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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054722
(43)【公開日】2023-04-14
(54)【発明の名称】電話機および電話機アダプタ
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/247 20210101AFI20230407BHJP
【FI】
H04M1/247
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163767
(22)【出願日】2021-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000134707
【氏名又は名称】株式会社ナカヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100104570
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 光弘
(72)【発明者】
【氏名】乳井 康平
(72)【発明者】
【氏名】千田 康雄
【テーマコード(参考)】
5K127
【Fターム(参考)】
5K127AA24
5K127AA36
5K127BB16
5K127HA08
5K127HA24
5K127JA05
5K127KA05
(57)【要約】
【課題】通話相手に不自然さを感じさせることなく、通話相手による会話の聴取を制限することが可能な電話機および電話機アダプタを提供する。
【解決手段】会話が含まれていない音声データである周囲雑音データを予め周囲雑音データ記憶部103に記憶しておく。主制御部107は、通話中にミュート操作受付部102を介してユーザよりミュート操作を受け付けたならば、送話信号切替部106に周囲雑音データを選択させる。これを受けて、送話信号切替部106は、送受話器101のマイク入力音声に代えて、周囲雑音データ記憶部103に登録されている周囲雑音データを送話信号として、電話機能部100から通話相手に送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話機であって、
周囲雑音データが記憶された記憶手段と、
ミュート操作を受け付けるための操作手段と、
前記操作手段により通話中にミュート操作を受け付けた場合に、送話信号として、送受話器のマイク入力音声に代えて、前記記憶手段に記憶されている周囲雑音データを通話相手に送信する送話信号切替手段と、を有する
ことを特徴とする電話機。
【請求項2】
請求項1に記載の電話機であって、
通話中に前記送受話器のマイク入力信号から会話の有無を検出する会話検出手段と、
前記会話検出手段により第1の所定時間以上連続して会話が検出されていない区間の前記マイク入力信号から前記周囲雑音データを生成して前記記憶手段に記憶する周囲雑音データ生成手段と、をさらに有する
ことを特徴とする電話機。
【請求項3】
請求項1に記載の電話機であって、
待機中に動作するマイクと、
前記マイクのマイク入力信号から会話の有無を検出する会話検出手段と、
前記会話検出手段により第1の所定時間以上連続して会話が検出されていない区間の前記マイク入力信号から前記周囲雑音データを生成して前記記憶手段に記憶する周囲雑音データ生成手段と、をさらに有する
ことを特徴とする電話機。
【請求項4】
請求項2または3に記載の電話機であって、
前記周囲雑音データ生成手段は、
前記第1の所定時間以上連続して会話が検出されていない区間から当該区間の開始後第2の所定時間および当該区間の終了前第3の所定時間を除いた区間の前記マイク入力信号を、前記周囲雑音データとして前記記憶手段に記憶する
ことを特徴とする電話機。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の電話機であって、
前記送話信号切替手段は、
前記操作手段により通話中にミュート操作を受け付けた場合に、前記記憶手段に周囲雑音データが複数記憶されているならば、当該複数の周囲雑音データの順番を入れ替えて通話相手に送信する
ことを特徴とする電話機。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の電話機であって、
前記送話信号切替手段は、
前記操作手段により通話中にミュート操作を受け付けた場合に、前記記憶手段に記憶されている周囲雑音データに無音データあるいはホワイトノイズを挿入して通話相手に送信する
ことを特徴とする電話機。
【請求項7】
送受話器と電話機本体との間に設置される電話機アダプタであって、
周囲雑音データが記憶された記憶手段と、
ミュート操作を受け付けるための操作手段と、
前記操作手段により通話中にミュート操作を受け付けた場合に、送話信号として、前記送受話器のマイク入力音声に代えて、前記記憶手段に記憶されている周囲雑音データを前記電話機本体に送信する送話信号切替手段と、を有する
ことを特徴とする電話機アダプタ。
【請求項8】
請求項7に記載の電話機アダプタあって、
前記送話信号切替手段は、
前記操作手段により通話中にミュート操作を受け付けた場合に、前記記憶手段に周囲雑音データが複数記憶されているならば、当該複数の周囲雑音データの順番を入れ替えて前記電話機本体に送信する
ことを特徴とする電話機アダプタ。
【請求項9】
請求項7または8に記載の電話機アダプタであって、
前記送話信号切替手段は、
前記操作手段により通話中にミュート操作を受け付けた場合に、前記記憶手段に記憶されている周囲雑音データに無音データあるいはホワイトノイズを挿入して前記電話機本体に送信する
ことを特徴とする電話機アダプタ。
【請求項10】
送受話器と電話機本体との間に設置される電話機アダプタであって、
周囲雑音データが記憶された記憶手段と、
前記電話機本体から送信されたミュート操作信号を検出する検出手段と、
前記検出手段により通話中にミュート操作信号を検出した場合に、送話信号として、前記送受話器のマイク入力音声に代えて、前記記憶手段に記憶されている周囲雑音データを前記電話機本体に送信する送話信号切替手段と、を有する
ことを特徴とする電話機アダプタ。
【請求項11】
請求項11に記載の電話機アダプタあって、
前記送話信号切替手段は、
前記検出手段により通話中にミュート操作信号を検出した場合に、前記記憶手段に周囲雑音データが複数記憶されているならば、当該複数の周囲雑音データの順番を入れ替えて前記電話機本体に送信する
ことを特徴とする電話機アダプタ。
【請求項12】
請求項10または11に記載の電話機アダプタであって、
前記送話信号切替手段は、
前記検出手段により通話中にミュート操作信号を検出した場合に、前記記憶手段に記憶されている周囲雑音データに無音データあるいはホワイトノイズを挿入して前記電話機本体に送信する
ことを特徴とする電話機アダプタ。
【請求項13】
請求項7ないし12のいずれか一項に記載の電話機アダプタであって、
通話中に前記送受話器のマイク入力信号から会話の有無を検出する会話検出手段と、
前記会話検出手段により第1の所定時間以上連続して会話が検出されていない区間の前記マイク入力信号から前記周囲雑音データを生成して前記記憶手段に記憶する周囲雑音データ生成手段と、をさらに有する
ことを特徴とする電話機アダプタ。
【請求項14】
請求項7ないし12のいずれか一項に記載の電話機アダプタであって、
待機中に動作するマイクと、
前記マイクのマイク入力信号から会話の有無を検出する会話検出手段と、
前記会話検出手段により第1の所定時間以上連続して会話が検出されていない区間の前記マイク入力信号から前記周囲雑音データを生成して前記記憶手段に記憶する周囲雑音データ生成手段と、をさらに有する
ことを特徴とする電話機アダプタ。
【請求項15】
請求項14または15に記載の電話機アダプタであって、
前記周囲雑音データ生成手段は、
前記第1の所定時間以上連続して会話が検出されていない区間から当該区間の開始後第2の所定時間および当該区間の終了前第3の所定時間を除いた区間の前記マイク入力信号を、前記周囲雑音データとして前記記憶手段に記憶する
ことを特徴とする電話機アダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話機および電話機アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、通話中に通話相手による会話の聴取を制限することが可能な電話機が開示されている。この電話機では、ミュートスイッチを切り替えてマイク入力信号を短絡したり、あるいはボリュームを操作して可変抵抗またはオペアンプによりマイク入力信号を減衰したりすることにより、送話信号を電気的に遮断あるいは小さくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-174007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1において、ミュートスイッチを切り替えてマイク入力信号を短絡し、送話信号を電気的に遮断すると、完全無音となる。これにより通話相手に不自然さを感じさせてしまうことがある。また、ボリュームを操作して可変抵抗またはオペアンプによりマイク入力信号を減衰し、送話信号を電気的に小さくすると、その減衰の程度によっては、通話相手がボリュームを操作して音量レベルを大きくすることがある。これにより、通話相手に聞かせたくない会話を聞かれてしまう可能性がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、通話相手に不自然さを感じさせることなく、通話相手による会話の聴取を制限することが可能な電話機および電話機アダプタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の電話機では、会話が含まれていない音声データである周囲雑音データを登録しておく。そして、通話中にユーザからミュート操作を受け付けたならば、送受話器のマイク入力音声に代えて周囲雑音データを送話信号として通話相手に送信する。ここで、通話中に送受話器のマイク入力信号から、あるいは待機中に動作するマイクのマイク入力信号から、会話の有無を検出し、会話が検出されていない区間のマイク入力音声から周囲雑音データを生成して登録してもよい。
【0007】
例えば、本発明の電話機は、
周囲雑音データが記憶された記憶手段と、
ミュート操作を受け付けるための操作手段と、
前記操作手段により通話中にミュート操作を受け付けた場合に、送話信号として、送受話器のマイク入力音声に代えて、前記記憶手段に記憶されている周囲雑音データを通話相手に送信する送話信号切替手段と、を有する。
【0008】
また、本発明の電話機アダプタは、送受話器と電話機本体との間に設置される。この電話機アダプタに、会話が含まれていない音声データである周囲雑音データを登録しておき、通話中にユーザからミュート操作を受け付けたならば、送受話器のマイク入力音声に代えて周囲雑音データを送話信号として電話機本体に送信する。ここで、通話中に送受話器のマイク入力信号から、あるいは、待機中に動作するマイクのマイク入力信号から、会話の有無を検出し、会話が検出されていない区間のマイク入力音声から周囲雑音データを生成して登録してもよい。
【0009】
例えば、本発明の電話機アダプタの一態様は、
送受話器と電話機本体との間に設置される電話機アダプタであって、
周囲雑音データが記憶された記憶手段と、
ミュート操作を受け付けるための操作手段と、
前記操作手段により通話中にミュート操作を受け付けた場合に、送話信号として、前記送受話器のマイク入力音声に代えて、前記記憶手段に記憶されている周囲雑音データを前記電話機本体に送信する送話信号切替手段と、を有する。
【0010】
あるいは、本発明の電話機アダプタの他の態様は、
送受話器と電話機本体との間に設置される電話機アダプタであって、
周囲雑音データが記憶された記憶手段と、
前記電話機本体から送信されたミュート操作信号を検出する検出手段と、
前記検出手段により通話中にミュート操作信号を検出した場合に、送話信号として、前記送受話器のマイク入力音声に代えて、前記記憶手段に記憶されている周囲雑音データを前記電話機本体に送信する送話信号切替手段と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、ミュート中に、マイク入力音声に代えて、会話が含まれていない周囲雑音データを送話信号として通話相手に送信するので、完全無音とはならず、通話相手に不自然さを感じさせることはない。また、ミュート中の通話相手に聞かせたくない会話を聞かれてしまうこともない。したがって、本発明によれば、通話相手に不自然さを感じさせることなく、通話相手による会話の聴取を制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の第1実施の形態に係る電話機1の概略機能構成図である。
図2図2は、本発明の第1実施の形態に係る電話機1の通話中処理を説明するためのフロー図である。
図3図3は、本発明の第2実施の形態に係る電話機アダプタ2の概略機能構成図である。
図4図4は、本発明の第2実施の形態に係る電話機アダプタ2の通話中処理を説明するためのフロー図である。
図5図5は、本発明の第3実施の形態に係る電話機アダプタ2aの概略機能構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
[第1実施の形態]
図1は、本実施の形態に係る電話機1の概略機能構成図である。
【0015】
図示するように、本実施の形態に係る電話機1は、電話機能部100と、送受話器101と、ミュート操作受付部102と、周囲雑音データ記憶部103と、会話検出部104と、周囲雑音データ生成部105と、送話信号切替部106と、主制御部107と、を備えている。
【0016】
電話機能部100は、呼制御処理、通話処理等の電話機1の基本機能に必要な処理を実施する。
【0017】
送受話器101は、送話信号(ユーザの音声信号)を入力するためのマイクおよび受話信号(通話相手の音声信号)を出力するためのスピーカを有し、例えば、ハンドセット、ヘッドセット、ハンズフリーマイク・スピーカが該当する。
【0018】
ミュート操作受付部102は、通話中にユーザからミュート操作を受け付けるためのインターフェースであり、ボタン、スイッチ、ファンクションキー等で構成される。
【0019】
周囲雑音データ記憶部103には、会話が含まれていない音声データである周囲雑音データが記憶される。
【0020】
会話検出部104は、通話中に送受話器101のマイク入力信号から会話の有無を検出する。具体的には、送受話器101のマイク入力信号の音量レベルが所定値以上である場合に「会話有り」と判断し、この所定値未満の場合には「会話無し」と判断する。
【0021】
周囲雑音データ生成部105は、送受話器101のマイク入力信号から、会話検出部104により第1の所定時間(例えば500ms)以上連続して「会話無し」が検出された場合、この区間のマイク入力信号から周囲雑音データを生成して周囲雑音データ記憶部103に記憶する。
【0022】
送話信号切替部106は、送受話器101のマイク入力音声および周囲雑音データ記憶部103に記憶されている周囲雑音データの一方を選択し、送話信号として電話機能部100に送信する。
【0023】
そして、主制御部107は、電話機1の各部100~106を統括的に制御する。
【0024】
なお、図1に示す電話機1の機能構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいはDSP(Digital Signal Processor)などの計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。または、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、HDD(Hard Disk Dive)等の補助記憶装置、およびNIC(Network Interface Card)等の通信機を備えたPC(Personal Computer)等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することで実現されるものでもよい。
【0025】
図2は、本実施の形態に係る電話機1の通話中処理を説明するためのフロー図である。
【0026】
このフローは、電話機能部100が通話相手との間に通話路を確立して通話を開始したことを主制御部107が検知することにより開始される。
【0027】
主制御部107は、ミュート操作受付部102がユーザからミュート操作を受け付けていないならば(S100でNO)、送話信号切替部106にマイク入力信号の選択を指示する。これを受けて、送話信号切替部106は、会話検出部104を介して送受話器101から出力されたマイク入力信号を選択し、これを送話信号として電話機能部100に出力する(S101)。そして、電話機能部100は、確立中の通話路を介して通話相手に、送話信号切替部106から受け付けた送話信号を送出する。
【0028】
ここで、会話検出部104は、送受話器101のマイク入力信号から会話の有無を検出しており、その検出結果を周囲雑音データ生成部105に出力している。周囲雑音データ生成部105は、送受話器101のマイク入力信号をバッファリングしており、会話検出部104において第1の所定時間(例えば500ms)以上連続して「会話無し」が検出されたならば(S102、S103でともにYES)、バッファリングされている、この第1の所定時間以上連続して「会話無し」が検出された区間のマイク入力信号から、この区間の開始後第2の所定時間(例えば200ms)および終了前第3の所定時間(例えば200ms)を除いた区間のマイク入力信号を抽出する。そして、抽出したマイク入力信号を周囲雑音データとして生成する(S104)。それから、周囲雑音データ生成部105は、生成した周囲雑音データを周囲雑音データ記憶部103に記憶する(S105)。
【0029】
また、主制御部107は、ミュート操作受付部102がユーザからミュート操作を受け付けているならば(S100でYES)、送話信号切替部106に周囲雑音データの選択を指示する。これを受けて、送話信号切替部106は、ミュート操作受付部102がユーザからミュート解除操作を受け付けるまでの期間中、周囲雑音データ記憶部103から周囲雑音データを繰り返し読み出し、これを送話信号として電話機能部100に出力する(S106)。ここで、周囲雑音データ記憶部103に周囲雑音データが複数記憶されているならば、これらを、記憶順に読み出すのではなく、例えば、時系列的にランダムに読み出して順次送話信号として電話機能部100に出力する。そして、電話機能部100は、確立中の通話路を介して通話相手に、送話信号切替部106から受け付けた送話信号を送出する。
【0030】
また、主制御部107は、電話機能部100が通話相手との通話を終了し、通話路を解放したことを検知すると、このフローを終了する(S107)。
【0031】
以上、本発明の第1実施の形態について説明した。
【0032】
本実施の形態では、ミュート操作受付部102がユーザからミュート操作を受け付けている場合、送受話器101のマイク入力音声に代えて、周囲雑音データ記憶部103に記憶されている、会話が含まれていない周囲雑音データを、送話信号として通話相手に送信する。このため、完全無音とはならず、通話相手に不自然さを感じさせることはない。また、ミュート中の通話相手に聞かせたくない会話を聞かれてしまうこともない。したがって、本実施の形態によれば、通話相手に不自然さを感じさせることなく、通話相手による会話の聴取を制限することができる。
【0033】
また、本実施の形態では、会話検出部104が、通話中に送受話器101のマイク入力信号から会話の有無を検出し、周囲雑音データ生成部105が、会話検出部104により第1の所定時間以上連続して「会話無し」が検出された区間のマイク入力信号から周囲雑音データを生成するので、通話中に周囲雑音データを自動生成することができ、ユーザは周囲雑音データを別途用意する必要がない。
【0034】
また、本実施の形態では、周囲雑音データ生成部105が、第1の所定時間以上連続して「会話無し」が検出された区間のマイク入力信号から、この区間の開始後第2の所定時間および終了前第3の所定時間を除いた区間のマイク入力信号を抽出して周囲雑音データとして周囲雑音データ記憶部103に記憶するので、周囲雑音データに会話が含まれる可能性を低減することができる。
【0035】
また、本実施の形態では、ミュート操作受付部102がユーザからミュート操作を受け付けている場合、周囲雑音データ記憶部103に周囲雑音データが複数記憶されているならば、これらを、記憶順に読み出すのではなく、時系列的にランダムに読み出して送話信号として利用している。このため、仮に周囲雑音データに音声が含まれている場合でも、時系列的にランダムに読み出すことにより会話として成立しなくなるので、通話相手に会話内容が伝わる可能性をさらに低減することができる。
【0036】
[第2実施の形態]
図3は、本実施の形態に係る電話機アダプタ2の概略機能構成図である。
【0037】
図示するように、本実施の形態に係る電話機アダプタ2は、電話機本体接続部200と、送受話器接続部201と、ミュート操作受付部202と、周囲雑音データ記憶部203と、会話検出部204と、周囲雑音データ生成部205と、送話信号切替部206と、主制御部207と、を備えている。
【0038】
電話機本体接続部200は、電話機本体(不図示)に接続するためのインターフェースであり、送受話器接続部201は、ハンドセット、ヘッドセット、ハンズフリーマイク・スピーカ等の送受話器(不図示)に接続するためのインターフェースである。
【0039】
ミュート操作受付部202は、通話中にユーザからミュート操作を受け付けるためのインターフェースであり、ボタン、スイッチ等で構成される。
【0040】
周囲雑音データ記憶部203には、会話が含まれていない音声データである周囲雑音データが記憶される。
【0041】
会話検出部204は、通話中に送受話器接続部201に入力された送受話器のマイク入力信号から会話の有無を検出する。具体的には、送受話器のマイク入力信号の音量レベルが所定値以上である場合に「会話有り」と判断し、この所定値未満の場合には「会話無し」と判断する。
【0042】
周囲雑音データ生成部205は、送受話器接続部201に入力された送受話器のマイク入力信号から、会話検出部204により第1の所定時間(例えば500ms)以上連続して「会話無し」が検出された場合、この区間のマイク入力信号から周囲雑音データを生成して周囲雑音データ記憶部203に記憶する。
【0043】
送話信号切替部206は、送受話器接続部201に入力された送受話器のマイク入力信号および周囲雑音データ記憶部203に記憶されている周囲雑音データの一方を選択し、送話信号として、電話機本体接続部200から電話機本体に送信する。
【0044】
そして、主制御部207は、電話機アダプタ2の各部200~206を統括的に制御する。
【0045】
なお、図3に示す電話機アダプタ2の機能構成は、図1に示す電話機1の機能構成と同様、ASIC、FPGAなどの集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいはDSPなどの計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。または、CPUと、メモリと、HDD等の補助記憶装置、およびNIC等の通信機を備えたPC等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することで実現されるものでもよい。
【0046】
図4は、本実施の形態に係る電話機アダプタ2の通話中処理を説明するためのフロー図である。
【0047】
このフローは、電話機本体接続部200に接続された電話機本体が通話相手との間に通話路を確立して通話を開始したことを主制御部207が検知することにより開始される。
【0048】
主制御部207は、ミュート操作受付部202がユーザからミュート操作を受け付けていないならば(S200でNO)、送話信号切替部206にマイク入力信号の選択を指示する。これを受けて、送話信号切替部206は、送受話器接続部201に入力された送受話器のマイク入力信号を選択し、これを送話信号として、電話機本体接続部200を介して電話機本体に出力する(S201)。電話機本体は、確立中の通話路を介して通話相手に、電話機アダプタ2から受け付けた送話信号を送出する。
【0049】
ここで、会話検出部204は、送受話器接続部201に入力された送受話器のマイク入力信号から会話の有無を検出しており、その検出結果を周囲雑音データ生成部205に出力している。周囲雑音データ生成部205は、送受話器のマイク入力信号をバッファリングしており、会話検出部204において第1の所定時間(例えば500ms)以上連続して「会話無し」が検出されたならば(S202、S203でともにYES)、バッファリングされている、この第1の所定時間以上連続して「会話無し」が検出された区間のマイク入力信号から、この区間の開始後第2の所定時間(例えば200ms)および終了前第3の所定時間(例えば200ms)を除いた区間のマイク入力信号を抽出する。そして、抽出したマイク入力信号を周囲雑音データとして生成する(S204)。それから、周囲雑音データ生成部205は、生成した周囲雑音データを周囲雑音データ記憶部203に記憶する(S205)。
【0050】
また、主制御部207は、ミュート操作受付部202がユーザからミュート操作を受け付けているならば(S200でYES)、送話信号切替部206に周囲雑音データの選択を指示する。これを受けて、送話信号切替部206は、ミュート操作受付部202がユーザからミュート解除操作を受け付けるまでの期間中、周囲雑音データ記憶部203から周囲雑音データを繰り返し読み出し、これを送話信号として、電話機本体接続部200を介して電話機本体に出力する(S206)。ここで、周囲雑音データ記憶部203に周囲雑音データが複数記憶されているならば、これらを、記憶順に読み出すのではなく、例えば、時系列的にランダムに読み出して順次送話信号として電話機本体接続部200から電話機本体に出力する。そして、電話機本体は、確立中の通話路を介して通話相手に、送話信号切替部206から受け付けた送話信号を送出する。
【0051】
また、主制御部207は、電話機本体接続部200に接続された電話機本体が通話相手との通話を終了し、通話路を解放したことを検知すると、このフローを終了する(S207)。
【0052】
以上、本発明の第2実施の形態について説明した。
【0053】
本実施の形態も上記第1実施の形態と同様の効果を有する。すなわち、ミュート操作受付部202がユーザからミュート操作を受け付けている場合、送受話器接続部201に入力された送受話器のマイク入力信号に代えて、周囲雑音データ記憶部203に記憶されている、会話が含まれていない周囲雑音データを送話信号として、電話機本体接続部200を介して電話機本体から通話相手に出力する。このため、完全無音とはならず、通話相手に不自然さを感じさせることはない。また、ミュート中の通話相手に聞かせたくない会話を聞かれてしまうこともない。したがって、通話相手に不自然さを感じさせることなく、通話相手による会話の聴取を制限することができる。
【0054】
また、会話検出部204が、通話中に送受話器接続部201に入力された送受話器のマイク入力信号から会話の有無を検出し、周囲雑音データ生成部205が、会話検出部204に第1の所定時間以上連続して「会話無し」が検出された区間のマイク入力信号から、周囲雑音データを生成するので、通話中に周囲雑音データを自動生成することができ、ユーザは周囲雑音データを別途用意する必要がない。
【0055】
また、周囲雑音データ生成部205が、会話検出部204に第1の所定時間以上連続して「会話無し」が検出された区間のマイク入力信号から、この区間の開始後第2の所定時間および終了前第3の所定時間を除いた区間のマイク入力信号を抽出して周囲雑音データとして周囲雑音データ記憶部203に記憶するので、周囲雑音データに会話が含まれる可能性を低減することができる。
【0056】
さらに、ミュート操作受付部202がユーザからミュート操作を受け付けている場合、周囲雑音データ記憶部203に周囲雑音データが複数記憶されているならば、これらを、記憶順に読み出すのではなく、時系列的にランダムに読み出して送話信号として利用している。このため、仮に周囲雑音データに音声が含まれている場合でも、時系列的にランダムに読み出すことにより会話として成立しなくなるので、通話相手に会話内容が伝わる可能性をさらに低減することができる。
【0057】
[第3実施の形態]
図5は、本実施の形態に係る電話機アダプタ2aの概略機能構成図である。
【0058】
本実施の形態に係る電話機アダプタ2aが図3に示す本発明の第2実施の形態に係る電話機アダプタ2と異なる点は、電話機本体接続部200に代えて通話信号用電話機本体接続部200aと操作信号用電話機本体接続部200bを設けたこと、および、ミュート操作受付部202に代えてミュート操作検出部209を設けたことである。
【0059】
通話信号用電話機本体接続部200aは、受話器コードを介して電話機本体と接続され、電話機本体と通話信号(送話信号および受話信号)を送受する。
【0060】
操作信号用電話機本体接続部200bは、シリアルケーブル、専用接続線等を介して電話機本体と接続され、電話機本体からキー操作信号を受信する。なお、本実施の形態では、電話機本体として、シリアルケーブル、専用接続線等を介してキー操作信号を外部出力する機能を有するものを想定している。
【0061】
ミュート操作検出部209は、操作信号用電話機本体接続部200bを介して電話機本体から受信したキー操作信号からミュート操作信号を検出する。
【0062】
本実施の形態に係る電話機アダプタ2aの通話中処理が、図4に示す第2実施の形態に係る電話機アダプタ2の通話中処理と異なる点は、S200において、ミュート操作検出部29がミュート操作信号を検出していないならば(S200でNO)、S201に進み、ミュート操作検出部29がミュート操作信号を検出しているならば(S200でYES)、S206に進むことである。その他は、図4に示す第2実施の形態に係る電話機アダプタ2の通話中処理と同様である。
【0063】
以上、本発明の第3実施の形態について説明した。
【0064】
本実施の形態も上記第2実施の形態と同様の効果を有する。加えて、本実施の形態では、電話機本体に対するキー操作によりミュート操作を行うことができるので、例えば電話機アダプタ2aを電話機本体背後に隠れた位置に置いて使用することが可能となり、使い勝手が向上する。
【0065】
なお、本発明は上記の各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0066】
例えば、上記の各実施の形態では、会話検出部104、204が通話中に送受話器のマイク入力信号から会話の有無を検出し、周囲雑音データ生成部105、205が、会話検出部104、204に第1の所定時間以上連続して「会話無し」が検出された区間のマイク入力信号から周囲雑音データを生成している。しかし、本発明はこれに限定されない。待機中(待受中)にハンズフリーマイクをオンにするなど、待機中に動作するマイクを設け、会話検出部104、204がこのマイクのマイク入力信号から会話の有無を検出し、周囲雑音データ生成部105、205が、会話検出部104、204に第1の所定時間以上連続して「会話無し」が検出された区間のマイク入力信号から周囲雑音データを生成してもよい。
【0067】
このようにすることで、通話に先立ってより多くの周囲雑音データを準備することができるので、通話開始後の比較的早いタイミングでミュート操作を受け付けた場合等においても、周囲雑音データの準備ができておらず、周囲雑音データを送話信号として通話相手に送信できない事態が発生するのを防止することができる。
【0068】
また、上記の各実施の形態において、ミュート操作受付部102、202がユーザからミュート操作を受け付けている場合、あるいは、ミュート操作検出部209が電話機本体からミュート操作信号を検出している場合に、送話信号切替部106、206は、周囲雑音データ記憶部103、203から読み出した周囲雑音データに無音データあるいはホワイトノイズを定期的あるいはランダムに挿入し、これを送話信号として、電話機能部100を介して、あるいは、電話機本体接続部200または通話信号用電話機本体接続部200aと電話機本体を介して通話相手に送信してもよい。このようにすることで、仮に周囲雑音データに音声が含まれている場合でも、通話相手に会話内容が伝わる可能性をさらに低減することができる。
【符号の説明】
【0069】
1:電話機 2:電話機アダプタ
100:電話機能部 101:送受話器
102、202:ミュート操作受付部
103、203:周囲雑音データ記憶部
104、204:会話検出部
105、205:周囲雑音データ生成部
106、206:送話信号切替部
107、207:主制御部
200:電話機本体接続部
200a:通話信号用電話機本体接続部
200b:操作信号用電話機本体接続部
201:送受話器接続部
209:ミュート操作検出部
図1
図2
図3
図4
図5