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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054712
(43)【公開日】2023-04-14
(54)【発明の名称】バックルおよびこれを備えるベルト
(51)【国際特許分類】
   A44B 11/12 20060101AFI20230407BHJP
【FI】
A44B11/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163727
(22)【出願日】2021-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】521433152
【氏名又は名称】合同会社COF
(74)【代理人】
【識別番号】100123526
【弁理士】
【氏名又は名称】宮川 壮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100125036
【弁理士】
【氏名又は名称】深川 英里
(72)【発明者】
【氏名】大井 雅人
【テーマコード(参考)】
3B090
【Fターム(参考)】
3B090AA01
3B090AC05
3B090AC06
3B090AC07
3B090AC09
3B090AD10
3B090BA02
3B090BA03
(57)【要約】
【課題】ベルト本体部による締め具合の自由度を向上させることができるバックルおよびこれを備えるベルトを提供すること。
【解決手段】ベルト本体部80に設けられるバックル10であって、ベルト本体部80の自由端部81を前後から挟持するバックル前部20およびバックル後部30を備え、バックル前部20とバックル後部30との間において自由端部81を固定する固定ネジ部22がバックル前部20に設けられており、固定ネジ部22は、バックル前部20に対して後方に移動してバックル前部20とバックル後部30との間に配される自由端部81を後方に押圧して固定する固定位置と、固定位置から前方に移動して自由端部81の固定を解除する解除位置との間で移動するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト本体部に設けられるバックルであって、
前記ベルト本体部の自由端部を前後から挟持するバックル前部およびバックル後部を備え、
前記バックル前部と前記バックル後部との間において前記自由端部を固定する固定ネジ部が前記バックル前部に設けられており、
前記固定ネジ部は、
前記バックル前部に対して後方に移動して前記バックル前部と前記バックル後部との間に配される前記自由端部を後方に押圧して固定する固定位置と、前記固定位置から前方に移動して前記自由端部の固定を解除する解除位置との間で移動するように構成されているバックル。
【請求項2】
前記バックル後部の後方側に配されるバックル最後部を備え、
前記バックル前部、前記バックル後部および前記バックル最後部が三層に配列されるように構成されており、前記バックル後部と前記バックル最後部との間で前記ベルト本体部の固定端部を挟持して固定するように構成されている請求項1に記載のバックル。
【請求項3】
前記バックル前部から前記バックル後部を通って前記バックル最後部にわたって取り付けられるように構成され、前記バックル前部、前記バックル後部および前記バックル最後部を固定するように構成された一貫固定部を備える請求項2に記載のバックル。
【請求項4】
前記一貫固定部がネジであって前記バックル前部と前記バックル後部との間において前記一貫固定部に調整ナットが通されるように構成されており、前記調整ナットが締められると、前記バックル後部が前記固定端部を押圧して前記バックル後部と前記バックル最後部との間で前記固定端部が固定され、前記ナットが緩められると、前記固定端部の固定が解除されるように構成されている請求項3に記載のバックル。
【請求項5】
前記バックル最後部に前記固定端部の固定を補強する最後部補強爪部が設けられている請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のバックル。
【請求項6】
前記バックル後部に前記自由端部の固定を補強する後部補強爪部が設けられている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のバックル。
【請求項7】
前記バックル後部および前記バックル最後部が、同一形状および同一サイズに形成されており、左右対称に配列されるように構成されている請求項5に従属する請求項6に記載のバックル。
【請求項8】
前記バックル前部に、前記バックル前部と前記バックル後部との間のスペースを露出する開口部が設けられている請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のバックル。
【請求項9】
前記バックル前部と前記バックル後部との間のうち前記自由端部よりも前方側に意匠部が設けられるように構成されており、前記開口部から前記意匠部が露出するように構成されている請求項8に記載のバックル。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のバックルと、
前記バックル前部および前記バックル後部によって前記自由端部が前後から挟持されるように構成されている前記ベルト本体部と
を備えるベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックルおよびこれを備えるベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帯状に延びるベルト本体部を固定する種々のバックルが利用されている。このようなバックルとしては、固定用の係合ピンを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。そして、ベルト本体部に形成された係合孔に係合ピンを挿入することによりベルト本体部を固定するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-302511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなバックルでは、ベルト本体部の所定の位置に事前に形成された係合孔に係合ピンを挿入してベルト本体部を固定するため、係合孔の位置によってベルト本体部の固定位置が限定されてしまうという問題がある。
【0005】
以上に鑑みて、本発明は、ベルト本体部による締め具合の自由度を向上させることができるバックルおよびこれを備えるベルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、ベルト本体部に設けられるバックルであって、前記ベルト本体部の自由端部を前後から挟持するバックル前部およびバックル後部を備え、前記バックル前部と前記バックル後部との間において前記自由端部を固定する固定ネジ部が前記バックル前部に設けられており、前記固定ネジ部は、前記バックル前部に対して後方に移動して前記バックル前部と前記バックル後部との間に配される前記自由端部を後方に押圧して固定する固定位置と、前記固定位置から前方に移動して前記自由端部の固定を解除する解除位置との間で移動するように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本願の一観点によれば、ベルト本体部による締め具合の自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態としてのバックルおよびベルトを示す斜視図である。
図2図1のバックル前部を示す正面図である。
図3図1のバックル後部またはバックル最後部を示す正面図である。
図4図1図3のバックル前部、バックル後部およびバックル最後部を組み立てた様子を示す側面図である。
図5】バックルに固定端部および自由端部を固定する様子を示す説明図である。
図6】本発明の変形例としての意匠部を示す正面図である。
図7図6の意匠部がバックルに組み込まれた様子を示す説明図である。
図8図7のバックルを正面から示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態におけるバックルおよびベルトについて説明する。
ベルト100は、ベルト本体部80と、バックル10とを備えている。
ベルト本体部80は、帯状に延ばされて形成されている。ベルト本体部80の両端部のうち、通常、バックル10に固定されて使用される側が固定端部82となる。一方、使用される前にはバックル10に固定されておらず使用するときにバックル10にその都度固定される側が自由端部81となる。なお、ベルト本体部80には、固定用の孔などは形成されていない。
【0010】
バックル10は、バックル前部20と、バックル後部30と、バックル最後部40と、バックル固定部50とを備えている。
バックル前部20は、図2に示すように、金属からなっており矩形板状に形成されたバックル前本体部21を備えている。バックル前本体部21は、前に凸となるように全体的に湾曲している。バックル前本体部21の幅方向Wの中央部には、固定孔25が形成されている。固定孔25は、正面視して六角形状に形成されており、バックル前本体部21を厚さ方向D(図4に示す)に貫通している。なお、幅方向Wは、ベルト100を身体に装着したときの左右方向となり、厚さ方向Dは同様に身体に装着したときの前後方向となる。
【0011】
固定孔25には、図4に示すように、固定ネジ部22が設けられている。すなわち、固定孔25に固定ネジ部22が前側から後方に向けて通されている。また、固定孔25には、後ろ側から前方に向けて固定ナット24が通されており、固定孔25より大径のフランジ部24Aがバックル前部20の裏面に当接することにより、固定ナット24がバックル前部20の後ろ側から前方に抜け落ちることが防止されている。そして、固定孔25に配された固定ナット24に固定ネジ部22が通されており、固定ネジ部22を正回転させると固定ネジ部22が締められて後方に移動していき、一方固定ネジ部22を逆回転させると固定ネジ部22が緩められて前方に移動していくようになっている。
【0012】
また、バックル前本体部21の幅方向Wの両端部には、図2に示すように、一対の露出開口部26(開口部)が形成されている。これら露出開口部26は、バックル前本体部21を厚さ方向Dに貫通する貫通孔であり、左右対称に略矩形状に形成されている。これら露出開口部26は、バックル10が組み立てられたとき、バックル前部20とバックル後部30との間のスペースSを露出するようになっている。
また、バックル前本体部21の中央部のうち高さ方向Hの両端部には、一対の矩形状の矩形開口部28が形成されている。矩形開口部28により、バックル前部20のデザイン性を向上させるとともに軽量化を図ることができる。
また、バックル前本体部21の4つの隅部には、連結孔部27が設けられている。連結孔部27は、円形の貫通孔であり、後述する一貫ネジ部51(一貫固定部)を通すための連結孔である。
【0013】
バックル後部30およびバックル最後部40は、互いに同一形状および同一サイズに形成されており、同一材料からなっている。そのため、ここではバックル後部30についてのみ説明し、バックル最後部40についての詳細な説明は省略する。
バックル後部30は、図3に示すように、金属からなっており矩形板状に形成されたバックル後本体部31を備えている。バックル後本体部31は、バックル前本体部21と同様に前に凸となるように全体的に湾曲している。バックル後本体部31の幅方向Wの中央部の近傍には、後部補強爪部33が形成されている。後部補強爪部33は、正面視して幅方向Wの外方に向けて矩形状に突出する矩形片部である。そして、図4に示すように、後部補強爪部33は、側面視してバックル後本体部31から前側に傾斜している。すなわち、後部補強爪部33は、その基端部から先端部にかけて前側に傾斜しながら前面から突出している。
【0014】
また、バックル後本体部31の幅方向Wの両端部には、図3に示すように、一対の両幅開口部32が形成されている。これら両幅開口部32は、バックル後本体部31を厚さ方向Dに貫通する貫通孔であり、左右対称に略矩形状に形成されている。
また、バックル後本体部31の中央部のうち高さ方向Hの両端部には、一対の矩形状の矩形開口部35が設けられている。これら両幅開口部32および矩形開口部35により、バックル後部30のデザイン性を向上させるとともに軽量化を図ることができる。
また、バックル後本体部31の4つの隅部には、連結孔部34が設けられている。連結孔部34は、円形の貫通孔であり、後述する一貫ネジ部51を通すための連結孔である。
なお、図3において、符号40はバックル最後部、符号41はバックル最後本体部、符号42は両幅開口部、符号43は最後部補強爪部、符号44は連結孔部、符号45は矩形開口部を示している。
【0015】
また、バックル前部20、バックル後部30およびバックル最後部40は、図4に示すように、厚さ方向Dに配列されてバックル固定部50によって固定されるようになっている。すなわち、前側から後方に向かって、バックル前部20、バックル後部30およびバックル最後部40の順番で3層に配列されて固定されるようになっている。
バックル固定部50は、一貫ネジ部51、調整ナット52および最後ナット53を備えている。
【0016】
一貫ネジ部51は、先端にキャップ部51Aが設けられて円柱状に形成されている。
なお、連結孔部27,34,44は、それぞれ同一の径寸法とされており、バックル前部20、バックル後部30およびバックル最後部40が3層に配列された状態で、正面視して一致した位置に配されるようになっている。そして、一貫ネジ部51は、バックル前部20、バックル後部30およびバックル最後部40が3層に配列された状態で、前側から後方に向かって連結孔部27,34,44にわたって通されるようになっている。そのため、キャップ部51Aがバックル前本体部21の前面から前方に突出するようになっている。
【0017】
一貫ネジ部51の先端部は、バックル最後本体部41の裏面から後方に突出するようになっており、当該先端部に最後ナット53が締められるようになっている。これにより、バックル前部20、バックル後部30およびバックル最後部40が3層に配列された状態で着脱可能に固定されるようになっている。
また、一貫ネジ部51の中途部には、調整ナット52が通されている。この調整ナット52は、バックル前本体部21とバックル後本体部31との間に配されるようになっている。そして、調整ナット52を正回転させると、調整ナット52が締められてバックル後本体部31を後方に押圧しながら後方に移動していき、一方調整ナット52を逆回転させると調整ナット52が緩められて前方に移動していくようになっている。
【0018】
次に、バックル10およびベルト100の動作について説明する。
バックル10は、組立解体可能に構成されており、まずバックル10を以下のようにして組み立てる。
図4に示すように、バックル前本体部21の裏面から前方に向かって固定ナット24を通し、この状態で固定ナット24に固定ネジ部22を正回転させて締めていく。これにより、固定ネジ部22がバックル前本体部21の前面から前方に突出した状態になる。
そして、バックル前本体部21のそれぞれの連結孔部27に一貫ネジ部51を前側から後方に向けて通し、この一貫ネジ部51に調整ナット52を通していく。それから、これら一貫ネジ部51をバックル後本体部31の連結孔部34に前側から通し、さらにバックル最後本体部41の連結孔部44に前側から通していく。このとき、バックル後本体部31とバックル最後本体部41とが左右対称になるように左右逆向きにして配置する。これにより、後部補強爪部33および最後部補強爪部43が、前側に突出し互いに幅方向Wの外方に向けられる。そして、バックル最後本体部41の裏面から後方に突出する一貫ネジ部51の先端部に最後ナット53を締めていく。
これにより、4隅のバックル固定部50を介して、バックル前部20、バックル後部30およびバックル最後部40が3層に配列された状態で前方に凸の状態で揃えられて着脱可能に固定される。
このようにバックル前部20、バックル後部30およびバックル最後部40が固定された状態で、バックル前本体部21の前面から前方に突出する固定ネジ部22を正回転および逆回転させることにより、固定ネジ部22の先端部22Aが固定ナット24よりも後ろ側に突出せずに固定ナット24内に没入する解除位置Kと、先端部22Aが固定ナット24よりも後ろ側に突出してバックル後本体部31に近接する固定位置Lとの間で前後方向に往復移動するようになる。
また、前述より逆の手順でバックル10が解体される。
【0019】
次いで、ベルト本体部80の固定端部82を以下のようにしてバックル10に固定する。
図5は、バックル10に固定端部82および自由端部81を固定する様子を示す説明図である。なお、図5において、便宜上、バックル固定部50を省略して示していることは言うまでもない。
まず、バックル後本体部31とバックル最後本体部41との間に左から右に向けて固定端部82を通していく。このとき、最後部補強爪部43が右方向に向かって前側に傾斜していることから、固定端部82が案内されて右方向に通されていく。そして、固定端部82が最後部補強爪部43を乗り越える所定の位置まで配された状態で、調整ナット52を閉めていく。つまり、調整ナット52を正回転させて後方に移動させていく。すると、調整ナット52はバックル後本体部31を後方に押圧していき、バックル後本体部31が固定端部82を後方に押圧していく。4つの調整ナット52を締めると、バックル後本体部31とバックル最後本体部41とによって固定端部82が前後から挟持されて着脱可能に固定される。このとき、最後部補強爪部43が右方向に向けられて前方に傾斜していることから、最後部補強爪部43が固定端部82の裏面から前方に食い込むことにより、固定端部82が左側に移動しようとすることを防止し固定端部82の固定が補強される。
なお、ベルト本体部80をバックル10から外すときは、調整ナット52を緩めることにより、固定端部82がバックル10から外される。
【0020】
さらに、以下のようにして、自由端部81をバックル10に固定する。
なお、固定ネジ部22を解除位置Kに配しておく。
前述のように固定端部82がバックル10に固定された状態で、バックル10をユーザの腹の正面位置に配した状態でベルト本体部80を左から身体に巻きつけていく。そして、ベルト本体部80の自由端部81を右から前側に引っ張ってさらに腹の正面において左側に巻き付けていく。そして、バックル前本体部21とバックル後本体部31との間に自由端部81を右から左に向けて通していく。このとき、後部補強爪部33が左方向に向かって前方に傾斜していることから、自由端部81が案内されて左方向に通されていく。そして、自由端部81が後部補強爪部33を乗り越えてさらにバックル10を通って左に突出していく。さらに、この自由端部81を左に引っ張ってユーザの所望の締め具合になるまで締めていく。所望の締め具合になったら、その状態で、バックル前本体部21の前面から前方に突出している固定ネジ部22を正回転させて締めていく。すると、固定ネジ部22が解除位置Kから後方に移動していき、先端部22Aが固定ナット24から後方に突出していく。
【0021】
さらに固定ネジ部22を正回転させると、先端部22Aが自由端部81に当接し自由端部81を後方に押圧していく。このとき、先端部22Aの近傍に後部補強爪部33が設けられていることから、自由端部81の前面が先端部22Aによって後方に押圧されることにより、自由端部81の裏面に後部補強爪部33が食い込んでいく。そして、固定ネジ部22を充分に締めたところで、固定ネジ部22の正回転を止める。このときの固定ネジ部22の位置が固定位置Lとなる。
これにより、自由端部81が固定ネジ部22とバックル後本体部31とによって前後から挟持されて先端部22Aとバックル後本体部31との間の摩擦により固定される。このとき、図1に示すように、ベルト本体部80の前面が、露出開口部26から外方に露出される。
なお、ベルト100を身体から外すときは、固定ネジ部22を逆回転させて固定位置Lから解除位置Kに移動させることにより、自由端部81を右方向に移動させてバックル10から外せばよい。
【0022】
以上より、本実施形態におけるバックル10によれば、バックル前部20とバックル後部30との間に自由端部81を配した状態で、固定ネジ部22を解除位置Kから固定位置Lに移動させることにより、自由端部81をバックル前部20とバックル後部30との間で固定することができ、自由端部81の位置を無段階に調整することができる。そのため、ベルト本体部80による締め具合の自由度を向上させることができる。
なお、バックルを前方に湾曲させてこのバックルに沿って左右に移動可能な押さえ部を設けることにより、ベルト本体部をバックルに固定することが考えられるが、このような構成だと、固定力が弱まってしまう。本実施形態におけるバックル10によれば、固定ネジ部22を後方に移動させてこの固定ネジ部22によってベルト本体部80を同方向の後方に押圧することにより固定することから、簡易な構成により固定力を強くすることができるだけでなく、固定ネジ部22を逆回転させるだけで前方に移動させてベルト本体部80の固定を容易に解除することができる。
【0023】
また、バックル最後部40が設けられることから、デザイン性を向上させることができるだけでなく、バックル後部30とバックル最後部40との間で固定端部を容易に固定することができる。
また、一貫ネジ部51が設けられることから、バックル前部20、バックル後部30およびバックル最後部40にわたって一貫ネジ部51を通すことにより、これらを容易に固定することができる。
また、バックル前部20とバックル後部30との間に調整ナット52が設けられることから、調整ナット52を正逆回転させるだけで、バックル後部30とバックル最後部40との間において固定端部82を着脱可能に容易に取り付けることができる。
【0024】
また、後部補強爪部33が設けられていることから、自由端部81を固定するとき、後部補強爪部33が自由端部81の裏面から自由端部81を前方に押圧することにより、自由端部81の固定を容易に補強することができる。
また、最後部補強爪部43が設けられていることから、固定端部82を固定するとき、最後部補強爪部43が固定端部82の裏面から固定端部82を前方に押圧することにより、固定端部82の固定を容易に補強することができる。
また、バックル後部30およびバックル最後部40が、同一形状および同一サイズに形成されており、左右対称に配列されるように構成されていることから、これらバックル後部30およびバックル最後部40の構成を簡易にすることができ、コストを削減することができる。
【0025】
また、バックル前部20に露出開口部26が設けられていることから、バックル前部20からベルト本体部80を外方に露出させることができ、デザイン性を向上させることができるだけでなく軽量化を図ることができる。なお、このとき、ベルト本体部80に孔が形成されていないことから、ベルト本体部80のデザイン性を向上させた状態でベルト本体部80を外方に露出させることができる。
また、本実施形態におけるベルト100によれば、バックル10とベルト本体部80とを備えていることから、バックル10と同様の効果を奏することができるだけでなく、ベルト本体部80をバックル10に容易に固定および解除することができユーザの身体に対して容易に着脱することができる。
【0026】
なお、本発明の技術範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、図6に示すように、意匠部60が設けられていてもよい。すなわち、このベルト100は、意匠部60をさらに備えている。意匠部60は、金属からなっており矩形板状に形成された意匠本体部61を備えている。意匠本体部61の幅方向Wの中央部には、中央開口部62が形成されている。中央開口部62は、正面視して矩形状に形成されており、意匠本体部61を厚さ方向Dに貫通している。また、意匠本体部61の4つの隅部には、連結孔部64が形成されている。連結孔部64は、円形の貫通孔であり、一貫ネジ部51を通すための連結孔である。また、意匠本体部61の内方領域には、デザイン部63が設けられている。デザイン部63は、金属材料がエッチング加工されて形成されたものであり、金属模様と貫通スペースとによって形成されている。
【0027】
このような構成のもと、図7に示すように、意匠部60は、バックル前部20とバックル後部30との間に配されて一貫ネジ部51が連結孔部64を通されることにより着脱可能に固定される。このとき、意匠部60は、バックル前部20とバックル後部30との間において自由端部81より前方に配置される。これにより、図8に示すように、バックル前部20を正面視したときに、露出開口部26からデザイン部63が外方に露出される。そのため、デザイン性を向上させることができる。また、デザイン部63が金属模様と貫通スペースとによって形成されているため、意匠部60を設置すると、デザイン部63の貫通スペースからベルト本体部80を外方に露出させることができデザイン性を向上させることができる。
なお、デザイン部63は、前述のデザインだけでなく、例えば花鳥風月、線図または各種キャラクターなど適宜変更可能であることは言うまでもない。また、デザイン部63には貫通スペースが形成されていなくてもよい。また、デザイン部63の加工は、エッチング加工でなくてもよく、適宜変更可能である。
【0028】
また、バックル10がバックル最後部40を備えるとしているが、これに限ることはなく、バックル最後部40は設けられていなくてもよい。その場合、固定端部82をバックル前部20またはバックル後部30に取り付けるようにしてもよい。
また、バックル前部20、バックル後部30およびバックル最後部40の三層としているが、これに限ることはなく、4層以上であってもよい。
また、一貫ネジ部51が設けられるとしているが、これに限ることはなく、この一貫ネジ部51は設けられていなくてもよい。その場合、バックル前部20とバックル後部30とにわたるネジ部やバックル後部30とバックル最後部40とにわたるネジ部がそれぞれ別個に設けられていてもよい。さらに、クリップ、磁石または接着剤など固定部としては適宜変更可能である。
また、調整ナット52が設けられるとしているが、これに限ることはなく、調整ナット52は設けられていなくてもよい。その場合、ネジ、クリップ、磁石または接着剤など固定部としては適宜変更可能である。
【0029】
また、後部補強爪部33が設けられるとしているが、これに限ることはなく、後部補強爪部33は設けられていなくてもよい。
また、最後部補強爪部43が設けられるとしているが、これに限ることはなく、後部補強爪部33は設けられていなくてもよい。
また、バックル後部30およびバックル最後部40が、同一形状および同一サイズに形成されているとしているが、これに限ることはなく、それぞれ異なる形状であってもよいし、異なるサイズであってもよい。
また、バックル前部20に露出開口部26が形成されているとしているが、これに限ることはなく、露出開口部26は設けられていなくてもよい。
また、バックル前部20、バックル後部30、バックル最後部40および意匠部60の形状が矩形状であるとしているが、これに限ることはなく、その形状は適宜変更可能である。例えば、三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形や円形、動植物、各種キャラクターなどの形状であってもよい。また、これらバックル前部20、バックル後部30、バックル最後部40および意匠部60の形状はそれぞれ異なっていてもよく、サイズもそれぞれ異なっていてもよい。
【0030】
また、バックル前部20、バックル後部30、バックル最後部40および意匠部60が金属材料からなるとしているが、これに限ることはなく、例えば樹脂や木材など適宜変更可能である。
また、露出開口部26、矩形開口部28,35,45、連結孔部27,34,44,64および両幅開口部32,42の形状や設置数、設置位置なども適宜変更可能であり、これら露出開口部26、矩形開口部28,35,45、連結孔部27,34,44,64および両幅開口部32,42が設けられていなくてもよい。
また、固定ネジ部22が設けられているとしているが、この構成は適宜変更可能である。例えば、固定ネジ部22に雄ネジ部が形成されていなくても固定ネジ部22が前後に往復移動するようになっており、後方に移動して自由端部81を後方に押圧固定し前方に移動して解除するように固定解除部として機能するものであればよい。また、固定ネジ部22と自由端部81との間に間接部材が設けられており、固定ネジ部22が後方に移動して間接部材を介して自由端部81を後方に押圧固定するようにしてもよい。また、固定ネジ部22が後方に移動してクリックして固定され、さらにクリックして解除されて前方に移動してもよい。
また、固定ナット24が設けられているとしているが、これに限ることはなく、固定ナット24は設けられていなくてもよい。この場合、固定孔25に雌ネジが形成されていてもよい。
【0031】
また、解除位置Kにおいて先端部22Aが固定ナット24に没入するとしているが、これに限ることはなく、先端部22Aが後方に突出する位置であってもよい。この場合、自由端部81が固定されない程度に突出していてもよい。
また、ベルト本体部80に孔が形成されていないとしているが、これに限ることはなく、孔が形成されていてもよい。
また、ベルト100をユーザの身体に巻くためのベルトとしているが、これに限ることはなく、例えば、腕時計のベルトや資材用のベルトなど適宜変更可能である。
【0032】
既述の実施形態に関し、さらに以下の付記を示す。
(付記1)
ベルト本体部に設けられるバックルであって、
前記ベルト本体部の自由端部を前後から挟持するバックル前部およびバックル後部を備え、
前記バックル前部と前記バックル後部との間において前記自由端部を固定する固定ネジ部が前記バックル前部に設けられており、
前記固定ネジ部は、
前記バックル前部に対して後方に移動して前記バックル前部と前記バックル後部との間に配される前記自由端部を後方に押圧して固定する固定位置と、前記固定位置から前方に移動して前記自由端部の固定を解除する解除位置との間で移動するように構成されているバックル。
【0033】
(付記2)
前記バックル後部の後方側に配されるバックル最後部を備え、
前記バックル前部、前記バックル後部および前記バックル最後部が三層に配列されるように構成されており、前記バックル後部と前記バックル最後部との間で前記ベルト本体部の固定端部を挟持して固定するように構成されている付記1に記載のバックル。
【0034】
(付記3)
前記バックル前部から前記バックル後部を通って前記バックル最後部にわたって取り付けられるように構成され、前記バックル前部、前記バックル後部および前記バックル最後部を固定するように構成された一貫固定部を備える付記2に記載のバックル。
【0035】
(付記4)
前記一貫固定部がネジであって前記バックル前部と前記バックル後部との間において前記一貫固定部に調整ナットが通されるように構成されており、前記調整ナットが締められると、前記バックル後部が前記固定端部を押圧して前記バックル後部と前記バックル最後部との間で前記固定端部が固定され、前記ナットが緩められると、前記固定端部の固定が解除されるように構成されている付記3に記載のバックル。
【0036】
(付記5)
前記バックル最後部に前記固定端部の固定を補強する最後部補強爪部が設けられている付記2から付記4のいずれか一項に記載のバックル。
【0037】
(付記6)
前記バックル後部に前記自由端部の固定を補強する後部補強爪部が設けられている付記1から付記5のいずれか一項に記載のバックル。
【0038】
(付記7)
前記バックル後部および前記バックル最後部が、同一形状および同一サイズに形成されており、左右対称に配列されるように構成されている付記5に従属する付記6に記載のバックル。
【0039】
(付記8)
前記バックル前部に、前記バックル前部と前記バックル後部との間のスペースを露出する開口部が設けられている付記1から付記7のいずれか一項に記載のバックル。
【0040】
(付記9)
前記バックル前部と前記バックル後部との間のうち前記自由端部よりも前方側に意匠部が設けられるように構成されており、前記開口部から前記意匠部が露出するように構成されている付記8に記載のバックル。
【0041】
(付記10)
付記1から付記9のいずれか一項に記載のバックルと、
前記バックル前部および前記バックル後部によって前記自由端部が前後から挟持されるように構成されている前記ベルト本体部と
を備えるベルト。
【符号の説明】
【0042】
10 バックル
20 バックル前部
22 固定ネジ部
26 露出開口部(開口部)
30 バックル後部
33 後部補強爪部
40 バックル最後部
43 最後部補強爪部
51 一貫ネジ部(一貫固定部)
52 調整ナット
60 意匠部
80 ベルト本体部
81 自由端部
82 固定端部
100 ベルト
K 解除位置
L 固定位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8