(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054911
(43)【公開日】2023-04-17
(54)【発明の名称】物干し竿支持具
(51)【国際特許分類】
D06F 57/12 20060101AFI20230410BHJP
F16B 45/00 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
D06F57/12 K
F16B45/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163897
(22)【出願日】2021-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】593099104
【氏名又は名称】タカラ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 啓一
【テーマコード(参考)】
3J038
【Fターム(参考)】
3J038BB03
3J038BB07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】取付面にピンで固定される物干し竿支持具において、取付面へのピンによる固定強度を高めることを可能にする。
【解決手段】物干し竿支持具は、ベース部1と、支持部と、を備える。ベース部1には、正面10aから背面10bへ貫通するピン孔が設けられており、ベース部1は、当該ピン孔への正面側からのピンGの挿入によって取付面に固定される。支持部は、ベース部1に連結され、物干し竿の端部を支持する。そして、上記ピン孔には、取付面に対して左斜め方向からピンGが刺さるように当該ピンGの挿入方向を規定する第1ピン孔11Aと、取付面に対して右斜め方向からピンGが刺さるように当該ピンGの挿入方向を規定する第2ピン孔11Bと、取付面に対して上斜め方向からピンGが刺さるように当該ピンGの挿入方向を規定する第3ピン孔11Cと、が含まれている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面から背面へ貫通するピン孔が設けられており、当該ピン孔への正面側からのピンの挿入によって取付面に固定されるベース部と、
前記ベース部に連結され、物干し竿の端部を支持する支持部と、
を備え、
前記ピン孔には、
前記取付面に対して左斜め方向から前記ピンが刺さるように当該ピンの挿入方向を規定する第1ピン孔と、
前記取付面に対して右斜め方向から前記ピンが刺さるように当該ピンの挿入方向を規定する第2ピン孔と、
前記取付面に対して上斜め方向から前記ピンが刺さるように当該ピンの挿入方向を規定する第3ピン孔と、
が含まれている、物干し竿支持具。
【請求項2】
前記第1ピン孔及び前記第2ピン孔は、それらにそれぞれ挿入されて前記取付面に刺さった前記ピンが、鉛直上方から見たときに互いに交差するように、前記ベース部に設けられている、請求項1に記載の物干し竿支持具。
【請求項3】
前記支持部は、自身の向きを左右に変化させることが自在となるように、ヒンジ構造を介して前記ベース部に連結されている、請求項1又は2に記載の物干し竿支持具。
【請求項4】
前記支持部は、前記物干し竿の端部を受けて支持する支持面を有しており、当該支持面は、前記物干し竿を支持したときの当該物干し竿の長手方向に対して垂直な面内においてV字状を呈している、請求項1~3の何れかに記載の物干し竿支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物干し竿を支持する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
物干し竿支持具には、壁面などの取付面にピンで固定することが可能であって、対向する2つの取付面に1つずつ固定された状態で物干し竿の両端を支持するものが存在する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のようにピンで固定される従来の物干し竿支持具では、ピンの挿入方向と逆方向の力が物干し竿支持具にかかった場合にはピンが抜けやすく、従って、取付面への固定強度を高めることが難しいという問題があった。
【0005】
そこで本発明の目的は、取付面にピンで固定される物干し竿支持具において、取付面へのピンによる固定強度を高めることを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る物干し竿支持具は、ベース部と、支持部と、を備える。ベース部には、正面から背面へ貫通するピン孔が設けられており、ベース部は、当該ピン孔への正面側からのピンの挿入によって取付面に固定される。支持部は、ベース部に連結され、物干し竿の端部を支持する。そして、上記ピン孔には、取付面に対して左斜め方向からピンが刺さるように当該ピンの挿入方向を規定する第1ピン孔と、取付面に対して右斜め方向からピンが刺さるように当該ピンの挿入方向を規定する第2ピン孔と、取付面に対して上斜め方向からピンが刺さるように当該ピンの挿入方向を規定する第3ピン孔と、が含まれている。
【0007】
上記物干し竿支持具によれば、3種類のピン孔(第1ピン孔、第2ピン孔、第3ピン孔)によってピンの挿入方向が規定されることにより、取付面へのピンによるベース部の固定強度を高めることが可能になる。具体的には、第1ピン孔に挿入されて取付面に刺さったピン(即ち、取付面に対して左斜め方向から刺さったピン)は、ベース部に対して右方向に加わった力を受け止めることができ、第2ピン孔に挿入されて取付面に刺さったピン(即ち、取付面に対して右斜め方向から刺さったピン)は、ベース部に対して左方向に加わった力を受け止めることができる。また、第3ピン孔に挿入されて取付面に刺さったピン(即ち、取付面に対して上斜め方向から刺さったピン)は、ベース部に対して下方向に加わった力を受け止めることができる。従って、ベース部に対して右方向、左方向、及び下方向の何れの方向に力が加わった場合でも、その力をピンで受け止めることができ、その結果として、ベース部は、ピンによって取付面に強固に固定されることになる。
【0008】
上記物干し竿支持具において、第1ピン孔及び第2ピン孔は、それらにそれぞれ挿入されて取付面に刺さったピンが、鉛直上方から見たときに互いに交差するように、ベース部に設けられていてもよい。この構成によれば、鉛直上方から見たときの取付面上でのピンの位置(取付面にピンが刺さる位置)を一カ所に集中させることが可能なる。よって、取付面へのベース部の取付時において、ベース部の撓みや取付面からの浮きが生じにくくなり、その結果として、ベース部を、その背面を取付面に密着させた状態で取り付けることが可能になる。よって、取付面へのピンによるベース部の強固な固定が維持されやすくなる。
【0009】
上記物干し竿支持具において、支持部は、自身の向きを左右に変化させることが自在となるように、ヒンジ構造を介してベース部に連結されてもよい。この構成によれば、対向した2つの取付面に限らず、角度をなす(例えば垂直な位置関係にある)2つの取付面にも物干し竿を支持することが可能になる。
【0010】
上記物干し竿支持具において、支持部は、物干し竿の端部を受けて支持する支持面を有しており、当該支持面は、物干し竿を支持したときの当該物干し竿の長手方向に対して垂直な面内においてV字状を呈していてもよい。この構成によれば、支持面上での物干し竿の位置が、V字を構成する左右の2つの面によって規定されるため、支持部内での物干し竿の転がりが防止されやすくなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る物干し竿支持具によれば、取付面へのピンによる固定強度を高めることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】(A)実施形態に係る物干し竿支持具を上斜め方向から見た斜視図、及び(B)当該物干し支持具を下斜め方向から見た斜視図である。
【
図2】実施形態に係る物干し竿支持具の(A)正面図及び(B)平面図である。
【
図3】実施形態に係る物干し竿支持具の(A)分解斜視図及び(B)
図2(B)に示されたIIIB-IIIB線での断面図である。
【
図4】実施形態に係る物干し竿支持具が備えるベース部の(A)正面図及び(B)背面図である。
【
図5】(A)
図4(A)に示されたVA-VA線(第1ピン孔を横切る線)でのベース部の断面図、(B)
図4(A)に示されたVB-VB線(第2ピン孔を横切る線)でのベース部の断面図であって第2ピン孔の構成を示し、(C)
図4(A)に示されたVC-VC線(第3ピン孔を横切る線)でのベース部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[1]実施形態
実施形態に係る物干し竿支持具について、
図1(A)は上斜め方向から見た斜視図、
図1(B)は下斜め方向から見た斜視図、
図2(A)は正面図、
図2(B)は平面図、
図3(A)は分解斜視図である。また、
図3(B)は、
図2(B)に示されたIIIB-IIIB線での断面図である。これらの図に示されるように、本実施形態に係る物干し竿支持具は、ベース部1と、カバー部2と、支持部3と、を備える。以下、各部について具体的に説明する。
【0014】
<ベース部>
ベース部1は、壁面などの取付面にピンG(釘など)で固定される部分である。
図4(A)及び
図4(B)はそれぞれ、ベース部1の正面図及び背面図である。これらの図に示されるように、ベース部1には、正面10aから背面10bへ貫通する複数のピン孔11が設けられており、ベース部1は、各ピン孔11への正面10a側からのピンGの挿入(
図5(A)~
図5(C)参照)によって取付面に固定される。
【0015】
ここで、ピン孔11は、自身に挿入されたピンGが取付面に刺さることにより、そのピンGの頭部がベース部1の正面10aに当接して押圧し、それによってベース部1が取付面に押し付けられるように構成されている。更に、ピン孔11は、自身に挿入されたピンGの挿入方向Dg(
図5(A)~
図5(C)参照)を規定するものであり、そのピンGの挿入方向Dgが所望の一方向に規定されるように構成されている。
【0016】
本実施形態では、ベース部1は円形状を呈しており、ベース部1のうちの上半円部分101にピン孔11が設けられている(
図4(A)参照)。より具体的には、規定するピンGの挿入方向Dgが異なる3種類のピン孔11が、上半円部分101に設けられている。
図5(A)~
図5(C)は、3種類のピン孔11を横切るそれぞれの線(
図4(A)に示されたVA-VA線、VB-VB線、及びVC-VC線)でのベース部1の断面図である。
【0017】
図5(A)に示されるように、3種類のうちの1つ目のピン孔11である第1ピン孔11Aは、取付面に対して左斜め方向からピンGが刺さるように当該ピンGの挿入方向Dgを規定する。
図5(B)に示されるように、3種類のうちの2つ目のピン孔11である第2ピン孔11Bは、取付面に対して右斜め方向からピンGが刺さるように当該ピンGの挿入方向Dgを規定する。
図5(C)に示されるように、3種類のうちの3つ目のピン孔11である第3ピン孔11Cは、取付面に対して上斜め方向からピンGが刺さるように当該ピンGの挿入方向Dgを規定する。
【0018】
本実施形態では、上半円部分101の中央(円の中心位置から鉛直上方に延びた直線上)に、当該上半円部分101を左右に二等分する隆起部12が形成されており、当該隆起部12には、左斜め方向を向いた第1斜面12aと、右斜め方向を向いた第2斜面12bが形成されている(
図4(A)参照)。そして、第1斜面12aに第1ピン孔11Aが設けられ、第2斜面12bに第2ピン孔11Bが設けられている。より具体的には、第1ピン孔11A及び第2ピン孔11Bは、第1斜面12a及び第2斜面12bにおいて、鉛直方向についての異なる位置に2つずつ設けられている。また、上半円部分101の左右2カ所に、上斜め方向を向いた第3斜面12cが形成されており、当該第3斜面12cに第3ピン孔11Cが設けられている。
【0019】
このように3種類のピン孔11(第1ピン孔11A~第3ピン孔11C)によってピンGの挿入方向Dgが規定されることにより、取付面へのピンGによるベース部1の固定強度を高めることが可能になる。具体的には、第1ピン孔11Aに挿入されて取付面に刺さったピンG(即ち、取付面に対して左斜め方向から刺さったピンG)は、ベース部1に対して右方向に加わった力を受け止めることができ、第2ピン孔11Bに挿入されて取付面に刺さったピンG(即ち、取付面に対して右斜め方向から刺さったピンG)は、ベース部1に対して左方向に加わった力を受け止めることができる。また、第3ピン孔11Cに挿入されて取付面に刺さったピンG(即ち、取付面に対して上斜め方向から刺さったピンG)は、ベース部1に対して下方向に加わった力を受け止めることができる。従って、ベース部1に対して右方向、左方向、及び下方向の何れの方向に力が加わった場合でも、その力をピンGで受け止めることができ、その結果として、ベース部1は、ピンGによって取付面に強固に固定されることになる。よって、本実施形態の物干し竿支持具によれば、取付面へのピンGによる固定強度を高めることが可能になる。
【0020】
更に本実施形態では、第1ピン孔11A及び第2ピン孔11Bは、それらにそれぞれ挿入されて取付面に刺さったピンGが、鉛直上方から見たときに(即ち、平面視で)互いに交差するように、ベース部1に設けられている。より具体的には、第1ピン孔11A及び第2ピン孔11Bにそれぞれ挿入されたピンGが、鉛直上方から見たときに取付面上の位置又はそれに近い位置で交差するように、第1ピン孔11A及び第2ピン孔11Bは、ベース部1の背面10bにおける開口位置Phが上下に一列に並んだ状態となるように設けられている(
図4(B)参照)。
【0021】
このような構成によれば、鉛直上方から見たときの取付面上でのピンGの位置(取付面にピンGが刺さる位置)を一カ所に集中させることが可能なる。よって、取付面へのベース部1の取付時において、ベース部1の撓みや取付面からの浮きが生じにくくなり、その結果として、ベース部1を、その背面10bを取付面に密着させた状態で取り付けることが可能になる。よって、取付面へのピンGによるベース部1の強固な固定が維持されやすくなる。
【0022】
そして、ピンGによる固定強度を高めるという観点からは、第1ピン孔11A及び第2ピン孔11Bがそれぞれ規定するピンGの挿入方向Dgは、取付面に対する垂線から左右に35°以上45°以下の角度で傾けられてもよい。また、第3ピン孔11Cが規定するピンGの挿入方向Dgは、取付面に対する垂線から上に35°以上45°以下の角度で傾けられてもよい。一例として、第1ピン孔11A、第2ピン孔11B、及び第3ピン孔11Cがそれぞれ規定するピンGの挿入方向Dgは、取付面に対する垂線から左、右、上に35°の角度で傾けられる。
【0023】
<カバー部>
カバー部2は、ベース部1のうちのピン孔11が設けられている部分を覆い隠す部分であり、化粧部材として機能する(
図3(A)及び
図3(B)参照)。本実施形態では、カバー部2は、ベース部1の上半円部分101を覆い隠すために、当該上半円部分101に対応した半円形状を呈している。
【0024】
<支持部>
支持部3は、物干し竿の端部を支持するハーフパイプ状の部分であり、物干し竿の端部を受けて支持する支持面30aを有している(
図1(A)~
図2(A)、
図3(A)参照)。そして、支持部3は、自身の向き(ハーフパイプが延びている方向)を左右に変化させることが自在となるように、ヒンジ構造4を介してベース部1に連結されている(
図3(B)参照)。具体的には、支持部3の一方の端部である基端部31が、ベース部1の下半円部分102の中央に形成された突起部13に、軸部40を用いて枢支されており、これにより、ヒンジ構造4が構成されている。よって、支持部3は、軸部40を中心として自身の向きを左右に変化させることが自在である。尚、支持部3は、突起部13に着脱可能に枢支されていてもよい。
【0025】
このような支持部3によれば、対向した2つの取付面に限らず、角度をなす(例えば垂直な位置関係にある)2つの取付面にも物干し竿を支持することが可能になる。
【0026】
更に本実施形態では、支持面30aは、物干し竿を支持したときの当該物干し竿の長手方向(ハーフパイプが延びている方向)に対して垂直な面内においてV字状を呈している(
図2(A)参照)。このような支持面30aの形状によれば、支持面30a上での物干し竿の位置が、V字を構成する左右の2つの面によって規定されるため、支持部3内での物干し竿の転がりが防止されやすくなる。
【0027】
また、支持面30aのうちの支持部3の先端側(基端部31と反対側)の縁には、その縁に沿って突起部32が形成されている。この突起部32によれば、物干し竿の端部に化粧部材が取り付けられることで当該端部に段差部が形成されている場合には、その段差部が突起部32に引っ掛かることで、支持部3からの物干し竿の脱落が防止される。
【0028】
[2]変形例
[2-1]第1変形例
物干し竿支持具は、支持部3がヒンジ構造4を介してベース部1に連結されたものに限らず、支持部3がヒンジ構造4を介さずにベース部1に連結されたもの(例えば、支持部3の向きが固定されたもの)に適宜変更されてもよい。また、物干し竿支持具は、支持部3がベース部1に着脱可能に連結されたものに限らず、ベース部1から支持部3を取り外すことができないものに適宜変更されてもよい。
【0029】
[2-2]第2変形例
物干し竿支持具において、支持面30aの形状は、V字状に限らず、U字状などの別の形状を呈したものに適宜変更されてもよい。
【0030】
[2-3]第3変形例
物干し竿支持具は、ベース部1に第3ピン孔11Cが設けられていないものに適宜変更されてもよい。また、物干し竿支持具において、第1ピン孔11Aと第2ピン孔11Bは、鉛直上方から見たときにピンGが互いに交差するように設けられたものに限らず、ピンGが交差することのない位置に設けられたものに適宜変更されてもよい。
【0031】
上述の実施形態や変形例の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態や変形例ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0032】
1 ベース部
2 カバー部
3 支持部
4 ヒンジ構造
G ピン
10a 正面
10b 背面
11 ピン孔
11A 第1ピン孔
11B 第2ピン孔
11C 第3ピン孔
12 隆起部
12a 第1斜面
12b 第2斜面
12c 第3斜面
13 突起部
30a 支持面
31 基端部
32 突起部
40 軸部
Dg 挿入方向
Ph 開口位置
101 上半円部分
102 下半円部分