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  • 特開-車両用盗難防止部材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054500
(43)【公開日】2023-04-14
(54)【発明の名称】車両用盗難防止部材
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/01 20130101AFI20230407BHJP
   B60R 13/08 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
B60R25/01
B60R13/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163386
(22)【出願日】2021-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】521431251
【氏名又は名称】株式会社リアライズ
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】吉田 泰啓
【テーマコード(参考)】
3D023
【Fターム(参考)】
3D023BD11
3D023BE03
3D023BE24
(57)【要約】
【課題】CAN通信線を外部からアクセスすることを防止することのできる車両用盗難防止部材を提供する。
【解決手段】車両用盗難防止部材1は、ヘッドライト部120に取り付けられるベース部10と、車両Cのフェンダー部110の内側空間Sに露出し、ヘッドライト部120に差し入れられるCAN通信線140のコネクタ部を、フェンダー部110の内側空間Sから遮蔽する、ベース部10の後端部から延設された遮蔽部20と、を具備する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室側に配設された制御部とCAN通信線を介して当該制御部により制御されるヘッドライト部とを備えた車両に取り付けられる車両用盗難防止部材であって、
前記ヘッドライト部に取り付けられるベース部と、
前記ベース部の端部から延設された板状の遮蔽部と、
を具備しており、
前記ベース部が前記ヘッドライト部に取り付けられた状態にあって、前記車両のフェンダー部の内側空間に露出した状態で前記ヘッドライト部に差し入れられたCAN通信線のコネクタ部が、前記遮蔽部によって前記フェンダー部の内側空間から遮蔽されてなる
ことを特徴とする車両用盗難防止部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CANシステムを搭載している車両の盗難を防止するために用いられる車両用盗難防止部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1に開示されているような、CANシステムが用いられた車両が多数存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6833143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年、CANシステムの脆弱性を悪用した車両の盗難事件が増加している。すなわち、CANシステムに用いられているCAN通信線を介して車両の制御を外部から乗っ取って車両を盗難する事件が問題となっている。このようなCAN通信線を用いた盗難は、特に車両のヘッドライト部に接続されたCAN通信線を介して行われることが多い。
【0005】
本発明は、CAN通信線を外部からアクセスすることを防止することのできる車両用盗難防止部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車室側に配設された制御部とCAN通信線を介して当該制御部により制御されるヘッドライト部とを備えた車両に取り付けられる車両用盗難防止部材であって、前記ヘッドライト部に取り付けられるベース部と、前記ベース部の端部から延設された板状の遮蔽部と、を具備しており、前記ベース部が前記ヘッドライト部に取り付けられた状態にあって、前記車両のフェンダー部の内側空間に露出した状態で前記ヘッドライト部に差し入れられたCAN通信線のコネクタ部(カプラ部)が、前記遮蔽部によって前記フェンダー部の内側空間から遮蔽されてなることを特徴とする車両用盗難防止部材である。
【0007】
かかる構成にあっては、CAN通信線のうち、外部からアクセスしやすいヘッドライト部と接続されているCAN通信線のコネクタ部を外部から遮蔽することで車両の盗難を好適に防止することができる。かかる車両用盗難防止部材は、販売後の車両に対しても後から取り付けることもでき、盗難防止効果が極めて高い。
【発明の効果】
【0008】
本発明の車両用盗難防止部材は、盗難防止効果が極めて高いという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】車両用盗難防止部材が装着された車両のフェンダー部周辺の説明図である。
図2】車両用盗難防止部材の斜視図である。
図3】他の形態を示す車両用盗難防止部材の斜視図である。
図4】ヘッドライト部の後端部が露出するフェンダー部を示す説明図である。
図5】ヘッドライト部に差し入れられたコネクタ部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態を、以下の実施例に従って説明する。なお、以下に示す実施例においては、前後方向、左右方向、及び上下方向を車両用盗難防止部材の取り付けられた車両の前後方向、左右方向、及び上下方向を基準として記載している。当然ながら本発明は下記実施例にのみ限定されるものではない。
【0011】
図1は、車両Cの左前車輪100が収容されるフェンダー部110の周辺を示すものである。この図1に示すように、車両用盗難防止部材1は、車両Cの左前車輪100が収容されるフェンダー部110の内側空間Sに露出したヘッドライト部120に取り付けられる。
【0012】
さらに詳述すると、図4に示すように、ヘッドライト部120の後端部には、車両Cの電気系統を制御する制御部130に接続されたCAN通信線140のコネクタ部141が取り付けられている。そして、車両用盗難防止部材1は、ヘッドライト部120の下端部に取り付けられ、これにより当該コネクタ部141が、フェンダー部110の内側空間Sから遮蔽されることとなり、当該車両Cの外部から視認困難となるとともに、手が届きにくくなる。
【0013】
ところで、図4図5に示すように、少なくともヘッドライト部120に差し入れられるコネクタ部141は、その機能や防犯性の観点から、汎用品よりも大型で複雑構造のコネクタ部141が採用されている。したがって、図1に示すように、ヘッドライト部120に差し入れられた取り付け状態で当該コネクタ部141の下端は、ヘッドライト部120の下面よりも下側に張り出した配置となっている。なお、コネクタ部141は、公知品であるため、詳細構造の説明は省略する。
【0014】
次に、車両用盗難防止部材1の具体的な構造について説明する。
【0015】
車両用盗難防止部材1は、図2に示すように、平板状のベース部10と、ベース部10の端部(後端部)から延設された箱形状の遮蔽部20と、を備えている。
【0016】
ベース部10には、厚み方向に貫通された貫通孔11が複数(3個)設けられており、固定部としての貫通孔11には取付ネジ15が挿通されてヘッドライト部120の下面部に取り付けられることとなる。
【0017】
一方、遮蔽部20は、平板形状を有する底部21と、底部21の左右両端部から立ち上がる平板形状の左側部22及び右側部23と、底部21の後端部から立ち上がる平板形状の後部24と、を備えている。なお、ベース部10と底部21とは段差部27を境として連続しており、ベース部10を基準として底部21が低段部とされている。
【0018】
また、後部24には、CAN通信線140が挿通される切欠き部25が部分的に設けられている。
【0019】
次に、車両用盗難防止部材1の取り付け態様について説明する。
【0020】
図1に示すように、上述の車両用盗難防止部材1は、ヘッドライト部120の下端部に取付ネジ15を用いて取り付けられる。これにより、コネクタ部141に対して、左側方に左側部22が対向配置されることとなり、車両Cの外部空間とコネクタ部141との間に左側部22がいわば邪魔板として設けられることとなる。また、コネクタ部141に対して、後方に後部24が対向配置されることとなり、車室側の空間とコネクタ部141との間に後部24が邪魔板として設けられることとなる。
【0021】
なお、車両用盗難防止部材1を取り付けた状態では、上述のようにコネクタ部141がヘッドライト部120の下面よりも下側に張り出しているが、段差部27が形成されていることで、コネクタ部141の下端と底部21とが干渉してしまうことが回避されている。
【0022】
なお、車両用盗難防止部材1は、左右兼用構造となっており、車両Cの右前車輪(図示省略)が収容されるフェンダー部において同様に使用が可能である。
【0023】
これまでに述べた構成により、外部からCAN通信線に接触することが極めて困難となり、当該CAN通信線を用いた盗難を好適に防止することができる。
【0024】
上記実施例において、各部の寸法形状は適宜自由に選択可能である。
【0025】
また、遮蔽部20は箱形状以外の形状であっても構わない。
【0026】
また、車両用盗難防止部材1は、左側前車輪専用の部材と、右側前車輪専用の部材とで構成されてもよい。なお、例えば、左側前車輪専用の部材にあっては、右側部23は省略されてもよく、右側前車輪専用の部材にあっては、同様に、左側部22が省略されてもよい。
【0027】
また、遮蔽部20は破壊等の不正行為が行われない程度の強度を有していれば、例えば人の指が挿通不能な穴や切欠部を有する網等によって構成されていても構わない。
【0028】
また、図3に示すように、車両構造によっては、段差部27が形成されておらず、底部21とベース部10とが面一となっている車両用盗難防止部材40としてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1,40 車両用盗難防止部材
10 ベース部
11 貫通孔
15 取付ネジ
20 遮蔽部
21 底部
22 左側部
23 右側部
24 後部
25 切欠き部
27 段差部
100 左前車輪
110 フェンダー部
120 ヘッドライト部
130 制御部
140 CAN通信線
141 コネクタ部
C 車両
S 内部空間
図1
図2
図3
図4
図5