IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 東京スターメガネの特許一覧

<>
  • 特開-メガネ選定支援システム及び方法 図1
  • 特開-メガネ選定支援システム及び方法 図2
  • 特開-メガネ選定支援システム及び方法 図3A
  • 特開-メガネ選定支援システム及び方法 図3B
  • 特開-メガネ選定支援システム及び方法 図3C
  • 特開-メガネ選定支援システム及び方法 図3D
  • 特開-メガネ選定支援システム及び方法 図3E
  • 特開-メガネ選定支援システム及び方法 図3F
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005458
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】メガネ選定支援システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G02C 13/00 20060101AFI20230111BHJP
   A61B 3/028 20060101ALI20230111BHJP
   A61B 3/103 20060101ALI20230111BHJP
   G06Q 30/06 20230101ALI20230111BHJP
【FI】
G02C13/00
A61B3/028
A61B3/103
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021107387
(22)【出願日】2021-06-29
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】513169087
【氏名又は名称】株式会社 東京スターメガネ
(74)【代理人】
【識別番号】100135965
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 要泰
(74)【代理人】
【識別番号】100100169
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 剛
(72)【発明者】
【氏名】藤本 祥一
【テーマコード(参考)】
2H006
4C316
5L049
【Fターム(参考)】
2H006DA05
4C316AA13
4C316AA15
4C316FB01
4C316FB14
4C316FC14
4C316FC21
4C316FZ01
5L049BB24
5L049BB44
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、新しい眼鏡を購入する場合に、それを様々な生活場面で使用しても、適合する眼鏡を選択することができるメガネ選定支援システム及び方法を提供することにある。
【解決手段】本発明に係るメガネ選定支援システムは、その一面において、少なくとも眼鏡陳列・販売エリアと視力検査エリアとを有する眼鏡販売店舗のための眼鏡選定支援システムであって、顧客が試用眼鏡を装着した状態で様々な生活場面を模擬体験するためのシミュレーションエリアと、前記シミュレーションエリアにおける顧客の前記模擬体験結果に基づいて作成された前記試用眼鏡の試用レンズ評価表とを備え、前記試用レンズ評価表に基づいて作成したアドバイスに基づいて、前記試用眼鏡のレンズを適否が決定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも眼鏡陳列・販売エリアと視力検査エリアとを有する眼鏡販売店舗のための眼鏡選定支援システムにおいて、
顧客が試用眼鏡を装着した状態で様々な生活場面を模擬体験するためのシミュレーションエリアと、
前記シミュレーションエリアにおける顧客の前記模擬体験結果に基づいて作成された前記試用眼鏡の試用レンズ評価表とを備え、
前記試用レンズ評価表に基づいて作成したアドバイスに基づいて、前記試用眼鏡のレンズを適否が決定される、眼鏡選定支援システム。
【請求項2】
請求項1記載の眼鏡選定支援システムにおいて、
前記シミュレーションエリアとして、顧客が見る対象物までの距離を、遠方(数十メートル先)、中間(数メートル先)、及び手許(1メートル以内)に分類し、夫々の距離において少なくとも1つのシミュレーションエリアが設けられている、眼鏡選定支援システム。
【請求項3】
請求項1記載の眼鏡選定支援システムにおいて、
前記シミュレーションエリアとして、次の1つ以上を備えた眼鏡選定支援システム。
(1)乗用車の運転席を備えた運転シミュレーションエリア
(2)室内階段を備えた階段シミュレーションエリア
(3)室内パターゴルフ場を備えたゴルフシミュレーションエリア
(4)テレビ画面とリモコン装置と椅子を備えたテレビ視聴シミュレーションエリア
(5)調理台及び調理器具を備えたクッキングシミュレーションエリア
(6)机上に設けられたパーソナルコンピュータを備えたパソコン操作シミュレーションエリア
【請求項4】
請求項1に記載の眼鏡選定支援システムにおいて、更に、
携帯型電子機器と該携帯型電子機器に無線LANによって接続されたコンピュータを備え、
前記顧客は前記携帯型電子機器の画面に表示された前記レンズ評価表にレンズの評価を入力し、前記アドバイスは前記コンピュータによって自動的に作成される、眼鏡選定支援システム。
【請求項5】
眼鏡陳列・販売エリアと視力検査エリアとレンズ加工エリアを有する眼鏡販売店舗のための眼鏡選定支援方法において、
顧客が試用眼鏡を装着した状態で実生活を模擬体験するシミュレーションステップと、
前記顧客が前記模擬体験した結果に基づいて前記試用眼鏡のレンズの評価をレンズ評価表に記入するレンズ評価ステップと、
前記眼鏡販売店舗が、前記レンズ評価表に基づいて作成したアドバイスを前記顧客に提示するアドバイスステップと、
前記顧客が、前記レンズ評価表と前記アドバイスに基づいて、前記試用眼鏡のレンズを交換するか否かを決定するレンズ選定ステップとを含み、
前記シミュレーションステップは、次のステップの少なくとも1つを有する、眼鏡選定支援方法。
(1)乗用車の運転の模擬体験を行う運転シミュレーションステップ
(2)室内階段の上り下りの模擬体験を行う階段シミュレーションステップ
(3)室内ゴルフ場の模擬体験を行うゴルフシミュレーションステップ
(4)テレビ視聴の模擬体験を行うテレビシミュレーションステップ
(5)調理の模擬体験を行うキッチンシミュレーションステップ
(6)パーソナルコンピュータの操作の模擬体験を行うパソコンシミュレーションステップ
【請求項6】
請求項5に記載の眼鏡選定支援方法において、
前記レンズ評価表は、携帯型電子機器の画面に表示され、前記アドバイスは、前記携帯型電子端末に無線LANによって接続されたコンピュータによって作成される、眼鏡選定支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡販売店において顧客が眼鏡を選定するための眼鏡選定支援システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来一般に、眼鏡販売店で眼鏡を購入する場合、先ず、視力検査を行って適正なレンズを選択する。次に、レンズ加工を行い、予め選択したフレームに挿入して、完成品である眼鏡を作る。
【0003】
特許文献1には、視覚対象物とレンズの間の距離を任意に設定可能な眼鏡レンズ試用装置が記載されている。特許文献2には、通路を通行する人が立ち止まった状態で眼屈折力測定装置を利用することができる眼鏡販売支援用検眼システムの例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-308616号公報
【特許文献2】特開2002-336198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、眼鏡販売店の店頭において、短時間で、違和感のない適正な眼鏡を選択することは困難な場合がある。購入した眼鏡を使用したとき、実生活における様々な動作、又は作業を行うと、眼鏡が適正でないと感じる場合がある。例えば、老眼鏡は、遠方を見る場合、近くを見る場合等、様々な生活場面で試さなければ、本当に適合しているか否かが分からない場合がある。
【0006】
本発明の目的は、新しい眼鏡を購入する場合に、それを様々な生活場面で使用しても、適合する眼鏡を選択することができるメガネ選定支援システム及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るメガネ選定支援システムは、その一面において、少なくとも眼鏡陳列・販売エリアと視力検査エリアとを有する眼鏡販売店舗のための眼鏡選定支援システムであって、顧客が試用眼鏡を装着した状態で様々な生活場面を模擬体験するためのシミュレーションエリアと、前記シミュレーションエリアにおける顧客の前記模擬体験結果に基づいて作成された前記試用眼鏡の試用レンズ評価表とを備え、前記試用レンズ評価表に基づいて作成したアドバイスに基づいて、前記試用眼鏡のレンズを適否が決定される。
【0008】
更に、上記眼鏡選定支援システムでは、前記シミュレーションエリアとして、顧客が見る対象物までの距離を、遠方(数十メートル先)、中間(数メートル先)、及び手許(1メートル以内)に分類し、夫々の距離において少なくとも1つのシミュレーションエリアが設けられていてもよい。
【0009】
更に、上記眼鏡選定支援システムでは、前記シミュレーションエリアとして、次の1つ以上を備えた眼鏡選定支援システムであってよい。
(1)乗用車の運転席を備えた運転シミュレーションエリア
(2)室内階段を備えた階段シミュレーションエリア
(3)室内パターゴルフ場を備えたゴルフシミュレーションエリア
(4)テレビ画面とリモコン装置と椅子を備えたテレビ視聴シミュレーションエリア
(5)調理台及び調理器具を備えたクッキングシミュレーションエリア
(6)机上に設けられたパーソナルコンピュータを備えたパソコン操作シミュレーションエリア
【0010】
更に、上記眼鏡選定支援システムでは、携帯型電子機器と該携帯型電子機器に無線LANによって接続されたコンピュータを備え、前記顧客は前記携帯型電子機器の画面に表示された前記レンズ評価表にレンズの評価を入力し、前記アドバイスは前記コンピュータによって自動的に作成されようにしてもよい。
【0011】
本発明に係るメガネ選定支援方法は、その一面において、眼鏡陳列・販売エリアと視力検査エリアとレンズ加工エリアを有する眼鏡販売店舗のための眼鏡選定支援方法であって、顧客が試用眼鏡を装着した状態で実生活を模擬体験するシミュレーションステップと、前記顧客が前記模擬体験した結果に基づいて前記試用眼鏡のレンズの評価をレンズ評価表に記入するレンズ評価ステップと、前記眼鏡販売店舗が、前記レンズ評価表に基づいて作成したアドバイスを前記顧客に提示するアドバイスステップと、前記顧客が、前記レンズ評価表と前記アドバイスに基づいて、前記試用眼鏡のレンズを交換するか否かを決定するレンズ選定ステップとを含み、前記シミュレーションステップは、次のステップの少なくとも1つを有する。
(1)乗用車の運転の模擬体験を行う運転シミュレーションステップ
(2)室内階段の上り下りの模擬体験を行う階段シミュレーションステップ
(3)室内ゴルフ場の模擬体験を行うゴルフシミュレーションステップ
(4)テレビ視聴の模擬体験を行うテレビシミュレーションステップ
(5)調理の模擬体験を行うキッチンシミュレーションステップ
(6)パーソナルコンピュータの操作の模擬体験を行うパソコンシミュレーションステップ
【0012】
更に、上記メガネ選定支援方法では、前記レンズ評価表は、携帯型電子機器の画面に表示され、前記アドバイスは、前記携帯型電子端末に無線LANによって接続されたコンピュータによって作成されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、新しい眼鏡を購入する場合に、それを様々な生活場面で使用しても、適合する眼鏡を選択することができるメガネ選定支援システム及び方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本実施形態に係る眼鏡販売店舗を含む眼鏡選定支援システムの一例の平面構成を示す図である。
図2図2は、本実施形態による眼鏡選定支援システムにおける顧客と販売員の動作の例を説明する図である。
図3A図3Aは、本実施形態による運転シミュレーションエリアの例を説明する図である。
図3B図3Bは、本実施形態による階段シミュレーションエリアの例を説明する図である。
図3C図3Cは、本実施形態によるゴルフシミュレーションエリアの例を説明する図である。
図3D図3Dは、本実施形態によるテレビ視聴シミュレーションエリアの例を説明する図である。
図3E図3Eは、本実施形態によるクッキングシミュレーションエリアの例を説明する図である。
図3F図3Fは、本実施形態によるPC操作シミュレーションエリアの例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るメガネ選定支援システム及び方法の実施形態に関して、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同一の要素に対しては同一の参照符号を付して重複した説明を省略することを承知されたい。
【0016】
図1は、本実施形態に係る眼鏡販売店舗を含む眼鏡選定支援システムの一例の平面構成を示す図である。眼鏡選定支援システムは、眼鏡販売店舗10とシミュレーションエリア20を備えている。眼鏡販売店舗10は、少なくとも、陳列・販売エリア102、及び視力検査エリア104を備えている。更に、眼鏡販売店舗10は、レンズ加工エリア106を備えていてもよい。陳列・販売エリア102は、フレーム陳列部、及び会計台を有する。視力検査エリア104は、例えば、検眼機、視力計、レフラクトメータ、レンズメータ等を有する。レンズ加工エリア106は、例えば、レンズ加工機、レンズ軸打機等を有する。
【0017】
シミュレーションエリア20は、例えば、運転シミュレーションエリア201、階段シミュレーションエリア202、ゴルフシミュレーションエリア203、テレビ視聴シミュレーションエリア204、クッキングシミュレーションエリア205、及び、PC操作シミュレーションエリア206等を含む。これらのエリアの設備及び機能については後に詳細に説明する。
【0018】
図2を参照して、本実施形態に係る眼鏡販売店舗を訪れた顧客と眼鏡販売店側の動作の例を説明する。ステップS101にて、顧客は、視力検査結果に基づいて試用レンズ(トライアルレンズ)が選択される。ステップS102にて、販売員は、試用レンズを試用フレーム(試用眼鏡枠)に挿入して試用眼鏡を組み立てる。ステップS103にて、顧客は、試用眼鏡を装着する。ステップS104にて、顧客は、試用眼鏡を掛けた状態で、各シミュレーションエリアにおいて、様々な生活場面の模擬体験を行う。ステップS105にて、顧客は、各シミュレーションエリアにおける模擬体験に基づいて、試用レンズ評価表に試用眼鏡に対する評価を記入する。この評価として、例えば、見え方、フィット感等がある。
【0019】
試用レンズ評価表の例は後に詳細に説明する。試用レンズ評価表は、各シミュレーションエリアに備えられたタブレット型電子機器又は顧客の携帯端末の画面に表示される。各シミュレーションエリアにおいて試用レンズ評価表に顧客が入力したレンズ評価は、無線LAN等を経由して、眼鏡販売店舗に設けられたコンピュータに送られる。ステップS106にて、眼鏡販売店舗のコンピュータは、試用レンズ評価表に基づいて、試用レンズの適・不適、及び不適の場合の理由等を含むアドバイスを自動的に作成し顧客に示す。
【0020】
ステップS107にて、顧客は、このアドバイスを参考にして、試用レンズの採用又は交換、及び交換する場合には一部又は全部の交換を決める。試用レンズを交換する場合には、ステップS101に戻り、再び試用レンズを選択する。以下、ステップS102~ステップS107を繰り返す。こうして、顧客が、満足する試用レンズを選定したら、販売員は、それを予め選択された眼鏡フレームに挿入して販売品である眼鏡を作る。
【0021】
図3Aから図3Fを参照して本実施形態によるシミュレーションエリアの構成例を説明する。以下に、顧客が老眼鏡を購入する場合を例として説明する。しかしながら、本発明は老眼鏡を購入する場合に限定されるものではなく、老眼鏡以外の眼鏡を購入する場合にも適用可能であることに留意されたい。
【0022】
老眼は、加齢によって目のピント調節機能が衰えることであり、40歳代になると進行する。これは、コラーゲンを主成分とする水晶体の弾力性が減少することが原因であると言われている。ピント調節機能が損なわれると、焦点が合う範囲が狭くなる。特に、近くのものを見ようとするとピントが合わず、視界がぼやけるようになる。一般に、老眼度数の目安として、40乃至48歳は+1.00、45乃至53歳は+1.50、50乃至58歳は+2.00、55乃至63歳は+2.50、60歳以上は+3.00と言われている。眼科で行われる視力検査では、ランドルト環と呼ばれるアルファベットの「C」に似た記号が書かれた検査表が用いられる。被検査者は、検査表を一定の距離から見て、環の切れ目の位置が識別できるかどうかを答える。
【0023】
老眼鏡用のレンズには、単焦点レンズと多焦点レンズがある。単焦点レンズは、1枚のレンズが1個のピント補正機能を備える。老視用の単焦点メガネレンズは主として手元を補正する近用レンズである。多焦点レンズは1枚のレンズが複数のピント補正機能を備えるものであり、遠近両用レンズ、中近両用レンズ、近近両用レンズがある。
【0024】
近年、老眼鏡用の多焦点レンズでは、累進レンズが主流となっている。累進レンズは、1枚のレンズが複数の焦点(度)を有する多焦点レンズであるが、屈折率が連続的に変化している。そのため、焦点領域の境界が不明瞭であり、見た目では普通のレンズと区別がつかない。累進レンズは、遠くから手元まで見える遠近両用レンズ、手元から3~5mがよく見える室内向け中近両用レンズ、手元から1m先までよく見えるデスクワーク向けの近近両用レンズを含む。外出用の遠近両用メガネとデスクワーク用の近近両用メガネを備えることが理想的である。
【0025】
様々な生活場面では、顧客が見る対象物までの距離が異なる。例えば、大別すると、(1)遠方(数十メートル先)、(2)中間(数メートル先)、(3)手許(1メートル以内)に分類される。シミュレーションエリア20には、遠方、中間、及び手許の夫々の距離において、少なくとも1つのシミュレーションエリアを設けることが好ましい。更に、(2)中間(数メートル先)を細かく分類し、例えば、近中間(1~5メートル)、遠中間(6~10メートル)のようにしてもよい。
【0026】
本実施形態では、表1に示すようなシミュレーション方法を例示する。
【表1】
【0027】
図3Aは運転シミュレーションエリアの例を示す。運転シミュレーションエリアには、乗用車の運転席、ハンドル、ダッシュボード、フロントガラス等が備えられている。ここで、試用眼鏡を装着した顧客は、乗用車の運転の模擬体験をすることができる。試用眼鏡を装着した顧客は、運転席に座り、手元のダッシュボードの計器・カーナビ類を見たのちに、フロントガラス越しに前方を見ることができる。それにより、例えば、試用レンズが遠近両用レンズの場合に、遠方と近方を見たときの見え方、フィット感を評価することができる。
【0028】
図3Bは階段シミュレーションエリアの例を示す。階段シミュレーションエリアには室内階段が設けられている。ここで、試用眼鏡を装着した顧客は、階段の上がり下りの模擬体験をすることができる。試用眼鏡を装着した顧客は、階段を上り下りしながら、足元と、遠方を見ることができる。それにより、例えば、試用レンズが中近両用レンズの場合に、中間距離と近方を見たときの見え方、フィット感を評価することができる。
【0029】
図3Cはゴルフシミュレーションエリアの例を示す。ゴルフシミュレーションエリアには、室内パターゴルフ練習場が設けられ、ゴルフクラブとゴルフボールが備えられている。ここで、試用眼鏡を装着した顧客は、室内ゴルフの模擬体験をすることができる。試用眼鏡を装着した顧客は、ゴルフクラブでゴルフボールを打ちながら、足元と前方のホール及びピンを見ることができる。それにより、例えば、試用レンズが中近両用レンズの場合に、中間距離と近方を見たときの見え方、フィット感を評価することができる。
【0030】
図3Dはテレビ視聴シミュレーションエリアの例を示す。テレビ視聴シミュレーションエリアには、椅子とその前方に配置された表示装置とリモコン装置が設けられている。ここで、試用眼鏡を装着した顧客は、テレビ視聴の模擬体験をすることができる。試用眼鏡を装着した顧客は、椅子に座った状態で、前方のテレビ画面と手元のリモコン装置を交互に見ることができる。それにより、例えば、試用レンズが中近両用レンズの場合に、中間距離と近方を見たときの見え方、フィット感を評価することができる。
【0031】
図3Eはキッチンにおけるクッキングシミュレーションエリアの例を示す。クッキングシミュレーションエリアには調理台、まな板、包丁等が設けられている。ここで、試用眼鏡を装着した顧客は、調理の模擬体験をすることができる。試用眼鏡を装着した顧客は、包丁でまな板の上のものを切りながら、周囲を見ることができる。それにより、例えば、試用レンズが中近両用レンズ又は近近両用レンズの場合に、中間距離と近方を見たときの見え方、フィット感を評価することができる。
【0032】
図3FはPC操作シミュレーションエリアの例を示す。PC操作シミュレーションエリアには、机、椅子、キーボード、マウス及びモニタを含むパソコン一式が設けられている。ここで、試用眼鏡を装着した顧客は、PC操作の模擬体験をすることができる。試用眼鏡を装着した顧客は、モニタを見ながら、手元のキーボード又はマウスを見ることができる。それにより、例えば、試用レンズが近近両用レンズの場合に、近方を見たときの見え方、フィット感を評価することができる。
【0033】
【表2】
【0034】
本実施形態によるレンズ評価表は、レンズ種別を選択する欄と試用レンズに対する評価を記入する欄を含む。例えば、シミュレーション1から6の欄には、運転シミュレーションエリア201、階段シミュレーションエリア202、ゴルフシミュレーションエリア203、テレビ視聴シミュレーションエリア204、クッキングシミュレーションエリア205、及び、PC操作シミュレーションエリア206における模擬体験に基づいて判定した試用レンズの評価を記入することができる。
【0035】
顧客は、レンズ種別において、遠近両用、中近両用、近近両用の何れかを選択する。図示の例では、遠近両用が選択されている。更に、顧客は、各シミュレーションの模擬体験に基づいて、見え方、フィット感等の試用レンズに対する評価値を記入する。評価値は、2段階評価(○,×)、3段階評価(○,△,×)、5段階評価(良 5,4,3,2,1否)の何れかであってよい。更に、両眼で見た場合、(左レンズの前方を遮蔽して)右眼で見た場合、(右レンズの前方を遮蔽して)左眼で見た場合に分けて、評価してもよい。各シミュレーションに対する評価と、全シミュレーションに対する総合判定を記載するように構成されている。
【0036】
レンズ評価表は、紙媒体に印刷されたものであってもよいが、好ましくは、眼鏡販売店舗側が用意したタブレット型電子機器、又は、顧客が持参した携帯端末装置(例えば、スマートフォン等)の画面に表示される。顧客は、画面に表示されたレンズ評価表に評価を入力する。レンズ評価表は、無線LAN等を経由して、眼鏡販売店舗に設けられたコンピュータに送信される。
【0037】
眼鏡販売店舗のコンピュータは、レンズ評価表に基づいて自動的にアドバイスを作成し、顧客に提示する。尚、販売員は、口頭で顧客にアドバイスの内容を説明してもよい。アドバイスの内容は、顧客の年齢、性別、老眼度、レンズ種別毎に異なる。例えば、顧客が遠近両用メガネを購買予定の場合、遠方を見る模擬体験、中間を見る模擬体験、及び手許を見る模擬体験の総合評価に基づいてアドバイスを与える。顧客は、提示されたアドバイスを参考として、試用レンズを交換するか否かを決める。
【0038】
顧客が入力したレンズ評価表のデータは、眼鏡販売店舗の記憶装置に保存される。このデータは、顧客がレンズを選定する場合に注意すべき点、問題点、その解決方法等に利用されることができる。
【0039】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は以上の実施の形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、実施の形態に種々の変更を加えられることは明白である。本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載によって定められる。
【符号の説明】
【0040】
1…眼鏡選定支援システム、10…眼鏡販売店舗、20…シミュレーションエリア、102…眼鏡陳列・販売エリア、104…視力検査エリア、106…レンズ加工エリア、201…運転シミュレーションエリア、202…階段シミュレーションエリア、203…ゴルフシミュレーションエリア、204…テレビ視聴シミュレーションエリア、205…クッキングシミュレーションエリア、206…PC操作シミュレーションエリア
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F