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特開2023-54579実装装置、実装システム、及び、電子部品の実装方法
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  • 特開-実装装置、実装システム、及び、電子部品の実装方法 図1
  • 特開-実装装置、実装システム、及び、電子部品の実装方法 図2
  • 特開-実装装置、実装システム、及び、電子部品の実装方法 図3
  • 特開-実装装置、実装システム、及び、電子部品の実装方法 図4
  • 特開-実装装置、実装システム、及び、電子部品の実装方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054579
(43)【公開日】2023-04-14
(54)【発明の名称】実装装置、実装システム、及び、電子部品の実装方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20230407BHJP
【FI】
H05K13/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163511
(22)【出願日】2021-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(72)【発明者】
【氏名】内山 茂行
(72)【発明者】
【氏名】高野 康弘
(72)【発明者】
【氏名】山田 卓司
(72)【発明者】
【氏名】松山 義一
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353EE29
5E353EE62
5E353HH12
5E353JJ01
5E353JJ27
5E353JJ43
5E353JJ44
5E353KK03
5E353KK11
5E353MM02
5E353MM08
5E353QQ08
5E353QQ21
5E353QQ22
(57)【要約】
【課題】簡素な構造でコンパクトな実装装置を提供する。
【解決手段】実装装置6は、基板101を該基板101の平面視における第1方向Xに搬送する搬送ライン3と、複数の電子部品103を保持するとともに、搬送ライン3によって第1方向Xに搬送された基板101上に電子部品103を搭載する、複数のヘッド12と、を備えている。複数のヘッド12は、基板101の平面視において第1方向Xと直交する第2方向Yに沿って並べられており、各々の電子部品103を第1方向Xに移動させない一方で、各々の電子部品103を第2方向Yに移動させることが可能である。搬送ライン3は、複数のヘッド12が第1方向X及び第2方向Yの双方と直交する第3方向Zにおいて複数のヘッド12の各々が基板101に接近又は離間して移動する動作に応じて、基板101を第1方向Xに順次移動させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を該基板の平面視における第1方向に搬送する搬送ラインと、
電子部品を保持するとともに、前記搬送ラインによって前記第1方向に搬送された基板上に複数の電子部品を搭載する、複数のヘッドと、を備え、
前記複数のヘッドは、基板の平面視において前記第1方向と直交する第2方向に沿って並べられており、各々の電子部品を前記第1方向に移動させない一方で、各々の電子部品を前記第2方向に移動させることが可能であり、
前記搬送ラインは、前記複数のヘッドが前記第1方向及び前記第2方向の双方と直交する第3方向において前記複数のヘッドの各々が基板に接近又は離間して移動する動作に応じて、基板を前記第1方向に順次移動させる、
実装装置。
【請求項2】
前記複数のヘッドに電子部品を供給する少なくとも一つのフィーダを更に備え、
前記少なくとも一つのフィーダは、電子部品を前記第1方向に搬送して前記複数のヘッドの各々に電子部品を供給する、
請求項1に記載の実装装置。
【請求項3】
請求項2に記載の実装装置に加え、
前記搬送ラインに基板を供給するローダと、前記搬送ラインから基板を回収するオフローダと、を更に備え、
前記搬送ライン、前記ローダ、前記少なくとも一つのフィーダ、前記複数のヘッド、前記オフローダの全工程が一台の筐体に収容されている、
実装システム。
【請求項4】
基板を該基板の平面視における第1方向に搬送する搬送ラインと、
電子部品を保持するとともに、前記搬送ラインによって前記第1方向に搬送された基板上に複数の電子部品を搭載する、複数のヘッドと、
を備えた実装装置を用いた電子部品の実装方法であって、前記複数のヘッドは、前記第1方向と直交する第2方向に沿って並べられており、
前記搬送ラインが、基板を前記第1方向に搬送すること、
前記複数のヘッドの各々が、電子部品を保持すること、
前記複数のヘッドが、基板の平面視において各々の電子部品を前記第1方向に移動させない一方で、各々の電子部品を前記第2方向に移動させること、
前記第1方向及び前記第2方向の双方に直交する第3方向において前記複数のヘッドの各々が基板に接近又は離間する動作に応じて、前記搬送ラインが、基板を前記第1方向に順次移動させること、及び、
前記複数のヘッドの各々が、基板に電子部品を搭載すること、を含む、
電子部品の実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装装置、該実装装置を用いた実装システム、及び、電子部品の実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
実装装置は、例えば表面実装機やチップマウンタとも呼ばれ、銀ペーストやはんだ等が塗布された基板に電子部品を搭載する。実装装置は、チップを保持した状態で、水平方向におけるX軸方向とY軸方向と双方に移動可能なヘッドを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-54298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヘッドをXYの二軸に移動させるための従来の移動機構は、特許文献1の図1が参照されるように、搬送コンベヤの両側に搬送コンベヤに沿って平行に配置された一対のX軸テーブルと、一対のX軸テーブルの間に架け渡されて平面視で搬送コンベヤに直交するように配置されたY軸テーブルと、を備えている。
【0005】
さらに、従来の移動機構は、移載ヘッドが取り付けられた移動ステージをX軸テーブルに沿って移動させる移動ステージ移動機構(X軸モータ)と、X軸テーブルを介して移動ステージが取り付けられたY軸スライダをY軸テーブルに沿って移動させるY軸スライダ移動機構(Y軸モータ)と、二軸それぞれに駆動モータを備えている。
【0006】
そのような実装装置では、三本のテーブル(ガイドレール)や複数の駆動モータが筐体内において大きなスペースを占有するため、筐体を小型化することが困難だった。本発明は、コンパクトかつ簡素な構造を実現できる、実装装置、実装システム、及び、電子部品の実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る実装装置は、基板を該基板の平面視における第1方向に搬送する搬送ラインと、電子部品を保持するとともに、搬送ラインによって第1方向に搬送された基板上に複数の電子部品を搭載する、複数のヘッドと、を備えている。複数のヘッドは、基板の平面視において第1方向と直交する第2方向に沿って並べられており、各々の電子部品を第1方向に移動させない一方で、各々の電子部品を第2方向に移動させることが可能である。搬送ラインは、複数のヘッドが第1方向及び第2方向の双方と直交する第3方向において複数のヘッドの各々が基板に接近又は離間して移動する動作に応じて、基板を第1方向に順次移動させる。
【0008】
本発明の他の一態様に係る電子部品の実装方法は、基板を該基板の平面視における第1方向に搬送する搬送ラインと、電子部品を保持するとともに、搬送ラインによって第1方向に搬送された基板上に複数の電子部品を搭載する、複数のヘッドと、を備えた実装装置を用いた電子部品の実装方法である。電子部品の実装方法は、複数のヘッドは、第1方向と直交する第2方向に沿って並べられており、搬送ラインが、基板を第1方向に搬送すること、複数のヘッドの各々が、電子部品を保持すること、複数のヘッドが、基板の平面視において各々の電子部品を第1方向に移動させない一方で、各々の電子部品を第2方向に移動させること、第1方向及び第2方向の双方に直交する第3方向において複数のヘッドの各々が基板に接近又は離間する動作に応じて、搬送ラインが、基板を第1方向に順次移動させること、及び、複数のヘッドの各々が、基板に電子部品を搭載すること、を含んでいる。
【0009】
これらの態様によれば、ヘッドを第1方向に移動させるためのテーブルやモータを省略できるため、実装装置を小型化できる。実装装置が電子部品を搬送できない第1軸方向の移動は、搬送ラインが基板を搬送することにより代用できる。
【0010】
上記態様において、複数のヘッドに電子部品を供給する少なくとも一つのフィーダを更に備え、少なくとも一つのフィーダは、電子部品を第1方向に搬送して複数のヘッドの各々に電子部品を供給してもよい。
【0011】
この態様によれば、フィーダの長手方向が搬送ラインに平行であるため、フィーダの長手方向が搬送ラインに垂直な従来の実装装置に比べて実装装置の占有面積を小さくできる。
【0012】
上記態様において、搬送ラインに基板を供給するローダと、搬送ラインから基板を回収するオフローダ、を更に備えた実装システムとして構成してもよい。搬送ライン、ローダ、少なくとも一つのフィーダ、複数のヘッド、オフローダの全工程が一台の筐体に収容されていてもよい。
【0013】
この態様によれば、機能毎に筐体がばらばらの従来のシステムと比べて実装装置を含む実装システムの占有面積を小さくできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡素な構造でコンパクトな実装装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る実装装置を備えた実装システムの一例の概略的な構成を示す平面図である。
図2図1に示されたヘッドを搬送ラインの上流側から見た斜視図である。
図3図1に示された実装装置を搬送ラインの下流側から見た斜視図である。
図4図3に示されたフィーダを取り外して搬送ラインを見た斜視図である。
図5】本発明の一実施形態の実装装置を用いた実装方法の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。本実施形態の実装装置6は、例えば、表面実装機やチップマウンタとも呼ばれ、リードフレーム、プリント基板等の基板101の表面にコンデンサ、IC、トランジスタ、抵抗等の電子部品103を搭載する。なお、本実施形態の実装装置6の実装態様は、表面実装に限定されず、挿入実装であってもよい。
【0017】
本実施形態の実装装置6は、複数の電子部品103を保持する複数のヘッド12が第2方向Yに沿って並べられている。第2方向Yは、基板101の平面視において搬送ライン3の延在方向である第1方向Xに交差している。
【0018】
複数のヘッド12は、水平方向において第2方向Yに移動する一方、第2方向Yに直交する第1方向Xには移動しないことが特徴の一つである。複数のヘッドが移動しない第1方向Xにおける基板101と電子部品103との相対位置は、搬送ライン3が基板101を順次移動させることにより調整可能である。つまり、従来の実装装置が備えていた二軸の複雑なヘッド移動機構を、第2方向Yに移動可能な実装装置6のY軸テーブル22と、第1方向Xに移動可能な搬送装置3のX軸ステージ9と、に分割して簡素な構造にしている。
【0019】
本実施形態によれば、複数のヘッド12を第1方向Xに移動させるためのテーブルや駆動モータを省略できるため、実装装置6の部品点数を削減しコストを削減できる。簡素な構造であるため、実装装置6をコンパクトに構成することができる。以下、図1から図4を参照して各構成について詳しく説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る実装装置6を備えた実装システム1の一例の概略的な構成を示す平面図である。図示した例では、ローダ4、ディスペンサ5、実装装置6、外観検査装置7、オフローダ8と、それらに跨って配置された搬送ライン3と、を備えている。本実施形態は、そのような実装システム1が単一の筐体2内に収容されていることが特徴の一つである。
【0021】
搬送ライン3は、基板101を第1方向Xに搬送する。以下の説明では、基板101の平面視において第1方向X(X軸方向)に交差する方向を第2方向Y(Y軸方向)とし、第1及び第2方向X,Yを含むXY平面に交差する方向を第3方向Z(Z軸方向)とする。
【0022】
図示した例では、第1乃至第3方向X,Y,Zが互いに直交している。なお、第1乃至第3方向X,Y,Zは直角以外の角度で交差していてもよい。図示した例では、XY平面が水平面であり、第3方向Zが鉛直方向である。なお、XY平面が水平面から僅かに傾斜していてもよいし、第3方向Zが鉛直方向から僅かに傾斜していてもよい。
【0023】
搬送ライン3は、例えば、リニアモータ、X軸ステージ(スライダ)9、コントローラ等で構成されたリニアコンベヤモジュールであり、X軸ステージ9の上に基板を載せて搬送し、コントローラでX軸ステージ9の速さ、停止位置等を制御して、高速かつ高精度に基板101を動かすことができる。搬送ライン3は、リニアコンベヤモジュールに限定されず、ベルトコンベヤやローラコンベヤ、寸動が可能なチャッキング送り機構等であってもよい。
【0024】
ローダ4は、搬送ライン3に基板101を供給する。オフローダ8は、電子部品103が実装された状態の基板101を搬送ライン3から回収する。ディスペンサ5は、基板101の表面に銀ペースト等の導電性接着剤102を塗布する。実装装置6は、導電性接着剤102が塗布された状態の基板101に電子部品103を搭載する。
【0025】
外観検査装置7は、基板101の表裏を検査して電子部品103が基板101に導電接合されていることを確認する。なお、ディスペンサ5が銀ペーストに替えてはんだを塗布するように構成してもよい。その場合、実装装置6と外観検査装置7との間にはんだを溶融させるリフロー装置を追加すればよい。外観検査装置7の後に設けてもよい。
【0026】
図2は、図1に示されたヘッド12を搬送ライン3の上流側から見た斜視図である。図2に示すように、実装装置6は、電子部品103を保持して基板101に搭載するヘッド12を備えた複数のヘッドユニット10と、複数のヘッドユニット10を基板101の表面に平行に移動させるヘッド移動機構20と、各々のヘッド12に電子部品103を供給する少なくともフィーダ30と、を備えている。
【0027】
図示した例では、六基のヘッドユニット10が実装装置6に設けられ、第2方向Yに沿って一列に並べられている。各々のヘッドユニット10は、後述するヘッド移動機構20のY軸ステージ22に取り付けられた胴部11と、胴部11から搬送ライン3に向かって昇降可能なヘッド12と、を備えている。胴部11には、各々のヘッド12を第3方向Zに沿って昇降させるZ軸モータ、各々のヘッド12をZ軸周りに回転させるR軸モータ等が設けられている。Z軸モータ及びR軸モータは、例えば、小型のサーボモータである。各々のヘッド12には、電子部品103を吸着する吸着ノズル等が設けられている。
【0028】
ヘッド移動機構20は、搬送ライン3を横断するように第2方向Yに沿って延在するY軸テーブル21(ガイドレール)と、Y軸テーブル21に沿って第2方向Yに移動可能なY軸ステージ22と、Y軸ステージ22を駆動するY軸モータ23と、を備えている。Y軸テーブル21は、筐体2の一部を構成するフレーム50(図3に示す)に固定されていてX軸方向において移動しない。
【0029】
フィーダ30は、例えば、長手方向Lに沿って延在するホルダ31と、ホルダ31保持されたリール32(図1に示す)と、リール32に巻回されたテープ33(図1に示す)と、を備えたテープフィーダとして構成されている。そのようなフィーダ30は、ホルダ31に内蔵されたモータでリール32を回転させてテープ33を巻き戻し、テープ33に保持されている電子部品103をヘッド12に供給する。
【0030】
フィーダ30の構成はテープフィーダに限定されず、トレイに保持された電子部品103を供給するトレイフィーダであってもよいし、スティックに保持された電子部品103を供給するスティックフィーダであってもよいし、他種のフィーダであってもよい。
【0031】
部品供給を高速化するために、複数のフィーダ30が複数のヘッド12に電子部品103を供給するように構成してもよいし、筐体2内のスペースを省略するために、一台のフィーダ30が複数のヘッド12に電子部品103を供給するように構成してもよい。図示した例では、六基のヘッド12に対応して六台のフィーダ30が実装装置6に設けられ、それらのフィーダ30が第2方向Yに積層されている。
【0032】
各々のフィーダ30において、ホルダ31の長手方向Lにおけるサイズは、ホルダ31の短手方向及び厚み方向におけるサイズよりも大きい。特許文献1等が参照されるように、従来の実装装置では、フィーダ30の長手方向Lが搬送ラインの延在方向である第1方向Xに直交するように配置されていた。本実施形態は、図2に示すように、各々のフィーダ30は、その長手方向Lが第1方向Xと平行になるように配置されていることが特徴の一つである。
【0033】
図示した例では、実装装置6が、基板位置認識カメラ41、部品位置認識カメラ42、フィーダ位置認識カメラ43等の各種カメラ、不良品の電子部品が紛れていた場合に回収する廃棄ボックス44を更に備えている。基板位置認識カメラ41は、搬送ライン3に設けられ、ヘッド12の直下に搬送されてきた基板101をヘッド12が来ていない時に上より撮像して基板101の電子部品の搭載工程ごとの基板上の各パイロットピン孔の位置情報を取得する。部品位置認識カメラ42は、ヘッド12のY軸移動上の途中に設けられ、ヘッド12に吸着されている電子部品103を下より撮像して電子部品103の位置情報を取得する。
【0034】
フィーダ位置認識カメラ43は、Y軸ステージ22に設けられ、フィーダ30のポケットの位置を撮像してフィーダ30の位置情報を取得する。図示した例では、フィーダ位置認識カメラ43が、第3方向Zに延在するヘッドユニット10と平行に配置され、複数のヘッドユニット12とともに第2方向Yにおいて一列に並ぶように配置されている。各種カメラ41,42,43が撮像した画像データは、実装装置6の動きを制御する制御部に取得され、ヘッド移動機構20がフィーダ30とヘッド12との位置を調整したり、搬送ライン3が基板101とヘッド12との位置を調整したりする際の誤差補正に用いられる。
【0035】
図3は、図1に示された実装装置6を搬送ライン3の下流側から見た斜視図である。図4は、図3に示されたフィーダ30を取り外して搬送ライン3を見た斜視図である。図3及び図4に示すように、本実施形態は、従来の実装装置のヘッド移動機構に存在したX軸テーブルとその駆動源が省略されていることが特徴の一つである。
【0036】
搬送ライン3は、複数のヘッド12が第1方向X及び第2方向Yの双方と直交する第3方向Zにおいて複数のヘッド12の各々が基板101に接近又は離間して移動する動作に応じて、基板101を第1方向Xに順次移動させる。
【0037】
前述したように、搬送ライン3は、基板101を正確に移動させることができるモータを備えている。そのため、第1方向Xに基板101を順次移動させた際に各々のヘッド12と基板101との相対位置を確実に調整することができる。
【0038】
図5は、本発明の一実施形態の実装装置を用いた実装方法の一例を説明するフローチャートである。この実装方法では、まず、搬送ライン3が、導電性接着剤102の塗布された基板101を第1方向Xに搬送して、実装装置6内に基板101を配置する(ステップS1)。なお、導電性接着剤102が塗布された基板101は、ローダ4が基板101を供給し、ディスペンサ5が基板に101に導電性接着剤を塗布することにより得ることができる。
【0039】
次いで、複数のヘッドユニット10が取り付けられたY軸ステージ12が第2方向Yに移動してヘッド12をフィーダ30に対向させる。複数のヘッド12の各々は、フィーダ30から受け取った電子部品103を吸着ノズル等に保持する(ステップS2)。例えば、フィーダ位置認識カメラ43を用いて各々のヘッド12とフィーダ30との相対位置を取得することにより、それらを正確に位置合わせすることができる。なお、ステップS1の後にステップS2を行ってもよいし、ステップS2の後にステップS1を行ってもよいし。ステップS1とステップS2とを同時に行ってもよい。
【0040】
本実施形態では、電子部品103を保持した各々のヘッド12が、基板101の平面視において各々の電子部品103を第1方向Xに移動させない。一方で、複数のヘッドユニット10が取り付けられたY軸ステージ12が第2方向Yに移動することにより、各々の電子部品103を第2方向Yに移動させる(ステップS3)。
【0041】
詳しく述べると、基板101の所定の位置に対して第2方向Yにおける相対位置のみを位置合わせするように、各々の電子部品103を第2方向Yに移動させる。基板101の所定の位置とは、例えば、導電性接着剤やはんだが塗布された位置、電子部品103のリード端子を挿入するスルーホール(パイロットピン孔)の位置等である。
【0042】
なお、本実施形態において、電子部品103を第1方向Xに移動させないとは、ヘッド12が第3方向Zにおいて昇降する電子部品103の一連の実装処理において、従来の実装装置では第2方向Yに可動であったのに対し、本実施形態では第1方向Xにおいてヘッド12が固定されていることを特定している。つまり、ヘッド12が昇降する実装処理ではない工程において電子部品103が第1方向で可動である構成であっても本実施形態に含まれる。例えば、メンテナンス等の発明の要旨とは関係ない工程で電子部品103が第1方向で可動であってもよい。
【0043】
前述したように、各々のヘッド12は第3方向Zに昇降して基板101に対して接近又は離間できる。搬送ライン3は、各々のヘッド12が基板101に接近又は離間する動作に応じて、基板101を第1方向Xに順次移動させ、基板101の所定の位置に対して第1方向Xにおける相対位置のみを位置合わせする(ステップS4)。
【0044】
詳しく述べると、ヘッド12の昇降動作に同期して、基板101を第1方向Xに搬送することが可能な搬送ライン3が実装装置6内において基板101を微小距離で進退させることにより、第1方向Xにおいて固定されたヘッド12に対して基板101を位置合わせする。このような位置合わせ(微小な移動)を順次行うことにより、基板101のすべての所定の位置に対してヘッド12の位置を合わせることができる。なお、ステップS3の後にステップS4を行ってもよいし、ステップS4の後にステップS3を行ってもよいし。ステップS3とステップS4とを同時に行ってもよい。
【0045】
基板101の表面に接近するヘッド12は、実装装置6のY軸ステージ12により第2方向Yにおいて基板101とヘッド12とが位置合わせされ、搬送装置3のX軸ステージ32によって第1方向Xにおいて基板101とヘッド12とが位置合わせされた状態で基板101の所定の位置に電子部品103を搭載する(ステップS5)。以降、基板101の所定の位置すべてに電子部品103を搭載するまでステップ3とステップ4とを繰り返す(ステップ6)。基板101の所定の位置に搭載するための電子部品103がヘッド12に保持されていない場合、ステップ2まで戻ってヘッド12にフィーダ30から電子部品103を供給する(ステップ7)。
【0046】
以上のように構成された本実施形態の実装装置6は、従来の実装装置のようなXYの二軸のヘッド移動機構ではなく、第2方向Yのみにヘッド12を移動させる移動機構と、第1方向Xのみにヘッド12を移動させる移動機構と、二軸の移動機構が実装装置6と搬送装置3とに分割されて搭載されている。
【0047】
そのため、本実施形態の実装装置6、実装装置6を用いた実装システム1、及び、実装装置6を用いた実装方法によれば、実装装置6のヘッド移動機構20について、部品点数を削減した簡素な構造にできる。第1方向Xにヘッド12を移動させる機構を省略して当該校正が占有していた分のスペースを小型化できる。コストを削減し、コンパクトな実装装置6を提供することができる。
【0048】
さらに、本実施形態によれば、フィーダ30の長手方向Lと搬送ライン3とを平行に配置してフィーダ30が第2方向Yにおいて突出していた分のスペースを小型化し、よりコンパクトな実装装置6を提供することができる。ローダ4からオフローダ8までの全工程が一台の筐体2に収容されているため、実装装置6を含む実装システム1の占有面積を小さくできる。
【0049】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1…実装システム、2…筐体、3…搬送ライン、4…ローダ、5…ディスペンサ、6…実装装置、7…外観検査装置、8…オフローダ、9…X軸ステージ、10…ヘッドユニット、11…胴部、12…ヘッド、20…ヘッド移動機構、21…Y軸テーブル、22…Y軸ステージ、23…Y軸モータ、30…フィーダ、31…ホルダ、32…リール、33…テープ、41…基板位置認識カメラ、42…部品位置認識カメラ、43…フィーダ位置認識カメラ、44…廃棄ボックス、50…フレーム、101…基板、102…導電性接着剤、103…電子部品、L…長手方向、S1~S2…実装方法、X…第1方向、Y…2方向、Z…第3方向。
図1
図2
図3
図4
図5