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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054422
(43)【公開日】2023-04-14
(54)【発明の名称】軌陸車用荷台装置
(51)【国際特許分類】
   B61B 1/02 20060101AFI20230407BHJP
   B61D 15/00 20060101ALI20230407BHJP
   B60F 1/00 20060101ALI20230407BHJP
   B65G 69/30 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
B61B1/02
B61D15/00 A
B60F1/00
B65G69/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163249
(22)【出願日】2021-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390041449
【氏名又は名称】株式会社レンタルのニッケン
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 鉄哉
(72)【発明者】
【氏名】林田 拓己
(72)【発明者】
【氏名】石山 英一
(72)【発明者】
【氏名】川名 聡
(72)【発明者】
【氏名】今村 淳一
(72)【発明者】
【氏名】石川 翔祐
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 宇凌
【テーマコード(参考)】
3D101
3F078
【Fターム(参考)】
3D101AD07
3F078AA01
3F078DA02
3F078DA05
3F078DA11
(57)【要約】
【課題】軌陸車の荷台を改造することなく機材や資材を効率的に搬送して荷下ろしすることが可能な軌陸車用荷台装置を提供する。
【解決手段】軌陸車の荷台に設置され機材または資材を搭載して駅ホームへ搬入または搬出するための荷台装置において、軌陸車の荷台に設置されるベースプレート(11)と、ベースプレートの駅ホーム側を除く縁部に立設された荷台側柵体(12A~12D)と、軌陸車の荷台の側縁部と駅ホームの縁部との間の隙間の幅よりも長い長さを有し、ベースプレートの駅ホーム側の縁部に一辺がヒンジを介して回動可能に取り付けられたスロープ板(14A,14B)と、スロープ板の両側部に設けられた一対のスロープ側柵体(15A,15B)とを備え、ベースプレート(11)を軌陸車の荷台に固定・離脱可能に構成した。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌陸車の荷台に設置され機材または資材を搭載して駅ホームへ搬入または搬出するための荷台装置であって、
軌陸車の荷台に設置されるベースプレートと、
前記ベースプレートの駅ホーム側を除く縁部に立設された荷台側柵体と、
前記軌陸車の荷台の側縁部と駅ホームの縁部との間の隙間の幅よりも長い長さを有し、前記ベースプレートの駅ホーム側の縁部に一辺がヒンジを介して回動可能に取り付けられたスロープ板と、
前記スロープ板の両側部に設けられた一対のスロープ側柵体と、
を備え、前記ベースプレートは軌陸車の荷台に固定・離脱可能に構成されていることを特徴とする軌陸車用の荷台装置。
【請求項2】
前記ベースプレートの上面には、搬入または搬出する機材を移動不能に設置可能な複数の機材固定部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の軌陸車用の荷台装置。
【請求項3】
前記スロープ板と前記ベースプレートとの間にはダンパーが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の軌陸車用の荷台装置。
【請求項4】
前記荷台側柵体の駅ホーム側の端縁の上部には、水平方向へ回動可能であって駅ホームの縁部に直交する方向と駅ホームの縁部と平行な方向の2方向にて回動不能に固定可能であって、駅ホームの縁部に直交する方向にて固定された際に、前記軌陸車の荷台側部と駅ホーム縁部との間の隙間の幅よりも長く突出する脱落防止兼ストッパ用のフレームが設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の軌陸車用の荷台装置。
【請求項5】
前記荷台側柵体はパイプ材により構成されており、
前記脱落防止兼ストッパ用のフレームは、前記荷台側柵体のパイプ材が挿通可能な貫通孔を有する連結金具によって前記荷台側柵体に上下方向移動可能に連結され、
前記貫通孔の下部には断面が四角形の第1孔が、また前記貫通孔の上部には断面が円形であって前記第1孔の一辺の長さよりも小さな径を有する第2孔が前記第1孔と連続するように形成され、
前記荷台側柵体の縦パイプ材には、前記四角形の孔が嵌合可能な四角柱状が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の軌陸車用の荷台装置。
【請求項6】
前記スロープ側柵体の下端部は、前記スロープ板に回動不能に固定されていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の軌陸車用の荷台装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌陸車用荷台装置(以下、単に荷台装置と称する)に関し、特にホームドア等の機材の運搬およびホームでの搬出を伴う作業に利用して好適な機能を備えた軌陸車用荷台装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駅のプラットホーム(以下、単にホームと称する)に設置するホームドアを搬入する作業は、保守基地で複数のホームドアを台車に搭載して保守用車でけん引し目的地となるホームドア設置駅まで搬送してホーム上へ荷下ろしするという手順で行われていた。
一方、一般道路及び線路上を走行することができる荷台を備えた軌陸車を使用して機材を搬送し、ホーム横に停止して荷台からホーム上へ荷下ろしするのに使用する荷台とホーム間の橋渡し装置に関する発明が特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3229215号公報
【特許文献2】特開2017-226509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
保守用車は、一般に、終電から始発までの夜間時間帯に実施する保守等の作業のために使用する車両であり、 路線に進入する際は、一定区間の線路に対し他の列車が進入しないよう線路閉鎖手続きおよび承認を得る必要があった。また、ホームドアの積み込みが行える保守基地が限られている。そのため、積み込みを行なった保守基地からホームドア設置駅までの距離および移動時間が長くなり、ホームドアの据付けに使用できる作業時間が圧迫されるという課題があった。
【0005】
一方、軌陸車は一般道路及び線路上を走行することができるため、線路閉鎖を行う区間がホームドア設置駅の近傍に限定されるため、ホームドアのホーム上への据付けに使用できる作業時間を充分に確保することができるという利点がある。
しかし、軌陸車は保守用車に比べて車幅が小さいため、荷台とホームの間の隙間が大きくなる。そのため、保守用車でホームドアを搬送してホーム上へ荷下ろし際には、鋼板のような簡単なスロープを設けるだけで良かったが、軌陸車でホームドアを搬送してホーム上へ荷下ろしするには、例えば特許文献1に記載されているような荷台とホームの間の隙間を埋める橋渡し装置が必要であった。
【0006】
上記特許文献1に記載されている橋渡し装置は、軌陸車の荷台の側部に連結部材や勾配調整治具、受け部材、荷台側渡り板などからなる連結機構を設け、この連結機構によりスロープ板を回動可能に連結した構造を有しているため、軌陸車の荷台を大幅に改造する必要があるという課題がある。一方、特許文献1の橋渡し装置は、スロープ板の両側部に折り畳み可能な柵状の手摺りを設けているため、作業員の転落を防止する効果を有している。しかしながら、特許文献1の橋渡し装置においては、軌陸車の荷台側に手摺りを設けていないため、作業車の転落を防止する機能としては充分でない。
【0007】
また、仮に軌陸車の荷台側にスロープ板側の手摺りと同様な手摺りを設けたとしても、スロープ板を展開した際にスロープ板が軌陸車の荷台からホームへ向かって下り傾斜するため、スロープ板側の手摺りの上部と軌陸車の荷台側に手摺りの上部との間に、手摺りの下部側の隙間よりも広い隙間が生じ、その隙間から作業員が転落する危険性があるという課題があることが分かった。
なお、特許文献2には、軌陸車の荷台上に手摺りを設けるようにした発明が記載されているが、特許文献2の発明は、荷台を昇降させる高所作業用の軌陸車に向けられたものであって、機材の運搬用に向けてなされたものではない。そのため、スロープも不要である。
【0008】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたもので、その目的とするところは、軌陸車の荷台を改造することなく、機材や資材を効率的に搬送して荷下ろしすることが可能な軌陸車用荷台装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、スロープ板を展開した際に、スロープ板側の手摺りの上部と軌陸車の荷台側に手摺りの上部との間に隙間を生じなくすることができる安全性の高い軌陸車用荷台装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願に係る発明は、上記目的を達成するため、
軌陸車の荷台に設置され機材または資材を搭載して駅ホームへ搬入または搬出するための荷台装置において、
軌陸車の荷台に設置されるベースプレートと、
前記ベースプレートの駅ホーム側を除く縁部に立設された荷台側柵体と、
前記軌陸車の荷台の側縁部と駅ホームの縁部との間の隙間の幅よりも長い長さを有し、前記ベースプレートの駅ホーム側の縁部に一辺がヒンジを介して回動可能に取り付けられたスロープ板と、
前記スロープ板の両側部に設けられた一対のスロープ側柵体と、
を備え、前記ベースプレートは軌陸車の荷台に固定・離脱可能に構成したものである。
【0010】
上記のような構成を有する軌陸車用荷台装置によれば、軌陸車の荷台に固定・離脱可能に設置されたベースプレートの駅ホーム側の縁部に一辺がヒンジを介して回動可能にスロープ板が取り付けられているため、軌陸車の荷台を改造することなく、機材を搬送して荷下ろしすることができる。また、軌陸車によって機材を駅ホームへ搬入したり搬出したりすることができるため、線路閉鎖手続きおよび承認を得る必要がなく、ホームドアの積み込みが行える場所が限定されないため、積み込みを行なった場所から搬入駅までの距離および移動時間が短くなり、ホームドアの据付けに使用できる作業時間が圧迫されることがなくなる。
【0011】
ここで、望ましくは、前記ベースプレートの上面には、搬入または搬出する機材を移動不能に設置可能な複数の機材固定部が設けられているように構成する。
かかる構成によれば、搬入または搬出する機材が搬送中に移動するのを防止することができ、安全に搬送を実行することができる。
【0012】
また、望ましくは、前記スロープ板と前記ベースプレートとの間にはダンパーが設けられているようにする。
かかる構成によれば、スロープ板をホーム上へ傾倒させる際に急激に倒れて、スロープ板やホーム上面が損傷するのを防止することができる。
【0013】
また、望ましくは、前記荷台側柵体の駅ホーム側の端縁の上部には、水平方向へ回動可能であって駅ホームの縁部に直交する方向と駅ホームの縁部と平行な方向の2方向にて回動不能に固定可能であって、駅ホームの縁部に直交する方向にて固定された際に、前記軌陸車の荷台側部と駅ホーム縁部との間の隙間の幅よりも長く突出する脱落防止兼ストッパ用のフレームが設けられているように構成する。
【0014】
上記のような構成によれば、スロープ板をホーム上へ傾倒させた際にスロープ板側の柵体の上部と荷台装置側の柵体の上部との間の隙間が、軌陸車の荷台の縁部と駅ホームの縁部との隙間よりも広くなったとしても、その隙間をフレームによって閉塞することができるため、作業員の脱落を防止することができる。また、スロープ板を起立させた際にはスロープ板が傾倒しないようにロックを掛けることができるため、機材や機材を安全に搬送することができる。
【0015】
さらに、望ましくは、前記荷台側柵体はパイプ材により構成されており、
前記脱落防止兼ストッパ用のフレームは、前記荷台側柵体のパイプ材が挿通可能な貫通孔を有する連結金具によって前記荷台側柵体に上下方向移動可能に連結され、
前記貫通孔の下部には断面が四角形の第1孔が、また前記貫通孔の上部には断面が円形であって前記第1孔の一辺の長さよりも小さな径を有する第2孔が前記第1孔と連続するように形成され、
前記荷台側柵体の縦パイプ材には、前記四角形の孔が嵌合可能な四角柱状が設けられているように構成する。
【0016】
上記のような構成によれば、脱落防止兼ストッパ用のフレームを持ち上げるだけでロックが外れて荷台側柵体を回動させることができるようになり、90度回動させた後にフレームを下げることで回動不能にロックを掛けることができるため、極めて簡単な操作で脱落防止兼ストッパ用のフレームのロックおよびロック解除を行うことができる。
【0017】
また、望ましくは、前記スロープ側柵体の下端部は、前記スロープ板に回動不能に固定されているように構成する。
かかる構成によれば、スロープ側柵体がガタつくのを防止することができるため、作業員が接触した際の安全性を高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、軌陸車の荷台を改造することなく、機材や資材を効率的に搬送して荷下ろしすることが可能となる。また、スロープ板を展開した際に、スロープ板側の手摺りの上部と軌陸車の荷台側に手摺りの上部との間に隙間を生じなくすることができる安全性の高い軌陸車用荷台装置を実現することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る軌陸車用荷台装置の全体構成を示す斜視図である。
図2】実施形態の軌陸車用荷台装置に搬送する機材としてのホームドアを積載しスロープ板を展開した状態を示す斜視図である。
図3】実施形態の軌陸車用荷台装置のスロープ板を展開した状態を示す側面図である。
図4】実施形態の軌陸車用荷台装置のスロープ板を起立させた状態を維持する傾倒防止構造を示す拡大斜視図である。
図5】実施形態の軌陸車用荷台装置のスロープ板を展開した状態を示す平面図である。
図6】実施形態の軌陸車用荷台装置の脱落防止兼ストッパの具体例を示すもので、(A)は分解斜視図、(B)は外側へ開いた状態を示す斜視図である。
図7図6に示す脱落防止兼ストッパの連結金具の具体例を示すもので、(A)は外側へ開いた状態の平面図、(B)は(A)におけるB-B線に沿った断面図、(C)は(A)におけるC-C線に沿った断面図である。
図8図6に示す脱落防止兼ストッパを示すもので、(A)はロックフリー状態を示す斜視図、(B)は内側へ回動してロックした状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る軌陸車用荷台装置の一実施形態について詳細に説明する。
図1および図2には、本発明の実施形態に係る軌陸車用荷台装置が示されている。このうち、図1は実施形態の軌陸車用荷台装置(以下、単に荷台装置と称する)に搬送する機材としてのホームドアを積載しスロープ板を展開する前の状態を、図2は軌陸車用荷台装置のスロープ板を展開した状態を示す。
【0021】
本実施形態の荷台装置10は、軌陸車の荷台に搭載可能に構成したもので、軌陸車の荷台よりも若干小さな矩形平板状をなすベースプレート11と、該ベースプレート11の4辺のうち一つの長辺を除く3辺に沿って立設された高さが1m程度の柵状の手摺り12A,12B,12C,12Dを備える。ベースプレート11は、鋼板などで構成され、軌陸車の荷台に着脱可能に固定するための複数の止着部を備えている。
上記止着部は、例えばボルトまたはボルトを挿通するボルト挿通穴で構成することができる。あるいは、止着部を、横ずれを防止するための位置決めピンとピン穴で構成しても良い。手摺り12A~12Dはパイプで構成されている。
【0022】
ベースプレート11の上面には、搬送する機材(本実施形態でホームドア)に応じた複数の機材固定部13が設けられている。搬送する機材はホームドアに限定されるものではない。例えば、搬送する機材として、搬送先の駅において、ホームドアを下ろす際にホームドアを載せて移動させるためのキャリーを含ませても良く、また、機材固定部13として、ホームドア用の機材固定部とキャリー用の機材固定部を1つのベースプレート11の上面に設けるようにしても良い。
また、図1に示すように、ベースプレート11の手摺り12A~12Dのない長辺には、一対のスロープ板14A,14Bがヒンジ(蝶番)Hによって下端部を中心にして回動可能に取り付けられている。
【0023】
本実施形態の荷台装置10においては、駅によって異なるホームの高さの違いに対応して、スロープ板14A,14Bの長さが約1mに設定され、これに応じてベースプレート11側に立設される手摺り12A~12Dの高さが、スロープ板14A,14Bの長さと同じになるように設定されている。これにより、スロープ板14A,14Bを回動させて図1のように起立させた際に、スロープ板14A,14Bの高さと手摺り12A~12Dの高さが同じになる。また、スロープ板14A,14Bの長さを、軌陸車の側部とホームとの隙間の大きさよりも充分に長い約1mに設定したことにより、先端がホームに接するように傾倒させた際に、図3に示すように、角度が10度程度の緩やかな傾斜を有するスロープを形成することができる。
【0024】
スロープ板14A,14Bのホーム設置時に裏面となる面には、図1に示すように、ホームを保護するため、ホームと平行な方向に長いゴムシート16が貼着されている。
また、図2に示すように、スロープ板14A,14Bの外側の縁部にはパイプで形成された柵状の手摺り15A,15Bが立設されているとともに、スロープ板14A,14Bの内側の側部中央とベースプレート11の縁部との間に、スロープ板14A,14Bを傾倒させる際の衝撃を減少させるための一対のダンパー17A,17Bが設けられている。
【0025】
上記手摺り15A,15Bは、荷台側の手摺り12A~12Dの高さとほぼ同じ高さであり、引用文献1の橋渡し装置の手摺りとは異なり内側へ折り畳むことができないように固定されている。このように構成することで、手摺りのぐらつきを防止して安全性を高めることができる。また、スロープ板14A,14Bを起立させると、手摺り15A,15Bが荷台側へ90度旋回して内側の垂直パイプがベースプレート11の上面に接した状態となって、スロープ板14A,14Bが内側へ倒れ込むのを防止することができる。
【0026】
なお、ポールを立てるための公知のポール台と同様に、パイプと係合可能な短いパイプ(ソケット)をスロープ板14A,14Bの縁部に所定の間隔をおいて一対それぞれ固着し、この短パイプからなるソケットに手摺り15A,15Bの下端を嵌合させ、外側からピンを差し込んで抜け止めをする構成としても良い。このように構成しても、内側へ折り畳むことができるようにヒンジ等で取り付けた手摺りとは異なり、手摺りのぐらつきを抑制することができる。
【0027】
さらに、図3に示すように、手摺り12Aと12Dの開放側の縦パイプの上部には、コの字状をなす支持用パイプ12a,12dが設けられ、この支持用パイプ12a,12dには連結金具19A,19Bによって、パイプで形成されたロの字状をなす脱落防止兼ストッパ用のロックフレーム20A,20Bが水平方向へ旋回可能に取り付けられている。そして、このロックフレーム20A,20Bは、手摺り12Aや12Dと同一平面をなす位置と、手摺り12Aや12Dの面と直角をなす位置とで固定可能に構成されている。
【0028】
これにより、ロックフレーム20A,20Bが手摺り12Aや12Dと同一平面をなす位置にある状態においては、スロープ板14A,14Bをホーム上へ傾倒させた際に手摺り12A,12Dの上部とスロープ板14A,14Bの手摺り15A,15Bの上部との間に生じる隙間を塞ぐ転落防止機能を果たし、ロックフレーム20A,20Bが上記と直角をなす位置にある状態では立設させたスロープ板14A,14Bの裏面(外側の面)に接することでスロープ板14A,14Bが外側へ傾倒するのを防止するストッパの機能を果たすことができる。
【0029】
さらに、スロープ板14A,14Bの外側の側部中央とベースプレート11の側縁との間には、図4に拡大して示すように、傾倒防止用ロッド18が設けられている。なお、図4においては、手摺り12Aの図示を省略している。また、ホームドアの代わりにキャリーを搭載した状態が示されている。
この傾倒防止用ロッド18は、ベースプレート11側の基端部がピン結合によって回動可能に取り付けられ、先端にはスロープ板14A,14B側部の係止部(例えばピン穴を有する金具)に係脱可能な係合部(例えばフックまたはピン)が設けられており、先端の係合部を係止部より外してから水平となるまで回動させることでベースプレート11の上面に載置させることができるように構成されている。
【0030】
図5には、本実施形態の荷台装置10のスロープ板14A,14Bを展開した状態の平面図が示されている。
図5に示すように、本実施形態の荷台装置10においては、ベースプレート11が4枚の矩形状プレートを並べて、短冊状をなす連結プレート31A~31Dによって端部同士を連結することによって構成されている。また、ベースプレート11の上面には、搬送対象のホームドアの下部の形状に対応した形状を有しホームドアを設置して移動不能にするための機材固定部13が適当な間隔をおいて複数個設けられている。
【0031】
図6図8には、支持用パイプ12a,12dとロックフレーム20A,20Bおよび連結金具19A,19Bの具体例が示されている。
図6(A)に示すように、支持用パイプ12a(12d)は、への字状をなす上パイプ21aと、L字状をなす下パイプ21bとからなり、下パイプ21bの垂直部の上端には小径部21cが形成されているとともに、垂直部の中間高さ位置には円柱の周面を直交する4つの面でカットしたほぼ四角柱状をなす係止部21dが形成されている。また、この四角柱状の係止部21dの下部および上記上パイプ21aの下端部には、ストッパとなるフランジ21e,21fがそれぞれ設けられている。
【0032】
連結金具19A(19B)は、台形ブロック状をなし上下方向に貫通する2つの孔19a,19bが形成され、一方の孔19bにロックフレーム20A(20B)の垂直部が挿通され中間高さ位置にて互いに移動不能に結合されている。また、他方の孔19aには、孔19aの内径よりも僅かに小さな外径を有し全長の短い補完パイプ22が挿入され、該補完パイプ22内に上記下パイプ21bの小径部21cが挿入され、この小径部21cが孔19aを貫通して上端部が連結金具19A(19B)の上方へ突出して上パイプ21aの下部に嵌合することで、図6(B)に示す状態となるように構成されている。
【0033】
図7(A)には、図6(B)の状態の連結金具19A(19B)をパイプの中心線を通る垂直面で断面した構造が示されている。また、図7(B)には図7(A)におけるB-B線に沿って断面した形状が、また図7(C)には図7(A)におけるC-C線に沿って断面した形状が示されている。
図7(B)と図7(C)とを比較すると分かるように、連結金具19A(19B)の孔19bは、上半分の断面形状が円形をなし下半分の断面形状が四角形をなしている。そして、上半分の円形部分の径は下半分の断面形状が四角形の一辺の長さよりも小さくされ、この円形部位に上記補完パイプ22の下半分が挿入されるように構成されている。
【0034】
上記のように、補完パイプ22を設けているのは、この補完パイプ22がないと、連結金具19A(19B)を上方へ移動させて孔19bの断面四角形の部位が支持用パイプ12a(12d)の四角柱状の係止部21dから抜けた際に、下パイプ21bの小径部21cとの間に隙間が生じてガタついてしまうとともに、次に連結金具19A(19B)を下方へ移動させる際に孔19bの断面四角形の部位が支持用パイプ12a(12d)の四角柱状の係止部21dに嵌合しにくくなるためである。
【0035】
支持用パイプ12a(12d)とロックフレーム20A(20B)および連結金具19A(19B)が上記のような構造を有していることにより、図6(B)に示す状態でロックフレーム20A(20B)の上部を把持して上方へ持ち上げると、連結金具19A(19B)が上方へ移動して、孔19bの断面四角形の部位が支持用パイプ12a(12d)の四角柱状の係止部21dから抜けて、図8(A)に示すように、ロックフレーム20A(20B)を水平方向へ回動させることができるようになっている。
【0036】
そして、ロックフレーム20A(20B)を水平方向へ反時計回りに90度回動させてから、ロックフレーム20A(20B)を下方へ下げると、連結金具19A(19B)の孔19bの断面四角形の部位が支持用パイプ12a(12d)の四角柱状の係止部21dに嵌合して、図8(B)に示すように、ロックフレーム20A(20B)が支持用パイプ12a(12d)と直交した状態になる。
しかも、孔19bの断面四角形の部位と支持用パイプ12a(12d)の四角柱状の係止部21dとが嵌合しているため、その状態でロックフレーム20A(20B)を水平方向へ回動させようとしても回動させることができないロック状態となる。また、図8(B)に示す状態で、ロックフレーム20A(20B)の上部を把持して上方へ持ち上げ、時計回り方向へ90度回動させてからロックフレーム20A(20B)を下げると図6(B)に示す状態でロックされるようになる。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、連結金具19A,19Bとして、上半分が円形で下半分が四角形の孔19bを有するとともに、ロックフレーム20A,20Bの下パイプ21bに四角柱状をなす係止部21dを有し、両者の嵌合で90度ずつ異なる位置でロック可能なロック機構を構成したものを示したが、連結金具19A,19Bとロックフレーム20A,20Bの対応する部位に円周方向に90度ピッチでピン穴を形成し、ピン穴同士を合わせた状態でピンを挿入することでロックする機構を設けるようにしても良い。
【0038】
また、前記実施形態においては、軌陸車の荷台に設置されるベースプレート11のホーム側を除く3辺の縁部にパイプ材からなる柵状の手摺り12A~12Dが設けられていると説明したが、手摺りの代わりにプレート状の柵を設けるようにしても良い。
さらに、前記実施形態においては、一例として軌陸車の荷台部分に設置されホームドアを駅ホームへ運搬する場合について説明したが、既にホームに設置されていたホームドアを撤去して搬出する場合にも利用することができることは言うまでもない。
また、前記実施形態においては、本発明を軌陸車の荷台部分に設置され機材を運搬する荷台装置に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、保守用車に搭載可能な荷台装置を構成する場合にも利用することが可能である。
【符号の説明】
【0039】
10 荷台装置
11 ベースプレート
12A~12D 荷台側の手摺り(荷台側柵体)
12a,12d 支持用パイプ
13 機材固定部
14A,14B スロープ板
15A,15B スロープ側の手摺り(スロープ側柵体)
16 ゴムシート
17A,17B ダンパー
18 傾倒防止用ロッド
19A,19B 連結金具
20A,20B ロックフレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8