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特開2023-54413ボルト型のロードセル及びその製造方法
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  • 特開-ボルト型のロードセル及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054413
(43)【公開日】2023-04-14
(54)【発明の名称】ボルト型のロードセル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/22 20060101AFI20230407BHJP
   G01L 5/00 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
G01L1/22 G
G01L5/00 101Z
G01L5/00 103D
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163231
(22)【出願日】2021-10-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】516356594
【氏名又は名称】株式会社アデック
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久野 拓律
【テーマコード(参考)】
2F049
2F051
【Fターム(参考)】
2F049BA04
2F049BA11
2F049CA02
2F051AA12
2F051AB09
(57)【要約】
【課題】全長が短いボルト型のロードセル及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ボルト型のロードセル10は、頭部20と、頭部20から軸心CLに沿って、頭部20の厚みよりも深い凹状に設けられる駆動部11と、雄ねじ部31、及び、駆動部11と雄ねじ部31との間に位置して軸心CLを挟んで対向して設けられる平坦面状の平行部35,36、を備える軸部30と、平行部35,36に設けられ、平行部35,36の伸縮を検出するセンサとしての半導体歪ゲージ40と、を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部と、
前記頭部から軸心に沿って、前記頭部の厚みよりも深い凹状に設けられる駆動部と、
雄ねじ部、及び、前記駆動部と前記雄ねじ部との間に位置して前記軸心を挟んで対向して設けられる平坦面状の平行部、を備える軸部と、
前記平行部に設けられ、前記平行部の伸縮を検出するセンサと、
を有することを特徴とするボルト型のロードセル。
【請求項2】
前記駆動部の外周に配置され、前記頭部から前記平行部に亘って前記軸心と平行に設けられる配線部を有することを特徴とする請求項1に記載のロードセル。
【請求項3】
前記センサは、半導体歪ゲージであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のボルト型のロードセル。
【請求項4】
前記平行部は、直交するように2組設けられ、
前記センサは、前記平行部の各面に設けられ、一方の1組の前記平行部における前記センサをアクティブゲージとし、他方の1組の前記平行部における前記センサをダミーゲージとするアクティブダミー法で形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか記載のボルト型のロードセル。
【請求項5】
低頭ボルトの軸部に、駆動部の底部よりも先端側に、上ねじ部と下ねじ部が形成されるように、軸心を挟んで対向する平行部を形成する工程を含む、ボルト型のロードセルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルト型のロードセル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ボルト型のロードセルが提案されている。例えば、特許文献1では、金型用荷重分布測定装置に用いられるボルト型のロードセルが開示されている。この金型用荷重分布測定装置は、該ロードセルのボルトの軸部を起歪体としている。該ロードセルをプレート状の荷重受部材に取り付けると、金型からの荷重を受けていない定常状態において起歪体である軸部が伸長した状態となり、プレス加工時における荷重受部材の厚み方向の伸縮に伴う該軸部の伸縮を測定することで、荷重受部材が受ける荷重、すなわち、工程ごとにおけるプレス加工により発生する荷重を測定して、精度よく工程ごとの荷重分布を測定できるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6370005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
荷重受部材は、プレス機械等の加工装置に取り付けられる。従って、荷重受部材を取り付けると、加工装置における金型の取付け寸法を越えてしまう懸念がある。また、加工装置の金型駆動側に荷重受部材を取り付ける場合には、加工装置における金型の駆動装置に荷重受部材分の負荷が掛かり、加工装置の大型化を招くことがある。このように、荷重受部材は、厚みを薄く形成する等の小型化の要求があり、この場合には、ボルト型のロードセルの全長も短いものが要求されることとなる。
【0005】
本発明は、全長が短いボルト型のロードセル及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るボルト型のロードセルは、頭部と、前記頭部から前記軸部の軸心に沿って、前記頭部の厚みよりも深い凹状に設けられる駆動部と、雄ねじ部、及び、前記駆動部と前記雄ねじ部との間に位置して前記軸心を挟んで対向して設けられる平坦面状の平行部、を備える軸部と、前記平行部に設けられ、前記平行部の伸縮を検出するセンサと、を有する。
【0007】
本発明に係るボルト型のロードセルの製造方法は、低頭ボルトの軸部に、駆動部の底部よりも先端側に、上ねじ部と下ねじ部が形成されるように、軸心を挟んで対向する平行部を形成する工程を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、全長が短いボルト型のロードセル及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るボルト型のロードセルが荷重受部材(二点鎖線で示している)に取り付けられた状態を示す金型用荷重分布測定装置であり、(a)はロードセルの頭部側から見た平面図であり、(b)はロードセルを側面方向から見た側面図(荷重受部材は断面視)である。
図2】本発明の実施形態の変形例に係るボルト型のロードセルが荷重受部材(二点鎖線で示している)に取り付けられた状態を示す金型用荷重分布測定装置であり、(a)はロードセルの頭部側から見た平面図であり、(b)はロードセルを側面方向から見た側面図(荷重受部材は断面視)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態について、図に基づいて説明する。図1(a)、図1(b)は、金型用荷重分布測定装置200における二点鎖線で示すプレート状の荷重受部材100に取り付けられているボルト型のロードセル10である。ロードセル10は、頭部20と、軸部30と、を有する。ロードセル10は、後述するが、六角穴付き低頭ボルトを用いて製造されている。
【0011】
ロードセル10は、六角レンチを挿入してねじ込むための駆動部11を有する。駆動部11は、軸心CLに沿って凹状に設けられている。駆動部11の軸心CL方向の深さDは、頭部20の軸心CL方向の厚みTよりも深く形成されている。換言すれば、駆動部11は、頭部20から軸部30に亘って形成されている。なお、ここでいう駆動部11は、六角レンチが挿入される部位(寸法Dで示す部分)であり、六角穴付き低頭ボルトの製造の際の駆動部11の加工において形成されるテーパー孔状のテーパー部12部分(寸法DSで示す部分)は含まない。本実施形態においては、テーパー部12よりも先端側に平行部35,36が位置している。
【0012】
軸部30は、下ねじ部とされる雄ねじ部31と、2組の平行部35,36とを有する。雄ねじ部31は、軸部30の先端側に設けられている。雄ねじ部31は、全周にねじ部が形成されていて、ねじ山を分断する溝等は形成されていない。
【0013】
2組の平行部35,36は、各組それぞれ、軸心CLを挟んで対向して平坦面状に設けられている。具体的には、平行部35は、図1(a)を見て上側と下側に軸心CLを挟んで対向する平坦面状のセンサ取付部351,352を有する。同様に、平行部36は、図1(a)を見て左側と右側に軸心CLを挟んで対向する平坦面状のセンサ取付部361,362を有する。平行部35のセンサ取付部351,352及び平行部36のセンサ取付部361,362は、それぞれ平行な面として形成され、平行部35のセンサ取付部351,352と平行部36のセンサ取付部361,362は、互いに直交する面として形成されている。
【0014】
そして、平行部35,36の各センサ取付部351,352,361,362には、起歪体となる平行部35,36の伸縮を検出するセンサとしての半導体歪ゲージ40が設けられている。
【0015】
平行部35,36と頭部20との間の軸部30には、上側軸部32が設けられている。上側軸部32は、平行部35,36と接続される側に上ねじ部321が設けられ、頭部20と接続される側に胴部322が設けられている。上ねじ部321と胴部322は接続している。なお、平行部35,36と上側軸部32及び雄ねじ部31との各接続部には、応力集中を回避するためのR部35a,36aが設けられている。
【0016】
平行部35,36と駆動部11、雄ねじ部31との位置関係を見ると、平行部35,36は、軸心CL方向において、駆動部11と雄ねじ部31との間に位置している。換言すれば、平行部35,36は、駆動部11よりも軸部30の先端側に位置している。
【0017】
駆動部11の外周には、図1(a)の頭部20の上面から見て軸心CLを中心にして放射状に4つの貫通孔としての配線部38が設けられている。配線部38は、軸心CLと直交する方向における平行部35,36の各センサ取付部351,352,361,362の中心位置に配置され、頭部20の上面から上側軸部32を貫通して平行部35,36側に開口している。換言すれば、配線部38は、平行部35,36のセンサ取付部351,352,361,362(半導体歪ゲージ40)に対応して設けられている。配線部38には、半導体歪ゲージ40の配線(不図示)を通すことができる。
【0018】
このように形成されるロードセル10は、平行部35,36部分を起歪体として、荷重受部材100に取り付けられている。荷重受部材100は、図1(b)の下面側に雌ねじ部110が設けられ、雌ねじ部110の上側には孔部120が設けられ、雌ねじ部110と孔部120は連通している。ロードセル10は、雄ねじ部31を雌ねじ部110にねじ込むことで、上側軸部32及び平行部35,36が孔部120に収容され、頭部20の下面が荷重受部材100の座繰り面105に当接し、起歪体としての平行部35,36の部位が伸長される。なお、雄ねじ部31と雌ねじ部110が螺合する長さ(雄ねじ部31の長さ)は、雄ねじ部31の呼び径の半分以上であると、金型用荷重分布測定装置200を加工装置に取り付けた際における雄ねじ部31と雌ねじ部110のねじ部の緩みが低減される。例えば、雄ねじ部31の呼び径がM10の場合には、雌ねじ部110と螺合する長さが5mm以上であると好適である。
【0019】
金型用荷重分布測定装置200は、起歪体としての平行部35,36の部分が伸長した状態で荷重受部材100に取り付けられた複数のロードセル10備える。この金型用荷重分布測定装置200をプレス機械等の加工装置(不図示)の金型取付部に取り付けることで、製品加工時に金型に掛かる圧縮荷重のみならず引張荷重も検出することができ、精度の高い荷重分布の測定を行うことができる。
【0020】
ボルト型のロードセル10は、以下のように製造することができる。
(1)低頭ボルトの準備工程;所定の呼び径の低頭ボルトを準備する。例えば、雄ねじ部31の呼び径M10、軸部30の長さが20mmの極低頭六角穴付きボルト(型式;CBSS10-20,株式会社ミスミ製)と称される低頭ボルトを準備する。
(2)平行部形成工程;低頭ボルトの軸部に、平行部35,36を形成する面削ぎ加工を行う。面削ぎ加工は、フライス加工等により行うことができる。このとき、平行部35,36は、駆動部11の底部11a(頭部20の上面から深さDの位置)よりも先端側であって、上ねじ部321と下ねじ部である雄ねじ部31が形成されるように、軸心CLを挟んで対向して形成する。好ましくは、本実施形態のように、平行部35,36は、テーパー部12よりも先端側に形成する。
【0021】
例えば、(1)の工程で準備した低頭ボルトを用いた場合には、軸部30の先端から頭部20側に約7mm程度の位置から頭部20側に約8mm程度の長さで面削ぎ加工を行って、平行部35,36を形成する。R部35a,36aは、半径が0.5mmのRとされている。
【0022】
なお、本実施形態においては、上ねじ部321を残存させているが、上ねじ部321は螺合して使用されないので、除去してもよい。
【0023】
(3)センサ取付工程;平行部35,36に、それぞれ、半導体歪ゲージ40を取り付け、配線部38に半導体歪ゲージ40の配線を挿通させる。ここで、配線部38は、平行部35,36の形成前又は後に形成しておく。なお、本実施形態においては半導体歪ゲージ40を用いたが、箔ひずみゲージ等、平行部35,36の伸縮を検出することができる他のセンサを用いることもできる。
【0024】
このように、ロードセル10は、頭部20の厚みよりも深い凹状であって、頭部20から軸部30に亘って設けられる駆動部11を備えることで、頭部の薄い、例えば低頭ボルトを用いて形成される。よって、ロードセル10は、全長を短く形成することができ、荷重受部材100も薄くすることができるので、金型用荷重分布測定装置200を軽量化することができる。
【0025】
また、起歪体としての平行部35,36は、駆動部11の底部11aよりも先端側に位置し、テーパー部12よりも先端側に位置するので、平行部35,36を中実とすることができ、起歪体としての平行部35,36の伸縮を均一とすることができる。また、上記の製造方法によれば、途中に欠損部がなく全周にねじ切りされた雄ねじ部31を形成することができるので、荷重受部材100の雌ねじ部110への締結力も低下させることなくロードセル10を荷重受部材100に取り付けることができる。
【0026】
なお、平行部35,36は、起歪体としての性能に大きく影響しない範囲で、テーパー部12と重なる位置に配置することもできる。駆動部11は、テーパー部12を含まないものとしたが、これに関わらず、駆動部11はテーパー部12を含むものとすれば、平行部35,36は、起歪体としての性能に大きく影響しない範囲で、駆動部11と重なる位置に配置することができる。すなわち、テーパー部12のような、テーパー形状の凹状の部分の一部(すなわち、工具の先端(六角レンチや、駆動部11の形状によってはドライバー等)が入り込まない部分)が、平行部35,36の一部と重なる位置に平行部35,36が配置されたとしても、起歪体としての性能への影響は少ないこともあるが、本実施形態のように、平行部35,36と、テーパー部12のようなテーパー部を含む駆動部11と、は重ならない方が、性能的にも強度的にも好適である。
【0027】
また、駆動部11の外周に配線部38を配置することで、ロードセル10からの半導体歪ゲージ40の配線の取り回しを簡単にすることができる。なお、上側軸部32の断面積は、平行部35,36の断面積よりも大きい。これにより、確実に起歪体としての平行部35,36を伸縮させることができる。
【0028】
また、平行部35,36は、平坦面とされるセンサ取付部351,352,361,362を備えるので、特に平坦面への取り付けが必要とされる高精度な半導体歪ゲージ40を起歪体(平行部35,36)の伸縮を検出するセンサとして用いることができる。なお、本実施形態においては、4つの半導体歪ゲージ40を2組の平行部35,36における各センサ取付部351,352,361,362に配置することができるので、例えば一方の1組の平行部35に設けた半導体歪ゲージ40をアクティブゲージとし、他方の1組の平行部36に設けた半導体歪ゲージ40をダミーゲージとするアクティブダミー法で、平行部35,36の伸長(歪)、すなわち荷重検出を行うことができる。これにより、本実施形態によれば、通常は同一面に直列的に半導体歪ゲージ40を配置してアクティブダミー法を形成するところ、直交して2組設けられる平行部35,36の各センサ取付部351,352,361,362に半導体歪ゲージ40を配置することができるので、アクティブダミー法を用いたロードセル10であっても、全長を短く形成することができる。
【0029】
なお、本発明は、本実施形態によって限定されることはなく、種々の形態で実施することができる。例えば、本実施形態においては平行部35,36として2組設けたが、図2(a)、図2(b)に示すように、1組の平行部35(2つの対向するセンサ取付部351,352)のみを設けたロードセル10とすることもできる。
【0030】
また、駆動部11は、本実施形態においては六角孔として形成したが、他のドライバー等の工具に対応して、プラスやマイナス等の凹状の駆動部とすることもできる。また、配線部38は、図1(a)に示すような駆動部11の六角形状の頂部や辺部分に対応して配置する必要はなく、駆動部11の外周における平行部35,36に対応した任意の位置とすることができる。また、配線部38は、本実施形態においては貫通孔としたが、半導体歪ゲージ40の配線をすることができればよく、例えば溝状に形成してもよい。具体的には、他の形態の配線部は、頭部20の外周から切り込む溝部を軸心CL方向に沿って上側軸部32にも形成されるように設けてもよい。
【符号の説明】
【0031】
10 ロードセル 11 駆動部
11a 底部 12 テーパー部
20 頭部 30 軸部
31 雄ねじ部 32 上側軸部
35 平行部 36 平行部
35a,36a R部
38 配線部 40 半導体歪ゲージ
100 荷重受部材 105 座繰り面
110 雌ねじ部 120 孔部
200 金型用荷重分布測定装置 321 上ねじ部
322 胴部
351,352,361,362 センサ取付部
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2021-10-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項5】
低頭ボルトの軸部における前記低頭ボルトの頭部の厚みよりも深い凹状に設けられる駆動部の底部よりも先端側に、軸心を挟んで対向する平行部を形成し、上ねじ部と下ねじ部が形成される工程を含む、ボルト型のロードセルの製造方法。