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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054864
(43)【公開日】2023-04-17
(54)【発明の名称】浴槽ユニット
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20230410BHJP
【FI】
A47K3/00 Q
A47K3/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163808
(22)【出願日】2021-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】501362906
【氏名又は名称】積水ホームテクノ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】三谷 恭平
(72)【発明者】
【氏名】小川 純一
(72)【発明者】
【氏名】小野田 博行
【テーマコード(参考)】
2D005
【Fターム(参考)】
2D005BA01
2D005BA02
2D005BB02
2D005BC02
2D005CA01
2D005DA01
(57)【要約】
【課題】浴槽ユニットの自動洗浄機構の洗剤が風呂蓋と浴槽框の間に残留するのを防止し、かつ保温性を確保する。
【解決手段】浴槽10の底部に自動洗浄機構の洗浄ノズル2を設け、浴槽10の上端部に框30を設ける。風呂蓋20の周縁部22を框30と対向するよう設置して、浴槽10を閉じる。風呂蓋20の周縁部22の端縁22eには縁カバー23を設ける。縁カバー23における端縁22eの下側のコーナーに被さる部分は、框30に突き当たる突条23bを構成する。正規の設置位置における風呂蓋20の周縁部22の下面22bと框30の上面部31との間には、浴槽内部と連なるとともに突条23bによって浴槽外部から遮断された隙間40を形成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部に自動洗浄機構の洗浄ノズルが設けられた浴槽と、前記浴槽の上端部に設けられた框と、周縁部が前記框と対向するよう設置されて前記浴槽を閉じる風呂蓋とを備えた浴槽ユニットであって、
前記風呂蓋の前記周縁部の端縁には縁カバーが設けられ、前記縁カバーにおける前記端縁の下側のコーナーに被さる部分が、前記框に突き当たる突条を構成し、
正規の設置位置における前記風呂蓋の周縁部の下面と前記框の上面部との間には、浴槽内部と連なるとともに前記突条によって浴槽外部から遮断された隙間が形成されていることを特徴とする浴槽ユニット。
【請求項2】
前記框の上面部が浴槽内側へ向かって下がる傾斜面を有し、前記隙間が、浴槽内側へ向かって大きくなっていることを特徴とする請求項1に記載の浴槽ユニット。
【請求項3】
前記框の上面部における浴槽内部側の部分での浴槽内側への下がり勾配が、前記上面部における浴槽外部側の部分での浴槽内側への下がり勾配より急であることを特徴とする請求項2に記載の浴槽ユニット。
【請求項4】
前記框の上面部には長手方向の両端から長手方向の一箇所へ向かって下がる一対の傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の浴槽ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽と風呂蓋を含む浴槽ユニットに関し、特に浴槽の底部に自動洗浄機構が設けられた浴槽ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、介護の負担軽減、迅速な入浴準備等のために、自動洗浄機能を付加した浴槽が提案されている(特許文献1等参照)。この種の浴槽の底部には、洗浄ノズルが設けられている。該洗浄ノズルから洗剤が浴槽内に噴射される。続いて、洗浄ノズルからすすぎ湯が噴射されて、洗剤が洗い落とされる。これによって、浴槽が内側面を中心に自動洗浄される。通常、自動洗浄の際は、浴槽に風呂蓋を被せておく。風呂蓋の周縁部は、浴槽の上縁の框に接している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-146746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
浴槽の自動洗浄機構においては、浴槽底部の洗浄ノズルから見て死角となる箇所には洗剤及びすすぎ湯が当たりにくい。死角となる箇所として、框の上面部ないしは風呂蓋の周縁部が挙げられる。浴槽底部の洗浄ノズルから吹き出された洗剤は、例えば風呂蓋の下面に当たり、該下面を伝って周縁部へ流れる。そして、框の上面部と風呂蓋の周縁部との隙間に入り込んで、そこに泡状に留まることで、泡噛みが起きる。(洗剤が前記隙間に直接入り込むこともある。)さらに後から噴射された洗剤が同じように周縁部へ流れ、既に溜まっている洗剤の泡に付着する。その後のすすぎ工程では、洗浄ノズルからのすすぎ湯が風呂蓋の周縁部と框の間には届きにくく、隙間の泡が十分に落ちない。その結果、自動洗浄動作の終了時に泡残りとなる。このため、洗浄後の浴槽に入浴する際、前記の泡が浴槽内の湯に浮遊して、快適性が損なわれ、衛生上も良くなかった。
一方、框と風呂蓋との間の隙間に洗剤が入り込んでも流れ出やすくするために前記隙間を大きくすると、保温性に影響するおそれがある。
本発明は、かかる事情に鑑み、自動洗浄機構の洗剤が風呂蓋と框の間に残留するのを防止でき、かつ保温性を確保できる浴槽ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明は、底部に自動洗浄機構の洗浄ノズルが設けられた浴槽と、前記浴槽の上端部に設けられた框と、周縁部が前記框と対向するよう設置されて前記浴槽を閉じる風呂蓋とを備えた浴槽ユニットであって、
前記風呂蓋の前記周縁部の端縁には縁カバーが設けられ、前記縁カバーにおける前記端縁の下側のコーナーに被さる部分が、前記框に突き当たる突条を構成し、
正規の設置位置における前記風呂蓋の周縁部の下面と前記框の上面部との間には、浴槽内部と連なるとともに前記突条によって浴槽外部から遮断された隙間が形成されていることを特徴とする。
【0006】
正規の設置位置とは、風呂蓋が、浴槽ひいては框に対し、位置ずれ、偏り、傾き等が無く、設計通りに設置されるべき位置を言う。
前記突条の高さを調整して前記隙間を適切な大きさに設定することによって、風呂蓋と框との間に洗剤が入って泡噛みが起きても、その後のすすぎ工程で確実に流出させることができ、泡残りを防止できる。かつ、前記突条によって前記隙間の浴槽外側端部を塞ぐことで、浴槽に溜めた湯の保温性を確保できる。前記突条の突出高さを抑えることで、風呂蓋を浴槽上に安定的に設置でき、保温性を確保できる。
突条の高さを調整する場合、縁カバーだけを取り換えればよく、風呂蓋本体については設計変更の必要が無く、風呂蓋本体製造用の金型を変更する必要はない。したがって、製造コストの増大を抑えることができる。
【0007】
前記框の上面部が浴槽内側へ向かって下がる傾斜面を有し、前記隙間が、浴槽内側へ向かって大きくなっていることが好ましい。
これによって、隙間に入り込んだ洗剤が、傾斜面に沿って浴槽内側へ流出されるようにでき、隙間における泡残りを確実に防止できる。
【0008】
前記框の上面部における浴槽内部側の部分での浴槽内側への下がり勾配が、前記上面部における浴槽外部側の部分での浴槽内側への下がり勾配より急であることが好ましい。
これによって、隙間内の洗剤が、浴槽内側へ向かうにしたがって流出を促進されるようにでき、隙間における泡残りを一層確実に防止できる。
浴槽内側へ向かって下がり勾配が段階的に急になっていてもよく、連続的に急になっていてもよい。
【0009】
前記框の上面部には長手方向の両端から長手方向の一箇所へ向かって下がる一対の傾斜面が形成されていることが好ましい。
これによって、隙間に入り込んだ洗剤が框の長手方向の一箇所へ集まり、そこから浴槽内側へ流れ落ちるようにできる。好ましくは、前記一箇所は、前記框の長手方向の中央部である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、自動洗浄機構の洗剤が風呂蓋と框の間に残留するのを防止でき、かつ保温性を確保できる浴槽ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る浴槽ユニットを、浴槽に風呂蓋を被せた閉塞状態で浴槽の長手方向から見た側面断面図である。
図2図2は、図1の円部IIを拡大して示す、浴槽ユニットの框まわりの断面図である。
図3図3(a)は、自動洗浄の洗剤噴射工程を示す、框まわりの拡大断面図である。図3(b)は、自動洗浄のすすぎ工程を示す、框まわりの拡大断面図である。
図4図4は、本発明の第2実施形態に係る浴槽ユニットの框まわりの断面図である。
図5図5は、本発明の第3実施形態に係る浴槽ユニットの框まわりの断面図である。
図6図6は、本発明の第4実施形態に係る浴槽ユニットの框まわりの断面図である。
図7図7は、本発明の第5実施形態に係る浴槽ユニットを短手方向から見た正面図である。
図8図8は、本発明の第6実施形態に係る浴槽ユニットの框まわりの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
<第1実施形態(図1図3)>
図1に示すように、浴槽ユニット1は、自動洗浄機構付きの浴槽10と、風呂蓋20を備えている。浴槽10は、槽本体11と、框30を有している。槽本体11ひいては浴槽10の底部には、前記自動洗浄機構の洗浄ノズル2が設けられている。槽本体11の上端部の全周に框30が設けられている。
【0013】
框30の上面部31は、傾斜面31aを有している。傾斜面31aは、浴槽内側へ向かって一定の下がり勾配で下がっている。傾斜面31aの勾配は、好ましくは1/1.5~1/20程度である。
框30の浴槽内側を向く側部32は、浴槽本体11の側部よりも浴槽内側(図2において左側)へ突出されている。框30における上面部31と浴槽内側を向く側部32とのコーナー部33の表面は、円弧断面のアール33aになっている。傾斜面31aが、アール33aの上端部と滑らかに連続している。アール33aの下端部が、側部32における浴槽内側面32aと滑らかに連続している。
【0014】
浴槽10に風呂蓋20が被せられることで、浴槽10が閉じられている。風呂蓋20は、風呂蓋本体21と、縁カバー23を備えている。風呂蓋本体21ひいては風呂蓋20は、浴槽10の平面視形状に合わせた四角形の平板状に形成されている。風呂蓋20が、浴槽10の長手方向に二つ以上(複数)に分割されていてもよい。風呂蓋本体21の上下両面には、保温性を高めるための断熱層24,25が設けられている。下側の断熱層25によって、風呂蓋20の下面が構成されている。風呂蓋本体21ひいては風呂蓋20の周縁部22が、框30の上面部31に載せられて支持されている。
ここで、周縁部22は、風呂蓋20が、浴槽10に対して、ずれ無く、正規の設置位置に配置された状態で、框30と対向する部分、ないしは平面投影視で框30と重なる部分を言う。
【0015】
周縁部22の端縁22eには、樹脂製の縁カバー23が設けられている。縁カバー23は、端縁22eに沿って延びている。かつ、縁カバー23は、断面コ字状に形成され、端縁22eの垂直な端面及び上下のコーナーに被さっている。縁カバー23の材質は、好ましくは弾性を有するエラストマーであるが、本発明は、これに限らず、ポリプロピレン等の樹脂であってもよい。縁カバー23の製造方法は押出成形であるが、本発明はこれに限らない。
【0016】
断面コ字状をなす縁カバー23における下側部分は、突条23bを構成している。突条23は、端縁22eの下側のコーナーに被さるとともに、周縁部22の下面22bよりも下へ突出されている。突条23bが、框30の上面部31に突き当たっている。下面22bからの突条23bの突出量H23bは、風呂蓋20の安定設置性及び傾斜面31aの勾配を考慮して、後記連通口43の好適高さ寸法H43が満たされるように設定される。好ましくは、突条23bの突出量は、H23b=1mm以上18mm以下である。
【0017】
風呂蓋20の周縁部22と框30の上面部31との間には、隙間40が形成されている。隙間40は、浴槽内部と連なるとともに浴槽外部から遮断されている。
詳しくは、隙間40は、風呂蓋20の周縁部22の下面22bと、框30の上面部31の傾斜面31aと、突条23bによって画成されている。突条23bが、隙間40の浴槽外部との遮断壁を構成している。突条23bの突出高さ分だけ隙間40の断面積が増している。下面22bは水平をなすのに対して、傾斜面31aは浴槽内側へ向かって下がることによって、隙間40が浴槽内側へ向かって大きくなっている。風呂蓋20の下面22bと、框30のコーナー部33(厳密にはアール33aの下端部)との間が、隙間40の浴槽内部への連通口43となっている。連通口43は、隙間40が浴槽内部と連なる位置に配置されている。
【0018】
風呂蓋20を正規の設置位置に配置した状態において、連通口43の高さ寸法H43(浴槽内部と連なる位置における隙間40の大きさ)は、3mm以上20mm以下である(3mm≦H43≦20mm)。好ましくは、3.5mm≦H43≦18mmである。
【0019】
隙間40の大きさ(H43)を調整する手段としては、突条23の高さH23を調整する方法が挙げられる。突条23の高さH23を大きくすることによって、隙間40の大きさ(H43)を増大できる。この場合、縁カバー23だけを取り換えればよい。風呂蓋本体21については設計変更の必要が無く、風呂蓋本体製造用の金型を変更する必要はない。したがって、製造コストの増大を抑えることができる。
隙間40の大きさ(H43)を調整する別の手段として、上面部31の傾斜勾配を調整する方法が挙げられる(後記第2実施形態から第5実施形態(図4図7)参照)。
【0020】
前記の浴槽ユニット1は、次のように自動洗浄されて入浴に供される。
図1に示すように、自動洗浄に際して、風呂蓋20を浴槽10に被せる。好ましくは、風呂蓋20を、位置ずれ、偏り、傾き等の無い正規の設置位置に配置する。そして、自動洗浄機能の作動によって、洗浄ノズル2から洗剤aを噴射する。該洗剤aが浴槽10の内面及び風呂蓋20の下面に当たることで、浴槽10の内面及び風呂蓋20の下面が洗浄される。
【0021】
図3(a)に示すように、風呂蓋20の下面に当たった洗剤a1の一部は、該下面を伝って周縁部22へ流れ、隙間40に入り込む。これによって、隙間40内に泡状の洗剤a2が溜まる。さらに後から噴射された洗剤が同じように周縁部22へ流れ、隙間40内の泡状洗剤a2に付着する。なお、洗浄ノズル2からの洗剤が直接隙間40に入り込むこともある。このようにして、隙間40への泡噛みが起きる。
【0022】
その後、すすぎ工程によって、洗浄ノズル2(図1)からすすぎ湯が噴射される。すすぎ湯は、浴槽10の内面及び風呂蓋20の下面に当たることで、浴槽10の内面及び風呂蓋20の下面に付いた洗剤を洗い落とす。
【0023】
図3(b)に示すように、風呂蓋20の下面に当たったすすぎ湯w1の一部は、該下面を伝って周縁部22へ流れ、隙間40に入り込む。洗浄ノズル2からのすすぎ湯wが直接隙間40に入り込むこともある。これによって、隙間40内の泡状洗剤a2の流動性が高まり、白抜き矢印線w2に示すように、すすぎ湯と一緒に洗剤a2が傾斜面31aを伝って連通口43から流れ出る。
【0024】
突条23bの突出高さH23bを調整して、隙間40の高さ寸法H43を適切な大きさに設定することによって、洗剤a2を隙間40から確実に流出させることができる。これによって、隙間40における泡残りを確実に防止できる。
突条23bの突出高さH23b分だけ隙間40の大きさを増やすことができ、隙間40から洗剤a2が一層流出され易くできる。
隙間40から流出された洗剤a2は、すすぎ湯によって、浴槽内面の洗剤と一緒に浴槽10の底部の排水口(図示省略)から排出される。
【0025】
すすぎ工程の後、風呂蓋20を閉じたままで、湯張りを行う。
前記突出高さH23b及び高さ寸法H43の設定によって、框30の上面部31が急勾配になりすぎず、上面部31と突条23bとの接地面を確保できるため、風呂蓋20が框30から滑り落ちることなく、風呂蓋20を框30上に安定して配置できる。その結果、風呂蓋20の閉じ状態を良好に維持でき、浴槽に溜めた湯の保温性を確保できる。さらに、突条23bによって隙間40の浴槽外側端部を塞ぐことで、保温性を確実に確保できる。
前述したように、すすぎ工程において隙間40内の洗剤a2を確実に洗い流すことができるから、入浴時には框30から泡が浴槽内の湯に流れ落ちることが無く、快適に入浴できる。
【0026】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において、既述の形態と重複する構成に関しては図面に同一符号を付して説明を省略する。
<第2実施形態(図4)>
図4に示すように、第2実施形態の浴槽ユニット1Bにおいては、框30の上面部31の傾斜面31bの勾配が、図2に示す傾斜面31aよりも急勾配である。これによって、連通口43における隙間40の大きさを確実にH43=3mm~20mm、好ましくはH43=3.5mm~18mmとすることができ、自動洗浄による隙間40内の泡残りを確実に防止できる。一方、突条23bの高さH23bを低く抑えることで、浴槽10上の風呂蓋20の安定設置性を確保でき、ひいては浴槽内の湯の保温性を確保できる。
【0027】
<第3実施形態(図5)>
図5に示すように、第3実施形態の浴槽ユニット1Cにおいては、框30の上面部31の傾斜が浴槽内部へ向かって連続的に大きくなっている。詳しくは、框30の上面部31が、全体的に円弧状断面の傾斜面31cとなっている。円弧状傾斜面31cは、框30の外端部ないしは正規設置位置の風呂蓋20の突条23bとの接触部の辺りから浴槽内側へ向かって下がるとともに、その勾配が、浴槽内側へ向かうにしたがって連続的に大きくなっている。連通口43(隙間40が浴槽内部と連なる位置)において、円弧状傾斜面31cが浴槽本体11の内面11aと滑らかに連続している。
【0028】
浴槽ユニット1Cによれば、隙間40内の洗剤が連通口43に近づくにしたがって、より流れ落ち易くなり、洗剤を浴槽内へスムーズに流出させることができる。
また、突条23bの高さH23bを低く抑えるとともに、円弧状傾斜面31cの勾配が緩やかな外端寄り部分に突条23bを載置することによって、風呂蓋20の安定設置性を確保でき、保温性を確保できる。
【0029】
<第4実施形態(図6)>
図6に示すように、第4実施形態の浴槽ユニット1Dにおいては、框30の上面部31の傾斜が浴槽内部へ向かって段階的に大きくなっている。詳しくは、框30の上面部31が、緩勾配の傾斜面31dと、急勾配の傾斜面31eを有している。緩勾配傾斜面31dは、框30の内外方向(図6において左右)の中間部より浴槽外側部分(図6において右側部分)に配置されている。框30の前記中間部において、両傾斜面31d,31eどうしが交わり、稜線31fが形成されている。稜線31fはR面取りされていてもよい。急勾配傾斜面31eは、緩勾配傾斜面31dより勾配が急であり、框30の前記中間部より浴槽内側部分(図6において左側部分)に配置されている。急勾配傾斜面31eが、コーナー部33のアール部33aを介して浴槽本体11の内面11aに連なっている。
【0030】
浴槽ユニット1Dによれば、隙間40の急勾配傾斜面31e上の洗剤を浴槽内へスムーズに流出させることができる。緩勾配傾斜面31d上の洗剤は、急勾配傾斜面31eまで流れ落ちたとき、スムーズに流出させることができる。
一方、突条23bの高さH23bを低く抑えるとともに、突条23bを緩勾配傾斜面31d上に載置することによって、風呂蓋20の安定設置性を確保でき、保温性を確保できる。
【0031】
<第5実施形態(図7)>
図7に示すように、第5実施形態の浴槽ユニット1Eにおいては、浴槽10の長手側の框30Lの上面部31が、浴槽内側(図7において紙面手前側)へ向かって下がるだけでなく、長手方向(図7において左右)の両端から中央部30c(長手方向の一箇所)へ向かって下がる一対の傾斜面31gを有している。このため、中央部30cに近いほど、傾斜面31gの浴槽内側への下がり勾配が急になっている。隙間40は、中央部30cへ向かうにしたがって大きくなっている。
【0032】
浴槽ユニット1Eによれば、隙間40に入った洗剤は、傾斜面31gに沿って中央部30cへ向けて流れ、中央部30cの辺りから浴槽内へ流れ落ちるようにできる。
なお、一対の傾斜面31gが合流する箇所は、框30Lの長手方向の中央部30cから一端側へずれて配置されていてもよい。
浴槽10の短手側の框30Sの上面部についても、長手側の框30Lと同様に、両端から中央部30cへ向かって下がり勾配を付けてもよい。
傾斜面31gが、中央部30c(長手方向の一箇所)へ向かってだけ勾配が付けられ、浴槽内側と浴槽外側を結ぶ方向へは勾配が付けられていなくてもよい。
【0033】
<第6実施形態(図8)>
図8に示すように、第6実施形態の浴槽ユニット1Fにおいては、風呂蓋20に堰き止め板26が設けられている。堰き止め板26は、風呂蓋20の周縁部近くの部分から垂下されるとともに、風呂蓋20の周縁部22に沿って延びている。風呂蓋30を正規設置位置に配置して浴槽10を閉じた状態では、堰き止め板26が、框30の浴槽内側面32aと近接して対向している。堰き止め板26が浴槽内側面32aと接していてもよい。これによって、隙間40の連通口43が堰き止め板26によって塞がれている。このため、自動洗浄の洗剤が、隙間40に入り込むのを防止することができる。
なお、図8における框30の断面形状は、第1実施形態(図2)のものと同じであるが、これに限らず、他の実施形態の框を適用してもよい。
【0034】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内において種々の改変をなすことができる。
例えば、風呂蓋20の周縁部22と框30の上面部31との間に隙間40が形成されていて、その隙間40の浴槽内側への連通位置43での大きさが3mm≦H43≦20mmであれば、上面部31がほぼフラットであってもよい。
【実施例0035】
実施例を説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されない。
実施例1では、図2と同様の断面形状の框30を有する浴槽10及び風呂蓋20を含む浴槽ユニット1を作製した。
縁カバー23は、エラストマー樹脂の押出成形によって作製した。
浴槽10は、ABS樹脂の押出成形によって作製した。
傾斜面31aの勾配は、約1/20であった。
風呂蓋20を浴槽10上の正規設置位置に載置した。隙間40の大きさは、H43=3mmであった。
自動洗浄機能による洗剤噴射及びすすぎを行ない、その後、さらに湯張りを行なった。出湯温度は、41℃であった。
【0036】
<評価>
湯張り完了後、隙間40に残留している泡、又はそこから浴槽内に滑り落ちて湯の上に浮遊している泡の有無を目視で確認した。また、湯張り完了時から95分経過後の湯温を測定し、出湯温度に対する温度低下が1℃未満か否かで保温性を評価した。
表1に示す通り、泡残留は無く、保温性も良好であった。
なお、表1の「泡残留」の欄において、泡残留無しは「○」、泡残留有りは「×」にて示す。また、「保温性」の欄において湯温低下1℃未満は「○」、1℃以上は「×」にて示す。
【実施例0037】
実施例2では、実施例1よりも突条23bの突出高さを0.5mm高くし、隙間40の大きさをH43=3.5mmとした。
それ以外の浴槽ユニットの構成、試験方法、評価方法は実施例1と同じであった。
結果は表1に示す通り、泡残留は無く、保温性も良好であった。
【実施例0038】
実施例3では、実施例1よりも突条23bの突出高さを1mm高くし、隙間40の大きさをH43=4mmとした。
それ以外の浴槽ユニットの構成、試験方法、評価方法は実施例1と同じであった。
結果は表1に示す通り、泡残留は無く、保温性も良好であった。
【実施例0039】
実施例4では、実施例1よりも突条23bの突出高さを1.5mm高くし、隙間40の大きさをH43=4.5mmとした。
それ以外の浴槽ユニットの構成、試験方法、評価方法は実施例1と同じであった。
結果は表1に示す通り、泡残留は無く、保温性も良好であった。
【実施例0040】
実施例5では、実施例1よりも突条23bの突出高さを2mm高くし、隙間40の大きさをH43=5mmとした。
それ以外の浴槽ユニットの構成、試験方法、評価方法は実施例1と同じであった。
結果は表1に示す通り、泡残留は無く、保温性も良好であった。
【0041】
【表1】
【実施例0042】
実施例6では、実施例1よりも突条23bの突出高さを2.5mm高くし、隙間40の大きさをH43=5.5mmとした。
それ以外の浴槽ユニットの構成、試験方法、評価方法は実施例1と同じであった。
結果は表2に示す通り、泡残留は無く、保温性も良好であった。
【実施例0043】
実施例7では、実施例1よりも突条23bの突出高さを5mm高くし、隙間40の大きさをH43=8mmとした。
それ以外の浴槽ユニットの構成、試験方法、評価方法は実施例1と同じであった。
結果は表2に示す通り、泡残留は無く、保温性も良好であった。
【実施例0044】
実施例8では、実施例1よりも突条23bの突出高さを12mm高くし、隙間40の大きさをH43=15mmとした。
それ以外の浴槽ユニットの構成、試験方法、評価方法は実施例1と同じであった。
結果は表2に示す通り、泡残留は無く、保温性も良好であった。
【0045】
[参考実施例1]
参考実施例1では、実施例1よりも突条23bの突出高さを1mm低くし、隙間40の大きさをH43=2mmとした。
それ以外の浴槽ユニットの構成、試験方法、評価方法は実施例1と同じであった。
結果は表2に示す通り、浴槽に溜めた湯中に泡が確認された。隙間40が狭いためにすすぎ工程で泡を洗い流しにくかったと考えられる。
保温性は良好であった。
【0046】
[参考実施例2]
参考実施例2では、実施例1よりも突条23bの突出高さを18mm高くし、隙間40の大きさをH43=21mmとした。
それ以外の浴槽ユニットの構成、試験方法、評価方法は実施例1と同じであった。
結果は表2に示す通り、泡残留は無かった。しかし、風呂蓋が安定せず、自動洗浄時に洗浄水の水圧で風呂蓋が正規設置位置からずれて、浴槽の一部が開いてしまい、保温性を確保できなかった。
【0047】
【表2】
【実施例0048】
実施例9では、図4において傾斜面31bの勾配を緩やかにした断面形状の框30を有する浴槽10及び風呂蓋20を含む浴槽ユニット1Bを作製した。
風呂蓋20を浴槽10上の正規設置位置に載置した。隙間40の大きさは、H43=3.5mmであった。
試験方法、評価方法は実施例1と同じであった。
結果は表3に示す通り、泡残留は無く、保温性も良好であった。
【実施例0049】
実施例10では、図4において傾斜面31bの勾配を緩やかにし、かつ実施例9よりも少し急勾配にして、隙間40の大きさをH43=5mmとした。
それ以外の浴槽ユニットの構成、試験方法、評価方法は実施例9と同じであった。
結果は表3に示す通り、泡残留は無く、保温性も良好であった。
【実施例0050】
実施例11では、図4と同様の断面形状の框30を有する浴槽10及び風呂蓋20を含む浴槽ユニット1Bを作製した。
傾斜面31bの勾配は、約1/5であった。
隙間40の大きさはH43=10mmであった。
それ以外の浴槽ユニットの構成、試験方法、評価方法は実施例9と同じであった。
結果は表3に示す通り、泡残留は無く、保温性も良好であった。
【実施例0051】
実施例12では、実施例11よりも傾斜面31bの勾配を急にして、隙間40の大きさをH43=15mmとした。
それ以外の浴槽ユニットの構成、試験方法、評価方法は実施例9と同じであった。
結果は表3に示す通り、泡残留は無く、保温性も良好であった。
【0052】
【表3】
【実施例0053】
実施例13では、傾斜面31bの勾配を、実施例12よりも急にして、約1/1.5とした。
隙間40の大きさはH43=20mmとした。
それ以外の浴槽ユニットの構成、試験方法、評価方法は実施例9と同じであった。
結果は表4に示す通り、泡残留は無く、保温性も良好であった。
【0054】
[参考実施例3]
参考実施例3では、実施例9よりも傾斜面31bの勾配を緩やかにして、隙間40の大きさをH43=2mmとした。
それ以外の浴槽ユニットの構成、試験方法、評価方法は実施例9と同じであった。
結果は表4に示す通り、浴槽に溜めた湯中に泡が確認された。隙間40が狭いためにすすぎ工程で泡を洗い流しにくかったと考えられる。
保温性は良好であった。
【0055】
[参考実施例4]
参考実施例4では、実施例13よりも傾斜面31bの勾配を急にして、隙間40の大きさをH43=21mmとした。
それ以外の浴槽ユニットの構成、試験方法、評価方法は実施例9と同じであった。
結果は表4に示す通り、泡残留は無かった。しかし、傾斜面31bが急勾配であるために、自動洗浄中に洗浄水の水圧で浴槽内に風呂蓋が落下し、湯張り後の浴槽の温度を良好に保つことができなかった。
【0056】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、例えば浴槽及び風呂蓋を含む浴槽ユニットに適用できる。
【符号の説明】
【0058】
a2 隙間内の泡状洗剤
1 浴槽ユニット
2 洗浄ノズル
10 浴槽
11 槽本体
20 風呂蓋
21 風呂蓋本体
22 周縁部
22e 端縁
22b 下面
23 縁カバー
23b 突条(遮断壁)
25 断熱層
30 框
30c 長手方向の中央部
31 上面部
31a 傾斜面
31b 急勾配傾斜面
31c 円弧状傾斜面
31d 緩勾配傾斜面
31e 急勾配傾斜面
31g 傾斜面
32 浴槽内側を向く側部
33 コーナー部
40 隙間
43 連通口(浴槽内部と連なる位置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8