(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054552
(43)【公開日】2023-04-14
(54)【発明の名称】ポインターおよびポインターを備えたインクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
G02B 27/20 20060101AFI20230407BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
G02B27/20
B41J2/01 301
B41J2/01 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163472
(22)【出願日】2021-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087000
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 淳一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 広信
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056HA37
2C056HA60
(57)【要約】
【課題】構成部品点数を削減して簡潔な構成により組み立て作業の簡素化を図るとともに、これによりコスト低減も図るようにしたポインターおよびポインターを備えたインクジェットプリンタを提供する。
【解決手段】光を照射するLEDと、LEDを接続するLED基板と、LED基板に対してLEDによる光の照射側に取り付けられるとともに、LEDから照射された光を出射する光出射孔部が形成された光出射孔部形成部材とを有するようにした。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を照射するLEDと、
前記LEDを接続するLED基板と、
前記LED基板に対して前記LEDによる前記光の照射側に取り付けられるとともに、前記LEDから照射された前記光を出射する光出射孔部が形成された光出射孔部形成部材と
を有することを特徴とするポインター。
【請求項2】
請求項1に記載のポインターにおいて、
前記LED基板は、略平板形状を備え、
前記光出射孔部形成部材は、略コ字形状を備えた略板状体である
ことを特徴とするポインター。
【請求項3】
請求項2に記載のポインターにおいて、
前記光出射孔部形成部材は、前記略コ字形状の一方の端部において前記LED基板の前記略平板形状における一方の端部を係止するとともに、前記略コ字形状の他方の端部において前記LED基板の前記略平板形状における他方の端部を係止する
ことを特徴とするポインター。
【請求項4】
請求項1、2または3のいずれか1項に記載のポインターにおいて、さらに、
前記LEDと前記光出射孔部との間に、前記LEDから照射された前記光を貫通する光通過孔部と
を有することを特徴とするポインター。
【請求項5】
請求項4に記載のポインターにおいて、
前記光通過孔部は、前記LEDと前記光出射孔部形成部材との間に配置された略平板形状を備えた中間板に形成された
ことを特徴とするポインター。
【請求項6】
請求項5に記載のポインターにおいて、
前記中間板は、前記光出射孔部形成部材における前記略コ字形状における対向するそれぞれの部位に、略平板形状における一方の端部と他方の端部とをそれぞれ係止した
ことを特徴とするポインター。
【請求項7】
請求項4、5または6のいずれか1項に記載のポインターにおいて、
前記光出射孔部の直径φAと前記光通過孔部の直径φBとの大きさは、「直径φA<直径φB」である
ことを特徴とするポインター。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6または7のいずれか1項に記載のポインターにおいて、
前記LEDは、点光源LED素子とコリメータレンズとを有して構成された
ことを特徴とするポインター。
【請求項9】
インクヘッドよりインクジェット方式によりインクを吐出して媒体に印刷するインクジェットプリンタにおいて、
媒体を載置する載置台と、
前記載置台の上方に配置されたポインターと、
前記載置台の上方に配置されたキャリッジと、
前記キャリッジに搭載されたインクヘッドと
を有し、
前記ポインターは、請求項1、2、3、4、5、6、7または8のいずれか1項に記載のポインターである
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項10】
請求項9に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記ポインターは、前記キャリッジに搭載されている
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項11】
請求項9または10のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記キャリッジは、前記載置台に対して相対的に移動自在である
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポインターおよびポインターを備えたインクジェットプリンタに関する。さらに詳細には、本発明は、インクジェット方式により媒体(メディア)に対してインクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタに配設して好適なポインターおよび当該ポインターを備えたインクジェットプリンタに関する。
【0002】
なお、本明細書ならびに特許請求の範囲において「媒体」とは、普通紙などの紙類よりなる各種の記録媒体は勿論のこと、PVC、ポリエステルなどの樹脂材料やアルミ、鉄、木材のような材料などの各種材料が含まれるものとする。
【0003】
また、本明細書ならびに特許請求の範囲において「インクジェット方式」とは、二値偏向方式あるいは連続偏向方式などの各種の連続方式や、サーマル方式あるいは圧電素子方式などの各種のオンデマンド方式を含む、従来より公知の各種の手法によるインクジェット技術による印刷方法を意味するものとする。
【背景技術】
【0004】
一般に、コンピューターシステムによって全体の動作を制御され、記録紙などの媒体を載置する載置台を備え、当該載置台上に載置された当該媒体の上方において所定の方向に移動可能なキャリッジを配設するとともに当該キャリッジにインクヘッドを搭載し、このインクヘッドを用いて媒体に対してインクジェット方式により所望の印刷を行うようにしたインクジェットプリンタが知られている。
【0005】
なお、こうしたインクジェットプリンタにおけるキャリッジの移動方向を、本明細書ならびに特許請求の範囲においては、「主走査方向」と適宜に称することとする。
【0006】
ところで、上記したようなインクジェットプリンタにおいては、載置台や当該載置台上に載置された媒体への印刷開始時における原点位置の位置合わせのために、載置台や当該載置台上に載置された媒体に設けられた基準点に対して小径な光を照射するポインターが配設されている。
【0007】
即ち、インクジェットプリンタの使用者は、ポインターから出射された光が載置台や当該載置台上に載置された媒体に設けられた位置合わせ用の基準点を照射するように載置台や媒体を移動することにより、インクジェットプリンタによる媒体への印刷開始時における原点位置の位置合わせを行う。
【0008】
ここで、上記したポインターの光源としては、従来よりレーザー光源が用いられているが、レーザー光源は比較的高価でありコスト高を招来するため、コスト低減を図るためにより安価な発光ダイオード(LED)をポインターの光源として利用する手法が、例えば、特開2019-101435号公報として提案されている。
【0009】
しかしながら、上記した特開2019-101435号公報に開示された手法によれば、略四角筒形状を備えたケース内にLEDを含む各種の構成部材を配置するようにしているため、構成部品点数が増加して構成が複雑になるとともに組み立て作業も繁雑になり、こうしたことを要因とするコスト上昇も招来するなどという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、従来の技術の有する上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、構成部品点数を削減して簡潔な構成により組み立て作業の簡素化を図るとともに、これによりコスト低減も図るようにしたポインターおよびポインターを備えたインクジェットプリンタを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した目的を達成するために、本発明によるポインターは、LEDを配設したLED基板に対して、LEDから照射された光を出射する小径の光出射孔部を形成した光出射孔部形成部材を取り付けるようにしたものである。
【0013】
従って、本発明によるポインターによれば、上記した従来の技術のように略四角筒形状を備えたケース内に各種の構成部材を配置するものではないため、上記した従来の技術と比較すると構成部品点数を著しく削減することができ、簡潔な構成により組み立て作業も簡素化することができる。
【0014】
また、上記した目的を達成するために、本発明によるインクジェットプリンタは、上記した本発明によるポインターを備えるようにしたものである。
【0015】
即ち、本発明によるポインターは、光を照射するLEDと、上記LEDを接続するLED基板と、上記LED基板に対して上記LEDによる上記光の照射側に取り付けられるとともに、上記LEDから照射された上記光を出射する光出射孔部が形成された光出射孔部形成部材とを有するようにしたものである。
【0016】
また、本発明によるポインターは、上記した本発明によるポインターにおいて、上記LED基板は、略平板形状を備え、上記光出射孔部形成部材は、略コ字形状を備えた略板状体であるようにしたものである。
【0017】
また、本発明によるポインターは、上記した本発明によるポインターにおいて、上記光出射孔部形成部材は、上記略コ字形状の一方の端部において上記LED基板の上記略平板形状における一方の端部を係止するとともに、上記略コ字形状の他方の端部において上記LED基板の上記略平板形状における他方の端部を係止するようにしたものである。
【0018】
また、本発明によるポインターは、上記した本発明によるポインターにおいて、さらに、上記LEDと上記光出射孔部との間に、上記LEDから照射された上記光を貫通する光通過孔部とを有するようにしたものである。
【0019】
また、本発明によるポインターは、上記した本発明によるポインターにおいて、上記光通過孔部は、上記LEDと上記光出射孔部形成部材との間に配置された略平板形状を備えた中間板に形成されたものである。
【0020】
また、本発明によるポインターは、上記した本発明によるポインターにおいて、上記中間板は、上記光出射孔部形成部材における上記略コ字形状における対向するそれぞれの部位に、略平板形状における一方の端部と他方の端部とをそれぞれ係止したものである。
【0021】
また、本発明によるポインターは、上記した本発明によるポインターにおいて、上記光出射孔部の直径φAと上記光通過孔部の直径φBとの大きさは、「直径φA<直径φB」であるようにしたものである。
【0022】
また、本発明によるポインターは、上記した本発明によるポインターにおいて、上記LEDは、点光源LED素子とコリメータレンズとを有して構成されたものである。
【0023】
また、本発明によるインクジェットプリンタは、インクヘッドよりインクジェット方式によりインクを吐出して媒体に印刷するインクジェットプリンタにおいて、媒体を載置する載置台と、上記載置台の上方に配置されたポインターと、上記載置台の上方に配置されたキャリッジと、上記キャリッジに搭載されたインクヘッドとを有し、上記ポインターは、上記した本発明によるポインターのいずれかであるようにしたものである。
【0024】
また、本発明によるインクジェットプリンタは、上記した本発明によるインクジェットプリンタにおいて、上記ポインターは、上記キャリッジに搭載されているようにしたものである。
【0025】
また、本発明によるインクジェットプリンタは、上記した本発明によるインクジェットプリンタにおいて、上記キャリッジは、上記載置台に対して相対的に移動自在であるようにしたものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、以上説明したように構成されているので、構成部品点数を削減して簡潔な構成により組み立て作業の簡素化を図ることができ、これによりコスト低減も図ることができるようになるという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態の一例によるポインターを備えたインクジェットプリンタを模式的に示す斜視構成説明図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すインクジェットプリンタにおいて外装部材を取り外した状態を模式的に示す斜視構成説明図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すインクジェットプリンタの縦断面を模式的に示す断面構成説明図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態の一例によるポインターを模式的に示す正面(
図3のB矢視)構成説明図である。
【
図5】
図5(a)は、
図4に示すポインターの底面(
図4のC矢視)構成説明図である。また、
図5(b)は、
図4に示すポインターの右側面(
図4のD矢視)構成説明図である。また、
図5(c)は、
図4に示すポインターの左側面(
図4のE矢視)構成説明図である。
【
図6】
図6は、
図4に示すポインターのキャリッジへの取り付け状態の一例を模式的に示す正面(
図3のB矢視)構成説明図である。
【
図7】
図7は、
図4に示すポインターのキャリッジへの取り付け状態の一例を模式的に示す平面(
図6のF矢視)構成説明図である。
【
図8】
図8は、
図4に示すポインターの使用方法の一例を模式的に示す正面(
図3のB矢視)構成説明図である。
【
図9】
図9は、
図4に示すポインターの使用方法の一例を模式的に示す正面(
図3のB矢視)構成説明図である。
【
図10】
図10は、
図4に示すポインターの使用方法の一例を模式的に示す正面(
図3のB矢視)構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明によるポインターおよびポインターを備えたインクジェットプリンタの実施の形態の一例を詳細に説明することとする。
【0029】
(I)本発明によるポインターを備えたインクジェットプリンタの全体の構成の説明
【0030】
図1には、本発明の実施の形態の一例によるポインターを備えたインクジェットプリンタを模式的に示す斜視構成説明図があらわされている。
【0031】
また、
図2には、
図1に示すインクジェットプリンタにおいて外装部材を取り外した状態を模式的に示す斜視構成説明図があらわされている。
【0032】
また、
図3には、
図1に示すインクジェットプリンタの縦断面を模式的に示す断面構成説明図があらわされている。
【0033】
なお、以下の説明において、XYZ直交座標系におけるY方向はキャリッジ20(後述する。)の移動方向である主走査方向を示し、また、XYZ直交座標系におけるX方向はXY平面においてY方向(主走査方向)と直交する方向である副走査方向を示し、また、XYZ直交座標系におけるZ方向はXY平面と直交する高さ方向を示す。
【0034】
さらに、以下の説明においては、説明の便宜上、Y方向(主査方向)については
図1を記載した紙面における左方側を左方向とするとともに右方側を右方向とし、X方向(副走査方向)については
図1を記載した紙面の下方側を前方向とするとともに上方側を後方向とし、Z方向(高さ方向)については
図1を記載した紙面の下方側を下方向とするとともに上方側を上方向として説明する。
【0035】
なお、上記した方向については、説明の便宜上定めた方向に過ぎないものであって、インクジェットプリンタの設置態様を何ら限定するものではないことは勿論であって、また、本発明を何ら限定するものでもないことも勿論である。
【0036】
符号10は、所謂、フラットベッドタイプのインクジェットプリンタを示し、このインクジェットプリンタ10は、インクヘッド22からインクジェット方式により媒体12上にインクを吐出して画像などを印刷する。
【0037】
より詳細には、インクジェットプリンタ10は、XY平面が矩形状の基台部14と、予め設定された領域の空間Aを空けて基台部14を上方から被覆するようにして基台部14に配設された外装部材16と、空間A内にX方向(副走査方向)ならびにZ方向に移動自在に配置されて媒体12を載置する載置台18と、空間A内の載置台18の上方においてY方向(主走査方向)に移動自在に配設されたキャリッジ20と、キャリッジ20に搭載されたインクヘッド22と、キャリッジ20に搭載されたポインター100とを有している。
【0038】
なお、符号20aはキャリッジ20を被覆するキャリッジカバーであり、インクヘッド22とポインター100とはキャリッジカバー20aにより覆われてキャリッジ20に搭載されている。
【0039】
また、キャリッジ20は、後述するように、載置台18に対してY方向(主査方向)、X方向(副走査方向)ならびにZ方向(高さ方向)において相対的に移動自在に構成されている。
【0040】
こうしたインクジェットプリンタ10にはコンピューターシステム(図示せず。)が搭載されており、使用者は外装部材16の上面右端部に配設された操作パネル24に設けられた各種の操作子を操作することによって、当該コンピューターシステムによりインクジェットプリンタ10全体の動作を制御することができる。
【0041】
即ち、操作パネル24には、詳細な図示は省略するが、使用者が画像の印刷に関する設定操作や入力操作などの各種の操作を行うための操作子や当該操作子の操作状況などを表示する表示部などが設けられている。
【0042】
具体的には、表示部には、例えば、印刷の種類、解像度、印刷の状況ならびに印刷領域の設定などの印刷に関する情報などが表示される。
【0043】
また、操作子としては、例えば、インクジェットプリンタ10の電源をオン/オフするスイッチや、印刷に関する情報を設定するための入力ボタンなどが配設されている。
【0044】
ここで、外装部材16は、下面が開口した箱型形状を備えるとともに、前方部位には開閉可能なカバー部材26が設けられている。
【0045】
また、外装部材16は、その下方部位において基台部14に着脱自在に取り付けられている。
【0046】
さらに詳細に説明すると、インクジェットプリンタ10は、載置台18の上方においてY方向(主走査方向)に沿って延長するようにして、基台部14上に配設されたフレーム28を有している。
【0047】
このフレーム28の前面にはY方向(主走査方向)に沿って延長するガイドレール30が設けられており、このガイドレール30にキャリッジ20がY方向(主走査方向)に摺動自在に係合されている。
【0048】
ここで、インクジェットプリンタ10においては、ガイドレール30上においてキャリッジ20をY方向(主走査方向)に沿って往復移動自在にする構成として、ガイドレール30の左側端部よりも左方に設けられた左側プーリー32と、ガイドレール30の右側端部よりも右方に設けられた右側プーリー34と、左側プーリー32と右側プーリー34とに巻回された無端状のベルト36と、右側プーリー34に接続され当該右側プーリー34を回転するモーター38と有している。
【0049】
そして、ベルト36の予め設定された箇所にキャリッジ20が固定されており、モーター38が駆動して右側プーリー34を回転することにより、左側プーリー32と右側プーリー34との間でベルト36が走行し、これによりベルト36に固定されたキャリッジ20がY方向(主走査方向)に移動する。
【0050】
本実施の形態においては、インクヘッド22は、媒体12へ向けてインクジェット方式によりインクを吐出するノズルを下方に位置するようにして、キャリッジ20内に配設されている。
【0051】
同様に、本実施の形態においては、ポインター100は、載置台18や媒体12へ向けて下方に光を出射可能なようにして、キャリッジ20に配設されている。
【0052】
なお、キャリッジ20の下方部位は開口しており、インクヘッド22のノズルから媒体12へ向けてのインクの吐出や、ポインター100から載置台18や媒体12へ向けての光の出射の障碍とならないように形成されている。
【0053】
次に、インクジェットプリンタ10は、上記したように媒体12を載置する載置台18を備えているが、この載置台18はXY平面に沿って延長する板状体により形成されている。
【0054】
なお、載置台18とインクヘッド22およびポインター100とのZ方向(高さ方向)における位置関係について説明すると、載置台18は、インクヘッド22のノズルの下方位置かつポインター100からの下方へ向けての出射光が照射される下方位置に配置されている。
【0055】
ここで、インクジェットプリンタ10においては、載置台18をX方向(副走査方向)へ移動する副走査方向移動機構40と、載置台18をZ方向(高さ方向)へ移動する高さ方向移動機構42とを備えている。
【0056】
こうした副走査方向移動機構40は、基台部14内に収容されており、X方向(副走査方向)に延長するとともに基台部14に設けられた右側スライドレール44Rと、右側スライドレール44Rと平行となるようにX方向(副走査方向)に延長するとともに基台部14に設けられた左側スライドレール(図示せず。)と、右側スライドレール44Rと左側スライドレールとに摺動自在に係合してガイドされてX方向(副走査方向)に往復移動自在な支持部材46と、支持部材46に接続された支持部材移動用モーター(図示せず。)とを有して構成されている。
【0057】
なお、支持部材46は箱型状に形成されており、上方に向けて開口する開口部46aが形成されている。
【0058】
従って、副走査方向移動機構40によれば、支持部材移動用モーターが駆動されて回転することによって、支持部材46は右側スライドレール44Rおよび左側スライドレールに沿ってX方向(副走査方向)に移動される。
【0059】
次に、上記した高さ方向移動機構42は、支持部材46内に収容されており、Z方向(高さ方向)へ延長する複数のガイド支柱48と、ガイド支柱48に摺動自在に係合してガイドされてZ方向(高さ方向)に往復移動自在な箱型形状の載置台支持ケース50と、載置台支持ケース50に接続された載置台支持ケース移動用モーター(図示せず。)と有して構成されている。
【0060】
なお、載置台支持ケース50上面に載置台18が固定され、載置台18は載置台支持ケース50により支持される。
【0061】
従って、高さ方向移動機構42によれば、載置台支持ケース移動用モーターが駆動されて回転することによって、載置台支持ケース50はガイド支柱48に沿ってZ方向(高さ方向)に移動される。
【0062】
(II)本発明によるポインターの詳細な構成の説明
【0063】
図4には、本発明の実施の形態の一例によるポインターを模式的に示す正面(
図3のB矢視)構成説明図があらわされている。
【0064】
また、
図5(a)には、
図4に示すポインターの底面(
図4のC矢視)構成説明図があらわされており、また、
図5(b)には、
図4に示すポインターの右側面(
図4のD矢視)構成説明図があらわされており、また、
図5(c)には、
図4に示すポインターの左側面(
図4のE矢視)構成説明図があらわされている。
【0065】
また、
図6には、
図4に示すポインターのキャリッジへの取り付け状態の一例を模式的に示す正面(
図3のB矢視)構成説明図があらわされている。
【0066】
また、
図7には、
図4に示すポインターのキャリッジへの取り付け状態の一例を模式的に示す平面(
図6のF矢視)構成説明図があらわされている。
【0067】
ポインター100は、略平板形状を備えたLED基板102と、点光源LED素子104aとコリメータレンズ104bとを有して構成されてLED基板102に接続されるとともに光Lを照射するLED104と、LED104により照射される光Lの出射側においてLED基板102に取り付けられるとともに光Lを出射する円形の開口部である光出射孔部106aが設けられた光出射孔部形成部材106と、LED104により照射される光Lの出射側においてLED104と光出射孔部106aとの間に配置されるとともに光Lを通過させる円形の開口部である光通過孔部108aが設けられた略平板形状を備えた中間板108とを有して構成されている。
【0068】
なお、符号110は、LED基板102とコンピューターシステム(図示せず。)や電源(図示せず)とを接続するためのコネクターである。
【0069】
また、符号112は、ネジ軸112aをLED基板102と光出射孔部形成部材106とにそれぞれ形成されたネジ穴(図示せず。)に貫通させて、LED基板102と光出射孔部形成部材106とを締結して固定するための締結ネジである。
【0070】
より詳細には、光出射孔部形成部材106は、略コ字形状を備えた略板状体であり、当該略コ字形状の一方の端部である締結部106dにおいてLED基板102の一方の端部である右端部102bを係止するとともに、当該略コ字形状の他方の端部である左側壁部106fにおいてLED基板102の他方の端部である左端部102aを係止している。
【0071】
具体的には、光出射孔部形成部材106は、光出射孔部106aが形成された下底部106bと、下底部106bの右端部から立ち上がり形成された右側壁部106cと、右側壁部106cの上端部からXY平面においてY方向に沿って右方側に延設されるとともに締結ネジ112のネジ軸112を貫通させるネジ穴(図示せず。)を穿設された締結部106dと、下底部106bの左端部から立ち上がり形成されるとともに上端部に凹所106eを形成された左側壁部106fとを有して構成されている。
【0072】
また、LED基板102の左端部102aは、X方向において右端部102bを含む他の領域よりも狭く形成されており、光出射孔部形成部材106の左側壁部106fに形成された凹所106eに嵌合されている。
【0073】
即ち、LED基板102と光出射孔部形成部材106とは、LED基板102の右端部102bと光出射孔部形成部材106の締結部106dとを締結ネジにより締結して固定するとともに、LED基板102の左端部102aを光出射孔部形成部材106の左側壁部106fに形成された凹所106eに嵌合することにより固定して、両者は一体的に構成されている。
【0074】
さらに、中間板108は、略コ字形状を備えた略板状体である光出射孔部形成部材106における当該略コ字形状における対向するそれぞれの部位に、その両端部をそれぞれ係止することにより固定されている。
【0075】
具体的には、中間板108は、一方の端部である右端部108bを光出射孔部形成部材106の右側壁部106cに係止されるとともに、他方の端部である左端部108cを光出射孔部形成部材106の左側壁部106fに係止されて、光出射孔部形成部材106に固定的に取り付けられている。
【0076】
ここで、光出射孔部106aと光通過孔部108aとは、LED104により照射される光Lがそれぞれ貫通可能なように位置合わせして配置されている。
【0077】
これら光出射孔部106aの円形の直径φAと光通過孔部108aの円形の直径φBとについて説明すると、光出射孔部106aの直径φAの方が光通過孔部108aの直径φBよりも小径とする、即ち、「直径φA<直径φB」とすることが好ましい。
【0078】
「直径φA<直径φB」とすることにより、LED104から出射された光Lの照射領域のサイズ、即ち、スポット光のサイズは、直径φAに依存して決定されることになるが、光通過孔部108aを通過させて光出射孔部106aへ光Lを入射させることにより、スポット光と他の領域との境界を鮮明にすることができ、また、ハレーションも防ぐことができるようになる。
【0079】
上記において説明したポインター100は、例えば、
図6ならびに
図7に示すように、キャリッジ20の予め定められた位置に設けられたブラケット20b、20cにLED基板102や光出射孔部形成部材106などを溶着などにより固定することによって、キャリッジ20の予め定められた位置に搭載される。
【0080】
なお、キャリッジ20にポインター100を搭載する手法については、上記において説明した手法に限られるものではなく、各種のネジやボルトなどの締結用具を用いてブラッケに取り付けてもよいし、あるいは、ブラケット20b、20cのような構造物を設けることなくキャリッジ20の壁面などに直接取り付けるようにしてもよく、設計条件や使用条件に応じて適宜の手法によりキャリッジ20に対してポインター100を取り付ければよい。
【0081】
ここで、ポインター100についての具体的な寸法の一例としては、以下に示す数値が挙げられる。
【0082】
LED104の出射面の頂部(コリメータレンズ104aにおける光の出射端)と中間板108の上面との間隔g1は、例えば、1mm~3mmである。
【0083】
中間板108の下面と光出射孔部形成部材106の下底部106bの上面との間隔g2は、例えば、3mm~10mmである。
【0084】
ポインター100の前面部とキャリッジ20の前面部との間隔g3は、例えば、10mmである。
【0085】
光出射孔部形成部材106に設けられた光出射孔部106aの直径φAは、例えば、0.8mm~1.0mmである。
【0086】
中間板108に設けられた光通過孔部108aの直径φBは、例えば、1.2mm~1.3mmである。
【0087】
(III)本発明によるポインターを用いた位置合わせの手法の説明
【0088】
図8には、
図4に示すポインターの使用方法の一例を模式的に示す正面(
図3のB矢視)構成説明図があらわされている。
【0089】
また、
図9には、
図4に示すポインターの使用方法の一例を模式的に示す正面(
図3のB矢視)構成説明図があらわされている。
【0090】
また、
図10には、
図4に示すポインターの使用方法の一例を模式的に示す正面(
図3のB矢視)構成説明図があらわされている。
【0091】
ここで、インクジェットプリンタ10に搭載されたポインター100から出射された光Lを利用して媒体12や載置台18の位置合わせを行う際において、例えば、Z方向(高さ方向)の長さ(厚さ)H1が10mm~30mmあるいはそれ以上の媒体12を複数個連続して印刷する場合には、
図8に示すように、キャリッジ20の下端部と媒体12の上端部との距離H2を1mm~2mmに設定して、載置台18に設けられている位置合わせ用の基準点(図示せず。)に光Lを照射するようにして位置合わせ行い、当該位置合わせ行った状態におけるキャリッジ20の下端部と媒体12の上端部との高さ位置の関係において、インクジェットプリンタ10のインクヘッド22のノズルから媒体12に向けてインクを吐出して媒体12に対する印刷を行う。
【0092】
あるいは、インクジェットプリンタ10に搭載されたポインター100から出射された光Lを利用して媒体12や載置台18の位置合わせを行う際において、例えば、単一の媒体12に対して印刷する場合には、
図9に示すように、キャリッジ20の下端部と媒体12の上端部との距離H3を10mm~30mmに設定して、媒体12に設けられている位置合わせ用の基準点(図示せず。)に光Lを照射するようにして位置合わせ行う。
【0093】
その後に、
図10に示すように、インクジェットプリンタ10により媒体12に印刷するために、キャリッジ20の下端部と媒体12の上端部との距離H4を1mm~2mmに設定して印刷のための高さ位置を合わせ、インクジェットプリンタ10のインクヘッド22のノズルから媒体12に向けてインクを吐出して媒体12に対する印刷を行う。
【0094】
(IV)本発明によるポインターならびに当該ポインターを備えたインクジェットプリンタの作用効果の説明
【0095】
以上において説明したように、本発明によるポインター100は、上記した従来の技術のように略四角筒形状を備えたケース内に各種の構成部材を配置するものではないため、上記した従来の技術と比較すると構成部品点数を著しく削減することができるようになり、また、簡潔な構成により組み立て作業も簡素化することができるようになる。
【0096】
また、本発明によるポインター100は、上記した従来の技術と比較すると構成部品点数が著しく削減されるため小型化を図ることも可能となって、しかも、適宜の手法によりインクジェットプリンタ10のキャリッジ20に搭載すればよいので、あまりスペースに余裕のないキャリッジ20へも容易に取り付けることができるようになる。
(V)その他の実施の形態および変形例の説明
【0097】
上記した実施の形態は例示に過ぎないものであり、本発明は他の種々の形態で実施することができる。即ち、本発明は、上記した各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。
【0098】
例えば、上記した実施の形態は、以下の(V-1)乃至(V-9)に示すように変形するようにしてもよい。
【0099】
(V-1)上記した実施の形態においては、載置台18をキャリッジ20に対してX方向(副走査方向)に相対的に移動させる場合について説明したが、これに限られるものではないことは勿論である。例えば、載置台18をX方向(副走査方向)に対して固定的に設置しておき、載置台18に対してキャリッジ20をY方向(主走査方向)ならびにX方向(副走査方向)に相対的に移動自在に構成するようにしてもよい。
【0100】
(V-2)上記した実施の形態においては、載置台18をキャリッジ20に対してZ方向(高さ査方向)に相対的に移動させる場合について説明したが、これに限られるものではないことは勿論である。例えば、載置台18をZ方向(高さ査方向)に対して固定的に設置しておき、載置台18に対してキャリッジ20をZ方向(高さ査方向)に相対的に移動自在に構成するようにしてもよい。
【0101】
(V-3)上記した実施の形態においては、インクジェットプリンタとして、所謂、フラットベッドタイプのインクジェットプリンタ10について説明したが、これに限られるものではないことは勿論である。インクジェットプリンタとしては、例えば、ロール状に巻回された媒体をX方向(副走査方向)に搬送しながら印刷を行うRoll-to-Rollタイプのような、所謂、ペーパームーブタイプのインクジェットプリンタもあり、こうしたインクジェットプリンタに対して本発明を適用してもよい。
【0102】
(V-4)上記した実施の形態においては、LED104と光出射孔部106aとの間に光通過孔部108aを設けるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、設計条件などに応じてはこうしたLED104と光出射孔部106aとの間に位置する光通過孔部108aを設けずに、部品点数の削減やコストダウンを図るようにしてもよい。なお、光通過孔部108aを設けない場合には、中間板108を設けなくてもよいことは勿論である。
【0103】
(V-5)上記した実施の形態においては、ポインター100が単数個の光通過孔部として光通過孔部108aを設けるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、設計条件などに応じて、こうしたLED104と光出射孔部106aとの間に複数個の光通過孔部を設けるようにして、スポット光と他の領域との境界の鮮明化を一層促進するとともに、また、ハレーションを一層確実に防ぐようにしてもよい。
【0104】
(V-6)上記した実施の形態においては、ポインター100から出射される光Lの色彩については詳細な説明は省略したが、設計条件などに応じて、白色系、赤色系あるいは青色系などの適宜の色彩を任意に選択してよい。
【0105】
(V-7)上記した実施の形態においては、ポインター100をインクジェットプリンタ10に搭載した場合について説明したが、ポインター100を搭載する装置はインクジェットプリンタに限られるものではない。ポインター100は、インクジェットプリンタの他に、媒体(被加工物)を所望の形状に切断する切断装置、媒体(被加工物)を所望の形状に切削する切削装置、媒体(被加工物)に箔を転写する箔押し装置あるいは所望の形状の三次元造形物を生成する三次元造形装置などの各種の加工装置を含む種々の装置に搭載するようにしてよい。
【0106】
(V-8)上記した実施の形態においては、ポインター100をインクジェットプリンタ10のキャリッジ20に搭載した場合について説明したが、これに限られるものではないことは勿論である。例えば、ポインター100は、インクジェットプリンタ10のフレーム28などのキャリッジ20以外の構成部材に取り付けるようにしてもよい。
【0107】
(V-9)上記した実施の形態ならびに上記した(V-1)乃至(V-8)に示す各種の他の実施の形態や変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよいことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明によるポインターは、インクジェット方式により媒体に対してインクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタなどの各種の装置に用いて好適である。
【0109】
また、本発明によるインクジェットプリンタは、本発明によるポインターを搭載することにより印刷開始時における原点位置の位置合わせを容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0110】
10 インクジェットプリンタ
12 媒体
14 基台部
16 外装部材
18 載置台
20 キャリッジ
20a キャリッジカバー
20b ブラケット
20c ブラケット
22 インクヘッド
24 操作パネル
26 カバー部材
28 フレーム
30 ガイドレール
32 左側プーリー
34 右側プーリー
36 ベルト
38 モーター
40 副走査方向移動機構
42 高さ方向移動機構
44R 右側スライドレール
46 支持部材
46a 開口部
48 ガイド支柱
50 載置台支持ケース
100 ポインター
102 LED基板
102a 左端部(他方の端部)
102b 右端部(一方の端部)
104 LED
104a 点光源LED素子
104b コリメータレンズ
106 光出射孔部形成部材
106a 光出射孔部
106b 下底部
106c 右側壁部
106d 締結部(一方の端部)
106e 凹所
106f 左側壁部(他方の端部)
108 中間板
108a 光通過孔部
108b 右端部(一方の端部)
108c 左端部(他方の端部)
110 コネクター
112 締結ネジ
112a ネジ軸
φA 光出射孔部の直径
φB 光通過孔部の直径
A 空間
L 光