(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054629
(43)【公開日】2023-04-14
(54)【発明の名称】キャリア及びこれを搭載するソケット
(51)【国際特許分類】
H01R 33/76 20060101AFI20230407BHJP
H01L 23/32 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
H01R33/76 502Z
H01L23/32 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163599
(22)【出願日】2021-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グラッサム マーティン
(72)【発明者】
【氏名】砂子田 智
【テーマコード(参考)】
5E024
【Fターム(参考)】
5E024CA08
(57)【要約】
【課題】電気部品の確実な位置決め、十分な保護及び容易な着脱を実現すること。
【解決手段】電気部品を挟持する第1挟持体及び第2挟持体と、前記第1挟持体及び前記第2挟持体のそれぞれに、前記電気部品を挟持する方向で互いに対向して配置された第1磁気吸引部材及び第2磁気吸引部材と、を有し、前記第1挟持体及び前記第2挟持体は、前記第1磁気吸引部材と前記第2磁気吸引部材との間に作用する磁気吸引力により互いに着脱可能に接合することで、前記電気部品を挟持する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品を挟持する第1挟持体及び第2挟持体と、
前記第1挟持体及び前記第2挟持体のそれぞれに、前記電気部品を挟持する方向で互いに対向して配置された第1磁気吸引部材及び第2磁気吸引部材と、を有し、
前記第1挟持体及び前記第2挟持体は、前記第1磁気吸引部材と前記第2磁気吸引部材との間に作用する磁気吸引力により互いに着脱可能に接合することで、前記電気部品を挟持する、
キャリア。
【請求項2】
前記第1磁気吸引部材及び前記第2磁気吸引部材はそれぞれ、前記磁気吸引力による前記第1挟持体と前記第2挟持体との接合状態において、前記第1磁気吸引部材と前記第2磁気吸引部材との間に隙間が形成されるように、前記第1挟持体及び前記第2挟持体に固定されている、
請求項1記載のキャリア。
【請求項3】
前記第2挟持体は、所定の方向に開口するとともに、前記電気部品の端子が挿入される開口部を有し、
前記第1挟持体は、前記第2挟持体と接合した際に、前記開口部内で、前記端子を前記所定の方向に押圧する押圧部を有する、
請求項1または2記載のキャリア。
【請求項4】
前記第2挟持体は、前記電気部品に並んで設けられた複数の端子の挿入が可能な開口幅を有する開口部を有し、
前記第1磁気吸引部材及び前記第2磁気吸引部材は、前記開口幅が延在する方向で前記開口部の両側に配置されている、
請求項1から3のいずれか一項に記載のキャリア。
【請求項5】
前記第1挟持体及び前記第2挟持体は、多角形枠状に形成され、
前記第1磁気吸引部材及び前記第2磁気吸引部材は、前記多角形枠状の角部に配置されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載のキャリア。
【請求項6】
前記第1挟持体及び前記第2挟持体のうち一方の挟持体における外縁部の対向部分に、前記一方の挟持体の幅を狭める切欠部が設けられている、
請求項1から5のいずれか一項に記載のキャリア。
【請求項7】
前記第2挟持体は、前記電気部品の端子が挿入される開口部を有し、前記第1挟持体は、前記第2挟持体との接合状態において、前記開口部の一方側を覆うよう構成され、
前記切欠部は、前記第1挟持体に設けられている、
請求項6記載のキャリア。
【請求項8】
前記第1挟持体及び前記第2挟持体のそれぞれにおいて前記外縁部の対向部分に、前記切欠部が設けられ、
前記第1挟持体における前記外縁部の前記対向部分と前記第2挟持体における前記外縁部の前記対向部分とは、前記挟持する方向で重ならない位置にある、
請求項6記載のキャリア。
【請求項9】
前記第1磁気吸引部材及び前記第2磁気吸引部材のうちの一方は磁性体であり、他方は永久磁石である、
請求項1から8のいずれか一項に記載のキャリア。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のキャリアと、
前記キャリアが搭載され、前記電気部品と電気的に接続するソケット本体とを備える、
ソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICパッケージ等の電気部品を保護した状態で担持するキャリア及びこれを搭載するソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フラット型ICパッケージ等の電気部品について例えば品質検査を行う際に、電気部品をキャリアに保持させ、このキャリアを、テストボードに接続されるソケットに取り付ける場合がある。
【0003】
キャリアは、電気部品におけるリードの外面を保護しつつ電気部品をソケットまで搬送し、ソケットに搭載することで、電気部品のリードを、ソケットを介して測定部の端子に接続する。
【0004】
例えば特許文献1に記載された従来のキャリアは、ICパッケージが上方から嵌挿される収容部としてのポケットと、ポケットの側面に設けられた窓部とを有する。キャリアがソケット本体のポケットに装着されると、窓部を介して、ICパッケージの端子にソケット本体側の端子が接続される。このように、ICパッケージはソケット本体を介して測定部に接続可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電気部品を取り付けたキャリアをソケットに装着する構造において、電気部品が多数の端子を有する場合、キャリアは、電気部品を位置決めされた位置で保持し、電気部品における多数の端子を確実に保護することが望まれる。また、電気部品をキャリアから取り外すことが必要な場合は、その取り外しが容易であることも望まれる。
【0007】
しかしながら、上記従来のキャリアは、ICパッケージを上方からの搭載により担持するので、ICパッケージ、特に端子の部分が上方に露出しており、ICパッケージの保護が必ずしも十分でない。さらに、上記従来のキャリアは、上方からICパッケージを嵌め込んで搭載するので、後に必要となるICパッケージの取り外しに手間がかかる。
【0008】
本発明の目的は、電気部品の確実な位置決め、十分な保護及び容易な着脱を実現できるキャリア及びソケットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るキャリアの一態様は、
電気部品を挟持する第1挟持体及び第2挟持体と、
前記第1挟持体及び前記第2挟持体のそれぞれに、前記電気部品を挟持する方向で互いに対向して配置された第1磁気吸引部材及び第2磁気吸引部材と、を有し、
前記第1挟持体及び前記第2挟持体は、前記第1磁気吸引部材と前記第2磁気吸引部材との間に作用する磁気吸引力により互いに着脱可能に接合することで、前記電気部品を挟持する構成を採る。
【0010】
本発明に係るソケットの一態様は、
上記キャリアと、
前記キャリアが搭載され、前記電気部品と電気的に接続するソケット本体とを備える構成を採る。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電気部品の確実な位置決め、十分な保護及び容易な着脱を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態に係るキャリアを備えるソケットの外観斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るキャリアをソケット本体から外した状態を示す斜視図である。
【
図3】電気部品を保持させたキャリアの拡大平面側斜視図である。
【
図4】電気部品を保持させたキャリアの拡大底面側斜視図である。
【
図7】キャリアの第1挟持体の底面側斜視図である。
【
図8】キャリアの第1挟持体の底面側分解斜視図である。
【
図12】キャリアから電気部品を取り外す動作の説明に供する図である。
【
図13】キャリアから電気部品を取り外す動作の説明に供する図である。
【
図14】本発明の実施の形態に係るキャリアの変形例1を模式的に示す第2挟持体の模式図である。
【
図15】本発明の実施の形態に係るキャリアの変形例2を模式的に示す図である。
【
図16】本発明の実施の形態に係るキャリアの変形例3を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るキャリアを備えるソケットの外観斜視図であり、
図2は、本発明の実施の形態に係るキャリア4をソケット本体2から外した状態を示す斜視図である。
【0014】
図1に示すソケット1は、「電気部品用ソケット」としてのICソケットであり、収容するICパッケージ等の電気部品3の性能を検査する際に適用される。
【0015】
ソケット1は、例えば、別の電気部品(例えば回路基板等、性能試験における電気的特性の測定で用いられるもの)上に装着され、性能試験の対象となる電気部品(ICパッケージ)3をバーンイン試験等の導通試験の試験装置等に接続する。
【0016】
ソケット1は、試験装置或いは試験装置に接続された別の電気部品上に装着されるソケット本体2と、電気部品3が装着されるとともにソケット本体2に搭載されるキャリア4とを有する。
【0017】
ソケット本体2は、例えば、キャリア4が搭載されるベース部21と、ベース部21の一端部側で開閉自在に取り付けられたカバー部材23と、ベース部21の他端部側で回動自在に取り付けられたロック保持部25とを有する。
【0018】
ベース部21は、キャリア4が上方から搭載される枠状の搭載部24を有する。カバー部材23は、搭載部24を開閉可能に、ベース部21に取り付けられている。カバー部材23は、ベース部21に対して閉状態にした際に、搭載部24上のキャリア4を押圧する押圧部27を有する。
【0019】
カバー部材23は、搭載部24にキャリア4を載置して、閉じることにより、押圧部27は、キャリア4の上面に当接し、キャリア4を下方に押圧する。これにより、キャリア4が収容した状態で保持する電気部品3(「キャリア4が担持する電気部品3」とも称する)の端子31(
図3参照)は、ベース部21の下部の基板の端子と確実に電気的に接続した状態となる。なお、本実施の形態では、電気部品3の端子31は、矩形状の本体部32の外周部から導出されている、つまり電気部品3がリードフレーム型のICパッケージであるが、端子の導出位置はこれに限らない。例えばBGA(Ball Grid Array)型やLGA(Land Grid Array)型のICパッケージにも、本発明は適用可能である。
【0020】
ロック保持部25は、カバー部材23をベース部21に対して閉じて搭載部24を覆うように位置させた後、基端部を中心に回動して、カバー部材23側に倒すことにより、カバー部材23の移動を規制する。このようにロック保持部25は、搭載部24側に倒して、搭載部24上のキャリア4を下方に押圧した状態のカバー部材23の上方への移動を規制し、キャリア4の電気部品3と別の電気部品との電気的接続状態を保持する。これにより、電気部品3が検査可能に実装されることになる。
【0021】
このソケット1から電気部品3を取り外す際には、ソケット本体2において、ロック保持部25の回動によりカバー部材23のロックを解除し、次いで、カバー部材23をベース部21に対して開き、搭載部24のキャリア4を上方に露出させる。電気部品3を保持するキャリア4をソケット本体2から取り外して、ソケット本体から電気部品3の着脱を行う。また、搭載部24に搭載されたキャリア4が、搭載部24上で上方に露出した状態にあるとき、第1挟持体6(
図3参照)を摘まみ引き上げて第2挟持体7(
図3参照)から離間し、電気部品を外してもよい。
【0022】
<キャリア4>
図3は、電気部品を保持させたキャリアの拡大平面側斜視図であり、
図4は、電気部品保持させたキャリアの拡大底面側斜視図である。また、
図5は、キャリアから電気部品を外した図であり、
図6は、キャリアの平面側分解斜視図である。また、
図7は、キャリアの第1挟持体の底面側斜視図であり、
図8は、キャリアの第1挟持体の底面側分解斜視図である。
【0023】
図3及び
図4に示すように、キャリア4は、ICパッケージ等の電気部品3を保護した状態で担持するものであり、この状態で電気部品3を搬送可能にする。キャリア4は、単に、電気部品3を保護して担持するためのものでもよいが、本実施の形態では、ICソケットの一部を構成するキャリア4であって、ソケット本体2に装着した際に、電気部品3がソケット本体2側と電気的に接続できるように、電気部品3を収容している。
【0024】
具体的には、キャリア4は、キャリア4を接続先の機器に載置することにより、電気部品3と接続先とが接続可能な状態となるように、電気部品3の端子を、外部に露出させ、外部機器と接続可能にした状態で電気部品3を保持する。
【0025】
キャリア4は、電気部品3を位置決めして担持して、更には電気部品3の端子31を所定の位置で保持して保護しつつ電気部品3を検査装置に接続されるソケット本体2まで搬送可能である。キャリア4は、ソケット本体2に装着されることにより、ソケット本体2或いはソケット本体2を介して試験装置の基板等の別の電気部品に電気部品3を電気的に接続する。
【0026】
キャリア4は、
図2~
図8に示すように、電気部品3を挟むように着脱自在に接合される第1挟持体6及び第2挟持体7を有する。
【0027】
キャリア4は、第1挟持体6及び第2挟持体7で電気部品3を挟持することにより、電気部品3を挟み収容した状態で担持し保護する。キャリア4は、例えば、矩形枠状に形成され、中央の矩形開口部42(開口部61、71)に、矩形板状の電気部品3が配置される。なお、キャリア4の形状は矩形枠状としたがこれに限らず、電気部品3を担持して搬送可能であればどのような形状で構成されてもよく、円形状、多角形状、環状、多角形枠状等の形状で形成されてもよい。この形状は、担持すべき電気部品3の形状に対応することが好ましい。
【0028】
第1挟持体6及び第2挟持体7は互いに対応した形状に形成される。
第1挟持体6及び第2挟持体7は、矩形枠状に形成されている。第1挟持体6及び第2挟持体7は、それぞれ内側の矩形状の開口部61、71に、電気部品3の板状の本体部32を配置して、本体部32の外周部322を挟むように接合されている。
【0029】
第1挟持体6及び第2挟持体7は、互いの間に発生する磁気吸引力により互いに引き合う第1磁気吸引部材8及び第2磁気吸引部材9を有する。第1磁気吸引部材8及び第2磁気吸引部材9は、双方間の吸引力により、第1挟持体6及び第2挟持体7が、電気部品3をずれないように位置決めした状態で収容する。すなわち、第1挟持体6及び第2挟持体7のそれぞれは、電気部品3を挟持する方向で互いに対向して配置された第1磁気吸引部材8及び第2磁気吸引部材9と、を有する。第1挟持体6及び第2挟持体7は、第1磁気吸引部材8と第2磁気吸引部材9との間に作用する磁気吸引力により互いに着脱可能に接合することで、電気部品3を挟持している。
【0030】
<第1挟持体6>
図2~
図8に示す第1挟持体6は、第1磁気吸引部材8と、第1本体部62と、第1固定部64と、押圧部66と、切欠部68とを有する。
【0031】
第1本体部62は、電気部品を一方向(上方)から覆うように配置される。第1本体部62は、矩形枠状に形成されている。第1本体部62は、例えば、電気部品3における外周部322と端子31とを覆う。第1本体部62における中央の開口部61には電気部品3の本体部32が配置される。第1本体部62において、第2挟持体7側の第1対向面(例えば、下面)63には、第1固定部64と、押圧部66とが設けられている。第1挟持体6の外縁部には、切欠部68が設けられている。
【0032】
切欠部68は、第1挟持体6における外縁部の対向部分に、第1挟持体6の幅を狭めるように第1本体部62に設けられている。
切欠部68は、
図3に示すように、第1挟持体6と第2挟持体7とを接合した状態において、第2本体部72の一枠辺部722が、挟持方向の一方側(
図3及び
図12の上側)である第1挟持体6側に露出するように形成されている。これにより第1挟持体6と第2挟持体7とを接合状態から引き剥がすときに、作業者が第2挟持体7に指を掛けやすくなっている。また、切欠部68は、第1本体部62において対向する2辺部にそれぞれ形成されている。切欠部68が対向する2辺部に設けられているので、第2挟持体7に対して対向させつつ平行に、つまり、水平にさせつつ互いに離間させるので担持している電気部品を落下せずに外し易い。また、ソケット本体2の限られたスペースを有する載置部24に載置されたキャリア4に対して、切欠部68を摘まみ第1挟持体6を引き上げることで、第1挟持体6を第2挟持体7から容易に取り外して、内部の電気部品を取り外すことができる。
【0033】
第1固定部64には、第1磁気吸引部材8が固定される。第1固定部64は、複数設けられてもよいし、一つであってもよい。
第1固定部64には、第1磁気吸引部材8の吸引部が第1対向面63で露出するように、第1磁気吸引部材8が固定される。
【0034】
第1固定部64は、例えば、取付孔であり、第1磁気吸引部材8が、ビスあるいはネジ等のように径の異なる頭部(吸引部)82と軸84を有する止着部材である。止着部材の場合、第1磁気吸引部材8は、取付孔(第1固定部64)に軸部82を挿入して固定される。
【0035】
第1固定部64は、第1磁気吸引部材8の配置位置に対応した位置に設けられる。なお、第1磁気吸引部材8は、第2磁気吸引部材9とともに、互い吸引して、電気部品3を所定の位置で位置決めした状態でずれないように確実に担持できる位置に設けられる。
第1固定部64は、矩形枠状の第1本体部62(例えば、正方形状枠の第1本体部62)の角部に設けられ、それぞれに第1磁気吸引部材8が固定されている。
【0036】
図9は、
図3のA-A線矢視部分断面図である。
図6~
図9に示す第1磁気吸引部材8は、磁性体あるいは磁石であり、第2磁気吸引部材9との間で吸引力を発生する。第1磁気吸引部材8は、第1本体部62に第1固定部64を介して固定されている。第1磁気吸引部材8は、ビス、ネジなどの磁性体で構成して第1本体部62に止着されてもよい。
【0037】
第1磁気吸引部材8は、平面となる頭部82を有するネジであり、ネジの軸部84を第1固定部64に螺合することで頭部の平面を第1対向面63で露出させた状態で、第1固定部64に固定されている。第1磁気吸引部材8は、対応する第2磁気吸引部材9と引き合う永久磁石であってもよい。第1磁気吸引部材8及び第2磁気吸引部材9のうち一方を磁性体にすれば、双方を永久磁石で構成する場合と比較して、加工しやすく、材料も安価であるので、コストの低廉化を図ることができる。
【0038】
第1磁気吸引部材8は、矩形枠状の第1本体部62において角部に設けられている。
第1磁気吸引部材8は、矩形枠状のキャリア4において第2磁気吸引部材9とともに角部に設けられており、矩形枠状の辺部に位置する端子31を挟むように配置されている。
【0039】
第1磁気吸引部材8は、第2磁気吸引部材9との間に作用する磁気吸引力による第1挟持体6と第2挟持体7との接合状態において、第2磁気吸引部材9との間に隙間(
図9で示すG)が形成されるように、第1挟持体6に固定される。このように、接合状態でも第1磁気吸引部材8と第2磁気吸引部材9との間に隙間Gが残存するようにすることで、第1挟持体6と第2挟持体7との容易な着脱をより確実に実現することができる。
【0040】
図5~
図8に示す押圧部66は、第1対向面63から突出して設けられ、担持する電気部品3の端子31を、第2挟持体7側に押圧して、他の電気部品の端子との接続を確実にする。
【0041】
押圧部66は、第1挟持体6が第2挟持体7と接合した際に、第2挟持体7の開口部76に挿入される端子31を所定方向、例えば、ユニット本体2側に押圧する。押圧部66は、突条に設けられており、第2挟持体7の開口部76内に挿入される。
【0042】
押圧部66は、第1本体部62の第1対向面63に、電気部品3の端子31の列、第2挟持体7の開口部76のそれぞれに対応する位置や数に対応して設けられる。
【0043】
押圧部66は、矩形枠状の第1対向面63の4辺に、4辺のそれぞれに沿って、中央の開口部61を囲むように、突設されている。
【0044】
図10は、
図3のB-B線矢視部分断面図である。
具体的には、
図10に示すように、押圧部66は、第2挟持体7の開口部76内に挿入される電気部品3の端子(リードフレーム)31の接触部(例えば先端部)312を、開口部76内で、第2挟持体7側(図では下方)に押圧する。
【0045】
<第2挟持体7>
第2挟持体7は、第2磁気吸引部材9と、第2本体部72と、第2固定部74と、開口部76と、切欠部78とを有する。
【0046】
第2本体部72は矩形枠状体であり、第2本体部72には、第1挟持体6側の第2対向面(例えば、上面)73に、第2固定部74と、開口部76とを有する。第2本体部72の外周部には、切欠部78が設けられている。
【0047】
第2固定部74には、第2磁気吸引部材9が固定される。第2固定部74は、複数設けられてもよいし、一つであってもよい。
第2固定部74には、第2磁気吸引部材9の吸引部として機能する着磁面93が第2対向面73で露出するように、第2磁気吸引部材9が取り付けられる。
【0048】
第2固定部74は、第2磁気吸引部材9に対応した形状で形成される。第2磁気吸引部材9が円柱状のマグネットの場合、第2固定部74は、内部に円柱状のマグネットが取り付けられる円柱状の取付孔となる。
【0049】
この取付孔は、例えば、第1対向面側(上方)に開口した凹状に形成される。取付孔が凹状に形成されることにより、第2磁気吸引部材9の第2固定部74内で裏面側(底面側)への移動を規制された状態で配置できる。
【0050】
第2固定部74である取付孔にマグネットが取り付けられる場合、圧入により固定してもよい。また、マグネットの固定はこれに限らず、接着材も併用してもよい。
図5及び
図6に示すように、第2固定部74に連続して上方に開口するスロット742を設けてもよい。この構成によれば、第2磁気吸引部材9を第2固定部74内に取り付けた後で、スロット742に接着材を充填することにより、接着材は、第2磁気吸引部材9に所定の領域(円柱状マグネットの外周面)に接触するので、第2磁気吸引部材9を第2本体部72に確実に固定できる。
【0051】
第2固定部74は、第2磁気吸引部材9の配置位置に対応した位置に設けられる。第2固定部74は、第2本体部72の角部に設けられている。
【0052】
第2磁気吸引部材9は、磁性体或いは磁石であり、第2磁気吸引部材9との間で吸引力を発生する。第2磁気吸引部材9は、第2磁気吸引部材9は、本実施の形態では、円柱状の永久磁石である。
【0053】
第2磁気吸引部材9は、第1磁気吸引部材8との間に作用する磁気吸引力による第1挟持体6と第2挟持体7との接合状態において、第1磁気吸引部材8との間に隙間Gが形成されるように、第2挟持体7に固定されている。接合状態でも第1磁気吸引部材8と第2磁気吸引部材9との間に隙間Gが残存するようにすることで、第1挟持体6と第2挟持体7との容易な着脱をより確実に実現することができる。
【0054】
第2磁気吸引部材9は、
図9に示すように、第2固定部74から臨む第2対向面側で露出する着磁面93で、取付ねじ12により抜け止めされている。
【0055】
取付ねじ部12は、第2磁気吸引部材9を第2本体部72に固定するためのものである。取付ねじ部12は、軸部121と軸部より外径の大きい頭部122を有する。取付ねじ部12は、頭部122のフランジ状の外周部124が、第2磁気吸引部材9の着磁面93の外周部に係合するように、第2本体部72において第2磁気吸引部材9の周囲に止着されている。取付ねじ部12は、一つの第2磁気吸引部材9の着磁面93の外周部において、中心を挟んで対向する位置に複数配設されている。
【0056】
これにより、第2磁気吸引部材9は、取付ねじ部12或いは接着材、またはその双方等を用いて第2磁気吸引部材9の第2本体部72から第1対向面63側への抜け止めが防止された状態で、第2本体部72に固定されている。
【0057】
第2磁気吸引部材9と第1磁気吸引部材8とは、第1挟持体6と第2挟持体7の互いの対向面(第1対向面63、第2対向面73)どうしが密着した場合でも、互いが接触せず隙間Gが形成されるように配置されることが好ましいが、双方の着脱容易性や、電気部品3の確実な挟持、位置決めに、著しく影響しない限り、第2磁気吸引部材9と第1磁気吸引部材8とが互いに接触するようにしてもよい。
【0058】
第2磁気吸引部材9と第1磁気吸引部材8とは、第1挟持体6と第2挟持体7とが互いに接続した状態でも、隙間Gを開けて互いに対向配置される。この状態の第1磁気吸引部材8と第2磁気吸引部材9の間で作用する吸引力によって互いに着脱可能に接続される。
これにより、第1挟持体6と第2挟持体7とを容易に着脱させることができる。
【0059】
なお、第2磁気吸引部材9は、第1磁気吸引部材8との間に磁気吸引力を発生する構成であればよいので、ビス、ネジ等の磁性体である止着部材で構成してもよい。この場合、磁性体である第2磁気吸引部材9に対応する第1磁気吸引部材8は、永久磁石であって、互いの間で磁気吸引力が発生することが望ましい。
【0060】
また、第2挟持体7は、第1挟持体6に形成されたガイド孔69に挿入されるガイドピン14を有する。ガイドピン14は、先端が錘形状であり、第2本体部72において、第2磁気吸引部材9の近傍に立設している。具体的には、ガイドピン14とガイド孔69とは、キャリア4において、第1磁気吸引部材8と第2磁気吸引部材9に対して中心に向かって内側に配置されている。
【0061】
これにより、ガイドピン14が、第1挟持体6のガイド孔69に挿入して、第1磁気吸引部材8と第2磁気吸引部材9とが対面して吸引可能な位置に案内する。これにより、ガイドピン14は、第1挟持体6と第2挟持体7とが互いにずれないように積層させる位置に案内する。
【0062】
開口部76は、所定の方向(ソケット本体2における接続対象部分側)に開口し、電気部品3の端子31が挿入される。開口部76は、電気部品3に並んで設けられた複数の端子31の挿入が可能な開口幅を有する。開口部76は、電気部品3の端子31の接続対象に開口して、外部機器との接続を行わせる。開口部76は、キャリア4が担持する電気部品3の端子31に対応して形成されて、内部に電気部品3の端子31が挿入される。開口部76は、中央の開口部71を囲むように第2本体部72に形成されている。
【0063】
開口部76は、第1挟持体6の押圧部66に対応して配置されている。具体的には、開口部76は、矩形枠状の第2本体部72において、4辺部のそれぞれに、押圧部66が挿入可能であり、且つ、各辺部の延在方向に沿ってスリット状に形成されている。開口部76内では、第1挟持体6と第2挟持体7とが接合した際に、押圧部66が端子31を所定の方向(下方のソケット本体側)に押圧する。
【0064】
また、
図11に示すように、開口部76の延在方向側で離間する両側部を画成する両側部762は、第1挟持体6側に向かって拡がるテーパ部である。
【0065】
これにより、両側部762は、開口部76内に押圧部66を案内して、押圧部66を開口部76内に好適に挿入させて、端子31の接触部を下方に好適に押圧させることができる。また、電気部品3を第2挟持体7に搭載する際に、端子31を開口部76内に挿入する場合でも、テーパ部は、多数の端子31を開口部76に円滑に案内できる。
【0066】
図4に戻り、切欠部78は、第1挟持体6と第2挟持体7とを接合した状態において、第1本体部62の一枠辺部622が、挟持方向の一方側(
図4の下側)である第2挟持体7側に露出するように形成されている。これにより第1挟持体6と第2挟持体7の接合状態から引き剥がすときに、作業者が第1挟持体6に指を掛けやすくなっている。また、切欠部68は、第1本体部62において対向する2辺部にそれぞれ形成されている。この切欠部68は、切欠部78の配置位置に応じて、切欠部78と挟持方向、つまり、接合方向で重ならない位置に設けられている。
【0067】
本実施の形態では、第1挟持体6を構成する互いに平行は2組の枠辺部の組のうち一方の組に切欠部68を設け、他方の組と対応する第2挟持体7の平行な枠辺部の組に切欠部78を設けている。
【0068】
<まとめ>
キャリア4は、第1挟持体6及び第2挟持体7を有し、これら第1挟持体6及び第2挟持体7により電気部品3は、表裏面側から挟むように収容する。第1挟持体6及び第2挟持体7は互いの第1磁気吸引部材8及び第2磁気吸引部材9間の磁気吸引力により、着脱可能に接合され、電気部品3を挟んだ状態で保護する。
すなわち、キャリア4において、第1挟持体6及び第2挟持体7は、第1磁気吸引部材8と第2磁気吸引部材9との間に作用する磁気吸引力により互いに着脱可能に接合することで、電気部品3を挟持する。
【0069】
また、第1磁気吸引部材8及び第2磁気吸引部材9どうしは接しておらず、互いの磁気吸引力で引き合い第1挟持体6及び第2挟持体7を接合する。第1挟持体6と第2挟持体7が接合された状態では、押圧部66が電気部品3の端子31を、接続相手側に押圧した状態で、電気部品3を担持する。
【0070】
電気部品3を収容したキャリア4は、電気部品3をソケット本体2まで安全に搬送できる。またキャリア4をソケット本体2の搭載部24に載置して、カバー部材23及びロック保持部25等を動作することにより、電気部品3は測定装置の基板等に確実に接続される。
【0071】
また、キャリア4の第1挟持体6及び第2挟持体7は第1磁気吸引部材8及び第2磁気吸引部材9の磁気吸引力により接合されている。また、矩形枠状の第1挟持体6の互いに平行は2組の枠辺部の組のうち一方の組に切欠部68を設け、第1挟持体6の他方の組と対応する第2挟持体7の平行な一枠辺部の組に、切欠部78を設けている。
【0072】
これにより、
図12に示すように、互いの切欠部68、78を介して、第1挟持体6の一枠辺部622を指で掴み上方へ移動させ、第2挟持体7の一枠辺部722を別の指で掴み下方に移動させる。これにより、
図13に示すように、第1挟持体6と第2挟持体7とは容易に分離でき、収容されている電気部品をキャリア4から容易に取り外すことができる。
【0073】
このように、キャリア4では、第1挟持体6及び第2挟持体7のうち一方の挟持体(第1挟持体6或いは第2挟持体7)における外縁部の対向部分に、一方の挟持体の幅を狭める切欠部(68、78)が設けられている。キャリア4では、少なくとも第1挟持体6における外縁部の対向部分(一枠辺部622)に、第1挟持体6の幅を狭める切欠部68が設けられている。これにより、例えば、ソケット本体2において限られたスペースで上方から搭載部24に搭載されたキャリア4から、電気部品3を容易に取り外すことができる。
【0074】
すなわち、載置部24上のキャリア4に対して、上方から第1挟持体6の対向部分の切欠部68を介して、作業者が指などで幅が狭められている部分を摘み、第1挟持体6を第2挟持体7から上方に引き上げる。このとき、キャリア4は、第2挟持体7若しくはソケット本体2に対して、第1挟持体6を傾けることなく引き上げることができ、電気部品3に負荷を与えることなく、第1挟持体6を第2挟持体7から容易に取り外すことができる。続いて、載置部24に取り付けられた状態の第2挟持体7から電気部品4を容易に取り外すことができる。
【0075】
また、キャリア4では、第1挟持体6及び第2挟持体7のそれぞれにおいて、第1挟持体7及び第2挟持体7のそれぞれの外縁部の対向部分(一枠辺部622、722)に、第1挟持体7及び第2挟持体7のそれぞれの幅を狭める切欠部68、78が設けられている。
【0076】
第1挟持体6における外縁部の対向部分と第2挟持体7における外縁部の対向部分とは挟持する方向で重ならない位置にある。例えば、切欠部68、78どうしは挟持する方向で重ならない位置にある。
【0077】
これにより、上述したようにソケット本体2から外した状態のキャリア4等の電気部品3を担持するキャリア4、或いは、電気部品3を担持していないキャリア4に対して、電気部品3の着脱を容易に行うことができる。
【0078】
すなわち、切欠部68、78を介して第1挟持体6及び第2挟持体7を摘んで、或いは、切欠部68、78を介して挟持方向で露出する一枠辺部622、722を係止して、第1挟持体6及び第2挟持体7を容易に、互いに離間する方向に移動できる。
【0079】
また、第2挟持体7は、電気部品3の端子31が挿入される開口部76を有し、開口部76は、電気部品3に並んで設けられた複数の端子31の挿入が可能な開口幅を有する。
【0080】
また、開口部76に対して、第1挟持体6は、第2挟持体7との接合状態において、開口部76の一方側を覆うよう構成されている。
また、この開口部76に対して、開口部76の開口幅が延在する方向(第2挟持体7の枠形状を構成する各枠辺部の延在方向)で開口部76の両側に第1磁気吸引部材8及び第2磁気吸引部材9が配置されている。
【0081】
これにより、第1磁気吸引部材8及び第2磁気吸引部材9は、第1挟持体6及び第2挟持体7により周囲と上方が覆われた開口部76を挟む位置で、第1挟持体6及び第2挟持体7を着脱可能に接合する。これにより、キャリア4は、電気部品3、特に端子31を保護した状態で確実に第1挟持体6及び第2挟持体7を接合して、電気部品3を収容して担持できる。このように、キャリア4は、電気部品の確実な位置決め、十分な保護及び容易な着脱を実現できる。
【0082】
なお、キャリア4は、第1磁気吸引部材8及び第2磁気吸引部材9の間で作用する磁気吸引力により、それぞれが固定された第1挟持体6及び第2挟持体7を着脱可能に接合する。これにより、キャリア4は、内部の電気部品3(端子31も含む)を安全に保護した状態で、ずれないように担持する。これを可能にする構成であれば、第1挟持体6及び第2挟持体7の形状、第1挟持体6及び第2挟持体7の形状、さらにはこれらにおける第1磁気吸引部材8及び第2磁気吸引部材9の組(「吸引対」ともいう)の数や配置位置は限定されない。
【0083】
例えば、キャリアは、以下の
図14~
図16の変形例1~3で示す第1磁気吸引部材と第2磁気吸引部材9の数と配置位置となるように構成にしてもよい。なお、各図では、収容する電気部品であるICパッケージ3A~3Cを安全に担持するキャリア4A~4Cの構成として、キャリア4A~4Cの第2挟持体7A~7Cにおいて、第1挟持体及び第2挟持体を接合する第2磁気吸引部材9の配置位置を模式的に示す。なお、第2挟持体は第1挟持体と対応する形状を有し、積層することにより、第2磁気吸引部材とこれに対応する第1磁気吸引部材との間の磁気吸引力により接合される。
【0084】
図14に示す第2挟持体7Aは、矩形状或いは矩形枠状の第2本体部72Aにおいて多数のICパッケージ3Aを装着し、これらを囲む位置(
図14では四隅にマグネット9Aを位置している。また、言い換えれば、マグネット9A(吸引対)は、ICパッケージ3Aの端子が挿入される開口部を挟む位置に配置されている。これにより、一度に多数のICパッケージを安全に保護しつつ、測定装置或いは接続装置に接続されたソケット本体2に装着して、多数のICパッケージの性能特性を測定できるキャリアとなる。また、
図15に示すように、大型の縦長のICパッケージ3Bを装着する第2挟持体7Bにおいて、第2本体部72Bにおいて、磁気吸引部材の組のマグネット9Bを四つの角部に配置してもよい。
【0085】
さらに、
図16に示すように、キャリアに装着するICパッケージ3Cの外形寸法に応じて、一つのマグネット9Cの吸引対で第2挟持体7Cと第1挟持体とを着脱可能に接合する構成としてもよい。この場合、第2挟持体7Cでは、第2本体部72Cの中央部にICパッケージ3Cと、マグネット9Cとを並べて配置している。これにより、ICパッケージを保護した安全な搬送、取扱の容易性を確保しつつ、ICパッケージの形状に応じて低廉化を図ることができるキャリアとなる。
【0086】
また、キャリア4において、平面視正多角形状の挟持体、特に平面視正方形状であり、第1磁気吸引部材8及び第2磁気吸引部材9の接合方向で配置される組が複数組で対称に配置される場合、特定の磁極でのみ引き合う吸引対を設けてもよい。第2挟持体7に固定される特定の第2磁気吸引部材9が、第1本体部62に固定される複数の第1磁気吸引部材8のうち、吸引対となる磁気位吸引部材以外では、反発させて、第1挟持体6と第2挟持体7を接合できないようにする等の構成がある。
【0087】
例えば、実施の形態1のキャリア4において、4つの第1磁気吸引部材8と第2磁気吸引部材9の組を全て磁石同士の組とし、これら組のうち3つをN極、S極の組とし、一つをS極、N極の組とする。この構成によれば、第1挟持体6と第2挟持体7とを互いの矩形枠形状を基準に接合しようとしても、第1磁気吸引部材8と第2磁気吸引部材9とが対応する組でないものどうしがある場合、互いに反発し合うので、双方を接合することができない。すなわち、第1挟持体6と第2挟持体7とで電気部品を挟み、互いを接合する場合、第1磁気吸引部材8と第2磁気吸引部材9の正確な組み合わせでしか、接合することができないので、第1挟持体6と第2挟持体7を組み合わせる際の誤組防止となる。
【0088】
また、キャリア4では、第1挟持体6及び第2挟持体7は、第1磁気吸引部材8及び第2磁気吸引部材9として磁性体である止着部材とマグネットとの磁気吸引力を用いて着脱可能に接合している。
【0089】
このように、キャリア4は、第1挟持体6と第2挟持体7とをマグネットの磁気吸引力を用いて着脱可能に接合する構成である。これにより、マグネットを移動可能にするように、第2挟持体とキャリア4を使用する外部装置(検査装置等)側を構成し、外部装置によりマグネットを操作して、第1挟持体6と第2挟持体7どうしの着脱を行うようにしてもよい。例えば、ソケット本体側で、測定時に、マグネットを移動させてキャリア4における第1挟持体6及び第2挟持体7同士を接合できる。
【0090】
具体的には、第2本体部72に、凹状の取付孔である第2固定部74の深さを、内部でマグネットが接合方向に移動可能な深さに形成するとともに、第2固定部74の下部に第2固定部74と連通する貫通孔を設けた構成にする。この貫通孔を介して、外部から、マグネットを第1磁気吸引部材8に吸引させたり、解除させたり可能となる。これにより、ソケット本体等のようにキャリアを搭載する或いは載置する台、検査機器等の外部機器に、貫通孔を介して第2固定部74内のマグネットを動作させることが可能となる。
【0091】
さらに、キャリア4をソケット本体2に搭載した際に、貫通孔に棒状体等を挿入してりマグネットを第1磁気吸引部材側に押圧して、マグネットを止着部材側に移動して、互いを引き合わせて、第1挟持体6と第2挟持体7の互いを接合するようにしてもよい。また、キャリアを載置する台に、第1挟持体6の止着材よりも、第2挟持体7のマグネットを吸引する構成を設けることにより、作業者は、台に載置したキャリア4に対して、第1挟持体6を第2挟持体7から外すだけで、互いを容易に離間することができる。
【0092】
さらに、本実施の形態のキャリア4では、第1磁気吸引部材8と第2磁気吸引部材9とを矩形枠状の本体部分における角部に配置しているが、キャリア4が担持する電気部品4の端子が挿入される開口部を挟む位置であることが好ましい。このような位置に配置されれば、好適に端子31を保護でき、さらにキャリア4を装置に装着しただけで外部機器に接続可能となるような位置決めをしつつ、第1挟持体6及び第2挟持体7を効果的に接合して電気部品3を担持できる。
【0093】
例えば、キャリア4がBGA、LGA等の電気部品を担持する場合、キャリアは、電気部品の下面側に配置される端子を挿入(露出も含む)する開口部を有し、その開口部を対角線上で挟む位置に、第1磁気吸引部材8と第2磁気吸引部材9の吸引対を配設した構成としてもよい。これにより、キャリア4は、上述した作用効果と同様に電気部品の確実な位置決め、十分な保護及び容易な着脱を実現できる。
【0094】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記キャリア、ソケットの構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明に係るキャリア及びソケットは、電気部品の確実な位置決め、十分な保護及び容易な着脱を実現できる効果を有し、電気部品の性能検査等で利用されるICソケットに用いるものとして有用である。
【符号の説明】
【0096】
1 ソケット
2 ソケット本体
3 電気部品(ICパッケージ)
3A、3B、3C ICパッケージ
4 キャリア
6 第1挟持体
7、7A、7B、7C 第2挟持体
8 第1磁気吸引部材
9 第2磁気吸引部材
9A、9B、9C マグネット
12 取付ねじ部
14 ガイドピン
21 ベース部
23 カバー部材
24 搭載部
25 ロック保持部
27、66 押圧部
31 端子(リードフレーム)
32 本体部
42 矩形開口部
61 第1開口部
62 第1本体部
63 第1対向面
64 第1固定部
68、78 切欠部
69 ガイド孔
71 第2開口部
72、72A、72B、72C 第2本体部
73 第2対向面
74 第2固定部
76 開口部
93 着磁面
121 軸部
122 頭部
124、322 外周部
312 接触部
622、722 一枠辺部
742 スロット
762 両側部
G 隙間