などが挙げられる。
【0026】
(染料)
染料は、有機溶剤中に溶解され得るものであれば特に制限されるものではなく、染料としては、例えばSPIRIT BLACK 61F、VALIFAST VIOLET 1701、VALIFAST VIOLET 1704、VALIFAST YELLOW1109、VALIFAST YELLOW 1151、VALIFAST YELLOW 1171、OIL YELLOW 107、VALIFAST BLUE 1605、VALIFAST BLUE 1621、VALIFAST BLUE 1623、VALIFAST BLUE 2620、OIL BLUE 613、VALIFAST RED 1308、VALIFAST RED 1320、VALIFAST RED 1364、VALIFAST RED 2320、VALIFAST BLACK 3830、VALIFAST BLACK 3870(以上、オリヱント化学工業株式会社製)、Aizen Spilon BLACK GHMSpecial、Aizen Spilon VIOLET C-RH、Aizen Spilon YELLOW C-GH new、Aizen Spilon BLUE C-RH、Aizen Spilon S.P.T.BLUE -111、Aizen Spilon S.P.T.BLUE -121(以上、保土谷化学工業株式会社製)などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0027】
有機溶剤及び着色剤の合計含有率は、特に制限されるものではないが、通常は50質量%以上である。
【0028】
インキ組成物中の有機溶剤の含有率は、特に制限されるものではないが、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。この場合、インキ組成物中の有機溶剤の含有率が50質量%未満である場合に比べて、インキ組成物の粘度がより低下するため、油性マーキングペンで筆記板20の表面21に筆記する場合に、より軽い書き味を実現させることが可能となる。また、インキ組成物中の有機溶剤の含有率は、90質量%以下であることが好ましい。この場合、インキ組成物中の有機溶剤の含有率が90質量%を超える場合に比べて、インキ組成物の粘度が低くなりすぎることを抑制できる。
【0029】
インキ組成物中の着色剤の含有率は、特に制限されるものではなく、希望する色に応じて適宜決定すればよいが、筆跡の視認性を向上させる観点からは、2質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。また、インキ組成物中の着色剤の含有率は、筆感を向上させる観点からは、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
【0030】
(C) ポリビニルブチラール樹脂
ポリビニルブチラール樹脂は、溶剤に可溶な樹脂であり、通常、ブチラール基と、水酸基と、アセチル基とを有する。
【0031】
ポリビニルブチラール樹脂は、平均重合度が500以上であり、水酸基量が25~40モル%であり、アセチル基量が3モル%以下である。
【0032】
ポリビニルブチラール樹脂の平均重合度は、分子鎖同士の分子間力を作用させやすくし、消しカスの飛散をより十分に抑制する観点から、600以上であることが好ましく、800以上であることがより好ましく、1000以上であることが特に好ましい。また、得られるインキ組成物の粘度の過度な上昇を抑制し、油性マーキングペンとしての筆記性能の低下をより抑制する観点から、2100以下であることが好ましく、2000以下であることがより好ましく、1500以下であることが特に好ましい。
【0033】
ポリビニルブチラール樹脂の水酸基量は、筆記線の塗膜強度や筆記面への接着性という観点から、30モル%以上であることが好ましい。
【0034】
ポリビニルブチラール樹脂の水酸基量は、0モル%より多いことが好ましい。
【0035】
なお、上記の「水酸基量」及び「アセチル基量」は、ブチラール基、水酸基及びアセチル基の合計モル数を基準(100モル%)とした場合の含有率をいうものとする。
【0036】
インキ組成物中のポリビニルブチラール樹脂の含有率は特に制限されるものではないが、好ましくは0.5質量%以上である。この場合、インキ組成物中のポリビニルブチラール樹脂の含有率が0.5質量%未満である場合に比べて、当該インキ組成物を含む油性マーキングペンで筆記板20の表面21に形成された筆跡を消去時にスキージ10で拭き取る場合に、消しカスSをより線状にまとめやすくすることができる。また、インキ組成物中のポリビニルブチラール樹脂の含有率は、インキ組成物の粘度の上昇による筆跡のカスレ防止の観点からは、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。
【0037】
(D)その他の成分
インキ組成物は、上記(A)~(C)のほか、インキ組成物の特性を損なわない範囲で、ポリビニルブチラール樹脂以外の樹脂、消去性付与剤、可塑剤、乾燥防止剤、顔料分散剤などの公知の添加剤を必要に応じて含んでもよい。ポリビニルブチラール樹脂以外の樹脂としては、例えばマレイン樹脂、ケトン樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂、フェノール樹脂、アミド樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂及びブチラール樹脂などが挙げられる。
【0038】
<油性マーキングペン>
次に、本発明の油性マーキングペンについて説明する。
【0039】
本発明の油性マーキングペンは、上述したインキ組成物を含む。油性マーキングペンは通常、インキ組成物を収容するケースを備えている。
【0040】
この油性マーキングペンによれば、当該油性マーキングペンに含まれるインキ組成物で筆記板20の表面21に形成された筆跡Hを消去時にスキージ10で拭き取る場合に、消しカスSを線状にまとめることができる。このため、消しカスSの飛散を抑制することができる。その結果、インキ組成物による筆跡Hを拭き取る場合に、筆記板20の周辺が汚れたり、筆記者の手指や衣服が汚れたりすることを抑制することができる。
【実施例0041】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0042】
実施例又は比較例で用いられる有機溶剤、着色剤、樹脂、消去性付与剤、可塑剤及び乾燥防止剤としては、具体的に以下のものを使用した。
【0043】
<有機溶剤>
・イソプロピルアルコール
・変性エチルアルコール系溶剤(商品名「ソルミックスAP-2」、日本化成品社製)
【0044】
<着色剤>
・黒色顔料分散体(商品名「FUJI ASL BLACK 8224」、冨士色素(株)社製、カーボンブラック10質量%、分散剤5質量%、溶剤85質量%の混合物)
【0045】
<樹脂>
・ポリビニルブチラール樹脂1(商品名「エスレックBM-1」、積水化学工業(株)製、平均重合度:650、水酸基量:34モル%、アセチル基量:3モル%以下)
・ポリビニルブチラール樹脂2(商品名「エスレックBM-5」、積水化学工業(株)製、平均重合度:900、水酸基量:34モル%、アセチル基量:3モル%以下)
・ポリビニルブチラール樹脂3(商品名「エスレックBH-3」、積水化学工業(株)製、平均重合度:1770、水酸基量:34モル%、アセチル基量:3モル%以下)
・ポリビニルブチラール樹脂4(商品名「エスレックBX-5」、積水化学工業(株)製、平均重合度:2040、水酸基量:27モル%、アセチル基量:3モル%以下)
・ポリビニルブチラール樹脂5(商品名「エスレックBL-1」、積水化学工業(株)製、平均重合度:310、水酸基量:36モル%、アセチル基量:3モル%以下)
・ポリビニルブチラール樹脂6(商品名「エスレックBM-SZ」、積水化学工業(株)製、平均重合度:850、水酸基量:23モル%、アセチル基量:4~6モル%)
・ポリビニルアセトアセタール樹脂(商品名「エスレックKS-5Z」、積水化学工業(株)製、平均重合度:2020、水酸基量:25モル%、アセチル基量:3モル%以下)
【0046】
<消去性付与剤>
ステアリン酸ブチル(商品名「FUJI ADDITIVE AS-15」、冨士色素(株)製)
【0047】
<可塑剤>
商品名「エスレックG-260」、積水化学工業(株)製
【0048】
<乾燥防止剤>
商品名「FUJI ADDITIVE AS-7」、冨士色素(株)製
【0049】
(実施例1~4及び比較例1~3)
有機溶剤、着色剤、樹脂、消去性付与剤、可塑剤及び乾燥防止剤を表1に示す割合(単位:質量%)で混合し、60℃で3時間加熱しながらインキ組成物を得た。
【0050】
<消しカスの評価>
実施例1~4及び比較例1~3で得られたインキ組成物を、油性マーキングペン(商品名「ボードマーカー中字」、ゼブラ(株)製)のインキ組成物として用い、油性マーキングペンを用意した。そして、この油性マーキングペンを用い、筆記板としてのホワイトボード(製品名「ホワイトボード」、プラス(株)社製)の表面に、一定方向(筆記方向)に沿って、3cm幅のループを繰り返し描きながら連続して筆記し、筆記線を形成した。同様にして、筆記線を14行形成し、15行の筆記線からなる筆跡を形成した。その後、板状のスキージ(商品名「ダブルスキィージ」、極東産機(株)製)を用いてホワイトボードの表面に形成された筆跡を拭き取った。具体的には、スキージの軟質部(ゴム製の弾性部材)を、その軟質部の長手方向が筆記線の筆記方向と平行となるように配置させ且つスキージを45°に傾斜させた状態でホワイトボードの表面に当接させ、軟質部を当該表面に押し付けながら、スキージを15行の筆記線を横切るように1回だけ移動させて筆跡を拭き取った。そして、筆跡の拭取りを完了した後の消しカスを目視にて確認し、下記評価基準に基づいて消しカスの評価を行った。結果を表1に示す。なお、「〇」は合格とし、「×」は不合格とした。
(評価基準)
〇:スキージから消しカスを剥がす際、消しカスが1本の線状にまとまっている
×:スキージから消しカスを剥がす際、消しカスが粉々になっている
【表1】
【0051】
表1に示す結果より、実施例1~4ではいずれにおいても、消しカス状態の評価が「〇」であり、消しカスが一本の線状にまとまっていた。これに対し、比較例1~3では、消しガス状態の評価が「×」であり、消しカスが粉々になっていた。
【0052】
以上のことから、本発明のインキ組成物は、筆記板の表面に筆跡として形成された後、消去時にスキージで拭き取る場合に消しカスの飛散を抑制させることができることが確認された。