(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054887
(43)【公開日】2023-04-17
(54)【発明の名称】積層半導体パッケージ
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20230410BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20230410BHJP
H01L 21/98 20060101ALI20230410BHJP
G06F 21/55 20130101ALI20230410BHJP
G06F 21/75 20130101ALI20230410BHJP
【FI】
H01L25/08 Y
H01L27/04 H
H01L21/98
G06F21/55 380
G06F21/75
H01L25/08 C
H01L25/08 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163849
(22)【出願日】2021-10-05
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)第2期/IoT社会に対応したサイバー・フィジカル・セキュリティ」委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】518082091
【氏名又は名称】株式会社SCU
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】永田 真
(72)【発明者】
【氏名】三木 拓司
【テーマコード(参考)】
5F038
【Fターム(参考)】
5F038BH01
5F038BH11
5F038BH20
(57)【要約】
【課題】複数のICチップを基板に実装するマルチチップ実装を行う場合に、セキュリティ攻撃に対処することができる積層半導体パッケージを提供すること。
【解決手段】第1の面に埋込配線導体を設けたセキュリティチップ1に機能チップ2及び3をフリップチップ実装し、該セキュリティチップ1を樹脂インターポーザ4にフリップ実装し、さらに、機能チップ2、機能チップ3及びセキュリティチップ1が実装された樹脂インターポーザを、プリント基板に実装する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の電子回路が形成される第1の半導体基板の電子回路面をプリント基板に向けて実装した半導体装置であって、
所定の埋込配線導体により形成される複数の第1のIOパッド導体を前記第1の半導体基板の電子回路面と接合される第1の面に形成し、表面配線導体により形成された複数の第2のIOパッド導体を前記第1の面の裏面となる第2の面に形成した第2の半導体基板と、
前記第2のIOパッド導体を前記第2の半導体基板の第2の面と接合される第3の面に形成し、前記第2のIOパッド導体を前記プリント基板と接合される第4の面に形成した回路基板と
を有することを特徴とする積層半導体パッケージ。
【請求項2】
前記第1の半導体基板と前記第2の半導体基板とを接合する第1の接合部は、Cu-Cu接合により接合されることを特徴とする請求項1に記載の積層半導体パッケージ。
【請求項3】
前記第2の半導体基板と前記回路基板とを接合する第2の接合部と、前記回路基板と前記プリント基板とを接合する第3の接合部は、半田バンプにより接合されることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層半導体パッケージ。
【請求項4】
所定の電子回路が形成される第1の面を有し、所定の埋込配線導体により形成される複数の第1のIOパッド導体を前記第1の面の裏面となる第2の面に形成した第1の半導体基板と、
所定の電子回路が形成される電子回路面を有し、所定の表面配線導体により形成された複数の第2のIOパッド導体を前記第2の面に接合する第2の半導体基板と、
前記第2のIOパッド導体を前記第1の半導体基板の第2の面と接合される第3の面に形成し、前記第2のIOパッド導体を所定のプリント基板と接合される第4の面に形成した回路基板と
を有することを特徴とする積層半導体パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のICチップを基板に実装するマルチチップ実装を行う場合に、セキュリティ攻撃に対処することができる積層半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のIC(Integrated Circuit)チップを1つのパッケージに実装するマルチチップ実装が知られている。かかるマルチチップ実装では、ICチップ間を接続する電気信号の配線及びICチップに電源を供給する電源供給配線がICチップの外側に露出することがある。このため、セキュリティチップなどの接続経路に対する外部からの攻撃が可能になる場合がある。
【0003】
このため、かかるセキュリティチップなどへの攻撃を防ぐ従来技術が知られている。例えば、特許文献1には、ICチップの裏面半導体基板を介したノイズ観測やフォルト注入等のセキュリティ攻撃を防ぎ、かつ、裏側からの物理攻撃すなわち暴露攻撃を検知する裏面埋込配線構造の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のものは、ICチップの電子回路面を配線基板に実装するフリップチップ実装を行う場合に、裏面が露出してしまうという問題がある。このため、例えば裏面の配線に対してバイパス回路を設けるバイパス攻撃、側面へのプローブの接近による攻撃等の高度な攻撃に対処できない可能性が生ずる。
【0006】
本発明は、上記従来技術による問題点(課題)を解決するためになされたものであって、複数のICチップを基板に実装するマルチチップ実装を行う場合に、セキュリティ攻撃に対処することができる積層半導体パッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、所定の電子回路が形成される第1の半導体基板の電子回路面をプリント基板に向けて実装した半導体装置であって、所定の埋込配線導体により形成される複数の第1のIOパッド導体を前記第1の半導体基板の電子回路面と接合される第1の面に形成し、表面配線導体により形成された複数の第2のIOパッド導体を前記第1の面の裏面となる第2の面に形成した第2の半導体基板と、前記第2のIOパッド導体を前記第2の半導体基板の第2の面と接合される第3の面に形成し、前記第2のIOパッド導体を前記プリント基板と接合される第4の面に形成した回路基板とを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記第1の半導体基板と前記第2の半導体基板とを接合する第1の接合部は、Cu-Cu接合により接合されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記第2の半導体基板と前記回路基板とを接合する第2の接合部と、前記回路基板と前記プリント基板とを接合する第3の接合部は、半田バンプにより接合されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、所定の電子回路が形成される第1の面を有し、所定の埋込配線導体により形成される複数の第1のIOパッド導体を前記第1の面の裏面となる第2の面に形成した第1の半導体基板と、所定の電子回路が形成される電子回路面を有し、所定の表面配線導体により形成された複数の第2のIOパッド導体を前記第2の面に接合する第2の半導体基板と、前記第2のIOパッド導体を前記第1の半導体基板の第2の面と接合される第3の面に形成し、前記第2のIOパッド導体を所定のプリント基板と接合される第4の面に形成した回路基板とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数のICチップを基板に実装するマルチチップ実装を行う場合に、セキュリティ攻撃に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る積層半導体パッケージの構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のA-A線における積層半導体パッケージの断面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示した機能チップの第1の面を示す図である。
【
図4】
図4は、
図2に示したセキュリティチップの第1の面及び第2の面を示す図である。
【
図5】
図5は、
図2に示した機能チップ2及び3とセキュリティチップ1の結合に用いたCu-Cu接合を説明する説明図である。
【
図6】
図6は、実施形態2に係る積層半導体パッケージの構成を示す断面図である。
【
図7】
図7は、埋込配線導体を有する半導体チップの製造方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る積層半導体パッケージの各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
[実施形態1]
まず、本実施形態1に係る積層半導体パッケージの概要について説明する。本実施形態1では、セキュリティチップ1の電子回路が形成される面の裏面に配置されたIOパット導体に、機能チップ2及び機能チップ3を実装することにより、セキュリティ攻撃に対処できる積層半導体パッケージについて説明する。
【0015】
<積層半導体パッケージの概要>
図1は、実施形態1に係る積層半導体パッケージの構成を示す斜視図である。
図1に示す積層半導体パッケージは、セキュリティチップ1、機能チップ2、機能チップ3、樹脂インターポーザ4、プリント基板5及び配線導体6を備える。セキュリティチップ1、機能チップ2、機能チップ3及び樹脂インターポーザ4は、
図1のXY面と並行な2つの面を有する。
【0016】
セキュリティチップ1は、半導体基板の第1の面に埋込配線導体11aにより形成されるIOパッド導体15a(図示しない)が形成され、第1の面の裏面になる第2の面に電子回路が形成されている。埋込配線導体11aについての説明は後述する。機能チップ2及び3は、ある機能を電子回路で実現したICチップである。
【0017】
機能チップ2及び3は、機能チップ2及び3の電子回路面14に表面配線導体により形成されている図示していない複数のIOパッド導体15cを介してセキュリティチップ1の第1の面にフリップチップ実装されている。かかるフリップチップ実装とは、半導体をチップに切り出したベアチップを、フリップ(反転)して実装する実装技術である。
【0018】
樹脂インターポーザ4は、ICチップの微細な間隔で配置された複数のIOパッド導体をプリント基板に実装できる間隔に広げるために用いられる基板である。プリント基板5は、複数の半導体パッケージ間の接続や外部から電源電圧を印加するための基板であり、樹脂又はセラミックにより構成される。配線導体6は、ICチップへの電源電圧の供給及び信号の伝達をするための配線である。
【0019】
機能チップ2及び3をフリップチップ実装されたセキュリティチップ1は、樹脂インターポーザ4にフリップ実装される。そして、機能チップ2、機能チップ3及びセキュリティチップ1がフリップチップ実装された樹脂インターポーザ4は、プリント基板5に実装されている。
【0020】
<積層半導体パッケージの構成>
次に、本実施形態1に係る積層半導体パッケージの構成を説明する。
図2は、
図1のA-A線における積層半導体パッケージの断面図である。
図2に示すように、積層半導体パッケージは、セキュリティチップ1、機能チップ2、機能チップ3、樹脂インターポーザ4及びプリント基板5を備える。
【0021】
セキュリティチップ1は、半導体基板の第1の面に埋込配線導体11aにより形成されたIOパッド導体15b(図示せず)が形成され、第1の面の裏面となる第2の面(電子回路面14)に電子回路及び表面配線導体により形成された複数のIOパッド導体15aが形成されている。埋込配線導体11aは、セキュリティチップ1にエッチングにより溝を掘り、その溝に金属を埋め込んで配線としており、少なくとも1つのビア導体11bを介して第1の面の電子回路に接続されている。
【0022】
また、セキュリティチップ1の第1の面に埋込配線導体11aにより受動回路を形成してもよい。セキュリティチップ1の第2の面に形成される電子回路は、CMOSプロセス技術又は他のプロセス技術により形成できる回路であり、トランジスタ、ダイオード、キャパシタ、抵抗、インダクタなどの複数の回路素子を含む。セキュリティチップ1の電子回路としては、パッケージ内のデータバスに流れる信号の暗号化を行うために、例えば、セキュアプロセッサ、暗号アクセラレータ及び乱数発生回路等が形成されている。
【0023】
機能チップ2及び3は、半導体基板の電子回路面14に電子回路及び表面配線導体により形成された複数のIOパッド導体15cが形成されている。機能チップ2及び3は、例えば、電子回路としてアプリケーションプロセッサ及びメモリやAIプロセッサ及びセンサ等が形成されている。
【0024】
樹脂インターポーザ4は、表面配線導体により形成された複数のIOパッド導体15dがセキュリティチップ1の第2の面が接合される第3の面に形成されており、表面配線導体により形成された複数のIOパッド導体15eがプリント基板5に接合される第4の面に形成されている。プリント基板5は、樹脂インターポーザ4が実装される面に表面配線導体により形成された複数のIOパッド導体15fを有する。
【0025】
機能チップ2及び3は、機能チップ2及び3の電子回路面14に表面配線導体により形成された複数のIOパッド導体15cと、セキュリティチップ1の第1の面の埋込配線導体11aにより形成された複数のIOパッド導体15b(図示せず)とが電気的に接続されるようにCu-Cu接合を用いてフリップチップ実装されている。Cu-Cu接合については、後述する。
【0026】
機能チップ2及び3がフリップ実装されたセキュリティチップ1は、セキュリティチップ1の第2の面に表面配線導体により形成された複数のIOパッド導体15aと、樹脂インターポーザ4に表面配線導体により形成された複数のIOパッド導体15dが電気的に接続されるように半田バンプ12aを用いてフリップチップ実装される。なお、樹脂インターポーザ4は、すでに説明したので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0027】
機能チップ2、機能チップ3及びセキュリティチップ1が実装された樹脂インターポーザ4は、樹脂インターポーザ4に表面配線導体により形成された複数のIOパッド導体15eと、プリント基板5に表面配線導体により形成された複数のIOパッド導体15fが電気的に接続されるように半田バンプ12bを用いてプリント基板5に実装され、積層半導体パッケージを構成する。なお、プリント基板5は、すでに説明したので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0028】
<機能チップの機能回路例>
次に、機能チップ2及び3の機能回路例について説明する。
図3は、
図2に示した機能チップの電子回路面を示す図である。
図3(a)に示すように、機能チップ2は、アプリケーションプロセッサ21、メモリ22、セキュアデータバス23及び表面配線導体により形成された複数のIOパッド導体15cを備える。アプリケーションプロセッサ21は、CPUコア、メディア処理、システム管理、電源管理及びメモリ制御等の機能が実装されている。
【0029】
メモリ22は、アプリケーションプロセッサ21を動作させるためのオペレーティングシステム、アプリケーションプログラム等が記憶されている。セキュアデータバス23は、機能チップ3及びセキュリティチップ1とデータ等を送受信するためのデータバスであり、セキュリティを確保するために暗号化されたデータが送受信される。IOパッド導体15cは、機能チップ2に外部から電源電圧を印加するためのパッド導体及びセキュアデータバスのデータを入出力するためのパッド導体である。
【0030】
また、
図3(b)に示すように、機能チップ3は、AIプロセッサ24、センサ25、セキュアデータバス23及び表面配線導体により形成された複数のIOパッド導体15cを備える。AIプロセッサ24は、例えば、画像認識において使用されるCNN(Convolutional Neural Network)推論機能を持つプロセッサである。センサ25は、AIプロセッサ24に入力するデータを収集するセンサ機能である。セキュアデータバス23及びIOパッド導体15cは、すでに説明したので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0031】
<セキュリティチップの機能回路例>
次に、セキュリティチップ1の機能回路例について説明する。
図4は、
図2に示したセキュリティチップ1の第1の面及び第2の面を示す図である。
図4(a)に示すように、セキュリティチップ1の第1の面は、機能チップ2及び3を実装するための埋込配線導体11aにより形成された複数のIOパッド導体15bを備えている。なお、セキュリティチップ1の第1の面に、埋込配線導体11aによりミアンダ配線等の受動回路を形成してもよい。
【0032】
また、
図4(b)に示すように、セキュリティチップ1の第2の面は、攻撃検知回路26、暗号アクセラレータ27、セキュアプロセッサ&メモリ28、乱数発生回路29、クロック発生回路30、電源回路31、電源配線32、グランド配線33、セキュアデータバス23及び表面配線導体により形成された複数のIOパッド導体15aを備える。
【0033】
攻撃検知回路26は、ICチップの外部からのプローブを接近させることによる内部信号読取り等の攻撃を検知するための回路である。暗号アクセラレータ27は、処理の重い暗号化及び復号の処理を専用に行う回路である。セキュアプロセッサ&メモリ28は、暗号化及び復号を行うセキュリティチップ1全体の制御を行うプロセッサであり、メモリ内にプログラムが記憶されている。
【0034】
乱数発生回路29は、暗号化及び復号に必要な乱数を発生させる回路である。クロック発生回路30は、セキュリティチップ1の内部のデジタル回路を動作させるクロックを発生させる回路である。電源回路31は、セキュリティチップ1の内部のデジタル回路に電源を供給する回路であり、電源配線32及びグランド配線33により各デジタル回路に電源を供給している。IOパッド導体15aは、セキュリティチップ1に外部から電源電圧を印加するためのパッド導体及びセキュアデータバスのデータを入出力するためのパッド導体である。なお、セキュアデータバス23については、すでに説明したので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0035】
<Cu-Cu接合>
次に、セキュリティチップ1と機能チップ2及び機能チップ3を実装する場合に使用するCu-Cu接合について説明する。
図5は、
図2に示した機能チップ2及び3とセキュリティチップ1の結合に用いたCu-Cu接合を説明する説明図である。
図5に示すように、IOパッド導体15cは、機能チップ3の電子回路面14に形成されており、電子回路と接続されている。また、埋込配線導体11aは、セキュリティチップ1の第1の面に形成されており、少なくとも1つのビア導体11bを介してセキュリティチップ1の第2の面(電子回路面14)に形成されている電子回路と接続されている。
【0036】
複数のIOパッド導体15c及び埋込配線導体11aは、材料としてCu(銅)で形成されており、CuとCuとの表面活性化接合を用いることにより常温での接合が可能である。表面活性化接合を用いたCu-Cu接合では、液相を利用しないため、IOパッド導体の狭ピッチ化に有利である。
【0037】
上述してきたように、本実施形態1では、第1の面に埋込配線導体を設けたセキュリティチップ1に機能チップ2及び3をフリップチップ実装し、該セキュリティチップ1を樹脂インターポーザ4にフリップ実装し、さらに、機能チップ2、機能チップ3及びセキュリティチップ1が実装された樹脂インターポーザを、プリント基板に実装するように構成したので、電源供給や信号伝送のための配線導体が露出せず、外部からのセキュリティ攻撃に対処することができる。
【0038】
[実施形態2]
ところで、上記実施形態1では、セキュリティチップ1のサイドチャネル攻撃を防ぐことができない。そこで、本実施形態2では、埋込配線導体を有する機能チップの電子回路が形成される電子回路面14の裏面となる第2の面にセキュリティチップを実装することにより、機能チップの第2の面にセキュリティチップを隠蔽した構造の積層半導体パッケージについて説明する。
【0039】
本実施形態2に係る積層半導体パッケージの構造について説明する。
図6は、実施形態2に係る積層半導体パッケージの構成を示す断面図である。
図6に示すように、積層半導体パッケージは、機能チップ7、セキュリティチップ8、樹脂インターポーザ4及びプリント基板5を備える。
【0040】
機能チップ7は、半導体基板の第1の面(電子回路面14)に電子回路が形成され、第1の裏面となる第2の面に複数のIOパッド導体15gが埋込配線導体11aにより形成されている。また、埋込配線導体11aは、少なくとも1つのビア導体11bを介して第1の面の電子回路に接続されている。セキュリティチップ8は、半導体基板の電子回路面14に電子回路が形成され、電子回路面14に表面配線導体により図示されていない複数のIOパッド導体15hが形成されている。セキュリティチップ8の電子回路としては、セキュリティチップ1と同様に、例えば、セキュアプロセッサ、暗号アクセラレータ及び乱数発生回路等が形成されている。
【0041】
セキュリティチップ8は、機能チップ7の第2の面の埋込配線導体11aにより形成された複数のIOパッド導体15gの一部と、セキュリティチップ8の電子回路面14に表面配線導体により形成された図示されていない複数のIOパッド導体15hとが電気的に接続されるようにCu-Cu接合により実装されている。
【0042】
セキュリティチップ8が実装された機能チップ7は、機能チップ7の第2の面の埋込配線導体11aにより形成された複数のIOパッド導体15gの一部と、樹脂インターポーザ4に表面配線導体により形成された複数のIOパッド導体15dとが電気的に接続されるように半田バンプ12aにより実装されている。さらに該樹脂インターポーザ4は、樹脂インターポーザ4に表面配線導体により形成された複数のIOパッド導体15eと、プリント基板5に表面配線導体により形成された複数のIOパッド導体15fとが電気的に接続されるように半田バンプ12bによりプリント基板5に実装されている。
【0043】
<埋込配線導体を有する半導体チップの製造>
次に、セキュリティチップ1及び機能チップ7の埋込配線導体11aを有する半導体チップを安価に製造する方法について簡単に説明する。
図7は、埋込配線導体を有する半導体チップの製造方法の一例を示す図である。
図7(a)に示すように、第1の半導体基板9aにエッチングにより溝を掘り、その溝に金属を埋め込んで埋込配線導体11aを形成する。そして、
図7(b)に示すように、第2の半導体基板9bの第1の面に電子回路を形成し、第2の半導体基板9bの第2の面からエッチングにより穴を掘り、その穴に金属を埋め込んでビア導体11bを形成する。
【0044】
そして、
図7(c)に示すように、第1の半導体基板9aに形成された埋込配線導体11aと第2の半導体基板9bの第2の面に形成されたビア導体11bとが電気的に接続されるように第1の半導体基板9aと第2の半導体基板9bを貼り合わせる。
【0045】
その後、
図7(d)に示すように、第1の半導体基板9aの埋込配線導体11aが形成されていない面の半導体基板をエッチングし、埋込配線導体11aを露出させて、埋込配線導体を有する半導体チップ10を製造する。
【0046】
このように、半導体チップを製造することにより、埋込配線導体11aを有する半導体チップ10を安価に製造することができる。
【0047】
上述してきたように、本実施形態2では、半導体基板の第1の面に電子回路が形成され、第2の面に埋込配線導体11aを用いたIOパッド導体15gが形成された機能チップ7の第2の面に、半導体基板の第1の面にセキュリティ関連の機能を電子回路によって実現したセキュリティチップ8をCu-Cu接合を用いて実装し、半田バンプ12aにより該機能チップ7を樹脂インターポーザ4に実装し、さらに別の半田バンプ12bにより該樹脂インターポーザ4をプリント基板5に実装するように構成したので、セキュリティチップ8が機能チップ7の背面に隠蔽されることにより、セキュリティ攻撃に対処することができる。
【0048】
上記の各実施形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係る積層半導体パッケージは、複数のICチップを基板に実装するマルチチップ実装を行う場合に、セキュリティ攻撃に対処する場合に適している。
【符号の説明】
【0050】
1、8 セキュリティチップ
2、3、7 機能チップ
4 樹脂インターポーザ
5 プリント基板
6 配線導体
9a、9b 半導体基板
10 埋込配線導体を有する半導体チップ
11a 埋込配線導体
11b ビア導体
12a、12b 半田バンプ
14 電子回路面
15a、15b、15c、15d IOパッド導体
15e、15f、15g、15h IOパッド導体
21 アプリケーションプロセッサ
22 メモリ
23 セキュアデータバス
24 AIプロセッサ
25 センサ
26 攻撃検知回路
27 暗号アクセラレータ
28 セキュアプロセッサ&メモリ
29 乱数発生回路
30 クロック発生回路
31 電源回路
32 電源配線
33 グランド配線