(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054626
(43)【公開日】2023-04-14
(54)【発明の名称】ローラ刷毛の洗浄保持具
(51)【国際特許分類】
B05C 17/02 20060101AFI20230407BHJP
B08B 13/00 20060101ALI20230407BHJP
B04B 3/00 20060101ALN20230407BHJP
【FI】
B05C17/02
B08B13/00
B04B3/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163595
(22)【出願日】2021-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】521432959
【氏名又は名称】株式会社堀建装
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】弁理士法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】堀 臣孝
【テーマコード(参考)】
3B116
4D057
4F042
【Fターム(参考)】
3B116AA46
3B116AB33
3B116AB42
3B116AB52
3B116CD23
4D057AA16
4D057AB01
4D057AC01
4D057AC05
4D057AD01
4D057AE01
4D057AE17
4D057BB11
4F042AA01
4F042AB00
4F042DH01
4F042FA12
4F042FA19
(57)【要約】
【課題】ローラ刷毛を安定して保持して洗浄することのできる、ローラ刷毛の洗浄保持具を提供する。
【解決手段】ローラ刷毛の洗浄保持具1は、軸体10と、軸体10の所定位置に取り付けられる第1挿入部21であって、弾性変形可能な複数の爪部211、・・・を有し、ローラ刷毛(R)の基端側が外挿される、第1挿入部21と、軸体10の第1挿入部21よりも先端側に取りつけられる第2挿入部22であって、弾性変形可能な複数の爪部221、・・・を有し、ローラ刷毛(R)の先端側が外挿される、第2挿入部22と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸体と、
前記軸体の所定位置に取り付けられる第1挿入部であって、弾性変形可能な複数の爪部を有し、ローラ刷毛の基端側が外挿される、第1挿入部と、
前記軸体の前記第1挿入部よりも先端側に取りつけられる第2挿入部であって、弾性変形可能な複数の爪部を有し、前記ローラ刷毛の先端側が外挿される、第2挿入部と、
を備える、ローラ刷毛の洗浄保持具。
【請求項2】
前記第1挿入部は、前記軸体に対する取り付け位置を調整できるようになっていることで、前記第1挿入部と前記第2挿入部の離間距離を調整できるようになっている、請求項1に記載された、ローラ刷毛の洗浄保持具。
【請求項3】
前記第2挿入部の前記複数の爪部のうち一部の爪部には、前記ローラ刷毛の脱落を防止するために先端近傍に返し構造が形成されている、請求項1又は請求項2に記載された、ローラ刷毛の洗浄保持具。
【請求項4】
前記軸体の基端部は、工具側のチャックに嵌合するように六角形断面に形成されている、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載された、ローラ刷毛の洗浄保持具。
【請求項5】
前記軸体の先端部の側面には、前記軸体の回転中に前記第2挿入部が空回りしないように、前記第2挿入部を連結するための連結孔が設けられている、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載された、ローラ刷毛の洗浄保持具。
【請求項6】
ローラ刷毛の軸径と略同一の外径を有する丸棒状の小径部と、
前記小径部よりも大きい外径を有する丸棒状の大径部と、を一体に備え、
前記小径部の回転をローラ刷毛に伝達する回転伝達手段をさらに備える、ローラ刷毛の洗浄保持具。
【請求項7】
前記回転伝達手段は、前記小径部に挿入される第1ワッシャと、前記小径部の前記第1ワッシャよりも先端側に挿入されるバネと、前記小径部の前記バネよりも先端側に挿入される第2ワッシャと、前記小径部の前記第2ワッシャよりも先端側に挿入されるパッキンと、から構成される、請求項6に記載された、ローラ刷毛の洗浄保持具。
【請求項8】
前記大径部の基端部は、工具側のチャックに嵌合するように六角形断面に形成されている、請求項6又は請求項7に記載された、ローラ刷毛の洗浄保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラ刷毛を回転させて洗浄する際に使用されるローラ刷毛の洗浄保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、塗装用のローラ刷毛として、筒の外側に刷毛が植毛された形態のものが知られている。ローラ刷毛は、ハンドル(塗布具)に回転可能に装着されて、塗料を含浸させて使用される。使用後には、ローラ刷毛は、手で刷毛をしごいて塗料を搾り出して水や溶剤によって洗浄されるが、塗料が残留している場合も多い。
【0003】
そのため特許文献1には、ローラ刷毛を洗浄するために、軸体に線条(ワイヤ)をカゴ状に取り付け、さらに軸体の先端に攪拌用プロペラを固定した洗浄保持具が開示されている。このように洗浄保持具を構成すれば、ペイントの攪拌とローラ刷毛の洗浄(脱水)とを行えるようになる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された従来型の洗浄保持具は、カゴ状に構成された線条(ワイヤ)によってローラ刷毛の中央付近を保持するように構成されている。そのため、ローラ刷毛を電動ドリル(モータ)等で自転させると回転が不安定になり、洗浄できなくなったり、ローラ刷毛が脱落したりする、という問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、ローラ刷毛を安定して保持して洗浄することのできる、ローラ刷毛の洗浄保持具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のローラ刷毛の洗浄保持具は、軸体と、前記軸体の所定位置に取り付けられる第1挿入部であって、弾性変形可能な複数の爪部を有し、ローラ刷毛の基端側が外挿される、第1挿入部と、前記軸体の前記第1挿入部よりも先端側に取りつけられる第2挿入部であって、弾性変形可能な複数の爪部を有し、前記ローラ刷毛の先端側が外挿される、第2挿入部と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
このように、本発明のローラ刷毛の洗浄保持具は、軸体と、第1挿入部と、第2挿入部と、を備えているため、第1挿入部と第2挿入部によってローラ刷毛の両端を安定して保持して洗浄することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1のローラ刷毛の洗浄保持具の斜視図である。
【
図2】第1挿入部と第2挿入部の斜視図である。(a)は第1挿入部であり、(b)は第2挿入部である。
【
図4】ローラ刷毛の洗浄保持具の作用を説明する説明図である。(a)は短いローラ刷毛を装着した状態であり、(b)は長いローラ刷毛を装着した状態である。
【
図5】ローラ刷毛の洗浄保持具の使用状態を説明する説明図である。
【
図6】実施例2のローラ刷毛の洗浄保持具の側面図である。
【
図7】実施例2の回転伝達手段の構成を説明する説明図である。(a)は拡大側面図であり、(b)は部品図である。
【
図8】実施例2のローラ刷毛の洗浄保持具の使用中の構成について説明図である。
【
図9】実施例2の回転伝達手段の使用中の作用について説明する説明図である。(a)はローラ刷毛がずれる前の状態であり、(b)はローラ刷毛がずれた後の状態である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、以下の実施例に記載されている構成要素は例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。以下の実施例では、実施例1でレギュラーローラ(内径38mm)用のローラ刷毛の洗浄保持具について説明し、実施例2でスモールローラ(内径15~16mm)用又はミドルローラ(内径26~27mm)用のローラ刷毛の洗浄保持具について説明する。
【実施例0011】
(構成)
まず、
図1を用いてレギュラーローラ用のローラ刷毛の洗浄保持具1の全体構成を説明する。ローラ刷毛の洗浄保持具1は、
図1に示すように、軸体10と、軸体10の所定位置に取り付けられる第1挿入部21であって、弾性変形可能な複数の爪部211、・・・を有し、ローラ刷毛(R)の基端側が外挿される、第1挿入部21と、軸体10の第1挿入部21よりも先端側に取りつけられる第2挿入部22であって、弾性変形可能な複数の爪部221、・・・を有し、ローラ刷毛(R)の先端側が外挿される、第2挿入部22と、を備えている。
【0012】
すなわち、ローラ刷毛の洗浄保持具1は、所定の長さの円柱状の軸体10の先端側に、第1挿入部21と第2挿入部22とが取り付けられて構成されている。後述するように、第1挿入部21及び第2挿入部22の外側にローラ刷毛Rが挿入されることでこれを保持する。そして、ローラ刷毛Rを保持した状態で洗浄保持具1ごと電動ドリル等によって回転されることで、遠心力によってペイント材料が飛ばされるようになっている。
【0013】
第1挿入部21は、
図2(a)に示すように、中央の円筒部210と、この円筒部210の周囲から立ち上がる複数の(ここでは6つの)爪部211、・・・と、から構成されている。円筒部210の内径は、軸体10の外形と略同一に形成される。
【0014】
爪部211は、円筒部210の一方側を鍔(ツバ)状に拡径した拡径部から、円筒部210の軸線方向と略平行乃至やや外側に倒れるように伸びる。各爪部211の先端は、面取りされており、ローラ刷毛(R)を挿入しやすくなっている。
【0015】
第1挿入部21は、拡径部を先端側にした状態で、換言すると爪部211が先端側から基端側に向かって伸びるような向きで、軸体10に挿入される。そして、本実施例の第1挿入部21は、軸体10に対する取り付け位置を調整できるようになっていることで、第1挿入部21と第2挿入部22の離間距離を調整できるようになっている。例えば、軸体10に複数の取付位置に対応した複数の取付孔を設けてネジで連結するように構成してもよいし、単に摩擦によって摺動できるように構成してもよい。
【0016】
第2挿入部22は、第1挿入部21と略同様に、
図2(b)に示すように、中央の円筒部220と、この円筒部220の周囲から立ち上がる複数の(ここでは6つの)爪部221、・・・と、から構成されている。円筒部220の内径は、軸体10の外形と略同一に形成される。
【0017】
第2挿入部22は、拡径部を基端側にした状態で、換言すると爪部221が基端側から先端側に向かって伸びるような向きで、軸体10に挿入される。そして、本実施例の第2挿入部22の6つの爪部221、・・・のうちの1つの爪部222は、他の爪部221、・・・よりも所定長さだけ長くされており、さらにローラ刷毛(R)の脱落を防止するために先端近傍に返し構造222aが形成されている。なお、1つだけ特別に長い爪部222は、なくてもよく、すべて同じ長さの爪部であってもよい。
【0018】
軸体10は、金属製の所定長さの円柱断面の棒であり、第2挿入部22が空回り(空転)せずに連結できるように一方の端部近傍(先端近傍)に連結孔10bと、他方の端部近傍(基端近傍)に工具側のチャックに嵌合するように六角形断面の六角柱部10aと、を有している。
【0019】
(作用)
次に、
図4(a)、(b)及び
図5を用いて、ローラ刷毛の洗浄保持具1の作用について説明する。まず、ローラ刷毛の洗浄保持具1は、
図4(a)、(b)に示すように、複数の長さのローラ刷毛Rを外挿する(取り付ける)ことができるようになっている。つまり、ローラ刷毛Rの軸線方向の長さに応じて、軸体10に対する第1挿入部21の取付位置を変更することによって、ほぼ全ての長さのローラ刷毛Rに対応できるようになっているのである。
【0020】
そして、ローラ刷毛の洗浄保持具1は、使用時には
図5に示すように、電動ドリルDのチャックcに軸体10の基端部の六角柱部10aを嵌合させて締め付け固定することで、これを簡易かつ確実に保持する。そして、電動ドリルDを回転させることで、ローラ刷毛Rに含浸されている塗料を遠心力によって外側に向かって飛ばすことができるのである。この際には、少なくとも先端側の第2挿入部22が軸体10と連結されているため、軸体10の回転中に第2挿入部22(と第1挿入部21)及びローラ刷毛Rが空回りすることはない。特に、本実施例の洗浄保持具1であれば、ローラ刷毛Rの両端近傍を第1挿入部21及び第2挿入部22で保持するため、ローラ刷毛Rを安定的に回転させることができる。
【0021】
(効果)
次に、本実施例のローラ刷毛の洗浄保持具1の奏する効果を列挙して説明する。
【0022】
(1)上述してきたように、ローラ刷毛の洗浄保持具1は、軸体10と、軸体10の所定位置に取り付けられる第1挿入部21であって、弾性変形可能な複数の爪部211、・・・を有し、ローラ刷毛(R)の基端側が外挿される、第1挿入部21と、軸体10の第1挿入部21よりも先端側に取りつけられる第2挿入部22であって、弾性変形可能な複数の爪部221、・・・を有し、ローラ刷毛(R)の先端側が外挿される、第2挿入部22と、を備えている。このように、ローラ刷毛の洗浄保持具1は、軸体10と、第1挿入部21と、第2挿入部22と、を備えているため、第1挿入部21と第2挿入部22によってローラ刷毛(R)の両端を安定して保持して洗浄することができるようになる。
【0023】
(2)また、第1挿入部21は、軸体10に対する取り付け位置を調整できるようになっていることで、第1挿入部21と第2挿入部22の離間距離を調整できるようになっているため、様々な長さを持つローラ刷毛(R)そ装着して洗浄することができる。
【0024】
(3)さらに、第2挿入部22の複数の爪部221、・・・のうち一部の爪部には、ローラ刷毛(R)の脱落を防止するために先端近傍に返し構造222aが形成されていることで、ローラ刷毛(R)の芯が返し構造222aに係合されるため、ローラ刷毛(R)の脱落を防止することができる。
【0025】
(4)また、軸体10の基端部は、工具側のチャックに嵌合するように六角形断面に形成される六角柱部10aを有しているため、簡易かつ確実に電動ドリルDなどのチャックcと嵌合・締め付け固定できる。
【0026】
(5)さらに、軸体10の先端部の側面には、軸体10の回転中に第2挿入部22が空回りしないように、第2挿入部22を連結するための連結孔10bが設けられているため、回転中の第2挿入部22及びローラ刷毛(R)の空回りを防止できる。
大径部6は、例えば外径(直径)8mmの丸棒状に形成されており、段差部を介して小径部5に接続している。大径部6は、例えば300mm程度の長さとし、使用状態で基端側に配置される。大径部6の基端部には、実施例1の軸体10と略同様に、工具側のチャックcに嵌合するように六角柱部6aが形成されている。
小径部5は、例えば外径(直径)6mmの丸棒状に形成されており、段差部を介して大径部6に接続している。小径部5は、例えば115mmの長さとし、使用状態で先端側に配置される。小径部5の先端部には、ローラ刷毛(R)が挿入しやすいように、テーパ部5aが形成されている。そして、本実施例の小径部5には、大径部6との段差部に近接して、回転伝達手段7が配置されている。
第1ワッシャ71、バネ72、及び、第2ワッシャ73は、小径部5と大径部6との段差部から反力をとって、パッキン74を先端側(ローラ刷毛(R)側)に向かって押圧する機能を有している。
パッキン74は、例えば合成ゴムによって中央に貫通孔が設けられた円盤状乃至円環状に形成される。パッキン74の貫通孔の内径は、小径部5の外径と略同一とされることで、小径部5の回転をローラ刷毛(R)に伝達する機能を有している。すなわち、パッキン74は、貫通孔の内面を通じた摩擦力によって小径部5とともに回転するが、この回転を側面を通じた摩擦力によってローラ刷毛(スモールローラ)Rに伝達する。
(7)また、回転伝達手段7は、小径部5に挿入される第1ワッシャ71と、小径部5の第1ワッシャ71よりも先端側に挿入されるバネ72と、小径部5のバネ72よりも先端側に挿入される第2ワッシャ73と、小径部5の第2ワッシャ73よりも先端側に挿入されるパッキン74と、から構成されている。このため、ローラ刷毛(スモールローラ)Rが回転中に下にずれても、「ずれ」に追従しながら摩擦力によって回転を伝達できる。
(8)さらに、大径部6の基端部は、工具側のチャックcに嵌合するように六角形断面に形成されている六角柱部6aを備えることで、簡易かつ確実に電動ドリルDなどのチャックcと嵌合・締め付け固定できる。