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  • 特開-センサ取付台座 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054736
(43)【公開日】2023-04-14
(54)【発明の名称】センサ取付台座
(51)【国際特許分類】
   F02D 35/00 20060101AFI20230407BHJP
   F01N 13/00 20100101ALI20230407BHJP
   G01L 23/26 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
F02D35/00 368C
F01N13/00 A
F02D35/00 360C
G01L23/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021176964
(22)【出願日】2021-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】390010227
【氏名又は名称】株式会社三五
(72)【発明者】
【氏名】田中 翔
(72)【発明者】
【氏名】塩見 秀世
(72)【発明者】
【氏名】秋山 翔太
【テーマコード(参考)】
2F055
3G004
【Fターム(参考)】
2F055AA27
2F055BB20
2F055CC60
2F055DD20
2F055EE40
2F055FF43
2F055GG11
3G004BA05
3G004DA25
3G004FA04
3G004GA03
3G004GA04
3G004GA06
(57)【要約】
【課題】センサ取付台座と排気装置の外表面とが近接するような取付位置であっても、確実に全周隅肉溶接を施せるようなセンサ取付台座を提供する。
【解決手段】本発明に係るセンサ取付台座は、本体の片側にセンサの着座面と反対側に取付面とを有し、着座面と取付面との間を繋ぐ面である側面を有し、取付面が側面の領域にまで延長されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の片側にセンサの着座面と反対側に取付面とを有し、
前記着座面と前記取付面との間を繋ぐ面である側面を有し、
前記取付面が前記側面の領域にまで延長されていることを特徴とするセンサ取付台座。
【請求項2】
前記本体内に前記着座面と前記取付面とを連通する空洞部が形成され、
該空洞部が前記延長された領域にまで延在することを特徴とする請求項1に記載のセンサ取付台座。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ取付台座に関する。より具体的には、本発明は、内燃機関の排気装置に取付けて排気ガスの状態を検知する各種センサをマウントするための台座に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関が排出する排気ガスは、浄化装置や消音機を有する排気装置を経て浄化・消音され、外部へ排出される。そして内燃機関や浄化装置を効率良く所望の状態に維持して運用するために、排気ガスの状態を検知する各種センサが排気装置に取付けられる。例えばセンサとしては、酸素濃度センサ、温度センサ、圧力センサなどであり、その取付場所は、排気装置を構成するエキゾーストマニホールド、排気管、浄化装置(触媒コンバータ)、消音器(マフラ)などである。いずれにせよ各種センサは、排気装置の外表面に取付けられたセンサ取付台座にマウント(一般的には嵌入螺合)され、センサ先端の検知部が排気装置内に露出するように貫通保持される。
【0003】
一般的には、センサはその中心軸が排気装置の当該取付部における軸芯の法平面上に位置するように取付けるのが好ましいが、周囲部品との干渉要件や排気装置内のガス流れ要件などによって、適宜、法平面から外して任意の軸相対角度にて取付けられる場合がある。例えば特許文献1(特開2014-238094号公報)には、排気浄化装置の入口側テーパ部(コーン部)にセンサ取付台座(取付ボス)を外表面に対して傾けて溶接固定し、センサが近接部品と干渉しないようにする取付方法が開示されている。溶接固定は、センサ取付台座をテーパ部に途中まで嵌め込んだ状態で、相貫線に全周隅肉溶接を施している。
【0004】
しかしながら、上記構成においては、取付面と角度を持って隣接する面がセンサ取付台座へ近接しているような設置条件においては、全周溶接のための溶接トーチが隣接面と干渉して溶接が著しく困難になるという問題が生じる。詳しくは図5にて説明する。
【0005】
図5は、基本的な円柱状のセンサ取付台座20を、ワークに形成された略平面である第1表面25上に載置して、取付面24を第1表面25に密着させた状態で、本体21と第1表面25とを隅肉溶接で固定する場合を想定した図である。センサ取付台座20は、本体21の一方(図上方)にセンサの取付面22と、反対側(図の下方)に取付面24とを有し、その間は側面23で繋がれている。そして、第1表面25に対して相対角度を持って隣接する第2表面26がセンサ取付台座20近傍に迫っている状態を示している。
【0006】
このような位置関係で取付面24(および側部23)と第1表面25とを全周隅肉溶接しようとしても、第2表面26が邪魔となって領域βに溶接トーチが入らず、溶接が著しく困難となり生産性を悪化させてしまう。それを解決しようと、β領域を超えた位置にまで本体を延長させる形状が、図6のように想定される。
【0007】
しかしながら、図6におけるセンサ取付台座30は、本体部31が延長し拡大したために、余肉部34が発生する。余肉部34はセンサ取付台座30においてコスト上、重量上でムダとなってしまう。また、高温の排気ガスで加熱されるセンサ取付台座30において、余肉部34はヒートマスとなってしまい、センサ取付台座30全体の熱容量と薄板である第1表面25および第2表面26部の熱容量との差が過大となってしまい、熱膨張差による溶接不具合を惹起する可能がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2014-238094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、センサ取付台座が排気装置の外表面に近接するような取付位置においても、確実に全周隅肉溶接を施せるようなセンサ取付台座を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題に鑑み、本発明者は鋭意研究の結果、センサ取付台座の取付面および側部を近接する外表面側にまで延長することで、上記要求に応えることができることを見出した。
【0011】
具体的には、本発明に係るセンサ取付台座は、本体の片側にセンサの着座面と反対側に取付面とを有し、着座面と取付面との間を繋ぐ面である側面を有し、取付面が側面の領域にまで延長されていることを特徴とするものである。
【0012】
そして、本体内に着座面と取付面とを連通する空洞部を形成し、空洞部が延長された領域にまで延在するようにすると良い。
【発明の効果】
【0013】
上記のように、本発明継手においては、センサ取付台座が排気装置の外表面に近接するような取付位置においても、確実に全周隅肉溶接を施せる。
【0014】
本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施形態のセンサ取付台座を排気装置に取付けた状態の正面視である。
図2図1の状態のCL面での断面図である。
図3】本発明の第1の実施形態のセンサ取付台座のCL面での断面図である。
図4】本発明の第1の実施形態のセンサ取付台座の斜視図である。
図5】従来のセンサ取付台座およびその取付状態の断面図である。
図6】従来のセンサ取付台座およびその取付状態の変更仮想図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の望ましい実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係るセンサ取付台座1を、排気装置2へ取付けた状態を示す。排気装置2は、具体的にはエキゾーストマニホールドの一部であり略鼓状の部位を構成するプレス製半体である。上流側部品と接続部21にて気密に嵌合接続するとともに、下流側部品とも接続部22にて気密に嵌合接続する(図示省略)。
【0017】
また、中央にセンサ取付台座1を載置する略平面状の第1面3があり、その上流側に略テーパ(コーン)状の第1コーン部5が連続的に形成され、同じく下流側にも、略テーパ(コーン)状の第2コーン部6が連続的に形成されている。そして、第1コーン部2に、センサ取付台座1の一部を取付ける略平面状である第2面4が形成されている。すなわちセンサ取付台座1は、略平面状の第1面3および第2面4に亘って取付けられている。なお、中央のCL線は、図示しないセンサ及びセンサ取付台座1の軸芯を示している。センサ取付台座1については後述する。
【0018】
図2は、図1のセンサ中心軸CLを含む紙面に垂直な平面で切断した図であり、センサ取付台座1の取付け状態を現す。センサ取付台座1と図示しないセンサが共有する軸芯CLは、取付けられる略平面である第1面3に対して傾斜している。この傾斜は、センサと周辺部品との干渉を避ける目的と、センサ先端(図示せず)が排気部品内でより良く排気ガスを検知できるために設定されるものであり、試作段階において適宜チューニングされ決定される。
【0019】
そして、センサ取付台座1は、第1面3の所定位置に載置された状態で、取付面16周囲と第1面3および第2面4とが全周隅肉溶接7によって気密かつ強固に固定される。ここにおいて、センサ取付台座1は第2面4と近接しているが、側部にまで延長された取付面16が第2面4の上にまで延在しているので、溶接トーチと干渉することなく全周隅肉溶接7を施工できる。そして、本体11内に設けられた空洞17も、第1面3および第2面4によって閉塞される。
【0020】
図3図4を用いて、本実施形態のセンサ取付台座1を説明する。センサ取付台座1は、金属製の本体11の片側にセンサの着座面18と、反対側に取付面16とを有する。着座面18はセンサと密着するために平面状である。なお、センサとのシールが嵌装孔12内で完結される場合(所謂テーパシール形)には、必ずしもセンサ面と着座面18とは密着しない場合もあるが、そのような形態をも包含して着座面とする。取付面16は空洞部17の周縁にあり、本実施形態においては側部15a~cの端部が外側へ曲がったフランジ状の形状である。すなわち、フランジ状の環状縁部である取付面16が、第1面3および第2面4になつくような形状に3次元的に形成されている。本実施形態においては、センサ取付台座1は鋳造製の素材に切削仕上加工を施して製造したが、素材形成においては、金属部材から削り出したりプレス加工や鍛造加工を援用しても良く、製法は任意である。
【0021】
本体11の着座面18と取付面16を繋ぐ面は側面15a、15b、15cである。そして本来側面があるべきもう1面の位置αには、取付面16が延在している。すなわち、図4のセンサ取付台座1においては、図の下方にある取付面16が、図の右上方まで延在して回り込む形状となっている。そして、図示しないセンサを嵌め込む嵌挿孔12が取付面16に開口するとともに、他方では空洞部17と嵌挿孔12とが開孔14にて連通している。そしてセンサは、嵌挿孔12の内面に刻設されたネジ部13と螺合し固定される。
【0022】
センサ取付台座1はこのような形状であるため、複数の取付面に対応でき、本実施形態においては、第1面3および第2面4になつくことができる。而して、センサ取付台座1に近接するような隣面が存在しても、溶接に支障のない位置にまで取付面16を延在させることができ、溶接作業性を担保できる。また、取付面の延長に追従し空洞部17も延在させられるので、熱容量や重量の増大を最小化でき、コストアップや熱歪による不具合を抑止できる。
【0023】
以上、本発明の実施形態を説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱し範囲の変更があっても本発明に包含される。
【符号の説明】
【0024】
1 センサ取付台座
2 排気装置
3 第1の面
4 第2の面
5 第1コーン部
6 第2コーン部
7 全周隅肉溶接部
11 本体
12 嵌挿孔
13 ネジ部
14 開孔
15a,15b,15c 側面
16 取付面
17 空洞部
18 着座面
図1
図2
図3
図4
図5
図6