IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッドの特許一覧

特開2023-54771水素燃料供給ステーションにおける気体水素回収のためのシステムおよび方法
<>
  • 特開-水素燃料供給ステーションにおける気体水素回収のためのシステムおよび方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054771
(43)【公開日】2023-04-14
(54)【発明の名称】水素燃料供給ステーションにおける気体水素回収のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 5/06 20060101AFI20230407BHJP
   F17C 7/00 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
F17C5/06
F17C7/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022158093
(22)【出願日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】17/492,816
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591035368
【氏名又は名称】エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ジョナサン チャーク
(72)【発明者】
【氏名】ジョーセフ ピー.コーヘン
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ジョン ファレース
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン エイチ.エス.トルダ
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA01
3E172BD03
3E172DA90
3E172EA02
3E172EA12
3E172EA35
3E172EA51
(57)【要約】
【課題】水素燃料供給ステーションにおける気体水素回収のためのシステムおよび方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、燃料供給ステーションの動作ユニットのうちの1つ以上における水素含有ガスの漏れ、沸騰、または通気に起因する二次水素が圧縮される電気化学式圧縮ユニットを備え、二次水素は、水素およびさらなる気体成分を含有する、ことを特徴とする車両タンクを水素で燃料供給するための統合型水素燃料供給ステーションに関し、かつそのような水素燃料供給ステーションを動作させるための方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料供給ステーション動作ユニットのうちの1つ以上における水素含有ガスの漏れ、沸騰、または通気に起因する二次水素が圧縮される電気化学式圧縮ユニットを備え、前記二次水素が、水素およびさらなる気体成分を含有する、車両タンクを水素で燃料供給するための統合型水素燃料供給ステーション。
【請求項2】
収集され、前記電気化学式圧縮ユニットに移送される二次水素を生成する1つ以上の機械式水素圧縮ユニットを備える、請求項1に記載の水素燃料供給ステーション。
【請求項3】
収集され、前記電気化学式圧縮ユニットに移送される二次水素を生成する1つ以上の水素分配ユニットを備える、請求項1に記載の水素燃料供給ステーション。
【請求項4】
収集され、前記電気化学式圧縮ユニットに移送される二次水素を生成する1つ以上の水素輸送ラインを備える、請求項1に記載の水素燃料供給ステーション。
【請求項5】
前記二次水素が、25質量%~90質量%の量の水素を含有する、請求項1に記載の水素燃料供給ステーション。
【請求項6】
窒素が、前記二次水素中に含有される前記さらなる気体成分の50質量%以上を占める、請求項1に記載の水素燃料供給ステーション。
【請求項7】
前記電気化学式圧縮ユニットにおける圧縮後に得られる加圧水素中の水素の不純物レベルが、300ppm以下である、請求項1に記載の水素燃料供給ステーション。
【請求項8】
前記水素燃料供給ステーション動作ユニットのうちの1つ以上によって生成された前記二次水素を収集し、前記電気化学式圧縮ユニットに接続される、二次水素収集システムを備える、請求項1に記載の水素燃料供給ステーション。
【請求項9】
前記二次水素収集システムが、二次水素緩衝タンクを備える、請求項8に記載の水素燃料供給ステーション。
【請求項10】
前記電気化学式圧縮ユニットから得られた圧縮水素が、中間水素貯蔵容積に移送されるか、または高圧一次水素と結合される、請求項1に記載の水素燃料供給ステーション。
【請求項11】
車両タンクを水素で燃料供給するための水素燃料供給ステーションを動作させるための方法であって、前記燃料供給ステーション動作ユニットのうちの1つ以上における水素含有ガスの漏れ、沸騰、または通気に起因する二次水素が、電気化学式圧縮ユニットにおいて圧縮され、前記二次水素が、水素およびさらなる気体成分を含有する、方法。
【請求項12】
1つ以上の機械式水素圧縮ユニットまたは1つ以上の水素分配ユニットによって生成された二次水素を収集することと、それを前記電気化学式圧縮ユニットに移送することと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
1つ以上の水素輸送ラインによって生成された二次水素を収集することと、それを前記電気化学式圧縮ユニットに移送することと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記二次水素が、25質量%~90質量%の量の水素を含有する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
窒素が、前記二次水素中に含有される前記さらなる気体成分の50質量%以上を占める、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記電気化学式圧縮ユニットにおける圧縮後に得られる加圧水素中の水素の不純物レベルが、300ppm以下である、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記水素燃料供給ステーション動作ユニットのうちの1つ以上によって生成された二次水素が、二次水素収集システムによって収集され、前記電気化学式圧縮ユニットに移送される、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記二次水素収集システムが、二次水素緩衝タンクを備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記電気化学式圧縮ユニットの入口から二次水素をパージすることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記電気化学式圧縮ユニットから得られた圧縮水素が、中間水素貯蔵容積に移送されるか、または高圧一次水素と結合される、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料供給ステーションの動作ユニットのうちの1つ以上における水素含有ガスの漏れ、沸騰または通気に起因する二次水素が回収される、水素で車両タンクに燃料供給するための統合型水素燃料供給ステーションに関し、かつこのような水素燃料供給ステーションを動作させるためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
水素燃料供給ステーションにおける水素駆動車両の燃料供給のためのいくつかの構成およびシステムは、当該技術分野において既知である。例えば、US2004/163731(A1)は、自己完結型移動式ガス燃料供給ステーションを開示している。そのような水素燃料供給ステーションでは、水素は、高圧の気体の状態で車両タンクに分配される前に、圧縮または液体の形態で貯蔵され、さらに取り扱われる。これらの動作のいくつかの間に、水素が漏れ、沸騰し、および/または通気されることがあり、これは、水素のこの部分が、車両の燃料供給のために「失われる」ことを意味する。以下で説明するように、通常、さらなる成分を含有するこの漏れた、沸騰した、および/または通気された水素は、本明細書ではまた、「二次水素」と表記される。
【0003】
例えば、水素燃料供給ステーションは、典型的には、1つ以上の機械式水素圧縮機を備える。そのような機械式圧縮機は、動作中に固有の水素漏れ率を有する。漏れた水素は、ブローバイ、蒸気戻り、および/または圧縮機の出口を含む複数の源から発生する。従来の機械式水素圧縮機は、漏れにより1%~5%の水素を失い、これはもちろん望ましくなく、経済的損失を意味する。現在までに、例えば、圧縮機内のオイルシールの使用によって、そのような漏れを低減することに重点が置かれているが、しかしながら、これはしばしば、圧縮ガス流内の汚染物質につながる。さらに、安全上の理由により、パッキンケースおよび/またはクランクケースなど、水素がそこから漏れている、またはそこに漏れている機械式圧縮機の部品は、水素と混合し、それによって希釈する不活性ガス、通常は窒素でパージする必要がある。
【0004】
漏れた、沸騰したおよび/または通気された水素は、通常、低減された圧力を有し、不活性ガスおよび/または空気との混合のために、窒素などのさらなる気体成分を含有し、それは、当該二次水素に含有される水素の分離を必要とする。これらのさらなる成分を除去することは、複雑さを増し、さらに、二次水素に含有される水素の再利用を複雑にする。
【0005】
したがって、本発明の目的は、当該水素燃料供給ステーションの動作ユニットのうちの1つ以上における漏れ、沸騰、または通気に起因する二次水素の少なくとも一部を回収し、再利用することによって、水素燃料供給ステーションおよびその動作方法を改善し、さらに統合することである。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、水素燃料供給ステーションの動作ユニットのうちの1つ以上における漏れ、沸騰、または通気に起因する二次水素が、収集され、電気化学式圧縮機において圧縮される場合に、この目的が達成され得るという知見に基づいている。
【0007】
したがって、本発明は、第1の実施形態において、燃料供給ステーション動作ユニットのうちの1つ以上における水素含有ガスの漏れ、沸騰、または通気に起因する二次水素が圧縮される電気化学式圧縮ユニットを備え、二次水素は、水素およびさらなる気体成分を含有する、ことを特徴とする、車両タンクを水素で燃料供給するための統合型水素燃料供給ステーションを提供する。
【0008】
実施形態では、水素燃料供給ステーションは、収集され、電気化学式圧縮ユニットに移送される二次水素を生成する1つ以上の機械式水素圧縮ユニットを備える。
【0009】
実施形態では、水素燃料供給ステーションは、収集され、電気化学式圧縮ユニットに移送される二次水素を生成する1つ以上の水素分配ユニットを備える。
【0010】
実施形態では、水素燃料供給ステーションは、収集され、電気化学式圧縮ユニットに移送される二次水素を生成する1つ以上の水素輸送ラインを備える。
【0011】
実施形態では、二次水素は、1質量%~99質量%の量、好ましくは5質量%~95質量%の量、さらにより好ましくは25質量%~90質量%の量の水素を含有する。
【0012】
実施形態では、窒素が、二次水素に含有されるさらなる気体成分の50質量%以上を占める。
【0013】
実施形態では、電気化学式圧縮ユニットにおける圧縮後に得られる加圧水素中の水素の不純物レベルは、1,000ppm以下であり、より好ましくは500ppm以下であり、最も好ましくは300ppm以下である。
【0014】
実施形態では、水素燃料供給ステーションは、水素燃料供給ステーション動作ユニットのうちの1つ以上によって生成された二次水素を収集し、電気化学式圧縮ユニットに接続される、二次水素収集システムを備える。
【0015】
実施形態では、二次水素収集システムは、二次水素緩衝タンクを備える。
【0016】
実施形態では、電気化学式圧縮ユニットから得られた圧縮水素は、中間水素貯蔵容積に移送されるか、または高圧一次水素と結合される。
【0017】
第2の実施形態では、本発明は、燃料供給ステーション動作ユニットのうちの1つ以上における水素含有ガスの漏れ、沸騰、または通気に起因する二次水素が、電気化学式圧縮ユニットにおいて圧縮され、二次水素は、水素およびさらなる気体成分を含有する、ことを特徴とする、車両タンクを水素で燃料供給するための水素燃料供給ステーションを動作させるための方法を提供する。
【0018】
本発明は、漏れた、通気された、または沸騰した水素をさらなる気体成分との混合物中に含む水素燃料供給ステーションにおいて、さもなければ失われる二次水素の非常に効果的な回収および再利用を可能にし、こうして、そのようなステーションのより良い統合を可能にし、したがって、経済的利益を提供する。
【0019】
電気化学式圧縮機は、電気化学式膜ポンプをも表し、膜-電極接合体を横切る電場を利用して水素をプロトンに解離し、次いでこれらのプロトンを当該膜-電極接合体を横切って運び、最後にそれらをカソードで水素ガスに変換する。例えば、そのようなプロセスは、米国特許第6,168,705号において、デバイスを横切って水素ガスを選択的に蓄積することが記載されている。電気化学式圧縮機は、可動部がなく、コンパクトなサイズである。電気化学式圧縮を通して、100Mpaの圧力を有する水素を得ることができる。
【0020】
本発明における二次水素を圧縮するための電気化学式圧縮ユニットの使用は、再利用される水素が圧縮される同じステップ/同じデバイスにおいて、窒素ガスなどの、二次水素中に含有されるさらなる成分もそれから分離される、すなわち、水素はその圧縮と同時に精製されるという利点を提供する。したがって、車両の燃料供給のために直接再利用可能な水素は、当該電気化学式圧縮ユニットを使用することによって、精製され、加圧された状態の当該二次水素から1つのステップのみで得られる。
【0021】
さらに、電気化学式圧縮機は、可変流量で、可変の入口および出口圧力で、ならびに供給ガス中の水素の可変濃度で動作することができ、これは、それらを、様々な量、圧力および流量で、ならびに燃料供給ステーションの様々なユニットの動作中に様々な水素濃度で生成される当該二次水素の圧縮に特によく適したものとする。コンパクトなサイズで可動部がないため、電気化学式圧縮機は、メンテナンスコストの低いシンプルなシステムである。
【0022】
もちろん、電気化学式圧縮ユニットの統合は、水素燃料供給ステーションの投資コストを増加させるが、さもなければ失われる二次水素を再循環させる利点は、これらのより高いコストを補い、それを上回る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
以下、本発明を図1と併せて説明し、同様の数字は同様の要素を示す。
【0024】
図1】統合型燃料供給ステーションの実施形態の一部および本発明の方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
好ましくは、水素燃料供給ステーションは、収集され、電気化学式圧縮ユニットに移送される二次水素を生成する1つ以上の機械式水素圧縮ユニットを備える。
【0026】
機械式圧縮機は、通常、気体水素を車両タンクの充填に必要な圧力まで圧縮するために使用され、これは好ましくは30MPa以上の圧力まで行われる。例えば、水素は、H35燃料供給では40MPa以上、またはH70燃料供給では90MPa以上まで加圧される。そのような機械式圧縮機は、例えば、ピストンリングまたはシャフトシールを介して、ブローバイ、蒸気戻り、および/またはコンプレッサの出口を含む複数の点からの水素の漏れに起因する動作中の固有の水素漏れ率を有する。従来の機械式水素圧縮機は、漏れにより1%~5%の水素を失う。
【0027】
次に、機械式圧縮により得られた圧縮水素は、通常、水素貯蔵バンクなどの中間水素貯蔵容積に移送される。次いで、車両タンクの燃料供給は、バンクの異なる貯蔵タンクから水素分配ユニットに、そして最終的に車両タンクに水素をカスケードすることによって行われ得る。カスケーディングは、当業者に周知であり、例えば、米国特許第8,899,278号に記載されており、第1欄、第17行から始まる。
【0028】
水素燃料供給ステーションの1つ以上の、またはすべての機械式圧縮機から漏れた二次水素は、収集され、圧縮のために電気化学式圧縮ユニットに移送される。
【0029】
パッキンケースおよび/またはクランクケースなど、そこからまたはそこに水素が漏れている機械式圧縮機の部分は、安全上の理由により、通常は窒素である不活性ガスでパージする必要があるため、機械式圧縮機から収集された二次水素は、通常、窒素などのかなりの量のそのような不活性ガスを含む。
【0030】
好ましくは、水素燃料供給ステーションは、収集され、電気化学式圧縮ユニットに移送される二次水素を生成する1つ以上の水素分配ユニットを備える。
【0031】
分配ユニットは各々、圧縮水素が車両タンクに通過されるノズルを備える。動作中、ある容積の気体水素が、分配後に分配システムおよび分配ライン内に残される。この残りの水素は、通常通気される。水素燃料供給ステーションの1つ以上の、またはすべての水素分配ユニットからの通気された二次水素は、収集され、圧縮のために電気化学式圧縮ユニットに移送される。
【0032】
好ましくは、水素燃料供給ステーションは、収集され、電気化学式圧縮ユニットに移送される二次水素を生成する1つ以上の水素輸送ラインを備える。
【0033】
水素輸送ラインでの水素の輸送中に、水素が漏れることがあり、液体水素が輸送される場合、通常通気される水素沸騰ガスが形成される場所でこれらのラインを冷却する必要がある。水素燃料供給ステーションの1つ以上、またはすべての水素輸送ラインからの漏れたおよび/または通気された二次水素は、収集され、圧縮のために電気化学式圧縮ユニットに移送される。
【0034】
収集され、圧縮のために電気化学式圧縮ユニットに移送される二次水素は、1質量%以上、2質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、25質量%以上、または、さらには40質量%以上の量の水素を含有し得る。
【0035】
収集され、圧縮のために電気化学式圧縮ユニットに移送される二次水素は、最大99質量%、最大95質量%、最大90質量%、最大80質量%、または最大65質量%の量の水素を含有し得る。
【0036】
二次水素の残り、すなわち、水素以外の成分は、窒素、二酸化炭素、および/または酸素を含むか、またはそれらからなり得る他の気体成分である。通常、他の気体成分の主要部分は、またはすべてであっても、窒素によって構成されている。例えば、他の気体成分の総量が100質量%である場合、窒素は、当該他の気体成分の50質量%以上、75質量%以上、90質量%以上、または、さらには95質量%以上を構成し得る。
【0037】
電気化学式圧縮ユニットに移送される二次水素の流量は、30~1500SCFH(0.85~42.5Sm3/h)、または40~1000SCFH(1.1~28.3Sm3/h)、または50~750SCFH(1.4~21.2Sm3/h)など、20~2000SCFH(0.57~56.6Sm3/h)であり得る。電気化学式圧縮ユニットへの二次水素の流量は、当該ユニットの動作中、好ましくは上述の範囲のうちの1つの限度内で変化し得る。
【0038】
好ましくは、水素燃料供給ステーションは、水素燃料供給ステーションの動作ユニットのうちの1つ以上、またはすべてによって生成された二次水素を収集し、電気化学式圧縮ユニットに接続された、二次水素収集システムを備える。
【0039】
次いで、二次水素収集システムによって収集された二次水素は、電気化学式圧縮ユニットに移送される。
【0040】
二次水素収集システムは、二次水素緩衝タンクを備え得る。当該二次水素緩衝タンクにおいて、二次水素は、二次水素が収集システムによって収集される二次水素源の1つ以上から、好ましくはすべてから収集され、電気化学式圧縮ユニットに移送される前に貯蔵される。二次水素緩衝タンクの出口は、通常、電気化学式圧縮ユニットの入口に直接接続されている。二次水素緩衝タンクの出口および入口は、通常、バルブを装備しており、その結果、二次水素の入ってくるおよび出ていく流れを制御することができ、例えば、切断することができる。二次水素緩衝タンクの使用は、すなわち、電気化学式圧縮ユニットへの二次水素の流れのより良い制御を可能にする。
【0041】
しかしながら、電気化学式圧縮ユニットが供給ガス混合物の圧縮速度を変えることができるという事実のため、本発明の燃料供給ステーションはまた、二次水素緩衝タンクなしで動作してもよく、すなわち、このような緩衝タンクは、本発明のステーションに存在しなくてもよく、これにより、燃料供給ステーションの任意の1つ、または上述のユニットから収集された二次水素は、電気化学式圧縮ユニットの入口に直接移送され、入ってくるガス流に一致するように変化する流速で圧縮される。
【0042】
あるいは、同じ理由で、本発明の燃料供給ステーションは、比較的小さな容積を有する二次水素緩衝タンクを用いて動作されてもよい。
【0043】
二次水素収集システムおよび/または二次水素緩衝タンクにおいて、二次水素は、周囲圧力であってもよく、または周囲圧力を上回る圧力であってもよい。好ましくは、二次水素収集システムおよび/または二次水素緩衝タンクに収集される二次水素は、0.1~4Mpaの圧力である。
【0044】
例えば、二次水素緩衝タンクは、二次水素を含有するガスバッグであってもよく、または、二次水素を含有する剛性容器であってもよい。
【0045】
存在する場合、二次水素緩衝タンクは、圧力センサを装備し得、これは、定義された圧力閾値に達するときに、二次水素緩衝タンクの出口バルブの開放をトリガし、こうして、電気化学式圧縮ユニットへ二次水素を移送する。出口バルブの開放がトリガされたときと同じ圧力閾値または時間で、入口バルブの閉鎖がトリガされ得る。
【0046】
二次水素圧縮ユニットの動作中、水素は、電気化学式圧縮ユニットの入口に接続された二次水素収集システムおよび/または二次水素緩衝タンクなどの二次水素リザーバから抽出される。したがって、窒素などの二次水素の非水素成分は、電気化学式圧縮ユニットの入口側に蓄積される。
【0047】
したがって、好ましくは、電気化学式圧縮ユニットの入口側は、ガスのパージを可能にするための通気バルブなどの通気デバイスを備える。パージは、例えば、電気化学式圧縮ユニットの入口側での二次水素の水素含有量が、電気化学式圧縮ユニットで効率的な圧縮を可能にするには低くなりすぎる場合に行われ得る。
【0048】
電気化学式圧縮ユニットの入口側は、電気化学式圧縮ユニットの入口側での水素の濃度を検出するセンサを装備し得、これは、定義された濃度閾値に達するときに、通気デバイスの開放をトリガし、こうして、そこに含有されるガスをパージする。
【0049】
例えば、二次水素緩衝タンクからのガスのパージは、タンク内の水素濃度が1質量%または5質量%の閾値に達したときに行われ得る。
【0050】
代替的または追加的に、二次水素収集システム、好ましくは二次水素緩衝タンクは、例えば、タンクの入口もしくは出口に、または入口および出口の両方に流量計を装備し得る。電気化学式圧縮ユニットの入口側での水素濃度の低下が、入ってくる流量および/または出ていく流量の関数として知られている場合、流量計は、定義された通過流量に達したときに、通気デバイスの開放をトリガし、こうして、そこに含有されるガスをパージし得る。
【0051】
さらに、代替的または追加的に、通気デバイスの開放は、電気化学式圧縮機の動作に応じて、所定の時間が経過したときにトリガされてもよい。
【0052】
なおさらに、代替的または追加的に、通気デバイスの開放はまた、ユニットの電力消費は入口流の水素濃度に依存するので、電気化学式圧縮ユニットのエネルギ消費が所定の閾値に達したときにトリガされてもよい。
【0053】
パージはまた、一定の時間間隔で行われてもよい。
【0054】
電気化学式圧縮ユニットでの圧縮の後、精製され、加圧水素が得られる。
【0055】
好ましくは、電気化学式圧縮ユニットでの圧縮後に得られる加圧水素中の水素の不純物レベル、すなわち、水素と異なる圧縮ガス中の成分の量は、1,000ppm以下であり、より好ましくは、500ppm以下であり、最も好ましくは、300ppm以下である。
【0056】
さらに、電気化学式圧縮ユニットでの圧縮後に得られる水素の圧力は、30MPa以上であることが好ましい。
【0057】
電気化学式圧縮ユニットから得られる圧縮水素は、任意の事例において、高圧一次水素、すなわち、通常の動作によって水素燃料供給ステーションによって得られるか、または水素燃料供給ステーション内に存在する加圧水素と結合され得る。例えば、それは、1つ以上の機械式圧縮機の出口側で得られた加圧一次水素に移送され、それと結合され得る。
【0058】
好ましくは、本発明の水素燃料供給ステーションにおいて、電気化学式圧縮ユニットから得られた圧縮水素は、本明細書で前述したような水素貯蔵バンクなどの中間水素貯蔵容積に移送され、そこに一次加圧水素もまた貯蔵される。
【0059】
中間水素貯蔵容積からの水素出口流は、水素分配システムに供給することができる。
【0060】
本発明は、さらに、燃料供給ステーションの動作ユニットのうちの1つ以上における水素含有ガスの漏れ、沸騰、または通気に起因する二次水素が、電気化学式圧縮ユニットにおいて圧縮され、二次水素は、水素およびさらなる気体成分を含有することを特徴とする、車両タンクを水素で燃料供給するための水素燃料供給ステーションを動作させるための方法に関する。
【0061】
本発明の水素燃料供給ステーションについて本明細書に記載されるいずれかの実施形態はまた、本発明の方法にも適用される。
【0062】
特に、本発明の水素燃料供給ステーションを動作させるための方法は、好ましくは、1つ以上の機械式水素圧縮ユニットによって生成され、1つ以上の水素分配ユニットによって生成され、および/または1つ以上の水素輸送ラインによって生成された二次水素を収集し、それを電気化学式圧縮ユニットに移送することを含む。
【0063】
例示された実施形態では、本発明の燃料供給ステーションは、ディスタンスピース2を備える機械式圧縮機1を備える。
【0064】
使用中、圧縮される気体水素は、低圧で機械式圧縮機1の入口に入り、その中で圧縮され、所望の高圧で圧縮機を離れる。圧縮機1の動作中、例えば、圧縮機パッキンから水素が漏れ、漏れた水素は、パージ開口部を通ってディスタンスピース2に入る窒素流によってパージされ、そのようにして二次水素を形成する。窒素および水素ガスの混合物である二次水素は、大気圧でパージガス出口開口部を通ってディスタンスピース2を離れる。
【0065】
この二次水素は、例えば、機械式圧縮機1の周りのハウジングを含む二次水素収集システムによって収集され、電気化学式圧縮ユニット3に移送される。
【0066】
二次水素は、電気化学式圧縮ユニット3内で圧縮および精製され、次いで、例えば、機械式圧縮機1の出口の加圧一次水素と結合するために移送され、これは、加圧水素分配システムを介して車両タンクを充填するために水素貯蔵バンクに移送される。
【0067】
電気化学式圧縮ユニットは、例えば、入口タンクでの二次水素の水素含有量が低くなりすぎて電気化学式圧縮ユニットにおける効率的な圧縮を可能にしない場合に、圧縮ユニットの入口セクションからガスをパージすることを可能にするための通気バルブ4を装備している。
【0068】
二次水素収集システムは、タンク内の水素の濃度を検出するセンサ(図示せず)を装備した二次水素緩衝タンクを備えてもよく、これは、定義された濃度閾値に達するときに、二次水素緩衝タンクの通気バルブの開放をトリガし、こうして、その中に含有されるガスをパージする。
図1
【外国語明細書】