(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054714
(43)【公開日】2023-04-14
(54)【発明の名称】コンテナ型計算センタの冷却システム、及びそのシステムを備えたコンテナ型計算センタ
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20230407BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20230407BHJP
F24F 3/044 20060101ALI20230407BHJP
F24F 1/0007 20190101ALI20230407BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 A
G06F1/20 B
H05K7/20 U
F24F3/044
F24F1/0007 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163740
(22)【出願日】2021-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】515165834
【氏名又は名称】潘 忠信
(74)【代理人】
【識別番号】100119297
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 正男
(74)【代理人】
【識別番号】100112140
【弁理士】
【氏名又は名称】塩島 利之
(74)【代理人】
【識別番号】100122312
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 正優
(72)【発明者】
【氏名】潘 忠信
【テーマコード(参考)】
3L050
3L053
5E322
【Fターム(参考)】
3L050BB03
3L053BB10
5E322BA01
5E322BA05
5E322BB03
5E322BC02
5E322BC05
5E322CA06
5E322DA01
5E322DA02
5E322DA04
5E322EA05
5E322EA11
5E322FA01
5E322FA09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電力消費量の少ないコンテナ型計算センタの冷却システム及びコンテナ型計算センタを提供する。
【解決手段】コンテナ11の長手方向の側面に外気が流入する外気流入開口と、外気流入口と対向する側面に室内の空気を排出する排気開口と、内部にサーバラック30に搭載された複数のサーバ31と、を有するコンテナ型計算センタ10の冷却システムであって、外気流入開口の前面を覆うように設けられた通風孔を有する保水体と保水体に水を供給する水供給装置とを有するウォータカーテン20と、排出開口に設けられ室内に負圧を発生させる排気ファン40と、を備える。保水体が保水する水の気化熱で冷却された外気によりサーバが冷却され、サーバの発熱により暖められた空気は、サーバの放熱ファンと排気開口に設けられた排気ファンとにより形成される気流により、室内に滞留することなく排気開口から外部に排出される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の側面に外気が流入する外気流入開口と、前記外気流入口と対向する側面に室内の空気を排出する排気開口と、内部にラックに搭載された複数のサーバとを有するコンテナ型計算センタの冷却システムであって、
前記外気流入開口の前面を覆うように設けられた通風孔を有する保水体と前記保水体に水を供給する水供給装置とを有するウォータカーテンと、前記排出開口に設けられ前記室内に負圧を発生させる排気ファンとを備え、
前記保水体が保水する水の気化熱で冷却された外気により前記サーバが冷却され、前記サーバの発熱により暖められた空気は、前記サーバの放熱ファンと前記排気開口に設けられた排気ファンとにより形成される気流により、前記室内に滞留することなく前記排気開口から外部に排出されることを特徴とする冷却システム。
【請求項2】
前記サーバは、中央よりも前記外気排気開口側、長手方向に配列されることを特徴とする請求項1に記載のコンテナ型計算センタの冷却システム。
【請求項3】
前記保水体を取り付け取り外し自在に構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のコンテナ型計算センタの冷却システム。
【請求項4】
前記保水体の材質は、ポリマー繊維、ガラス繊維、クラフト繊維のいずれか、又はこれらの組合せであり、所定の厚みを有し前記通風孔は略45度傾斜していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のコンテナ型計算センタの冷却システム。
【請求項5】
長手方向の側面に外気が流入する外気流入開口と、前記外気流入開口と対向する側面に室内に流入した外気を排出する排気開口と、前記室内にラックに収納された複数のサーバとを備えたコンテナ型計算センタであって、
前記外気流入開口の前面を覆うように設けられた通風孔を有する保水体と前記保水体に水を供給する水供給装置とを有するウォータカーテンと、
前記排出開口に設けられ前記室内に負圧を発生させる排気ファン
とを備えたことを特徴とするコンテナ型計算センタ。
【請求項6】
前記保水体が保水する水の気化熱により冷却され外気により前記サーバが冷却され、前記サーバの発熱により暖められた空気は、前記サーバの備えるファンと前記排気ファンとにより形成される気流により、前記室内に滞留することなく前記排気開口から排出されることを特徴とする請求項5に記載のコンテナ型計算センタ。
【請求項7】
前記サーバは、中央よりも前記外気排気開口側、長手方向に配列されることを特徴とする請求項5又は6に記載のコンテナ型計算センタ。
【請求項8】
前記保水体を取り付け取り外し自在に構成したことを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載のコンテナ型計算センタ。
【請求項9】
前記保水体の材質は、ポリマー繊維、ガラス繊維、クラフト繊維のいずれか、又はこれらの組合せであり、所定の厚みを有し前記通風孔は略45度傾斜していることを特徴とする請求項5から8のいずれかに記載のコンテナ型計算センタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ内に設けられた電子装置の発熱による室内温度の上昇を気化熱と気流の経路とにより抑制するコンテナ型計算センタの冷却システム、及びそのシステムを備えたコンテナ型計算センタに関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナ型データセンタ(モジュール型データセンタとも言われる。)は、車両に搭載し一般道を経由して運搬することができるので、その設置場所を柔軟に変更することができる。また、建築物として設置するデータセンタと比べて、短期間に低コストで手軽に設置できるという特徴がある。
【0003】
しかし、コンテナ内に設置される電子機器数やその計算能力等により異なるが、例えばサーバが稼働するとサーバの発熱により大量の熱が生成される。サーバの発熱により室温が上昇し、室温の上昇はサーバの性能や寿命に影響を及ぼす。このためサーバの電力消費(エネルギー)とそれによる発熱は、コンテナ型データセンタにおいても大きな課題である。
【0004】
ここで、データセンタ内での電力消費(エネルギー)は、サーバによるコンピューティングと、通信機器によるネットワーキングと、これらの機器の発熱による室温上昇を制御する空調機とによるものに大別できる。これらのうち、最大の電力消費量はサーバ等が発生する熱の除去に関連付けられるものである。
【0005】
発熱したサーバ等の電子機器を冷却するには様々な方法があるが、例えば冷気を生成するためのパッケージエアコンをデータセンタ内に設け、その冷気でサーバを冷却する方法がある。しかし、それだけでは省エネルギーの冷却システムとはならない。このためデータセンタの電力消費(エネルギー)を抑え、ランニングコストを低減するため省エネルギーの冷却システムが求められている。
【0006】
かかる事情に鑑み、近年、コンテナ型データセンタの冷却システムに関する様々な技術が公開されている。下記特許文献1は、モジュールおよびモジュール型データセンタであって、コンテナ室内のホットエリアとコールドエリアの区間をカーテンにより区切り空調の効率化を図る、という技術を公開している。
【0007】
即ち下記特許文献1に記載の技術は、カーテンのような仕切り部材がなければホットエリアとコールドエリア内で熱交換がより行われ、より熱い空気を排出できず、より冷たい空気をラック内に送り込みにくくなる。そこでカーテンにより仕切ることで給気口には外部または空調機からホットエリアの空気よりも冷たい空気を流入させる。これによりサーバ内では空気の循環が行われ効率的な冷却システムを構成することができる、とするものである。
【0008】
下記特許文献2は、コンテナと、前記コンテナ内のホットエリアの空気を冷却してコールドエリアに送り込む空調機と、前記コンテナ内に設置され、前記コールドエリアの空気に熱を与え前記ホットエリアへ抜けるようサーバが格納され、前記コールドエリアと前記ホットエリアとを仕切るように配置されるラックと、前記コンテナ内に設置され、前記サーバが格納されるラックが溝に沿って摺動可能に設置されたパレットと、前記パレットを免震して支持する支持部と、伸縮可能で、前記ラックと前記コンテナとの間をコールドエリアとホットエリアに区切るように配置されるカーテンと、を備え、前記カーテンは伸縮することで、前記コールドエリアと前記ホットエリアとの区切りを取り外し可能なモジュール型データセンタに関する技術を公開している。
【0009】
下記特許文献2に記載の技術も、特許文献1に記載の技術と同様に、コンテナ室内をコールドエリアとホットエリアとを仕切るようにラックとパレットとを設置し、コールドエリアとホットエリアを区切るようにカーテンを配置している。サーバの熱が排出されるホットエリアの空気は、排気口から外部に排出され、給気口には外部又は空調機からホットエリアよりも冷たい空気が流入される。ホットエリアの空気がコールドエリアに入らないようにすることで、効率的な冷却システムを構成する、とするものである。
【0010】
しかし、下記特許文献1、下記特許文献2に記載の技術はいずれも、ホットエリアの空気とコールドエリアの空気との循環が行われないように仕切り、冷却システムの効率化を図るものであり、コールドエリアに送る冷気は空調機により冷却しなければならない。データセンタにおける電力消費の大半は空調機によるものであることから、効率的な冷却システムではあるが、空調機の稼働には相当の電力が必要になる、という問題がある。また、カーテンやパレット等で仕切ると、サーバのメンテナンスがし難くなるという問題もある。
【0011】
ここで、上述したコンテナ型データセンタは、室温の上昇を抑制するため厳密な室温制御を行う必要がある。これはサーバの安定した継続稼働、365日24時間の稼働と、サーバの処理能力の安定化を図る必要があるからである。また、データセンタの電力消費が大きい(発熱量が大きい)のは、サーバの停止や不測の事態によるデータ消失のバックアップシステムやデータセキュリティシステムを備えなければならないからである。コンテナ型データセンタは室内の温度を厳密に制御しなければならず冷却システムに多大な電力が必要になる、という問題がある。
【0012】
しかし、サーバの処理能力の低下や、一時的なサーバの停止が許容される分散コンピューティングの一翼を担うセンタ(本明細書では計算センタと称する)であればデータセンタのような厳密な室温制御は必要とされない。
【0013】
それはコンテナ室内の温度が上昇し、これによりサーバが一時的に停止しても、停止する前までの計算結果はネットワークを介してクラウド上で共有されているからである。そして、サーバの稼働停止による発熱量の減少や、外気温の低下による室温低下を待って再稼働すれば良いからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2013-030027号
【特許文献2】特開2013-109423号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで本発明の課題は、短期間に低コストで手軽にどこでも設置することができ、コンテナ内に設けられた電子装置の発熱による室内温度の上昇を効率的に抑制できるとともに、電力(エネルギー)消費量の少ないコンテナ型計算センタの冷却システム、及びそのシステムを備えたコンテナ型計算センタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するため本発明は、長手方向の側面に外気が流入する外気流入開口と、前記外気流入口と対向する側面に室内の空気を排出する排気開口と、内部にラックに搭載された複数のサーバとを有するコンテナ型計算センタの冷却システムであって、
前記外気流入開口の前面を覆うように設けられた通風孔を有する保水体と前記保水体に水を供給する水供給装置とを有するウォータカーテンと、前記排出開口に設けられ前記室内に負圧を発生させる排気ファンとを備え、
前記保水体が保水する水の気化熱で冷却された外気により前記サーバが冷却され、前記サーバの発熱により暖められた空気は、前記サーバの放熱ファンと前記排気開口に設けられた排気ファンとにより形成される気流の経路で、前記室内に滞留することなく前記排気開口から外部に排出されることを特徴とする冷却システム、である。
【0017】
排気ファンによりコンテナ室内は負圧状態にあり、外気流入開口から流入した外気(空気)は保水体の通風孔を通風する際に保水体が保水する水の気化熱により冷却される。冷却された空気は稼働発熱しているサーバを冷却した後、暖められ温風となる。温風はサーバの放熱ファンの送風力と排気ファンの吸引力とにより形成された気流の経路により、コンテナ室内に滞留することなく排出開口から排出される。これによりサーバの発熱による室内温度の上昇を抑えることができる。
【0018】
コンテナ室内でラックに搭載されるサーバは、コンテナの長手方向に配列され、その中央よりも排出開口の近く設けることが好適である。かかる配置によりサーバの発熱による温風をコンテナ室内に滞留させず迅速に排出することができる。
【0019】
保水体は複数に分割でき、かつ外枠に着脱可能に構成することが好適である。取り付け取り外しを可能に構成することで、メンテナンス性が向上する。また、保水体の通風孔は、空気の流入口から流出口の上方向に斜め45度傾斜していることが好適である。これにより、通気性と風圧による横揺れを軽減することができる。
【0020】
本第2の発明は、長手方向の側面に外気が流入する外気流入開口と、前記外気流入開口と対向する側面に室内に流入した外気を排出する排気開口と、前記室内にラックに収納された複数のサーバとを備えたコンテナ型計算センタであって、
前記外気流入開口の前面を覆うように設けられた通風孔を有する保水体と前記保水体に水を供給する水供給装置とを有するウォータカーテンと、前記排出開口に設けられ前記室内に負圧を発生させる排気ファンとを備えたたことを特徴とするコンテナ型計算センタ、である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、短期間に低コストで手軽にどこでも設置することができ、コンテナ内に設けられた電子装置の発熱による室内温度の上昇を効率的に抑制できる電力(エネルギー)消費量の少ない冷却システムを提供することができる。また、かかる冷却システムを備えたコンテナ型計算センタを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施の形態であるコンテナ型計算センタ10の平面図である。コンテナ型計算センタ10を構成するコンテナ11は、天井部(上面)と壁部(周囲面)と床部(下面)とにより構成される。本実施形態のコンテナ11は、人がコンテナ11の外部から内部へ出入り可能な外ドア18を備えている。
【0023】
コンテナ11は、その内部(室内)に少なくとも複数のサーバが設けられるスペースがあればよく、コンテナ11は例えば輸送用コンテナなどを含み、トラックなどに乗せて輸送できるものであればよい。要は、輸送可能な中空の容器であり、その内部と外部との間で熱をある程度断熱できるように構成されていることが好ましい。
【0024】
図2は本発明の一実施の形態であるコンテナ11の正面図(外気流入開口側)である。
図2に示すように本発明の一実施の形態であるコンテナ11の長手方向側面には外気が流入する外気流入開口101が設けられている。しかし、外気流入開口101はこれに限定されるものではなく、複数の開口としても良い。要はサーバ31を冷却するに必要となる外気流入量が確保できることと、開口部が大きくなることによるコンテナ剛性の低下とのバランスにより適宜決定される。
【0025】
図3は本発明の一実施の形態であるコンテナ11の背面図(排気開口側)である。
図1、
図3に示すように外気流入開口101と対向する面には排気開口102に取付枠等により排気ファン40が設けられている。排気ファン40は室内の空気を外部に排出することで、室内に負圧を発生させる。
【0026】
図1に示すようにコンテナ11の室内には長手方向にラック30が設けられ、ラック30にサーバ31が搭載されている。ラック30は長手方向中央よりも排気ファン40寄りに配置されている。ラック30 は、コンテナ11の内部の床面積に比べ小さく設計されており、ラック30とコンテナ壁部との間を通路として用いることができる。なおサーバ31には制御盤50からラック経由で電力線と通信線とが配線されている。
【0027】
図4は本発明の一実施の形態であるコンテナ11の断面図である。コンテナ11の外気流入開口101の前面には、それを覆うようにウォータカーテン20が設けられ、またウォータカーテン20の前面には、防塵ネット60が設けられている。防塵ネット60は、蛾、飛翔昆虫、花粉、綿毛等がウォータカーテン20や、コンテナ11の内部に入るのを防ぐためのものである。その材質は 、例えば、ステンレス製のフィルターが好適である。また、空気中の5umを越えるほこりやその他の浮遊物をろ過するには、厚み5mm程度のポリエステル繊維のフィルターが好適であり、これらを組み合わせて使用しても良い。
【0028】
コンテナ11は、床部111 、床部111に対向する天井部110、及び床部111及び天井部110とともに、コンテナ11の内部空間(サーバ室空間)を形成する壁部113とを有する。コンテナ11は柔軟な改変に対応するため束基礎112を用いている。ラック30は、鋼鉄、アルミニウム、繊維強化プラスチック(FRP)などで構成され、各段にサーバ31を設置することができる。各サーバ31は同一方向に揃えて収容することが好ましい。このようにすることでサーバ31を冷却する空気を吸気する経路と、サーバ31の発熱により暖められた空気が排出される経路とが設定され、排気ファン40の吸引力とサーバ31の放熱ファンとによりコンテナ室内に温風が滞留することなく排気ファン40によりコンテナ11から外に排気される。
【0029】
図5は本発明の一実施の形態であるウォータカーテン20の正面図(
図5(a))と側面図(
図5(b))である。ウォータカーテン20はコンテナ11の外気流入開口101の前面(室外側)にそれを覆うように設置される。
図5に示すウォータカーテン20においては、それを構成する保水体21(
図6参照)が2分割構成となっている。保水体21を2分割以上に分割して構成し、コンテナ11の取付枠に着脱可能に取り付けることで、保水体21の一部に破損等があっても、当該部分の取替で済ますことができる。また、着脱可能に構成することで、汚れや目詰まり等に対するメンテナンス性が向上する。
保水体21の上部からは水が供給されるが、保水体21の終端から流れ落ちる水を回収するのが水槽23である。水槽23に回収された水はマイクロポンプ24(
図6参照)により揚水され保水体21の上部から供給される。
【0030】
図6は本発明の一実施の形態であるウォータカーテン20の構成図である。ウォータカーテン20は保水体21と保水体21の上部から水を供給する水供給装置とを備えて構成されている。水槽23の貯留水は給水管25から水槽23の貯留水が一定となるように給水弁により制御されている。
【0031】
図7は本発明の一実施の形態であるウォータカーテン20の概略構成図である。水槽23の水は、保水体21の両端に配置されたマイクロポンプ24により垂直方向の給水管から保水体21の上部に配管された水平方向の給水管22に供給され、水平方向の給水管22に形成された孔から均一に滴下する(流れ落ちる)。これにより、保水体21全体が均一に水に浸り、保水体21から流下した水は水槽23に回収され循環する。なお、本実施の形態における水消費量は、気温35℃、湿度60%において、1平方 メートルあたりの 水使用量は約20kg/hであった。
【0032】
保水体21の材料としては、ポリマー繊維、ガラス繊維、クラフト紙、あるいはこれらの組合せによる。これらのなかでもクラフト紙は安価で冷却効果が高く好適である。保水体21は多数の孔を有する通風性を備え、通風孔は前面(外気流入側)から後面(外気排気側)上方向に略45度傾斜している。かかる細孔の構造により通水性と通風性、及び耐風性を確保することができる。
【0033】
外気流入口101から流入する外気は、保水体21を通過するが、その際、保水体の水分子が吸熱し蒸発する。かかる吸熱反応により保水体を通過する外気は室内の空気よりも低温となる。かかる冷気により発熱しているサーバ31を冷却することでコンテナ11の室内の温度上昇を抑制することができる。そして、サーバ31で暖められた空気をコンテナ11内に滞留させることなく排出することで、より効果的に室内温度の上昇を抑制することができる。
【0034】
図8はウォータカーテン20により冷却された外気が、発熱しているサーバ31を冷却した後、暖められ温風となって排気ファン40により排出される気流の経路を平面的に示した図である。また、
図9はウォータカーテン20により冷却された外気が、発熱するサーバ31を冷却した後、暖められ温風となって排気ファン40により排出される気流の経路を断面的に示した図である。
【0035】
コンテナ11の室内は、排気ファン40により負圧の状態になっている。このため外気流入開口101から流入する外気は、ウォータカーテン20で冷気となりサーバ31を冷却した後、サーバ31の放熱ファンにより温風として送風される。かかる温風は平面的には
図8に示すような放熱ファンと排気ファン40とにより形成される気流の経路により、排気ファン40でコンテナ11の外に排出される。また、断面的には
図9に示すような気流の経路により排気ファン40によりコンテナ11の外に排出される。この結果、暖められた空気がコンテナ11内に滞留することなくコンテナ11の外に排出される。
【0036】
排気ファンの排気量は、サーバ31の数により変化するが、少なくもサーバ31が備える放熱ファンの送風量の合計送風量よりも大きくすることが好適である。例えば、コンテナ11内で210台のサーバ31を稼働する場合、サーバ31の放熱ファンの送風量を0.09m3/sとすると、合計送風量は0.09m3/s×210台×3600s/H=68,040m3/hとなる。コンテナ11の排気ファン40として3台設置するとすれば、少なくとも23,000m3/h以上の排気量を備えた排気ファンである必要がある。なお、本実施の形態においては、45,000m3/hの排気量を備えた排気ファンを用いることで温風がコンテナ11の室内に滞留することなく外部に排出された。
【0037】
図10は本発明の一実施の形態であるコンテナ型計算センタを6台設置する場合の配置図の一例である。
図10に示すように各コンテナ型計算センタの排気ファン40がそれぞれ対向するにように配置することにより、排気ファン40から排出される温風が互いに衝突する。衝突した温風は、コンテナ11の壁面が煙突として機能し、コンテナ11の上空に放出・拡散される。これにより、排気ファン40により排出される温風が外気としてコンテナ型計算センタに流入するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の一実施の形態であるコンテナ型計算センタの平面図である。
【
図2】本発明の一実施の形態であるコンテナの正面図(外気流入開口側)である。
【
図3】本発明の一実施の形態であるコンテナの背面図(排気開口側)である。
【
図4】本発明の一実施の形態であるコンテナの断面図である。
【
図5】本発明の一実施の形態であるウォータカーテンの正面図である。
【
図6】本発明の一実施の形態であるウォータカーテンの構成図である。
【
図7】本発明の一実施の形態であるウォータカーテンの概略構成図である。
【
図8】本発明の一実施の形態であるコンテナに流入する外気の経路を平面的に示した図である。
【
図9】本発明の一実施の形態であるコンテナに流入する外気の経路を断面的に示した図である。
【
図10】本発明の一実施の形態であるコンテナ型計算センタを6台設置する場合の配置図の一例である。
【符号の説明】
【0039】
10 コンテナ型計算センタ
11 コンテナ
18 ドア
20 ウォータカーテン
21 保水体
22 給水管
23 水槽
24 マイクロポンプ
25 給水管
30 サーバラック
31 サーバ
40 排気ファン
50 制御盤
60 防塵ネット
101 外気流入開口
102 排気開口
110 天井部
111 床部
112 束基礎
113 壁部