(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054921
(43)【公開日】2023-04-17
(54)【発明の名称】平面アンテナ
(51)【国際特許分類】
H01Q 9/26 20060101AFI20230410BHJP
H01Q 1/38 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
H01Q9/26
H01Q1/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163928
(22)【出願日】2021-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100169797
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】角 誠
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 恭宜
【テーマコード(参考)】
5J046
【Fターム(参考)】
5J046AA03
5J046AB07
5J046PA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】第1導体素子と、第1導体素子を基準として線対称になるように設けられる第2導体素子とを誘電体基板の片面に集約した平面アンテナを提供する。
【解決手段】平面アンテナ10は、誘電体基板100の一方に平面101に設けられる直線状の第1導体素子210と、第1導体素子210を基準として線対称になるように設けられる第2導体素子220と、を備える。第1縁部221及び第2縁部222は、第1導体素子210よりも短く、第1導体素子210の先端部側に向かうに連れて細くなるテーパー状である。第2導体素子220は、第1導体素子210の基端部側において第1縁部221及び第2縁部222と接続された接続部223を有する。第1導体素子210と、第1縁部221、第2縁部222及び接続部223と、の間には、スリットが形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体基板の一方に平面に設けられる直線状の第1導体素子と、
前記一方の平面において、前記第1導体素子を基準として線対称になるように設けられる一対の縁部を有する第2導体素子と
を備え、
前記一対の縁部は、前記第1導体素子よりも短く、前記第1導体素子の先端部側に向かうに連れて細くなるテーパー状であり、
前記第2導体素子は、前記第1導体素子の基端部側において前記一対の縁部と接続された接続部を有し、
前記基端部と前記接続部との間には、前記一対の縁部の一方から他方に延びる第1スリットが形成され、
前記第1導体素子と前記一対の縁部との間には、前記第1導体素子の長手方向に沿って延び、前記第1スリットと連通する一対の第2スリットが形成され、
前記基端部と前記接続部とに給電点が設けられる平面アンテナ。
【請求項2】
前記第1スリットは、前記第2導体素子の給電点側の端部から特定の距離以上隔てた位置に形成される請求項1に記載の平面アンテナ。
【請求項3】
前記一対の第2スリットは、前記第1導体素子に沿った直線状である請求項1または2に記載の平面アンテナ。
【請求項4】
前記第1スリットは、前記第2スリットに直交する直線状である請求項1乃至3の何れか一項に記載の平面アンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広帯域なインピーダンス特性と、無指向性とを兼ね備える平面アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、広い帯域幅(例えば、1.5GHz帯~3.2GHz帯)を有し、交差偏波を抑制した平面アンテナが知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示されている平面アンテナは、誘電体基板の一方の面に設けられた直線状の第1導体素子(直線素子と呼ばれてもよい)と、第1導体素子を基準として線対称になるように誘電体基板の他方の面に設けられた一対の縁部を有する第2導体素子(折り曲げ素子と呼ばれてもよい)とを備える。これにより、広帯域なインピーダンス特性と、無指向性とを達成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の平面アンテナは、誘電体基板の両面に導体素子が設けられる両面基板構造を採用しているため、ポリエチレンテレフタレート(PET)シートフィルムなどの片面基板に構成することが難しい。
【0006】
このため、平面アンテナを適用可能な領域が限定され、汎用性などにおいて改善の余地があった。
【0007】
そこで、以下の開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、第1導体素子と、第1導体素子を基準として線対称になるように設けられる第2導体素子とを誘電体基板の片面に集約した平面アンテナの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、誘電体基板(誘電体基板100)の一方に平面(平面101)に設けられる直線状の第1導体素子(第1導体素子210)と、前記一方の平面において、前記第1導体素子を基準として線対称になるように設けられる一対の縁部を有する第2導体素子(第2導体素子220)とを備え、前記一対の縁部は、前記第1導体素子よりも短く、前記第1導体素子の先端部(先端部212)側に向かうに連れて細くなるテーパー状であり、前記第2導体素子は、前記第1導体素子の基端部(基端部211)側において前記一対の縁部と接続された接続部(接続部223)を有し、前記基端部と前記接続部との間には、前記一対の縁部の一方から他方に延びる第1スリット(スリット250)が形成され、前記第1導体素子と前記一対の縁部との間には、前記第1導体素子の長手方向に沿って延び、前記第1スリットと連通する一対の第2スリット(スリット261, スリット262)が形成され、前記基端部と前記接続部とに給電点が設けられる平面アンテナ(平面アンテナ10)である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、平面アンテナ10の全体概略斜視図である。
【
図2】
図2は、平面アンテナ10の平面図(YZ平面)である。
【
図3】
図3は、第2導体素子220の接続部223を含むアンテナ素子部200の一部拡大平面図である。
【
図4】
図4は、オフセンター給電ダイポールに基づくアンテナ設計のプロセスを示す図である。
【
図5】
図5は、平面アンテナ10のVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)特性を示す図である。
【
図6】
図6は、平面アンテナ10の放射パターン(XY平面(水平面))を示す図である。
【
図7】
図7は、平面アンテナ10の放射パターン(YZ平面(垂直面))を示す図である。
【
図8】
図8は、平面アンテナ10の放射パターン(ZX平面(垂直面))を示す図である。
【
図9】
図9は、平面アンテナ10の適用例(その1)を示す図である。
【
図10】
図10は、平面アンテナ10の適用例(その2)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。なお、同一の機能や構成には、同一または類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0011】
(1)平面アンテナの全体概略構成
図1は、本実施形態に係る平面アンテナ10の全体概略斜視図である。
図2は、平面アンテナ10の平面図(YZ平面)である。
【0012】
平面アンテナ10は、4th generation mobile communication system(4G)及び5th generation mobile communication system(5G、New Radio (NR))などの移動通信システム、或いは無線LAN(Wi-Fi(登録商標))などの近距離無線通信システムなどに適用可能な直線偏波アンテナである。
【0013】
なお、当該移動通信システムまたは近距離無線通信システムによる通信には、Machine-to-Machine(M2M)/Internet of Things(IoT)或いはUnmanned Aerial Vehicles(UAV)に関する通信が含まれてよい。
【0014】
例えば、5Gの場合、日本では、3.7 GHz(3.6~4.1 GHz)、4.5 GHz(4.5~4.6 GHz)、28 GHz(27.0~29.5 GHz)の3つの周波数帯が割り当てられている。平面アンテナ10(フィルム型アンテナ)は、後述するように片面構造を採用しており、コンパクトで汎用性が高く、広い周波数特性を有する。このため、M2M/IoTアプリケーション及びUAVに好適に用い得る。
【0015】
平面アンテナ10は、誘電体基板100及びアンテナ素子部200を備える。平面アンテナ10は、極めて薄く、かつコンパクトであり、片面基板のプリント、及びガラスなどへの貼り付けが可能な汎用性を有している。
【0016】
誘電体基板100は、矩形状の平板である。本実施形態では、誘電体基板100の厚さは、0.787 mm、比誘電率εrは、2.2に設定される。誘電体基板100の形状、比誘電率εr、厚さ、材質などは、要求される性能、平面アンテナ10の使用目的などを応じて適宜に設定されてよい。
【0017】
誘電体基板100は、単に基板、或いはアンテナ基板などと呼ばれてもよい。誘電体基板100としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)シートフィルムなどが用いられてもよい。
【0018】
アンテナ素子部200は、第1導体素子210と第2導体素子220とによって構成される。アンテナ素子部200は、誘電体基板100の一方の平面101に設けられる。つまり、全ての導体素子(アンテナ素子と言い換えてもよい)、具体的には、第1導体素子210と第2導体素子220は、誘電体基板100の何れか一方の平面に設けられ、他方の平面には、アンテナ素子は設けられない。このように、平面アンテナ10は、全てのアンテナ素子が基板の片面に集約された片面構造を採用する。
【0019】
アンテナ素子部200は、オフセンター給電ダイポールアンテナを構成する。なお、オフセンター給電ダイポールアンテナの設計プロセスについては、後述する。
【0020】
第1導体素子210は、誘電体基板100の平面101に設けられる直線状の素子(エレメント)である。第1導体素子210は、直線素子と呼ばれてもよい。
【0021】
具体的には、第1導体素子210は、一定の幅を有する帯状(細長い矩形状)である。第1導体素子210は、シート状であり、例えば、金属箔によって形成できる。なお、第1導体素子210は、少なくとも一部が直線状であればよく、例えば、第1導体素子210の基端部211及び先端部212の少なくとも何れかは、他の部分よりも幅が広くてもよい。
【0022】
第1導体素子210は、誘電体基板100の幅方向における中央部に配置されてよい。但し、アンテナ素子部200に対する誘電体基板100のサイズは、必ずしも一致していなくてもよく、アンテナ素子部200よりも多少大きくまたは小さくてもよい。
【0023】
第2導体素子220は、第1導体素子210と同様に、誘電体基板100の平面101に設けられる。第2導体素子220は、第1導体素子210を基準として線対称な形状を有する。第2導体素子220もシート状であり、例えば、金属箔によって形成できる。
【0024】
第2導体素子220は、ダイポールアンテナの折り返し(折り曲げ)部分に相当する。このため、第2導体素子220は、折り曲げ素子(或いは折り返し素子)と呼ばれてもよい。
【0025】
第2導体素子220は、一対の縁部、具体的には、第1縁部221及び第2縁部222を有する。第1縁部221及び第2縁部222は、誘電体基板100の平面101において、第1導体素子210を基準として線対称になるように設けられる。
【0026】
第1縁部221及び第2縁部222は、第1導体素子210よりも短い。具体的には、誘電体基板100の長手方向(X方向)に沿った第1縁部221及び第2縁部222の長さは、第1導体素子210の長さよりも短い。
【0027】
第1縁部221及び第2縁部222は、第1導体素子210の先端部212側に向かうに連れて細くなるテーパー状である。具体的には、第1縁部221及び第2縁部222は、先端部212側に向かうに連れて第1導体素子210から離れるような先端先細状である。
【0028】
なお、第1縁部221及び第2縁部222の先端は、
図1及び
図2に示すように、一定の幅を有する辺状であるが、さらに鋭角的に尖っていてもよいし、或いは曲線状であってもよい。また、第1縁部221及び第2縁部222は、第1導体素子210側の側面のみが傾斜しているが、第1導体素子210側と反対側の側面の傾斜し、先端部212側に向かうに連れて細くなるような形状でも構わない。
【0029】
第2導体素子220は、第1導体素子210の基端部211側において、第1縁部221及び第2縁部222と接続された接続部223を有する。
【0030】
接続部223は、第1縁部221と第2縁部222とを繋ぐ部分である。接続部223の下端(誘電体基板100と下端と言い換えてもよい)から第1導体素子210の基端部211までは、一定の幅があることが好ましい。
【0031】
本実施形態では、平面アンテナ10の主要な部分のサイズは、以下のとおりである。
【0032】
・L = 40.2 mm
・W = 12.6 mm
・l1 = 38.6 mm
・l2 = 23.6 mm
・l3 = 1.5mm
・l4 = 5.4 mm
・w1 = 1.9 mm
・w2 = 2.1 mm
・w3 = 7.3 mm
図3は、第2導体素子220の接続部223を含むアンテナ素子部200の一部拡大平面図である。
図3に示すように、第1導体素子210の基端部211と、第2導体素子220の接続部223との間、及び第1導体素子210と一対の縁部(第1縁部221及び第2縁部222)との間には、スリットが形成される。スリットは、第1導体素子210及び第2導体素子220を形成する金属箔が設けられていない、つまり、誘電体基板100が露出した部分である。
【0033】
具体的には、基端部211と接続部223との間には、スリット250が形成される。スリット250は、一対の縁部(第1縁部221及び第2縁部222)の一方から他方に延びる。本実施形態において、スリット250は、第1スリットを構成する。
【0034】
また、第1導体素子210と一対の縁部(第1縁部221及び第2縁部222)との間には、一対のスリット261及びスリット262が形成される。
【0035】
スリット261及びスリット262は、第1導体素子210の長手方向に沿って延び、スリット250と連通する。本実施形態において、スリット261及びスリット262は、一対の第2スリットを構成する。
【0036】
アンテナ素子部200への給電も、当然に誘電体基板100の一方の平面101において実現される。具体的には、第1導体素子210の基端部211と、第2導体素子220の接続部223とに給電点270が設けられる。換言すると、給電点270は、第1導体素子210と第2導体素子220との間に配置されてよい。
【0037】
また、スリット250は、第2導体素子220の給電点270側の端部224から特定の距離以上隔てた位置に形成される。本実施形態では、l3(
図2参照)は、1.5mmであり、スリット250は、端部224から少なくとも1.5mm程度隔てた位置に形成されることが好ましい。但し、l3の適切な値は、アンテナ素子部200のサイズに応じて適宜変更されてよい。
【0038】
スリット250は、スリット261及びスリット262に直交する直線状である。但し、スリット250は、必ずしもスリット261及びスリット262に直交しなくてもよく、多少傾斜したり、曲線状であったりしてもよい。
【0039】
また、スリット261及びスリット262は、第1導体素子210に沿った直線状である。具体的には、スリット261及びスリット262は、第1導体素子210の長手方向と平行な直線状ある。但し、スリット261及びスリット262の少なくとも何れか一方は、第1導体素子210の長手方向と平行でなくてもよい。また、スリット261及びスリット262の少なくとも何れか一方は、直線状ではなく、波状やジグザグ状であってもよい。
【0040】
本実施形態では、スリット250、スリット261及びスリット262のサイズ(s1, s2)は、何れも0.1 mmに設定される。
【0041】
(2)平面アンテナ10の設計プロセス
図4は、オフセンター給電ダイポールに基づくアンテナ設計のプロセスを示す。アンテナ素子は、半波ダイポールアンテナと同様の放射パターンを達成するために折り曲げられる。このような折り曲げ構造は、折り曲げ部分の逆方向電流を打ち消すことができ、また、折り曲げ素子のテーパー部分は、周波数帯域幅を広げることができる。
【0042】
図4に示すように、中央給電1波長ダイポールアンテナの給電点は、アンテナの中央から少し(1/4波長程度)シフトした位置に設定され、これにより、インピーダンス整合を改善する。
【0043】
さらに、短い素子(つまり、給電点までの距離が短い線状素子)を折り曲げてアンテナ全長の低減を図ったオフセンター給電ダイポールアンテナ(
図4の(1))は、長い素子(つまり、給電点までの距離が長い線状素子)と短い素子の合計長に応じた共振周波数を有する。
【0044】
このため、長い素子の長さが等しく短い素子の長さが異なる2つのオフセンター給電ダイポールアンテナを、長い素子が共通の構成要素であり、短い素子が二分岐構造を持つように組み合わせたオフセンター給電ダイポールアンテナ(
図4の(2))は、異なる2つの共振周波数を有する。
【0045】
このような設計思想に基づいて、共振周波数が連続的に変化するように短い素子を面状に構成したアンテナが多重複合オフセンター給電ダイポールアンテナ(
図4の(3))である。連続的に変化する共振周波数は、この面状の素子において、多重される短い線状素子の端部が連なったものと見なすことのできる縁部Eの形状に依存する。
【0046】
インピーダンス整合の容易性を考慮すると、縁部Eの外側端(長い素子から遠い側の端部)における短い素子の長さは、縁部Eの内側端(長い素子に近い側の端部)における短い素子の長さよりも長いことが望ましい。
【0047】
多重複合オフセンター給電ダイポールアンテナ(
図4の(3))の放射パターンは、長い素子を基準として左右非対称であるため、歪んた形になるが、長い素子を基準として左右対称となる構成を有する多重複合オフセンター給電ダイポールアンテナ(
図4の(4))の放射パターンは、広帯域特性かつ無指向性を有する。
【0048】
平面アンテナ10は、このような設計思想に基づくアンテナであり、さらに片面構造とすることによって、片面基板のプリント、及びガラスなどへの貼り付けを可能とするなど、高い汎用性と量産性とを備える。
【0049】
(3)平面アンテナ10の特性
図5は、平面アンテナ10のVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)特性を示す。平面アンテナ10は、3.5 GHz帯(4G)、3.7 GHzと4.5 GHz帯(5G)、5GHz帯(Wi-Fi(登録商標))、及び5.7 GHz帯(UAV)を含む複数の帯域での動作を実現する。シミュレータによれば、70.7%のVSWR帯域幅(VSWR≦2)を達成し得る。
【0050】
図6は、平面アンテナ10の放射パターン(XY平面(水平面))を示す。
図7は、平面アンテナ10の放射パターン(YZ平面(垂直面))を示す。
図8は、平面アンテナ10の放射パターン(ZX平面(垂直面))を示す。なお、
図6~
図8は、主偏波の放射パターンを示す。
【0051】
図6~
図8に示すように、平面アンテナ10は、XY平面では円形の放射パターンを有し、YZ平面及びZX平面では、左右対称な8の字状の放射パターンを有する。
【0052】
(4)適用例
次に、平面アンテナ10の適用例について説明する。
図9は、平面アンテナ10の適用例(その1)を示す。
図10は、平面アンテナ10の適用例(その2)を示す。
【0053】
図9に示すように、平面アンテナ10は、自動販売機30のウィンドウに貼り付けることができる。また、
図10に示すように、平面アンテナ10は、自動車40のフロントウィンドウに貼り付けることができる。
【0054】
平面アンテナ10は、ウィンドウの内側面に貼り付けられることが好ましいが、ウィンドウの外側面に貼り付けられても構わない。また、ウィンドウの材質は、ガラスでもよいし、アクリルなどの樹脂でもよい。
【0055】
(5)作用・効果
平面アンテナ10は、上述したように、全てのアンテナ素子が基板の片面に集約された片面構造を採用する。具体的には、第1縁部221及び第2縁部222は、第1導体素子210の先端部212側に向かうに連れて細くなるテーパー状であり、第2導体素子220は、第1導体素子210の基端部211側において、第1縁部221及び第2縁部222と接続された接続部223を有する。さらに、基端部211と接続部223との間には、スリット250が形成され、第1導体素子210と一対の縁部(第1縁部221及び第2縁部222)との間には、一対のスリット261及びスリット262が形成される。さらに、第1導体素子210の基端部211と、第2導体素子220の接続部223とに給電点270が設けられる。これにより、アンテナ素子部200が誘電体基板100の平面101に集約されている。
【0056】
このため、PETシートフィルムなどの片面基板にアンテナ素子部200を構成でき、汎用性をさらに向上できる。特許文献1(特許5940196号公報)に記載されている直線偏波アンテナは、インピーダンス特性は広帯域であるが、両面基板構造を採用しているため、片面基板に構成することが困難であるという課題がある。
【0057】
平面アンテナ10によれば、広帯域なインピーダンス特性を維持しつつ、片面基板のプリント、ガラスなどへの貼り付けが可能な汎用性を実現できる。
【0058】
特に、平面アンテナ10は、4Gの3.5 GHz帯、5Gの3.7 GHz/4.5 GHz帯、Wi-Fi(登録商標)の5 GHz帯、UAVの5.7 GHz帯を含めた広い帯域において、良好なインピーダンス整合を有し、さらに、高い汎用性並びに量産性を達成し得る。
【0059】
また、本実施形態では、スリット250は、端部224から少なくとも1.5mm程度隔てた位置に形成され、スリット250、スリット261及びスリット262は直線状である。これにより、平面アンテナ10の性能並びに耐久性確保、及び製造容易性を実現し得る。
【0060】
(6)その他の実施形態
以上、実施例に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
【0061】
例えば、誘電体基板100は、必ずしもアンテナ素子部200と一緒に提供されなくてもよく、アンテナ素子部200とは別体として提供されてもよい。
【0062】
また、上述した実施形態では、給電点270は、接続部223近傍(スリット250近傍)に設けられていたが、給電点270は、このような位置から多少オフセットしてもよい。例えば、給電点270は、スリット261またはスリット262近傍に設けられてもよい。
【0063】
また、本開示において説明した各態様/実施形態は、Long Term Evolution(LTE)、LTE-Advanced(LTE-A)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4th generation mobile communication system(4G)、5th generation mobile communication system(5G)、Future Radio Access(FRA)、New Radio(NR)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、Ultra Mobile Broadband(UMB)、IEEE 802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE 802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、Ultra-WideBand(UWB)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及びこれらに基づいて拡張された次世代システムの少なくとも一つに適用されてもよい。また、複数のシステムが組み合わされて(例えば、LTE及びLTE-Aの少なくとも一方と5Gとの組み合わせなど)適用されてもよい。
【0064】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0065】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0066】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術の何れかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、またはこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0067】
なお、本開示において説明した用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一のまたは類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、チャネル及びシンボルの少なくとも一方は信号(シグナリング)であってもよい。また、信号はメッセージであってもよい。また、コンポーネントキャリア(Component Carrier:CC)は、キャリア周波数、セル、周波数キャリアなどと呼ばれてもよい。
【0068】
本開示において使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0069】
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスによって指示されるものであってもよい。
【0070】
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、またはこれらのあらゆる変形は、2またはそれ以上の要素間の直接的または間接的なあらゆる接続または結合を意味し、互いに「接続」または「結合」された2つの要素間に1またはそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合または接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。例えば、「接続」は「アクセス」で読み替えられてもよい。本開示で使用する場合、2つの要素は、1またはそれ以上の電線、ケーブル及びプリント電気接続の少なくとも一つを用いて、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどを用いて、互いに「接続」または「結合」されると考えることができる。
【0071】
上記の各装置の構成における「手段」を、「部」、「回路」、「デバイス」等に置き換えてもよい。
【0072】
本開示において使用する「第1」、「第2」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量または順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。従って、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、または何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0073】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0074】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0075】
本開示で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベースまたは別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)したことを「判断」「決定」したとみなすことなどを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)したことを「判断」「決定」したとみなすことなどを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などしたことを「判断」「決定」したとみなすことを含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなすことを含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
【0076】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【0077】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0078】
10 平面アンテナ
30 自動販売機
40 自動車
100 誘電体基板
101 平面
200 アンテナ素子部
210 第1導体素子
211 基端部
212 先端部
220 第2導体素子
221 第1縁部
222 第2縁部
223 接続部
224 端部
250, 261, 262 スリット
270 給電点