(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054814
(43)【公開日】2023-04-14
(54)【発明の名称】段差継手カバー及び段差継手カバーユニット
(51)【国際特許分類】
F16L 57/00 20060101AFI20230407BHJP
F16L 3/10 20060101ALI20230407BHJP
F16L 5/00 20060101ALI20230407BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
F16L57/00 A
F16L3/10 Z
F16L5/00 S
H02G3/04
H02G3/04 031
H02G3/04 062
H02G3/04 087
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010728
(22)【出願日】2023-01-27
(62)【分割の表示】P 2018156922の分割
【原出願日】2018-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】302044708
【氏名又は名称】関東器材工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】大山 貴巨
(72)【発明者】
【氏名】林 芳宏
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一也
(72)【発明者】
【氏名】五嶌 直永
(57)【要約】
【課題】壁面の異なる高さの段差部に対応可能で汎用性を大幅に高め、施工に際しての使い勝手を良好にした段差継手カバーを提供する。
【解決手段】段差継手カバー1は、段差部5に跨って配置されて配管3等を内部に挿通し、段差部5の低い面6に配置される管状の第1のダクト部材10と、段差部5の高い面8に配置される管状の第2のダクト部材20と、第1のダクト部材10の端部と第2のダクト部材20の端部との間が離間し、第1のダクト部材10と第2のダクト部材20との間を連結する管状の連結部材30と、を備え、連結部材30は、その一端部が第1のダクト部材10の端部に対して回動可能に連結されるとともに、その他端部が第2のダクト部材20の端部に対して回動可能に連結され、その連結角度が段差部5の高さに応じて調整可能に構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に設けられた段差部に跨って配置され、管状に形成されて配管及び配線の少なくとも一方を内部に挿通する段差継手カバーであって、
前記段差部に形成された低い面に配置される管状の第1のダクト部材と、
前記段差部に形成された高い面に配置される管状の第2のダクト部材と、
前記第1のダクト部材の端部と前記第2のダクト部材の端部との間が離間し、前記第1のダクト部材と前記第2のダクト部材との間を連結する管状の連結部材と、
を備え、
前記連結部材は、その一端部が前記第1のダクト部材の端部に対して回動可能に連結されるとともに、その他端部が前記第2のダクト部材の端部に対して回動可能に連結され、その連結角度が前記段差部の高さに応じて調整可能に構成されていることを特徴とする段差継手カバー。
【請求項2】
前記第1のダクト部材及び前記第2のダクト部材は、それぞれ周方向に2分割され、前記第1のダクト部材は、前記低い面側に設置された第1ダクトベース部と、この第1ダクトベース部に被着された第1ダクトカバー部とを備え、
前記第2のダクト部材は、前記高い面側に設置された第2ダクトベース部と、この第2ダクトベース部に被着された第2ダクトカバー部とを備え、
前記連結部材は、周方向に2分割され、前記壁面側に設置された連結ベース部と、この連結ベース部に被着された連結カバー部とを備え、
前記第1のダクト部材の第1ダクトベース部と前記連結部材の連結ベース部の一端が第1ベース回動軸を介して回動可能に連結されるとともに、前記第2のダクト部材の第2ダクトベース部と前記連結部材の連結ベース部の他端が第2ベース回動軸を介して回動可能に連結されてベースユニットが構成され、
前記第1のダクト部材の第1ダクトカバー部と前記連結部材の連結カバー部の一端が第1カバー回動軸を介して回動可能に連結されるとともに、前記第2のダクト部材の第2ダクトカバー部と前記連結部材の連結カバー部の他端が第2カバー回動軸を介して回動可能に連結されてカバーユニットが構成され、
前記第1ベース回動軸と前記第2ベース回動軸との間隔と、前記第1カバー回動軸と前記第2カバー回動軸との間隔が同一であることを特徴とする請求項1に記載の段差継手カバー。
【請求項3】
前記第1ベース回動軸は、前記第1カバー回動軸よりも前記連結部材側にずれて配置される一方、前記第2カバー回動軸は、前記第2ベース回動軸よりも前記連結部材側にずれて配置されていることを特徴とする請求項2に記載の段差継手カバー。
【請求項4】
前記連結部材は、前記連結ベース部と前記連結カバー部とが互いに長さ方向の被着位置が変化可能に構成されていることを特徴とする請求項3に記載の段差継手カバー。
【請求項5】
前記連結部材は、前記連結ベース部と前記連結カバー部とが縮拡径可能に構成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の段差継手カバー。
【請求項6】
壁面に設置されかつ両側に段差部が形成された突出部に跨って配置される段差継手カバーユニットであって、
前記両側の段差部にそれぞれ配置される請求項1乃至5のいずれか一項に記載の段差継手カバーを有し、
前記段差継手カバーの前記第2のダクト部材が互いに接続して構成されていることを特徴とする段差継手カバーユニット。
【請求項7】
前記第2のダクト部材は、長さが前記突出部の幅に応じて調整可能に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の段差継手カバーユニット。
【請求項8】
前記第2のダクト部材は、切り落とし可能な切断ガイド溝が長さ方向に複数形成されていることを特徴とする請求項7に記載の段差継手カバーユニット。
【請求項9】
壁面に設置されかつ両側に段差部が形成された突出部に跨って配置される段差継手カバーユニットであって、
前記段差部の高い面に配置される請求項1乃至5のいずれか一項に記載の段差継手カバーの前記第2のダクト部材と、
前記第2のダクト部材の両側に配置される前記連結部材と、
前記連結部材にそれぞれ連結される前記第1のダクト部材と、
を有することを特徴とする段差継手カバーユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建物の壁面に設けられた段差部に沿って配置される配管や配線を内部に挿通して保護するための段差継手カバー及び段差継手カバーユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機(エアコン)の冷媒管等の配管は、室内機から建物の壁面に設けた取出し口から引き出した後、その壁面に沿って室外機まで導くように配設されている。この場合、壁面に沿わせる配管は、配管保護ダクトの内部に挿通して保護するようにしている。
【0003】
ところが、従来の配管保護ダクトにおいては、壁面に段差部が設けられている場合、可撓性を有する蛇腹構造の接続部材(以下、連結部材ともいう。)により配管保護ダクトの端部同士を接続して壁面の段差部を跨ぐようにしていた。
【0004】
このように蛇腹構造の接続部材を変形させて壁面の段差部を跨ぐものでは、蛇腹構造の接続部材における変形させた部分が経時的に劣化するか、あるいは段差部のみ他の配管保護ダクトとは異なった蛇腹状の外観を呈しているため、外観の見栄えが悪いという問題がある。
【0005】
これを解決するため、従来では接続部材部分の経時的な劣化がなく、かつ外観の見栄えが良好になるような配管保護ダクトの接続部材が提案されている。この接続部材は、第1接続部材と、第2接続部材とを備えている。上記第1接続部材は、略筒状に形成され、所定角度に屈曲しかつ一端部に配管保護ダクトとの接続口を有している。上記第2接続部材は、略筒状に形成され、所定角度に屈曲しかつ一端部に第1接続部材の他端部が内挿又は外挿される連結口を一端部に有している。また、上記配管保護ダクトの接続部材は、第2接続部材の屈曲方向が第1接続部材の屈曲方向と逆方向となっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記配管保護ダクトの接続部材では、蛇腹構造の接続部材に対して接続部材部分の経時的な劣化がなく、かつ外観の見栄えが良好になるという利点がある反面、第1接続部材の屈曲角度と第2接続部材の屈曲角度とが固定されているため、壁面の段差部の高さが異なる度に屈曲角度の異なるものを用いる必要がある。そのため、従来の配管保護ダクトの接続部材は、汎用性が極めて低く、不経済であるという問題がある。
【0008】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、壁面の異なる高さの段差部に対応可能となり、汎用性を大幅に高め、施工に際しての使い勝手を良好にした段差継手カバー及び段差継手カバーユニットを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、壁面に設けられた段差部に跨って配置され、管状に形成されて配管及び配線の少なくとも一方を内部に挿通する段差継手カバーであって、前記段差部に形成された低い面に配置される筒状の第1のダクト部材と、前記段差部に形成された高い面に配置される管状の第2のダクト部材と、前記第1のダクト部材の端部と前記第2のダクト部材の端部との間が離間し、前記第1のダクト部材と前記第2のダクト部材との間を連結する管状の連結部材と、を備え、前記連結部材は、その一端部が前記第1のダクト部材の端部に対して回動可能に連結されるとともに、その他端部が前記第2のダクト部材の端部に対して回動可能に連結され、その連結角度が前記段差部の高さに応じて調整可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記第1のダクト部材及び前記第2のダクト部材は、それぞれ周方向に2分割され、前記第1のダクト部材は、前記低い面側に設置された第1ダクトベース部と、この第1ダクトベース部に被着された第1ダクトカバー部とを備え、前記第2のダクト部材は、前記高い面側に設置された第2ダクトベース部と、この第2ダクトベース部に被着された第2ダクトカバー部とを備え、前記連結部材は、周方向に2分割され、前記壁面側に設置された連結ベース部と、この連結ベース部に被着された連結カバー部とを備え、前記第1のダクト部材の第1ダクトベース部と前記連結部材の連結ベース部の一端が第1ベース回動軸を介して回動可能に連結されるとともに、前記第2のダクト部材の第2ダクトベース部と前記連結部材の連結ベース部の他端が第2ベース回動軸を介して回動可能に連結されてベースユニットが構成され、前記第1のダクト部材の第1ダクトカバー部と前記連結部材の連結カバー部の一端が第1カバー回動軸を介して回動可能に連結されるとともに、前記第2のダクト部材の第2ダクトカバー部と前記連結部材の連結カバー部の他端が第2カバー回動軸を介して回動可能に連結されてカバーユニットが構成され、前記第1ベース回動軸と前記第2ベース回動軸との間隔と、前記第1カバー回動軸と前記第2カバー回動軸との間隔が同一であることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の構成に加え、前記第1ベース回動軸は、前記第1カバー回動軸よりも前記連結部材側にずれて配置される一方、前記第2カバー回動軸は、前記第2ベース回動軸よりも前記連結部材側にずれて配置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の構成に加え、前記連結部材は、前記連結ベース部と前記連結カバー部とが互いに長さ方向の被着位置が変化可能に構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の構成に加え、前記連結部材は、前記連結ベース部と前記連結カバー部とが縮拡径可能に構成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、壁面に設置されかつ両側に段差部が形成された突出部に跨って配置される段差継手カバーユニットであって、前記両側の段差部にそれぞれ配置される請求項1乃至5のいずれか一項に記載の段差継手カバーを有し、前記段差継手カバーの前記第2のダクト部材が互いに接続して構成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の構成に加え、前記第2のダクト部材は、長さが前記突出部の幅に応じて調整可能に構成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の構成に加え、前記第2のダクト部材は、切り落とし可能な切断ガイド溝が長さ方向に複数形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、壁面に設置されかつ両側に段差部が形成された突出部に跨って配置される段差継手カバーユニットであって、前記段差部の高い面に配置される請求項1乃至5のいずれか一項に記載の段差継手カバーの前記第2のダクト部材と、前記第2のダクト部材の両側に配置される前記連結部材と、前記連結部材にそれぞれ連結される前記第1のダクト部材と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、段差継手カバーは、第1のダクト部材の端部と第2のダクト部材の端部との間が離間し、第1のダクト部材と第2のダクト部材との間を管状の連結部材で連結し、この連結部材の一端部が第1のダクト部材の端部に対して回動可能に連結されるとともに、その他端部が第2のダクト部材の端部に対して回動可能に連結され、その連結角度が壁面に設けられた段差部の高さに応じて調整可能に構成されているので、壁面の異なる高さの段差部に対応可能となり、汎用性を大幅に高めることができる。その結果、段差継手カバーの施工に際しての使い勝手が良好になる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、第1ベース回動軸と第2ベース回動軸との間隔と、第1カバー回動軸と第2カバー回動軸との間隔が同一であるため、平行クランク機構を構成し、第1のダクト部材と第2のダクト部材のいずれか一方を固定すると、いずれか他方が平行移動することとなる。その結果、段差部の高さが変化しても容易に対応することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、第1ベース回動軸は、第1カバー回動軸よりも連結部材側にずれて配置される一方、第2カバー回動軸は、第2ベース回動軸よりも連結部材側にずれて配置されているので、連結部材の連結角度が段差部の高さに応じて変化しても、連結部材の長さを変えることなく、段差部の高さに追随することができる。そのため、段差継手カバーの施工に際しての使い勝手が一段と良好になる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、連結部材は、連結ベース部と連結カバー部とが互いに長さ方向の被着位置が変化可能に構成されているので、第1のダクト部材の開口部の面積と、第2のダクト部材の開口部の面積を変えることなく、かつ連結部材の長さを変えることなく、段差部の高さに追随することができる。そのため、段差継手カバーの施工に際しての使い勝手が一段と良好になる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、連結部材は、連結ベース部と連結カバー部とが縮拡径可能に構成されているので、請求項4に記載の発明と同様に、第1のダクト部材の開口部の面積と、第2のダクト部材の開口部の面積を変えることなく、かつ連結部材の長さを変えることなく、段差部の高さに追随することができる。そのため、段差継手カバーの施工に際しての使い勝手が一段と良好になる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、段差継手カバーユニットは、両側の段差部にそれぞれ配置される請求項1乃至5のいずれか一項に記載の段差継手カバーを有し、この段差継手カバーの第2のダクト部材が互いに接続して構成されているので、異なる高さの壁面の突出部に対応可能となり、汎用性を大幅に高めることができる。その結果、段差継手カバーユニットの施工に際しての使い勝手が良好になる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、第2のダクト部材は、長さが突出部の幅に応じて調整可能に構成されているので、突出部の幅が変化しても第2のダクト部材の長さを突出部の幅と容易に同一にすることができる。そのため、段差継手カバーユニットの施工に際しての使い勝手が一段と良好になる。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、第2のダクト部材は、切り落とし可能な切断ガイド溝が長さ方向に複数形成されているので、第2のダクト部材の長さを突出部の幅と略同一にすることができる。そのため、段差継手カバーユニットの施工に際しての使い勝手が一段と良好になる。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、段差部の高い面に配置される請求項1乃至5のいずれか一項に記載の段差継手カバーの第2のダクト部材と、この第2のダクト部材の両側に配置される連結部材と、これらの連結部材にそれぞれ連結される第1のダクト部材と、を有するので、壁面の異なる高さの突出部に対応可能となり、汎用性を大幅に高めることができる。その結果、段差継手カバーユニットの施工に際しての使い勝手が一段と良好になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態に係る段差継手カバーを上部及び下部の段差部にそれぞれ設置した状態を示す斜視図である。
【
図2】同実施形態の段差継手カバーを上部及び下部の段差部にそれぞれ設置する状態を示す分解斜視図である。
【
図3】同実施形態の段差継手カバーを上部及び下部の段差部にそれぞれ設置する状態を示す拡大断面図である。
【
図4】同実施形態の段差継手カバーにおける第1のダクト部材又は第2のダクト部材を示す断面図である。
【
図5】同実施形態の段差継手カバーにおける連結部材を示す断面図である。
【
図6】同実施形態の段差継手カバーにおける第1のダクト部材又は第2のダクト部材に連結部材を連結した状態を示す断面図である。
【
図7】同実施形態の段差継手カバーを段差なしで設置した状態を示す図で、(a)は側面図、(b)は縦断面図である。
【
図8】同実施形態の段差継手カバーを段差15mmで設置した状態を示す図で、(a)は側面図、(b)は縦断面図である。
【
図9】同実施形態の段差継手カバーを段差30mmで設置した状態を示す図で、(a)は側面図、(b)は縦断面図である。
【
図10】同実施形態の段差継手カバーを段差30mmで施工した状態の、(a)は側面図、(b)は縦断面図である。
【
図11】同実施形態の段差継手カバーを段差15mmで施工した状態を示す側面図である。
【
図12】同実施形態の段差継手カバーを上下で異なる段差に施工した状態を示す側面図である。
【
図13】本発明の第1実施形態に係る段差継手カバーユニットの施工状態を示す図で、(a)は分解斜視図、(b)は側面図である。
【
図14】本発明の第2実施形態に係る段差継手カバーユニットの施工状態を示す図で、(a)は分解斜視図、(b)は縦断面図である。
【
図15】第2実施形態に係る段差継手カバーユニットの第2ダクトを短くした施工状態を示す図で、(a)は分解斜視図、(b)は縦断面図である。
【
図16】第2実施形態に係る段差継手カバーユニットの第2のダクト部材の係合状態を分解して示す断面図である。
【
図17】第2実施形態に係る段差継手カバーユニットの第2のダクト部材の係合状態を示す断面図である。
【
図18】本発明の第3実施形態に係る段差継手カバーユニットの施工状態を示す図で、(a)は分解斜視図、(b)は縦断面図である。
【
図19】第3実施形態に係る段差継手カバーユニットの第2のダクト部材を短く設置した施工状態を示す図で、(a)は分解斜視図、(b)は縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[段差継手カバーの一実施形態]
本実施形態の段差継手カバーは、例えば空気調和機(エアコン)の室内機から冷媒配管やドレンホース等の配管を、壁面に設けた取出し口を経て引き出し、その壁面に沿って室外機に上記配管を導く際に、壁面に設けられた段差部を跨がって配設した配管を内部に挿通して保護するために用いられる。
【0029】
なお、本実施形態においては、一例として、本発明に係る「壁面」が建築物の壁面であり、「配管」を空気調和機の室内機から室外機に導く冷媒配管である場合について説明するが、「壁面」は建築物以外のいかなる壁面や壁状のものであってもよく、「配管」は空気調和機の冷媒配管以外のいかなる配管であってもよい。また、本発明に係る段差継手カバー内に挿通して保護するものは、上記配管に限らず、電気系統の「配線」だけでもよく、あるいは配管及び配線の双方を挿通して保護するようにしてもよい。
【0030】
さらに、本発明に係る「突出部」が建築物の壁面に所定高さで、例えば100~200mm程度の幅で、水平方向に設置した場合について説明するが、「突出部」は建築物以外のいかなる壁面や壁状のもの、いかなる方向に設置されたものでもよい。そして、上記「突出部」が例えば上下方向にそれぞれ「段差部」を備えているが、必ずしも上下方向でなくてもよい。
【0031】
また、本実施形態においては、一例として、本発明に係る「段差部」が壁面に形成された低い面と、この低い面に連続して屈曲して形成された屈曲壁と、この屈曲壁に連続して形成された高い面(段差面)とを備える場合について説明するが、「段差部」は低い面から屈曲して形成されることなく、より急峻に形成した段差やより緩やかに形成した段差であってもよい。
【0032】
図1乃至
図12は、本発明の一実施形態の段差継手カバーを示す。
【0033】
まず、本実施形態の構成を説明する。
【0034】
図1は、本発明の一実施形態に係る段差継手カバーを上部及び下部の段差部にそれぞれ設置した状態を示す斜視図である。
図2は、同実施形態の段差継手カバーを上部及び下部の段差部にそれぞれ設置する状態を示す分解斜視図である。
【0035】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の段差継手カバー1は、図示しない空気調和機(エアコン)の室内機から冷媒配管やドレンホース等の配管3を壁面2に沿って図示しない室外機に導く際に、壁面2に設けられた突出部4の上下の段差部5に跨がって配設した配管3を内部に挿通して保護するために用いられる。
【0036】
突出部4には、上下の段差部5,5がそれぞれ形成されている。これら上下の段差部5,5は、壁面2を形成する上下の低い面6と、これらの低い面6にそれぞれ連続して立ち上がり屈曲して形成された屈曲壁7と、これらの屈曲壁7に連続して低い面6よりも高く形成された高い面8とを備える。この高い面8は、段差面部を形成する。
【0037】
段差継手カバー1は、上下の段差部5,5にそれぞれ跨って配置されている。すなわち、段差継手カバー1は、上部の段差部5に跨って配置されているとともに、下部の段差部5に跨って配置されている。
【0038】
各段差継手カバー1は、第1のダクト部材10と、第2のダクト部材20と、連結部材30とを備える。これら第1のダクト部材10、第2のダクト部材20、及び連結部材30は、例えば硬質の合成樹脂、例えばABS樹脂やポリプロピレン等にて形成されている。第1のダクト部材10は、段差部5に形成された低い面6に配置される。第2のダクト部材20は、段差部5に形成された高い面8に配置される。連結部材30は、第1のダクト部材10と第2のダクト部材20との間に介在し、これらに回動可能に連結されている。
【0039】
第1のダクト部材10は、第1ダクト11と、この第1ダクト11と接続される第1接続ダクト12を有し、この第1接続ダクト12は、連結部材30の一端と連結される。第2のダクト部材20は、第2ダクト21と、この第2ダクト21と接続される第2接続ダクト22を有し、この第2接続ダクト22は、連結部材30の他端と連結される。
【0040】
本実施形態では、段差継手カバー1を
図1及び
図2に示すように上下の段差部5,5にそれぞれ跨って配置する場合、それぞれの第2のダクト部材20に共通する第2ダクト21によって連結されている。
【0041】
なお、本実施形態では、第1のダクト部材10は、第1ダクト11と第1接続ダクト12とで別々に形成しているが、第1ダクト11と第1接続ダクト12を一体に形成してもよい。同様に、第2のダクト部材20も、第2ダクト21と第2接続ダクト22とで別々に形成しているが、第2ダクト21と第2接続ダクト22を一体に形成してもよい。
【0042】
次に、本実施形態の第1のダクト部材10、第2のダクト部材20、及び連結部材30の具体的な構成を
図3乃至
図6に基づいて説明する。
【0043】
図3は、同実施形態の段差継手カバーを上部及び下部の段差部にそれぞれ設置する状態を示す拡大断面図である。
図4は、同実施形態の段差継手カバーにおける第1のダクト部材又は第2のダクト部材を示す断面図である。
図5は、同実施形態の段差継手カバーにおける連結部材を示す断面図である。
図6は、同実施形態の段差継手カバーにおける第1のダクト部材又は第2のダクト部材に連結部材を連結した状態を示す断面図である。
図7は、同実施形態の段差継手カバーを段差なしで設置した状態を示す図で、(a)は側面図、(b)は縦断面図である。
【0044】
図3に示すように、第1のダクト部材10の第1ダクト11と第1接続ダクト12は、それぞれ周方向に2分割されている。同様に、第2のダクト部材20の第2ダクト21と第2接続ダクト22もそれぞれ周方向に2分割されている。
【0045】
図3及び
図4に示すように、第1のダクト部材10の第1接続ダクト12は、低い面6側に配置された第1ダクトベース部13と、この第1ダクトベース部13に被着された第1ダクトカバー部14とを備えている。第1ダクトベース部13及び第1ダクトカバー部14は、それぞれ断面U字状に形成されている。
【0046】
第1ダクトベース部13には、
図4に示すように長さ方向全長にわたって被係合部13aが形成されている。一方、第1ダクトカバー部14には、長さ方向全長にわたって係合部14aが形成されている。第1ダクトベース部13の被係合部13aに第1ダクトカバー部14の係合部14aを係合させることで、管状に一体化された第1のダクト部材10が形成される。
【0047】
同様に、第2のダクト部材20の第2接続ダクト22も高い面8側に配置された第2ダクトベース部23と、この第2ダクトベース部23に被着された第2ダクトカバー部24とを備えている。第2ダクトベース部23及び第2ダクトカバー部24は、それぞれ断面U字状に形成されている。
【0048】
第2ダクトベース部23には、長さ方向全長にわたって被係合部23aが形成されている。一方、第2ダクトカバー部24には、長さ方向全長にわたって係合部24aが形成されている。第2ダクトベース部23の被係合部23aに第2ダクトカバー部24の係合部24aを係合させることで、管状に一体化された第2のダクト部材20が形成される。
【0049】
したがって、第1のダクト部材10と第2のダクト部材20は、後述する開口部の向きが異なるだけで、
図4に示すように略同様の形状に形成されている。
【0050】
第1ダクトベース部13及び第1ダクトカバー部14には、それぞれ第1ダクト11が挿入されるとき、所定の位置に係止するためのストッパ13b,14bが一体に径方向に突出するように形成されている。
【0051】
同様に、第2ダクトベース部23及び第2ダクトカバー部24には、それぞれ第2ダクト21が挿入されるとき、所定の位置に係止するためのストッパ23b,24bが一体に径方向に突出するように形成されている。
【0052】
第1ダクトベース部13及び第1ダクトカバー部14は、それぞれねじ固定部13c,14cが一体に形成されている。第1ダクトベース部13のねじ固定部13cは、凸形状に形成される一方、第1ダクトカバー部14のねじ固定部14cは凹形状に形成されて、両者が嵌合可能に形成されている。したがって、ねじ固定部13cにねじ固定部14cを嵌合させ、これらに図示しないねじを締結することで、第1ダクトベース部13に第1ダクトカバー部14が固定される。
【0053】
同様に、第2ダクトベース部23及び第2ダクトカバー部24は、それぞれねじ固定部23c,24cが一体に形成されている。第2ダクトベース部23のねじ固定部23cは、凸形状に形成される一方、第2ダクトカバー部24のねじ固定部24cは凹形状に形成されて、両者が嵌合可能に形成されている。したがって、ねじ固定部23cにねじ固定部24cを嵌合させ、これらに図示しないねじを締結することで、第2ダクトベース部23に第2ダクトカバー部24が固定される。
【0054】
連結部材30は、
図3及び
図5に示すように周方向に2分割され、壁面2側に設置された連結ベース部31と、この連結ベース部31に被着された連結カバー部32とを備えている。連結ベース部31には、長さ方向全長にわたって被係合部31aが形成されている。一方、連結カバー部32には、長さ方向全長にわたって係合部32aが形成されている。連結ベース部31の被係合部31aに連結カバー部32の係合部32aを係合させることで、管状に一体化された連結部材30が形成される。
【0055】
連結ベース部31の被係合部31aと、連結カバー部32の係合部32aとは、互いに長さ方向の被着位置が変化可能に構成されている。また、連結ベース部31の被係合部31aと、連結カバー部32の係合部32aとは、縮拡径可能に構成されている。具体的には、連結ベース部31の被係合部31aに対して連結カバー部32の係合部32aは、周方向の係合幅が変更可能に構成されている。その係合幅は、被係合部31aに対して係合部32aが密着した位置(最も縮径した位置)から離間する直前の位置(最も拡径した位置)までである。
【0056】
なお、上記係合幅は、被係合部31aと係合部32aとを重ね合わせる幅によって決定される。すなわち、被係合部31aと係合部32aとを重ね合わせる幅を長くすると、係合幅が長くなる一方、両者を重ね合わせる幅を短くすると、係合幅が短くなる。
【0057】
図3及び
図6に示すように、第1のダクト部材10の第1ダクトベース部13と連結部材30の連結ベース部31の一端が第1ベース回動軸33を介して回動可能に連結されている。また、第2のダクト部材20の第2ダクトベース部23と連結部材30の連結ベース部31の他端が第2ベース回動軸34を介して回動可能に連結されている。
【0058】
図5及び
図6に示すように、第1ベース回動軸33及び第2ベース回動軸34は、それぞれ連結部材30の連結ベース部31に一体に形成されている。第1ダクトベース部13及び第2ダクトベース部23には、
図4及び
図6に示すように、第1ベース回動軸33及び第2ベース回動軸34がそれぞれ回動可能に係合する係合凹部15,25が形成されている。ここで、第1ダクトベース部13及び第2ダクトベース部23は、それぞれ弾性変形可能に構成されている。そのため、第1ダクトベース部13及び第2ダクトベース部23をそれぞれ外側に開くように弾性変形させることで、係合凹部15,25に第1ベース回動軸33及び第2ベース回動軸34がそれぞれ係合可能となる。
【0059】
したがって、本実施形態では、
図3に示すように第1ダクトベース部13と連結ベース部31の一端とが第1ベース回動軸33を介して連結されるとともに、第2ダクトベース部23と連結ベース部31の他端とが第2ベース回動軸34を介して連結されることで、ベースユニット35が構成される。
【0060】
図3及び
図6に示すように、本実施形態では、第1のダクト部材10の第1ダクトカバー部14と連結部材30の連結カバー部32の一端が第1カバー回動軸36を介して回動可能に連結されている。また、第2のダクト部材20の第2ダクトカバー部24と連結部材30の連結カバー部32の他端が第2カバー回動軸37を介して回動可能に連結されている。
【0061】
図5及び
図6に示すように、第1カバー回動軸36及び第2カバー回動軸37は、それぞれ連結部材30の連結カバー部32に一体に形成されている。第1ダクトカバー部14及び第2ダクトカバー部24には、
図4及び
図6に示すように、第1カバー回動軸36及び第2カバー回動軸37がそれぞれ回動可能に係合する係合凹部16,26が形成されている。ここで、第1ダクトカバー部14及び第2ダクトカバー部24は、それぞれ弾性変形可能に構成されている。そのため、第1ダクトカバー部14及び第2ダクトカバー部24をそれぞれ外側に開くように弾性変形させることで、係合凹部16,26に第1カバー回動軸36及び第2カバー回動軸37がそれぞれ係合可能となる。
【0062】
したがって、本実施形態では、
図3に示すように第1ダクトカバー部14と連結カバー部32の一端とが第1カバー回動軸36を介して連結されるとともに、第2ダクトカバー部24と連結カバー部32の他端とが第2カバー回動軸37を介して連結されることで、カバーユニット38が構成される。
【0063】
本実施形態では、
図3に示すように第1ベース回動軸33と第2ベース回動軸34との間隔D1と、第1カバー回動軸36と第2カバー回動軸37との間隔D2とが同一になるように設定されている。すなわち、第1のダクト部材10と第2のダクト部材20は、連結部材30を介して平行クランク機構を構成するように連結されている。
【0064】
また、本実施形態では、
図7に示すように第1ベース回動軸33が第1カバー回動軸36よりも連結部材30側にずれて配置されている。第2カバー回動軸37は、第2ベース回動軸34よりも連結部材30側にずれて配置されている。
【0065】
図3に示すように、第2ダクト21は、第1ダクト部材10、第2ダクト部材20と同様の材質から形成され、第2ベース部28と、この第2ベース部28に被着される第2カバー部29を備える。これら第2ベース部28及び第2カバー部29は、それぞれ断面U字状に形成されている。第2ダクト21の外径は、第2ダクト部材20の内径に挿通可能な径に形成されている。
【0066】
第2ベース部28には、第1ダクト部材10、第2ダクト部材20と同様に、図示しないが長さ方向全長にわたって被係合部が形成されている。一方、第2カバー部29には、第1ダクト部材10、第2ダクト部材20と同様に、図示しないが長さ方向全長にわたって係合部が形成されている。第2ベース部28の被係合部に第2カバー部29の係合部が係合することで、管状に一体化された第2ダクト21が形成される。
【0067】
次に、本実施形態の段差継手カバーにおいて、段差の有無、段差の大小の変化による第1のダクト部材10、第2のダクト部材20、及び連結部材30の相対位置の変化を
図7乃至
図9に基づいて説明する。
【0068】
図8は、同実施形態の段差継手カバーを段差15mmで設置した状態を示す図で、(a)は側面図、(b)は縦断面図である。
図9は、同実施形態の段差継手カバーを段差30mmで設置した状態を示す図で、(a)は側面図、(b)は縦断面図である。
【0069】
図7乃至
図9に示すように、第1のダクト部材10は、連結部材30の一端と連結される連結用の開口部17が形成されている。この開口部17は、壁面2に近接した部分が離間した部分よりも連結部材30側に突出するように傾斜して形成されている。
【0070】
第2のダクト部材20は、連結部材30の他端と連結される連結用の開口部27が形成されている。この開口部27は、第1のダクト部材10とは逆に、壁面2から離間した部分が近接した部分よりも連結部材30側に突出するように傾斜して形成されている。
【0071】
図7(b)に示すように、段差継手カバー1を段差なしで設置した状態では、連結部材30の連結ベース部31に対して連結カバー部32の被着位置が右方向に変化している。また、
図7(a),(b)に示す状態では、連結ベース部31の被係合部31aに対して連結カバー部32の係合部32aが密着している。
【0072】
図8(b)に示すように、段差継手カバー1を例えば段差15mm(連結部材の角度15°)で設置した状態では、連結部材30の連結ベース部31に対して連結カバー部32の被着位置が長さ方向に変化せずに重なった位置になっている。また、
図8(a),(b)に示す状態では、連結ベース部31の被係合部31aに対して連結カバー部32の係合部32aが密着している状態から係合状態を保持しつつ約2mm離れた状態にある。
【0073】
図9(b)に示すように、段差継手カバー1を例えば段差30mm(連結部材の角度30°)で設置した状態では、連結部材30の連結ベース部31に対して連結カバー部32の被着位置が左方向に変化している。また、
図9(a),(b)に示す状態では、連結ベース部31の被係合部31aに対して連結カバー部32の係合部32aが密着している。
【0074】
次に、段差継手カバー1を段差30mmで設置した施工例、段差15mmで設置した施工例、及び上下で高さの異なる段差に設置した施工例を
図10乃至
図12に基づいて説明する。
【0075】
図10は、同実施形態の段差継手カバーを段差30mmで施工した状態の、(a)は側面図、(b)は縦断面図である。
図11は、同実施形態の段差継手カバーを段差15mmで施工した状態を示す側面図である。
図12は、同実施形態の段差継手カバーを上下で異なる段差に施工した状態を示す側面図である。
【0076】
図10(a),(b)に示すように、まず、一方のベースユニット35における第1接続ダクト12の第1ダクトベース部13を突出部4の上部の段差部5における低い面6にねじ9により固定する。
【0077】
次いで、第1ダクトベース部13に第1ダクト11のベース部を差し込んだ後、一方の連結部材30を回動させて連結ベース部31が上部の段差部5の屈曲壁7を跨ぎ、一方のベースユニット35における第2接続ダクト22の第2ダクトベース部23を突出部4の上部の段差部5における高い面8にねじ9により固定する。
【0078】
ここで、第2接続ダクト22の第2ダクトベース部23を突出部4の上部の段差部5に固定する前に、一方の連結部材30に対する第2ダクトベース部23の回動位置を図示しない固定部材を用いて固定するようにしてもよい。これは、他方の連結部材30に対する第2ダクトベース部23についても同様である。加えて、段差継手カバーユニットの各実施形態でも同様とする。
【0079】
この場合、通常は連結部材30に対して第2ダクトベース部23が容易に回動することなく、施工者の回動操作によってはじめて回動することができるように第2ベース回動軸34を構成するようにしてもよい。このように構成することで、上記固定部材を別途用いることがなくなり、施工が容易になる。
【0080】
そして、他方のベースユニット35における第2接続ダクト22の第2ダクトベース部23を突出部4の下部の段差部5における高い面8にねじ9により固定した後、上部第2ダクトベース部23の下端と下部の第2ダクトベース部23上端との間に第2ダクト21のベース部を差し込む。
【0081】
次いで、他方の連結部材30を回動させて連結ベース部31が下部の段差部5の屈曲壁7を跨ぎ、他方のベースユニット35における第1接続ダクト12の第1ダクトベース部13を突出部4の下部の段差部5における低い面6にねじ9により固定する。この第1ダクトベース部13に第1ダクト11のベース部を差し込む。このようにして固定した上下のベースユニット35内に例えば配管3を組み込む。
【0082】
そして、上部の第1ダクト11のベース部に第1ダクト11のカバー部を嵌め込むとともに、下部の第1ダクト11のベース部に第1ダクト11のカバー部を嵌め込む。そして、第2ダクト21のベース部に第2ダクト21のカバー部を嵌め込む。
【0083】
その後、一方のカバーユニット38において、第1ダクトカバー部14の係合部14aを第1ダクトベース部13の被係合部13aに係合させるとともに、ねじ固定部14cをねじ固定部13cに係合させ、これらにねじ9を締結することで、第1ダクトベース部13に第1ダクトカバー部14が固定される。
【0084】
同様に、一方のカバーユニット38において、第2ダクトカバー部24の係合部24aを第2ダクトベース部23の被係合部23aに係合させるとともに、ねじ固定部24cをねじ固定部23cに係合させ、これらにねじ9を締結することで、第2ダクトベース部23に第2ダクトカバー部24が固定される。
【0085】
次いで、他方のカバーユニット38において、第2ダクトカバー部24の係合部24aを第2ダクトベース部23の被係合部23aに係合させるとともに、ねじ固定部24cをねじ固定部23cに係合させ、これらにねじ9を締結することで、第2ダクトベース部23に第2ダクトカバー部24が固定される。
【0086】
そして、他方のカバーユニット38において、第1ダクトカバー部14の係合部14aを第1ダクトベース部13の被係合部13aに係合させるとともに、ねじ固定部14cをねじ固定部13cに係合させ、これらにねじ9を締結することで、第1ダクトベース部13に第1ダクトカバー部14が固定される。
【0087】
このように段差30mmで施工した場合には、
図10(b)に示すように、一方の連結部材30の連結ベース部31に対して連結カバー部32の被着位置が下方に変化している。また、他方の連結部材30の連結ベース部31に対して連結カバー部32の被着位置が上方に変化している。
【0088】
図11に示すように、段差継手カバー1を段差15mmで施工した場合には、連結部材30の連結ベース部31に対して連結カバー部32の被着位置が長さ方向に変化せずに重なった位置になっている。また、この場合には、連結ベース部31の被係合部31aに対して連結カバー部32の係合部32aが係合状態を保持しつつ約2mm離間した状態にある。
【0089】
段差継手カバー1を段差15mmで施工した場合も、段差30mmで施工した場合と施工順序と施工方法は、同様であるため、その説明を省略する。
【0090】
図12は、段差継手カバー1を例えば上部の段差部5が段差30mmで、下部の段差部5が例えば段差15mmで施工した場合を示している。上部の段差部5が段差30mmの場合には、
図10(b)と同様に、一方の連結部材30の連結ベース部31に対して連結カバー部32の被着位置が下方に変化している。
【0091】
また、下部の段差部5が例えば段差15mmの場合には、
図11と同様に連結ベース部31の被係合部31aに対して連結カバー部32の係合部32aが係合状態を保持しつつ約2mm離間した状態にある。
【0092】
このように本実施形態の段差継手カバー1によれば、連結部材30が第1のダクト部材10及び第2のダクト部材20に対してそれぞれ回動可能に連結され、その連結角度が壁面に設けられた段差部の高さに応じて調整可能に構成されているので、壁面2の異なる高さの段差部5に対応可能となり、汎用性を大幅に高めることができる。その結果、段差継手カバー1の施工に際して使い勝手が良好になる。
【0093】
また、本実施形態によれば、第1ベース回動軸33と第2ベース回動軸34との間隔D1と、第1カバー回動軸36と第2カバー回動軸37との間隔D2が同一であるため、平行クランク機構を構成し、第1のダクト部材10と第2のダクト部材20のいずれか一方を固定すると、いずれか他方が平行移動することとなる。その結果、段差部5の高さが変化しても容易に対応することができる。
【0094】
さらに、本実施形態によれば、第1ベース回動軸33は、第1カバー回動軸36よりも連結部材30側にずれて配置される一方、第2カバー回動軸37は、第2ベース回動軸34よりも連結部材30側にずれて配置されているので、連結部材30連結角度が段差部5の高さに応じて変化しても、連結部材30の長さを変えることなく、段差部5の高さに追随することができる。そのため、段差継手カバー1の施工に際しての使い勝手が一段と良好になる。
【0095】
本実施形態によれば、連結部材30は、連結ベース部31と連結カバー部32とが互いに長さ方向の被着位置が変化可能に構成されているので、第1のダクト部材10の開口部17の面積と、第2のダクト部材20の開口部27の面積を変えることなく、かつ連結部材30の長さを変えることなく、段差部5の高さに追随することができる。そのため、段差継手カバー1の施工に際しての使い勝手が一段と良好になる。
【0096】
また、本実施形態によれば、連結部材30は、連結ベース部31と連結カバー部32とが縮拡径可能に構成されているので、上記と同様に、第1のダクト部材10の開口部17の面積と、第2のダクト部材20の開口部27の面積を変えることなく、かつ連結部材30の長さを変えることなく、段差部5の高さに追随することができる。そのため、段差継手カバー1の施工に際しての使い勝手が一段と良好になる。
【0097】
なお、本実施形態では、段差継手カバー1を例えば段差部5が段差30mmの場合、段差部5が段差15mmの場合について説明したが、これに限らず第1のダクト部材10の開口部17の面積、第2のダクト部材20の開口部27の面積、及び連結部材30の長さ等に応じて、他の高さの段差部5にも対応可能である。
【0098】
[段差継手カバーユニットの第1実施形態]
図13は、本発明の第1実施形態に係る段差継手カバーユニットの施工状態を示す図で、(a)は分解斜視図、(b)は側面図である。
【0099】
なお、以下に説明する段差継手カバーユニットの各実施形態では、上述した段差継手カバー1の一実施形態と同一又は対応する部分には、同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0100】
また、以下に説明する段差継手カバーユニットとは、突出部4の上下に形成された段差部5,5にそれぞれ段差継手カバー1,1を配置し、これらの段差継手カバー1,1を、上下共通の第2接続ダクト22で一体化したもの、あるいは上下の第2接続ダクト22,22に第2ダクト21を接続して一体化したものである。
【0101】
図13(a),(b)に示すように、本実施形態の段差継手カバーユニット40は、上述した段差継手カバー1の一実施形態と異なり、第2のダクト部材20に第2ダクト21が接続されておらず、2つの第2接続ダクト22が互いに上下方向に延びて一体化されている。
【0102】
図13(a),(b)に示す突出部4は、上述した段差継手カバー1の一実施形態で説明した突出部4と比べて上下方向に幅広に形成されている。本実施形態の段差継手カバーユニット40も、上下両側に段差部5,5が形成された突出部4に跨って配置される。
【0103】
段差継手カバーユニット40は、段差部5の高い面8に配置される第2のダクト部材20と、この第2のダクト部材20の両側に配置される連結部材30,30と、これらの連結部材30,30にそれぞれ連結される第1のダクト部材10,10と、を備える。第2の接続ダクト22は、突出部4の上下方向の幅と同一の長さを有する。
【0104】
段差継手カバーユニット40は、ベースユニット41と、このベースユニット41に被着されるカバーユニット42を備える。ベースユニット41は、第2のダクト部材20の第2ダクトベース部23と、この第2ダクトベース部23の上下端双方に回動可能に連結された連結ベース部31,31と、これらの連結ベース部31,31にそれぞれ回動可能に連結された第1ダクトベース部13,13とを備える。
【0105】
すなわち、ベースユニット41は、第2ダクトベース部23、上下の連結ベース部31,31、上下の第1ダクトベース部13,13が回動軸を介して一体化されている。
【0106】
カバーユニット42は、第2のダクト部材20の第2ダクトカバー部24と、この第2ダクトカバー部24の上下端双方に回動可能に連結された連結カバー部32,32と、これらの連結カバー部32,32にそれぞれ回動可能に連結された第1ダクトカバー部14,14とを備える。
【0107】
すなわち、カバーユニット42は、第2ダクトカバー部24、上下の連結カバー部32,32、上下の第1ダクトカバー部14,14が回動軸を介して一体化されている。
【0108】
次に、本実施形態の段差継手カバーユニット40の施工例について説明する。
【0109】
まず、ベースユニット41における第1接続ダクト12の第1ダクトベース部13を突出部4の上部の段差部5における低い面6にねじ9により固定する。そして、ベースユニット41における第1接続ダクト12に第1ダクト11のベース部を差し込む。
【0110】
次いで、上部の連結ベース部31を回動させて上部の段差部5の屈曲壁7を跨ぐように配置し、第2のダクト部材20の第2ダクトベース部23を長さ方向に沿って、例えば3か所にねじ9によりねじ止めすることで、第2ダクトベース部23が突出部4の高い面8に固定される。
【0111】
さらに、下部の連結ベース部31を回動させて下部の段差部5の屈曲壁7を跨ぐように配置し、ベースユニット41における第1接続ダクト12の第1ダクトベース部13を突出部4の下部の段差部5における低い面6にねじ9により固定する。そして、ベースユニット41における第1接続ダクト12に第1ダクト11のベース部を差し込む。このようにして固定したベースユニット41内に例えば配管3を組み込む。
【0112】
その後、上部の第1ダクト11のベース部に第1ダクト11のカバー部を嵌め込むとともに、下部の第1ダクト11のベース部に第1ダクト11のカバー部を嵌め込む。
【0113】
次に、カバーユニット42において、上部の第1ダクトカバー部14の係合部14aを第1ダクトベース部13の被係合部13aに係合させるとともに、ねじ固定部14cをねじ固定部13cに嵌合させ、これらにねじ9を締結することで、第1ダクトベース部13に第1ダクトカバー部14が固定される。
【0114】
そして、第2ダクトカバー部24の係合部24aを第2ダクトベース部23の被係合部23aに係合させるとともに、ねじ固定部24cをねじ固定部23cに嵌合させ、これらにねじ9を締結することで、第2ダクトベース部23に第2ダクトカバー部24が固定される。
【0115】
さらに、カバーユニット42において、下部の第1ダクトカバー部14の係合部14aを第1ダクトベース部13の被係合部13aに係合させるとともに、ねじ固定部14cをねじ固定部13cに嵌合させ、これらにねじ9を締結することで、第1ダクトベース部13に第1ダクトカバー部14が固定される。
【0116】
なお、本実施形態では、最初に第1ダクトベース部13を突出部4の上部の段差部5における低い面6に固定するようにしたが、最初に第1ダクトベース部13を突出部4の下部の段差部5における低い面6に固定するようしてもよい。また、第1ダクトベース部13を固定する前に段差部5における高い面8に第2ダクトベース部23を固定するようにしてもよい。要するに、本実施形態の段差継手カバーユニット40の施工順序は、現場の状況により適宜変更可能である。
【0117】
このように本実施形態の段差継手カバーユニット40によれば、段差部5の高い面8に配置される段差継手カバー1の第2のダクト部材20と、この第2のダクト部材20の両側に配置される連結部材30と、これらの連結部材30にそれぞれ連結される第1のダクト部材10と、を有するので、壁面2において異なる高さや異なる幅の突出部4に対応可能となり、汎用性を大幅に高めることができる。その結果、段差継手カバーユニット40の施工に際しての使い勝手が良好になる。
【0118】
また、本実施形態によれば、2つの第2接続ダクト22が互いに上下方向に延びて一体化されているので、部品点数が少なくなる。そのため、施工工数を削減することが可能となる。
【0119】
[段差継手カバーユニットの第2実施形態]
図14は、本発明の第2実施形態に係る段差継手カバーユニットの施工状態を示す図で、(a)は分解斜視図、(b)は縦断面図である。
図15は、第2実施形態に係る段差継手カバーユニットの第2ダクトを短くした施工状態を示す図で、(a)は分解斜視図、(b)は縦断面図である。
図16は、第2実施形態に係る段差継手カバーユニットの第2のダクト部材の係合状態を分解して示す断面図である。
図17は、第2実施形態に係る段差継手カバーユニットの第2のダクト部材の係合状態を示す断面図である。
【0120】
なお、本実施形態及び後述する第3実施形態の段差継手カバーユニットは、突出部4に第2ダクトベース部23をねじ止めすることができない場合に対応可能であるとともに突出部4の上下方向の幅の変化に対応可能としたものである。
【0121】
ここで、突出部4にねじ止めすることができない場合とは、例えば突出部4が金属等の硬質な材料で覆われ材質的に容易にねじ止めできない場合や、断面中空形状あるいは断面凹凸形状に形成されて形状的にねじ止めすることができない場合等である。
【0122】
図14(a),(b)は、上下方向の幅を広くした突出部4に適用した例を示し、
図15(a),(b)は、上下方向の幅を14(a),(b)よりも狭くした突出部4に適用した例を示している。
【0123】
図14(a),(b)に示すように、本実施形態の段差継手カバーユニット50は、ベースユニット51と、このベースユニット51に被着されるカバーユニット52を備える。本実施形態のベースユニット51は、第2のダクト部材20の第2ベース部28と、この第2ベース部28の上下に連結される第2ダクトベース部23,23と、これらの第2ダクトベース部23,23にそれぞれ回動可能に連結された連結ベース部31,31と、これらの連結ベース部31,31にそれぞれ回動可能に連結された第1ダクトベース部13,13と、を備える。
【0124】
本実施形態の段差継手カバーユニット50は、第2ベース部28と、下部の第2ダクトベース部23とが一体化されている。同様に、段差継手カバーユニット50は、第2カバー部29と、下部の第2ダクトカバー部24とが一体化されている。
【0125】
第2ベース部28と、第2カバー部29は、互いに同一の長さに形成されている。第2ベース部28と、第2カバー部29は、それぞれ長さ方向の同一位置に切断ガイド溝53が2か所形成されている。これらの切断ガイド溝53は、図示しないカッターナイフ等の切断工具を用いて切断し、第2ベース部28及び第2カバー部29を部分的に切り落とすことが可能である。
【0126】
第2ベース部28は、
図14(a),
図16及び
図17に示すように、その上端と切断ガイド溝53との間、切断ガイド溝53と切断ガイド溝53との間、切断ガイド溝53と下端との間のそれぞれの両側面には、側面係合部54が一体に形成されている。すなわち、側面係合部54は、上下3段階にわたって形成されている。
【0127】
第2ベース部28は、
図16及び
図17に示すように、その上端と切断ガイド溝53との間、切断ガイド溝53と切断ガイド溝53との間、切断ガイド溝53と下端との間のそれぞれの突出部4側に面する底面に底面係合部55が一体に形成されている。底面係合部55も、上下3段階にわたって形成されている。これらの底面係合部55は、各側面係合部54と第2ベース部28の長さ方向に対して同一位置に形成されている。
【0128】
また、上部の第2ダクトベース部23には、内側の両側面の上下2か所にそれぞれ側面被係合部58が形成されている。すなわち、側面被係合部58は、上下2段階にわたって形成されている。同様に、上部の第2ダクトベース部23には、内側の底面の上下2か所にそれぞれ底面被係合部59が形成されている。すなわち、底面被係合部59は、上下2段階にわたって形成されている。
【0129】
したがって、本実施形態では、側面係合部54及び底面係合部55がそれぞれ上下3段階にわたって形成される一方、側面被係合部58及び底面被係合部59が上下2段階にわたって形成されているので、3段階×2段階で計6段階の長さ調整が可能となる。
【0130】
図15(a),(b)は、段差継手カバーユニット50の第2ダクト21を短くした施工状態を示している。具体的には、第2ベース部28及び第2カバー部29を上端から2番目の切断ガイド溝53で切断した場合を示している。
【0131】
次に、本実施形態の段差継手カバーユニット50の施工例について説明する。
【0132】
まず、上部の第1のダクト部材10の第1ダクトベース部13を、ねじを用いて段差部5の低い面6に固定する。そして、ベースユニット51における第1接続ダクト12に第1ダクト11のベース部を差し込む。
【0133】
次いで、上方の連結ベース部31を回動させて上部の段差部5の屈曲壁7を跨ぐようにし、ベースユニット51における第2接続ダクト22の第2ダクトベース部23を突出部4の上部の段差部5における高い面8に配置する。ここで、本実施形態の突出部4は、ねじ止めことができないことから、第2ダクトベース部23は固定していない。
【0134】
そして、上部の第2ダクトベース部23の側面被係合部58及び底面被係合部59に第2ベース部28の側面係合部54及び底面係合部55を係合させて上部の第2ダクトベース部23に第2ベース部28を位置決めし、かつ固定する。
【0135】
さらに、下方の連結ベース部31を回動させて下部の段差部5の屈曲壁7を跨ぐように配置し、ベースユニット51における第1接続ダクト12の第1ダクトベース部13を突出部4の下部の段差部5における低い面6にねじ9により固定する。そして、ベースユニット51における第1ダクトベース部13に第1ダクト11のベース部を差し込む。
【0136】
次いで、上部の第1ダクト11のベース部に第1ダクト11のカバー部を嵌め込むとともに、下部の第1ダクト11のベース部に第1ダクト11のカバー部を嵌め込む。
【0137】
そして、カバーユニット52において、第2ベース部28に第2カバー部29を被着した後、下部の第2ダクトカバー部24の係合部24aを第2ダクトベース部23の被係合部23aに係合させるとともに、ねじ固定部24cをねじ固定部23cに嵌合させ、これらにねじ9を締結することで、第2ダクトベース部23に第2ダクトカバー部24が固定される。
【0138】
同様に、カバーユニット52において、上部の第2ダクトカバー部24の係合部24aを第2ダクトベース部23の被係合部23aに係合させるとともに、ねじ固定部24cをねじ固定部23cに嵌合させ、これらにねじ9を締結することで、第2ダクトベース部23に第2ダクトカバー部24が固定される。
【0139】
次いで、カバーユニット52において、下部の第1ダクトカバー部14の係合部14aを第1ダクトベース部13の被係合部13aに係合させるとともに、ねじ固定部14cをねじ固定部13cに嵌合させ、これらにねじ9を締結することで、第1ダクトベース部13に第1ダクトカバー部14が固定される。
【0140】
次いで、上部の第1ダクト11のベース部に第1ダクト11のカバー部を嵌め込むとともに、下部の第1ダクト11のベース部に第1ダクト11のカバー部を嵌め込む。
【0141】
さらに、上部の第1ダクトカバー部14の係合部14aを第1ダクトベース部13の被係合部13aに係合させるとともに、ねじ固定部14cをねじ固定部13cに嵌合させ、これらにねじ9を締結することで、第1ダクトベース部13に第1ダクトカバー部14が固定される。
【0142】
このように本実施形態によれば、第2のダクト部材20の第2ダクト21は、長さが突出部4の幅に応じて調整可能に構成されているので、突出部4の幅が変化しても第2のダクト21の長さを突出部4の幅と容易に同一にすることができる。そのため、段差継手カバーユニット50の施工に際しての使い勝手が一段と良好になる。
【0143】
また、本実施形態によれば、第2のダクト部材20の第2ダクト21は、切り落とし可能な切断ガイド溝53が長さ方向に複数形成されているので、第2のダクト部材20の第2ダクト21の長さを突出部4の幅と略同一にすることができる。そのため、段差継手カバーユニット50の施工に際しての使い勝手が一段と良好になる。
【0144】
さらに、本実施形態によれば、第2ダクトベース部23の側面被係合部58及び底面被係合部59に第2ベース部28の側面係合部54及び底面係合部55を係合させて上部の第2ダクトベース部23に第2ベース部28を位置決めすることにより、突出部4にねじ止めすることができない場合でも、第2ベース部28を介して各部材が固定されているため、施工後に第2ダクト部材20が浮き上がったり、あるいは外れたりすることを未然に防止することができる。
【0145】
なお、本実施形態では、側面係合部54及び底面係合部55がそれぞれ上下3段階にわたって形成される一方、側面被係合部58及び底面被係合部59が上下2段階にわたって形成した例について説明したが、これらの段階数をさらに多く形成すれば、より多くの段階の長さ調整が可能となる。
【0146】
[段差継手カバーユニットの第3実施形態]
図18は、本発明の第3実施形態に係る段差継手カバーユニットの施工状態を示す図で、(a)は分解斜視図、(b)は縦断面図である。
図19は、第3実施形態に係る段差継手カバーユニットの第2のダクト部材を短く設置した施工状態を示す図で、(a)は分解斜視図、(b)は縦断面図である。
【0147】
図18(a),(b)は、上下方向の幅を広くした突出部4に適用した例を示し、
図19(a),(b)は、上下方向の幅を18(a),(b)よりも狭くした突出部4に適用した例を示している。なお、本実施形態では、前記第2実施形態の段差継手カバーユニットと同一又は対応する部分には、同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0148】
本実施形態は、前記第2実施形態の段差継手カバーユニットと異なり、第2ダクト21に切断ガイド溝53を形成することなく、第2ダクト21を含む第2のダクト部材20の長さを調整可能に構成している。
【0149】
図18(a),(b)に示すように、本実施形態の段差継手カバーユニット60は、ベースユニット61と、このベースユニット61に被着されるカバーユニット62を備える。本実施形態のベースユニット61は、第2のダクト部材20の第2ベース部28と、上下の第2ダクトベース部23,23と、これらの第2ダクトベース部23,23の上下端双方に回動可能に連結された連結ベース部31,31と、これらの連結ベース部31,31にそれぞれ回動可能に連結された第1ダクトベース部13,13と、を備える。
【0150】
第2ベース部28と、第2カバー部29は、互いに同一の長さに形成されている。第2ベース部28は、
図18(a),
図19(a)に示すように、長さ方向の両端の側面にそれぞれ側面係合部64が一体に形成されている。すなわち、側面係合部64は、上下2段階にわたって形成されている。
【0151】
第2ベース部28は、突出部4側に面する底面に図示しない底面係合部が一体に形成されている。この底面係合部も、上下2段階にわたって形成されている。これらの底面係合部は、各側面係合部64と第2ベース部28の長さ方向に対して同一の位置に形成されている。
【0152】
また、上下部の第2ダクトベース部23,23には、それぞれ内側の両側面の上下2か所に側面被係合部68が形成されている。すなわち、側面被係合部68は、それぞれ上下2段階にわたって形成されている。
【0153】
同様に、上下部の第2ダクトベース部23,23には、それぞれ内側の底面の上下2か所にそれぞれ底面被係合部69が形成されている。すなわち、底面被係合部69も、上下2段階にわたって形成されている。
【0154】
したがって、本実施形態では、側面係合部64及び底面係合部(図示せず)がそれぞれ上下2段階にわたって形成される一方、側面被係合部68及び底面被係合部69が上下2段階にわたって形成されているので、3段階の長さ調整が可能となる。
【0155】
すなわち、本実施形態では、側面被係合部68及び底面被係合部69の被係合位置に対して、側面係合部64及び底面係合部65の係合位置を変えることにより、第2のダクト部材20を3段階の長さ調整が可能となる。
【0156】
次に、本実施形態の段差継手カバーユニット60の施工例について説明する。
【0157】
まず、ベースユニット61における上下の第2接続ダクト22,22の第2ダクトベース部23,23を突出部4の上部の段差部5における高い面8に配置する。
【0158】
そして、上下部の第2ダクトベース部23の側面被係合部68及び底面被係合部69に第2ベース部28の側面係合部64及び底面係合部を係合させて上下部の第2ダクトベース部23に第2ベース部28を位置決めし、かつ固定する。
【0159】
その後、上部の第1のダクト部材10の第1ダクトベース部13を、ねじを用いて段差部5の低い面6に固定する。そして、ベースユニット51における第1接続ダクト12に第1ダクト11のベース部を差し込む。
【0160】
さらに、ベースユニット61における第1接続ダクト12の第1ダクトベース部13を突出部4の下部の段差部5における低い面6にねじ9により固定する。そして、ベースユニット61における第1ダクトベース部13に第1ダクト11のベース部を差し込む。
【0161】
次いで、上部の第1ダクト11のベース部に第1ダクト11のカバー部を嵌め込むとともに、下部の第1ダクト11のベース部に第1ダクト11のカバー部を嵌め込む。
【0162】
そして、カバーユニット62において、第2ベース部28に第2カバー部29を被着した後、上部の第2ダクトカバー部24の係合部24aを第2ダクトベース部23の被係合部23aに係合させるとともに、ねじ固定部24cをねじ固定部23cに嵌合させ、これらにねじ9を締結することで、上部の第2ダクトベース部23に第2ダクトカバー部24が固定される。同様の施工方法によって下部の第2ダクトベース部23に第2ダクトカバー部24が固定される。
【0163】
次いで、前記第2実施形態と同様の施工方法によって、上部の第1ダクトベース部13に上部の第1ダクトカバー部14が固定されるとともに、下部の第1ダクトベース部13に下部の第1ダクトカバー部14が固定される。
【0164】
図19(a),(b)は、段差継手カバーユニット60の第2のダクト部材20を短くした施工状態を示している。具体的には、第2ベース部28及び第2カバー部29のそれぞれの両端を第2ダクトベース部23及び第2ダクトカバー部24の最も奥側に挿入し、第2のダクト部材20を最も短く形成した場合を示している。
【0165】
なお、その他の構成及び作用、施工方法は、前記第2実施形態の段差継手カバーユニットと略同様であるので、その説明を省略する。
【0166】
このように本実施形態によれば、第2接続ダクト22,22に対する第2ダクト21の上下方向の係合位置を変えることにより、第2ダクト21の長さを調整することができる。これにより、前記第2実施形態の段差継手カバーユニット50のように第2ダクト21を切断ガイド溝から切り落として長さを調整することがなくなる。その結果、第2ダクト21の長さを調整する作業が容易になり、ひいては施工が容易になる。
【0167】
上記各実施形態は本発明の例示であり、本発明が上記各実施形態のみに限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これらの実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0168】
例えば、上述した一実施形態の段差継手カバー及び各実施形態の段差継手カバーユニットは、壁面の上下にそれぞれ段差部を備えた突出部に跨って設置した例について説明したが、これに限定することなく、例えば上下に1つの段差部が形成された壁面についても適用可能である。
【0169】
また、上述した一実施形態の段差継手カバー及び各実施形態の段差継手カバーユニットは、壁面の上下にそれぞれ段差部を備えた突出部を設けた例について説明したが、これに限定することなく、例えば突出部の段差面にさらに突出部を形成したものにも適用可能である。要するに、段差部が形成された壁面であれば、如何なる壁面でも適用可能である。
【0170】
さらに、上述した一実施形態の段差継手カバー及び各実施形態の段差継手カバーユニットは、突出部の上面が平面状に形成された例について説明したが、これにこれに限定することなく、例えば段差継手カバーを複数組み合わせることで、突出部の上面に凹凸が形成されたものにも適用可能である。
【符号の説明】
【0171】
1 段差継手カバー
2 壁面
3 配管
4 突出部
5 段差部
6 低い面
7 屈曲壁
8 高い面
10 第1のダクト部材
11 第1ダクト
12 第1接続ダクト
13 第1ダクトベース部
13a 被係合部
13b ストッパ
13c ねじ固定部
14 第1ダクトカバー部
14a 係合部
14b ストッパ
14c ねじ固定部
15 係合凹部
16 係合凹部
17 開口部
20 第2のダクト部材
21 第2ダクト
22 第2接続ダクト
23 第2ダクトベース部
23a 被係合部
23b ストッパ
23c ねじ固定部
24 第2ダクトカバー部
24a 係合部
24b ストッパ
24c ねじ固定部
25 係合凹部
26 係合凹部
27 開口部
28 第2ベース部
29 第2カバー部
30 連結部材
31 連結ベース部
31a 被係合部
32 連結カバー部
32a 係合部
33 第1ベース回動軸
34 第2ベース回動軸
35 ベースユニット
36 第1カバー回動軸
37 第2カバー回動軸
38 カバーユニット
40 段差継手カバーユニット
41 ベースユニット
42 カバーユニット
50 段差継手カバーユニット
51 ベースユニット
52 カバーユニット
53 切断ガイド溝
54 側面係合部
55 底面係合部
58 側面被係合部
59 底面被係合部
60 段差継手カバーユニット
61 ベースユニット
62 カバーユニット
64 側面係合部
68 側面被係合部
69 底面被係合部