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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054529
(43)【公開日】2023-04-14
(54)【発明の名称】ネックカバー
(51)【国際特許分類】
   A42C 5/04 20060101AFI20230407BHJP
   A42B 3/28 20060101ALI20230407BHJP
   A42B 1/008 20210101ALI20230407BHJP
【FI】
A42C5/04 Z
A42B3/28
A42B1/008 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163441
(22)【出願日】2021-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】503310637
【氏名又は名称】株式会社ジュトク
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】上村 哲司
(72)【発明者】
【氏名】長浜 成幸
(72)【発明者】
【氏名】上村 武司
(72)【発明者】
【氏名】杉山 陽一
(72)【発明者】
【氏名】川上 高志
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107BA07
3B107DA21
3B107EA01
(57)【要約】
【課題】着用者の違和感と風の抜けとを低減できるネックカバーを提供する。
【解決手段】ネックカバーは、着用者の首の少なくとも一部を覆うものであって、第1の開口に入った風が第2の開口から出る通風路を備え、通風路は、第1部と、第1部と着用者との間に配置される第2部と、を含む。第1部と第2部との間に風が通る筒状の空間が設けられ、衣服と一緒に着用したときに、第1の開口は衣服の内側に位置し、第2の開口は衣服の外に位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の首の少なくとも一部を覆うネックカバーであって、
第1の開口に入った風が第2の開口から出る通風路を備え、
前記通風路は、第1部と、前記第1部と前記着用者との間に配置される第2部と、を含み、前記第1部と前記第2部との間に前記風が通る筒状の空間が設けられ、
衣服と一緒に着用したときに、前記第1の開口は前記衣服の内側に位置し、前記第2の開口は前記衣服の外に位置するネックカバー。
【請求項2】
前記第1部および前記第2部の少なくとも一方を補強する補強部をさらに備え、
前記第1の開口は、前記第1部と前記第2部とを含み、
前記補強部は、前記第1の開口を含む位置に設けられた補強部を含む請求項1記載のネックカバー。
【請求項3】
前記補強部は、前記第1部に配置された第1の補強部を含み、
前記通風路が延伸する方向に垂直な断面において、前記第1の補強部を示す線は、外に凸の曲線を含む請求項2記載のネックカバー。
【請求項4】
前記補強部は、前記通風路が延伸する方向に並んで前記第1部に複数配置された第1の補強部を含み、
前記第1の補強部のうち互いに隣り合う補強部は、前記補強部の厚さ方向に互いに重なる重なり部を含み、
前記補強部は、前記重なり部を含む部分において前記第1部に非接合である請求項2又は3に記載のネックカバー。
【請求項5】
さらに被り物と一緒に着用したときに、前記第2の開口は前記被り物の内側を向く請求項1から4のいずれかに記載のネックカバー。
【請求項6】
前記第2の開口の面積は、前記第1の開口の面積よりも大きい請求項5記載のネックカバー。
【請求項7】
前記第1の開口における前記第2部の幅は、前記第2の開口における前記第2部の幅よりも狭い請求項5又は6に記載のネックカバー。
【請求項8】
前記衣服に対する前記第1の開口および前記第2の開口の少なくとも一方の高さを調整する調整具をさらに備えている請求項5から7のいずれかに記載のネックカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は首を覆うネックカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
着用した衣服の内側に送風機の風を通し、汗を蒸発させて気化熱を奪う技術(例えば空調服)は知られている。特許文献1には空調服の後襟に案内シートを連ねた先行技術が開示されている。先行技術は、案内シートを後頭部に沿ってヘルメットに取り付け、送風機を作動して、後襟と首との間から出てくる風を案内シートと後頭部との間を経てヘルメットの内側へ導き、頭の蒸れを低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2016/016996号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術では、後襟と首との間から出てくる風の一部は、頭の側面と案内シートとの間から抜け、その残りがヘルメットの内側に達する。案内シートを頭の側面に密着させるとヘルメットに達する前に抜けてしまう風量は少なくなるが、案内シートが頭に密着するので着用者が違和感を覚えるという問題点がある。
【0005】
本発明はこの問題点を解決するためになされたものであり、着用者の違和感と風の抜けとを低減できるネックカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明は、着用者の首の少なくとも一部を覆うネックカバーであって、第1の開口に入った風が第2の開口から出る通風路を備え、通風路は、第1部と、第1部と着用者との間に配置される第2部と、を含む。第1部と第2部との間に風が通る筒状の空間が設けられ、衣服と一緒に着用したときに、第1の開口は衣服の内側に位置し、第2の開口は衣服の外に位置する。
【発明の効果】
【0007】
第1の態様によれば、第1の開口に入った風が第2の開口から出る通風路は、第1部と、第1部と着用者との間に配置される第2部と、を含む。衣服と一緒にネックカバーを着用したときに、第1の開口は衣服の内側に位置し、第2の開口は衣服の外に位置する。通風路の第1部と第2部との間に風が通る筒状の空間が設けられるので、着用者が違和感を覚えるように着用者に通風路を密着させなくても、第1の開口と第2の開口との間の風の抜けを低減できる。よって着用者の違和感と風の抜けとを低減できる。
【0008】
第2の態様によれば、第1の態様において、第1部および第2部の少なくとも一方を補強する補強部をさらに備える。第1の開口は第1部と第2部とを含み、補強部は、第1の開口を含む位置に設けられた補強部を含む。よって第1の開口に風が入り易くなる。
【0009】
第3の態様によれば、第2の態様において、補強部は第1部に配置された第1の補強部を含む。通風路が延伸する方向に垂直な断面において、第1の補強部を示す線は、外に凸の曲線を含む。これにより通風路の断面積を確保できる。
【0010】
第4の態様によれば、第2又は第3の態様において、補強部は、通風路が延伸する方向に並んで第1部に複数配置された第1の補強部を含む。第1の補強部のうち互いに隣り合う補強部は、補強部の厚さ方向に互いに重なる重なり部を含む。これにより第2部が曲げの内側のときは、重なり部で第1の補強部が互いに障害になるので、通風路が曲がり難くなる。第1の補強部は、重なり部を含む部分において第1部に非接合なので、第1部が曲げの内側のときは、重なり部において補強部から第1部が離れてたるみ、通風路が曲がり易くなる。
【0011】
第5の態様によれば、第1から第4の態様のいずれかにおいて、被り物と一緒にネックカバーを着用したときに、第2の開口は被り物の内側を向く。被り物の内側に向かって風が出るので蒸れを低減できる。
【0012】
第6の態様によれば、第5の態様において、第2の開口の面積は第1の開口の面積よりも大きい。第2の開口から出る風を広げつつ、第2の開口から出る風の流速を第1の開口に入る風の流速より遅くできる。よって被り物の内側の広い範囲の蒸れを低減できる。
【0013】
第7の態様によれば、第5又は第6の態様において、第1の開口における第2部の幅は第2の開口における第2部の幅よりも狭い。着用者の首は頭より細いので、第1の開口における第2部の幅を第2の開口における第2部の幅よりも狭くすることで、着用者の首の回りの違和感をさらに低減できる。
【0014】
第8の態様によれば、第5から第7の態様のいずれかにおいて、調整具によって衣服に対する第1の開口および第2の開口の少なくとも一方の高さが調整される。着用者の首の長さに応じて、第1の開口や第2の開口を好みの位置にできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態におけるネックカバーの斜視図である。
図2】(a)は第1部の一部を破断した通風路の背面図であり、(b)は第2部の一部を破断した通風路の正面図である。
図3】衣服および被り物と一緒にネックカバーを着用者が装着した状態を示す図である。
図4】(a)は図2(a)のIVa-IVa線における通風路の断面図であり、(b)は第1部を曲げの内側にしたときの通風路の断面図である。
図5】(a)は図3のVa-Va線におけるネックカバーの断面図であり、(b)は図3のVb-Vb線におけるネックカバーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は一実施の形態におけるネックカバー10の斜視図である。ネックカバー10は通風路11を備えている。本実施形態ではネックカバー10は、通風路11に配置される遮熱部50を備えている。図1は通風路11から遮熱部50を取り外した状態が図示されている。図1では紙面下側をネックカバー10の下側、紙面上側をネックカバー10の上側という(図2(a)、図2(b)、図3図4(a)、図4(b)においても同じ)。
【0017】
通風路11は、第1部12と第2部13とを含む。通風路11は、第1部12及び第2部13の幅方向の両側の縁がそれぞれ接続され、第1部12と第2部13との間に筒状の空間14が設けられている。通風路11の第1の開口15及び第2の開口16は空間14につながっている。第1の開口15から入った風は空間14を通って第2の開口16から出る。
【0018】
第2部13は、ネックカバー10を着用したときに、外面が着用者61(図3参照)を向く部分である。第1部12は、第2部13の反対側に位置する部分である。ネックカバー10を着用したときに、第2部13は、着用者61と第1部12との間に位置する。第1部12及び第2部13は、通気性が低い又は通気性が無いシート状の素材で作られている。本実施形態では、第1の開口15は、第1部12及び第2部13の長さ方向の一方の端に設けられており第1部12及び第2部13を含み、第2の開口16は、第1部12及び第2部13の長さ方向の一方の端に設けられており第1部12及び第2部13を含む。
【0019】
網目織などの通気性が高い素材で第2部13の全体を作ったり、第2部13の一部に網の目を設けたりすることは当然可能である。通気性が低い又は通気性が無いシート状の素材で作られた第2部13に穴(開口)をあけても良い。これらの場合は第2部13に第2の開口が設けられるので、第2の開口から出る風を着用者61に当てることができる。同様に第1部12や第2部13に穴をあけて、その穴を第1の開口にしても良い。
【0020】
第2の開口16の近くの第2部13の幅方向の両側には、通風路11が延伸する方向に延びるレール17がそれぞれ設けられている。レール17には、レール17の長手方向に並ぶ複数の凹凸が設けられている。レール17は例えば合成樹脂製である。
【0021】
遮熱部50は、首62(図3参照)の周りに配置される部材である。遮熱部50は、背面部51と、背面部51の左右の側縁にそれぞれ接続された右側面部54及び左側面部56と、を備えている。背面部51、右側面部54及び左側面部56は例えば合成樹脂製や天然繊維製のシート状の素材で作られている。遮熱性を高めるために蒸着などによって作られた金属層を設けても良い。
【0022】
遮熱部50を着用したときに、背面部51は着用者61(図3参照)の頭63や首62の後ろに位置し、右側面部54及び左側面部56はそれぞれ頭63や首62の左右に位置する。右側面部54及び左側面部56の上縁を含む部分には、それぞれ網目55,57が設けられている。ネックカバー10を装着したときに網目55,57は着用者61の耳の辺りに位置するので、音の聞き取り易さを確保できる。遮熱部50の全体を網目にすることは当然可能である。
【0023】
背面部51の上縁近くには、背面部51の幅方向の両側にそれぞれスライダー52が設けられている。スライダー52は通風路11に設けられたレール17に取り付けられる。スライダー52がレール17に取り付けられると、通風路11に遮熱部50が配置され、通風路11の第2部13と背面部51との間に第1部12が位置する。
【0024】
スライダー52には歯が設けられている。スライダー52の歯は、スライダー52をロックしたときにレール17の凹凸にかみあう。レール17に取り付けられたスライダー52のロックを解除してレール17に沿ってスライダー52を移動すると、通風路11の全体が、通風路11が延伸する方向に移動する。スライダー52をロックすると、レール17の凹凸にスライダー52の歯がかみあい、ロックした位置でスライダー52がレール17に固定される。レール17及びスライダー52は、第1の開口15及び第2の開口16の高さを調整する調整具53を構成する。調整具53を外すと通風路11と遮熱部50とを別々にできるので、通風路11と遮熱部50を別々に洗濯できる。
【0025】
遮熱部50には、遮熱部50を介して着用者61(図3参照)に通風路11を固定する取付部58が設けられている。取付部58は、本実施形態では背面部51、右側面部54及び左側面部56の上縁に配置されたバンドである。取付部58の両端には留め具59が設けられている。留め具59は本実施形態では面ファスナーだが、差し込み式や鉤状の留め具でも良い。留め具59が留められた取付部58は環状であり、長さ方向に伸縮する。留め具59に大きな引張力が加わると、留め具59は外れるように作られている。取付部58の内面には、背面部51の位置に滑り止め60が設けられている。
【0026】
図2(a)は第1部12の一部を破断した通風路11の背面図である。第1部12は、通風路11の背面側から見て、幅が下から上に向かって次第に広がっている。第1部12の空間14に接する面には、第1部12を補強する第1の補強部18,21,24,27が設けられている。
【0027】
補強部18,21,24,27は、下から順に通風路11の延伸方向に並んで配置されている。補強部18,21,24,27は、例えば第1部12よりも硬い合成樹脂製、紙製、金属製の板材が挙げられる。板材は幅方向の中央が背面側に隆起した曲面をもつ。板材は、例えば糸や金具による縫合や接着、溶着によって第1部12に取り付けられる。本実施形態では補強部18,21,24,27は縫合によって第1部12に取り付けられている。補強部18,21,24,27は、それぞれ第1部12の幅方向の全長に亘って設けられている。
【0028】
補強部18は、第1の開口15(図1参照)の形を保つものであり、開口15に沿って設けられている。補強部18の上縁19は、通風路11が延伸する方向にほぼ垂直な平面上に位置する曲線である。補強部18の下縁20は下に凸の曲線であり、開口15とほぼ同じ曲線上に位置する。補強部18は、補強部18の外縁の全体が縫合によって第1部12に取り付けられている。
【0029】
補強部21の上縁22は、通風路11が延伸する方向にほぼ垂直な平面上に位置する曲線である。補強部21の下縁23のうち幅方向の中央の部分は下に凸の曲線である。補強部21は、補強部21の外縁のうち下縁23以外が縫合によって第1部12に取り付けられている。補強部21の下縁23のうち幅方向の中央の部分は、通風路11の背面側から見て、補強部18の上縁19の正面側に重なっている。
【0030】
補強部24の上縁25は、通風路11が延伸する方向にほぼ垂直な平面上に位置する曲線である。補強部24の下縁26のうち幅方向の中央の部分は下に凸の曲線である。補強部24は、補強部24の外縁のうち下縁26以外が縫合によって第1部12に取り付けられている。補強部24の下縁26のうち幅方向の中央の部分は、通風路11の背面側から見て、補強部21の上縁22の正面側に重なっている。
【0031】
補強部27は、第2の開口16の形を保つものであり、開口16に沿って設けられている。補強部27の上縁28は上に凸の曲線であり、開口16とほぼ同じ曲線上に位置する。補強部27の下縁29のうち幅方向の中央の部分は下に凸の曲線である。補強部27は、補強部27の外縁のうち下縁29以外が縫合によって第1部12に取り付けられている。補強部27の下縁29のうち幅方向の中央の部分は、通風路11の背面側から見て、補強部24の上縁25の正面側に重なっている。レール17は、第1部12のうち補強部27が設けられた部分と補強部24が設けられた部分とに跨っている。
【0032】
第1部12の幅方向の中央に重なり部30,31,32が設けられている。重なり部30,31,32は通風路11の延伸方向に並んでいる。重なり部30では、通風路11の背面側から見て、補強部18と補強部21とが補強部18,21の厚さ方向に重なっている。重なり部30以外では、補強部18の上縁19と補強部21の下縁23との間が通風路11の延伸方向に離れている。重なり部31では、通風路11の背面側から見て、補強部21と補強部24とが補強部21,24の厚さ方向に重なっている。重なり部31以外では、補強部21の上縁22と補強部24の下縁26との間が通風路11の延伸方向に離れている。重なり部32では、通風路11の背面側から見て、補強部24と補強部27とが補強部24,27の厚さ方向に重なっている。重なり部32以外では、補強部24の上縁25と補強部27の下縁29との間が通風路11の延伸方向に離れている。
【0033】
図2(b)は第2部13の一部を破断した通風路11の正面図である。第2部13は、通風路11の正面側から見て、幅が下から上に向かって次第に広がっている。従って第1の開口15(図1参照)における第2部13の幅は、第2の開口16(図1参照)における第2部13の幅よりも狭い。第2部13の空間14に接する面には、第2部13を補強する補強部33,36,39,42が設けられている。
【0034】
補強部33,36,39,42は、下から順に通風路11の延伸方向に並んで配置されている。補強部33,36,39,42は、例えば第2部13よりも硬い合成樹脂製、紙製、金属製の板材や、第2部13に接着して第2部13上で硬化した接着剤(合成樹脂)が挙げられる。板材は、例えば糸や金具による縫合や接着、溶着によって第2部13に取り付けられる。本実施形態では補強部33,36,39,42は、それぞれ板材の外縁の全体が縫合によって第2部13に取り付けられている。補強部33,36,39,42は、幅方向の中央が背面側に隆起した曲面をもち、それぞれ第2部13の幅方向の全長に亘って設けられている。
【0035】
補強部33は、第1の開口15の形を保つものであり、開口15に沿って設けられている。補強部33の上縁34は、通風路11が延伸する方向にほぼ垂直な平面上に位置する曲線である。補強部33の下縁35は下に凸の曲線であり、開口15とほぼ同じ曲線上に位置する。
【0036】
補強部36の上縁37及び下縁38、補強部39の上縁40及び下縁41は、それぞれ通風路11が延伸する方向にほぼ垂直な平面上に位置する曲線である。補強部36の下縁38は、全長に亘って補強部33の上縁34と離れている。補強部39の下縁41は、全長に亘って補強部36の上縁37と離れている。
【0037】
補強部42は、第2の開口16の形を維持する部分であり、開口16に沿って設けられている。補強部42の上縁43及び下縁44は、通風路11が延伸する方向にほぼ垂直な平面上に位置する曲線である。補強部42の上縁43は、開口16とほぼ同じ曲線上に位置する。補強部42の下縁44は、全長に亘って補強部39の上縁40と離れている。
【0038】
図3は衣服64及び被り物66と一緒にネックカバー10を着用者61が装着した状態を示す図である。図3では遮熱部50の網目55,57の図示は省略されている。
【0039】
衣服64は通気性が低い又は通気性がないシート状の素材で作られており、着用者61の上半身を覆っている。着用者61又は衣服64には送風機(図示せず)が取り付けられている。送風機は衣服64と着用者61との間に風を送る。風は衣服64と着用者61との間を通り、衣服64の首回り65と着用者61との間から衣服64の外に出る。衣服64と着用者61との間を風が通ると着用者61の汗が蒸発し、気化熱が奪われ着用者61の表面の温度が低下する。
【0040】
着用者61が装着する被り物66(本実施形態ではヘルメット)には内装(図示せず)が取り付けられている。内装によって被り物66と頭63との間に隙間ができる。着用者61が、ネックカバー10の環状の取付部58の中に被り物66をはめて、被り物66にネックカバー10を取り付けると、ネックカバー10の遮熱部50は、着用者61の頭63、首62及び衣服64の首回り65に被さる。遮熱部50は首62や頭63の日焼けを防ぐ。取付部58の内面に滑り止め60(図1参照)が設けられているので、被り物66から取付部58が外れ難くなる。
【0041】
通風路11は、取付部58、遮熱部50及び調整具53を介して被り物66に吊り下げられる。着用者61は、衣服64の首回り65の内側にネックカバー10の通風路11の第1の開口15が位置し、頭63の適当な高さに第2の開口16が位置するように、調整具53(図1参照)によって遮熱部50に対する通風路11の高さを調整する。第2の開口16は、被り物66の内側を向く。第2の開口16は、被り物66の中に位置しても良いし、被り物66の下に位置しても良い。調整具53があるので、着用者61の好みや首62の長さに応じて、第1の開口15や第2の開口16を着用者61の好きな位置にできる。
【0042】
送風機(図示せず)を作動して衣服64と着用者61との間に風を送ると、首回り65と着用者61との間から衣服64の外に向かって流れる風の一部は、第1の開口15から通風路11の中に入り第2の開口16から出る。これにより被り物66の内側の蒸れを低減できる。着用者61に通風路11を密着させる等の、着用者61が違和感を覚える操作は不要なので、着用者61の違和感を低減できる。なお、首回り65から外に出た風のうち通風路11の中に入らなかった風は、遮熱部50が被さる首62や頭63の汗を蒸発し首62や頭63の温度を下げる。
【0043】
補強部18,21,24,27,33,36,39,42は弾性変形するので、首62と首回り65との間の隙間が小さくなるように首回り65をきつく締めたときに、首62や首回り65に倣うように通風路11の形が変形する。これにより首62と首回り65との間に通風路11が入ることによってできる隙間を小さくできるので、通風路11の中に入らずに首回り65から外に出てしまう風を少なくできる。
【0044】
着用者61の首62は頭63より細いので、衣服64の首回り65の長さは、被り物66の内周の長さよりも短い。衣服64の首回り65の内側に位置する第1の開口15における通風路11の第2部13の幅は、被り物66の内側を向く第2の開口16における第2部13の幅よりも狭いので、着用者61の首回り65付近の違和感をさらに低減できる。
【0045】
図4(a)は図2(a)のIVa-IVa線における通風路11の断面図である。補強部18の幅方向の両端は、補強部33の幅方向の両端につながっている。補強部21の幅方向の両端は、補強部36の幅方向の両端につながっている。補強部24の幅方向の両端は、補強部39の幅方向の両端につながっている。補強部27の幅方向の両端は補強部42の幅方向の両端につながっている。補強部18,21,24,27,33,36,39,42によって剛性が高い部分が通風路11の延伸方向に断続的に現れるので、通風路11の第1部12と第2部13との間に、第1の開口15から第2の開口16までつながった空間14を確保できる。
【0046】
第1部12の第1の開口15を含む位置に第1の補強部18が設けられており、第2部13の第1の開口15を含む位置に第2の補強部33が設けられている。第1の開口15の形を保つことができるので、第1の開口15に風が入り易くなる。
【0047】
第1部12の第2の開口16を含む位置に第1の補強部27が設けられており、第2部13の第2の開口16を含む位置に第2の補強部42が設けられている。第2の開口16の形を保つことができるので、第2の開口16から風が出易くなる。
【0048】
重なり部30において補強部21の下縁23は補強部18と第2部13との間に位置する。重なり部31において補強部24の下縁26は補強部21と第2部13との間に位置する。重なり部32において補強部27の下縁29は補強部24と第2部13との間に位置する。第1部12に設けられた重なり部30,31,32は通風路11の延伸方向に並ぶので、第2部13が曲げの内側のときは、重なり部30,31,32で補強部18,21,24,27が互いに障害になる。よって通風路11が形を保ち易くなる。着用者61がうつむくとき等、第2部13を曲げの内側にして通風路11が曲がるときは、第1部12のうち重なり部30,31,32の幅方向の両側の部分がたるみ、第2部13のうち補強部33,36,39,42の無い部分が変形する。
【0049】
通風路11の延伸方向に並ぶ重なり部30,31,32は第1部12の幅方向の中央に位置し、重なり部30,31,32以外では補強部18,21,24,27は互いに離隔している。さらに通風路11の延伸方向に並ぶ補強部33,36,39,42は互いに離隔しているので、着用者61が首62を左右に傾けるとき等、通風路11が左右に曲がるときは、第1部12のうち重なり部30,31,32の幅方向の両側の部分が変形し、第2部13のうち補強部33,36,39,42の無い部分が変形する。
【0050】
図4(b)は第1部12を曲げの内側にしたときの通風路11の断面図である。補強部21の下縁23の重なり部30を含む部分、補強部24の下縁26の重なり部31を含む部分、及び、補強部27の下縁29の重なり部32を含む部分は、第1部12に取り付けられておらず非接合である。よって第1部12が曲げの内側になるときは、重なり部30,31,32において第1部12が補強部21,24,27から離れてたるみ、第2部13のうち補強部33,36,39,42の無い部分が変形する。これにより着用者61の後頭部から首62かけてのカーブに沿って通風路11を曲げることができる。着用者61が上を向くときは、小さな力で通風路11はさらに曲がるので、着用者61の違和感を低減できる。
【0051】
図5(a)は図3のVa-Va線におけるネックカバー10の断面図である。遮熱部50と頭63との間に通風路11が位置する。通風路11の断面の形は、第1部12に設けられた補強部27を弧とし、第2部13に設けられた補強部42を弦とする弓形である。補強部27を示す線は、空間14の外に凸の曲線を含む。よって空間14の断面積を確保しつつ補強部27の剛性を高くできる。第2部13に設けられた補強部42を示す線は、空間14の内に凸の曲線を含む。補強部42を示す線の曲率は、補強部27を示す線の曲率よりも小さいので、第2部13が頭63に当たったときの力が分散され、違和感を低減できる。
【0052】
図5(b)は図3のVb-Vb線におけるネックカバー10の断面図である。首回り65と首62との間に通風路11が位置する。通風路11と遮熱部50との間に首回り65が位置する。第1部12に設けられた補強部18を示す線は、空間14の外に凸の曲線を含む。よって空間14の断面積を確保しつつ補強部18の剛性を高くできる。第2部13に設けられた補強部33を示す線は、空間14の内に凸の曲線を含む。補強部33を示す線の曲率は、補強部18を示す線の曲率よりも小さいので、第2部13が首62に当たったときの力が分散され、違和感を低減できる。
【0053】
図5(a)における空間14の面積は、図5(b)における空間14の面積よりも大きい。すなわち第2の開口16(図3参照)の面積は第1の開口15の面積よりも大きい。これにより第2の開口16から出る風を被り物66の内側に広げつつ、第2の開口16から出る風の流速を第1の開口15に入る風の流速より遅くできる。よって被り物66の内側の広い範囲の蒸れを低減できる。
【0054】
取付部58に設けられた留め具59に大きな引張力が加わると留め具59は外れるように作られているので、万一、ネックカバー10が機械に巻き込まれたときは、留め具59が外れてネックカバー10は着用者61から外れる。着用者61は機械に巻き込まれないようにできるので、着用者61の安全を確保できる。
【0055】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば通風路11や遮熱部50の形状、補強部18,21,24,27,33,36,39,42の形や数などは適宜設定できる。
【0056】
実施形態では、通風路11の断面が弓形の場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。通風路11の断面の形は任意に設定できる。通風路11の断面の形は、円形、半円形、楕円形、矩形、三角形、台形が例示される。
【0057】
実施形態では、通風路11の第1部12と第2部13の両方に補強部が配置されている場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第1部12と第2部13の片方に補強部を設けることは当然可能である。例えば第2部13に配置された補強部33,36,39,42を省略しても、第1部12に配置された補強部18,21,24,27によって空間14を確保できる。また、第2部13に補強部18,21,24,27を配置し、第1部12の補強部を省略することは当然可能である。
【0058】
実施形態では、軟らかい筒状の素材に硬い板状の補強部が配置された筒状の通風路11を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。硬い環状の補強部と軟らかい環状の素材とを交互につないで筒状の通風路を作ることは当然可能である。筒状の通風路のうち外面が着用者を向く部分が第2部であり、第2部の反対側に位置する部分が第1部である。
【0059】
実施形態では、遮熱部50に通風路11を取り付け、遮熱部50の取付部58を被り物66に取り付ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。遮熱部50を省略して、通風路11の第1の開口15が衣服64の内側に位置するように、通風路11を被り物66に取り付けることは当然可能である。遮熱部50が無くても通風路11は首62の一部を覆う。同様に遮熱部50を省略して、通風路11の第2の開口16が被り物66の内側に位置するように、通風路11を衣服64に取り付けることは当然可能である。これらの場合に遮熱部50を首62に巻いて通風路11を覆っても良い。
【0060】
フードが付いた衣服、首62に沿って立たせることができる襟が付いた衣服、タートルネックのように筒状に延びた襟がついた衣服では、遮熱部50を省略して、フードや襟に通気路11を配置することができる。
【0061】
実施形態では被り物66を装着した着用者61がネックカバー10を装着する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。被り物66を装着していない着用者61がネックカバー10を装着することは当然可能である。この場合も衣服64の内側の風を利用して、衣服64の外の着用者61の汗を蒸発できるからである。
【0062】
実施形態では、背面部51、右側面部54及び左側面部56を含む遮熱部50をネックカバー10が備える場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。右側面部54及び左側面部56を省略することは当然可能である。
【0063】
実施形態では、首62の背面、右側面および左側面を覆い、首62の正面は開放する遮熱部50について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。首62の正面を覆う部分を遮熱部50にさらに設け、首62の全周を覆う(首62に巻く)遮熱部にすることは当然可能である。この場合に、首62に巻いた遮熱部に通風路11を取り付けることは当然可能である。これにより実施形態において説明した、被り物66に遮熱部50を取り付ける取付部58を不要にできる。
【0064】
実施形態では、遮熱部50に設けた環状の取付部58の中に被り物66をはめて、被り物66に通風路11を取り付ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。遮熱部50にバンド(取付部)を設け、被り物66の内装(図示せず)にバンドを掛けて被り物66に通風路11を取り付けることは当然可能である。大きな力が加わると外れる留め具をバンドに設けることは当然可能である。
【0065】
実施形態では、ヘルメットを例示して被り物66を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。被り物66は帽子でも構わない。ヘルメットと同様に帽子(被り物)に内装を設け、帽子と頭63との間に隙間を設けることは当然可能である。
【0066】
実施形態では、遮熱部50に設けたスライダー52と、通風路11に設けたレール17と、を含む調整具53について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。これと反対に、通風路11にスライダー52を設け、遮熱部50にレール17を設けることは当然可能である。また、複数の筒を組み合わせてテレスコピック式の通風路を作り、筒の一つを遮熱部50に固定し、別の筒を引き出したり収納したりして通風路の全長を変えることができるようにしても良い。引き出したり収納したりできる別の筒は、第1の開口および第2の開口の少なくとも一方の位置を調整する調整具を構成する。遮熱部に固定された筒の一端から別の筒を引き出せる場合は、第1の開口または第2の開口の位置を調整できる。遮熱部に固定された筒の両端から別の筒を引き出せる場合は、第1の開口および第2の開口の位置を調整できる。
【0067】
実施形態では、補強部21,24,27の下縁23,26,29のほぼ全体が第1部12に接合されていない場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第1部12のうち重なり部30,31,32に重なる部分を含む範囲が補強部21,24,27に接合されていなければ、第1部12を曲げの内側にしたときに、重なり部30,31,32において第1部12が補強部21,24,27から離れてたるむからである。
【0068】
実施形態では説明を省略したが、接触冷感性をもつ素材で通風路11の第2部13を作ることができる。これにより首62に第2部13が触れたときに着用者61が冷感を得られる。また、吸水性をもつ素材で通風路11の第1部12を作ったり、吸水性をもつ素材を第1部12に配置したりすることができる。吸水性をもつ素材に含まれる水が蒸発するときに気化熱を奪うので、通風路11の温度上昇を低減できる。
【符号の説明】
【0069】
10 ネックカバー
11 通風路
12 第1部
13 第2部
14 空間
15 第1の開口
16 第2の開口
18,21,24,27 第1の補強部(補強部)
30,31,32 重なり部
33,36,39,42 第2の補強部(補強部)
53 調整具
61 着用者
62 首
64 衣服
66 被り物
図1
図2
図3
図4
図5