(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023054950
(43)【公開日】2023-04-17
(54)【発明の名称】容器処理装置
(51)【国際特許分類】
B65B 43/52 20060101AFI20230410BHJP
【FI】
B65B43/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163988
(22)【出願日】2021-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】393027121
【氏名又は名称】シブヤパッケージングシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】堀内 憲郷
【テーマコード(参考)】
3E030
【Fターム(参考)】
3E030AA01
3E030BA03
3E030BB02
3E030DA06
3E030EA01
3E030EB03
3E030GA01
(57)【要約】
【課題】容器を保持するための容器保持手段を備える容器処理装置を提供する。
【解決手段】台座46の上面には、容器Vの側面に係合して各容器Vを両側から挟んで、その位置を固定するための複数のアーム52を設ける。モータ56を作動させると、リンク機構54により一対のアーム52が回転軸52Aを中心として回転されて、アーム52の先端の保持部で容器Vの側面を両側から挟むように挟持し、その位置を固定する。アーム52の両側には、回転軸52Aを挟んで異なる形状の保持部62、64が設けられ、回転軸52Aを中心として回転方向を変更することにより保持部62、64の切り替えができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を搬送する容器搬送手段と、前記容器搬送手段によって搬送される容器に所定の処理を行う容器処理手段と、前記容器処理手段によって処理される容器を保持する容器保持手段とを備え、
前記容器保持手段は、容器の側面を両側から挟むように設けられた一対のアームと、前記アームの基部が軸支される回転軸と、前記回転軸を中心として前記アームを回転させて容器の挟持および解放を行う駆動手段とを備え、
前記アームの両側には、前記回転軸を挟んで異なる形状の保持部が設けられ、前記回転軸を中心として回転方向を変更することにより前記保持部の切り替えができることを特徴とする容器処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を保持するための容器保持手段を備える容器処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カップ麺などの製品の製造ラインでは、麺塊搬送コンベヤから搬送される麺塊を回転可能な反転ボックスへと移載し、この反転ボックス上の麺塊に容器を被せ、この容器を容器保持手段で保持しつつ反転ボックスとともに反転することで麺塊を容器内に収容したり(特許文献1)、リテーナによって保持される容器の搬送中に容器を上昇させて、この上昇させた容器を容器保持手段で保持して具材の投入や開口部のシールを行ったりする容器処理装置が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-73300号公報
【特許文献2】特開2018-199494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、近年は容器の形状や大きさが多様化しているにも関わらず、従来の容器処理装置が備える容器保持手段は、形状や大きさの異なる容器を保持することができない。
【0005】
本発明は、異なる形状、または2種類の大きさの容器を保持することが可能な容器保持手段を備える容器処理装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の容器処理装置は、容器を搬送する容器搬送手段と、前記容器搬送手段によって搬送される容器に所定の処理を行う容器処理手段と、前記容器処理手段によって処理される容器を保持する容器保持手段とを備え、前記容器保持手段は、容器の側面を両側から挟むように設けられた一対のアームと、前記アームの基部が軸支される回転軸と、前記回転軸を中心として前記アームを回転させて容器の挟持および解放を行う駆動手段とを備え、前記アームの両側には、前記回転軸を挟んで異なる形状の保持部が設けられ、前記回転軸を中心として回転方向を変更することにより前記保持部の切り替えができることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、異なる形状、または2種類の大きさの容器を保持可能な容器処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態における容器処理装置の配置を示す側面図である。
【
図2】容器がリテーナに保持される状態の被せ蓋供給装置を容器搬送方向から見た断面図である。
【
図3】容器が被せ蓋装着用昇降装置により持ち上げられ、被せ蓋が各容器のフランジ部に装着される状態が示される被せ蓋供給装置の容器搬送方向から見た断面図である。
【
図4】小径の容器を保持した状態の台座およびアームの配置を示す部分的な平面図である。
【
図5】大径の容器を保持した状態の台座およびアームの配置を示す部分的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の容器処理装置の構成を示す模式的な側面図である。
【0010】
本実施形態の容器処理装置10は、例えば開口部にフランジ部を備えるカップ状の容器Vに麺塊Nや具材等の内容物を投入して開口部を内蓋Sでシールし、その後、シールされた開口部に被せ蓋Cを装着する。容器処理装置10は、容器Vを多列で間欠的に搬送する搬送コンベヤ(容器搬送手段)12を備え、搬送コンベヤ12は、左右一対のチェーン12Aと、チェーン12Aに掛け渡される複数のリテーナ14とを備える。リテーナ14には幅方向に沿って複数の穴が設けられ、容器Vは各穴に保持される。
【0011】
本実施形態において麺塊Nは、搬送コンベヤ12の上流部の上方に配置される麺塊供給コンベヤ16から容器Vの列数に合わせた多列で供給される。麺塊供給コンベヤ16から供給される麺塊Nは、麺塊供給コンベヤ16の下流端に隣接して配置される反転ボックス18を通して行毎に容器V内に収容され、反転ボックス18の下方に位置する搬送コンベヤ12のリテーナ14の各穴に保持される。
【0012】
反転ボックス18はコンベヤ幅方向に延出する直方体形状を呈し、水平軸18Aを中心に180度反転可能である。麺塊供給コンベヤ16上の麺塊Nは、渡り板16Aを介して反転ボックス18の上側を向いた面に移載される。反転ボックス18の上方には、積み重ねられた容器Vを保持する容器マガジン20が配置され、容器供給アーム20Aにより容器Vが1つずつ容器マガジン20から取り出されて反転ボックス18上の麺塊Nの上に被せられる。その後、反転ボックス18は容器Vのフランジ部を保持した状態で180度反転される。これにより、容器Vは反転ボックス18の下面から吊り下げられた状態で正立され、麺塊Nの容器V内への投入が完了する。
【0013】
反転ボックス18の真下には、搬送コンベヤ12の1つのリテーナ14が待機しており、リテーナ14の各穴の真下には容器Vの底面を支持し、容器Vを下降させる容器供給用昇降装置22が配置される。反転ボックス18の下面に保持される容器Vは、その底面が容器供給用昇降装置22により支持されて下降され、リテーナ14の各穴に嵌合される。
【0014】
搬送コンベヤ12の上方において、反転ボックス18の下流側には、スープや小袋などに封止された具材などを上方から容器V内に投入する具材供給装置24、投入された具材の状態を検査する具材検査装置26、容器Vの開口部を封止する内蓋Sを容器Vの開口部に供給する内蓋供給装置28、開口部に載せられた内蓋Sをフランジ部に貼着する内蓋シール装置30、貼着された内蓋Sの状態を検査するシール検査装置32がこの順で配置される。これらの装置は、搬送コンベヤ12により各位置に搬送されてくる容器Vに対して上記各処理を施す。なお、内蓋供給装置28において、内蓋Sは内蓋マガジン28Aに積層された状態で保持され、内蓋供給アーム28Bにより内蓋マガジン28Aから1枚ずつ取り出され各容器Vのフランジ部に載せられる。
【0015】
シール検査装置32の下流側には、内蓋Sでシールされた容器Vの開口部を覆う被せ蓋Cを容器Vのフランジ部に装着する被せ蓋供給装置(処理手段)34が配置される。被せ蓋供給装置34は、搬送コンベヤ12の上方に、各列の容器Vに対応して、被せ蓋Cを積層した状態で保持する被せ蓋マガジン34Aを備える。被せ蓋マガジン34Aの真下に位置するリテーナ14の下方には、リテーナ14の各穴に保持される容器Vの底面を支持して昇降させる被せ蓋装着用昇降装置(容器昇降手段)36が配置される。被せ蓋マガジン34Aに保持される被せ蓋Cは、被せ蓋マガジン34Aと搬送コンベヤ12の間に配置される被せ蓋アーム34Bにより、1つずつ被せ蓋マガジン34Aから取り出されて各容器Vのフランジ部に装着される。
【0016】
すなわち、被せ蓋供給装置34は、被せ蓋装着用昇降装置36の真上にリテーナ14が停止すると、各穴に保持される容器Vを被せ蓋装着用昇降装置36により持ち上げてフランジ部をリテーナ14から離間する。また、容器Vが持ち上げられている間に、被せ蓋アーム34Bにより被せ蓋マガジン34Aから取り出された被せ蓋Cがフランジ部に装着される。その後、被せ蓋Cが被せられた容器Vは、被せ蓋装着用昇降装置36により下降され、リテーナ14の各穴に再び保持される。
【0017】
被せ蓋供給装置34の直ぐ下流には、具材検査装置26およびシール検査装置32において異常がないとされた容器Vを排出する完成品排出装置38が配置される。完成品排出装置38は、リテーナ14の各穴に保持される容器Vを持ち上げる完成品排出用昇降装置38Aと、容器Vを図示しない下流側の処理装置へと排出する完成品排出コンベヤ38Bと、完成品排出用昇降装置38Aにより持ち上げられた容器Vを完成品排出コンベヤ38Bに押し出すプッシャ38Cとを備える。なお、完成品排出用昇降装置38Aは、具材検査装置26およびシール検査装置32において異常がないと判定された容器Vのみを持ち上げる。また、完成品排出コンベヤ38Bは、搬送コンベヤ12の上方において、例えば搬送コンベヤ12と直交するよう搬送コンベヤ12の幅方向に沿って配置され、容器Vは行毎に一列で排出される。
【0018】
搬送コンベヤ12の下流部の搬送面下には、リテーナ14の穴に保持される容器Vを漸次上昇させる傾斜コンベヤ40が搬送方向に沿って設けられる。これにより具材検査装置26またはシール検査装置32において異常があると判定され、完成品排出装置38により排出されなかった容器Vは、リテーナ14に保持されたまま搬送コンベヤ12の下流部に搬送され、傾斜コンベヤ40により搬送コンベヤ12の下流端においてリテーナ14の穴から押し出され、搬送コンベヤ12の下流端に隣接して配置される図示しない廃棄ボックスに回収される。
【0019】
図2、
図3は、本実施形態の被せ蓋供給装置34を容器搬送方向から見た断面図である。
図2には、容器Vがリテーナ14に保持される状態が示され、
図3には、被せ蓋装着用昇降装置36により容器Vが持ち上げられ、被せ蓋アーム34Bにより被せ蓋Cが各容器Vのフランジ部に装着された状態が示される。
【0020】
図2に示されるように、リテーナ14の両端は左右一対のチェーン12Aにより支持され、チェーン12Aは固定フレーム37に支持されるチェーンガイド12B上を走行される。リテーナ14に設けられる穴の内径は、容器Vの胴部の外径よりも大きいが、フランジ部の外径よりは小さく、容器Vは、フランジ部をリテーナ14の穴の縁に引っ掛けた状態でリテーナ14に保持される。本実施形態では、例えば6個の容器Vが各リテーナ14に保持される。
【0021】
リテーナ14の上方には、リテーナ14に沿って水平に被せ蓋アーム34Bの回転軸34Cが配置される。回転軸34Cには、リテーナ14に保持される容器Vに対応する6つの被せ蓋アーム34Bが進退機構42を介して設けられる。被せ蓋アーム34Bの先端には吸着ヘッド44が設けられ、被せ蓋Cの頂面を吸着可能である。回転軸34Cは、不図示の駆動モータにより回転可能であり、6つの被せ蓋アーム34Bを一体的に回転可能である。
【0022】
一方、リテーナ14の下方には、リテーナ14に沿って被せ蓋装着用昇降装置36の台座46が配置される。台座46はリテーナ14の穴に保持される全ての容器Vの底面を支持して容器Vの昇降を行うものである。台座46は、例えば一対の昇降シャフト48により支持され、昇降シャフト48は固定フレーム37に支持される軸受け50によって昇降自在に支持される。なお、昇降シャフト48は、被せ蓋装着用昇降装置36の駆動機構により所定のタイミングで昇降される。
【0023】
台座46の上面には、容器Vの側面に係合して各容器Vを両側から挟んで、その位置を固定する複数のアーム(容器保持手段)52が設けられる。アーム52は、全ての容器Vを挟むように容器Vの数よりも1つ多く設けられ、本実施形態では7本のアーム52が台座46に設けられる。各アーム52の中心は、回転軸52Aにより台座46に回転自在に軸支される。また、各回転軸52Aの下端(台座46の下側の端部)にはレバー60が取り付けられ、リンク機構(駆動手段)54により回転される。
【0024】
図4、
図5は底面の外径が異なる容器V1、V2をアーム52により台座46に保持した状態を示す部分的な平面図である。
【0025】
図2~
図5に示されるように、リンク機構54は、例えば3枚の第1~第3リンクプレート54A、54B、54Cを備える。第1リンクプレート54Aの一端は、台座46の一方の端部に設けられたモータ(駆動手段)56の回転軸56Aに取り付けられ、回転軸56Aの回転により揺動される。第1リンクプレート54Aの他端には、第2リンクプレート54Bの一端が軸支され、第2リンクプレート54Bの他端には、本体からL字形に屈曲される第3リンクプレート54Cの一端が軸支される。なお、第3リンクプレート54Cの本体は、台座46の一方の長辺に沿って配置される。
【0026】
第3プレート54Cの本体には、長手方向に沿って所定間隔で回転軸58が設けられ、各回転軸58には、アーム52の回転軸52Aから延出するレバー60の先端が軸支される。これにより、モータ56が正逆回転すると、第1、第2リンクプレート54A、54Bを介して第3リンクプレート54Cが台座46長手方向に沿って左右に移動し、レバー60とともに各アーム52が回転軸52Aを中心に一体的に左右に回動する。
【0027】
台座46が持ち上げられる前、アーム52は台座46の長手方向に対して略垂直な向きに維持されている。昇降シャフト48により台座46が持ち上げられ容器Vの底面が台座46に接触すると、容器Vの種類に応じてモータ56が左右の何れかに回転される。
図4に示される底面が小径の容器V1の場合には、モータ56はアーム52を例えば時計回りに回転させる。一方、
図5に示される底面が大径の容器V2の場合には、モータ56はアーム52を例えば反時計回りに回転させる。
【0028】
図4、
図5に示されるように、各アーム52の両端には、容器V1、V2の底面近くの外径に合わせた曲率を備える円弧状の凹部(保持部)62、64が設けられる。例えば、
図4、
図5において、アーム52の上側の端部の右側の側辺、および下側の端部の左側の側辺には、小径の容器V1の外径に合わせた凹部62が設けられ、上側の端部の左側の側辺、および下側の端部の右側の側辺には、大径の容器V2の外径に合わせた凹部64が設けられる。
【0029】
容器処理装置10において容器V1を処理する場合、アーム52は時計回りに回転され、容器V1の左上側面が容器V1の左側に位置するアーム52の上側端部の凹部62と係合し、右下側面が容器V1の右側に位置するアーム52の下側端部の凹部62と係合する。これにより容器V1の側面は、左右のアーム52の凹部62により挟まれ、その位置が固定される。
【0030】
また、容器処理装置10において容器V2を処理する場合、アーム52は反時計回りに回転され、容器V2の左下側面が容器V2の左側に位置するアーム52の下側端部の凹部64と係合し、右上側面が容器V2の右側に位置するアーム52の上側端部の凹部64と係合する。これにより容器V2の側面は、左右のアーム52の凹部64により挟まれ、その位置が固定される。
【0031】
容器Vの側面がアーム52により挟まれた状態で、台座46は
図3の高さまで更に持ち上げられる。これに並行して、被せ蓋アーム34Bにより内蓋Sによりシールされた開口部に被せ蓋Cが装着される。この後、台座46は
図2の高さまで再び下降され、各容器Vはリテーナ14の各穴に保持され、下流側へと搬送される。
【0032】
以上のように、本実施形態の容器処理装置によれば、1つのアームで径の異なる容器に対応することができるので、容器の種類に応じてアームの交換を行う必要がなく、作業効率が向上する。
【0033】
また、本実施形態では、容器を高速で昇降させても、容器は台座の上で位置ずれを起こさず、被せ蓋を被せるなどの処理を適正に行うことができる。
【0034】
なお、本実施形態では、容器を間欠的に搬送したが、処理手段や昇降手段を搬送される容器に追従可能とすることで、容器を連続的に搬送することも可能である。また、本実施形態では、容器を昇降して被せ蓋を被せる処理を行ったが、処理はこれに限定されるものではない。また、本実施形態では、レバーに設けられた容器を保持する部分(保持部)を円弧状の凹部としたが、容器の位置を適正に固定できるものであれば円弧に限定されず、例えばV字形の凹部や他の形状の凹部であってもよい。
【符号の説明】
【0035】
10 容器処理装置
12 搬送コンベヤ(容器搬送装置)
34 被せ蓋供給装置(処理手段)
36 被せ蓋装着用昇降装置
52 アーム(容器保持手段)
54 リンク機構(駆動手段)
56 モータ(駆動手段)
62、64 凹部(保持部)